JP2011194939A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両走行時における機関の始動時にて、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる車両用動力伝達装置を提供すること。
【解決手段】この車両用動力伝達装置1は、トルクコンバータ2がステータ23の回転を許容または禁止するブレーキBsを有している。そして、車両走行時にて機関を始動させるときに、車速Vが所定の閾値V1より大きいときには、ブレーキBsがステータ23の回転を許容することにより機関を始動させる。また、車速が所定の閾値V2よりも小さいときには、第一モータ・ジェネレータ31が駆動トルクを発生して機関を始動させている。
【選択図】図1
【解決手段】この車両用動力伝達装置1は、トルクコンバータ2がステータ23の回転を許容または禁止するブレーキBsを有している。そして、車両走行時にて機関を始動させるときに、車速Vが所定の閾値V1より大きいときには、ブレーキBsがステータ23の回転を許容することにより機関を始動させる。また、車速が所定の閾値V2よりも小さいときには、第一モータ・ジェネレータ31が駆動トルクを発生して機関を始動させている。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両用動力伝達装置に関し、さらに詳しくは、車両走行時における機関の始動時にて、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる車両用動力伝達装置に関する。
近年の動力伝達装置では、車両走行中に内燃機関を始動させる制御が行われる場合がある。例えば、車両の走行状態(車速およびアクセル開度)がモータ走行領域からエンジン走行領域に移行するときに、車両の駆動力源をモータ・ジェネレータから内燃機関に切り替える。このとき、内燃機関の始動制御が必要となる。
かかる内燃機関の始動制御では、逆駆動トルクを用いて内燃機関を始動する場合がある。例えば、トルクコンバータと変速機との間にモータ・ジェネレータが配置され、このモータ・ジェネレータの駆動トルクが用いられて内燃機関が始動されている。このとき、一般には、トルクコンバータのロックアップクラッチを係合状態として、内燃機関への逆駆動トルクの伝達経路が確保されている。かかる構成を採用する従来の動力伝達装置には、特許文献1に記載される技術が知られている。
しかしながら、従来の動力伝達装置では、逆駆動トルクの伝達によりショックが発生する。すると、このショックがロックアップクラッチの係合時にて、発生する可能性がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両走行時における機関の始動時にて、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる車両用動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる車両用動力伝達装置は、機関と、前記機関の駆動トルクを車軸に伝達する流体式のトルクコンバータと、前記機関に連結される回転機とを備える車両用動力伝達装置であって、前記トルクコンバータが、作動流体を介して相互にトルクを伝達するインペラおよびタービンと、前記インペラおよび前記タービン間にて回転可能に配置されると共に固定状態にて前記インペラおよび前記タービン間の伝達トルクを増幅するステータと、前記ステータの回転を許容または禁止するステータ制御手段とを有し、且つ、車両走行時にて前記機関を始動させるときに、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値より大きいときは、前記ステータ制御手段が前記ステータの回転を許容することにより機関を始動させると共に、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値よりも小さいときは、前記回転機が駆動トルクを発生して前記機関を始動させることを特徴とする。
この車両用動力伝達装置は、車軸からの逆駆動トルクがトルクコンバータを介して機関に伝達されるので、逆駆動トルクの伝達によるショックがトルクコンバータに吸収されて緩和される。これにより、ロックアップクラッチの係合により機関を始動させる場合と比較して、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる利点がある。一方、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値よりも小さいときには、回転機が駆動トルクを発生して機関を始動させる。これにより、車両の低速走行時にも、適正に機関を始動させ得る利点がある。
また、この発明にかかる車両用動力伝達装置は、機関と、前記機関の駆動トルクを車軸に伝達する流体式のトルクコンバータと、前記機関に連結される回転機とを備える車両用動力伝達装置であって、前記トルクコンバータが、作動流体を介して相互にトルクを伝達するインペラおよびタービンと、前記インペラおよび前記タービン間にて回転可能に配置されると共に固定状態にて前記インペラおよび前記タービン間の伝達トルクを増幅するステータと、前記ステータのスリップ率の制御により前記トルクコンバータの逆駆動時容量係数を制御するステータ制御手段を備え、且つ、車両走行時にて前記機関を始動させるときに、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値より大きいときは、前記ステータ制御手段が前記トルクコンバータの逆駆動時容量係数を所定値以上まで増加させることにより機関を始動させると共に、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値よりも小さいときは、前記回転機が駆動トルクを発生して前記機関を始動させることを特徴とする。
この車両用動力伝達装置は、例えば、ステータの回転が許容されているが、トルクコンバータの逆駆動時容量係数が小さいため機関が逆駆動トルクにより回転できないときに、トルクコンバータの逆駆動時容量係数を増加させる。これにより、逆駆動トルクを用いた機関の始動が可能となる利点がある。
