JP2011194736A - インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011194736A JP2011194736A JP2010064632A JP2010064632A JP2011194736A JP 2011194736 A JP2011194736 A JP 2011194736A JP 2010064632 A JP2010064632 A JP 2010064632A JP 2010064632 A JP2010064632 A JP 2010064632A JP 2011194736 A JP2011194736 A JP 2011194736A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- discharge port
- ink
- groove
- discharge
- protective tape
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
【課題】オリフィスプレート表面にうねりがあっても、保護テープによる封止を確実に実現する。
【解決手段】インクを吐出させるためのエネルギー発生素子とインクが供給されるインク供給口とが形成された基板と、基板のエネルギー発生素子が形成された面の上に、吐出口及び該吐出口へ連通するインク流路を形成するオリフィスプレートと、オリフィスプレートの吐出口が形成されている吐出口面に貼られた保護テープと、吐出口面の吐出口の周辺に形成された溝とを有し、溝の少なくとも一部は、吐出口面の保護テープが貼られている領域と該領域の外側の領域とに跨って形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】インクを吐出させるためのエネルギー発生素子とインクが供給されるインク供給口とが形成された基板と、基板のエネルギー発生素子が形成された面の上に、吐出口及び該吐出口へ連通するインク流路を形成するオリフィスプレートと、オリフィスプレートの吐出口が形成されている吐出口面に貼られた保護テープと、吐出口面の吐出口の周辺に形成された溝とを有し、溝の少なくとも一部は、吐出口面の保護テープが貼られている領域と該領域の外側の領域とに跨って形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェット記録ヘッド及び該ヘッドの製造方法に関するものである。
インクジェット記録ヘッドが流通過程に置かれている間、インクの染み出しやインク蒸発などが原因で起こる吐出口詰まりや吐出口が形成されている表面(以下、「吐出口面」と呼ぶ)の劣化を防止する必要がある。そこで、特許文献1や特許文献2には、インクジェット記録ヘッドの吐出口面に剥離可能なテープを貼って吐出口面を保護することが記載されている。
また、吐出口面を有するオリフィスプレートを含むエネルギー発生素子基板(「吐出チップ」、「記録ヘッド基板」などと呼ぶ場合もある。)は、概ね次の工程によって製造される(特許文献3)。
(1)エネルギー発生素子などが形成されたウエハ上に、インク流路の型となる樹脂層を形成し、その樹脂層の上に、被覆樹脂層をスピンコート・滞留・ベークにより塗布し、乾燥させる。
(2)被覆樹脂層の上にラミネートや塗布により撥水層を形成する。
(3)ウエハ外周部の樹脂層を除去するためサイドリンスを行う。
(4)紫外線やDeep-UV光により吐出口などのパターンを露光する。
(5)露光後にベーク(PEB)を行う。
(6)現像を行う。
(7)ウエハに、インク供給口となる開口部を形成し、その後、上記樹脂層を溶解させて開口部から除去する。
(8)ウエハを切断してチップ化する。
(1)エネルギー発生素子などが形成されたウエハ上に、インク流路の型となる樹脂層を形成し、その樹脂層の上に、被覆樹脂層をスピンコート・滞留・ベークにより塗布し、乾燥させる。
(2)被覆樹脂層の上にラミネートや塗布により撥水層を形成する。
(3)ウエハ外周部の樹脂層を除去するためサイドリンスを行う。
(4)紫外線やDeep-UV光により吐出口などのパターンを露光する。
(5)露光後にベーク(PEB)を行う。
(6)現像を行う。
(7)ウエハに、インク供給口となる開口部を形成し、その後、上記樹脂層を溶解させて開口部から除去する。
(8)ウエハを切断してチップ化する。
概ね上記の工程を経て、エネルギー発生素子が形成された基板上に、吐出口やインク流路を形成するオリフィスプレートが積層された吐出チップ(記録ヘッド基板)が製造される。
これまでの説明から理解できるように、上記工程(1)においてウエハ上に形成される被覆樹脂層が完成した各吐出チップにおけるオリフィスプレートとなる。
