JP2011199824A - ヘルムホルツ共鳴器を備えた音響装置 - Google Patents

ヘルムホルツ共鳴器を備えた音響装置 Download PDF

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Abstract

【課題】音響装置が有するヘルムホルツ共鳴器のネックL、開口面19の面積S、及びキャビティの容積Vを変えることなく、共鳴周波数を所望の周波数へと変化させる。
【解決手段】バスレフ型スピーカ10では、バスレフポート20とスピーカエンクロージャ17内のバスレフポート20及びスピーカユニット18を除いた空間21とにより、ヘルムホルツ共鳴器が形成される。バスレフ型スピーカ10のバスレフポート20は、スピーカエンクロージャ17内における当該バスレフポート20の突出方向を保ったまま、側面13に接離する方向に移動できるようになっている。この移動により、バスレフ型スピーカ10におけるネックとキャビティとの相対的な位置関係が変化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘルムホルツ共鳴器を1個または複数個ずつ備えた音響装置に関する。
バスレフ型スピーカや共鳴型吸音パネルといったヘルムホルツ共鳴器を有する音響装置の中には、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を所望の周波数に設定できるものがある。例えば、特許文献1や特許文献2には、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を決定づける3要素(ネックの開口面の面積S、ネックに連通したキャビティの容積V、ネックとキャビティの境界面からネックの開口面までの長さL(以下、ネック長L))のうちのネック長Lの調整によって共鳴周波数を設定する技術が開示されている。
特許文献1に開示されたバスレフ型スピーカでは、スピーカエンクロージャの前面に筒状のバスレフポートの開口端が固定されている。そして、スピーカエンクロージャの内部には、バスレフポートの外周を覆う筒状の補助ポートとこの補助ポートをバスレフポートの外周に沿って駆動させる駆動機構とが設けられている。このバスレフ型スピーカでは、バスレフポートと補助ポートとがヘルムホルツ共鳴器のネックの役割を果たす。
周知のように、ヘルムホルツ共鳴器におけるネックの開口面の面積S、キャビティの容積V、及びネック長Lと共鳴周波数fとの間には次式に示す関係が成り立つ。なお、次式において、cは音速、ΔLは開口端補正値(開口面の半径がrである場合、ΔL=0.85r×2)である。
f=(c/2π)(S/((L+ΔL)V))1/2…(1)
よって、この特許文献1に開示されたバスレフ型スピーカの共鳴周波数fは、補助ポートを前面側に駆動させる(Lを短くする)と高くなり、補助ポートを逆側に駆動させる(Lを長くする)と低くなる。従って、このバスレフ型スピーカの利用者は、補助ポートの駆動により、音を増強させる帯域の下限の周波数を設定することができる。
特許文献2に開示された吸音体は、上面板と底面板を4枚の側面板を介して対向させ、その上面板上に開口端を有する蛇腹状のホースを底面板に向かって延在させたものである。この吸音体では、蛇腹状のホースがヘルムホルツ共鳴器のネックの役割を果たす。この特許文献1に開示された吸音体の共鳴周波数fは、ホースを縮めると高くなり、ホースを伸ばすと低くなる。従って、この吸音体の利用者は、ホースの伸縮により、吸音させる音の周波数を設定することができる。
特開平04−159898号公報 特開2005−86590号公報
大賀寿朗、鎌倉友男、斎藤繁実、武田一哉、音響エレクトロニクス―基礎と応用、培風館、2004年5月10日 小橋豊、音と音波、裳華房、昭和50年1月25日
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された技術の場合、ネックの役割を果たす筒体を十分に伸ばせるような設計にしなければ、共鳴周波数をほとんど変化させることができないという問題があった。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、音響装置が有するヘルムホルツ共鳴器のネック長L、開口面の面積S、及びキャビティの容積Vを変えることなく、共鳴周波数を所望の周波数へと変化させるようにすることを目的とする。
本発明は、ヘルムホルツ共鳴器を備えた音響装置であって、ヘルムホルツ共鳴器のネックと前記ネックに連通するキャビティとの相対的な位置関係が変化するように構成されていることを特徴とする音響装置を提供する。この音響装置は、ヘルムホルツ共鳴器におけるネック長L、ネックの開口面の面積S、及びキャビティの容積Vが同じであっても、ネックとキャビティの相対的な位置関係が変われば共鳴周波数が変わる、という本願発明者らの研究成果によりなされたものである。本発明によると、音響装置が有するヘルムホルツ共鳴器のネック長L、開口面の面積S、キャビティの容積Vを変えずに、共鳴周波数を所望の周波数へと変化させることができる。
この音響装置において、前記キャビティの内外を各々が開口を有する2層以上のパネルによって隔て、前記各パネルの開口の重複部分を前記ネックとし、前記2層以上のパネルのうち少なくとも1つのパネルを他のパネルに沿って摺動させる摺動手段を具備してもよい。
また、この音響装置において、前記キャビティの内外を各々が開口を有する2層以上のパネルによって隔て、前記各パネルの開口の重複部分を前記ネックとし、前記2層以上のパネルのうち少なくとも1つのパネルを回転自在に支持する回転軸を具備してもよい。
また、本発明は、ネックの開口面の面積、前記ネックに連通したキャビティの容積、及び前記キャビティと前記ネックとの境界面から前記開口面までの長さを同じくした複数のヘルムホルツ共鳴器を備えた音響装置であって、前記ネックと前記キャビティとの相対的な位置関係を、前記複数のヘルムホルツ共鳴器で異ならせたことを特徴とする音響装置を提供する。
この音響装置は、次のような背景の下に案出されたものである。上述したように、特許文献2に開示された吸音体の利用者は、ホースの伸縮により、吸音させる音の周波数を設定することができる。しかし、この特許文献2に開示された技術の場合、伸縮後のホースの長さであるネック長Lと、ネックの開口面の面積S及びキャビティの容積Vとによって決まる周波数において共鳴し、複数の周波数の音を吸音させることができない。また、ネックやキャビティの形状やサイズを様々に変えた複数個のヘルムホルツ共鳴器を並べた吸音体とすれば、複数の周波数の音を吸音させることができるものの、このような吸音体は全体としての意匠上の統一感がなく見栄えが悪い。よって、吸音体などの音響装置が複数のヘルムホルツ共鳴器を有する場合において、音響装置全体としての意匠上の統一感を損なうことなく、複数の周波数において共鳴させることができるような技術的手段の提供が望まれていた。これに対し、本発明によると、音響装置全体としての意匠上の統一感を損なうことなく、複数の周波数において共鳴させることができる。
この音響装置において、ネックの内郭をキャビティ内に延長してできる面と前記キャビティの各面のうち前記ネックが連結された面と交差する面との間の最短距離を、前記複数のヘルムホルツ共鳴器で異ならせてもよい。
また、この音響装置において、ネックの内郭をキャビティ内に延長してできる面と前記キャビティの各面のうち前記ネックが連結された面と交差する面との接触面積を、前記複数のヘルムホルツ共鳴器で異ならせてもよい。
