JP2011195406A - 導電性酸化物焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性酸化物焼結体に含まれる結晶相の種類や量の制御を容易化し得る導電性酸化物焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】In、GaおよびZnを含む導電性酸化物焼結体を製造する方法は、酸化亜鉛と酸化ガリウムの混合物を調製した後に仮焼することによってGaZnO粉体を形成する工程を含む。この仮焼の後には、GaZnO粉体とInおよびOを含む粉体とを混合または粉砕混合して第2の混合物を調製し、この第2の混合物の成形体を作製し、そしてこの成形体を焼結する工程をさらに含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は導電性酸化物焼結体の製造方法に関し、特に酸化物半導体膜をスパッタリングで形成するためのターゲットとして好ましい導電性酸化物焼結体の製造方法に関する。
液晶表示装置、薄膜EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、有機EL表示装置などにおいて、薄膜トランジスタ(TFT)のチャネル層として、従来では主として非晶質シリコン膜が使用されてきた。
しかし、近年では、そのような半導体膜として、In−Ga−Zn系複合酸化物(一般にIGZOと略称される)を主成分とする非晶質半導体膜が、非晶質シリコン膜に比べてキャリヤの移動度が大きいという利点から注目されている(例えば、特許文献1の特開2008−199005号公報参照)。この特許文献1においては、非晶質酸化物半導体膜が、ターゲットを使用するスパッタリング法によって形成されることが開示されている。そして、そのターゲットは、導電性を示す酸化物粉末の焼結体である。
特開2008−199005号公報
IGZO焼結体の従来の製造方法では、InとGaとZnOの粉体を混合して仮焼した後に粉砕し、その粉砕された粉末から作製された成形体を焼結している。または、InとGaとZnOの粉体を混合した後に成形体を作製し、その成形体が焼結される。これらの製造方法の焼結過程では、In、GaおよびZnOが相互に反応しながら緻密化していくことになり、4種類の粉体の組合せ(InとGa;GaとZnO;InとZnO;およびInとGaとZnO)の反応が複雑に入り組んだ過程を経て焼結体が形成されることになる。したがって、同じ条件で導電性酸化物の焼結を行っても、異種粉体同士の接し方まで揃えなければ、所望の結晶相を安定して含む焼結体を得ることが難しく、すなわち焼結体に含まれる所望の結晶相の種類や量を制御することが困難である。
そこで、本発明は、導電性酸化物焼結体に含まれる結晶相の種類や量の制御を容易化し得る導電性酸化物焼結体の製造方法を提供することを目的としている。
本発明によれば、In、GaおよびZnを含む導電性酸化物焼結体を製造する方法は、酸化亜鉛と酸化ガリウムの混合物を調製した後に仮焼することによってGaZnO粉体を形成する工程を含むことを特徴としている。なお、その仮焼は、酸素雰囲気中または大気雰囲気中において800℃以上1300℃以下の温度で行なわれることが好ましい。
本発明による焼結体の製造方法は、GaZnO粉体とInおよびOを含む粉体とを混合または粉砕混合して第2の混合物を調製し、この第2の混合物の成形体を作製し、そしてその成形体を焼結する工程をさらに含むことが好ましい。その第2の混合物を調製するための混合時間は、12時間以上36時間未満の範囲内であることが好ましい。また、第2の混合物は、11m/g以上15m/g以下の比表面積と1.0μm以上1.5μm以下の平均粒径との少なくとも一方の条件を満たすことが好ましい。
本発明の製造方法では、予めGa粉末とZnO粉末を混合して仮焼することによって安定なGaZnO粉体を形成し、その後にInと酸素を含む粉末を付加して混合または粉砕混合し、そしてこの混合物を成形して焼結する。したがって、仮焼および焼結の際における異種粉体の組合せが1種類のみとなるので反応が単純化され、焼結体において所望の結晶相を容易に得ることができる。
