JP2011197450A - プリズムシート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶パネルなどの輝度を向上でき、かつ安価なプリズムシートを提供する。
【解決手段】透明樹脂で構成された基材シート2の少なくとも一方の面に断面三角形状のプリズム単位が長軸方向を一方の方向に向けて互いに隣接して形成されたプリズム部3を形成してプリズムシート1を作製する。前記プリズム部3は、屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂、例えば、フルオレン骨格[特に、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂]を有する熱可塑性樹脂[特に、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びポリアリレート系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種]であってもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶パネルのバックライトユニットなどに配設されるプリズムシート及びその製造方法に関する。
近年、液晶パネルは、従来のパソコンモニター、ノートブックパソコンのみならず、テレビへの搭載が本格化し、価格の低下と相俟って液晶テレビが広く普及するに至っている。さらに、大面積の液晶パネルの需要が高まるにつれて、価格の大幅な低下も要求されており、特に、液晶パネルの原価に占める割合が高いバックライトユニットのコストダウンの要求は大きい。従って、バックライトユニットの主要な構成部材であるプリズムシートのコストダウンの要求も強くなっている。
一方、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の削減は世界レベルでの実行を必要としており、省エネルギーは社会的要請として求められ、液晶パネルにおいてもバックライトの低消費電力化は避けて通れなくなっている。この流れの中でバックライトの低消費電力化は輝度の低下を伴わずに高画質を維持することを求められており、輝度向上フィルムやプリズムシートなどの光学フィルムの高性能化が重要なファクターとなってきている。
このような状況の下、近年、省電力と高画質とを両立させる技術としてLEDバックライトが急速に伸びてきている。LEDバックライトは、LEDチップが高価であること、発熱が大きいことなどから、LEDチップの使用個数を出来る限り減らしたい事情がある。このため、LEDチップの個数が少ない分、プリズムシートや輝度向上フィルムによって輝度を確保する必要があり、プリズムシートでは高輝度タイプのニーズが高まっている。プリズムシートの性能である輝度上昇率は、プリズム部の樹脂の屈折率に依存し、屈折率が高いと、正面方向の集光率が高くなる。このため、屈折率の高い樹脂が高輝度タイプのプリズムシートとして有効である。
一般的なプリズムシートは、光硬化性アクリレートをポリエチレンテレフタレートで構成された基材の上にコーティングし、ロール面上にプリズム形状を賦形した金型にフィルムを圧着させながら、基材フィルムの裏面からの紫外線照射により硬化させ、プリズム形状を転写させる方法により製造されている。光硬化性樹脂の屈折率は原料モノマーであるアクリレートの屈折率に依存する。高屈折率のアクリレートモノマーとしては、フルオレン骨格を有するアクリレート、含イオウ系アクリレート、含臭素アクリレートなどが使用されている。具体的には、ビス(フェノキシエチルアクリレート)フルオレン、チオフェニルエチルアクリレートなどがあるが、いずれも特殊品であり、高価である。
一方、熱可塑性樹脂で構成されたプリズムシートもあり、押出成形機から押し出されたシートをプリズム形状が賦形されたロールに巻き取り、プリズム形状を熱転写する方法によって製造されている。
ポリカーボネートで構成されたプリズムシートが一般的であるが、高屈折率樹脂で構成されたプリズムシートとして、特開平9−21908号公報(特許文献1)には、屈折率1.60以上、ガラス転移温度100〜150℃の非晶質ポリエステルからなり、少なくとも一方の面に実質的に3角柱からなるプリズム形状の単位のレンズ部を長軸方向が互いにほぼ並行になるように面状に多数配置したレンズシートが提案されている。この文献には、非晶質ポリエステルとして、フルオレンポリエステル系樹脂が記載されている。
しかし、フルオレンポリエステル系樹脂は高輝度プリズムシートの材料として有効であるが、高価であることが問題となるためか、工業的に実用化されていない。
特開平9−21908号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、液晶パネルなどの輝度を向上でき、かつ安価なプリズムシート及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、多層構造であるにも拘わらず、密着性が高く、安定性に優れたプリズムシート及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐衝撃性及び耐熱性に優れ、かつプリズム部の耐擦傷性に優れたプリズムシート及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、透明樹脂で構成された基材シートの上に、屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂で構成され、かつ複数のプリズム単位が配設されたプリズム部を形成することにより、液晶パネルなどの輝度を向上でき、かつ安価なプリズムシートが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のプリズムシートは、透明樹脂で構成された基材シートと、この基材シートの少なくとも一方の面に断面三角形状のプリズム単位が長軸方向を一方の方向に向けて互いに隣接して形成されたプリズム部とを備えたプリズムシートであって、前記プリズム部が、屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂で構成されている。