また、本発明は、ヘルムホルツ共鳴器を備えた音響装置であって、前記ヘルムホルツ共鳴器のネックが、当該ネックと連通するキャビティの各面のうち当該ネックが連結された面と交差する面である交差面と接する位置または当該交差面の近傍の位置に配置されていることを特徴とする音響装置を提供する。
この音響装置は、次のような背景の下に案出されたものである。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数fは、ネックの開口面の面積S、キャビティの容積V、及びネック長Lの3要素によって決まる。そして、前掲の式(1)に示すように、ヘルムホルツ共鳴器をより低い周波数で共鳴させるためには、開口面の面積Sを小さくするか、キャビティの容積Vやネックのネック長Lを大きくせざるを得ない。しかしながら、ヘルムホルツ共鳴器を有する音響機器の中には、このような要件を満たすような設計変更を容易に行い難いものもあった。これに対し、本発明によると、この種の音響機器の元々のネックの開口面の面積S、キャビティの容積V、またはネック長Lの設計変更を行なうことなく、所望の周波数で共鳴するようにすることができる。
また、この音響装置において、前記ヘルムホルツ共鳴器が、1つのキャビティに連通する複数のネックを有し、前記複数のネックの各々が、前記交差面に沿って分散して配置されてもよい。
本発明の第1実施形態の音響装置であるバスレフ型スピーカの正面図及び側面図である 同スピーカにおけるバスレフポートの移動を実現させる構成の一例を示す図である。 同スピーカにおけるバスレフポートの移動を実現させる構成の一例を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器a1を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器a2を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器a3を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器a4を示す図である。 ヘルムホルツ共鳴器a1〜a4の周波数応答を示す図である。 ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,及びa4のキャビティ内の音圧分布と粒子速度分布の測定方法を示す図である。 ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,及びa4のキャビティ内の音圧分布と粒子速度分布を示す図である 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b1を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b2を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b3を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b4を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b5を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b6を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b7を示す図である。 同スピーカの効果の検証に利用されたヘルムホルツ共鳴器b8を示す図である。 ヘルムホルツ共鳴器b1〜b8の周波数応答を示す図である。 ヘルムホルツ共鳴器を模擬した回路を示す図である。 ヘルムホルツ共鳴器における仮想延長面PEXと交差面PCRの間の最短距離DMINと付加質量との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態の音響装置であるスピーカの正面図、この正面図のB−B’線断面図及びC−C’線断面図である。 同スピーカのパネルの表面図である。 同スピーカにおけるネックとキャビティの位置関係の変化の様子を示す図である。 本発明の第3実施形態の音響装置であるスピーカの正面図及びこの正面図のD−D’線断面図である。 同スピーカのパネルの表面図である。 同スピーカにおけるネックとキャビティの位置関係の変化の様子を示す図である。 本発明の第4実施形態の音響装置であるスピーカの正面図及びこの正面図のE−E’線断面図である。 同スピーカのパネルの表面図である。 本発明の第5実施形態の音響装置である吸音パネルの正面図及びこの正面図のF−F’線断面図である。 本発明の第6実施形態の音響装置である吸音パネルの正面図及びこの正面図のG−G’線断面図である。 本発明の第7実施形態の音響装置であるラインアレイスピーカを示す図である。 本発明の第8実施形態の音響装置であるバスレフ型スピーカの正面図及び斜視図である。 本発明の第9実施形態の音響装置であるバスレフ型スピーカの正面図及び斜視図である。 本発明の第10実施形態の音響装置であるギターの斜面図である。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の音響装置であるバスレフ型スピーカ10の正面図と側面図である。図1に示すように、このバスレフ型スピーカ10は、前面11、後面12、及び4つの側面13,14,15,16により囲まれたスピーカエンクロージャ17の前面11にスピーカユニット18を設け、前面11に開口面19を持つ円筒状のバスレフポート20をスピーカエンクロージャ17内に突出させたものである。このバスレフ型スピーカ10では、バスレフポート20と、スピーカエンクロージャ17内におけるバスレフポート20及びスピーカユニット18を除いた空間21とにより、ヘルムホルツ共鳴器が形成される。そして、バスレフ型スピーカ10では、バスレフポート20及び空間21がヘルムホルツ共鳴器のネック及びキャビティとしての役割を果たす。この結果、スピーカユニット18が、共鳴周波数f以上の帯域の音を放音する場合、その音と同位相の音が開口面19からも放音され、共鳴周波数f以上の帯域の音が増強される。
このバスレフ型スピーカ10は、当該バスレフ型スピーカ10においてネックの役割を果たすバスレフポート20とキャビティの役割を果たす空間21との相対的な位置関係が変化するように構成されている。より具体的に説明すると、図1に示すように、バスレフ型スピーカ10のバスレフポート20は、スピーカエンクロージャ17内における当該バスレフポート20の突出方向を保ったまま、側面13に接離する方向(図1に示す矢印方向)に移動できるようになっている。
バスレフポート20を移動させる構成としては、例えば次の2つの態様がある。第1の態様では、図2に示すように、前面11におけるスピーカユニット18の上側を長方形状に刳り抜いてバスレフポート20の移動領域22を確保し、移動領域22における対向する縁23及び24の内側と開口面19の外側にレール27及び28と鍔29を設け、レール27及び28に鍔29を嵌め込む。そして、移動領域22におけるもう一対の縁25及び26の各々とバスレフポート20の開口面19との間に、縁25及び26と開口面19との間の隙間を塞ぐ伸縮性素材30及び31を貼付する。この態様によると、空間21内の容積Vを保ちつつ、バスレフポート20を移動させることができる。
