JP2011199946A - 回転電機の永久磁石埋設型回転子及び回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】永久磁石の磁極端部の減磁耐量を向上できる永久磁石埋設型回転子を提供する。
【解決手段】空隙20A,20Bは、永久磁石17A,17Bを収容する永久磁石収容部19A,19Bに連ねられている。磁極端部172A付近の磁極面170Aとロータコア16の外周面162との間にはスリット21Aが設けられている。スリット21Aは、ロータコア16の回転軸線と垂直な仮想平面上での形状が凸形状である。スリット21Aは、磁極端部172A側から外周面162側に向けて凸である。スリット21Aは、第1スリット部22Aと第2スリット部23Aとを繋いで構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】空隙20A,20Bは、永久磁石17A,17Bを収容する永久磁石収容部19A,19Bに連ねられている。磁極端部172A付近の磁極面170Aとロータコア16の外周面162との間にはスリット21Aが設けられている。スリット21Aは、ロータコア16の回転軸線と垂直な仮想平面上での形状が凸形状である。スリット21Aは、磁極端部172A側から外周面162側に向けて凸である。スリット21Aは、第1スリット部22Aと第2スリット部23Aとを繋いで構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、回転電機の永久磁石埋設型回転子及び回転電機に関する。
回転子のロータコアに埋設された複数の永久磁石によって複数の磁極を構成する永久磁石埋設型回転子では、隣り合う磁極が互いに異なっている。そのため、隣り合う磁極を構成する隣り合う永久磁石の磁石端部間で磁束の短絡が生じやすい。短絡磁束が多くなると、トルクが低下する。
特許文献1に開示の回転子では、永久磁石の磁石端部に接すると共に、ロータコアの外周面に近接する位置まで延びるフラックスバリア(空隙)がロータコアに設けられている。フラックスバリアは、フラックスバリアとロータコアの外周面との間の部位(ブリッジ部)の幅を狭めるため、隣り合う永久磁石の磁石端部間での磁束の短絡が抑制されて短絡磁束が低減される。
しかし、磁極中央部付近から出る磁束が回転子の回転方向側のブリッジ部に向かうため、回転子の回転方向側の磁極端部付近での磁気飽和が生じ易い。回転電機が高負荷状態(ステータコイルへ供給される電流量が大きい状態)では磁石端部周辺のロータコアの部位が磁気飽和状態になり、磁石端部におけるパーミアンス係数が低下する。そのため、磁石端部の減磁耐量が低下する。特許文献1に開示の磁気的空隙は、永久磁石の磁石端部の減磁耐量を更に低下させる。
本発明は、永久磁石の磁極端部の減磁耐量を向上できる永久磁石埋設型回転子を提供することを目的とする。
請求項1乃至請求項6の発明は、ロータコアに形成された収容孔に永久磁石が収容されている回転電機の永久磁石埋設型回転子を対象とし、請求項1の発明では、前記収容孔は、少なくとも、前記永久磁石が収容可能な永久磁石収容部及び前記永久磁石収容部のq軸側の空隙からなり、前記収容孔と前記ロータコアの外周面との間にスリットが形成され、前記スリットは、前記磁極端部から前記ロータコアの外周面に向けて凸の形状に形成されている。
凸の形状とは、回転子の回転軸線と垂直な仮想平面上での形状のことである。回転電機が低負荷状態(ステータコイルへ供給される電流量が小さい状態)では、凸形状のスリットは、磁極端部から出る磁束がロータコアの外周面に向かうのをあまり抑制しない。そのため、回転電機が低負荷状態では、磁極端部の磁束がトルクに寄与する。回転電機が高負荷状態(ステータコイルへ供給される電流量が大きい状態)では、断面凸形状のスリットは、磁極面の中央側から出る磁束が空隙とロータコアの外周面との間の部位に向かうのを抑制する。そのため、回転電機が高負荷状態では、永久磁石の磁石端部におけるパーミアンス係数の低下が抑制されて減磁耐量が向上する。