また、この発明にかかる車両用動力伝達装置は、前記回転機を第一回転機と呼ぶと共に、前記トルクコンバータを介して前記機関に連結される第二回転機を備え、且つ、前記第二回転機を用いた回生走行時にて、前記ステータ制御手段が前記トルクコンバータの逆駆動時容量係数を減少させる。
この車両用動力伝達装置は、例えば、回生走行時にて、ステータのスリップ率を小さく設定してステータを係合状態に近づけ、トルクコンバータの逆駆動時容量係数を減少させる。これにより、機関の引き摺りトルクが低減されて、第二回転機の回生量が増加する利点がある。
この発明にかかる車両用動力伝達装置は、車軸からの逆駆動トルクがトルクコンバータを介して機関に伝達されるので、逆駆動トルクの伝達によるショックがトルクコンバータに吸収されて緩和される。これにより、ロックアップクラッチの係合により機関を始動させる場合と比較して、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる利点がある。一方、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値よりも小さいときには、回転機が駆動トルクを発生して機関を始動させる。これにより、車両の低速走行時にも、適正に機関を始動させ得る利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[動力伝達装置]
この動力伝達装置(車両用動力伝達装置)1は、内燃機関の動力を車軸に伝達する装置であり、例えば、内燃機関とモータ・ジェネレータとを併用して走行するハイブリッド車両に適用される。この動力伝達装置1は、トルクコンバータ2と、第一モータ・ジェネレータ31および第二モータ・ジェネレータ32と、変速機4と、ECU(Electrical Control Unit)5と、シフト操作装置6とを備える(図1〜図3参照)。また、動力伝達装置1は、入力軸11側にて内燃機関(図示省略)に連結されると共に、出力軸12側にて車軸(図示省略)に連結される。
この動力伝達装置(車両用動力伝達装置)1は、内燃機関の動力を車軸に伝達する装置であり、例えば、内燃機関とモータ・ジェネレータとを併用して走行するハイブリッド車両に適用される。この動力伝達装置1は、トルクコンバータ2と、第一モータ・ジェネレータ31および第二モータ・ジェネレータ32と、変速機4と、ECU(Electrical Control Unit)5と、シフト操作装置6とを備える(図1〜図3参照)。また、動力伝達装置1は、入力軸11側にて内燃機関(図示省略)に連結されると共に、出力軸12側にて車軸(図示省略)に連結される。
トルクコンバータ2は、流体式のトルク伝達構造を有する(流体式トルクコンバータ)。このトルクコンバータ2は、インペラ21およびタービン22と、ステータ23と、ロックアップクラッチ24とを有する。インペラ21およびタービン22は、相対回転により作動流体を介して相互にトルクを伝達する回転部材である。トルクコンバータ2は、インペラ21側にて内燃機関のクランクシャフト10に連結されると共に、タービン22側にて入力軸11に連結される。ステータ23は、インペラ21およびタービン22間にて回転可能に配置される回転部材である。このステータ23は、その固定状態にて、タービン22(インペラ21)からの排出流を整流してインペラ21(タービン22)に還元する。これにより、インペラ21およびタービン22間の伝達トルクが増幅される。ロックアップクラッチ24は、インペラ21とタービン22とを機械的に係合する機構である。
このトルクコンバータ2では、内燃機関からのトルクによりインペラ21が回転すると、このインペラ21の回転が作動流体を介してタービン22に伝達されて、タービン22が回転する(正駆動状態)。これにより、内燃機関からのトルクが増幅されて入力軸11に伝達される。また、上記の場合とは逆に、入力軸11(第二モータ・ジェネレータ32)からのトルクによりタービン22が回転すると、このタービン22の回転が作動流体を介してインペラ21に伝達されて、インペラ21が回転する(逆駆動状態)。これにより、入力軸11のトルクが内燃機関に伝達される。
また、トルクコンバータ2では、正駆動状態(逆駆動状態)にてステータ23が回転すると、インペラ21からタービン22(タービン22からインペラ21)に伝達されるトルクが増幅される。なお、ステータ23の回転は、後述するステータ制御手段(ブレーキBs)により規制(許容および禁止)される。また、ロックアップクラッチ24が係合状態にあるときには、インペラ21とタービン22とが機械的に連結されて、インペラ21およびタービン22間のトルク伝達が直接的に行われる。一方、ロックアップクラッチ24が解放状態にあるときには、インペラ21およびタービン22間のトルク伝達が作動流体を介して行われる。
第一モータ・ジェネレータ31および第二モータ・ジェネレータ32は、回転機であり、例えば、交流同期型のモータ・ジェネレータにより構成される。第一モータ・ジェネレータ31は、内燃機関とトルクコンバータ2との間(トルクコンバータ2の入力側)に配置されて、内燃機関のクランクシャフト10に連結される。第二モータ・ジェネレータ32は、トルクコンバータ2の出力側にて入力軸11に連結される。
これらのモータ・ジェネレータ31、32は、電動機としての機能と発電機としての機能とを併せ持つ。例えば、第一モータ・ジェネレータ31は、その駆動により動力を発生してクランクシャフト10にトルクを付与でき(電動機としての機能)、また、クランクシャフト10からのトルクにより発電してバッテリ(図示省略)を充電できる(発電機としての機能)。同様に、第二モータ・ジェネレータ32は、その駆動により動力を発生して入力軸11にトルクを付与でき(電動機としての機能)、また、入力軸11からのトルクにより発電してバッテリ(図示省略)を充電できる(発電機としての機能)。
変速機4は、入力軸11の回転数を変速して出力軸12に出力する機構である。言い換えると、変速機4は、トルクコンバータ2あるいは第二モータ・ジェネレータ32の出力を変速して出力する機構であり、トルクコンバータ2および第二モータ・ジェネレータ32の後段に連結されて配置される。この変速機4は、第一変速部41および第二変速部42がケース43内に収容されて構成される。第一変速部41は、ダブルピニオン型の遊星歯車411を主体として構成される。第二変速部42は、シングルピニオン型の遊星歯車421を主体として構成される。