また、一般に焼結温度をある程度の高温(一般的には1500℃以上)にすれば、一種の結晶相(例えばInGaZnOまたはInGaZnO)からなる焼結体を得ることができるが、本発明の製造方法では、比較的低温の焼結温度においても一種の結晶相からなる焼結体を作製することができる。この焼結温度の低減によって、焼結体を構成する結晶粒子の成長を抑制してその粒径を減少させることができる。焼結体中の結晶粒径の減少は、その焼結体を使用する用途によっては望ましい。例えば、その焼結体をスパッタリングのターゲットとして用いる場合に、結晶粒径の減少は焼結体内部の気孔径を減少させ、ノジュールの低減に寄与することができる。なお、ノジュールはスパッタリング中にターゲットの表面に出現する突起物であり、これが発生すればスパッタリングで堆積される膜上の粒子が増加して膜質を低下させる。
上述のように、本発明によれば、InとGaとZnを含む導電性酸化物焼結体を製造する方法は、酸化亜鉛と酸化ガリウムの混合物を調製した後、これを仮焼することによってGaZnO粉体を形成する工程を含むことを特徴としている。
InとGaとZnを含む導電性酸化物焼結体は、前述のように一般にIGZOと略称される。しかし、本発明によるIGZOでは、In、GaおよびZn以外に付加的元素が添加されてもよい。添加する元素としては、N、Al、Si、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Sn、Biなどが考えられるが、これらに限定されることはない。付加的元素は、GaZnO粉体の形成時に添加されてもよいし、その後の工程で混合されてもよい。
得られる焼結体の結晶相としては、焼結温度を変えることによって、In−GaZnO混合相、InGaZnO−GaZnO混合相、InGaZnO−GaZnO混合相、InGaZnO単相、InGaZnO単相、またはInGaZnO−InGaZnO混合相などを得ることができる。
本発明では、仮焼で得たGaZnO粉体とInおよびOを含む粉体とを混合または粉砕混合して混合物を調製し、この混合物の成形体を作製し、その成形体を焼結する工程を含むことが好ましい。InとOを含む粉体の例としては、In、InZn、InGaOなどがあり、これらに限られるものではない。ただし、Inを使用することが、焼結温度の低減の観点から好ましい。
GaZnO粉体を得るための仮焼の温度は、800℃以上1300℃以下であることが好ましい。800℃未満の仮焼では、仮焼された粉体中に残るZnOとGaが焼結の際にInと反応して焼結体の不均一性を生じるとともに、焼結時の体積収縮による気孔の生成による焼結体密度の低下を生じるので好ましくない。他方、1300℃を超える仮焼では、仮焼粉体の強い凝結のために粉砕し難くなるとともに、粉末の活性が低くなって焼結が困難となるので好ましくない。
また、GaZnO粉体を得るための仮焼は、酸素雰囲気中または大気雰囲気中で行われることが好ましい。ZnとGaは還元された金属状態で蒸気圧が低く、ZnOは昇華しやすい性質を有している。そして、仮焼雰囲気中に十分に酸素がなければ金属元素の一部が還元されて、粉砕しやすいGaZnO粉体を得ることができなくなる。したがって、仮焼雰囲気は酸素雰囲気または大気雰囲気であることが好ましく、大気雰囲気の方が粒径の小さなGaZnO粉体を得る観点からより好ましい。
GaZnO粉体とInおよびOを含む粉体との混合時間は、12時間以上36時間未満であることが好ましい。混合時間が12時間未満であれば、粉末粒度が大きすぎて緻密な焼結体を得られないとともに、GaZnO粉体の粉砕が不十分であって不均一な組織の焼結体となる。他方、混合時間が36時間以上であれば、混合装置と粉末の摩耗による不純物が混入するので好ましくない。また、粉末が嵩高くなって扱いが困難となるとともに、粉末同士の凝集が起こって不均質になるので好ましくない。