好適な例では、前記スリットは、前記空隙と前記ロータコアの外周面との間を始端として、前記空隙から前記収容孔に向かう方向に進むにつれて前記ロータコアの外周面に近づいてゆくように形成された第1スリット部と、前記収容孔と前記ロータコアの外周面との間を始端として、前記収容孔から前記空隙に向かう方向に進むにつれて前記ロータコアの外周面に近づいてゆくように形成された第2スリット部とを繋いで構成されている。
好適な例では、前記永久磁石は平板形状であり、前記第1スリット部の始端は、前記永久磁石の前記空隙寄りの磁石端面と同一面の仮想平面を基準に前記空隙寄りにあり、前記第2スリット部の始端は、前記仮想平面を基準に前記永久磁石収容部寄りにある。
好適な例では、前記第1スリット部の始端と前記空隙との間の最短幅は、前記第2スリット部の始端と前記収容孔との間の最短幅よりも大きい。
好適な例では、前記第1スリット部の幅は、前記第1スリット部の始端から遠ざかるにつれて増大し、前記第2スリット部の幅は、前記第2スリット部の始端から遠ざかるにつれて増大した後に減少してゆく。
好適な例では、前記第1スリット部の幅は、前記第1スリット部の始端から遠ざかるにつれて増大し、前記第2スリット部の幅は、前記第2スリット部の始端から遠ざかるにつれて増大した後に減少してゆく。
好適な例では、前記第2スリット部の始端から離れるにつれて小さくなってゆく前記第2スリット部の幅の部位は、前記第1スリット部の幅よりも大きい。
請求項7の発明は、ロータコアに形成された収容孔に永久磁石が収容されている永久磁石埋設型回転子を備えた回転電機において、前記永久磁石埋設型回転子が請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転子である。
請求項7の発明は、ロータコアに形成された収容孔に永久磁石が収容されている永久磁石埋設型回転子を備えた回転電機において、前記永久磁石埋設型回転子が請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転子である。
本発明の永久磁石埋設型回転子は、永久磁石の磁極端部の減磁耐量を向上できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、永久磁石埋設型回転電機Mを構成する固定子11は、環状のステータコア12と、ステータコア12の内周に複数配列されたティース121間のスロット122に施されたコイル13とからなる。スロット122は、環状の固定子11の周方向に等ピッチで配列されている。
図1(a)に示すように、永久磁石埋設型回転電機Mを構成する固定子11は、環状のステータコア12と、ステータコア12の内周に複数配列されたティース121間のスロット122に施されたコイル13とからなる。スロット122は、環状の固定子11の周方向に等ピッチで配列されている。
図1(b)に示すように、ステータコア12は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板14を積層して構成されている。
図1(a)に示すように、永久磁石埋設型回転電機Mを構成する回転子15は、ロータコア16と、ロータコア16内に埋設された平板形状の複数対(本実施形態では8対)の永久磁石17A,17Bとからなる。対となるように隣り合う永久磁石17A,17Bは、全て同形同大である。複数対の永久磁石17A,17Bは、対単位で回転子15の回転軸線Cを中心とした回転対称に配置されている。
図1(a)に示すように、永久磁石埋設型回転電機Mを構成する回転子15は、ロータコア16と、ロータコア16内に埋設された平板形状の複数対(本実施形態では8対)の永久磁石17A,17Bとからなる。対となるように隣り合う永久磁石17A,17Bは、全て同形同大である。複数対の永久磁石17A,17Bは、対単位で回転子15の回転軸線Cを中心とした回転対称に配置されている。
