JP2011195095A - 燃料電池車両の水素ボンベ取付構造 - Google Patents

燃料電池車両の水素ボンベ取付構造 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池車両において、複数の水素ボンベを効果的に配置するとともに、運転者の跨ぎ性も維持できる足置き板の位置を確保する。
【解決手段】燃料電池50と、駆動モータを含む動力ユニット62と、VCU54、PDU56を備え、車両10本体を構成する一対のメインフレーム26に一対のアンダーフレーム28、28を連結するとともに、これら一対のアンダーフレーム28、28に複数本のサポートフレーム33、35とを連設し、これらに開閉自在な第1保持リング82、第2保持リング90及び第3保持リング98を開閉自在に固着し、これらに第1水素ボンベ200、第2水素ボンベ202及び第3水素ボンベ204を着脱自在に配置した。しかも、第2水素ボンベ202と第3水素ボンベ204の上面に運転者用の足置き部210a、210bを設け、運転者は第1水素ボンベ200を跨いで、前記足置き部210a、210bに左右の足を載置することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池車両の水素ボンベ取付構造に関し、一層詳細には、燃料電池二輪車や燃料電池三輪車における水素ボンベ取付構造に関する。
近時、燃料電池システムにより発電した電力をモータに供給し、このモータによって車輪を駆動する燃料電池車両が開発されている。この燃料電池システムでは、反応ガス(酸素)と燃料ガス(水素)を燃料電池(燃料電池スタック)に供給し、該燃料電池で電気化学反応を生じさせることで発電し、その電力は、前記のように、モータの駆動電力として利用される。通常、反応ガスは、空気中からコンプレッサ等を介して取り込まれ、燃料ガスは燃料電池車両に搭載した燃料ボンベ(水素ボンベ)から供給される。
特許文献1は、水素ガス等の燃料ガスを貯蔵する燃料ボンベと、この燃料ボンベから燃料ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、前記燃料電池で発電された電力を貯蔵する二次電池とを備えた燃料電池二輪車を開示している。この特許文献1に開示されている燃料電池二輪車は、いわゆる鞍乗り型であるために、運転者の足を載置するためのステップは、通常のガソリンエンジンを利用する自動二輪車と同様に、燃料ボンベの搭載位置に拘りなく設定される。実際、特許文献1に開示されている燃料電池車両では、燃料電池と燃料ボンベと二次電池の3者を略上下に重なる状態で配設支持したことにより、燃料電池車両を構成する主要コンポーネントが集中配置化され、それによって組立性、メンテナンス性が向上するとともに、スペースが効率的に利用され、さらに、重量物の集中配置により、マスが集中化し、前輪及び後輪への荷重分担が適正化されて車両の運動性能及び操縦安定性が向上する、との技術的効果がうたわれている。
特開2009−78624号
しかしながら、燃料ボンベを、例えば、スクータタイプの燃料電池二輪車に搭載する場合には、運転者が着座するシートの前方且つ下方に足置き場所を設ける必要があり、その足置き場所近傍に前記燃料ボンベを配置しようとすると、両者の位置関係を十分に考慮しなければならない。特に、走行距離を十分に確保すべく燃料ボンベを複数個搭載するようなスクーターである場合には、これら複数の燃料ボンベと、スクーターの足置き場所の配置位置に工夫しなければならないことは言うまでもない。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであって、複数の水素ボンベを搭載する燃料電池車両において、当該車両の低重心化を確保しながら走行距離の延長を図ることができ、さらに、運転者の足の跨ぎ性をも向上させることが可能である燃料電池車両の水素ボンベ取付構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本願の請求項1で特定される発明は、運転者が着座するシートの下方に配置され、高圧の水素ガスが充填される複数の水素ボンベ(200、202、204)と、前記水素ボンベ(200、202、204)から供給される水素と空気とを反応させることにより、燃料電池車両(10)の走行に必要な電力を生成する燃料電池(50)と、前記燃料電池(50)から供給される電力に基づいて前記燃料電池車両(10)の駆動力を生成するモータを含む動力ユニット(62)と、前記動力ユニット(62)における出力の制御を行なう制御部(54、56)を備