JP2011194529A - 湿式ブラスト加工用研磨材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エーテル基と水酸基又はエステル基と水酸基とを含有する(メタ)アクリレート系単量体0.1〜20重量部と、前記(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体100重量部とを含む単量体混合物に由来する球状重合体粒子からなり、前記球状重合体粒子の表面への重合時に副次的に発生する乳化物及び/又は微小粒子の付着数が9個以下(ここで、付着物の個数は、重合体粒子の6μm×5μmの任意の領域5視野の平均値である)であることを特徴とする湿式ブラスト加工用研磨材により上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
ブラスト加工では研磨材として古くから色々なものが使用されてきた。例えば、炭化珪素、酸化アルミニウム、珪石、セラミック、ダイヤモンド粉末等の無機研磨材が知られている。ところが、これら無機研磨材は、物品に対する当たりが強過ぎて、研磨時に物品本体までも傷めることがある。
これに対し、物品に対する当たりが柔らかで、物品本体自体を傷めることが少ない、重合体粒子からなる合成樹脂製研磨材が提案されている。合成樹脂製研磨材を使用したブラスト加工は、通常湿式で行われ、合成樹脂製研磨材は水中に分散させたスラリーの状態で吹き付けられる。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、その目的とするところは、湿式ブラスト加工の際に気泡付着による浮上が少なく、研磨材ロスの少ない湿式ブラスト加工用研磨材を提供することを目的とする。
CH2=CR−COO[(C2H4O)m−(C3H6O)n]−H (式1)
(式中、RはH又はCH3、mは0〜50、nは0〜50、但し、m及びnが同時に0の場合を除く)又は
CH2=CR−COOCH2CH2O[CO(CR2)5O]p−H (式2)
(式中、RはH又はCH3、pは1〜50)で表される化合物から選択される場合、更に表面が平滑で、水への分散性、耐衝撃性に優れた湿式ブラスト加工用研磨材を提供できる。
更に、重合禁止剤が、単量体混合物100重量部に対して0.05〜3重量部添加される場合、乳化物及び/又は微小粒子の発生を抑制することができるので、粒子表面が更に平滑な湿式ブラスト加工用研磨材を製造することが可能となる。
重合時に、油相に重合禁止剤を添加することにより、懸濁重合の過程で生じる乳化物等を抑制することができる。油相に添加する重合禁止剤は、油溶性のものが好ましい。
重合体粒子の洗浄・脱水までの工程においては、乳化物等は、重合体粒子の表面に接触している程度であり、強固に付着はしていない。
乳化物等が重合体粒子表面に強固に付着するのは、乾燥過程においてである。例えば、乾燥機による攪拌等によって、重合体粒子と乳化物等とが接合するような力が加えられるからである。このような攪拌による外力や重合体粒子同士の摩擦により、乳化物等は重合体粒子表面に強固に付着して、粒子表面の平滑性が低下する。粒子表面の平滑性が低下することにより、湿式ブラスト加工時に発生した気泡が粒子表面に付着しやすくなり、重合体粒子の浮上につながるもとの考えられる。よって、重合体粒子の乾燥工程においては、できるだけ外力を加えないで乾燥することが好ましい。
重合体粒子1kgあたりの攪拌回数が増えると、乾燥機と樹脂粒子との接触回数が増えるため、乾燥に要する時間は短くなる。一方、攪拌による粒子に加わる外力が増え、また、粒子同士の摩擦が大きくなるため、重合体粒子の表面に乳化物等が付着し、それが強固に定着しやすくなる。
「重合体粒子1kgあたりの攪拌回数」は、例えば、重合体粒子2kgを乾燥機で800回攪拌乾燥した場合、800回÷2kg=400回として算出される。
なお、乾燥機における攪拌回数は、回転式の攪拌装置である場合は1回転を1回とする。往復式の攪拌装置である場合は、1往復を2回とする。
また、加熱減量とは、重合体粒子を150℃で20分間加熱した後の重合体粒子の重量減量割合である。以下の式により算出される。
加熱減量(重量%)=100×(加熱前重量−加熱後重量)÷加熱前重量
本発明による研磨材を用いて湿式ブラスト加工を行うと、工程中に発生する気泡はほとんど研磨材に付着しないので、気泡による研磨材の浮上が2mm以下に抑制される。これにより効果的に湿式ブラスト加工を行うことが可能になる。
エーテル基と水酸基又はエステル基と水酸基とを含有する(メタ)アクリレート系単量体において、エーテル基としては、エチレングリコール、プロピレングリコールに由来する基が挙げられる。エステル基としては、ラクトンに由来する基が挙げられる。(メタ)アクリレート系単量体は、脂肪族であることが好ましく、特に好ましい(メタ)アクリレート系単量体は、下記式
CH2=CR−COO[(C2H4O)m−(C3H6O)n]−H (式1)
(式中、RはH又はCH3、mは0〜50、nは0〜50、但し、m及びnが同時に0の
場合は除く)又は
CH2=CR−COOCH2CH2O[CO(CR2)5O]p−H (式2)
(式中、RはH又はCH3、pは1〜50)の化合物から選択できる。
式2の化合物において、pが50より大きい場合、重合安定性が低下して合着粒子が発生することがある。好ましいpの範囲は1〜30である。また、2つのRは、同一でも異なっていてもよい。