図1(b)に示すように、ロータコア16は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板18を積層して構成されている。ロータコア16の中心部には軸孔161が貫設されている。軸孔161には出力軸(図示略)が通されて固定される。
図2(a)に示すように、対の永久磁石17A,17Bは、回転子15の回転軸線C〔図1(a)参照〕と平行な方向にロータコア16に貫設された永久磁石収容部19A,19Bに嵌入されている。ロータコア16の外周面162側における永久磁石17Aの面170Aと永久磁石17Bの面170Bとは、同じ磁極の磁極面170A,170Bである。つまり、対の永久磁石17A,17Bが1つの磁極を構成しており、複数対の永久磁石17A,17Bは、対単位で周方向に交互に異なる磁極となるようにロータコア16内に磁極として埋設されている。
永久磁石17Aにおける外周面162に近い方の端面171Aは、対の永久磁石17A,17Bの一方の磁石端面171Aである。永久磁石17Bにおける外周面162に近い方の端面171Bは、対の永久磁石17A,17Bの他方の磁石端面171Bである。磁極面170Aにおける外周面162に近い方の端部172Aは、対の永久磁石17A,17Bの一方の磁極端部172Aである。磁極面170Bにおける外周面162に近い方の端部172Bは、対の永久磁石17A,17Bの他方の磁極端部172Bである。
図2(b)に示すように、永久磁石収容部19Aにおける外周面162に近い方の端付近には空隙20Aが永久磁石収容部19Aに連なるように設けられている。永久磁石収容部19Bにおける外周面162に近い方の端付近には空隙20Bが永久磁石収容部19Bに連なるように設けられている。
永久磁石収容部19A,19Bに永久磁石17A,17Bが収容された状態では、永久磁石17A,17Bの両端側に磁束短絡防止用の空隙20A,20Bが残される。永久磁石17Aを収容可能な永久磁石収容部19Aと、永久磁石17Aの磁極端部172A側の空隙20Aとは、ロータコア16に形成された収容孔を構成する。永久磁石17Bを収容可能な永久磁石収容部19Bと、永久磁石17Bの磁極端部172B側の空隙20Bとは、ロータコア16に形成された収容孔を構成する。
図1(a)に示すd軸は、磁極がつくる磁束の方向(同磁極の永久磁石間の中心軸)を表し、q軸は、d軸と電気的、磁気的に直交する軸(異磁極の永久磁石間の軸)を表す。永久磁石17Aを収容する収容孔は、永久磁石収容部19A及び永久磁石収容部19Aのq軸側の空隙20Aからなる。永久磁石17Bを収容する収容孔は、永久磁石収容部19B及び永久磁石収容部19Bのq軸側の空隙20Bからなる。空隙20A,20Bは、フラックスバリア(磁束障壁)として磁石磁束を効果的にトルクに作用するものである。
図2(a)に示すように、一磁極当たりの永久磁石の個数は2個であり、磁極端部172A,172Bは、永久磁石17A,17Bのq軸側の磁極端部である。
図2(b)に示すように、永久磁石収容部19Aの形成面は、少なくとも、永久磁石17Aの磁極面170Aに対向する磁極側対向面191Aと、永久磁石17Aの反磁極面173Aに対向する反磁極側対向面192Aと、永久磁石17Aの磁石端面171Aに対向する対向端面193Aとから構成されている。永久磁石収容部19Bの形成面は、少なくとも、永久磁石17Bの磁極面170Bに対向する磁極側対向面191Bと、永久磁石17Bの反磁極面173Bに対向する反磁極側対向面192Bと、永久磁石17Bの磁石端面171Bに対向する対向端面193Bとから構成されている。