前記屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂は、フルオレン骨格(特に、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂)を有する熱可塑性樹脂(特に、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びポリアリレート系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種)であってもよい。前記透明樹脂は、ポリカーボネート系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種であってもよい。特に、屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂が、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂であり、かつ透明樹脂が、ポリカーボネート系樹脂である組み合わせであってもよい。前記ポリエステル系樹脂は、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂が、芳香族及び/又は脂環族ジカルボン酸成分とジオール成分とから得られ、かつ前記ジオール成分が、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシアリール)フルオレンとC2−4アルカンジオールとを、前者/後者=90/10〜40/60の割合(モル比)で含むポリエステルであってもよい。
本発明には、透明樹脂と屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂とを共押出して積層シートを形成した後、鋳型を利用してプリズム形状を形成する前記プリズムシートの製造方法も含まれる。
本発明では、透明樹脂で構成された基材シートの上に、屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂で構成されたプリズム部が形成されているため、液晶パネルなどの輝度を向上でき、かつ安価なプリズムシートが得られる。詳しくは、基材シート及びプリズム部ともにポリマーアロイで構成されたプリズムシートよりも高い輝度上昇率を示し、かつ基材シート及びプリズム部ともに屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂で構成されたプリズムシートと同等の輝度上昇率を示す。特に、ポリカーボネート系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種(特にポリカーボネート系樹脂)で構成された基材シートと、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂で構成されたプリズム部とを組み合わせると、多層構造であるにも拘わらず、密着性が高く、高温下で使用されても、剥離などを抑制でき、安定性が高い。特に、基材シートをポリカーボネート系樹脂で構成すると、耐衝撃性及び耐熱性も向上できるとともに、傷の付き易いプリズム部については、フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂で構成されているため、耐擦傷性を向上できる。
図1は、本発明のプリズムシートの一例を示す概略斜視図である。 図2は、本発明のプリズムシートの製造工程の一例を示す概略図である。
[プリズムシート]
本発明のプリズムシートは、透明樹脂で構成された基材シートと、この基材シートの少なくとも一方の面に断面三角形状のプリズム単位が長軸方向を一方の方向に向けて互いに隣接して形成されたプリズム部とを備えている。さらに、前記プリズム部は、屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂(高屈折率樹脂)で構成されている。
図1は、本発明のプリズムシートの一例を示す概略斜視図である。図1において、本発明のプリズムシート1は、透明樹脂で構成された基材シート2と、この基材シートの片面に形成され、かつ高屈折率樹脂で構成された断面三角形状のプリズム部3とを備えている。
(基材シート)
基材シートは、透明樹脂で構成されており、透明樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、アクリロニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロースエステル(トリアセチルセルロースなど)などが例示できる。また、光拡散機能を付与するため、拡散粒子等を添加した透明樹脂を用いてもよい。これらの透明樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの透明樹脂のうち、プリズム部との密着性が高く、かつプリズム部を構成する高屈折率樹脂との屈折率差が小さく、界面での反射による光量の損失やモアレの発生を抑制できる点から、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
(ポリカーボネート系樹脂)
ポリカーボネート系樹脂としては、慣用のポリカーボネート、例えば、ビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネートなどが利用できる。