えた燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記複数の高圧な水素ボンベ(200、202、204)は、その長手方向が燃料電池車両(10)の前後方向を指向するように配置され、前記それぞれの水素ボンベ(200、202、204)同士は、前記燃料電池車両(10)の幅方向の左右に隣接して設けられる少なくとも第1乃至第3の水素ボンベ(200、202、204)を有し、前記第1乃至第3の水素ボンベ(200、202、204)は俵積み状態で配置されるとともに、前記第2と第3の水素ボンベ(202、204)の上部に運転者用足置き部(210a、210b)が形成されたことを特徴とする。
このように、運転者の足置き部(210a、210b)の下方に隣接して、比較的重量がある第2と第3の水素ボンベ(202、204)を配置し、さらに、これら第2と第3の水素ボンベ(202、204)の間に第1の水素ボンベ(200)を設けたので、燃料ガスとして供給される水素ガスの貯蔵量が増大し、これによって、燃料電池車両(10)の走行距離が著しく向上するとともに、運転者は前記第2と第3の水素ボンベ(202、204)の上部に設けられた足置き部(210a、210b)にそれぞれ足を載置することができるため、跨ぎ性が向上するという効果が得られる。
本願の請求項2で特定される発明は、請求項1記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記第1の水素ボンベ(200)の長手方向長さをそれよりも下方に配置された第2と第3の水素ボンベ(202、204)よりも短くし、前記第1水素ボンベ(200)の一方の端部は燃料電池50に未達の部位で終端することを特徴とする。
これによって燃料電池車両(10)の前後方向における長さを短くすることができ、一層燃料電池車両(10)の小型化を図ることが可能となるとともに、重量バランスの向上をも達成することができるという利点が得られる。
本願の請求項3で特定される発明は、請求項2記載の燃料電池車両において、前記燃料電池(50)が、その長手方向が燃料電池車両(10)の長手方向に対して略垂直になるように配置されたことを特徴とする。
燃料電池(50)を燃料電池車両(10)の長手方向に対して略垂直にすることによって、さらに燃料電池車両(10)の前後方向の長さを短くすることができ、小型化を一層促進することが可能となる。
本願の請求項4で特定される発明は、請求項3記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記燃料電池(50)が、運転者が着座するシートの下方に配置されることを特徴とする。
このような構成によって、比較的重量の大きな燃料電池(50)を燃料電池車両(10)の略中心部に配置できるため、燃料電池車両(10)自体の重量バランスを一層向上させることができる。
本願の請求項5で特定される発明は、請求項1乃至請求項4記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記複数の水素ボンベ(200、202、204)が、それぞれ締結手段(82、90、98)によって燃料電池車両(10)に取り付けられることを特徴とする。
それによって、複数の水素ボンベ(200、202、204)を燃料電池車両(10)に対して、個々に強固に固定させることが可能となるとともに、必要に応じて締結手段(82、90、98)を緩めて個々に水素ボンベ(200、202、204)を取り外すこともでき、メンテナンス性が一層よくなるという効果を奏する。
本願の請求項6で特定される発明は、請求項5記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記締結手段(82、90、98)が前記水素ボンベ(200、202、204)の直径に対応する保持リング(82、90、98)からなり、前記保持リング(82、90、98)は半円状の固定ハーフリング(84a、92a、100a)と、前記固定ハーフリング(84a、92a、100a)に対して開閉自在な可動ハーフリング(84b、92b、100b)からなることを特徴とする。
本願の請求項6で特定される発明によれば、締結手段としての保持リング(82、90、98)を固定ハーフリング(84a、92a、100a)と、それに対して開閉自在な可動ハーフリング(84b、92b、100b)で構成したので、廉価であるとともに、堅牢に水素ボンベ(200、202、204)を保持できる効果が得られる。