ビニル系単量体としては、上記のエーテル基と水酸基又はエステル基と水酸基とを含有する(メタ)アクリレート系単量体と共重合しうる単量体が挙げられる。具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及び2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸等のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート系単量体、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン及びその誘導体、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、マレイン酸、フマール酸等
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、
ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、
N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、
ビニルナフタリン塩等
の単官能のビニル系単量体が挙げられる。これら単官能のビニル系単量体は、単独で使用してもよく、2種以上組合せて使用してもよい。
また、本発明の重合体粒子は、ビニル系単量体に、上記単官能のビニル系単量体と、2つ以上の官能基をもつ架橋性のビニル系単量体とを含ませることで、架橋重合体粒子としてもよい。架橋性のビニル系単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びこれらの誘導体である芳香族ビニル系多官能単量体が挙げられる。これら架橋性単量体は2種以上組み合わせて用いることもできる。
エーテル基と水酸基又はエステル基と水酸基とを含有する(メタ)アクリレート系単量体の使用量は、ビニル系単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部である。0.1重量部未満の場合は、重合体粒子の親水性が不十分で水に分散させてスラリーとして湿式ブラスト加工に使用する際に、水中の気泡と結び付いて、浮上してしまうことがある。浮上した場合、スラリーの上部と下部で濃度が一定とならず不均一となり、研磨力にバラツキが生じることになる。一方、20重量部を超えると、スラリーが著しく泡立つことがあり、泡と共に粒子が浮上することがある。この場合も、研磨力にバラツキが生じることになる。泡立つ理由は、未反応の単量体が存在するためであると推測される。より好ましい使用量の範囲は、1.0〜15重量部である。
本発明の重合体粒子には、必要に応じて、公知の帯電防止剤、界面活性剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
重合体粒子の平均粒子径は、10μm〜1mmの範囲が好ましい。10μm未満の場合、研磨対象物への衝撃力が弱くなり、バリ取りや表面クリーニング能力が不足することがある。一方、1mmより大きい場合、細部への研磨が困難となり仕上がりが悪くなることがある。より好ましい平均粒子径は、50〜600μmである。
本発明の重合体粒子の製造方法は、球状の粒子が得られる限り、特に限定されない。例えば、懸濁重合、乳化重合、シード重合等の水性媒体中での重合法や、重合塊を押出法によりペレット化し、ペレットを表面が軟化しうる温度に加熱することで、球状の粒子を得る方法等が挙げられる。製造方法は、水性媒体中での重合が好ましく、特に懸濁重合が適している。
懸濁液又は乳化液は、公知の方法により作製できる。例えば、ビニル系単量体を、水性媒体に添加し、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー等の微細乳化機により分散させることで得ることができる。重合開始剤は、ビニル系単量体に予め混合させた後、水性媒体中に分散させてもよいし、ビニル系単量体とは別に水性媒体に分散させたものを混合してもよい。
本発明の研磨材は、ブラスト加工に使用される。ブラスト加工としては、機械式、空気式等の乾式ブラスト加工、水を併用する湿式ブラスト加工が挙げられる。機械式ブラスト加工は、機械的に投射することにより、研磨対象物に研磨材を衝突させて、研磨を行う方法である。空気式ブラスト加工は、圧縮空気の作用で研磨対象物に研磨材を衝突させて、研磨を行う方法である。湿式ブラスト加工は、水と研磨材とを混合してスラリーとし、このスラリーを噴射することにより、研磨対象物に研磨材を衝突させて、研磨を行う方法である。
本発明の研磨材は、水への分散性が良好である観点から、湿式ブラスト加工に使用することが好ましい。
また、本発明の研磨材には、帯電防止剤、消泡剤、抑泡剤等の添加剤を加えてもよい。これら添加剤の添加量は、研磨材100重量部に対して、0.001〜1重量部が好ましい。更に、水には、水溶性の有機溶媒や、他の添加剤が含まれてもよい。
更に、スラリーの噴射は、研磨材の配合割合、研磨対象物の種類等により適宜調整されるが、スラリー圧力が1〜8kg/cm2、噴射量が5〜50リットル/minの条件で行うことが好ましい。
重合体粒子の平均粒子径は、ベックマンコールター社製LS230型で測定する。