第2の態様では、図3(A),図3(B),及び図3(C)に示すように、空間21内における縁25及び26の内側に縁25及び26と平行に延在するローラ301及び302を架設するとともに、縁23及び24の外側に縁23及び24に沿って延在する押さえ枠303及び304を設ける。そして、縁23,24,25,26とローラ301,302及び押さえ枠303,304とにより可撓性部材305を挟持する。より詳細に説明すると、可撓性部材305は、縁23及び24間よりも僅かに広く縁25及び26間よりも十分に長い寸法の板状をなしている。可撓性部材305は、十分な剛性を持った素材からなる。図3(B)に示すように、可撓性部材305における空間21側の面308には幅方向と平行な複数個の切り込み306が設けられている。この可撓性部材305の左右の端部は縁23及び24と押さえ枠303及び304の間に収容されている。図3(C)に示すように、可撓性部材305の左右の端部と押さえ枠303及び304との間にできる僅かな隙間は、当該端部と押さえ枠303及び304の間に介挿されている板ばね307により塞がれている。この板ばね307の付勢力により、可撓性部材305の左右の端部は縁23及び24側に押し付けられている。また、可撓性部材305の上下の端部は、縁25及び26とローラ301及び302の間の隙間に挿入されている。そして、図3(A)に示すように、可撓性部材305における空間21側の面308のほぼ中央にはバスレフポート20が接合され、バスレフスピーカ20の開口面19は可撓性部材305を貫いて外側の面309に露出している。この態様によっても、空間21内の容積Vを保ちつつ、バスレフポート20を移動させることができる。
以上説明したように、本実施形態のバスレフ型スピーカ10は、当該バスレフ型スピーカ10においてネックの役割を果たすバスレフポート20とキャビティの役割を果たす空間21との相対的な位置関係が変化するように構成されている。これにより、ネック長L、ネックの開口面の面積S、または、キャビティの容積Vを変えるような構成を取ることなく、共鳴周波数fを所望の周波数へと変化させることができる。本願発明者は、本実施形態の効果を確認するため、以下の3つの検証を行った。
第1の検証では、本願発明者は、ヘルムホルツ共鳴器におけるキャビティの形状CCAV、キャビティの容積V、ネックの形状CNEC、ネックの開口面の面積S、及びネック長Lを同じくし、ネックの位置Pを様々に変えて周波数応答を求めた。より具体的には、形状CCAV、容積V、形状CNEC、面積S、ネック長L、及び位置Pを表1のようにしたものをヘルムホルツ共鳴器a1,a2,a3,a4(図4,図5,図6,図7参照)とした。そして、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,a3,a4の前方1mの位置を音源とし、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,a3,a4のネック内の重心の位置を観測点とした。その上で、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,a3,a4の各々について、音源において発生した音を観測点において測定した場合における周波数応答をシミュレーションにより計算した。図8に示すグラフa1,a2,a3,a4は、この周波数応答を示すものである。
Figure 2011199824
第2の検証では、本願発明者は、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,及びa4の共鳴時におけるキャビティ内の音圧分布と粒子速度分布を求めた。より具体的に説明すると、本願発明者は、図9に示すように、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,及びa4の各々(図9は、ヘルムホルツ共鳴器a1の場合を示す)と同寸法のアクリル樹脂製レゾネータを作成した。そして、本願発明者は、3種類のレゾネータのキャビティにおけるネックと反対側の面(基準面X1という)からネック側に1.0m離れた位置にスピーカSPを置いてランダムノイズを放射し、基準面X1からキャビティ側に距離xだけ離れた各測定点の音圧Pと粒子速度Vを音圧粒子速度プローブProにより測定した。その上で、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,及びa4の各々における距離x=0の測定点の音圧Pで距離x>0の各測定点の音圧Pを除算した比P/Pと、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,及びa4の各々における距離x=0の測定点の粒子速度Vでx>0の各測定点の粒子速度Vを除算した比V/Vを求めた。図10に示すグラフは、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,及びa4の各々における基準面X1からの距離xと比P/P及び比V/Vの関係を示すものである。
第3の検証では、本願発明者は、ヘルムホルツ共鳴器におけるキャビティの容積V、ネックの形状CNEC、ネックの開口面の面積S、及びネック長Lを同じくし、キャビティの形状CCAVとネックの位置Pを様々に変えて周波数応答を求めた。より具体的には、形状CCAV、容積V、形状CNEC、面積S、ネック長L、及び位置Pを下記表2のようにしたものをヘルムホルツ共鳴器b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7,b8(図11,図12,図13,図14,図15,図16,図17,図18参照)とした。そして、ヘルムホルツ共鳴器b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7,b8の前方1mの位置を音源とし、ヘルムホルツ共鳴器b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7,b8のネック内の重心の位置を観測点とした。その上で、ヘルムホルツ共鳴器b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7,b8の各々について、音源において発生した音を観測点において測定した場合における周波数応答をシミュレーションにより計算した。図19に示すグラフb1,b2,b3,b4,b5,b6,b7,b8は、この周波数応答を示すものである。
Figure 2011199824
図4〜図7及び図11〜図18に示すように、ヘルムホルツ共鳴器a1〜a4及びb1〜b8はいずれも、柱体状のキャビティの一方の底面上にネックを連結したものである。そして、キャビティとネックの相対的な位置関係はヘルムホルツ共鳴器によって様々である。第1〜第3の検証の結果から、ヘルムホルツ共鳴器におけるキャビティとネックの相対的な位置関係と共鳴周波数fとの間には、次のような関係があることが分かる。
(1)図4,図5,図7に示すように、ヘルムホルツ共鳴器a1,a2,a4では、ネックの内郭をキャビティに向かって延長してできる面(以下、仮想延長面PEXという)とキャビティの各面のうちネックが連結された面と交差する面(以下、交差面PCRという)との間の最短距離DMINの大小関係は、ヘルムホルツ共鳴器a1>ヘルムホルツ共鳴器a2>ヘルムホルツ共鳴器a4となっている。これに対し、図8が示すヘルムホルツ共鳴器a1,a2,a4の周波数応答のピークの周波数の大小関係は、ヘルムホルツ共鳴器a1(182Hz)>ヘルムホルツ共鳴器a2(178Hz)>ヘルムホルツ共鳴器a4(167Hz)となっている。以上のことから、仮想延長面PEXと交差面PCRが接していない場合(DMIN>0の場合)、仮想延長面PEXと交差面PCRの間の最短距離DMINが短いほど共鳴周波数fが低くなることが分かる。