しかし、露光前の被膜樹脂層は、上記工程(1)〜(3)によって溶剤分が除去されて乾燥し、高粘度になってはいるものの、未だに未硬化の状態(半固体状態)である。そのため、スピンコートやサイドリンスでのウエハ回転時の遠心力により、被膜樹脂層は、ウエハの外周部に行くにしたがって微少ではあるが厚くなる。加えて、ウエハを切断して得た各吐出チップ内での被膜樹脂層(オリフィスプレート)の膜厚分布(以下、「表面うねり」と呼ぶ)も微少ではあるが発生する。
図8及び図9に、ウエハ100上の各場所での吐出チップ101内の被膜樹脂層(オリフィスプレート)102の膜厚分布を示す。図8は、切断される前のウエハ100の表面を示す平面図である。図9(a)〜(d)は、図8に示すウエハ100を切断してチップ化して得られた吐出チップ100の断面図である。より具体的には、図9(b)は、ウエハ100の外周部に配置されている図8中の吐出チップ101b及びその近傍の断面図である。以下同様に、図9(c)は、ウエハ100の外周部に配置されている図8中の吐出チップ101c及びその近傍の断面図、図9(d)は、ウエハ100の外周部に配置されている図8中の吐出チップ101d及びその近傍の断面図である。また、図9(a)は、ウエハ100の中心部に配置されている図8中の吐出チップ101a及びその近傍の断面図である。
図9(b)(c)(d)に示されているように、インク流路200(図10b)の型となる樹脂層103の近傍で、半固体状態の被膜樹脂層102のなだらかな隆起・沈降が起こっている。結果、ウエハ中心方向ではなだらかな凸部104が、ウエハ外側方向ではなだらかな凹部105が形成されている。厚い膜厚を要するブラックインク用の吐出チップや、チップコストダウンを図るウエハ大口径化に伴い、この傾向は顕著になる。
被膜樹脂層102の表面うねりは、上記工程(4)〜(8)を経た後も残存する。すなわち、吐出チップのオリフィスプレートにも表面うねりが存在する。
図8中の吐出チップ101dが搭載されたインクジェッ記録ヘッドに保護テープ300を貼り付けた状態を図10(a)(b)に示してある。なお、このような吐出チップが搭載されたインクジェット記録ヘッドの吐出性能を確認したところ、画像劣化を招くような吐出角度の不具合は見られなかった。
しかしながら、図10(a)(b)に示すように、保護テープ300を貼り付ける際に以下の問題があった。
すなわち、オリフィスプレート102の凸部104には保護テープ300が密着するものの、凹部105には密着せず、インク流路200が連通する吐出口201近傍と保護テープ300の粘着層301との間に空間が生じる場合があった。この場合、図10(c)に示すように、インクがこの空間に染み出てきて、物流中の環境によってはインク蒸発によるインクの固着が発生する虞がある。吐出口詰まりや撥水層劣化などによる吐出不良や、テープ引き剥がし時のインク飛び散り、固着インクを介してのオリフィスプレートの引き剥がし、といった信頼性の問題が発生する虞がある。
すなわち、オリフィスプレート102の凸部104には保護テープ300が密着するものの、凹部105には密着せず、インク流路200が連通する吐出口201近傍と保護テープ300の粘着層301との間に空間が生じる場合があった。この場合、図10(c)に示すように、インクがこの空間に染み出てきて、物流中の環境によってはインク蒸発によるインクの固着が発生する虞がある。吐出口詰まりや撥水層劣化などによる吐出不良や、テープ引き剥がし時のインク飛び散り、固着インクを介してのオリフィスプレートの引き剥がし、といった信頼性の問題が発生する虞がある。
本発明者による検討によれば、オリフィスプレートの平面度として、凹部の深さが1μmでは上記空間の発生が抑制されるが、凹部の深さが1.8μmになると空間が発生する。この平面度の精度保証としては、製法上の膜厚管理が極めて複雑となるとともに、設計上の膜厚公差マージンも小さいと言わざるを得ない。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、インク流路が連通する吐出口近傍に軽微なうねりがあっても、保護テープによる封止を確実に実現できるインクジェット記録ヘッドと該ヘッドへの保護テープの貼り付け方法を提供することを目的とする。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子とインクが供給されるインク供給口とが形成された基板と、基板のエネルギー発生素子が形成された面の上に、吐出口及び該吐出口へ連通するインク流路を形成するオリフィスプレートと、オリフィスプレートの吐出口が形成されている吐出口面に貼られた保護テープと、吐出口面の吐出口の周辺に形成された溝とを有し、溝の少なくとも一部は、吐出口面の保護テープが貼られている領域と該領域の外側の領域とに跨って形成されている。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子が形成された基板と、基板の上に、吐出口及び該吐出口へ連通するインク流路を形成するオリフィスプレートと、オリフィスプレートの吐出口が形成されている吐出口面に貼られた保護テープと、吐出口面の吐出口の周辺に形成された溝とを有し、溝の少なくとも一部が吐出口面の保護テープが貼られている領域と該領域の外側の領域とに跨って形成されているインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、吐出口面の上に配置された保護テープを押圧する工程と、吐出口面と保護テープとの間に残留している空気を、吐出口面の保護テープが貼られている領域の外側の領域に延在している溝の一部を介して吸引する工程とを有する。