GaZnO粉体とInおよびOを含む粉体との混合物は、比表面積が11m/g以上15m/g以下であることおよび平均粒径が1.0μm以上1.5μm以下であることの少なくとも一方の条件を満たすことが好ましい。乾燥粉末の比表面積が11m/g未満でかつ平均粒径が1.5μmを超える場合、粉末粒度が大きすぎて緻密な焼結体を得られないとともに、GaZnO粉末の粉砕が不十分となって焼結体組織が不均一となるので好ましくない。他方、比表面積が15m/gを超えかつ平均粒径が1μm未満の場合、粉末が嵩高くなってその扱いが困難となるとともに、粉末同士の凝集が起って焼結体が不均一となるので好ましくない。
原料として、下記の酸化物粉末(1)〜(3)を秤量して使用した。粉末の比表面積はBET法で測定され、平均粒径は光散乱式の粒度分布測定装置で測定された。
(1)Ga: 1.0mol、平均粒径0.77μm、比表面積18.9m/g
(2)ZnO: 1.0mol、平均粒径0.82μm、比表面積4.6m/g
(3)In: 1.0mol、平均粒径3.45μm、比表面積13.4m/g
秤量された原料(1)のGa粉末と原料(2)のZnO粉末は、ボールミルを使用して12時間湿式混合された。なお、湿式混合の媒体としては、5mmφのZrOボールを使用した。そして、湿式混合で得られた混合スラリーを自然乾燥し、試料1a〜1eに分けられた。
試料1a、1b、1c、1d、および1eは、大気炉にてそれぞれ750℃、800℃、950℃、1300℃、および1350℃の温度で仮焼された。そして、仮焼された粉末に含まれる結晶相が、X線回折によって調べられた。その結果、750℃と800℃で仮焼された試料1aと1bの粉末中ではZnOとGaの結晶の存在が確認され、950℃以上で仮焼された試料1c〜1eの粉末中ではGaZnOの結晶の存在が確認された。800℃未満で仮焼された粉末では、それに多く含まれるZnOとGaが後の焼結の際にInと反応して焼結体の不均一性を生じるとともに、焼結時の体積収縮による気孔の生成による焼結体密度の低下を生じるので好ましくない。また、1300℃を超える温度で仮焼された粉末では、粉末の強い凝結のため粉砕し難くなるとともに、粉末の活性が低くなって焼結が困難となるので好ましくない。
得られた仮焼粉末に上記原料(3)のIn粉末が加えられ、ボールミルで12時間混合された。こうして得られた混合スラリーは、自然乾燥後に300℃で真空乾燥された。乾燥された粉末は、油圧プレス機にて200kg/cmの圧力下で成形された後に、さらにCIP(冷間静水圧処理)にて2ton/cmの圧力下で成形された。そして、この成形体は、大気炉にて1300℃で焼結された。得られた焼結体の密度をアルキメデス法により測定した結果、750℃で仮焼された試料1aの粉末から作製した焼結体において相対密度が94.3%であり、800〜1300℃で仮焼された試料1b〜1dの粉末から作製した焼結体において相対密度が約98〜99%であり、そして1300℃を超える温度で仮焼された試料1eの粉末から作製した焼結体において相対密度が95.2%であった。これらの結果は、表1にまとめて示されている。
Figure 2011195406
また、平面研削盤で焼結体を1.0mmの厚さまで削り取ってX線回折により結晶相分析を行ったところ、750℃と800℃で仮焼された試料1aと1bの粉末から作製した焼結体においてZnOとGaZnOとInの結晶の存在が確認され、950℃以上で仮焼された試料1c〜1eの粉末から作製した焼結体においてGaZnOとInの結晶の存在が確認された。