ビスフェノール類としては、例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシトリル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシキシリル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカンなど]、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類[例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C4−10シクロアルカンなど]、ビス(ヒドロキシアリール)エーテル類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなど]、ビス(ヒドロキシアリール)ケトン類[例えば、4,4′−ジ(ヒドロキシフェニル)ケトンなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)など]、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなど]などが挙げられる。
これらのビスフェノール類は、C2−4アルキレンオキサイド付加体であってもよい。これらのビスフェノール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのビスフェノール類のうち、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカンなどが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、ジカルボン酸成分(脂肪族、脂環族又は芳香族ジカルボン酸又はその酸ハライドなど)を共重合したポリエステルカーボネート系樹脂であってもよい。これらのポリカーボネート系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリカーボネート系樹脂は、ビス(ヒドロキシフェニル)C1−6アルカン類をベースとする樹脂、例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート系樹脂である。
ポリカーボネート系樹脂は、慣用の方法、例えば、ホスゲン法やエステル交換法などにより製造できる。
ポリカーボネート系樹脂の数平均分子量は10000〜100000程度の範囲から選択でき、例えば、10000〜70000、好ましくは15000〜60000、さらに好ましくは20000〜50000程度である。ポリカーボネート系樹脂の分子量がこの範囲にあると、成形性が向上する。
ポリカーボネート系樹脂の流動性(MVR)は、ISO1133(300℃、1.2kg荷重(11.8N))に準拠して、例えば、3〜100cm/10分、好ましくは5〜80cm/10分、さらに好ましくは10〜70cm/10分(特に20〜70cm/10分)程度である。
ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、100〜250℃程度の範囲から選択でき、例えば、110〜200℃、好ましくは115〜180℃、さらに好ましくは120〜160℃程度である。
(ポリエステル系樹脂)
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジオール成分とジカルボン酸成分とを反応(縮合反応)させて得られるポリエステルなどが挙げられる。
ジオール成分としては、例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−6アルカンジオール、さらに好ましくはC2−4アルカンジオール)、ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ又はトリC2−4アルカンジオールなど)、シクロアルカンジオール(例えば、シクロヘキサンジオールなどのC5−8シクロアルカンジオール)、ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン(例えば、シクロペンタンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカンなど)、ジヒドロキシアレーン(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)、芳香脂肪族ジオール[1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど]、ビフェノール、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカンなど]などが挙げられる。これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジオール成分のうち、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールなどのC2−4アルカンジオール(特にエチレングリコールなどのC2−4アルカンジオール)が好ましい。
ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC2−20アルカン−ジカルボン酸、好ましくはC2−14アルカン−ジカルボン酸など)などの脂肪族ジカルボン酸;シクロアルカンジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸)、ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸など)などの脂環族ジカルボン酸;アレーンジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などのC6−14アレーン−ジカルボン酸など)、ビフェニルジカルボン酸(2,2’−ビフェニルジカルボン酸など)、ジフェニルアルカンジカルボン酸(4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、2,2−ジ(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのジフェニルC1−10