(2)図4〜図7に示すように、ヘルムホルツ共鳴器a1及びa2における仮想延長面PEXと交差面PCRの間の最短距離DMINは0より大きく、ヘルムホルツ共鳴器a3及びa4における最短距離DMINは0である。つまり、ヘルムホルツ共鳴器a1及びa2では、仮想延長面PEXと交差面PCRが離れており、ヘルムホルツ共鳴器a3及びa4では、仮想延長面PEXと交差面PCRが接している。そして、ヘルムホルツ共鳴器a3よりもヘルムホルツ共鳴器a4の方が、仮想延長面PEXと交差面PCRの接触面積ARが大きくなっている。これに対し、図8のグラフが示すヘルムホルツ共鳴器a4の周波数応答のピーク(167Hz)は、同図のグラフが示すヘルムホルツ共鳴器a3の周波数応答のピーク(175Hz)よりも低くなっている。
また、図10におけるヘルムホルツ共鳴器a1,a2,a4のネックの近傍(基準面X1からの距離xが0.2になる位置の近傍)における粒子速度Vに着目すると、ネックの近傍における粒子速度Vが所定値以上である領域の大きさの大小関係は、ヘルムホルツ共鳴器a4>ヘルムホルツ共鳴器a2>ヘルムホルツ共鳴器a1となっている。
また、図11〜図18に示すように、ヘルムホルツ共鳴器b1〜b8では、仮想延長面PEXと交差面PCRが接している(DMIN=0)。そして、ヘルムホルツ共鳴器b1〜b8における仮想延長面PEXと交差面PCRの接触面積ARの大小関係は、ヘルムホルツ共鳴器b8>ヘルムホルツ共鳴器b3>ヘルムホルツ共鳴器b2>ヘルムホルツ共鳴器b6>ヘルムホルツ共鳴器b5>ヘルムホルツ共鳴器b4>ヘルムホルツ共鳴器b7>ヘルムホルツ共鳴器b1となっている。これに対し、図19が示すヘルムホルツ共鳴器b1〜b8の周波数応答のピークの周波数の大小関係は、ヘルムホルツ共鳴器b8(143Hz)<ヘルムホルツ共鳴器b3(149Hz)<ヘルムホルツ共鳴器b2(151Hz)<ヘルムホルツ共鳴器b6(153Hz)<ヘルムホルツ共鳴器b5(157Hz)<ヘルムホルツ共鳴器b4(167Hz)<ヘルムホルツ共鳴器b7(168Hz)<ヘルムホルツ共鳴器b1(172Hz)となっている。
以上のことから、仮想延長面PEXと交差面PCRが接している場合(DMIN=0の場合)、仮想延長面PEXと交差面PCRの接触面積ARが大きいほど共鳴周波数fが低くなることが分かる。
ここで、本願発明者は、図8,図10,及び図19から分かる最短距離DMIN及び接触面積ARと共鳴周波数fの関係を別の観点から確認すべく、次のような計算を行った。音響学の分野では、壁に囲まれた閉空間の音響インピーダンスZaをその空間を模擬した回路のインピーダンスとして計算することが行われている(詳しくは、非特許文献1(75ページ〜89ページ)及び非特許文献2(114ページ〜119ページ)を参照)。図20に示すように、ヘルムホルツ共鳴器のキャビティ内におけるネックと反対側の底面X2の音圧をPとし、粒子速度をVとし、キャビティの空気ばねのやわらかさに相当するパラメータ(音響コンプライアンス)をCaとし、ネック内の空気の質量に相当するパラメータ(音響質量)をLaとし、前記音響質量とともに共振するネック両側の空気の質量に相当するパラメータ(音響付加質量)をα1及びα2とし、ネック内の音響抵抗に相当するパラメータをRnとし、放射抵抗に相当するパラメータをRrとした場合、このヘルムホルツ共鳴器は、容量Caと、コイルα1,コイルLa,抵抗Rn,コイルα2,及び抵抗Rrとを電源Pに対して並列に接続した回路とみなすことができる。
この回路において、底面X2の振動周波数が十分に低い領域では、容量Caが開放状態であるとみなし得る。このため、ヘルムホルツ共鳴器の音響インピーダンスZaは次式(2)で近似できる。
Za=Rn+Rr+j2πf(α1+La+α2)…(2)
この式(2)における音響インピーダンスZaは、底面X2の粒子速度Vと底面X2の面積Sの積である体積速度Qによって音圧Pを除算した値と等しくなる。よって、前掲の式(2)は、次式(3)により表すことができる。
P/Q=Rn+Rr+j2πf(α1+La+α2)…(3)
この式(3)の虚部だけに着目すると、次式(4)に単純化できる。
Im(P/Q)=j2πf(α1+La+α2)…(4)
この式(4)におけるパラメータLaは、ネック内の体積とネック内の空気密度により決まる値である。そこで、底面X2における粒子速度Vの実測値と音圧Pの実測値から音響付加質量α1+α2を次のようにして求めることができる。まず、底面X2における粒子速度Vの実測値に底面X2の面積Sを乗算することにより体積速度Q(位相を考慮した複素数表現)を求め、この体積速度Qで音圧P(位相を考慮した複素数表現)の実測値を除算した値の虚部Im(P/Q)を求める。次に、虚部Im(P/Q)を2πfで除算して、前掲式(4)のα1+La+α2を求める。そして、ネック内の体積とネック内の空気密度により決まるLaをα1+La+α2から差し引き、音響付加質量α1+α2を求める。
以上のことを踏まえ、本願発明者は、図4に示すヘルムホルツ共鳴器a1におけるネックを当該ネックが接続された面の重心の位置から4隅の1つ(例えば、図7に示すヘルムホルツ共鳴器a4に示すネックの位置)に向かって僅かずつ移動させたものをヘルムホルツ共鳴器a1−1,a1−2…a1−Nとし、音源の周波数を充分に低くして、ヘルムホルツ共鳴器a1,a1−1,a1−2…a1−Nの底面X2(キャビティ内におけるネックと反対側の面)の音圧P及び粒子速度Vを個別に測定した。そして、これらの測定値と前掲の式(4)とからヘルムホルツ共鳴器a1,a1−1,a1−2…a1−N毎の音響付加質量α1及びα2の和を計算した。同様に、本願発明者は、図11に示すヘルムホルツ共鳴器b1におけるネックを当該ネックが接続された面の重心の位置にしたものをヘルムホルツ共鳴器b1−0とし、ネックを当該ネックが接続された面の重心からその面の内周に向かって僅かずつ移動させたものをヘルムホルツ共鳴器b1−1,b1−2…b1−Mとし、音源の周波数を充分に低くして、ヘルムホルツ共鳴器b1−0,b1−1,b1−2…b1−Mの底面X2(キャビティ内におけるネックと反対側の面)の音圧P及び粒子速度Vを個別に測定した。そして、これらの測定値と前掲の式(4)とからヘルムホルツ共鳴器b1−0,b1−1,b1−2…b1−M毎の音響付加質量α1及びα2の和を計算した。
図21に示すグラフaは、ヘルムホルツ共鳴器a1の最短距離DMINでヘルムホルツ共鳴器a1−1,a1−2…a1−Nの各々の最短距離MINを除算した比DMIN−Ratio(0≦DMIN−Ratio≦1)と、ヘルムホルツ共鳴器a1における音響付加質量α1+α2でヘルムホルツ共鳴器a1−1,a1−2…a1−Nの各々における音響付加質量α1+α2を除算した比α−Ratioとの対応関係を示すものである。また、図21に示すグラフbは、ヘルムホルツ共鳴器b1−0の最短距離DMINでヘルムホルツ共鳴器b1−1,b1−2…b1−Mの各々の最短距離MINを除算した比DMIN−Ratio(0≦DMIN−Ratio≦1)と、ヘルムホルツ共鳴器b1−0における音響付加質量α1+α2でヘルムホルツ共鳴器b1−1,b1−2…b1−Nの各々における音響付加質量α1+α2を除算した比α−Ratioとの対応関係を示すものである。
図21のグラフaに示すように、ヘルムホルツ共鳴器a1における音響付加質量α1+α2は最短距離DMINが短くなるほど大きくなっている。また、図21のグラフbに示すように、ヘルムホルツ共鳴器b1における音響付加質量α1+α2は最短距離DMINが短くなるほど大きくなっている。このことからも、ヘルムホルツ共鳴器の仮想延長面PEXと交差面PCRの間の最短距離DMINが短いほど共鳴周波数fが低くなることが分かる。また、グラフaとグラフbとを比較すると、グラフbよりもグラフaの方が、ネックを中心から壁面に向かって移動させたときの音響付加質量α1+α2の増加量が大きい。ヘルムホルツ共鳴器a1とヘルムホルツ共鳴器b1は、キャビティの容積V,ネックの開口面の面積S、及びネック長Lは同じで(表1及び表2)、キャビティの形状のみが違っている(図4及び図11)。このことから、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数fはキャビティそのものの形状にも依存していることが分かる。
