JP2011201138A - グラビア印刷機およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷速度を定常状態から増減する際に、見当ずれの大きさを許容範囲内に抑制しながら印刷速度を短期間で増減させることができるグラビア印刷機およびその制御方法を提供する。
【解決手段】後段印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさであるときには、後段印刷ユニット10b、10cのモータ13b、13cを制御して版胴11b、11cの回転速度を調整する際に、算出されたモータの操作量△ω(t)、△ω(t)に予め設定された所定の大きさの補正量Aを加える。一方、版胴11b、11cの回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには、算出されたモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に基づいて補正量Aを加えることなくモータ13b、13cを制御し、この際に見当ずれの大きさe、eが予め設定された所定の範囲内の大きさとなる印刷速度条件に切り換える。
【選択図】図2

Description

本発明は、連続的に搬送されるウェブに対して印刷を施すセクショナルドライブ型のグラビア印刷機およびその制御方法に関し、とりわけ印刷速度を定常状態から増減する際に、見当ずれの大きさを許容範囲内に抑制しながら印刷速度を短期間で増減させることができるセクショナルドライブ型のグラビア印刷機およびその制御方法に関する。
グラビア印刷機として、フィルム、紙等のウェブに対して多色印刷を施す複数(例えば3つ)の印刷ユニットと、各印刷ユニットの駆動源をそれぞれ独立して制御する制御装置とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
このようなグラビア印刷機では、印刷ユニット間のウェブの張力変動を引き起こすことで印刷ピッチを変化させて見当制御を行っている。しかしながら、グラビア印刷機の印刷速度を定常状態から増減する際に見当制御を行うと、良品として許容できない見当ずれ(±0.2mm以上の見当ずれ)が発生するおそれがある。このような問題を解決するために、例えば特許文献4乃至6に開示されるような方法が知られている。
より具体的には、特許文献4には、印刷速度を定常状態から増減する際には見当制御を停止し、目標の印刷速度までの上昇または下降が完了した後に見当制御を再度行うような方法が開示されている。また、特許文献5には、印刷速度と上昇または下降中の加減速度の乗数に印刷基材の伸び率とフリーロールの配置と慣性モーメントによる搬送ライン固有の定数を乗じた値を版胴の周長で除算した値の分だけ版胴の角度補正を行うことにより、印刷速度の増減中のウェブのテンション変動を抑制する方法が開示されている。また、特許文献6には、印刷速度が定常状態の場合には見当制御と印刷ユニット間のウェブのテンションを変動しないように制御するテンション制御を組み合わせた制御を行い、定常状態から増減する際には見当制御を停止し、目標の印刷速度までの上昇または下降が完了した後に見当制御とテンション制御を組み合わせた制御を再び行う方法が開示されている。
特開2001−277478号公報 特開2001−277479号公報 特開2000−309088号公報 特開平11−129452号公報 特開2003−80679号公報 特開2006−76036号公報
しかしながら、特許文献4に開示される方法は、見当ずれが発生してからいかに素早くこの見当ずれを修正するかに関するものであり、従来の方法よりも見当ずれを軽減することはできるものの、依然として見当ずれは良品として許容できる範囲内に抑制されないおそれがある。また、特許文献5に開示される方法は、見当ずれを確認することなくウェブのテンションのみを抑制しようとするに過ぎないため、従来の方法よりも見当ずれを軽減することはできるものの、依然として見当ずれは良品として許容できる範囲内に抑制されないおそれがある。また、特許文献6に開示される方法は、見当ずれを確認することなくウェブのテンションのみを抑制しようとするに過ぎないため、従来の方法よりも見当ずれを軽減することはできるものの、依然として見当ずれは良品として許容できる範囲内に抑制されないおそれがある。
また、上述のような方法を用いずとも、印刷速度の増減条件のみを極端に緩やかにすることにより見当ずれを抑制することもできる。しかしながら、この場合にはグラビア印刷機の生産性が極端に悪くなってしまうため、現実的な方法ではない。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、印刷速度を定常状態から増減する際に、定常状態時の制御に加え、版胴の回転速度が所定の範囲内の大きさにあるときに版胴を駆動するモータの操作量に補正量をフィードフォワード的に加えることにより、見当ずれの大きさを許容範囲内に抑制しながら印刷速度を短期間で増減させることができるグラビア印刷機およびその制御方法を提供することを目的とする。
本発明のグラビア印刷機は、連続的に搬送されるウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、この版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する前段印刷ユニットと、前段印刷ユニットの下流側に直列に設けられた複数の後段印刷ユニットであって、各後段印刷ユニットは、ウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、版胴の下流側に設けられウェブ上の見当マークを検出する見当マーク検出センサと、版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する後段印刷ユニットと、一の後段印刷ユニットの見当マーク検出センサにより検出された、ウェブ上における一の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マーク、および一の後段印刷ユニットの