第一変速部41では、遊星歯車411のキャリアCA1が入力軸11に連結され、また、サンギアS1がケース43に連結されて回転不能に固定される。また、リングギアR1が第二変速部42の遊星歯車421のサンギアS2にクラッチC1を介して連結される。また、キャリアCA1が回転体(第二変速部42の遊星歯車421のサンギア)S3にクラッチC4を介して連結される。また、リングギアR1がこの回転体S3にクラッチC3を介して連結される。また、この回転体S3が、ブレーキB1に連結されて、このブレーキB1の作動によりケース43に対して回転停止できる。
第二変速部42では、遊星歯車421のキャリアCA2が入力軸11にクラッチC2を介して連結される。また、このキャリアCA2が、ブレーキB2に連結されて、このブレーキB2の作動によりケース43に対して回転停止できる。また、リングギアR2が出力軸12に一体的に連結されて回転を出力できる。
なお、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2は、摩擦係合要素であり、いずれも油圧シリンダにより摩擦係合できる多板式の油圧式摩擦係合装置である。
この変速機4では、各摩擦係合要素(クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2)が所定の作動係合表(図4参照)にしたがって係合あるいは解放されることにより、各変速段の設定が行われる。なお、図4の作動係合表では、「○」のときに、対応する摩擦係合要素が係合状態にあることを示し、空欄のときに、対応する摩擦係合要素が解放状態にあることを示している。
ECU5は、内燃機関、トルクコンバータ2、モータ・ジェネレータ31、32および変速機4を制御する装置であり、各種の入力信号に基づいて所定の出力信号を出力する(図2参照)。このECU5は、例えば、後述する内燃機関の始動/停止制御を行う。各種の入力信号には、例えば、モータ・ジェネレータ回転数センサ、内燃機関水温センサ、シフトポジションセンサ、内燃機関回転数センサ、エアコンスイッチ、マニュアルモードスイッチ、車速センサ、AT(Automatic Transmission)油温センサ、ECT(Electronic Controlled Transmission)スイッチ、サイドブレーキセンサ、フットブレーキセンサ、触媒温度センサ、アクセル開度センサ、カム角センサ、スノーモード設定スイッチ、車両加速度センサ、オートクルーズ設定信号、タービン回転数センサ、車重信号センサ、バッテリの充電状態を検出するSOC(State of Charge)センサなどからの入力信号が含まれる。出力信号には、例えば、電動エアコン、内燃機関の点火信号、電子スロットル弁、レンジインジケータ、過給圧、ギア比インジケータ、スノーモードインジケータ、ATライン圧コントロールソレノイド、ABS(Antilock Brake System)アクチュエータ、マニュアルモードインジケータ、ATソレノイド、ATロックアップコントロールソレノイド、AT電動オイルポンプ、電動ヒータ、ギア比インジケータ、クルーズコントロール制御コンピュータなどへの出力信号が含まれる。
シフト操作装置6は、そのマニュアル操作によりシフトポジションを切り換える装置である(図3参照)。このシフト操作装置6は、例えば、運転席の側方に配設され、複数種類のシフトポジションを選択するためシフトレバー61を有する。このシフトレバー61の操作により、「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」または「M(マニュアル)」のいずれか一つのシフトポジションが選択されて設定される。「P」ポジションは、変速機4における第一変速部41および第二変速部42の動力伝達経路が遮断されたニュートラルポジションであり、且つ、出力軸12をロックするための駐車ポジションである。「R」ポジションは、後進走行のための後進走行ポジションである。「N」ポジションは、第一変速部41および第二変速部42の動力伝達経路が遮断されたニュートラルポジションである。「D」ポジションは、所定の変速比の範囲内にて自動変速制御を実行させ得る前進自動変速ポジションである。「M」ポジションは、手動変速操作モード(マニュアルモード)を成立させて変速レンジを設定するための前進自動変速走行ポジションである。なお、この「M」ポジションでは、変速レンジを切り換えることにより車両の減速度を設定できる。したがって、このシフト操作装置6は減速度操作装置として機能し得る。
なお、この動力伝達装置1に連結される内燃機関には、例えば、ガソリン内燃機関、ディーゼル内燃機関、LPG内燃機関、ガスタービン内燃機関、ジェット内燃機関などの内燃機関が含まれる。例えば、この実施の形態では、燃料噴射装置、吸排気装置および点火装置を備えた公知の内燃機関が採用されている。
この動力伝達装置1では、内燃機関からの駆動トルクが、クランクシャフト10を介してトルクコンバータ2に入力され、トルクコンバータ2にて増幅されて入力軸11に入力される(図1参照)。そして、このトルクが変速機4にて変速されて出力軸12に出力される。これにより、内燃機関からのトルクが車両の車軸に伝達されて、車両が走行する。
また、この動力伝達装置1では、バッテリ(図示省略)から電力が供給されて、第一モータ・ジェネレータ31が駆動される。これにより、第一モータ・ジェネレータ31が電動機として機能し、クランクシャフト10に駆動トルクが付与されて内燃機関が駆動される。
また、この動力伝達装置1では、内燃機関が駆動トルクを発生することにより、第一モータ・ジェネレータ31が駆動される。これにより、第一モータ・ジェネレータ31が発電機として機能して、バッテリが充電される。
また、この動力伝達装置1では、バッテリから電力が供給されて、第二モータ・ジェネレータ32が駆動される。すると、第二モータ・ジェネレータ32が電動機として機能し、入力軸11に駆動トルクが付与されて車両が走行する。このとき、第二モータ・ジェネレータ32による駆動トルクと内燃機関による駆動トルクとの双方を用いて車両を走行させることが可能であり、また、いずれか一方の駆動トルクのみを用いて車両を走行させることも可能である。なお、この実施の形態では、後述する所定の変速線図(図5参照)に基づいて、いずれか一方の駆動トルクのみが用いられて車両が走行する。