本願の請求項7で特定される発明は、請求項6記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記水素ボンベ(200、202、204)が、少なくとも前記第1の水素ボンベ(200)の直径が前記第2又は第3の水素ボンベ(202、204)の直径よりも小であり、前記第1保持リング(82)の内径は前記第2又は第3の保持リング(90、98)の内径よりも小であることを特徴とする。
本願の請求項7で特定される発明によれば、第1の水素ボンベ(200)に対して、その直径外周に適合する第1保持リング(82)を用い、第2の水素ボンベ(202)、第3の水素ボンベ(204)の直径外周に適合する第2と第3の保持リング(90、98)を用いているので、前記水素ボンベ(200、202、204)に対する緊締度が著しく向上する効果が得られる。
本願の請求項8で特定される発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記第1水素ボンベ(200)を包被するカバー(212)を設け、前記カバー(212)は前記運転者用足置き部(210a、210b)と一体的に構成されていることを特徴とする。
本願の請求項8で特定される発明によれば、第1水素ボンベ(200)を包被するカバー(212)と足置き部(210a、210b)を一体構成したので、剛性が増し、しかも部品点数も少なく、取り付け工数も削減できるという効果が得られる。
本願の請求項9で特定される発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記燃料電池車両(10)が、スクータタイプであることを特徴とする。
本願の請求項9で特定される発明によれば、燃料電池車両(10)がスクータタイプであるので、一層足跨ぎ性が向上するという利点がある。
以上のように、本発明によれば、燃料電池車両(10)において、第1乃至第3の水素ボンベ(200、202、204)を恰も俵積みのように配置したので、重量バランスを向上させることが可能となり、しかも少なくとも第1乃至第3の水素ボンベ(200、202、204)を備えることから走行距離が延長され、さらに第1の水素ボンベ200の両側に足を載せることが可能であるために跨ぎ性が向上し、小型化が一層促進され、且つ維持管理も容易である等の効果が得られる。
図1は、本発明に係る燃料電池車両の、特に、水素ボンベを取り除いた燃料電池二輪車の骨格を示す要部斜視説明図である。 図2は、図1に示される燃料電池二輪車の、特に、水素ボンベを取り付けるための第1乃至第3保持リングを装着した状態の要部斜視説明図である。 図3は、図1及び図2に示される燃料電池二輪車の、特に、水素ボンベを取り付けた状態の要部斜視説明図である。 図4は、燃料電池二輪車に他の機器を組み込んだ状態の要部左側面図である。 図5は、燃料電池二輪車に他の機器を組み込んだ状態の要部右側面図である。 図6は、燃料電池二輪車に他の機器を組み込んだ状態の要部背面図である。 図7は、燃料電池二輪車に組み込まれる第1乃至第3保持リングの斜視説明図である。 図8は、図7に示される第1乃至第3保持リングの固着関係を示す正面説明図である。 図9は、水素ボンベを俵積み状態にした概念図を示す説明図である。
以下、本発明に係る燃料電池車両の水素ボンベ取付構造について、それを組み込む燃料電池二輪車との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、この水素ボンベ取付構造は、燃料電池三輪車の如く、他の形式の燃料電池車両にも用いることが可能であることは言うまでもない。
先ず、本発明では、図9に示すように、長尺で且つ大径な2本の第2と第3の水素燃料貯留ボンベ(以下、水素ボンベという)B1、B2をその長手方向が平行となるように配置し、これらの水素ボンベB1、B2の境界部分上部に第1の水素ボンベAを配置することを基本概念とする。第1水素ボンベAの直径は、第2と第3の水素ボンベB1、B2と同径であってもよいが、場合によっては、これら第2と第3の水素ボンベB1とB2よりも小径であってもよく、また、必要に応じてこれらよりも大径でもよい。さらに、前記第1水素ボンベAの長さは、前記第2と第3の水素ボンベB1、B2と同じ長さであってもよいが、それらよりも短い場合が好ましいこともある。勿論、第1水素ボンベAの長さが、前記第2と第3の水素ボンベB1、B2よりも長いこともあり得る。なお、図9では、前記第2と第3の水素ボンベB1、B2の周壁が互いに接しているように図示されているが、互いに離間して延在してもよいことは勿論である。