<第2実施形態>
図22(A)は、本発明の第2実施形態の音響装置であるスピーカ40の正面図である。図22(B)は、図22(A)に示すスピーカ40のB−B’線断面図である。図22(C)は、図22(A)に示すスピーカ40のC−C’線断面図である。このスピーカ40は、携帯電話機などの可搬型端末に組み込まれ、同端末の制御部が発生した音信号を音として出力する。図22(A)、図22(B)、及び図22(C)に示すように、このスピーカ40は、一端面が開放された箱状の筺体41内にスピーカユニット42の背部を固定し、筺体41の内外を2層のパネル43及び44により隔てたものである。
図23は、パネル43及び44の表面図である。パネル43の幅及び厚さはパネル44の幅及び厚さと同じである。パネル44の長さはパネル43の長さよりも長くなっている。パネル43の表面45の中心、及び表面45における長辺50と短辺53及び54の各々が交差する隅の内側近傍の各位置には、パネル43の表面45と裏面46の間を貫く3つの開口55,56,及び57が設けられている。3つの開口55〜57のうち開口56及び57は正方形状をなしており、開口55は開口56をパネル43の幅方向に3つ分繋げたものと同寸法の長方形状をなしている。開口56と開口57は距離D1だけ離れている。
パネル44の表面47における中心から開口56と同じ幅だけ短辺61側、長辺58側、及び長辺59側の各位置には、表面47と裏面48の間を貫く開口62,63,及び64が設けられている。また、この表面47における長辺58と短辺60が交わる隅の内側近傍とその隅から距離D1だけ短辺61側の各位置には、表面47と裏面48の間を貫く開口65及び66が設けられている。これら5つの開口62〜66は開口56と同寸法の正方形状をなしている。
図22(B)及び図22(C)において、パネル43の裏面46は、筺体41の開放された面を覆うようにして筺体41に固定されている。また、パネル43の側端部には、ガイド部材67及び68が設けられている。両ガイド部材67及び68の内側には、パネル44の側端部が嵌め込まれている。ガイド部材67及び68は、パネル43の表面45上にパネル44を支持するとともに、パネル44をパネル43に沿って摺動させる摺動手段としての役割を果たす。
このスピーカ40では、パネル43の開口55〜57とパネル44の開口62〜66の重複部分OV(図22(A),図22(B),図22(C)の例では開口55と開口63及び64の重複部分)と、筺体41内のスピーカユニット42を除いた空間69とにより、ヘルムホルツ共鳴器が形成される。そして、スピーカ40では、重複部分OV及び空間69がヘルムホルツ共鳴器におけるネック及びキャビティとしての役割を果たす。この結果、スピーカユニット42が、ヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数fの音を放音する場合、その音が増強される。
このスピーカ40は、当該スピーカ40においてネックの役割を果たす重複部分OVとキャビティの役割を果たす空間69との相対的な位置関係が変化するように構成されている。より具体的に説明すると、図24(A)に示すように、パネル44を開口1つ分だけ短辺60側に摺動させた場合、開口55と開口63及び64の重複部分OVが無くなり、開口55と開口62の重複部分OVが現れる。また、図24(B)に示すように、パネル44を開口1つ分だけ短辺61側に摺動させた場合、開口55と開口63及び64の重複部分OVが無くなり、開口56及び57と開口65及び66の重複部分OVが現れる。つまり、このスピーカ40では、パネル44を摺動させると、上述した最短距離DMINが変化する。よって、本実施形態によると、パネル44の摺動を通じて共鳴周波数fを簡単に調整することができる。
<第3実施形態>
図25(A)は、本発明の第3実施形態の音響装置であるスピーカ70の正面図である。図25(B)は、図25(A)に示すスピーカ70のD−D’線断面図である。このスピーカ70は、一端面が開放された箱状の筺体71内にスピーカユニット72の背部を固定し、筺体71の内外を2層のパネル73及び74により隔てたものである。
図26は、パネル73及び74の表面図である。パネル73の表面75及び裏面76は正方形状になっている。また、パネル74の表面77及び裏面78は真円状になっている。パネル73の表面75及び裏面76の一辺とパネル74の表面77及び裏面78の直径の長さは同じである。パネル73には、パネル73の表面75と裏面76の間を貫く環状の開口80が設けられている。パネル74の外周の内側近傍には、パネル74の表面77と裏面78の間を貫く真円状の開口81が設けられている。開口81の直径の長さは開口80の幅よりも僅かに小さくなっている。パネル73の開口80の外周は、パネル73の表面75及び裏面76の4辺に接している。
図25(A)及び図25(B)において、パネル73の裏面76は、筺体71の開放された面を覆うようにして筺体71に固定されている。また、図26に示すように、パネル74の中心には孔82が穿設されている。パネル74の孔82には軸83が挿通されている。そして、この軸83は、パネル73の表面75の中心に固定されている。この軸83は、パネル74をパネル73に対して回転自在に支持する回転軸としての役割を果たす。
このスピーカ70では、スピーカ40(第2実施形態)と同様に、開口80及び81の重複部分OVと、筺体71内におけるスピーカユニット72を除いた空間84とにより、ヘルムホルツ共鳴器が形成される。そして、このスピーカ70は、当該スピーカ70においてヘルムホルツ共鳴器のネックの役割を果たす重複部分OVとキャビティの役割を果たす空間84との相対的な位置関係が変化するように構成されている。より具体的に説明すると、図27(A)に示すように、パネル74を時計回りに45度回転させると、ネックを構成する重複部分OVが筺体71の内郭をなす面から遠ざかる。そして、図27(B)示すように、パネル74をさらに時計回りに45度回転させると、ネックを構成する重複部分OVが筺体71の内郭をなす面に近づく。つまり、このスピーカ70では、パネル74を回転させると、上述した最短距離DMINが変化する。よって、本実施形態によると、パネル74の回転を通じて共鳴周波数fを簡単に調整することができる。
<第4実施形態>
図28(A)は、本発明の第3実施形態の音響装置であるスピーカ90の正面図である。図28(B)は、図28(A)に示すスピーカ90のE−E’線断面図である。このスピーカ90は、スピーカ70(第3実施形態)のパネル43及び44を、パネル93及び94によって置き換えたものである。図28(A)及び図28(B)において、図25(A)及び図25(B)に示すものと同じ要素には同じ符号を付し、再度の説明を割愛する。
図29は、パネル93及び94の表面図である。パネル93には、パネル93の表面95と裏面96の間を貫く4つの開口100,101,102,及び103が設けられている。パネル94には、パネル94の表面97と裏面98の間を貫く4つの開口104,105,106,及び107が設けられている。パネル93の開口100〜103は四半環状をなしている。パネル94の開口104〜107は真円状をなしている。開口104〜107の直径の長さは開口100〜103の幅よりも僅かに小さくなっている。パネル93における4つの開口100〜103の大きさの大小関係は、開口100>開口101>開口102>開口103となっている。