具体的には、粒子0.1gと界面活性剤(花王社製レオドールTW−L120)の0.1%水溶液10mlを試験管に投入し、ヤマト科学社製タッチミキサーTOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後、試験管を市販の超音波洗浄器であるヴェルボクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10分間分散させる。分散させたものをベックマンコールター社製のLS230型にて超音波を照射しながら測定する。そのときの光学モデルは作製した粒子の屈折率に合わせる。
重合体粒子表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、撮影倍率を2000倍で異なる角度から合計5視野撮影する。撮影された画像は、横6μm×縦5μm(3×10E−9m2)の視野の画像である。各々の画像から長径1μm以上の乳化物等の個数をカウントして、5視野分の平均値を求める。算出された平均値について下記4段階の評価基準を基に評価する。
◎:乳化物の個数が5個以下である。
○:乳化物の個数が5個を超えて10個未満である。
△:乳化物の個数が10個以上15個未満である。
×:乳化物の個数が15個以上である。
容積300mlのビーカーに重合体粒子100g、水150gを加え、特殊機化工業社製TKオートホモミキサーにより、タービン型攪拌翼を1500rpmで3分間回転させることにより攪拌する。
なお、攪拌の際には、攪拌翼の回転軸をビーカーの中心からずらして、気相を巻き込みやすくなるように調整しておく。
攪拌後30分間静置した後、ビーカー内の粒子の浮遊状態を観察し、下記4段階の評価基準を基に評価する。
◎:重合体粒子の浮遊が2mm未満である。
○:重合体粒子の浮遊が2mm以上5mm未満である。
△:重合体粒子の浮遊が5mm以上10mm未満である。
×:重合体粒子の浮遊が10mm以上である。
研磨材としての重合体粒子の容積比が30%となるように水に分散させスラリーを得る。得られたスラリーを湿式ブラスト研磨機(不二精機製作所社製:液体ホーニング機LH−5)を用いて、ICリードフレームのパッケージ(物品)の合成樹脂のバリ(研磨対象物)取りに用いる。バリ取り試験は、スラリー圧力6kg/m2、ノズル噴射量10リットル/min、30秒間噴射の条件で行う。バリを構成する合成樹脂の種類は、エポキシ樹脂である。研磨後の物品100個を目視で確認し、削り残したバリが存在する物品の個数を数える。個数が10個以下の場合、評価を○とし、それより多い場合、評価を×とする。更に、割れ欠けが存在する物品の個数を数える。個数が5個以下の場合、評価を○とし、それより多い場合、評価を×とする。
湿式ブラストに伴い、スラリー中の研磨材濃度は、研磨材自体の消耗及び泡立ち(粒子の浮遊)によるオーバーフローにより、徐々に低くなる。このため、定期的に粒子(研磨材)の濃度を観察し、粒子濃度が規定の範囲(20〜40体積%)よりも低くなったときに粒子を追加することが必要になる。特に、泡立ちによる粒子の浮遊量が多い場合には、頻繁に粒子を追加することが必要となり、作業効率及びコストの点から不利になる。
上記の観点より、粒子追加に要する時間は、研磨材(粒子)の浮遊の程度を測る1つの評価となる。
本発明の実施例及び比較例において、スラリー中の粒子濃度を30%としてホーニングを開始し、1時間毎に粒子濃度を測定しながら、ホーニング開始から粒子濃度が20%未満になった時点までの時間を「粒子追加に要する時間」とする。下記3段階の評価基準を基に評価する。
○:20時間以上
△:10時間以上20時間未満
×:10時間未満
なお、スラリー中の粒子濃度の測定方法は、スラリーをメスシリンダーに採り、粒子を沈降させた後の沈降高さからスラリー中の体積%を求めることにより測定する。
攪拌機、温度計を備えた5Lの重合器に、脱イオン水2500重量部を入れ、そこへピロリン酸マグネシウム粉末50重量部を分散させた。
これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル1400重量部、エチレングリコールジメタクリレート80重量部、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(日油社製:ブレンマー50PEP−300、mが3〜4、nが2〜3)80重量部、カプロラクトンEO(エチレンオキシド)変性リン酸ジメタクリレート0.8重量部の単量体混合物に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8重量部、過酸化ベンゾイル8重量部、更に、重合禁止剤としてフェノール系酸化防止剤(住友ケムテックス社製:スミライザーBBM−S)を4.7重量部加え、溶解させた混合液を入れた。
重合器を50℃に加熱し、Vパドルにより200rpmで攪拌しながら懸濁重合を6時間行った後、105℃に昇温した。105℃で2時間保持した後、室温(約20℃)まで冷却し、懸濁液を得た。
得られた懸濁液をpH2以下になるまで塩酸を加え、ピロリン酸マグネシウムを分解した後、濾過、洗浄、脱水して重合体粒子を得た。
粒子の浮遊は、1mm未満(◎)であった。
粒子追加に要した時間は、26時間(○)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