さらに、焼結体の結晶相の粒径が、分析型の走査電子顕微鏡(SEM)の反射電子像のコントラスト差により確認された。より具体的には、各コントラストに対応する結晶相を蛍光X線分析で同定し、各結晶相について20個の粒子の径を測定して平均粒径を算出した。その結果、750℃で仮焼された試料1aの粉末から作製した焼結体において、ZnOの粒径が1.3μm、GaZnOの粒径が13.6μm、そしてInの粒径が10.1μmであった。800℃で仮焼された試料1bの粉末から作製した焼結体においては、ZnOの粒径が0.7μm、GaZnOの粒径が6.0μm、そしてInの粒径が1.7μmであった。950〜1300℃で仮焼された試料1c〜1dの粉末から作製した焼結体においては、GaZnOの粒径が約2〜6μmで、Inの粒径が約1〜2μmであった。そして、1300℃を超える温度で仮焼された試料1eの粉末から作製した焼結体においては、GaZnOの粒径が19.4μmで、Inの粒径が8.3μmであった。これらの結果も、表1にまとめて示されている。
さらに、焼結体の断面積に占める結晶相の割合が、上述の分析型SEMの反射電子像の観察から調べられた。その結果、750℃で仮焼された試料1aの粉末から作製した焼結体においてZnO:GaZnO:In=32:18:50であり、800℃で仮焼された試料1bの粉末から作製した焼結体においてZnO:GaZnO:In=25:26:49であり、950〜1350℃で仮焼された試料1c〜1eの粉末から作製した焼結体おいてGaZnO:In=(47〜52):(48〜53)であった。これらの結果も、表1にまとめて示されている。
表1には試料1a〜1eの粉末から作製された焼結体の比抵抗も示されており、仮焼温度が800℃以上1300℃以下である試料2b〜2dによる焼結体において小さな比抵抗が好ましく得られていることが分かる。また、表1から分かるように、仮焼温度が800℃より高くて1300℃以下の範囲内であって、仮焼後の結晶相としてGaZnO相のみを含む場合が、その後の焼結体の高密度を得る観点から好ましい。
実施例2においても、実施例1の場合と同様にして、原料(1)のGa粉末と原料(2)のZnO粉末とが、ボールミルで湿式混合されて混合スラリーにされた。この混合スラリーは、自然乾燥された後に、大気炉にて950℃で仮焼された。得られた仮焼粉末に上記原料(3)のIn粉末が加えられ、ボールミルで6時間、12時間、24時間、および36時間混合してそれぞれ試料2a〜2dの混合スラリーが作製された。
これらの混合スラリーは、自然乾燥後に300℃で真空乾燥された。試料2a〜2dの乾燥粉末について粒径を粒度分布測定機で調べ、比表面積をBET測定装置で調べたところ、6時間混合された試料2aの乾燥粉末が5.7μmの粒径と8.7m/gの比表面積を有し、12〜24時間混合された試料2b〜2cの乾燥粉末が約1.0〜1.5μmの粒径と約12〜14m/gの比表面積を有し、そして36時間混合された試料2dの乾燥粉末が0.86μmの粒径と16.3m/gの比表面積を有していた。これらの結果は、表2にまとめて示されている。
Figure 2011195406
乾燥粉末の粒径が1.5μmを超える場合、GaZnO粉末の粉砕が不十分であって、その粉末粒度の影響によって緻密な焼結体が得られないとともに、その焼結体である導電性酸化物の不均一性を生じて電気特性を阻害するので好ましくない。他方、乾燥粉末の粒径が1μm未満の場合、混合装置と粉末の摩耗により不純物が混合物に混入するので、その混合物を焼結して得られる導電性酸化物をターゲットとするスパッタリングで成膜された酸化物半導体膜の電気特性および透過特性の劣化の原因となるので好ましくない。また、粒径が1μm未満の場合、粉末が嵩高くなって扱いが困難となるとともに、粉末同士の凝集が起こって焼結体が不均質になるので好ましくない。
試料2a〜2dの乾燥粉末は油圧プレス機にて200kg/cmの圧力下で成形された後に、CIPにて2ton/cmの圧力下でさらに成形された。これらの成形体は、実施例1の場合と同様に大気炉にて1300℃で焼結された。これらの焼結体の密度をアルキメデス法により測定したところ、6時間混合された試料2aの粉末から作製した焼結体の相対密度が94.0%であり、12〜24時間混合された試料2b〜2cの粉末から作製した焼結体の相対密度が約98〜100%であり、そして36時間混合された試料2dの粉末から作製した焼結体の相対密度が96.9%であった。これらの結果も、表2においてまとめて示されている。