また、この動力伝達装置1では、内燃機関が停止して回生走行が行われることにより、第二モータ・ジェネレータ32が駆動される。すると、第二モータ・ジェネレータ32が発電機として機能して、バッテリが充電される。
[変速線図]
図5は、エンジン走行領域およびモータ走行領域と変速パターンとの関係を示す変速線図である。また、同図では、変速機4が8段階の変速比を有しており、7つの変速線が示されている。また、同図において、点Aは、比較的低速にて内燃機関を始動するときの走行ポイントを示し、点Bは、比較的高速にて内燃機関を始動するときの走行ポイントを示している。なお、変速線図は、ECU5に記憶されている。
図5は、エンジン走行領域およびモータ走行領域と変速パターンとの関係を示す変速線図である。また、同図では、変速機4が8段階の変速比を有しており、7つの変速線が示されている。また、同図において、点Aは、比較的低速にて内燃機関を始動するときの走行ポイントを示し、点Bは、比較的高速にて内燃機関を始動するときの走行ポイントを示している。なお、変速線図は、ECU5に記憶されている。
同図において、例えば、車両の発進時には、第二モータ・ジェネレータ32の駆動トルクのみが用いられて車両が走行する(モータ走行領域)。そして、車速およびアウトプットトルクの要求量(アクセル開度)が上昇した後に、第二モータ・ジェネレータ32の駆動トルクから内燃機関の駆動トルクのみに切り換えられて車両が走行する(エンジン走行領域)。また、車両の急発進時や急加速時には、大きな駆動トルクが必要となるため、第二モータ・ジェネレータ32の駆動トルクと内燃機関の駆動トルクとの双方が用いられて車両が走行する(図示省略)。
なお、モータ走行領域では、バッテリが十分なSOC値を有することが条件となる。したがって、バッテリが十分なSOC値を有さない場合には、内燃機関の駆動トルクが用いられて車両が走行する。このとき、モータ走行領域にて内燃機関の駆動トルクを用いる場合には、第二モータ・ジェネレータ32の駆動トルクを用いる場合と比較して、より低回転かつ高負荷となる走行領域にて内燃機関を駆動する。これにより、車両の駆動効率が向上する。逆に、モータ走行領域にて第二モータ・ジェネレータ32の駆動トルクを用いる場合には、より高回転かつ低負荷となる走行領域にて第二モータ・ジェネレータ32を駆動する。これにより、車両の駆動効率が向上する。したがって、モータ走行領域では、内燃機関の駆動トルクを用いる場合と第二モータ・ジェネレータ32の駆動トルクを用いる場合とで、変速比を変更すべき車速およびアクセル開度(アウトプットトルクの要求量)が相異する。
[トルクコンバータのステータ制御手段]
また、この動力伝達装置1では、トルクコンバータ2がブレーキBsを有する(図1参照)。このブレーキBsは、ステータ23の回転を規制(許容または禁止)するステータ制御手段として機能する。具体的には、ブレーキBsは、その係合状態にてステータ23を固定して、ステータ23の回転を禁止する。また、ブレーキBsは、その解放状態にてステータ23を解放して、ステータ23の回転を許容する。また、ブレーキBsは、ステータ23との係合率を変化させることにより、ステータ23のスリップ率を連続的に変化させ得る。
また、この動力伝達装置1では、トルクコンバータ2がブレーキBsを有する(図1参照)。このブレーキBsは、ステータ23の回転を規制(許容または禁止)するステータ制御手段として機能する。具体的には、ブレーキBsは、その係合状態にてステータ23を固定して、ステータ23の回転を禁止する。また、ブレーキBsは、その解放状態にてステータ23を解放して、ステータ23の回転を許容する。また、ブレーキBsは、ステータ23との係合率を変化させることにより、ステータ23のスリップ率を連続的に変化させ得る。
図6は、ブレーキBsのスリップ率とトルクコンバータの容量係数との関係を示すグラフである。図7は、トルクコンバータ2の逆駆動時における比Ne/Ntとトルク比との関係を示すグラフである。図7において、比Ne/Ntは、内燃機関回転数Neとタービン回転数Ntとの比を示している。また、トルク比は、タービン22のトルクとインペラ21のトルクとの比を示している。図8は、トルクコンバータ2の逆駆動時における比Ne/Ntと容量係数との関係を示すグラフである。
これらの図に示すように、ブレーキBsのスリップ率が増加(減少)すると、トルクコンバータ2の容量係数が増加(減少)することが分かる(図6参照)。例えば、ブレーキBsのスリップ率が減少すると、ステータ23がフリー回転し難くなり、トルクコンバータ2内における作動油の流れが阻害されて、トルクコンバータ2の容量係数が小さくなる。逆に、ブレーキBsのスリップ率が増加すると、トルクコンバータ2の容量係数が大きくなる。また、ブレーキBsのスリップ率を制御することにより、トルクコンバータ2の容量係数を連続的に制御できることが分かる。また、ブレーキBsのスリップ率を小さくしてステータ23の回転を禁止する方向に近づけると、トルクコンバータ2のトルク比が1.0に近づくことが分かる(図7参照)。これにより、トルクコンバータ2のトルク増幅機能が通常通り確保される。
この動力伝達装置1において、ステータ23の回転を禁止した状態では、ブレーキBsのスリップ率が0であり、トルクコンバータ2の容量係数が最小となる(図6〜図8参照)。したがって、トルクコンバータ2のトルク増幅機能が通常どおり確保される。例えば、トルクコンバータ2の正駆動時(インペラ21からタービン22に向かって駆動トルクが伝達されるとき)にて、内燃機関からの駆動トルクがトルクコンバータ2で通常通り増幅されて入力軸11に伝達される。
一方、ステータ23の回転を許容した状態では、ステータ23の回転を禁止した状態よりも、トルクコンバータ2の容量係数が大きくなる(図6参照)。また、ブレーキBsのスリップ率を増加させることにより、トルクコンバータ2の容量係数がさらに大きくなる。すると、例えば、トルクコンバータ2の逆駆動時(タービン22からインペラ21に向かって駆動トルクが伝達されるとき)にて、車軸からの逆駆動トルクにより内燃機関を始動させるときに、トルク伝達によるショックがトルクコンバータ2に吸収されて緩和される。