乾燥時の攪拌のサイクルを1分間攪拌、29分間静置のサイクルに変更したことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は12時間であった。乾燥までの攪拌回数は240回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(240回÷1.56kg≒)154回であった。乾燥後の重合体粒子を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、図3のように乳化物等の付着が見られない平滑な表面を有する粒子であることを確認できた。
粒子の浮遊は、2mm未満(◎)であった。
粒子追加に要した時間は、22時間(○)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
乾燥工程中に乾燥機の攪拌を行わなかったことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は27時間であった。乾燥までの攪拌回数は0回であった。
粒子の浮遊は、1mm未満(◎)であった。
粒子追加に要した時間は、27時間(○)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
混合液を次の処方にしたことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は13時間であった。乾燥までの攪拌回数は130回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(130回÷1.56kg≒)83回であった。
メタクリル酸メチル1390重量部、エチレングリコールジメタクリレート80重量部、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(日油社製:ブレンマー50PEP−300、mが3〜4、nが2〜3)80重量部、2−メタクリロイルオキシコハク酸10重量部、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート0.8重量部の単量体混合物に、過酸化ベンゾイル8重量部、アゾビスイソブチロニトリル8重量部、更に、フェノール系酸化防止剤(住友ケムテックス社製:スミライザーBBM−S)を4.7重量部加え、溶解させた混合液。
粒子の浮遊は、1mm未満(◎)であった。
粒子追加に要した時間は、28時間(○)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
乾燥時の攪拌のサイクルを1分間攪拌、9分間静置のサイクルに変更したことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は10時間であった。乾燥までの攪拌回数は600回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(600回÷1.56kg≒)385回であった。
粒子の浮遊は、2mm(○)であった。
粒子追加に要した時間は、20時間(○)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
油溶性重合禁止剤を加えず、且つ乾燥時の攪拌を10rpmの連続攪拌としたことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は5時間であった。乾燥までの攪拌回数は3000回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(3000回÷1.56kg≒)1923回であった。乾燥後の重合体粒子を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、図5のように、大小多くの乳化物等の付着が見られ、表面が平滑とは言い難い粒子であることが確認できた。
粒子の浮遊は、30mm(×)であった。
粒子追加に要した時間は、4時間(×)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
乾燥時の攪拌を10rpmの連続攪拌としたことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は5.5時間であった。乾燥までの攪拌回数は3300回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(3300回÷1.56kg≒)2115回であった。乾燥後の重合体粒子を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、図7のように、乳化物等の付着が見られ、表面が平滑とまでは言えない粒子であることが確認できた。
粒子の浮遊は、5mm(△)であった。
粒子追加に要した時間は、10時間(△)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
油溶性重合禁止剤を加えないことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は12時間であった。乾燥までの攪拌回数は120回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(120回÷1.56kg≒)77回であった。
粒子の浮遊は、4mm(△)であった。