直近の上流側にある前段印刷ユニットまたは他の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークの間の見当ずれの大きさを算出し、この見当ずれの大きさに基づいて、一の後段印刷ユニットのモータの操作量を算出し、この算出されたモータの操作量に基づいて一の後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整し、この版胴の位相補正を行う制御装置と、を備え、制御装置は、(a)後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさであるときには、後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整する際に、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加え、(b)後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、版胴の回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには、算出されたモータの操作量に基づいて補正量を加えることなくモータを制御し、この際に見当ずれの大きさが予め設定された所定の範囲内の大きさとなる印刷速度条件に切り換える、ことを特徴とする。
本発明のグラビア印刷機の制御方法は、連続的に搬送されるウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、この版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する前段印刷ユニットと、前段印刷ユニットの下流側に直列に設けられた複数の後段印刷ユニットであって、各後段印刷ユニットは、ウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、版胴の下流側に設けられウェブ上の見当マークを検出する見当マーク検出センサと、版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する後段印刷ユニットと、を備えたグラビア印刷機の制御方法において、一の後段印刷ユニットの見当マーク検出センサにより検出された、ウェブ上における一の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マーク、および一の後段印刷ユニットの直近の上流側にある前段印刷ユニットまたは他の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークの間の見当ずれの大きさを算出する工程と、算出された見当ずれの大きさに基づいて一の後段印刷ユニットのモータの操作量を算出する工程と、算出されたモータの操作量に基づいて一の後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整し、この版胴の位相補正を行う工程と、を備え、後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさであるときには、後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整する際に、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加え、後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、版胴の回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには、算出されたモータの操作量に基づいて補正量を加えることなくモータを制御し、この際に見当ずれの大きさが予め設定された所定の範囲内の大きさとなる印刷速度条件に切り換える、ことを特徴とする。
このようなグラビア印刷機およびグラビア印刷機の制御方法によれば、印刷速度を定常状態から増減する際に、定常状態時の制御に加え、版胴の回転速度が所定の範囲内の大きさにあるときに版胴を駆動するモータの操作量に補正量をフィードフォワード的に加えることにより、見当ずれの大きさを許容範囲内に抑制しながら印刷速度を短期間で増減させることができる。また、目標生産速度が品目毎に異なるグラビア印刷機に対して、所定の大きさの補正量および所定の範囲を1パターン設定するだけで、所望の見当制御を行うことができる。
本発明のグラビア印刷機においては、制御装置は、後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内における所定の設定速度に達したときに、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加えることが好ましい。また、本発明のグラビア印刷機の制御方法においては、後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内における所定の設定速度に達したときに、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加えることが好ましい。
本発明のグラビア印刷機およびその制御方法によれば、印刷速度を定常状態から増減する際に、見当ずれの大きさを許容範囲内に抑制しながら印刷速度を短期間で増減させることができる。
本発明の一の実施の形態のグラビア印刷機の構成を示す図である。 図1のグラビア印刷機の制御装置による制御内容を示すブロック図である。 図1のグラビア印刷機の各印刷ユニットのサーボドライバへの制御入力量の算出式である。 図1のグラビア印刷機において、印刷ユニットの版胴の回転速度を50m/minから150m/minに増加させた場合における、時刻(横軸)と版胴の回転速度(縦軸)の関係を示すグラフ、および時刻(横軸)と見当ずれの大きさ(縦軸)の関係を示すグラフである。 比較例において、印刷ユニットの版胴の回転速度を50m/minから150m/minに増加させた場合における、時刻(横軸)と版胴の回転速度(縦軸)の関係を示すグラフ、および時刻(横軸)と見当ずれの大きさ(縦軸)の関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図3は、本発明によるグラビア印刷機の一の実施の形態を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態のグラビア印刷機の構成を示す説明図であり、図2は、図1のグラビア印刷機の制御装置による制御内容を示すブロック図である。また、図3は、図1のグラビア印刷機の各印刷ユニットのサーボドライバへの制御入力量の算出式である。