図2(b)に示すように、永久磁石収容部19Aの形成面は、少なくとも、永久磁石17Aの磁極面170Aに対向する磁極側対向面191Aと、永久磁石17Aの反磁極面173Aに対向する反磁極側対向面192Aと、永久磁石17Aの磁石端面171Aに対向する対向端面193Aとから構成されている。永久磁石収容部19Bの形成面は、少なくとも、永久磁石17Bの磁極面170Bに対向する磁極側対向面191Bと、永久磁石17Bの反磁極面173Bに対向する反磁極側対向面192Bと、永久磁石17Bの磁石端面171Bに対向する対向端面193Bとから構成されている。
空隙20A側の磁極端部172Aの近くにはスリット21Aが回転軸線C〔図1(b)参照〕と平行な方向へロータコア16を貫通するように設けられている。スリット21Aは、磁極端部172Aに関して回転子15の回転軸線Cとは反対側のロータコア16の外周面162との間に設けられている。スリット21Aは、回転軸線Cと垂直な仮想平面上での形状が凸形状(断面凸形状)である。断面凸形状のスリット21Aは、磁極端部172A側から回転軸線Cとは反対側の外周面162側に向けて凸の形状に形成されている。
スリット21Aは、第1スリット部22Aと第2スリット部23Aとを繋いで構成されている。第1スリット部22Aの始端221A及び第2スリット部23Aの始端231Aは、空隙20Aから外周面162側へ離れた位置にある。つまり、始端221A,231Aは、永久磁石17Aの収容孔とロータコア16の外周面162との間にある。第1スリット部22Aは、空隙20Aから永久磁石収容部19Aに向かう方向に進むにつれて外周面162に近づいてゆく形状に形成されている。第2スリット部23Aは、永久磁石収容部19Aから空隙20Aに向かう方向に進むにつれて外周面162に近づいてゆく形状に形成されている。
第1スリット部22A及び第2スリット部23Aの幅を永久磁石17Aの磁石端面171Aと同一面の仮想平面S1と平行な仮想平面上での長さとする。図2(b)に示す長さH1は、第2スリット部23Aの幅の一例である。第1スリット部22Aの幅は、始端221Aから離れるにつれて大きくなってゆく。第2スリット部23Aの幅は、始端231Aから離れるにつれて大きくなってゆき、その後に小さくなってゆく。始端231Aから離れるにつれて小さくなってゆく第2スリット部23Aの幅の部位は、第1スリット部22Aの幅よりも大きい。
第1スリット部22Aの始端221Aは、仮想平面S1を基準に空隙20A寄りにあり、第2スリット部23Aの始端231Aは、仮想平面S1を基準に永久磁石収容部19A寄りにある。第2スリット部23Aの始端231Aは、仮想平面S1と、磁極面170Aの磁極中心174Aを通って磁極面170Aに垂直、且つ回転軸線Cと平行な仮想平面S2との間にある。第1スリット部22Aの始端221Aと空隙20Aとの間の最短幅α1は、第2スリット部23Aの始端231Aと永久磁石収容部19Aとの間の最短幅β1よりも大きい。以下においては、第1スリット部22Aの始端221Aと空隙20Aとの間の部位を第1ブリッジ24Aと記す。又、第2スリット部23Aの始端231Aと永久磁石収容部19Aとの間の部位を第2ブリッジ25Aと記す。
図3に示すように、空隙20B側にも断面凸形状のスリット21Aと同様のスリット21Bが形成されている。スリット21Bは、磁極端部172Bに関して回転子15の回転軸線Cとは反対側のロータコア16の外周面162との間に設けられている。スリット21Bは、回転軸線Cと垂直な仮想平面上での形状が凸形状(断面凸形状)である。断面凸形状のスリット21Bは、磁極端部172B側から回転軸線Cとは反対側の外周面162側に向けて凸の形状に形成されている。
スリット21Bは、第1スリット部22Bと第2スリット部23Bとを繋いで構成されている。第1スリット部22Bは、空隙20Bから永久磁石収容部19Bに向かう方向に進むにつれて外周面162に近づいてゆく形状に形成されている。第2スリット部23Bは、空隙20Bから永久磁石収容部19Bに向かう方向に進むにつれて外周面162から離れてゆく形状に形成されている。第1スリット部22Bの始端221B及び第2スリット部23Bの始端231Bは、空隙20Bから外周面162側へ離れた位置にある。つまり、始端221B,231Bは、永久磁石17Bの収容孔とロータコア16の外周面162との間にある。