また、ステータ23の回転を許容した状態では、ブレーキBsのスリップ率を制御することにより、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を連続的に制御できる(図6参照)。
例えば、車両の回生走行時にて、ブレーキBsのスリップ率を所定値以下に減少させて、ステータ23を係合状態に近づける(図6参照)。すると、トルクコンバータ2のトルク比が1.0に近づき(図7参照)、また、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数が減少する(図8参照)。この状態では、車両のコースト走行時(アクセルオフの惰性走行時)にて、車軸からの逆駆動トルクが内燃機関に作用しても、内燃機関のフリクショントルクの方が強いため、内燃機関が回転しない。これにより、内燃機関の引き摺りトルク(回転抵抗)が低減され、その分、第二モータ・ジェネレータ32の回生量が増加する。
また、例えば、ブレーキBsのスリップ率を所定値以上に増加させて、ステータ23を解放状態に近づける(図6参照)。すると、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数が増加して、車軸からの逆駆動トルクを用いた内燃機関の始動が可能となる。この状態では、ロックアップクラッチ24の係合により内燃機関を始動させる場合と比較して、内燃機関の始動時におけるショック伝達が低減される。
なお、この実施の形態では、ステータ23のステータ制御手段として、摩擦係合要素である湿式の油圧ブレーキBsが採用されている。しかし、これに限らず、ステータ制御手段として、例えば、電磁クラッチ(図示省略)が採用されても良い。
[車両走行時における内燃機関の始動制御]
動力伝達装置では、車両走行中に内燃機関を始動させる制御が行われる場合がある。例えば、車両の走行状態(車速およびアクセル開度)がモータ走行領域からエンジン走行領域に移行するときに、車両の駆動力源をモータ・ジェネレータから内燃機関に切り替える(図5参照)。このとき、内燃機関の始動制御が必要となる。
動力伝達装置では、車両走行中に内燃機関を始動させる制御が行われる場合がある。例えば、車両の走行状態(車速およびアクセル開度)がモータ走行領域からエンジン走行領域に移行するときに、車両の駆動力源をモータ・ジェネレータから内燃機関に切り替える(図5参照)。このとき、内燃機関の始動制御が必要となる。
かかる内燃機関の始動制御では、逆駆動トルクを用いて内燃機関を始動する場合がある。例えば、トルクコンバータと変速機との間にモータ・ジェネレータが配置され、このモータ・ジェネレータの駆動トルクが用いられて内燃機関が始動されている。このとき、一般には、トルクコンバータのロックアップクラッチを係合状態として、内燃機関への逆駆動トルクの伝達経路が確保されている。
しかしながら、かかる場合には、逆駆動トルクの伝達によりショックが発生する。すると、このショックがロックアップクラッチの係合時にて、発生する可能性がある。
そこで、この動力伝達装置1では、車両走行時における内燃機関の始動時にて、逆駆動トルクの伝達によるショックを抑制するために、以下の制御が行われる(図9参照)。
ステップST1では、車両走行中か否かが判定される。このステップST1では、例えば、シフトポジションが「D」ポジションに設定されており、且つ、車速VがV>0であるときに、肯定判定が行われる。このステップST1にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST2に進み、否定判定が行われた場合には、処理が終了される。なお、車両走行時には、通常、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ24が解放状態にある。また、ブレーキBsが係合状態にあり、ステータ23の回転が禁止される。
ステップST2では、内燃機関の始動制御が必要であるか否かが判定される。すなわち、車両走行時にて内燃機関が停止しているときに、内燃機関を始動する必要があるか否かが判定される。例えば、(1)車両の走行状態(車速およびアクセル開度)がモータ走行領域からエンジン走行領域に移行したとき、(2)モータ走行領域での車両走行時にてバッテリのSOC値が所定の閾値S1以下となったときなどに、内燃機関の始動制御が必要となり、肯定判定が行われる。このステップST2にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST3に進み、否定判定が行われた場合には、処理が終了される。
ステップST3では、内燃機関の急始動が必要であるか否かが判定される。例えば、車両走行時にて車両を急加速すべき要求(例えば、アクセル開度の増加)があり、車両の走行状態をモータ走行領域からエンジン走行領域に移行させるときに、内燃機関の急始動が必要となり、肯定判定が行われる。このステップST3にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST8に進み、否定判定が行われた場合には、ステップST4に進む。
ステップST4では、車速が所定の閾値V1よりも大きいか否かが判定される。このステップST4では、ECU5が車速センサの出力値と所定の閾値V1との比較に基づいて判定を行う。なお、閾値V1は、例えば、車両の高速走行時を基準として規定される。このステップST4にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST6に進み、否定判定が行われた場合には、ステップST5に進む。
ステップST5では、車速が所定の閾値V2よりも小さいか否かが判定される。このステップST5では、ECU5が車速センサの出力値と所定の閾値V2との比較に基づいて判定を行う。なお、閾値V2は、例えば、車両の微速走行時を基準として規定される。このステップST5にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST8に進み、否定判定が行われた場合には、ステップST7に進む。
なお、ステップST4およびステップST5では、車速に代えて、トルクコンバータ2のアウトプット回転数と所定の閾値とが比較されて判定が行われても良い(図示省略)。
