JP2011200443A - 使い捨て吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題は、不織布よりなる表面シート30の肌当接側面を凹凸形状とし、表面シート30と多数の開孔を有する不織布よりなる中間シート40とを表面シート30凹部に相当する位置で接合させることにより解決される。中間シート40の平均繊維密度を表面シート30より高くし、かつ中間シート40を表面シート30より吸水度の高いものとする。
【選択図】図7
Description
特許文献1には、肌側の面に凹凸を付した表面シートの水平方向の空気透過量を規定することで、当該表面シートの通気性を確保する構成が開示されている。また、特許文献2には、表面シート上の凸部と凹部の厚みと繊維密度を規定し、凸部より凹部への水分の移動が素早く行われるような構成としている。
そこで、本発明の主たる課題は、表面シートに付着した粘度の高い排泄物を素早く吸収体に移行する使い捨て吸収性物品を提供することにある。
<請求項1記載の発明>
液透過性の表面シートと液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記表面シートと吸収体との間に介在された中間シートと、を備えた使い捨て吸収性物品において、
前記表面シートは、肌当接側面に多数の凹部が間隔を空けて配列形成されることにより、凹部の底部間の部分が相対的に隆起した凸部とされ、かつ凹部の底部に近づくにつれて繊維密度が高くなる不織布からなり、
前記中間シートは、表裏に貫通する多数の開孔が間隔を空けて配列形成された不織布からなり、
前記表面シートの各凸部は、前記中間シートの少なくとも一つの開孔と少なくとも一部が重なるように配置されており、
前記表面シートにおける少なくとも凹部の底部と前記中間シートとが接合されることによりシート接合部が形成されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
本発明の使い捨て吸収性物品は、水様便等の粘度の高い排泄物についても素早く吸収できることが、実験により判明している。その理由は定かではないが、概ね次のような原理で吸収がなされる結果であると推測される。すなわち、吸収初期においては、表面シート上に多量の排泄物が存在する又は次々に供給されるため、表面シートの凹部も凸部も関係なく、表面シート全体を通じて排泄物が順次透過していくことになる。このような状態で、中間シートの繊維間隙を通してのみ排泄物を透過するのでは、中間シートがボトルネックとなって吸収体側への排泄物の移動を速やかに行うことはできない。これに対して、上述のように中間シートに多数の開孔を設け、その少なくとも一つと少なくとも一部が重なるように表面シートの各凸部を配置すると、表面シートの凸部を介して多量かつ次々に透過してくる排泄物を開孔を通じて速やかに吸収体側へ移動することができる。
前記中間シートは、前記表面シートより吸水度が高い不織布である、請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
このように中間シートが表面シートより吸水度が高いものであると、排泄物を凹部の底部又はその周囲の裏面から、凹部の底部に接合された中間シートに移り易くなり、吸収後期における吸収速度をより一層向上させることができる。
前記表面シートの各凸部の裏側に、前記表面シートと前記中間シートとが離間して形成された空隙を有する、請求項2記載の使い捨て吸収性物品。
表面シートの凸部の裏面が中間シートに接触すると、中間シートの開孔が閉塞され、開口による排泄物の透過が阻害されるおそれがあるが、表面シートの各凸部の裏側に、表面シートと中間シートとを接合しない等により、両シートが離間して形成された空隙を有することにより、中間シートの開口が閉塞され難くなり、前述の吸収初期の排泄物移動形態において、開口による排泄物の透過が阻害され難くなる。また、前述の吸収後期の排泄物移動形態において、表面シートに付着した排泄物が凸部から凹部周辺へ移動し易くなる(排泄物の流れが方向づけられる)という利点もある。
前記表面シートは合成繊維の不織布よりなり、前記凹部がドット状のヒートエンボスにより形成された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
表面シートの凹部をヒートエンボスにより形成すると、凹部の底部に近づくにつれて繊維密度が高くなる構造を容易に形成することができるため好ましい。
前記中間シートは合成繊維の不織布よりなるとともに、前記開孔の周縁が融着した繊維によりフィルム状となり、かつ開口の周縁に近づくにつれて繊維密度が高くなっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
このような構造は、中間シートの不織布基材に、加熱した穿孔ピン等による穿孔加工を行うことにより容易に形成することができる。
前記表面シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.5〜3.3dtex、厚みが0.2〜0.8mm、目付けが20〜35g/m2のエアスルー不織布であり、
前記中間シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.7〜5.0dtex、厚みが0.1〜0.5mm、目付けが15〜35g/m2のエアスルー不織布である、
請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。
本発明の表面シート及び中間シートの不織布としては、それぞれこのようなエアスルー不織布が好ましい。
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