第1スリット部22B及び第2スリット部23Bの幅を永久磁石17Bの磁石端面171Bと同一面の仮想平面S3と平行な仮想平面上での長さとする。図3に示す長さH2は、第2スリット部23Bの幅の一例である。第1スリット部22Bの幅は、始端221Bから離れるにつれて大きくなってゆく。第2スリット部23Bの幅は、始端231Bから離れるにつれて大きくなってゆき、その後に小さくなってゆく。始端231Bから離れるにつれて小さくなってゆく第2スリット部23Bの幅の部位は、第1スリット部22Bの幅よりも大きい。
第1スリット部22Bの始端221Bは、仮想平面S3を基準に空隙20B寄りにあり、第2スリット部23Bの始端231Bは、仮想平面S3を基準に永久磁石収容部19B寄りにある。第2スリット部23Bの始端231Bは、仮想平面S3と、磁極面170Bの磁極中心174Bを通って磁極面170Bに垂直、且つ回転軸線Cと平行な仮想平面S4との間にある。第1スリット部22Bの始端221Bと空隙20Bとの間の最短幅α2は、第2スリット部23Bの始端231Bと永久磁石収容部19Bとの間の最短幅β2よりも大きい。以下においては、第1スリット部22Bの始端221Bと空隙20Bとの間の部位を第1ブリッジ,24Bと記す。又、第2スリット部23Bの始端231Bと永久磁石収容部19Bとの間の部位を第2ブリッジ25Bと記す。
コイル13への通電によって回転子15が図1(a)に矢印Rで示す方向に回転するとする。
図2(b)に示す矢印F1は、回転電機Mが低負荷状態(コイル13へ供給される電流量が小さい状態)での固定子11からロータコア16側へ流れる磁束を模式的に表す。矢印G1は、回転電機Mが低負荷状態での永久磁石17Aから出る磁束を模式的に表す。回転電機Mが低負荷状態では、磁気飽和が生じない。そのため、永久磁石17Aの磁極端部172A付近の磁極面170Aから出る磁束は、空隙20Aと第1スリット部22Aの始端221Aとの間の第1ブリッジ24Aを通る。その結果、磁極端部172A付近の磁極面170Aから出る磁束がロータコア16の外周面162から出てゆく。これは、トルク増に寄与する。
図2(b)に示す矢印F1は、回転電機Mが低負荷状態(コイル13へ供給される電流量が小さい状態)での固定子11からロータコア16側へ流れる磁束を模式的に表す。矢印G1は、回転電機Mが低負荷状態での永久磁石17Aから出る磁束を模式的に表す。回転電機Mが低負荷状態では、磁気飽和が生じない。そのため、永久磁石17Aの磁極端部172A付近の磁極面170Aから出る磁束は、空隙20Aと第1スリット部22Aの始端221Aとの間の第1ブリッジ24Aを通る。その結果、磁極端部172A付近の磁極面170Aから出る磁束がロータコア16の外周面162から出てゆく。これは、トルク増に寄与する。
図4に示す矢印F2は、回転電機Mが高負荷状態(コイル13へ供給される電流量が大きい状態)での固定子11からロータコア16側へ流れる磁束を模式的に表す。矢印G2,G3は、回転電機Mが高負荷状態での永久磁石17Aから出る磁束を模式的に表す。なお、矢印F2及び図2(b)に示す矢印F1の太さは、磁束の強さを模式的に表す。
回転電機Mが高負荷状態では、永久磁石17Aの磁極面170Aの磁極中心174A側から出る磁束(矢印G3で示す磁束)が磁極端部172A付近へ流入するのをスリット21Aによって抑制される。そのため、磁極端部172A付近が磁気飽和することはなく、磁極端部172A付近の磁石端面171Aから出る磁束(矢印G2で示す磁束)が空隙20Aを通って反磁極面173Aに向かう。つまり、回転電機Mが高負荷状態において磁極端部172A付近の磁石端面171Aから出る磁束の通路がスリット21Aによって確保される。その結果、空隙20A側の磁石端部におけるパーミアンス係数の低下が抑制され、空隙20A側の磁石端部における減磁耐量が向上する。