図1〜3は、本発明に係る燃料電池二輪車の骨格を示す要部斜視説明図であり、図4は、図1に示す燃料電池二輪車に種々の機器を組み込んだ状態の左側面図であり、図5は、図1乃至図3の燃料電池二輪車に種々の機器を組み込んだ状態の右側面図である。
本実施形態に係る燃料電池車両としての鞍乗り型燃料電池二輪車10は、操舵輪としての前輪12を保持するフロントフォーク14を有し、前記フロントフォーク14は、ヘッドパイプ16に回動自在に軸支されている。ヘッドパイプ16は、ステアリングシステム18を構成し、前記ステアリングシステム18は、前記フロントフォーク14を介して前記前輪12を所望の方向に変位させるための操向ハンドル20を含む。フロントフォーク14の下端部側には、フロントサスペンション22、22が、前記前輪12を跨ぐように設けられ、その一方の側には、ブレーキ系24が設けられて、図示しない運転者の操作下に前輪12に対しての制動動作を行なうよう構成されている。
左右一対のメインフレーム26、26は、それぞれその一端部がヘッドパイプ16に接続される一方、他端部は下方へと延在して一対のアンダーフレーム28、28の途上に連結されている。前記一対のアンダーフレーム28、28は、前記のように、メインフレーム26、26の連結部位からその前方且つ水平方向へと若干延在して後、立ち上がり、その一端部は、ヘッドパイプ16の下端側の高さまで延在する。メインフレーム26、26の途上には、それぞれ湾曲するサブフレーム30、30の一端部が接続されるとともに、このサブフレーム30、30の他端側は、ヘッドパイプ16の下端部に接続されている。前記アンダーフレーム28、28の一端部は、メインフレーム26、26側へと立ち上がった後、前記サブフレーム30、30に連結される。
一対のアンダーフレーム28、28の隅角部には、ロッド32が橋架されて、該アンダーフレーム28、28やメインフレーム26、26の剛性を高めている。それぞれのアンダーフレーム28、28の立ち上がり部位の下部には、外方へと延在する短尺なロッド34、34が設けられる。アンダーフレーム28、28の下端側は、一方において後方へと水平方向に延在し、その端部が若干屈曲して立ち上がる形状を有している。前記ロッド34、34から前記アンダーフレーム28、28の立ち上がり部位の直前に至るように、第1サポートフレーム29、29が橋架されている。アンダーフレーム28、28のメインフレーム26、26の連結部分からやや後方向にあって、第2サポートフレーム33、33がそれぞれ一旦外方へと指向して立ち上がって後、屈曲して内側に指向して撓曲する。前記第2サポートフレーム33、33の先端部は互いに対面して、その間にスペースが形成される。前記メインフレーム26、26の途上にも、それぞれ内方へと指向して延在する第3サポートフレーム35、35が突出形成され、その先端部は第2サポートフレーム33、33の間隔と同距離で離間し且つ互いに対向して終端する。アンダーフレーム28、28には、さらに、前記第2サポートフレーム33、33の立ち上がり位置に対応し且つ前記アンダーフレーム28、28の下方へと屈曲して橋架される第4のサポートフレーム37が設けられる。
このように構成されるアンダーフレーム28、28の後方へと延在する水平部分には、立ち上がりフレーム36、36が立設され、この立ち上がりフレーム36、36の終端部から後方へとリアフレーム38、38が延在する。立ち上がりフレーム36、36とリアフレーム38、38とは同一の金属製パイプで形成されることが好ましいが別体であってもよい。さらに、一対のアンダーフレーム28、28の他端側には、環状部材42、42を介して略U字状の第5のサポートフレーム44が橋架されている。前記一対の立ち上がりフレーム36の下端部内側に支持板46が固定され、この支持板46に燃料電池50が垂直方向へと立ち上がって位置決め固定される。
水平方向へと延在するリアフレーム38、38には、図示しない荷台が渡架されるとともに、このリアフレーム38、38には、制御部としてのVCU54(電圧制御ユニット)とPDU56(パワードライブユニット)が固定される。前記リアフレーム38の下方に後輪60が配設される。前記後輪60は、駆動モータを含む動力ユニット62によって回転駆動される。前記動力ユニット62は、一対の立ち上がりフレーム36、36の他端部に固着されている環状部材42、42の内部に図示しない軸部材を挿通することで燃料電池二輪車10の一側部に保持され、リアサスペンション64により揺動自在である。
前記一側部には、図1に示すように、後述する第1乃至第3の水素ボンベから供給される高圧の水素ガスを徐々に減圧して前記燃料電池50へと供給するための水素ガス供給系66a〜66cが設けられるとともに、緊急時に水素ガスを地面方向に指向して放出するための緊急開放弁68が設けられている(図4参照)。