図1に示すグラビア印刷機は、矢印方向に連続的に搬送されるフィルム、紙等のウェブWに対してテンションを与えるインフィードユニット40と、インフィードユニット40から搬送されるウェブWに対して互いに異なる色の印刷を施す複数、例えば3台の印刷ユニット10a、10b、10cとを備えている。この場合、第1の印刷ユニット10aは第1色目の印刷ユニットとなり、第2の印刷ユニット10bは第2色目の印刷ユニットとなり、第3の印刷ユニット10cは第3色目の印刷ユニットとなる。また、このグラビア印刷機は、各印刷ユニット10a、10b、10cを制御する制御装置30を有している。
インフィードユニット40は、回転駆動するインフィードローラ41と、インフィードローラ41との間でウェブWを挟持するニップローラ43と、インフィードローラ41の下流側に設けられ図1の矢印方向に往復移動自在となっているダンサーローラ42とを有している。インフィードローラ41には、このインフィードローラ41を回転駆動させるモータ45が接続されている。また、ダンサーローラ42には、当該ダンサーローラ42を図1の矢印方向に往復移動させるエアーシリンダ(図示せず)が接続されている。
インフィードユニット40に送られたウェブWは、インフィードローラ41とニップローラ43との間で挟圧される。また、インフィードローラ41の速度を変更することによって、このインフィードローラ41と第1色目の印刷ユニット10aの版胴11a(後述)との間に速度差が生じ、ウェブWのテンションが変更されるようになっている。また、ダンサーローラ42の位置を調整することによっても、ウェブWのテンションを変更することができる。
第1の印刷ユニット(前段印刷ユニット)10aは、印刷用の版胴11aと、版胴11aとの間でウェブWを挟持して印刷を施す圧胴12aと、版胴11aに連結され、この版胴11aを回転駆動させるモータ13aと、を備え、ウェブWに対して印刷を施す際に、版胴11aはウェブWに第1の見当マークを付けるようになっている。
第2、第3の印刷ユニット(後段印刷ユニット)10b、10cは略同一の構成を有しており、各々、印刷用の版胴11b、11cと、版胴11b、11cとの間でウェブWを挟持して印刷を施す圧胴12b、12cと、版胴11b、11cに各々連結され、この版胴11b、11cを回転駆動させる例えばサーボモータからなるモータ13b、13cと、モータ13b、13cのモータ回転速度を調整するサーボドライバ17b、17cと、を備えている。各々の印刷ユニット10b、10cにおいてウェブWに対して印刷を施す際に、版胴11b、11cはそれぞれウェブWに第2、第3の見当マークを付けるようになっている。
各印刷ユニット10b、10cは、更に、版胴11b、11cの下流側に設けられ、ウェブW上の見当マークを検出する見当マーク検出センサ15b、15cをそれぞれ有している。ここで、見当マーク検出センサ15bは、ウェブW上の第1の見当マークおよび第2の見当マークを検出し、見当マーク検出センサ15cは、ウェブW上の第2の見当マークおよび第3の見当マークを検出するようになっている。
制御装置30は、図1に示すように、第2、第3の印刷ユニット10b、10cの見当マーク検出センサ15b、15cに接続された見当コントローラ30aと、見当コントローラ30aに接続された制御ゲイン設定手段30bと、見当コントローラ30aの下流側に接続されるとともに、各印刷ユニット10b、10cのサーボドライバ17b、17cに接続されたモーションコントローラ30cと、モーションコントローラ30cに接続された補正量設定器30dと、を有している。
見当コントローラ30aは、見当マーク検出センサ15b、15cにより検出されたウェブW上における各見当マークの信号に基づいて、各モータ13b、13cの操作量(ここで、操作量とは、モータ13b、13cのモータ回転速度の単位時間あたりの変化量のことをいう。)を算出するようになっている。
制御ゲイン設定手段30bは例えばタッチパネルからなり、見当コントローラ30aに指令を与えてこの見当コントローラ30aによる制御内容の設定を行うようになっている。具体的には、この制御ゲイン設定手段30bにおいて後述のように各制御ゲインk、k等の設定を行うようになっている。
モーションコントローラ30cは、見当コントローラ30aにより算出された各モータ13b、13cの操作量の各信号が送られるようになっている。このモーションコントローラ30cは、各モータ13b、13cの操作量に基づいて、各印刷ユニット10b、10cの各々のサーボドライバ17b、17cに指令(具体的には制御入力量)を与えて、各モータ13b、13cが所定のモータ回転速度で回転するよう制御を行うようになっている。
補正量設定器30dは、モーションコントローラ30cから各版胴11b、11cの回転速度の信号および各サーボドライバ17b、17cへの制御入力量の信号が送られるようになっている。この補正量設定器30dは、各サーボドライバ17b、17cへの制御入力量に対して、各版胴13b、13cの回転速度に基づいて選択的に補正量を加えるようになっている。
見当コントローラ30a、制御ゲイン設定手段30b、モーションコントローラ30cおよび補正量設定器30dからなる制御装置30による制御方法の詳細については後述する。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