パネル93における4つの開口100〜103は、次のようなレイアウトを持って配置されている。まず、開口100の外周108は、パネル93の表面95及び裏面96における4隅の1つを挟む2辺に接している。また、開口100の内周109をパネル93の中心を回転軸として時計回りに90度回転させたものが開口101の外周110となる。そして、開口101の内周111を同様に90度回転させたものが開口102の外周112となる。さらに、開口102の内周113を同様に90度回転させたものが開口103の外周114となる。パネル94における4つの開口104〜107は、パネル94の中心から外周に向かって等間隔に並ぶようなレイアウトを持って配置されている。このスピーカ90でも、スピーカ70(第3実施形態)と同様に、パネル94を回転させると、上述した最短距離DMINが変化する。よって、本実施形態によると、パネル94の回転を通じて共鳴周波数fを簡単に調整することができる。
<第5実施形態>
図30(A)は、本発明の第5実施形態の音響装置である吸音パネル120の正面図である。図30(B)は、図30(A)に示す吸音パネル120のF−F’線断面図である。吸音パネル120は、孔121−i(i=1〜5)を有する厚板122とこれより薄い薄板123の端部間に側面板124,125,126,及び127を介在させ、板122及び123の延在方向に対向する板126及び127間に仕切板128,129,130,及び131を等間隔で配したものである。仕切板128〜131により、板122〜127に囲まれた空気層は同じ容積Vを持った空間132−i(i=1〜5)に仕切られている。厚板122における各孔121−iの開口面133−iは真円状をなしている。開口面133−i(i=1〜5)の面積Sは同じである。孔121−iは空間132−iと連通している。そして、孔121−i(i=1〜5)における各孔121−iと空間132−iとの境界面134−iから開口面133−iまでの長さLは同じである。
この吸音パネル120では、孔121−i(i=1〜5)と空間132−i(i=1〜5)とにより第1〜第5のヘルムホルツ共鳴器135−i(i=1〜5)が形成される。そして、孔121−i(i=1〜5)及び空間132−i(i=1〜5)がヘルムホルツ共鳴器135−i(i=1〜5)におけるネック及びキャビティとしての役割を果たす。この結果、ヘルムホルツ共鳴器135−i(i=1〜5)の共鳴周波数fの音が孔121−i(i=1〜5)内に入射した場合、その音の音響エネルギーが孔121−i(i=1〜5)内における空気の振動エネルギーに変換され、共鳴周波数fの音が吸音される。
この吸音パネル120では、ネックの役割を果たす孔121−iとキャビティの役割を果たす空間132−iとの相対的な位置関係が、ヘルムホルツ共鳴器135−i毎に異なっている。より具体的に説明すると、ヘルムホルツ共鳴器135−1,135−2,及び135−3では、孔121−iの内郭を空間132−i内に延長した仮想延長面PEXが交差面PCR(図30(A)の例では、板124〜130)から離れている(DMIN>0)。そして、仮想延長面PEXと交差面PCRとの間の最短距離DMINの大小関係は、ヘルムホルツ共鳴器135−1>ヘルムホルツ共鳴器135−2>ヘルムホルツ共鳴器135−3となっている。
これに対し、ヘルムホルツ共鳴器135−4及び135−5では、仮想延長面PEXが交差面PCR(図30(A)の例では、板125,126)と接している(DMIN=0)。そして、ヘルムホルツ共鳴器135−5における仮想延長面PEXと交差面PCR(板125及び126)の接触面積ARは、ヘルムホルツ共鳴器135−4における仮想延長面PEXと交差面PCR(板125のみ)の接触面積ARよりも大きくなっている。よって、この吸音パネル120におけるヘルムホルツ共鳴器135−i(i=1〜5)は、周波数f,f,f,f,f(f>f>f>f>f)において共鳴する。従って、この吸音パネル120によると、広帯域の音を吸音することができる。また、ヘルムホルツ共鳴器135−i(i=1〜5)をなすネック及びキャビティの形状及びサイズが揃っているため、吸音パネル120全体としての意匠上の統一感を看者に与えることができる。
<第6実施形態>
図31(A)は、本発明の第6実施形態の音響装置である吸音パネル140の正面図である。図31(B)は、図31(A)に示す吸音パネル140のG−G’線断面図である。吸音パネル140では、孔141−k(k=1〜11)を有する厚板142とこれより薄い薄板143の端部間に側面板144,145,146,及び147が介在している。そして、板142〜147に囲まれた空気層は、3枚の円筒板148,149,及び150と8枚の仕切板155−j(j=1〜8)とにより、同じ容積Vを持った空間157−k(k=1〜11)に仕切られており、各空間157−kが孔141−kを介して外部と連通している。
より具体的に説明すると、図31(A)に示すように、側面板144及び145間の真中を通る線上には円筒板148,149,及び150が並べて配されている。円筒板148の外周面は円筒板149の外周面と接している。また、円筒板149の外周面は円筒板150の外周面と接している。円筒板148の外周面と側面板147の間には仕切板155−1があり、円筒板148の外周面と側面板144及び145の各々との間には仕切板155−2及び155−3がある。円筒板149の外周面と側面板144及び145の各々との間には仕切板155−4及び155−5がある。円筒板150の外周面と側面板144及び145の各々との間には仕切板155−6及び155−7があり、円筒板150の外周面と側面板146の間には仕切板155−8がある。この音響パネル140によっても、広帯域の音を吸音することができる。
<第7実施形態>
図32は、本発明の第7実施形態の音響装置であるラインアレイスピーカ160の斜視図である。このラインアレイスピーカ160は6個のバスレフ型スピーカ161−m(m=1〜6)を上下方向に連結したものである。各バスレフ型スピーカ161−mは、箱状のスピーカエンクロージャ162−mの前面163−mにスピーカユニット164−mを設けるとともに、前面163−mからスピーカエンクロージャ162−m内に向かって2つのバスレフポート165U−m及び165L−mを突出させたものである。
バスレフポート165U−m及び165L−mは円筒状をなしており、各々の一端側にある円状の開口面166U−m及び166L−mは前面163−mの外側に露出している。開口面166U−m及び166L−mの面積S、バスレフポート165U−m及び165L−mの長さL、及びスピーカエンクロージャ162−m内におけるスピーカユニット164−mとバスレフポート165U−m及び165L−mとを除いた空間167−mの容積Vは、バスレフ型スピーカ161−m(m=1〜6)の全てについて同じである。
このラインアレイスピーカ160における各バスレフ型スピーカ161−mでは、バスレフポート165U−m及び165L−mと空間167−mとによりヘルムホルツ共鳴器が形成される。そして、バスレフポート165U−m,165L−m及び空間167−mがヘルムホルツ共鳴器のネック及びキャビティとしての役割を果たす。このラインアレイスピーカ160では、バスレフポート165U−m及び165L−mと空間167−mとの相対的な位置関係が、バスレフ型スピーカ161−m毎に異なっている。より具体的に説明すると、ラインアレイスピーカ160では、前面163−mに露出している2つの開口面166U−m及び166L−m間の間隔や2つの開口面166U−m及び166L−mの各々と空間167−mの内壁との間隔が、バスレフ型スピーカ161−m毎に異なっている。よって、本実施形態によると、低域から高域までの様々な帯域の音を増強することができる。