ステップST6では、ステータ23の回転を許容することにより内燃機関を始動させる制御が行われる。すなわち、車両走行時における内燃機関の始動制御では、原則として、車軸からの逆駆動トルクが用いられて内燃機関が始動される。このとき、車速Vが高速(V>V1。ステップST4の肯定判定。)の場合には、ロックアップクラッチ24を解放状態としたままステータ23の回転を許容することにより、内燃機関を始動させる。すると、ロックアップクラッチ24が解放状態にあるので、逆駆動トルクの伝達によるショックがトルクコンバータ2に吸収されて緩和される。これにより、ロックアップクラッチ24の係合により内燃機関を始動させる場合(ステップST7)と比較して、逆駆動トルクの伝達によるショックが緩和される。また、かかる構成では、逆駆動トルクにより内燃機関を始動させるので、回転機の駆動トルクを用いて内燃機関を始動させる構成と比較して、バッテリの電力消費を低減できる。これにより、燃費が向上する。
なお、このステップST6では、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を増加させることにより、内燃機関を始動させても良い。例えば、ブレーキBsが解放状態にありステータ23の回転が許容されている場合であっても、ブレーキBsのスリップ率が小さいと、逆駆動トルクにより内燃機関を始動できない場合がある。このとき、ブレーキBsのスリップ率を所定値以上に増加させて、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を増加させることにより、逆駆動トルクを用いた内燃機関の始動が可能となる。
ステップST7では、ロックアップクラッチ24の係合(あるいは半係合)により内燃機関を始動させる制御が行われる。すなわち、車速Vが低速(V2≦V≦V1。ステップST4の否定判定かつステップST5の否定判定。)の場合には、従来通り、ロックアップクラッチ24の係合により逆駆動トルクを内燃機関に伝達して内燃機関を始動させる。これにより、ステータ23の回転を許容するだけでは内燃機関を始動できないときに、内燃機関を適正に始動させ得る。なお、かかる低速走行時には、ロックアップクラッチ24の係合により内燃機関を始動させたとしても、逆駆動トルクの伝達によるショックがさほど大きくない。
ステップST8では、第一モータ・ジェネレータ31の駆動トルクにより内燃機関を始動させる制御が行われる。すなわち、急始動の必要がある場合(ステップST3の肯定判定)、あるいは、車速Vが微速(V<V2。ステップST5の肯定判定。)の場合には、第一モータ・ジェネレータ31の駆動トルクにより内燃機関を始動させる。これにより、内燃機関の急始動が可能となり、あるいは、内燃機関の始動に必要な逆駆動トルクを得られないときにも適正に内燃機関を始動させ得る。
[実施例1]
図10は、図1に記載した動力伝達装置の実施例1を示すタイムチャートである。同図は、逆駆動時にてSOC値が低下したときに、モータ・ジェネレータが用いられて内燃機関の始動制御が行われる場合を示している。以下、この実施例1について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
図10は、図1に記載した動力伝達装置の実施例1を示すタイムチャートである。同図は、逆駆動時にてSOC値が低下したときに、モータ・ジェネレータが用いられて内燃機関の始動制御が行われる場合を示している。以下、この実施例1について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、初期状態(t=t0)では、シフトポジションが「D」ポジションに設定されて、車両が走行している。このとき、車速およびアウトプットトルク要求量がモータ走行領域(図5の点A)にある。このため、内燃機関が停止状態(内燃機関回転数0[rpm])にあり(図10(a)参照)、第二モータ・ジェネレータ32の駆動トルクのみが用いられて車両が走行している(図示省略)。また、第一モータ・ジェネレータ31が停止状態にある(図10(b)参照)。また、変速機4では、変速比の変速信号が2ndに固定されて(図10(d)参照)、各係合要素(クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2)が所定の係合状態(図4参照)に設定されている。具体的には、ブレーキB1の油圧PB1がON(係合状態)となっている(図10(e)参照)。また、トルクコンバータ2では、ブレーキBsの油圧がON(スリップ率0の係合状態)となっている(図10(f)参照)。このため、ステータ23の回転が禁止されており、トルクコンバータ2の逆駆動容量係数が低くなっている(図6〜図8参照)。また、ロックアップクラッチ24の油圧がOFF(解放状態)となっている(図10(g)参照)。また、SOC値が所定の閾値S1よりも大きく、十分に残存している(図10(h)参照)。
次に、時間t=t1にて所定の判定条件が満たされると、内燃機関の始動制御が必要であると判定(ステップST2の肯定判定)される(図9参照)。例えば、この実施例1では、SOC値と所定の閾値S1とが比較され、SOC値が所定の閾値S1以下となったときに(図10(h)参照)、ステップST2の肯定判定が行われる。なお、SOC値は、SOCセンサの出力値としてECU5に取得されている。
このとき、内燃機関の急始動の要求がある場合(ステップST3の肯定判定)には、第一モータ・ジェネレータ31が用いられて内燃機関の始動が行われる(ステップST8)(t=t1〜t2)(図10(b)および(c)参照)。これにより、内燃機関の始動が迅速に行われる(図10(a)参照)。
次に、ステップST1にて肯定判定が行われると、車速が閾値V1よりも低いこと(ステップST4の肯定判定)を条件として、ブレーキBsの油圧がOFF(解放状態)となり(図10(f)参照)、ステータ23の回転が許容される(ステップST6)(t=t3〜t4)。この制御は、駆動力源を第二モータ・ジェネレータ32から内燃機関に切り替えるために行われる。