一方、この燃料電池二輪車の他側部には、図6に示すように、燃料電池50に対して所定圧の酸素(反応ガス)を供給するための過給機70、前記燃料電池50を適度に加湿することにより水素と酸素とを電気化学反応させるための加湿器72及び後述する水素ボンベに変圧の水素ガスを充填するための水素充填口74が設けられている(図5参照)。なお、該燃料電池50内で水素と酸素とが電気化学反応することによって生成された水は、後輪60に近接して配設されている生成水排出部76から外部へと排出される。
この場合、特に、本実施の形態に係る燃料電池二輪車10では、後輪60を中心に考えるとき、その一側部に動力ユニット62、リアサスペンション64、水素ガス供給系66a、66b、緊急開放弁68を設け、他側部に過給機70、加湿器72及び水素充填口74を設けている。VCU54、PDU56の配置位置と相俟って燃料電池二輪車10の重量バランスを考慮したためである。
ところで、燃料電池50は、その作動中温度制御される必要がある。最適な条件下で水素と酸素とを電気化学反応させたりするためである。そこで、前記燃料電池50に冷却用媒体を供給すべくポンプ78が前記メインフレーム26とアンダーフレーム28との間に設けられ、図示しない配管系を介して燃料電池50に連結されている。
さらに、燃料電池二輪車10には、前記アンダーフレーム28、28を利用して、一対の二次電池80、80が設けられる。前記燃料電池50で発電された電力を蓄え、回生動作時に発生する電力を蓄え、また、前記動力ユニット62に対して駆動用電力を供給するとともに、電装部品、例えば、VCU54、PDU56、前燈灯等に必要とされる電力を供給するためである。
そこで、本実施の形態では、第3サポートフレーム35、35の間の先端部に形成された空間に金属製板状体を環状に形成した第1保持リング82を設ける。図7に示すように、第1保持リング82は、一組の固定ハーフリング84aと可動ハーフリング84bとからなり、前記固定ハーフリング84aと可動ハーフリング84bの一端部は、ヒンジ部材86によって開閉自在に係着され、他端部はフランジに形成された穴にボルト88を挿通してナットで緊締されるように構成されている。さらに、前記第1保持リング82の下部に、第2保持リング90と、この第2保持リング90に軸芯を平行とする第3保持リング98が溶接等によって固着される。第2保持リング90は、一方の固定ハーフリング92aと他方の可動ハーフリング92bによって環状を呈する幅広な金属製板状体からなり、その一端部がヒンジ部材94によって開閉自在に係着されるとともに、その直径方向の他端部は、ボルト96によって締付けることができる。同様に、第3保持リング98の一方の固定ハーフリング100aと、他方の可動ハーフリング100bは、その一端部がヒンジ部材102によって開閉自在に係着され、直径方向にある他方の端部は、ボルト104によって締付けることができる。一対の第2サポートフレーム33、33にも、第3サポートフレーム35、35と同様に、前記第1保持リング82、第2保持リング90、第3保持リング98が固着される。
前記第1保持リング82、第2保持リング90及び第3保持リング98には、前記水素充填口74から充填された高圧の水素ガスを貯蔵するための第1水素ボンベ200、第2水素ボンベ202及び第3水素ボンベ204が取り付けられる。すなわち、ボルト88、96、104をそれぞれ緩めることによってヒンジ部材86、94、102を介して可動ハーフリング84b、92b、100bを開成し、前記第1〜第3の水素ボンベ200、202、204を固定ハーフリング84a、92a、100a上に載置した上で、前記ヒンジ部材86、94、100を介して前記可動ハーフリング84b、92b、100bを開成し、再びボルト88、96、104を螺回する。これによって、第1〜第3水素ボンベ200、202、204がしっかりと固定されることになる。なお、この場合、第1水素ボンベ200は、第2水素ボンベ202及び第3水素ボンベ204よりもその長手方向の長さが短尺に形成されているとともに、その直径もこれら第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204よりも小径である。従って、第1水素ボンベ200の一方の端部は、燃料電池50の正面まで延在して当接することはなく未達状態である。第2水素ボンベ202及び第3水素ボンベ204の一方の端部は、燃料電池50を支持する支持板46の下方まで延在する。