本発明によれば、オリフィスプレートの表面に軽微な凹凸があっても、該表面に保護テープを密着させ、吐出口およびその近傍を確実に封止することができる。
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態の一例について説明する。まず、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを構成している各構成要素について説明する。図1に示すように、インクジェット記録ヘッド1(以下「記録ヘッド1」)は、インクタンク2と、これに一体化された吐出チップ3と電気配線テープ4とから構成されている。図1示す記録ヘッド1は、ブラックインクを吐出するものである。記録ヘッド1は、不図示のインクジェット記録装置本体に載置されているキャリッジの位置決め手段および電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱可能となっている。記録ヘッド1は、インクタンク2内のインクが消費されると交換される。上記構成を有する記録ヘッドは、「インクジェット記録ヘッドカートリッジ」又は「記録ヘッドカートリッジ」などと呼ばれることもあるが、ここでは「インクジェット記録ヘッド」又は「記録ヘッド」と呼ぶ。
記録ヘッド1に搭載されている吐出チップ3は、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子を備えている。具体的には、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体を備えている。なお、本発明は、シアン・マゼンタ・イエローインクを吐出する記録ヘッドに対しても適用可能である。また、エネルギー発生素子は、電気熱変換体以外の例えばピエゾ素子などであってもよい。
(吐出チップ)
図2は、図1に示す記録ヘッド1の分解斜視図である。記録ヘッド1の本体の底面には、凹部10が形成され、その凹部10内に吐出チップ3が配置されている。また、電気配線テープ4は、記録ヘッド1の底面から側面にかけて設けられている。
図2は、図1に示す記録ヘッド1の分解斜視図である。記録ヘッド1の本体の底面には、凹部10が形成され、その凹部10内に吐出チップ3が配置されている。また、電気配線テープ4は、記録ヘッド1の底面から側面にかけて設けられている。
図3は、吐出チップ3の構成を説明するために、吐出チップ3の一部を破断して示す斜視図である。吐出チップ3は、例えば、厚さ0.5〜1mmのSi基板30に、Siの結晶方位を利用した異方性エッチングやサンドブラストなどの方法によりインク供給口31を形成したものである。
インク供給口31を挟んだ両側には、インク供給口31の対向する二つの長辺に沿って電気熱変換素子32が複数形成されて列をなしている。さらに電気熱変換素子32に電力を供給するAlなどからなる不図示の電気配線が形成されている。これら電気熱変換素子32と電気配線とは成膜技術により形成されている。この電気配線に電力を供給したり、電気熱変換素子32を駆動するための電気信号を供給したりするための電極部33が、電気熱変換素子32の両外側の側辺に沿って配列して形成されている。電極部33上にはAuなどからなるバンプ34が形成されている。Si基板30上のこれらパターンが形成された面上には、電気熱変換素子32に対応したインク流路と吐出口36とを形成するオリフィスプレート38が設けられている。吐出口36は、インク供給口31の対向する二つの長辺に沿って複数形成されて吐出口列を形成している。また、各吐出口36は、対応する電気熱変換素子32に対向して設けられており、吐出口群37を形成している。この吐出チップ3において、インク供給口31から供給されたインクは、各電気熱変換素子32の発熱により発生した気泡の圧力により、各電気熱変換素子32に対向する吐出口36から吐出される。
(電気配線テープ)
図2を参照する。電気配線テープ4は、吐出チップ3に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものであり、ポリイミドのベース基材上に銅箔の配線パターンを形成することで構成されている。また、吐出チップ3を組み込むための開口部40が形成されており、この開口部40の縁付近には、吐出チップ3の電極部33に接続される電極端子41が形成されている。さらに、電気配線テープ4には、インクジェット記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子42も形成されており、電極端子41と外部信号入力端子42が連続した銅箔の配線パターンでつながれている。