ウェブWが図1に示すグラビア印刷機に搬送されると、このウェブWはまずインフィードユニット40に送られる。インフィードユニット40において、ウェブWはインフィードユニット40のインフィードローラ41とニップローラ43との間で挟圧される。また、ダンサーローラ42の位置を調整したり、インフィードローラ41の速度を変更したりすることによってウェブWのテンションが変更される。そして、このウェブWの印刷ピッチが、ウェブWに与えられるテンションの大きさに応じて調整される。このときに、ウェブWに与えられるテンションの大きさは、インフィードローラ41の回転速度またはダンサーローラ42の位置によって決まる。
図1に示すように、インフィードユニット40から送られたウェブWはまず第1の印刷ユニット10aに送られる。このときに版胴11aはモータ13aにより回転駆動されており、第1の印刷ユニット10aに送られたウェブWは回転駆動する版胴11aと圧胴12aとの間で挟持されて第1色目の印刷が施される。この際に、ウェブWに対して第1の見当マークが版胴11aにより付けられる。
第1の印刷ユニット10aによって第1色目の印刷が施されたウェブWは、次に第2の印刷ユニット10bに送られる。このときに版胴11bはモータ13bにより回転駆動されており、第2の印刷ユニット10bに送られたウェブWは、版胴11bと圧胴12bとの間で挟持されて第2色目の印刷が施される。この際に、ウェブWに対して第2の見当マークが版胴11bにより付けられる。
次に、見当マーク検出センサ15bにより、版胴11bから送られたウェブW上の第1の見当マークおよび第2の見当マークがそれぞれ検出され、これらの見当マークの信号が制御装置30の見当コントローラ30aに送られる。
第2の印刷ユニット10bにおいて第2色目の印刷が施されたウェブWは、次に第3の印刷ユニット10cに送られて印刷が施される。ウェブWに対する第3の印刷ユニット10cの作用は、前述の第2の印刷ユニット10bの作用と略同一となっている。すなわち、見当マーク検出センサ15cにより、版胴11cから送られたウェブW上の第2の見当マークおよび第3の見当マークがそれぞれ検出され、これらの見当マークの信号が制御装置30の見当コントローラ30aに送られる。
ここで、前述のように各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cは、それぞれ対応するモータ13b、13cにより回転駆動されているが、モータ13b、13cのモータ回転速度はサーボドライバ17b、17cによりそれぞれ調整されている。
この際に、サーボドライバ17b、17cは、それぞれモータ13b、13cに設けられたパルスジェネレータ(図示せず)により検出された実際のモータ13b、13cのモータ回転速度を、各々制御装置30のモーションコントローラ30cにより算出された目標モータ回転速度に近づけるよう、各モータ13b、13cに送るモータ駆動電流の大きさをそれぞれ調整するようになっている。
次に、制御装置30による制御方法について図2を用いて更に詳述する。
制御装置30の見当コントローラ30aは、まず、図2のSTEP−1に示すように、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cにより付けられた各々の見当マークと、当該各印刷ユニット10b、10cの直近の上流側にある印刷ユニット10a、10bの版胴11a、11bにより付けられた各々の見当マークとの間の見当ずれの大きさを、各印刷ユニット10b、10cについてそれぞれ算出する。具体的には、例えば第2の印刷ユニット10bの見当マーク検出センサ15bから送られた第1の見当マークおよび第2の見当マークの情報について、これらの第1の見当マークおよび第2の見当マークの間隔の大きさから、予め設定された間隔の設定値を減算することにより、見当ずれの大きさeが予め設定された時間間隔で間欠的に検出される。この時間間隔は例えば版胴11bが1回転する時間とされる。
同様に、第3の印刷ユニット10cの見当マーク検出センサ15cから送られた見当マークの情報についても、同様の処理が行われて印刷ユニット10cに係る見当ずれの大きさeが間欠的に検出される。
次に、図2のSTEP−2に示すように、STEP−1により算出された各印刷ユニット10b、10cに係る見当ずれの大きさe、eを用いて、時刻tにおける各印刷ユニット10b、10cのモータ13b、13cの操作量(すなわち、モータ13b、13cのモータ回転速度の単位時間あたりの変化量)△ω(t)、△ω(t)を経時的に算出する。以下、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)の計算式を個別に詳しく説明する。
第2の印刷ユニット10bのモータ13bの操作量△ω(t)は、第2の印刷ユニット10bに係る見当ずれの大きさeに基づいて経時的に算出される。
具体的には、モータ13bの操作量△ω(t)は下記式により算出される。
△ω(t)=k
(k:予め設定された制御ゲイン)
第3の印刷ユニット10cのモータ13cの操作量△ω(t)は、第3の印刷ユニット10cに係る見当ずれの大きさeと、第2の印刷ユニット10bに係る見当ずれの大きさeとに基づいて経時的に算出される。
具体的には、モータ13bの操作量△ω(t)は下記式により算出される。
△ω(t)=k+k(e−e
(k、k:予め設定された制御ゲイン)
なお、第3の印刷ユニット10cの下流側にも更に印刷ユニットがある場合には、この第n(nは4以上の整数)の印刷ユニットのモータの操作量△ωn−1(t)は、第nの印刷ユニットに係る見当ずれの大きさen−1と、第nの印刷ユニットの直近の上流側にある第(n−1)の印刷ユニットに係る見当ずれの大きさen−2とに基づいて経時的に算出される。
△ωn−1(t)=kn−1+k(en−1−en−2
(k、k:予め設定された制御ゲイン)
前述のように、上述の計算式に用いられる制御ゲインk、kは、その全てまたは一部がタッチパネルからなる制御ゲイン設定手段30bによって操作者が手動で入力することができるようになっている。