このように配置される第2水素ボンベ202と第3水素ボンベ204の上部にメインフレーム26、26及び立ち上がりフレーム36を利用して、これらの第2と第3の水素ボンベ202、204を包被すべく一対の平板状の足置き部210a、210bが互いに平行に離間して設けられる。好ましくは、足置き部210a、210bの離間する空間であって、第1水素ボンベ200の上方に湾曲して上方へと膨出するカバー212を設けておくとよい。好ましくは、前記足置き部210a、210b及びカバー212は、合成樹脂で且つ一体成形品としてもよい。特に、カバー212の膨出する半径は、第1水素ボンベ200の直径と略同等とすると運転者の足の邪魔にならない。
なお、図中、参照符号250は、前記過給機70を介して燃料電池50へ清浄な空気を供給するために用いられるエアクリーナを示す。
本実施の形態に係る水素ボンベ取付構造を組み込む燃料電池二輪車10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
前記水素充填口74を介して第1水素ボンベ200、第2水素ボンベ202及び第3水素ボンベ204に水素ガスが十分に充填された状態において、燃料電池二輪車10を起動させると、エアクリーナ250から清浄化された空気が、前記過給機70を経て燃料電池50に供給される一方、前記第1水素ボンベ200乃至第3水素ボンベ204のいずれか、または、それらの複数から前記燃料電池50に燃料ガスとしての水素ガスが供給される。この場合、前記第1水素ボンベ200乃至第3水素ボンベ204の水素ガス取り出し口は、第1乃至第3のレギュレータを含む水素ガス供給系66a〜66cを介して所定の圧力に減圧された状態で導入される。燃料電池50内では、前記エアクリーナ250から導入された空気中に含まれる酸素と、前記第1水素ボンベ200乃至第3水素ボンベ204のいずれかから供給される低圧の水素ガスが、電気化学的に反応して、所定の直流電流が取り出され、動力ユニット62に供給される。
図示しない運転者が、操向ハンドル20を操作して、燃料電池二輪車10の走行が開始されると、燃料電池50内において、電気化学的に反応した際に生ずる生成水は、生成水排出部76から外部へと排出され、また、前記電気化学反応に対して余剰に供給される水素ガスは、必要に応じて緊急開放弁68を介して排出口300から外部へと排出される。なお、生成水は、動力ユニット62の内部を介して生成水排出部76へと排出されるため、排出中の生成水が凍りついた場合、動力ユニット62を構成するモータのコイルを発熱させることで解凍することができる。例えば、始動の際、排出道路中の生成水が凍っていると判断されたとき、前記モータの一部のコイルにのみ送電させて燃料電池二輪車10を発進しないようにして発熱させることができる。凍結の判断は、始動時の燃料電池50内の圧力が所定値よりも高いか否かに基づいてなされる。VCU54、PDU56は、走行途中において、それぞれの制御機能や駆動機能を達成する。ポンプ78は、燃料電池50に対する冷却用媒体を供給するために、所定の温度を閾値として必要な冷媒を循環させる。燃料電池50によって得られた電力は、前記のように、動力ユニット62に供給されて駆動モータを付勢制御するとともに、二次電池80、80は、駆動作用に対する余剰の電力、あるいはブレーキ系24を用いて制動動作を行なうことによって生ずる回生電力を蓄えるために機能する。
そこで、本実施の形態においては、第2サポートフレーム33、33、第3サポートフレーム35、35によって、第1水素ボンベ200乃至第3水素ボンベ204を保持している。そして、この第4サポートフレーム33、33、第3サポートフレーム35、35に関連して、前記第1水素ボンベ200乃至第3水素ボンベ204の外周直径に適合する締結手段としての第1保持リング82、第2保持リング90及び第3保持リング98を開閉自在に配設し、これらの第1保持リング82、第2保持リング90、第3保持リング98によって、前記第1水素ボンベ200乃至第3水素ボンベ204を、停止中はもとより、走行中にあっても十分に保持できるように構成した。しかも、第2水素ボンベ202と第3水素ボンベ204の境界部分において、その上方に第1水素ボンベ200を保持して、恰も俵積み状態として、これらの水素ボンベ200、202及び204を固定している。