(電気配線テープ)
図2を参照する。電気配線テープ4は、吐出チップ3に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものであり、ポリイミドのベース基材上に銅箔の配線パターンを形成することで構成されている。また、吐出チップ3を組み込むための開口部40が形成されており、この開口部40の縁付近には、吐出チップ3の電極部33に接続される電極端子41が形成されている。さらに、電気配線テープ4には、インクジェット記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子42も形成されており、電極端子41と外部信号入力端子42が連続した銅箔の配線パターンでつながれている。
電気配線テープ4と吐出チップ3の電気的接続は、電極部33に形成されたバンプ34(図3)と、電極部33に対応する電気配線テープ4の電極端子41とが熱超音波圧着法により電気接合されることで実現されている。
(実施例1)
本発明の記録ヘッドについて実施例を挙げてさらに詳しく説明する。本実施例に係る記録ヘッドに搭載されている吐出チップ3は、ウエハの外周部に配置されている図8中の吐出チップ101dに相当するものである。
本発明の記録ヘッドについて実施例を挙げてさらに詳しく説明する。本実施例に係る記録ヘッドに搭載されている吐出チップ3は、ウエハの外周部に配置されている図8中の吐出チップ101dに相当するものである。
図4(a)は、吐出チップ3をインク吐出方向からみた模式図、すなわち、オリフィスプレート38の表面を表す模式図である。図4(b)は、吐出チップ3の長手方向に沿った断面図模式図(V−V断面模式図)である。また図4(c)は、吐出チップ3の短手方向に沿った断面模式図(H−H断面模式図)である。図1に示すように、吐出チップ3には、図10に示す保護テープ300と同様の保護テープ50が貼られる。
吐出チップ3は、上層にフォトリソグラフィ技術を用いて不図示の配線及び発熱素子が形成されたSi基板30と、Si基板30上に、電気熱変換素子と対応して形成されたインク流路35及び吐出口36を有するオリフィスプレート38を備えている。オリフィスプレート38の吐出口36の列または群が形成されている吐出口面には、吐出口36を保護する保護テープ50が貼られる(図1)。なお、本実施例では、記録液であるインクを吐出するエネルギー発生手段として電気熱変換素子を例にとったが、本発明はこれに限られるものではない。また、図4に示すように、Si基板30の背面から表面に向けて異方性エッチングによるインク供給口31が貫通している。そして、図示しないインク供給部材からインク供給口31を介して、吐出口36に繋がるインク流路35内にインクが供給される。
保護テープ50は、テープ基材と粘着層の二層構造になっている。本実施例では、保護テープ50のテープ基材にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いたが、ガス透過性が少なく耐インク性のあるものであればPET以外の材料を用いても構わない。また、粘着層にはアクリル系の粘着剤を用いたが、密着性、タック性に優れた材料であればアクリル系以外の粘着剤でもよい。基材の厚みは27μm、粘着層の厚みは30μmであり、粘着力は122〜210N/m(JIS Z 0273 10)のものを使用した。
図4(a)に示すように、オリフィスプレート38の吐出口36の周辺には、インク供給口31の全周を取り囲むように溝60が形成されている。この溝60は、吐出口36の周囲を取り囲む第1の部分60aと、第1の部分60aと連続し、かつ、保護テープ50が貼り付けられる領域Tの外側へ伸びる第2の部分60bとから構成されている。すなわち、溝60は、吐出口面の保護テープ50が貼られている領域と該領域の外側の領域とに跨って延在している。
第1の部分60aは、吐出チップ3の長手部と平行に配置される第1の溝61と、吐出チップ3の短手部と平行に配置される第2の溝62とから構成される。第1の溝61の本数は12本、第2の溝61の本数は吐出口36aの数と略同等とした。第1の溝61及び第2の溝62の幅は、吐出口36の直径と略同一であり、吐出口36と略同ピッチで配置されている。また、第1の部分60aは、インク流路35の外周から約30μm〜150μm程度の範囲に配置してある。なお、この範囲は表面うねりが顕著である領域と一致する。
第2の部分60bは、最も外側の第2の溝62から延在し、領域Tの外側まで伸びる第3の溝63によって構成されている。第3の溝63の幅は、約60μm〜100μmである。また、第3の溝63の端部63aは直径0.1mm〜0.3mmの円柱形状とした。