アルカンジカルボン酸)、ジフェニルケトンジカルボン酸(4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸など)、ジフェニルエーテルジカルボン酸(例えば、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸など)、これらの誘導体(ジカルボン酸ハライド、ジカルボン酸無水物、低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステルなどのC1−4アルキルエステル、好ましくはC1−2アルキルエステルなど)など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらのジカルボン酸のうち、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロアルカン−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンカルボン酸などのアレーンジカルボン酸などが好ましい。
これらのポリエステル系樹脂のうち、プリズム部との密着性や光学特性などの点から、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂、ポリアルキレンナフタレート系樹脂などのポリアルキレンアリレートが好ましい。
ポリアルキレンアリレート系樹脂としては、アルキレンアリレート単位(特にエチレンテレフタレートやエチレン−2,6−ナフタレートなどのC2−4アルキレンアリレート単位)のホモポリエステル、又はアルキレンアリレート単位の含有量が80モル%以上(特に90モル%以上)のコポリエステルが挙げられる。コポリエステルを構成する共重合性単量体としては、前述のジカルボン酸成分、ジオール成分、ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの共重合性単量体のうち、テレフタル酸などのジカルボン酸成分などが汎用される。ポリアルキレンアリレート系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂などのポリC2−4アルキレンナフタレート系樹脂)が好ましい。
ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、例えば、3000〜1000000程度の範囲から選択でき、例えば、5000〜800000、好ましくは8000〜600000、さらに好ましくは10000〜500000(例えば、30000〜500000)程度であってもよい。なお、上記重量平均分子量は、ポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した値であってもよい。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、30〜350℃、好ましくは40〜300℃、さらに好ましくは50〜250℃、特に60〜200℃程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例えば、直接重合法(直接エステル化法)又はエステル交換法などにより、前記ジオール成分と前記ジカルボン酸成分とを縮合反応させることにより製造できる。
本発明では、これらのポリカーボネート系樹脂及びポリエステル系樹脂のうち、光学特性及びプリズム部との密着性が高く、かつ耐衝撃性及び耐熱性に優れる点から、ポリカーボネート系樹脂が特に好ましい。
基材シートは、慣用の添加剤、例えば、有機又は無機粒子、安定剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、耐熱性改良剤又は撥水性改良剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、それぞれ、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、前記透明樹脂とは屈折率の異なる有機又は無機粒子を配合することにより、基材シートに光拡散性やニュートンリング防止性などの機能性を付与してもよい。添加剤の割合は、透明樹脂100重量部に対して、例えば、0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部程度であってもよい。
基材シートの厚みは、例えば、20〜2000μm、好ましくは50〜1000μm、さらに好ましくは100〜800μm(特に200〜500μm)程度である。
(プリズム部)
プリズム部は、前記基材シートの少なくとも一方の面に、断面三角形状のプリズム単位が長軸方向を一方の方向に向けて互いに隣接して形成されている。すなわち、プリズム部は複数のプリズム単位で構成されており、各プリズム単位は、基材シートの面上で頂稜が互いに隣接して並行している。換言すれば、複数のプリズム単位は、断面三角形状の柱状(三角柱状)であり、互いに並列に隣接してプリズム列(又は長軸方向が互いに平行な三角柱状プリズム列)を形成している。
各プリズム単位の横断面形状は、三角形状であればよいが、輝度向上の点から、プリズム単位の頂角を二等辺三角形の頂角とする略二等辺三角形状(特に二等辺三角形状)が好ましい。各プリズム単位の頂角(断面三角形状の頂角)は、例えば、10〜150°、好ましくは30〜130°、さらに好ましくは50〜120°(特に60〜110°)程度である。さらに、前記頂角は、鋭角な形状に限定されず、曲面(アール)状に形成されていてもよい。
各プリズム単位の高さは、例えば、3〜500μm程度の範囲から選択でき、例えば、3〜300μm、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは7〜100μm(特に10〜50μm)程度である。プリズム列のピッチ(隣接するプリズム単位の頂角間の最短距離)は、例えば、5〜1000μm程度の範囲から選択でき、例えば、5〜500μm、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは14〜200μm(特に20〜100μm)程度である。各プリズム単位の形状は、通常、同じ形状であるが、用途に応じて、前記頂角の角度や高さの異なる単位を組み合わせてもよい。