<第8実施形態>
図33は、本発明の第8実施形態の音響装置であるバスレフ型スピーカ170の正面図と側面図である。図33に示すように、このバスレフ型スピーカ170は、スピーカエンクロージャ171を半卵状とし、スピーカエンクロージャ171における楕円状の前面172の中央にスピーカユニット173を設けるとともに、前面172からスピーカエンクロージャ171内に向かって2つのバスレフポート174L及び174Rを突出させたものである。
バスレフポート174L及び174Rは円筒状をなしており、各々の一端側にある円状の開口面175L及び175Rは前面172の外側に露出している。このバスレフ型スピーカ170では、バスレフポート174L及び174Rとスピーカエンクロージャ171内におけるスピーカユニット173とバスレフポート174L及び174Rとを除いた空間176とによりヘルムホルツ共鳴器が形成される。そして、バスレフポート174L,174R及び空間176がヘルムホルツ共鳴器のネック及びキャビティとしての役割を果たす。
このバスレフ型スピーカ170では、2つのバスレフポート174L及び174Rが、スピーカエンクロージャ171における前面172と交差する面である側面177と接する位置に分散して配置されている。より具体的に説明すると、スピーカエンクロージャ171では、楕円状の前面172の中心から見て長軸方向の両側に、バスレフポート174L及び174Rの開口面175L及び175Rがあり、前面172の内周における長軸方向の両側の部分と開口面175L及び175Rとが各々接している。バスレフポート174L及び174Rは、この開口面175L及び175Rから側面177に沿って延在している。よって、このバスレフ型スピーカ170によると、バスレフポート174L及び174Rの内郭を空間176内に延長してできる面を仮想延長面PEXとし、スピーカエンクロージャ171の側面177を交差面PCRとした場合に、仮想延長面PEXと交差面PCRとの間の最短距離DMINが0になる。従って、本実施形態によると、スピーカエンクロージャの前面の中央寄りの位置にバスレフポートがある同種のバスレフ型スピーカに僅かな設計変更を施して、より低い周波数の音を増強できるバスレフ型スピーカ170を得ることができる。
<第9実施形態>
図34は、本発明の第9実施形態の音響装置であるバスレフ型スピーカ180の正面図と側面図である。図34に示すように、このバスレフ型スピーカ180は、スピーカエンクロージャ181を十二角柱状とし、スピーカエンクロージャ181における十二角形状の前面182の中央にスピーカユニット183を設けるとともに、この前面182からスピーカエンクロージャ181内に向かって2つのバスレフポート184L及び184Rを突出させたものである。
バスレフポート184L及び184Rは円筒状をなしており、各々の一端側にある円状の開口面185L及び185Rは前面182の外側に露出している。このバスレフ型スピーカ180では、バスレフポート184L及び184Rとスピーカエンクロージャ181内におけるスピーカユニット183とバスレフポート184L及び184Rとを除いた空間186とによりヘルムホルツ共鳴器が形成される。そして、バスレフポート184L,184R及び空間186は、ヘルムホルツ共鳴器のネック及びキャビティとしての役割を果たす。
このバスレフ型スピーカ180では、2つのバスレフポートが、スピーカエンクロージャ181における前面182と交差する面である側面と接する位置に分散して配置されている。より具体的に説明すると、バスレフポート184Lの開口面185Lは、スピーカユニット183を挟んで左右方向に対向する2つの側面187及び188のうち左側の側面187と、この側面187の両隣りの側面189及び190の3面に接している。また、バスレフポート184Rの開口面185Rは、側面188と、この側面188の両隣りの側面191及び192の3面に接している。バスレフポート184Lは、開口面185Lから側面187,189,及び190に沿って延在しており、バスレフポート184Rは、開口面185Rから側面188,191,及び192に沿って延在している。よって、このバスレフ型スピーカ180によると、バスレフポート184L及び184Rの内郭を空間186内に延長してできる面を仮想延長面PEXとし、スピーカエンクロージャ181の側面187〜192を交差面PCRとした場合に、仮想延長面PEXと交差面PCRとの間の最短距離DMINが0になる。従って、本実施形態によると、スピーカエンクロージャの前面の中央寄りの位置にバスレフポートがある同種のバスレフ型スピーカに僅かな設計変更を施して、より低い周波数の音を増強できるバスレフ型スピーカ180を得ることできる。
<第10実施形態>
図35は、本発明の第10実施形態の音響装置であるギター200の斜視図である。ギター200は、周面板201に表面板202及び裏面板(不図示)を張り合わせたものを胴203とし、この胴203に棹204を連結し、棹204の先端のネック205と胴203の表面板202上のブリッジ206との間に弦207を張設したものである。このギター200の表面板202における周面板201の近傍には9つのサウンドホール208−1〜208−9が穿設されており、これらのサウンドホール208−1〜208−9は胴203内の空間209と連通している。このギター200では、サウンドホール208−1〜208−9と空間209とによりヘルムホルツ共鳴器が形成される。そして、サウンドホール208−1〜208−9及び空間209がヘルムホルツ共鳴器のネック及びキャビティとしての役割を果たす。この結果、ヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数fの音が弦207の撥弦によって発生した場合、サウンドホール208−1〜208−9からその共鳴周波数fの音が放射され、共鳴周波数fの音が増強される。
このギター200では、9つのサウンドホール208−1〜208−9が、胴203における表面板202と交差する周面板201の近傍の位置に分散して配置されている。より具体的に説明すると、サウンドホール208−1〜208−9の各々は、表面板2021における周面板201が張り合わされている部位よりも僅かに内側にある。サウンドホール208−1〜208−9の各々は、細長い短冊状をなしており、各々の外側の周面板201の形状に合わせて湾曲している。このギター200によると、サウンドホール208−1〜208−9の内郭を胴203内に延長してできる面を仮想延長面PEXとし、胴203の内周壁を交差面PCRとした場合に、仮想延長面PEXと交差面PCRとの間の最短距離DMINが0よりも僅かだけ大きな値になる。従って、本実施形態によると、胴の表面板の中央にサウンドホールがある同種のギターの胴やこの胴に連結された棹を利用して、より低い周波数の音を増強するギター200を得ることができる。
<他の実施形態>
以上、この発明の実施形態を説明したが、この発明には、他にも各種の実施形態が考えられる。例えば、以下の通りである。
(1)上記第1〜第10実施形態は、本発明を、バスレフ型スピーカ、可搬型端末に搭載される小型のスピーカ、吸音パネル、ラインアレイスピーカ、及びギターに適用したものであった。しかし、これら以外の音響装置に本発明を適用してもよい。
(2)上記第1〜第10実施形態において、交差面PCRは、ネックが連結されている面に対して直交している面である必要はない。キャビティの各面のうちネックが連結されている面に対して鋭角に交差している面を交差面PCRとしてもよいし、ネックが連結されている面に対して鈍角に交差している面を交差面PCRとしてもよい。