なお、第1〜第3の溝の本数や幅は、吐出口面の表面うねりに起因して、吐出口面と保護テープ50の粘着層との間に生じる空間の体積や、該空間からの空気の排出タクト等を考慮して設定するものであり、本実施例の限りではない。
上記のような溝60をオリフィスプレート38上に形成することにより、保護テープ50の粘着層とオリフィスプレート38の表面に存在する凹部39と間の空間内の空気が溝60を介して排出可能となる。結果、吐出口面に保護テープ50が均一に密着し、吐出口36からのインクの染み出しが防止される。
(実施例2)
本実施例においては、図5に基づいて、実施例1と異なる部分についてのみ述べる。
(実施例2)
本実施例においては、図5に基づいて、実施例1と異なる部分についてのみ述べる。
図5(a)は、本実施例に係る記録ヘッドに搭載されている吐出チップ3をインク吐出方向からみた模式図、すなわち、オリフィスプレート38の表面を表す模式図である。図4(b)は、吐出チップ3の長手方向に沿った断面図模式図(V−V断面模式図)である。また図4(c)は、吐出チップ3の短手方向に沿った断面模式図(H−H断面模式図)である。
本実施例においても、実施例1と同様に、オリフィスプレート38の吐出口36の周辺には溝60が設けられている。さらに、溝60は、吐出口36の周囲を取り囲む第1の部分60aと、第1の部分60aと連続し、かつ、保護テープ50が貼り付けられる領域Tの外側へ伸びる第2の部分60bとから構成されている。
吐出口36の周囲近傍に配置されている第1の部分60aは、実施例1と同様、インク流路35の外周から約30μm〜150μm程度の範囲で配置している。なお、この範囲は表面うねりが顕著である領域と一致する。
図5(b)、(c)に示すように、溝60には天井部64を設けた。なお、図5(a)中では、天井部64を点線で示してある。天井部64のうち、溝60の第1の部分60aを覆う領域には、吐出口面へ貫通する貫通口65を設けた。換言すれば、第1の溝61や第2の溝62と吐出口面とを連通させる貫通口65を設けた。なお、第1の溝61や第2の溝62が第3の溝63を介して、吐出口面上であって、かつ、護テープ50が貼り付けられる領域Tの外側の領域に連通されていることは実施例1と同様である。貫通口65の口径は略吐出口径と同様とし、吐出口36の配置ピッチの半ピッチで設置した。
本実施例においては、天井部64とSi基板30との間に囲まれた部分は、インク流路35の形成時に同時に形成されており、高さは20μm程度である。
本実施例における第1の溝61及び第2の溝62の幅は120μm程度、第3の溝63幅は約60μm〜100μmとした。なお、本実施例においては、第1の部分60aにおける天井部64は、第1の溝61及び第2の溝62の壁(支持部66)によって支持されている。この際、隣接する支持部66の間の間隔は10μm程度とし、貫通口65とほぼ同ピッチで配置した。なお、溝60、貫通口65、天井部64は、支持部66は、吐出口36と同時にパターニングされ、オリフィスプレート38に形成される。
なお、第1〜第3の溝61〜63の幅や本数、第3の溝63の端部63aの径、貫通口65の径や数、支持部66の配置ピッチや数などは、本実施例の限りではない。すなわち、これらは、吐出口面の表面うねりに起因して、吐出口面と保護テープ50の粘着層との間に生じる空間の体積や、該空間からの空気の排出タクト等を考慮して設定するものである。
以上から、本実施例においても、実施例1と同様な以下に述べる効果が得られた。すなわち、保護テープ50を貼り付ける際に、オリフィスプレート38表面の凹部39と保護テープ50の粘着層との間の空間内の空気が第3の溝63の端部63aから排出される。結果、吐出口面に保護テープ50が均一に密着し、吐出口36からのインクの染み出しが防止される。さらに、本実施例の構成によれば、上記空気の排出に際して、貫通口65で空気の流抵抗を大きく、溝内部で空気の流抵抗を小さくできるため、貫通口65直下の吸引負圧ピークを高く、かつ応答性良く、上昇させることが可能である。よって、実施例1の構成よりも排出タクトを向上させ、保護テープ貼り付け時の工程タクト短縮が実現できる。オリフィスプレート38表面の平坦な部分の表面積を増やせるため、撥水領域を拡大できるとともに、保護テープ50との密着力の向上が図れる。
(実施例3)
本実施例においては、図6に基づいて、実施例1及び実施例2と異なる部分についてのみ述べる。
(実施例3)
本実施例においては、図6に基づいて、実施例1及び実施例2と異なる部分についてのみ述べる。
図6(a)〜(d)は、本実施例に係る記録ヘッドに搭載される吐出チップの異なる例を示す平面図である。
図6(a)に示す吐出チップ3aは、図8において、ウエハ100の中央部に配置されている吐出チップ101aに相当する吐出チップである。図6(b)に示す吐出チップ3bは、図8において、ウエハ100の外周部に配置されている吐出チップ101bに相当する吐出チップである。図6(c)に示す吐出チップ3bは、図8において、ウエハ100の外周部に配置されている吐出チップ101cに相当する吐出チップである。図6(d)に示す吐出チップ3bは、図8において、ウエハ100の外周部に配置されている吐出チップ101dに相当する吐出チップである。