その後、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)の情報は見当コントローラ30aからモーションコントローラ30cに送られる。モーションコントローラ30cは、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)を、サーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xとして、印刷ユニット10b、10cのサーボドライバ17b、17cにそれぞれ送っている。この場合、△X=△ω(t)、△X=△ω(t)となる。各サーボドライバ17b、17cにおいて、制御入力量△X、△Xに基づいて、各モータ13b、13cの目標モータ回転速度が算出される。
このようにして、制御装置30は、見当コントローラ30aにより算出された各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)を、サーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xとして、各印刷ユニット10b、10cのモータ13b、13cを制御して版胴11b、11cの回転速度を調整し、各々の版胴11b、11cの位相補正を行っている。
次に、印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増減させる場合について図4に示すグラフを用いて以下に説明する。より具体的には、版胴11b、11cの回転速度を50m/minから150m/minに増加させる場合について説明する。ここで、図4は、図1のグラビア印刷機において、印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を50m/minから150m/minに増加させた場合における、時刻(横軸)と版胴11b、11cの回転速度(縦軸)の関係を示すグラフ、および時刻(横軸)と見当ずれの大きさ(縦軸)の関係を示すグラフである。
まず、制御装置30における補正量設定器30dについて説明する。この補正量設定器30dは、印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさにあるときには、具体的には回転速度が50m/min〜100m/minの範囲内の大きさにあるときには(図4の「補正制御エリア」参照)、図3に示すように、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に予め設定された所定の大きさの補正量Aを加え、この補正量Aが加えられた値をサーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xとする。すなわち、サーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xは、それぞれ△ω(t)+A、△ω(t)+Aの大きさとなる。
より詳細には、補正量設定器30dは、印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度が予め設定された所定の範囲(例えば、50m/min〜100m/min)内における所定の設定速度、例えば70m/minに達したときに、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に予め設定された所定の大きさの補正量Aを加え、この補正量Aが加えられた値をサーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xとする。すなわち、印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を50m/minから増加させ始めたときに、この回転速度が70m/minに達するまでは補正量Aが加えられることはないが、版胴11b、11cの回転速度が70m/minとなったときに、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に補正量Aが加えられ、この補正量Aが加えられた値がサーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xとなる。
そして、各サーボドライバ17b、17cにおいて、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に補正量Aが加えられた制御入力量△X、△Xに基づいて、各モータ13b、13cの目標モータ回転速度が算出される。
一方、補正量設定器30dは、印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには(図4の「通常制御エリア」参照)、各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に補正量Aを加えることはない。この場合、モーションコントローラ30cは、算出された各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に基づいて補正量Aを加えることなく各モータ13b、13cを制御し、この際に見当ずれの大きさe、eが予め設定された所定の範囲内の大きさ(例えば、−0.2mm〜0.2mm)となる印刷速度条件に切り換える。すなわち、モーションコントローラ30cは、見当ずれの大きさe、eが予め設定された所定の範囲内の大きさに維持されるよう、例えばフィードバック制御により各モータ13b、13cを制御する。
このようにして、制御装置30は、見当コントローラ30aにより算出された各モータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に基づいて各印刷ユニット10c、10cのモータ13b、13cを制御して版胴11b、11cの回転速度を調整し、この版胴11b、11cの位相補正を行うようになっており、印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさにあるときには(図4の「補正制御エリア」参照)、操作量△ω(t)、△ω(t)に補正量Aを加えてサーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xを算出するようになっている。