プリズム部を構成する樹脂は、屈折率1.6以上(例えば、1.6〜1.8、特に1.6〜1.7程度)の熱可塑性樹脂であればよく、特に限定されないが、屈折率が高く、耐擦傷性や耐熱性にも優れる点から、フルオレン骨格(特に、9,9−ジアリールフルオレン骨格)を有する熱可塑性樹脂が使用される。なお、屈折率は、多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製「DR−M2/1550」)を用い、光源波長589nm、測定温度20℃で測定できる。
フルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂には、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが含まれ、例えば、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物の一部又は全部として、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを用いてホスゲン法で得られたポリカーボネート、アルコール成分の一部又は全部として、9,9−ビス(4−ヒドロキシエチルフェニル)フルオレンを用いてエステル交換法により得られるポリカーボネート、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物の一部又は全部として、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンと、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とを用いて得られたポリアリレートなどであってもよいが、光学特性及び基材シートとの密着性などの点から、フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂(フルオレン含有ポリエステル系樹脂)が好ましい。
特に、ポリカーボネート系樹脂で構成された基材シートと、フルオレン含有ポリエステル系樹脂で構成されたプリズム部とを組み合わせると、プリズムシートを屈折率の異なる2層で構成するにも拘わらず、光学特性が低下せず、単層のプリズムシートと同等の輝度向上効果を示す。また、この組み合わせでは、層間の密着性も高く、2層構造であるにも拘わらず、液晶ディスプレイパネル中などにおいて、高温下で使用されても、剥離などを抑制できる。さらに、基材シートにより耐衝撃性を保持しつつ、傷の付きやすいプリズム部については耐擦傷性を向上できる。
フルオレン含有ポリエステル系樹脂としては、前記基材シートの項で記載されたポリエステル系樹脂において、ジオール成分及び/又はジカルボン酸成分の一部又は全部として、フルオレン化合物を用いて得られたポリエステル系樹脂を利用できるが、特に、基材シートとの密着性や光学特性に優れる点から、ジオール成分の一部又は全部として、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジオール(フルオレン含有ジオール(1))を用いたポリエステルが好ましい。
Figure 2011197450
(式中、環Arは芳香族炭化水素環を示し、Rはシアノ基、ハロゲン原子又は炭化水素基、Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、Aはアルキレン基を示す。kは0〜4の整数、m及びnは0以上の整数である)。
前記式(1)において、環Arで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環(詳細には、少なくともベンゼン環を含む縮合多環式炭化水素環)などが挙げられる。縮合多環式芳香族炭化水素環としては、縮合二環式炭化水素環(例えば、インデン環、ナフタレン環などのC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式炭化水素環などが挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。なお、フルオレンの9位に置換する2つの環Arは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
好ましい環Arには、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。なお、環Arが、縮合多環式芳香族炭化水素環である場合、フルオレンの9位に置換する環Arの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9位に置換するナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
また、前記式(1)において、基Rで表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などが挙げられ、特に、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
また、前記式(1)において、Rで表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−20アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などのエーテル基;アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)などのチオエーテル基;アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