粒子追加に要した時間は、12時間(△)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
乾燥時の攪拌のサイクルを1分間攪拌、5分間静置のサイクルに変更したことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は8時間であった。乾燥までの攪拌回数は800回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(800回÷1.56kg≒)513回であった。
粒子の浮遊は、3mm(△)であった。
粒子追加に要した時間は、17時間(△)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
乾燥時の攪拌のサイクルを1分間攪拌、1分間静置のサイクルに変更したことを除き、実施例1と同様にして乾燥した重合体粒子を得た。乾燥に要した時間は6時間であった。乾燥までの攪拌回数は1800回であった。重合体粒子1kgに加える攪拌回数は、(1800回÷1.56kg≒)1154回であった。
粒子の浮遊は、4mm(△)であった。
粒子追加に要した時間は、13時間(△)であった。
バリ取り効果の評価により削り残したバリが存在する物品の個数は、10個以下(○)であった。
研磨後の物品の割れ欠け評価により割れ欠けが存在する物品の個数は、5個以下(○)であった。
実施例1〜5及び比較例1〜5の結果を表1にまとめて示す。
なお、表1中の「重量部」の数値は、単量体100重量部に対する数値である。
比較例1及び2は、乾燥工程において連続攪拌を行ったため、重合体粒子1kgあたりの攪拌回数が400回を超えてしまったことが原因だと考えられる。比較例1及び3は、重合禁止剤を用いなかったため、重合時の乳化物等の発生を抑制できなかったためだと考えられる。比較例4及び5は、間欠攪拌を行ったものの、乾燥までの重合体粒子1kgあたりの攪拌回数が400回を超えてしまったことが原因だと考えられる。
Claims (8)
- エーテル基と水酸基又はエステル基と水酸基とを含有する(メタ)アクリレート系単量体0.1〜20重量部と、前記(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体100重量部とを含む単量体混合物に由来する球状重合体粒子からなり、前記球状重合体粒子の表面への重合時に副次的に発生する乳化物及び/又は微小粒子の付着数が9個以下(ここで、付着物の個数は、重合体粒子の6μm×5μmの任意の領域5視野の平均値である)であることを特徴とする湿式ブラスト加工用研磨材。
- 前記重合時に副次的に発生する乳化物及び/又は微小粒子の付着数が、5個以下である請求項1に記載の湿式ブラスト加工用研磨材。
- 前記(メタ)アクリレート系単量体が、下記式
CH2=CR−COO[(C2H4O)m−(C3H6O)n]−H (式1)
(式中、RはH又はCH3、mは0〜50、nは0〜50、但し、m及びnが同時に0の場合を除く)又は
CH2=CR−COOCH2CH2O[CO(CR2)5O]p−H (式2)
(式中、RはH又はCH3、pは1〜50)で表される化合物から選択される請求項1又は2に記載の湿式ブラスト加工用研磨材。 - 前記(メタ)アクリレート系単量体が、m及びnが0〜30の式1の化合物(但し、m及びnが同時に0の場合は除く)、pが1〜30の式2の化合物から選択される請求項3に記載の湿式ブラスト加工用研磨材。
- 前記ビニル系単量体が、(メタ)アクリル酸エステル系単官能単量体と(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体との混合物である請求項1〜4のいずれか1つに記載の湿式ブラスト加工用研磨材。
- 前記ビニル系単量体が、メタクリル酸、アクリル酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及び2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸から選択されるカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート系単量体である請求項1〜4のいずれか1つに記載の湿式ブラスト加工用研磨材。
- エーテル基と水酸基又はエステル基と水酸基とを含有する(メタ)アクリレート系単量体0.1〜20重量部と、前記(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体100重量部とを含む単量体混合物を、重合禁止剤の存在下、懸濁重合させることにより重合体粒子を得、得られた前記重合体粒子を、30〜80℃の雰囲気下、加熱減量値が1%以下となるまで、前記重合体粒子1kgあたりの攪拌回数400回以内で乾燥する工程を経て、表面への重合時に副次的に発生する乳化物及び/又は微小粒子の付着数が9個以下(ここで、付着物の個数は、重合体粒子の6μm×5μmの任意の領域5視野の平均値である)である重合体粒子からなる湿式ブラスト加工用研磨材を得ることを特徴とする湿式ブラスト加工用研磨材の製造方法。
- 前記重合禁止剤が、前記単量体混合物100重量部に対して0.05〜3重量部添加される請求項7に記載の湿式ブラスト加工用研磨材の製造方法。
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