ステータ23の回転が許容されると、車軸からの逆駆動トルクがトルクコンバータ2を介して内燃機関に伝達されて、内燃機関の回転数が上昇する(t=t3〜t5)。そして、内燃機関の回転数が所定の回転数まで上昇した段階で、燃料の点火が行われる(t=t5)。これにより、内燃機関が自立運転を開始する。また、同時に、第二モータ・ジェネレータ32が停止される(図示省略)。
次に、第一モータ・ジェネレータ31(および第二モータ・ジェネレータ32)が充電モードに切り替えられる(t=t5〜t8)。これにより、バッテリの充電が行われる。
なお、逆駆動トルクによる内燃機関の始動時(ステップST6およびステップST7)には、変速機4の変速比の変更が禁止されることが好ましい(図10(d)参照)。これにより、変速比の変更により車軸の逆駆動トルクが低下することを防止できる。
[効果]
以上説明したように、この車両用動力伝達装置1は、トルクコンバータ2がステータ23の回転を許容または禁止するステータ制御手段(例えば、ブレーキBs、電磁クラッチなど)を有する(図1参照)。そして、車両走行時にて内燃機関を始動させるときに、車速V(またはトルクコンバータ2のアウトプット回転数。以下同じ。)が所定の閾値V1より大きいとき(ステップST4の肯定判定)には、ステータ制御手段がステータ23の回転を許容することにより内燃機関を始動させる(ステップST6)(図9参照)。すなわち、ロックアップクラッチ24の係合によることなく(ロックアップクラッチ24を解放したまま)、車軸からの逆駆動トルクを用いて内燃機関を始動させる。かかる構成では、車軸からの逆駆動トルクがトルクコンバータ2を介して内燃機関に伝達されるので、逆駆動トルクの伝達によるショックがトルクコンバータ2に吸収されて緩和される。これにより、ロックアップクラッチ24の係合により内燃機関を始動させる場合(ステップST7)と比較して、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる利点がある。また、かかる構成では、逆駆動トルクにより内燃機関の始動制御が行われるので、回転機の駆動トルクを用いて内燃機関を始動させる構成と比較して、バッテリの電力消費を低減できる。これにより、燃費が向上する利点がある。特に、車速Vが高速(V>V1)ときに、逆駆動トルクを用いた始動制御が優先的に行われるので、逆駆動トルクの伝達によるショックを効果的に緩和でき、また、バッテリの電力消費を効果的に低減できる利点がある。
以上説明したように、この車両用動力伝達装置1は、トルクコンバータ2がステータ23の回転を許容または禁止するステータ制御手段(例えば、ブレーキBs、電磁クラッチなど)を有する(図1参照)。そして、車両走行時にて内燃機関を始動させるときに、車速V(またはトルクコンバータ2のアウトプット回転数。以下同じ。)が所定の閾値V1より大きいとき(ステップST4の肯定判定)には、ステータ制御手段がステータ23の回転を許容することにより内燃機関を始動させる(ステップST6)(図9参照)。すなわち、ロックアップクラッチ24の係合によることなく(ロックアップクラッチ24を解放したまま)、車軸からの逆駆動トルクを用いて内燃機関を始動させる。かかる構成では、車軸からの逆駆動トルクがトルクコンバータ2を介して内燃機関に伝達されるので、逆駆動トルクの伝達によるショックがトルクコンバータ2に吸収されて緩和される。これにより、ロックアップクラッチ24の係合により内燃機関を始動させる場合(ステップST7)と比較して、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる利点がある。また、かかる構成では、逆駆動トルクにより内燃機関の始動制御が行われるので、回転機の駆動トルクを用いて内燃機関を始動させる構成と比較して、バッテリの電力消費を低減できる。これにより、燃費が向上する利点がある。特に、車速Vが高速(V>V1)ときに、逆駆動トルクを用いた始動制御が優先的に行われるので、逆駆動トルクの伝達によるショックを効果的に緩和でき、また、バッテリの電力消費を効果的に低減できる利点がある。
一方、車速が所定の閾値V2よりも小さいとき(ステップST5の肯定判定)には、回転機(第一モータ・ジェネレータ31)が駆動トルクを発生して内燃機関を始動させる(ステップST8)(図9参照)。すなわち、内燃機関を始動させるために必要な逆駆動トルクを得られないときに、回転機の駆動トルクを用いて内燃機関を始動させる。これにより、車両の低速走行時にも、適正に内燃機関を始動させ得る利点がある。
また、この車両用動力伝達装置1は、ステータ23のスリップ率の制御によりトルクコンバータの逆駆動時容量係数を制御するステータ制御手段(例えば、ブレーキBs、電磁クラッチなど)を備える(図1参照)。そして、車両走行時にて内燃機関を始動させるときに、車速Vが所定の閾値V1より大きいとき(ステップST4の肯定判定)には、ステータ制御手段がトルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を所定値以上まで増加させることにより内燃機関を始動させる(ステップST6)(図9参照)。例えば、ステータ23の回転が許容されているが、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数が小さいため内燃機関が逆駆動トルクにより回転できないときに、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を増加させる。これにより、逆駆動トルクを用いた内燃機関の始動が可能となる利点がある。
この車両用動力伝達装置1では、第二回転機(第二モータ・ジェネレータ32)を用いた回生走行時にて、ステータ制御手段がトルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を減少させる。例えば、回生走行時にて、ステータ23(ブレーキBs)のスリップ率を小さく設定してステータ23を係合状態に近づけ、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を減少させる。これにより、内燃機関の引き摺りトルクが低減されて、第二回転機の回生量が増加する利点がある。