以上のように本実施の形態のグラビア印刷機およびその制御方法によれば、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増加させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲(例えば、50m/min〜100m/min)内の大きさであるときには、各印刷ユニット10b、10cのモータ13b、13cを制御して版胴11b、11cの回転速度を調整する際に、算出されたモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に予め設定された所定の大きさの補正量Aを加えるようになっている。また、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増加させる際に、版胴11b、11cの回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには、算出されたモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に基づいて補正量Aを加えることなくモータ13b、13cを制御し、この際に見当ずれの大きさe、eが予め設定された所定の範囲内の大きさ(例えば、−0.2mm〜0.2mm)となる印刷速度条件に切り換えるようになっている。このように、印刷速度を定常状態から増加する際に、定常状態時の制御に加え、版胴11b、11cの回転速度が所定の範囲内の大きさにあるときに版胴11b、11cを駆動するモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に補正量Aをフィードフォワード的に加えることにより、見当ずれの大きさe、eを許容範囲内に抑制しながら印刷速度を短期間で増加させることができる。また、目標生産速度が品目毎に異なるグラビア印刷機に対して、所定の大きさの補正量Aおよび所定の範囲を1パターン設定するだけで、所望の見当制御を行うことができる。
なお、図4に示すグラフでは、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増加させたときの態様について説明したが、本実施の形態のグラビア印刷機およびその制御方法は、このような例に限定されることはない。代わりに、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を減少させたときにも、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさであるときには、各印刷ユニット10b、10cのモータ13b、13cを制御して版胴11b、11cの回転速度を調整する際に、算出されたモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に予め設定された所定の大きさの補正量Aを加えるようになっていてもよい。また、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を減少させる際に、版胴11b、11cの回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには、算出されたモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に基づいて補正量Aを加えることなくモータ13b、13cを制御し、この際に見当ずれの大きさe、eが予め設定された所定の範囲内の大きさ(例えば、−0.2mm〜0.2mm)となる印刷速度条件に切り換えるようになっていてもよい。
〔比較例〕
以下、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度を増加させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲(例えば、50m/min〜100m/min)内の大きさであっても、見当コントローラ30aにより算出されたモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)に補正量Aを加えなかった場合について比較例として説明する。図5は、比較例において、印刷ユニットの版胴の回転速度を50m/minから150m/minに増加させた場合における、時刻(横軸)と版胴の回転速度(縦軸)の関係を示すグラフ、および時刻(横軸)と見当ずれの大きさ(縦軸)の関係を示すグラフである。
比較例においては、サーボドライバ17b、17cへの制御入力量△X、△Xは、それぞれ常に見当コントローラ30aにより算出されたモータ13b、13cの操作量△ω(t)、△ω(t)と同じ大きさとなっている。
図5に示すように、比較例によれば、各印刷ユニット10b、10cの版胴11b、11cの回転速度が50m/min〜150m/minに増加したときに、見当ずれの大きさe、eが大きくハンチングし、±0.6mmに達してしまうことがある。ここで、良品として許容できる見当ずれの大きさの範囲が−0.2mm〜0.2mmであるときには、比較例の場合には見当ずれの大きさe、eが許容範囲を超えてしまい、良好な性能結果を得ることができない。これに対し、本願発明のグラビア印刷機によれば、図4に示すように、見当ずれの大きさe、eが良品として許容できる見当ずれの大きさの範囲である−0.2mm〜0.2mm内に収まることにより、良好な性能結果を得ることができる。
10a、10b、10c 印刷ユニット
11a、11b、11c 版胴
12a、12b、12c 圧胴
13a、13b、13c モータ
15b、15c 見当マーク検出センサ
17b、17c サーボドライバ
30 制御装置
30a 見当コントローラ
30b 制御ゲイン設定手段
30c モーションコントローラ
30d 補正量設定器
40 インフィードユニット
41 インフィードローラ
42 ダンサーローラ
43 ニップローラ
45 モータ
W ウェブ

Claims (4)

  1. 連続的に搬送されるウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、この版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する前段印刷ユニットと、