これらのうち、基Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基であるのが好ましく、特に、好ましい基Rは、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などである。特に、環Arがベンゼン環である場合、基Rは、C1−4アルキル基、アリール基及びハロゲン原子から選択された基であってもよい。
なお、同一の環Arにおいて、mが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Arにおいて、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、環Arがベンゼン環である場合、フェニル基の2〜6位の適当な位置(例えば、3位、3,5位など)に置換していてもよい。
また、好ましい置換数mは、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4、特に0〜2(例えば、0〜1)であってもよい。特に、環Arがベンゼン環である場合、好ましい置換数mは、0〜4、好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2であってもよい。なお、2つの環Arにおいて、置換数mは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、基Aは、アルキレン基である。アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−10アルキレン基が挙げられる。これらのうち、エチレン基、プロピレン基などのC2−4アルキレン基が好ましい。
オキシアルキレン基の繰り返し数nは、0以上の整数であり、通常、0〜10程度であり、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0〜3(特に0〜2)程度である。さらに、オキシアルキレン基の繰り返し数nは、通常1である。
フルオレン含有ジオール(1)には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど}、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリール−ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−フェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど]などが含まれる。
これらのフルオレン含有ジオール(1)のうち、反応性及び光学特性などのバランスに優れる点から、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシアリール)フルオレンが好ましい。さらに屈折率を向上させる点から、9,9−ビス(ヒドロキシエトキシナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−トリルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、特に、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなどであってもよい。
一方、前記フルオレン含有ジオール(1)に加えて配合可能な他のジオール成分としては、前述のジオール成分のうち、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールなどのC2−4アルカンジオールが好ましい。
フルオレン含有ジオール(1)と他のジオール成分との割合(モル比)は、前者/後者=100/0〜10/90(例えば、100/0〜20/80)程度の範囲から選択でき、通常、99/1〜25/75、好ましくは98/2〜30/70、さらに好ましくは95/5〜35/65(特に90/10〜40/60)程度である。
前記フルオレン含有ポリエステル系樹脂におけるジカルボン酸成分としては、光学特性の点から、前記ジカルボン酸成分のうち、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸、テレフタル酸やイソフタル酸などのC6−14アレーン−ジカルボン酸が好ましい。さらに、これらのジカルボン酸成分を2種以上組み合わせてもよい。
前記フルオレン含有ポリエステル系樹脂は、市販品であってもよく、慣用の方法を利用(又は応用)して合成した合成品であってもよい。前記フルオレン含有ポリエステル系樹脂は、対応するジオール成分とジカルボン酸成分とを反応させることにより得ることができる。このようなポリエステル系樹脂の製造方法については、例えば、特開2004―315676号公報などを参照することができる。
前記フルオレン含有ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、例えば、40℃の条件下、ゲル浸透クロマトグラフィー(溶媒:テトラヒドロフラン、基準樹脂:ポリスチレン)を用いて測定したとき、5,000〜100,000、好ましくは10,000〜80,000、さらに好ましくは、12,000〜70,000、特に15,000〜60,000(例えば、20,000〜50,000)程度であってもよい。
前記フルオレン含有ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、例えば、50〜300℃、好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは100〜230℃(特に100〜200℃)程度であってもよい。
プリズム部も、基材シートと同様の慣用の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の割合は、高屈折率樹脂100重量部に対して、例えば、0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部程度であってもよい。