また、この車両用動力伝達装置1では、上記のステータ制御手段が、ステータ23と係合してステータ23の回転を禁止でき、ステータ23を解放してステータ23の回転を許容できると共に、ステータ23との係合率を変化させることによりステータ23のスリップ率を変化させ得るブレーキBs(図1参照)あるいは電磁クラッチ(図示省略)から成ることが好ましい。かかる構成により、ステータ23の回転を許容または禁止でき、また、ステータ23のスリップ率の制御によりトルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を制御できる。これにより、上記のステータ制御手段を実現できる利点がある。
また、この車両用動力伝達装置1では、トルクコンバータ2がロックアップクラッチ24を備える(図1参照)。そして、車速Vが所定の範囲(V2≦V≦V1)にある場合(ステップST4の否定判定かつステップST5の否定判定)には、ロックアップクラッチ24の係合により内燃機関を始動させることが好ましい(ステップST7)。これにより、ステータ23の回転を許容する(あるいは、トルクコンバータ2の逆駆動時容量係数を増加させる)だけでは内燃機関を始動できないときに、内燃機関を適正に始動させ得る利点がある。
また、この車両用動力伝達装置1では、内燃機関の急始動の要求があるとき(ステップST3の肯定判定)に、第一回転機(第一モータ・ジェネレータ31)が駆動トルクを発生して内燃機関を始動させることが好ましい(ステップST8)。これにより、内燃機関の始動が迅速に行われる利点がある(図10(a)〜(c)参照)。
この車両用動力伝達装置1は、トルクコンバータ2の後段に配置される変速機4を備える(図1参照)。そして、車両走行時にて内燃機関を始動させるときに、変速機4の変速比の変更が禁止されることが好ましい(図10(d)参照)。かかる構成では、内燃機関の始動時にて、変速比の変更により車軸の逆駆動トルクが低下することを防止できる。これにより、逆駆動トルクによる内燃機関の始動(ステップST6およびステップST7)が適切に行われる利点がある。
以上のように、この発明にかかる車両用動力伝達装置は、車両走行時における機関の始動時にて、逆駆動トルクの伝達によるショックを緩和できる点で有用である。
1 動力伝達装置(車両用動力伝達装置)、2 トルクコンバータ、21 インペラ、22 タービン、23 ステータ、24 ロックアップクラッチ、31 第一モータ・ジェネレータ、32 第二モータ・ジェネレータ、4 変速機、41 第一変速部、42 第二変速部、43 ケース、6 シフト操作装置、61 シフトレバー、10 クランクシャフト、11 入力軸、12 出力軸
Claims (3)
- 機関と、前記機関の駆動トルクを車軸に伝達する流体式のトルクコンバータと、前記機関に連結される回転機とを備える車両用動力伝達装置であって、
前記トルクコンバータが、作動流体を介して相互にトルクを伝達するインペラおよびタービンと、前記インペラおよび前記タービン間にて回転可能に配置されると共に固定状態にて前記インペラおよび前記タービン間の伝達トルクを増幅するステータと、前記ステータの回転を許容または禁止するステータ制御手段とを有し、且つ、
車両走行時にて前記機関を始動させるときに、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値より大きいときは、前記ステータ制御手段が前記ステータの回転を許容することにより機関を始動させると共に、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値よりも小さいときは、前記回転機が駆動トルクを発生して前記機関を始動させることを特徴とする車両用動力伝達装置。 - 機関と、前記機関の駆動トルクを車軸に伝達する流体式のトルクコンバータと、前記機関に連結される回転機とを備える車両用動力伝達装置であって、
前記トルクコンバータが、作動流体を介して相互にトルクを伝達するインペラおよびタービンと、前記インペラおよび前記タービン間にて回転可能に配置されると共に固定状態にて前記インペラおよび前記タービン間の伝達トルクを増幅するステータと、前記ステータのスリップ率の制御により前記トルクコンバータの逆駆動時容量係数を制御するステータ制御手段を備え、且つ、
車両走行時にて前記機関を始動させるときに、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値より大きいときは、前記ステータ制御手段が前記トルクコンバータの逆駆動時容量係数を所定値以上まで増加させることにより機関を始動させると共に、車速または前記トルクコンバータのアウトプット回転数が所定の閾値よりも小さいときは、前記回転機が駆動トルクを発生して前記機関を始動させることを特徴とする車両用動力伝達装置。 - 前記回転機を第一回転機と呼ぶと共に、前記トルクコンバータを介して前記機関に連結される第二回転機を備え、且つ、前記第二回転機を用いた回生走行時にて、前記ステータ制御手段が前記トルクコンバータの逆駆動時容量係数を減少させる請求項2に記載の車両用動力伝達装置。
Priority Applications (1)
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JP2010061321A JP2011194939A (ja) | 2010-03-17 | 2010-03-17 | 車両用動力伝達装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013088576A1 (ja) * | 2011-12-16 | 2013-06-20 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両の制御装置 |
-
2010
- 2010-03-17 JP JP2010061321A patent/JP2011194939A/ja not_active Withdrawn
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WO2013088576A1 (ja) * | 2011-12-16 | 2013-06-20 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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