図6(a)に示す吐出チップ3aは、その製造過程において、ウエハの中心に位置していたものである。よって、吐出チップ3aのオリフィスプレート38aの表面には凹凸がほとんど存在しない。したがって、吐出チップ3aには、溝は形成していない。
図6(b)に示す吐出チップ3bは、その製造過程において、その短手部がウエハの外側方向に配置されていたものである(図8参照)。そこで、オリフィスプレート38bの凹部が発生し易い領域に、実施例2で説明した溝60の一部を選択的に形成した。具体的には、製造過程においてウエハ外側方向に位置している短手部の吐出口近傍にのみ溝60を形成した。
図6(c)に示す吐出チップ3cは、その製造過程において、その長手部がウエハの外側方向に配置されていたものである(図8参照)。そこで、製造過程においてウエハ外側方向に位置している長手部の吐出口近傍に、実施例2で説明した溝60の一部を選択的に形成した。
図6(d)に示す吐出チップ3cは、その製造過程において、長手部の一方と短手部の双方がウエハ外側方向に配置されていたものである(図8参照)。そこで、製造過程においてウエハ外側方向に位置している一方の長手部及び短手部の双方の吐出口近傍に、実施例2で説明した溝60の一部を選択的に配置した。
以上のように、製造過程においてウエハの中心に位置して吐出チップのオリフィスプレートには溝を形成しない。一方、製造過程においてウエハの外周部に位置していた吐出チップのオリフィスプレートには、その位置に応じてインク供給口の一部を囲むように溝を形成する。すなわち、本実施例では、吐出チップの製造時におけるウエハ上の位置に応じて、溝の配置を好適化してある。これにより、一つのウエハから切り出された全ての吐出チップに保護テープを密着させることができ、記録ヘッドの歩留まりが向上する。
(実施例4)
次に、実施例2における吐出チップを例に取って、記録ヘッドの製造方法について説明する。もっとも、本発明の特徴である吐出チップへの保護テープの貼り付け工程についてのみ説明し、その他の工程についての説明は省略する。
(実施例4)
次に、実施例2における吐出チップを例に取って、記録ヘッドの製造方法について説明する。もっとも、本発明の特徴である吐出チップへの保護テープの貼り付け工程についてのみ説明し、その他の工程についての説明は省略する。
ここで説明する貼り付け工程は、(1)保護テープ押圧工程と、(2)エア吸引工程の2つの工程からなる。以下、それぞれの工程について説明する。
(1)保護テープ押圧工程
図7(a)は、保護テープ50を押圧手段70により、吐出チップ3に対して押圧している状態を示している。押圧手段70は、保護テープ50の基材部51を介して粘着層52をオリフィスプレート38の表面に押圧する弾性部材71とそのベース部72からなる。本実施例では、弾性部材71にシリコンゴムを採用し、さらに表面に撥水処理を施すことにより、基材部51との貼り付きを防止している。当該工程では、オリフィスプレート38の表面の凹部39と粘着層52との間の空間に空気が残留している。
(2)エア吸引工程
図7(b)は、エア吸引手段80により第3の溝63の端部63aから凹部39と粘着層52との間の空間に残留している空気を吸引し、保護テープ50の粘着層52と凹部39とを密着させている状態を示している。
(1)保護テープ押圧工程
図7(a)は、保護テープ50を押圧手段70により、吐出チップ3に対して押圧している状態を示している。押圧手段70は、保護テープ50の基材部51を介して粘着層52をオリフィスプレート38の表面に押圧する弾性部材71とそのベース部72からなる。本実施例では、弾性部材71にシリコンゴムを採用し、さらに表面に撥水処理を施すことにより、基材部51との貼り付きを防止している。当該工程では、オリフィスプレート38の表面の凹部39と粘着層52との間の空間に空気が残留している。
(2)エア吸引工程
図7(b)は、エア吸引手段80により第3の溝63の端部63aから凹部39と粘着層52との間の空間に残留している空気を吸引し、保護テープ50の粘着層52と凹部39とを密着させている状態を示している。
エア吸引手段80は、密着部81とそのベース82から構成される。エア吸引手段80は、本実施例では、押圧手段70に組み込まれており、保護テープ押圧工程が終了した後に下降して、第3の溝63の端部63aの外側に密着し、空気を吸引する。なお、図示は省略するが、中空になっているベース82に、エア吸引のための配管と真空ポンプとが接続されている。
以上述べた押圧手段70及びエア吸引手段80を用いて、保護テープ押圧工程およびエア吸引工程を順次行うことによって、オリフィスプレート38の表面と保護テープ50との密着を実現できる。