[プリズムシートの製造方法]
本発明のプリズムシートは、基材シートの上にプリズム部を形成できる限り、特に限定されないが、通常、透明樹脂と高屈折率樹脂とを共押出して積層シートを形成した後、固化前の軟化した高屈折率樹脂で構成された層に対して、鋳型を利用してプリズム形状を形成する方法で製造できる。
共押出の方法としては、慣用の方法、例えば、基材シートを構成する層及びプリズム部を構成する層のための樹脂組成物を、汎用のフィードブロック付きダイやマルチマニホールドダイなどを備えた単軸又は2軸の多層押出機で共押出する方法を利用できる。溶融温度は、樹脂の種類に応じて選択でき、ポリカーボネート及びフルオレン含有ポリエステルの場合、例えば、150〜400℃、好ましくは200〜350℃、さらに好ましくは220〜320℃程度であってもよい。
鋳型を利用してプリズム形状を形成する方法としては、例えば、軟化した高屈折率樹脂の表面に対して、鋳型(又は型押し)を押圧(又は圧着)してプリズム形状を形成できれば特に限定されないが、共押出された積層シートに対して連続的に生産できる点から、プリズム単位に対応する凹凸部(隣接した複数のV字状溝など)を有する金属ロールに転動させながら圧着してプリズム形状を転写する方法が好ましい。
プリズム形状が施された金属ロールなどの鋳型での圧着における温度は、樹脂の種類に応じて選択でき、フルオレン含有ポリエステルの場合、例えば、50〜250℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは90〜180℃(特に100〜170℃)程度である。
プリズム形状が施された金属ロールでプリズム形状を付与された積層シートは、アニールロール(冷却ロール)などを利用して固化してもよい。アニールロールなどによる冷却温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは50〜80℃、さらに好ましくは10〜60℃程度であってもよい。
具体的には、プリズム形状が施された金属ロールを用いた本発明のプリズムシートの製造工程の一例の概略図を図2に示す。この製造工程では、第1の押出機11により透明樹脂を押出し、かつ第2の押出機12より高屈折率樹脂を押出してダイス13で両樹脂層を合流させて積層体を得た後、得られた積層体を鏡面仕上げや微細エンボスマット形状等が施された金属ロール14とプリズム形状が施された金属ロール15との間に導入する。このとき、高屈折率樹脂で構成された層の表面が金属ロール15の表面に形成されたプリズム部に対応するV字状溝に圧着されて、プリズム部が形成される。さらに、プリズム部が形成された積層シートは、第1のアニールロール16で冷却されて固化された後、さらに第2のアニールロール17に送られ、巻き取りロール18で回収される。なお、プリズム部の表面には、プリズム形状を保護するために、保護フィルムを積層してもよい。
このようにして得られたプリズムシートは、図1に示す積層体、すなわち透明樹脂で構成された基材シートと高屈折率樹脂で構成されたプリズム部との積層体に限定されず、例えば、プリズムシートの反りやカールを抑制する点から、透明樹脂で構成された基材シートを中間部とし、高屈折率樹脂で構成されたプリズム部と同一の高屈折率樹脂で構成された基底部(又は中間部)との積層体であってもよい。このような基底部は、鋳型の高さを調整することにより所望の厚みに形成できるが、カール抑制の点からは、プリズム単位の高さに対して2倍以下(例えば、0.1〜1.8倍)、好ましくは0.2〜1.5倍、さらに好ましくは0.5〜1.2倍(特に0.8〜1倍)程度である。一方、基材シートの特性を効果的に発現し、かつ経済性を向上させる点からは、プリズム単位の高さに対して0.5倍以下(例えば、0〜0.5倍)、好ましくは0.001〜0.3倍、さらに好ましくは0.005〜0.2倍(特に0.01〜0.1倍)程度である。
さらに、本発明のプリズムシートは、基材シートに光拡散性やニュートンリング防止性を付与するための処理を施してもよく、例えば、基材シートのプリズム部が形成されていない側に対して、微細なエンボス加工等を施してもよい。なお、微細なエンボス加工を施すことにより、他のシートとの密着性も向上する。また、基材シートのプリズム部が形成されていない側に対して、光拡散層やハードコート層などを形成してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、プリズムシートの輝度の測定方法は以下の通りである。
(輝度の測定方法)
ディスプレイの長辺サイドに配設された2灯×2辺の計4灯の発光面装置と、この発光面装置からの光を案内するための導光板と、この導光板の上に配設された拡散板を有するバックライト方式ユニット(15インチ)に対して、前記拡散板の上にプリズムシートを設置して、輝度計((株)トプコンテクノハウス製「BM−5A」)で輝度を測定し、プリズムシートを装備しない発光面装置と比較して、輝度上昇率を求めた。
実施例1
シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)1mol、エチレングリコール(EG)0.2mol、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン(BPEF)0.8molを原料として慣用の溶融重合で得られたフルオレン含有ポリエステル(ガラス転移温度120℃、屈折率1.61)をプリズム部用の樹脂とし、一方、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロンH−4000」)を基材シート用の樹脂として、図2に示す製造工程でプリズムシートを作製した。詳しくは、2層押出機にてプリズム部は樹脂温230℃、基材シートは樹脂温230℃で溶融し、Tダイより2層シート状に共押出し、直後に135℃に加熱したプリズムの頂角90°、底辺(プリズム間のピッチ)50μmの二等辺三角形の頂稜が互いに平行になるように直線状にプリズム形状が施された金属ロールに微細エンボスマット形状が施された金属ロールを押圧し、アニールロールにて冷却され固化された後、巻き取りロールにて、片面にプリズム形状が付与された2層プリズムシートを得た。得られたプリズムシートの輝度は、4000cd/cmであり、輝度上昇率は約2.0倍であった。