(3)上記第3及び第4実施形態において、パネル74及び94は、軸82により、パネル73及び93に対して回転自在に支持されていた。しかし、パネル73及び93をパネル74及び94に対して回転自在に支持する構成としてもよい。また、第3実施形態において、パネル73及び74の両方を軸83により回転自在に支持する構成にしてもよい。第4実施形態においても同様に、パネル93及び94の両方を軸83により回転自在に支持する構成にしてもよい。
(4)上記第5実施形態において、2個〜4個のヘルムホルツ共鳴器からなる吸音パネルに本発明を適用してもよいし、6個以上のヘルムホルツ共鳴器からなる吸音パネルに本発明を適用してもよい。
(5)上記第8及び第9実施形態において、バスレスポート174及び184の数を1つにしてもよいし、3つ以上にしてもよい。
(6)上記第10実施形態において、サウンドホール208の数を1〜8個としてもよいし、10個以上としてもよい。また、サウンドホールを細長い短冊状の形状と異なる形状にしてもよい。
(7)上記第8実施形態において、バスレフ型スピーカ170におけるバスレフポート174の数を1つとし、このバスレスポート174を側面177から僅かに離れた位置に設けたバスレフ型スピーカ170’を構成してもよい。この場合において、バスレフ型スピーカ170’のバスレフポート174と側面177との間の距離は、当該バスレス型スピーカ170’におけるバスレフポート174の内郭を空間176に延長してできる面(仮想延長面PEX)と側面177(交差面PCR)との間の最短距離DMIN−170’とバスレフポート174を前面172の中心に配したバスレフ型スピーカ170−Centerにおける最短距離DMIN−Centerの比DMIN−Ratio(DMIN−Ratio=DMIN−170’/DMIN−Center)が0.1以下となるような距離にするとよい。DMIN−Ratioが0.1以下となるような構成とすることにより、図21における音響付加質量比α−Ratioが1.10以上となり、バスレフ型スピーカ170’における共鳴周波数を充分有意に低域側に下げることができる。また、上記第9実施形態において、バスレフ型スピーカ180におけるバスレフポート184の数を1つとし、このバスレスポート184を側面から僅かに離した位置に設けたバスレフ型スピーカ180’を構成してもよい。この場合において、バスレフ型スピーカ180’のバスレフポート184と側面との間の距離は、当該バスレス型スピーカ180’におけるバスレフポート184の内郭を空間186に延長してできる面(仮想延長面PEX)と側面(交差面PCR)との間の最短距離DMIN−180’とバスレフポート184を前面182の中心に配したバスレフ型スピーカ180−Centerにおける最短距離DMIN−Centerの比DMIN−Ratio(DMIN−Ratio=DMIN−180’/DMIN−Center)が0.1以下となるような距離にするとよい。
(8)上記第2実施形態の音響装置であるスピーカ40では、ヘルムホルツ共鳴器のキャビティの役割を果たす筐体41の内外が、開口を有する2層のパネル43及び44によって隔てられていた。そして、スピーカ40は、パネル44をパネル43に沿って摺動させる摺動手段であるガイド部材67及び68を具備していた。しかし、筐体41の内外を隔てるパネルの層の数は2層である必要はなく、3層以上であってもよい。例えば、筐体41の内外を、各々が開口を有する3層のパネル43’43、及び44によって隔ててもよい。この場合において、パネル43’の開口、パネル43の開口、及びパネル44の開口の重複部分OVによってヘルムホルツ共鳴器のネックが構成されるようにするとよい。また、この場合において、摺動手段たるガイド部材67及び68は、複数層のパネルの全てを摺動自在に支持してもよいし、一部だけを摺動自在に支持してもよい。例えば、パネル43’43、及び44のうちパネル43’43を各々の開口同士を重ねた状態で筐体41の開放された面の側に積層し、最も上の層のパネル44だけをパネル43に対して摺動自在に支持するようにしてもよい。この実施形態によると、パネル44の摺動により、パネル44,43,及び43’の開口が重複した場合に、それらの重複部分OVによってヘルムホルツ共鳴器のネックが構成される。
(9)上記第3実施形態の音響装置であるスピーカ70では、ヘルムホルツ共鳴器のキャビティの役割を果たす筐体71の内外が、開口を有する2層のパネル73及び74によって隔てられていた。そして、スピーカ70は、パネル74をパネル73に対して回転自在に支持する回転軸である軸83を具備していた。しかし、筐体71の内外を隔てるパネルの層は2層である必要はなく、3層以上であってもよい。例えば、筐体71の内外を、各々が開口を有する3層のパネル73’,73,及び74によって隔ててもよい。この場合において、パネル73’の開口、パネル73の開口、及びパネル74の開口の重複部分OVによってヘルムホルツ共鳴器のネックが構成されるようにするとよい。また、この場合において、回転軸たる軸83は、複数層のパネルの全てを回転自在に支持してもよいし、一部だけを回転自在に支持してもよい。例えば、パネル73’73、及び74のうちパネル73’73を各々の開口同士を重ねた状態で筐体71の開放された面の側に積層し、最も上の層のパネル74だけをパネル73に対して回転自在に支持するようにしてもよい。この実施形態によると、パネル74の回転により、パネル74,73,及び73’の開口が重複した場合に、それらの重複部分OVによってヘルムホルツ共鳴器のネックが構成される。
10,161,170,180…バスレフ型スピーカ、17,162,171,181…スピーカエンクロージャ、18,42,164,173,183…スピーカユニット、20,165,174,184…バスレフポート、22…移動領域、23,24,25,26…縁、27,28…レール、29…鍔、30…伸縮性素材、40,70,90…スピーカ,41,71…筺体、42,72…スピーカユニット、43,44,73,74,93,94…パネル、57,62,63,64,65,66,80,81,100,101,102,103,104,105,106,107…開口、67,68…ガイド部材、120,140…吸音パネル、121,141…孔、122,142…厚板、123,143…薄板、124,125,126,127,144,145,146,147…側面板、128,129,130,131,141,155…仕切板、148,149,150…円筒板、160…ラインアレイスピーカ、200…ギター、201…周面板、202…表面板、203…胴、204…棹、205…ネック、206…ブリッジ。

Claims (3)

  1. ヘルムホルツ共鳴器を備えた音響装置であって、ヘルムホルツ共鳴器のネックと前記ネックに連通するキャビティとの相対的な位置関係が変化するように構成されていることを特徴とする音響装置。
  2. 前記キャビティの内外を各々が開口を有する2層以上のパネルによって隔て、前記各パネルの開口の重複部分を前記ネックとし、
    前記2層以上のパネルのうち少なくとも1つのパネルを他のパネルに沿って摺動させる摺動手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
  3. 前記キャビティの内外を各々が開口を有する2層以上のパネルによって隔て、前記各パネルの開口の重複部分を前記ネックとし、
    前記2層以上のパネルのうち少なくとも1つのパネルを回転自在に支持する回転軸を具備することを特徴とする請求項1に記載の音響装置。

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