また、平面研削盤で焼結体を1.0mmの厚さまで削り取ってX線回折により結晶相分析を行ったところ、混合時間が異なる試料2a〜2dのいずれの粉末から作製された焼結体においても、GaZnOとInの結晶の存在が確認された。さらに、焼結体の結晶相の粒径が、前述の分析型SEMの反射電子像のコントラスト差により確認された。その結果、6時間混合された試料2aの焼結体において、GaZnOの粒径が12.9μmであって、Inの粒径が4.6μmであった。また、12〜24時間混合された試料2b〜2cの焼結体において、GaZnOの粒径が約1〜3μmであって、Inの粒径が約1〜2μmであった。さらに、36時間混合された試料2dの焼結体において、GaZnOの粒径が6.4μmであり、Inの粒径が5.7μmであった。これらの結果も、表2にまとめて示されている。
表2には試料2a〜2dの粉末から作製された焼結体の比抵抗も示されており、混合時間が12時間以上36時間未満である試料2b〜2cによる焼結体において小さな比抵抗が好ましく得られていることが分かる。
(例3a〜3e)
ステップ1:原料粉末の粉砕混合
Ga粉末(純度99.99%、BET比表面積11m/g)およびZnO粉末(純度99.99%、BET比表面積4m/g)が、ボールミル装置を用いて3時間粉砕混合され、第1の混合物としてのGa−ZnO混合物が作製された。この際のmol混合比率は、Ga:ZnO=1:1である。なお、粉砕混合の際の分散媒としては、水が用いられた。粉砕混合後の第1の混合物は、スプレードライヤで乾燥された。
ステップ2:仮焼
得られた第1の混合物はアルミナ製ルツボに入れられ、大気雰囲気中で900℃の温度にて5時間の仮焼が行なわれ、こうして結晶質GaZnOからなる仮焼粉体が得られた。
ステップ3:In粉末との粉砕混合
得られたGaZnO仮焼粉体とIn粉末(純度99.99%、BET比表面積5m/g)とが、ボールミル装置を用いて6時間粉砕混合され、これによって第2の混合物としてのGaZnO−In混合物が作製された。この際のmol混合比率は、GaZnO:In=1:1である。なお、この際の粉砕混合の分散媒としても、水が用いられた。粉砕混合後の第2の混合物も、スプレードライヤで乾燥された。
ステップ4:成形および焼結
得られた第2混合物であるGaZnO−In混合粉体をプレスにより成形し、さらにCIPにより加圧成形し、直径100mmで厚さ約9mmの円板状の成形体を得た。得られた成形体を酸素雰囲気中にて所定温度で5時間焼成し、これによって焼結体が得られた。なお、このときの例3a〜3eに関するそれぞれの焼結温度は、表3にまとめて示されている。
Figure 2011195406
また、表3には、例3a〜3eの焼結体の断面におけるGaZnOの面積割合も示されている。焼結体の断面に占めるGaZnOとInの面積割合は、それらの結晶相をSEMの反射電子像を観察し、コントラストの白い粒子をInとしかつ濃いグレーの粒子をGaZnOとして面積割合を算出して求められた。
(例3f)
例3fにおいても、前述のステップ1と2は例3a〜3eの場合と同様である。しかし、例3fにおいては、ステップ3と4が部分的に変更されたことにおいて、例3a〜3eと異なっている。すなわち、例3fにおいては、前述のステップ3と4が下記のステップ3aと4aのように部分的に変更された。
ステップ3a:In粉末およびGaN粉末との粉砕混合
ステップ2の仮焼によって得られたGaZnO粉体とIn(純度99.99%、BET比表面積5m/g)粉末およびGaN(純度99.99%、BET比表面積2m/g)とが、ボールミル装置を用いて6時間粉砕混合された。このときのmol混合比率は、GaZnO:In:GaN=1:1:0.05であった。なお、分散媒には水が用いられ、粉砕混合後の混合物はスプレードライヤで乾燥された。
ステップ4a:成形および焼結