実施例2
テレフタル酸(TPA)1mol、エチレングリコール(EG)0.3mol、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン(BPEF)0.7molを原料として慣用の溶融重合で得られたフルオレン含有ポリエステル(ガラス転移温度145℃、屈折率1.63)をプリズム部用の樹脂とし、一方、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製「カリバー301−30」)を基材シート用の樹脂として、図2に示す製造工程でプリズムシートを作製した。詳しくは、2層押出機にてプリズム部は樹脂温250℃、基材シートは樹脂温240℃で溶融し、Tダイより2層シート状に押出し、直後に145℃に加熱した金属ロール(実施例1と同形状)にて、プリズム形状が付与された2層プリズムシートを得た。得られたプリズムシートの輝度は、4200cd/cmであり、輝度上昇率は約2.1倍であった。
比較例1
実施例1と同じフルオレン含有ポリエステルを用いて、単層押出機にて樹脂温230℃で溶融し、Tダイよりシート状に押出し、直後に135℃に加熱した金属ロール(実施例1と同形状)にて、プリズム形状が付与された単層プリズムシートを得た。得られたプリズムシートの輝度は、4022cd/cmであり、輝度上昇率は約2.0倍であった。
比較例2
実施例2と同じフルオレン含有ポリエステルを用いて、単層押出機にて樹脂温250℃で溶融し、Tダイよりシート状に押出し、直後に145℃に加熱した金属ロール(実施例1と同形状)にて、プリズム形状が付与された単層プリズムシートを得た。得られたプリズムシートの輝度は、4216cd/cmであり、輝度上昇率は約2.1倍であった。
比較例3
市販のプリズムシート(住友スリーエム(株)製「BEFIII」)を用い、実施例1と同様な方法により輝度を測定したところ、3900cd/cmの輝度を示した。
実施例及び比較例のプリズムシートの結果を表1に示す。
Figure 2011197450
表1の結果から、実施例のプリズムシートは、市販品のプリズムシートより輝度向上効果が高く、単層のプリズムシートと同等の輝度向上効果を示す。
本発明のプリズムシートは、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、タッチパネルなどの光学機器のプリズムシートとして利用され、特に、液晶パネルのバックライトユニットに配設されるプリズムシートとして有用である。
1…プリズムシート
2…基材シート
3…プリズム部
11,12…押出機
13…ダイス
14…鏡面仕上げや微細エンボスマット形状等が施された金属ロール
15…プリズム形状が施された金属ロール
16,17…アニールロール
18…巻き取りロール

Claims (8)

  1. 透明樹脂で構成された基材シートと、この基材シートの少なくとも一方の面に断面三角形状のプリズム単位が長軸方向を一方の方向に向けて互いに隣接して形成されたプリズム部とを備えたプリズムシートであって、前記プリズム部が、屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂で構成されているプリズムシート。
  2. 屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂が、フルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂である請求項1記載のプリズムシート。
  3. フルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂が、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂である請求項2記載のプリズムシート。
  4. 9,9−ジアリールフルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びポリアリレート系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種である請求項3記載のプリズムシート。
  5. 透明樹脂が、ポリカーボネート系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載のプリズムシート。
  6. 屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂が、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂であり、かつ透明樹脂が、ポリカーボネート系樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載のプリズムシート。
  7. 9,9−ジアリールフルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂が、芳香族及び/又は脂環族ジカルボン酸成分とジオール成分とから得られ、かつ前記ジオール成分が、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−アリール)フルオレンとC2−4アルカンジオールとを、前者/後者=90/10〜40/60の割合(モル比)で含む請求項6記載のプリズムシート。
  8. 透明樹脂と屈折率1.6以上の熱可塑性樹脂とを共押出して積層シートを形成した後、鋳型を利用してプリズム形状を形成する請求項1記載のプリズムシートの製造方法。
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