なお、本実施例では、実施例2で説明した吐出チップを例に取って保護テープの貼り付け工程について説明したが、上記工程は他の実施例に係る吐出チップについても適用可能である。
以上のように、本発明によれば、オリフィスプレートの表面に軽微な凹凸があっても、該表面に保護テープを密着させ、吐出口およびその近傍を確実に封止することができる。このことは、例えば、ウエハ大口径化によっても、膜厚管理のための生産設備増設や生産性の低下を発生させることなく、チップ製造を実現し、チップ取り個数UPにより、大幅なコストダウンが実現できることを意味する。
30 Si基板
31 インク供給口
32 電気熱変換素子
36 吐出口
35 インク流路
38 オリフィスプレート
50 保護テープ
60 溝
64 天井部
65 貫通口
70 押圧手段
80 エア吸引手段
31 インク供給口
32 電気熱変換素子
36 吐出口
35 インク流路
38 オリフィスプレート
50 保護テープ
60 溝
64 天井部
65 貫通口
70 押圧手段
80 エア吸引手段
Claims (5)
- インクを吐出させるためのエネルギー発生素子とインクが供給されるインク供給口とが形成された基板と、
前記基板の前記エネルギー発生素子が形成された面の上に、吐出口及び該吐出口へ連通するインク流路を形成するオリフィスプレートと、
前記オリフィスプレートの前記吐出口が形成されている吐出口面に貼られた保護テープと、
前記吐出口面の前記吐出口の周辺に形成された溝とを有し、
前記溝の少なくとも一部は、前記吐出口面の前記保護テープが貼られている領域と該領域の外側の領域とに跨って形成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - 前記溝を覆う天井部と、
前記天井部を貫通し、前記溝と前記吐出口面とに連通する複数の貫通口とを有し、
前記貫通口の少なくとも一部は、前記吐出口面の前記保護テープが貼られている領域の外側の領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。 - 前記インク供給口の外側に、該インク供給口の対向する二つの長辺のそれぞれに沿って前記吐出口が複数形成されて吐出口列を形成しており、
前記溝は、前記吐出口列の外側に、前記インク供給口の全周を取り囲むように形成されている請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。 - 前記インク供給口の外側に、該インク供給口の対向する二つの長辺のそれぞれに沿って前記吐出口が複数形成されて吐出口列を形成しており、
前記溝は、前記吐出口列の外側に、前記インク供給口の一部を囲むように形成されている請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。 - インクを吐出させるためのエネルギー発生素子が形成された基板と、前記基板の上に、吐出口及び該吐出口へ連通するインク流路を形成するオリフィスプレートと、前記オリフィスプレートの前記吐出口が形成されている吐出口面に貼られた保護テープと、前記吐出口面の前記吐出口の周辺に形成された溝とを有し、前記溝の少なくとも一部が前記吐出口面の前記保護テープが貼られている領域と該領域の外側の領域とに跨って形成されているインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記吐出口面の上に配置された前記保護テープを押圧する工程と、
前記吐出口面と前記保護テープとの間に残留している空気を、前記吐出口面の前記保護テープが貼られている領域の外側の領域に延在している前記溝の一部を介して吸引する工程とを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010064632A JP2011194736A (ja) | 2010-03-19 | 2010-03-19 | インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010064632A JP2011194736A (ja) | 2010-03-19 | 2010-03-19 | インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011194736A true JP2011194736A (ja) | 2011-10-06 |
Family
ID=44873533
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010064632A Pending JP2011194736A (ja) | 2010-03-19 | 2010-03-19 | インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011194736A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013230588A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-11-14 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド、および記録装置 |