次に、得られたGaZnO−In−GaN混合粉体をプレスにより成形し、さらにCIPにより加圧成形し、直径100mmで厚さ約9mmの円板状の成形体を得た。得られた成形体は、1気圧のN雰囲気中において1390℃で5時間焼成することによって焼結体にされた。得られた焼結体は、直径が80mmに収縮し、厚さは約7mmに収縮していた。
例3fにおけるGaZnOの面積割合も、例3a〜3eの場合と同様に測定され、その結果も表3に示されている。
(例3g〜3s)
例3g〜3sにおける焼結体は、基本的には例3a〜3eにおける焼結体と同様に製造されたが、ステップ3におけるGaZnO粉体とIn粉末との粉砕混合において、添加元素を含む酸化物粉体(Al、SiO、TiO、V、Cr、ZrO、Nb、MoO、HfO、Ta、WO、SnO、Bi)が付加されて粉砕混合された点が異なっていた。添加元素の酸化物が、Al、Cr、Nb、Ta、またはBiである場合、mol混合比率はGaZnO:In:添加元素の酸化物=1:1:(0.1以下0.01以上)である。また、添加元素の酸化物が、SiO、TiO、ZrO、MoO、HfO、WO、またはSnOである場合、mol混合比率はGaZnO:In:添加元素の酸化物=1:1:(0.2以下0.02以上)である。以上のような例3g〜3sに関する結果も、表3にまとめて示されている。
なお、表中の添加元素濃度は、後述するスパッタリングによって堆積した膜をSIMS(二次イオン質量分析)で分析して、1cm当りの原子数(atom/cc)として求められた。
(例4a〜4d)
例4a〜4dにおける焼結体の作製過程は、前述の例3a〜3eに比べて、焼結温度が変更されたことのみにおいて異なっていた。例4a〜4dの焼結体に関する焼結温度およびGaZnOの面積割合が、表4にまとめて示されている。
Figure 2011195406
(例4e)
例4eにおける焼結体の作製過程は、前述の例3fに比べて、焼結温度が1375℃に変更されたことのみにおいて異なっていた。例4eの焼結体に関する焼結温度およびGaZnOの面積割合も、表4に示されている。
(例4f〜4r)
例4f〜4rにおける焼結体の作製過程は、前述の例3g〜3sにそれぞれ比べて、焼結温度が変更されたことのみにおいて異なっていた。例4f〜4rの焼結体に関する焼結温度およびGaZnOの面積割合も、表4にまとめて示されている。
(例5a)
例5aにおける焼結体の作製過程は、前述の例3a〜3eに比べて、焼結温度が1430℃に変更されたことのみにおいて異なっていた。この例5aで得られた焼結体は、InGaZnO結晶のみからなる単相であった。そして、この焼結体の結晶粒径は、X線回折のピーク半価幅から求められたところ3μmであった。
(比較例5a)
従来の導電性酸化物焼結体の作製方法に相当する比較例5aにおいては、例5aに比べてその作製方法が少し変更されていた。具体的には、以下のステップ1b〜3bを経て作製された。
ステップ1b:原料粉末の粉砕混合
このステップ1bは、前述のステップ1に比べて、In粉末(純度99.99%、BET比表面積5m/g)が最初からGa粉末およびZnO粉末に付加されて粉砕混合されることのみにおいて異なっていた。
ステップ2b:仮焼
ステップ1bで得られた混合粉末は、前述のステップ2の場合と同様の条件で仮焼され、それによって仮焼粉体が得られた。
ステップ3b:成形および焼結
ステップ2bで得られた仮焼粉体は一軸加圧成形によって成形され、直径100mmで厚さ約9mmの円板状の成形体が得られた。この成形体は酸素雰囲気中において1500℃で5時間焼成され、これよって焼結体が得られた。このとき得られた焼結体はInGaZnO結晶のみからなる単相であり、その結晶粒径は10μmであった。なお、焼結温度を1500℃から1430℃に変更した場合、InGaZnO単相の焼結体を得ることができなかった。
上述の例5aと比較例5aの焼結体をターゲットとするスパッタリングによって、IGZO膜が堆積された。この成膜には、DC(直流)マグネトロンスパッタ法が用いられた。ターゲットサイズは直径が76.2mmであって厚みが5mmであり、直径76.2mmの平面がスパッタ面であった。