表面シート30としては、不織布が使用される。無孔の不織布を使用することがより好ましい。不織布の原料繊維は特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等のヒートエンボスが可能な合成繊維を使用することが好ましい。さらに、不織布の加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等をいずれも使用することができるが、嵩高性を有するエアスルー法の使用が特に好ましい。
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートともいわれる)40を設ける。
中間シート40は表面シート30より吸水度(JIS L 1907 バイレック法)の高い不織布で構成される。中間シート40の不織布は、表面シート30の不織布より親水性の繊維素材のものを使用してもよく、また、表面シート30と同様の素材に親水性化剤を付与したものを使用してもよいが、後に穿孔加工を行う場合は、合成繊維を使用することが好ましい。中間シート40を構成する不織布不織布の加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等をいずれも使用することができるが、嵩高性を有するエアスルー法の使用が特に好ましい。
表面シート30と中間シート40の接合状態を示す断面拡大図を図8に示す。
中間シート40は表面シート30の凹部81の部位において接合される。接合方法としては、ホットメルト接着剤等による接着、スパンレース、ヒートエンボス、超音波溶着等の公知の方法を用いることができるが、目的部位のみに接合しやすい、という利点を有するヒートエンボスを好適に用いることができる。ヒートエンボスを接合手段として用いる場合は、中間シート40の素材は表面シート30と同程度の融点をもつものを使用することが好ましい。全ての凹部において表面シートと中間シートが接合されていることが好ましいが、接合されていない部分を有していてもよい。
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
図1及び図2に示されるように、ファスニングテープ13は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるシート基材13Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材13Aが設けられている。フック材13Aはシート基材13Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート74を設けるのが好ましい。ターゲットシート74は、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。 また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート74を省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート74を外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
Claims (6)
- 液透過性の表面シートと液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記表面シートと吸収体との間に介在された中間シートと、を備えた使い捨て吸収性物品において、
前記表面シートは、肌当接側面に多数の凹部が間隔を空けて配列形成されることにより、凹部の底部間の部分が相対的に隆起した凸部とされ、かつ凹部の底部に近づくにつれて繊維密度が高くなる不織布からなり、
前記中間シートは、表裏に貫通する多数の開孔が間隔を空けて配列形成された不織布からなり、
前記表面シートの各凸部は、前記中間シートの少なくとも一つの開孔と少なくとも一部が重なるように配置されており、
前記表面シートにおける少なくとも凹部の底部と前記中間シートとが接合されることによりシート接合部が形成されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。 - 前記中間シートは、前記表面シートより吸水度が高い不織布である、請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記表面シートの各凸部の裏側に、前記表面シートと前記中間シートとが離間して形成された空隙を有する、請求項2記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記表面シートは合成繊維の不織布よりなり、前記凹部がドット状のヒートエンボスにより形成された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記中間シートは合成繊維の不織布よりなるとともに、前記開孔の周縁が融着した繊維によりフィルム状となり、かつ開口の周縁に近づくにつれて繊維密度が高くなっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記表面シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.5〜3.3dtex、厚みが0.2〜0.8mm、目付けが20〜35g/m2のエアスルー不織布であり、
前記中間シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.7〜5.0dtex、厚みが0.1〜0.5mm、目付けが15〜35g/m2のエアスルー不織布である、
請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。
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