そして、第1水素ボンベ200と第2水素ボンベ202の上面に運転者の左右の足を載置するための足置き部210a、210bを設けた。比較的重量に富む第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204を燃料電池二輪車10の車両本体の下部に設けたので、それらの配置位置が低いがゆえに、低重心化を図ることができる。しかも、これらの第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204の直径よりも小さい第1水素ボンベ200を、これら第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204の境界部分の上部に配置したので、運転者の両足を、この第1水素ボンベ200を中心にその左右両側にある足置き部210a、210bに載置することができる。それによって、運転者の足の跨ぎ性が向上する利点が得られる。
勿論、走行に際しては、前記第1水素ボンベ200、第2水素ボンベ202及び第3水素ボンベ204を同時に開放することなく、第2水素ボンベ202の水素ガスが使い尽くされた後、第3水素ボンベ204の水素ガスを燃料電池50に供給し、この第3水素ボンベ204の水素ガスが使い尽くされた後、第1水素ボンベ200の水素ガスを燃料電池50に供給するように、水素ガス供給系66a〜66cを制御すれば、長距離走行であっても必要な十分の水素ガスをこれらの水素ボンベ200、202、204に蓄えることができる。さらに、常時は第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204の水素ガスを使用するように制御しておけば、万が一、これらの水素ボンベ202、204の水素ガスが途切れそうになったとき、初めて第1水素ボンベ200の水素ガスを緊急用として使うことができるという利点がある。
また、本実施の形態によれば、第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204の長手方向の長さよりも、第1水素ボンベ200のその長さを短くし、燃料電池50の正面よりも前方において終端するように構成し、第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204は、その端部が支持板46の下方へと回り込んでいる。例えば、補助的に用いられる第1水素ボンベ200によって燃料電池二輪車10の車両の前後方向における長さを大きくすることなく、小型化を図るという効果を達成でき、また重量バランスもよい。すなわち、第1水素ボンベ200を第2水素ボンベ202と第3水素ボンベ204の間に配置することにより、第1水素ボンベ200が車両の中心に位置することから、重量バランスの向上も図ることができる。
また、燃料電池50は、第1水素ボンベ200、第2水素ボンベ202、第3水素ボンベ204の長手方向に対して、直交して起立した状態で配置されている。これによっても比較的長尺な燃料電池50が垂直方向に指向しているために、燃料電池二輪車10自体の長さも一層短くすることができるという利点がある。しかも、燃料電池50は、運転者が着座するシートの下方に配置され(図4、図5の二点鎖線参照)、しかも燃料電池二輪車10の中心部分に位置することから、該燃料電池二輪車10の前後方向のバランス性や左右方向のバランス性にも優れる。さらに、第1水素ボンベ200、第2水素ボンベ202及び第3水素ボンベ204は、第1保持リング82、第2保持リング90及び第3保持リング98が開閉自在であり、また、固定する際にはボルト88、96、104によって十分にこれらの第1乃至第3水素ボンベ200、202、204を保持することができるので、安定性を増すことができるとともに、維持管理が容易となる。すなわち、第1保持リング82、第2保持リング90、第3保持リング98のそれぞれのボルト88、96、104をはずすことによって容易に第1乃至第3水素ボンベ200、202、204の着脱が可能であり、メンテナンス性に優れるという利点が得られる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…燃料電池二輪車
16…ヘッドパイプ
20…操向ハンドル
26…メインフレーム
28…アンダーフレーム
29、33、35、37、44…サポートフレーム
36…立ち上がりフレーム
38…リアフレーム
50…燃料電池
82…第1保持リング
90…第2保持リング
98…第3保持リング
200…第1水素ボンベ
202…第2水素ボンベ
204…第3水素ボンベ

Claims (9)

  1. 運転者が着座するシートの下方に配置され、高圧の水素ガスが充填される複数の水素ボンベ(200、202、204)と、
    前記水素ボンベ(200、202、204)から供給される水素と空気とを反応させることにより、燃料電池車両(10)の走行に必要な電力を生成する燃料電池(50)と、