コイル13への通電によって回転子15が図1(a)に矢印Rで示す方向とは反対方向に回転するとする。回転電機Mが低負荷状態では、磁気飽和が生じない。そのため、永久磁石17Bの磁極端部172B付近の磁極面170Bから出る磁束は、空隙20Bと第1スリット部22Bの始端221Bとの間の第1ブリッジ24Bを通る。その結果、磁極端部172B付近の磁極面170Bから出る磁束がロータコア16の外周面162から出てゆく。これは、トルク増に寄与する。
図3に示す矢印F3は、回転電機Mが高負荷状態(コイル13へ供給される電流量が大きい状態)での固定子11からロータコア16側へ流れる磁束を模式的に表す。矢印G4,G5は、回転電機Mが高負荷状態での永久磁石17Bから出る磁束を模式的に表す。
回転電機Mが高負荷状態では、永久磁石17Bの磁極面170Bの磁極中心174B側から出る磁束(矢印G5で示す磁束)が磁極端部172B付近へ流入するのをスリット21Bによって抑制される。そのため、磁極端部172B付近が磁気飽和することはなく、磁極端部172B付近の磁極面170Bから出る磁束(矢印G4で示す磁束)が空隙20Bを通って反磁極面173Bに向かう。つまり、回転電機Mが高負荷状態において磁極端部172B付近の磁極面170Bから出る磁束の通路がスリット21Bによって確保される。その結果、空隙20B側の磁石端部におけるパーミアンス係数の低下が抑制され、空隙20B側の磁石端部における減磁耐量が向上する。
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)スリット21Aは、回転電機Mが高負荷状態において磁極端部172A付近の磁極面170Aから出る磁束の通路を確保する。同様に、スリット21Bは、回転電機Mが高負荷状態において磁極端部172B付近の磁極面170Bから出る磁束の通路を確保する。そのため、対の永久磁石17A,17Bの磁石端部における減磁耐量が向上する。
(1)スリット21Aは、回転電機Mが高負荷状態において磁極端部172A付近の磁極面170Aから出る磁束の通路を確保する。同様に、スリット21Bは、回転電機Mが高負荷状態において磁極端部172B付近の磁極面170Bから出る磁束の通路を確保する。そのため、対の永久磁石17A,17Bの磁石端部における減磁耐量が向上する。
(2)第1ブリッジ24A,24Bの最短幅α1,α2は、第2ブリッジ25A,25Bの最短幅β1,β2よりも大きい。第1ブリッジ24A,24Bの最短幅α1,α2が大きいほど、回転電機Mの低負荷状態における磁石端部からの磁束の通路確保が容易となる。
第2ブリッジ25A,25Bの最短幅β1,β2が小さいほど、回転電機Mの高負荷状態における磁極面170A,170Bの中央部側からの磁束が磁極端部172A,172B側へ向かい難くなる。第2ブリッジ25A,25Bの最短幅β1,β2を小さくする構成は、磁極端部172A,172B付近での磁気飽和の回避に寄与する。
(3)空隙付近における磁気飽和は、回転子15の回転方向側の空隙とロータコア16の外周面162との間に生じ易い。空隙20A,20Bのいずれの側にもスリット21A,21Bを設ける構成は、回転子15を両方に回転して使用する場合に好適である。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○図5に示すように、第1スリット部22Cに接続する第2スリット部23Cに延長部232を設けたスリット21Cであってもよい。
○図5に示すように、第1スリット部22Cに接続する第2スリット部23Cに延長部232を設けたスリット21Cであってもよい。
○図6に示すように、第2スリット部23Dに接続する第1スリット部22Dに延長部222を設けたスリット21Dであってもよい。