US9278541B2 (en) | 2014-02-20 | 2016-03-08 | Canon Kabushiki Kaisha | Recording head |
-
2010
- 2010-03-19 JP JP2010064632A patent/JP2011194736A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013230588A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-11-14 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド、および記録装置 |
US9278541B2 (en) | 2014-02-20 | 2016-03-08 | Canon Kabushiki Kaisha | Recording head |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7250553B2 (ja) | 液体吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2008273192A (ja) | 圧電アクチュエータの製造方法、液体移送装置の製造方法、圧電アクチュエータ、及び、液体移送装置 | |
JP4380713B2 (ja) | 液体噴射ヘッドユニットの製造方法 | |
JP2011194736A (ja) | インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 | |
JP6060712B2 (ja) | 流路部品、液体噴射ヘッド、液体噴射装置および流路部品の製造方法 | |
US20170334207A1 (en) | Joining method, apparatus of manufacturing joined body, joined body, ink jet head unit, and ink jet type recording apparatus | |
JP2012187864A (ja) | インクジェットヘッド | |
JP2008221653A (ja) | ノズル形成部材の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法並びに液体噴射ヘッドユニットの製造方法 | |
CN108724941B (zh) | 液体喷出头 | |
JP2012187863A (ja) | インクジェットヘッド | |
US9108406B2 (en) | Device substrate, liquid ejection head, and method for manufacturing device substrate and liquid ejection head | |
US10357964B2 (en) | Microfluidic assembly and methods of forming same | |
JP2005138529A (ja) | 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、及び液体吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2010234534A (ja) | 液体吐出装置およびその製造方法 | |
JP5224782B2 (ja) | 液体吐出ヘッドの製造方法 | |
JP5914976B2 (ja) | ノズル基板、液滴吐出ヘッド、および液滴吐出装置 | |
JP7346148B2 (ja) | 液体吐出ヘッド | |
JP7433817B2 (ja) | 液体吐出ヘッド | |
JP6130308B2 (ja) | インクジェット式印字ヘッドを作成する方法 | |
JP4983582B2 (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法 | |
JP5661357B2 (ja) | インクジェット記録ヘッド | |
JP2008221641A (ja) | 液体吐出ヘッドの製造方法 | |
JP4561332B2 (ja) | インクジェットヘッド | |
JP2007062259A (ja) | ヘッドモジュール、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、及びヘッドモジュールの製造方法 | |
JP2017052142A (ja) | 液体吐出装置の製造方法 |