    前記燃料電池(50)から供給される電力に基づいて前記燃料電池車両(10)の駆動力を生成するモータを含む動力ユニット(62)と、前記動力ユニット(62)における出力の制御を行なう制御部(54、56)を備えた燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、
    前記複数の高圧な水素ボンベ(200、202、204)は、その長手方向が燃料電池車両(10)の前後方向を指向するように配置され、前記それぞれの水素ボンベ(200、202、204)同士は、前記燃料電池車両(10)の幅方向の左右に隣接して設けられる少なくとも第1乃至第3の水素ボンベ(200、202、204)を有し、前記第1乃至第3の水素ボンベ(200、202、204)は俵積み状態で配置されるとともに、前記第2と第3の水素ボンベ(202、204)の上部に運転者用足置き部(210a、210b)が形成されたことを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  2. 請求項1記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記第1の水素ボンベ(200)の長手方向長さをそれよりも下方に配置された第2と第3の水素ボンベ(202、204)よりも短くし、前記第1の水素ボンベ(200)の一方の端部は燃料電池(50)に未達の部位で終端することを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  3. 請求項2記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記燃料電池(50)は、その長手方向が燃料電池車両(10)の長手方向に対して略垂直になるように配置されたことを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  4. 請求項3記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記燃料電池(50)が、運転者が着座するシートの下方に配置されることを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  5. 請求項1乃至請求項4記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記複数の水素ボンベ(200、202、204)は、それぞれ締結手段(82、90、98)によって燃料電池車両(10)に取り付けられることを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  6. 請求項5記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記締結手段(82、90、98)は前記水素ボンベ(200、202、204)の直径に対応する保持リング(82、90、98)からなり、前記保持リング(82、90、98)は半円状の固定ハーフリング(84a、92a、100a)と、前記固定ハーフリング(84a、92a、100a)に対して開閉自在な可動ハーフリング(84b、92b、100b)からなることを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  7. 請求項6記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記水素ボンベ(200、202、204)は、少なくとも前記第1の水素ボンベ(200)の直径が前記第2又は第3の水素ボンベ(202、204)の直径よりも小であり、前記第1保持リング(82)の内径は前記第2又は第3の保持リング(90、98)の内径よりも小であることを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記第1の水素ボンベ(200)を包被するカバー(212)を設け、前記カバー(212)は前記運転者用足置き部(210a、210b)と一体的に構成されていることを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の燃料電池車両の水素ボンベ取付構造において、前記燃料電池車両(10)は、スクータタイプであることを特徴とする燃料電池車両の水素ボンベ取付構造。
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