    前段印刷ユニットの下流側に直列に設けられた複数の後段印刷ユニットであって、各後段印刷ユニットは、ウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、版胴の下流側に設けられウェブ上の見当マークを検出する見当マーク検出センサと、版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する後段印刷ユニットと、
    一の後段印刷ユニットの見当マーク検出センサにより検出された、ウェブ上における一の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マーク、および一の後段印刷ユニットの直近の上流側にある前段印刷ユニットまたは他の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークの間の見当ずれの大きさを算出し、この見当ずれの大きさに基づいて、一の後段印刷ユニットのモータの操作量を算出し、この算出されたモータの操作量に基づいて一の後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整し、この版胴の位相補正を行う制御装置と、
    を備え、
    制御装置は、
    (a)後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさであるときには、後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整する際に、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加え、
    (b)後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、版胴の回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには、算出されたモータの操作量に基づいて補正量を加えることなくモータを制御し、この際に見当ずれの大きさが予め設定された所定の範囲内の大きさとなる印刷速度条件に切り換える、
    ことを特徴とするグラビア印刷機。
  2. 制御装置は、後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内における所定の設定速度に達したときに、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加えることを特徴とする請求項1記載のグラビア印刷機。
  3. 連続的に搬送されるウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、この版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する前段印刷ユニットと、
    前段印刷ユニットの下流側に直列に設けられた複数の後段印刷ユニットであって、各後段印刷ユニットは、ウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、版胴の下流側に設けられウェブ上の見当マークを検出する見当マーク検出センサと、版胴に連結され当該版胴を回転駆動させるモータとを有する後段印刷ユニットと、
    を備えたグラビア印刷機の制御方法において、
    一の後段印刷ユニットの見当マーク検出センサにより検出された、ウェブ上における一の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マーク、および一の後段印刷ユニットの直近の上流側にある前段印刷ユニットまたは他の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークの間の見当ずれの大きさを算出する工程と、
    算出された見当ずれの大きさに基づいて一の後段印刷ユニットのモータの操作量を算出する工程と、
    算出されたモータの操作量に基づいて一の後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整し、この版胴の位相補正を行う工程と、
    を備え、
    後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内の大きさであるときには、後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整する際に、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加え、
    後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、版胴の回転速度が予め設定された所定の範囲から外れたときには、算出されたモータの操作量に基づいて補正量を加えることなくモータを制御し、この際に見当ずれの大きさが予め設定された所定の範囲内の大きさとなる印刷速度条件に切り換える、
    ことを特徴とするグラビア印刷機の制御方法。
  4. 後段印刷ユニットの版胴の回転速度を増減させる際に、この回転速度が予め設定された所定の範囲内における所定の設定速度に達したときに、算出されたモータの操作量に予め設定された所定の大きさの補正量を加えることを特徴とする請求項3記載のグラビア印刷機の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014124790A (ja) * 2012-12-25 2014-07-07 Fuji Kikai Kogyo Kk 印刷装置
JP2015116700A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 大日本印刷株式会社 印刷機およびその制御方法

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