○図7に示すように、断面弧状のスリット21Eであってもよい。
○図7に示すように、断面弧状のスリット21Eであってもよい。
○回転子15が一方向にのみ回転される場合には、回転子15の回転方向側の空隙側にのみスリットを設けてもよい。
○同じ磁極面を有する永久磁石の組み合わせは、1個でもよいし、3個以上で一組であってもよい。
○同じ磁極面を有する永久磁石の組み合わせは、1個でもよいし、3個以上で一組であってもよい。
○単一の平板形状の永久磁石によって磁極を構成するようにした回転子に本発明を適用してもよい。この場合、仮想平面S2,S4は、単一の平板形状の永久磁石を収容する収容孔の磁極側対向面の端から磁極側対向面の長さの1/4の位置にある。この場合にも、(1)〜(3)項と同様の効果が得られる。
15…回転子。16…ロータコア。162…外周面。17A,17B…対の永久磁石。170A,170B…磁極面。171A,171B…磁石端面。172A,172B…磁極端部。19A,19B…収容孔を構成する永久磁石収容部。191A,191B…磁極側対向面。192A,192B…反磁極側対向面。20A,20B…収容孔を構成する空隙。21A,21B,21C,21D…スリット。22A,22C,22D…第1スリット部。23A,23C,23D…第2スリット部。221A,231A,221B,231B…始端。M…永久磁石埋設型回転電機。S1,S3…仮想平面。α1,α2,β1,β2…最短幅。
Claims (7)
- ロータコアに形成された収容孔に永久磁石が収容されている回転電機の永久磁石埋設型回転子において、
前記収容孔は、少なくとも、前記永久磁石が収容可能な永久磁石収容部及び前記永久磁石収容部のq軸側の空隙からなり、
前記収容孔と前記ロータコアの外周面との間にスリットが形成され、
前記スリットは、磁極端部から前記ロータコアの外周面に向けて凸の形状に形成されている回転電機の永久磁石埋設型回転子。 - 前記スリットは、前記空隙と前記ロータコアの外周面との間を始端として、前記空隙から前記収容孔に向かう方向に進むにつれて前記ロータコアの外周面に近づいてゆくように形成された第1スリット部と、前記収容孔と前記ロータコアの外周面との間を始端として、前記収容孔から前記空隙に向かう方向に進むにつれて前記ロータコアの外周面に近づいてゆくように形成された第2スリット部とを繋いで構成されている請求項1に記載の回転電機の永久磁石埋設型回転子。
- 前記永久磁石は平板形状であり、前記第1スリット部の始端は、前記永久磁石の前記空隙寄りの磁石端面と同一面の仮想平面を基準に前記空隙寄りにあり、前記第2スリット部の始端は、前記仮想平面を基準に前記永久磁石収容部寄りにある請求項2に記載の回転電機の永久磁石埋設型回転子。
- 前記第1スリット部の始端と前記空隙との間の最短幅は、前記第2スリット部の始端と前記収容孔との間の最短幅よりも大きい請求項2及び請求項3のいずれか1項に記載の回転電機の永久磁石埋設型回転子。
- 前記第1スリット部の幅は、前記第1スリット部の始端から遠ざかるにつれて増大し、前記第2スリット部の幅は、前記第2スリット部の始端から遠ざかるにつれて増大した後に減少してゆく請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の回転電機の永久磁石埋設型回転子。
- 前記第2スリット部の始端から離れるにつれて小さくなってゆく前記第2スリット部の幅の部位は、前記第1スリット部の幅よりも大きい請求項5に記載の回転電機の永久磁石埋設型回転子。
- ロータコアに形成された収容孔に永久磁石が収容されている永久磁石埋設型回転子を備えた回転電機において、
前記永久磁石埋設型回転子は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転子である回転電機。
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