まず、スパッタリング装置の成膜室内において、水冷している基板ホルダ上に、成膜用基板として25mm×25mm×0.6mmの合成石英ガラス基板が配置された。ターゲットは基板に対向して配置され、基板とターゲットとの距離は40mmであった。その後、成膜室内が、1×10−4Pa程度まで真空引きされ、ターゲットのプレスパッタが行なわれた。具体的には、基板とターゲットとの間にシャッターを入れた状態で、成膜室内へArガスを1Paの圧力まで導入し、30Wの直流電力を印加してスパッタリング放電を起こし、これによってターゲット表面のクリーニング(プレスパッタ)が10分間行なわれた。
その後、流量比で0.5%の酸素ガスを含むArガスが成膜室内へ0.4Pのスパッタ圧力まで導入され、50Wのスパッタ電力で厚さ200nmのIGZO膜が堆積された。このとき、基板ホルダに対しては、特にバイアス電圧は印加されておらず、水冷されているのみであった。以上のような成膜工程を30回繰り返した後のターゲット表面を倍率20の光学顕微鏡にて観察し、発生したノジュール量が計測された。その結果、比較例5aによるターゲットは、例5aによるターゲットに比べてノジュール量が2.4倍も多かった。
(例6a)
例6aとしては、上述の実施例2における試料2cの条件にて焼結体の作製を3回行って、得られた焼結体の断面におけるGaZnOの面積比が測定された。この例6aの結果が、表5に示されている。
Figure 2011195406
(例6b)
例6bでは、上述の実施例3における例3cの条件にて焼結体の作製を3回行って、得られた焼結体の断面におけるGaZnOの面積比が測定された。この例6bの結果も、表5に示されている。
(比較例6a)
比較例6aとして、上述の比較例5aの条件から焼結温度のみを1400℃に変更した条件にて焼結体の作製を3回行って、得られた焼結体の断面におけるGaZnOの面積比が測定された。この比較例6aの結果も、表5に示されている。
表5の結果から明らかなように、例6aと例6bでは複数回の焼結体の作製においてGaZnOの面積比の再現性が安定しているが、比較例6aではその再現性が極めて不安定であることが分かる。このことは、例6aと例6bでは焼結体中の結晶相の量の制御が容易であるが、比較例6aではそれが困難であることを意味している。
以上のように、本発明によれば、導電性酸化物焼結体に含まれる結晶相の種類や量の制御を容易化し得る導電性酸化物焼結体の製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. In、GaおよびZnを含む導電性酸化物焼結体を製造する方法であって、酸化亜鉛と酸化ガリウムの混合物を調製した後に仮焼することによってGaZnO粉体を形成する工程を含むことを特徴とする製造方法。
  2. 前記仮焼が800℃以上1300℃以下の温度で行なわれることを特徴する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記仮焼が酸素雰囲気中または大気雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記GaZnO粉体とInおよびOを含む粉体とを混合または粉砕混合して第2の混合物を調製し、前記第2の混合物の成形体を作製し、そして前記成形体を焼結する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記第2の混合物を調製するための混合時間が12時間以上36時間未満の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記第2の混合物は、11m/g以上15m/g以下の比表面積と1.0μm以上1.5μm以下の平均粒径との少なくとも一方の条件を満たすことを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
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