JP7303946B2 - 中空粒子及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、中空粒子及びその用途に関する。
熱可塑性樹脂を外殻とし、内部に発泡剤が封入された構造を有する熱膨張性微小球は、一般に熱膨張性マイクロカプセルと呼ばれている。また、熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張させることによって、内部が中空状の中空粒子を得ることができる。この中空粒子は軽量であり、接着剤、塗料の軽量化材や断熱塗料など幅広い分野で使用・検討されている。
通常、中空粒子は軽量であることから、飛散等が起こり、ハンドリング性が低い。中空粒子のハンドリング性を向上させるために、その表面に無機粉体等を付着させる方法があるが、無機粉体を付着させることで中空粒子の比重が大きくなり、中空粒子が本来有する軽量な性質が損なわれる問題がある。
また、特許文献1には、発泡開始温度より高い温度で自由発泡させてなる発泡粒子の該ガラス板上でのブロアー試験により測定される残存率が、ブロアー試験前の発泡粒子の総質量に対して3質量%以上であることを特徴とする熱発泡性マイクロスフェアーが例示されており、形成される発泡粒子同士及び該発泡粒子と他の材料との接着性が優れ、発泡粒子の脱落が少なく、得られる成形品の機械的特性が良好となることが例示されている。
国際公開第2016/088800号 パンフレット
しかし、特許文献1の熱発泡性マイクロスフェア-を加熱して得られる中空粒子では、中空粒子同士や他の材料と融着してしまい、また、中空粒子を使用する製造設備において、設備への付着が酷く、中空粒子の取扱い性が低くなることが確認され、さらには分散性も低下することが確認された。
本発明の目的は、以上のような課題に対して、軽量で、取り扱い性と分散性に優れる中空粒子及びその用途を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の性能を有する中空粒子であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる外殻部と、前記外殻部に囲まれた中空部とを含む中空粒子であって、前記中空粒子の真比重dが0.02~0.1であり、下記条件1を満たす、中空粒子である。
条件1:前記真比重dと前記中空粒子のゆるみ嵩比重dが下記式(I)の関係を有する。
58≦100×(d-d)/d≦78 式(I)
本発明の中空粒子は、灰分が2.5重量%以下であると好ましい。
本発明の中空粒子は、平均粒子径が1~100μmであると好ましい。
本発明の中空粒子は、前記熱可塑性樹脂がニトリル系単量体を含む重合性成分の重合体であると好ましい。
発明の中空粒子は、下記条件2を満たすと好ましい。
条件2:前記中空粒子をイオン交換水に分散させた水分散液の25℃におけるpHが7超であり、前記水分散液に占める前記中空粒子の含有量が1重量%である。
本発明の組成物は、上記中空粒子と基材成分を含むものである。
本発明の成形物は、上記組成物を成形してなるものである。
本発明の中空粒子は、軽量であり、取り扱い性と分散性に優れる。
本発明の組成物は上記中空粒子を含んでいるので、偏りがなく均一で安定して軽量である。
本発明の成形体は、上記組成物を成形してなるものであるので、軽量である。
中空粒子の一例を示す概略図である。 中空粒子を乾式加熱膨張法で製造するための製造装置の発泡工程部の概略図である。
本発明の中空粒子は、熱可塑性樹脂からなる外殻部と、その外殻部に囲まれた中空部とから構成されるものである。以下、本発明の中空粒子について詳しく説明する。
〔中空粒子〕
本発明の中空粒子は、熱可塑性樹脂からなる外殻部と、その外殻部に囲まれた中空部とを含むものであり、例えば、図1に示すようなものである。中空粒子は、(ほぼ)球状で、内部に大きな空洞に相当する中空部を有しており、その形状を身近な物品で例示するならば、軟式テニスボールを挙げることができる。
本発明の中空粒子は、後述する熱膨張性微小球の膨張体であってもよい。
中空粒子の外殻部は、その外表面と内表面とで囲まれ、端部はなく、連続した形状を有する。外殻部の厚み、すなわち、外表面と内表面との間の距離については、均一であることが好ましいが、不均一であってもよい。
中空粒子の中空部は、基本的には気体で満たされており、液体状態のものを有していてもよい。中空部は、通常は、大きな中空部1つであることが好ましいが、中空粒子中に複数あってもよい。
本発明の中空粒子の真比重dは0.02~0.1である。該真比重dが上記範囲内であると、軽量となる。また、該真比重dが0.02未満であると飛散性が上がり取り扱い性が低下する。該真比重dの上限は、好ましくは0.095、より好ましくは0.09、特に好ましくは0.085である。一方、該真比重dの下限は、好ましくは0.025、より好ましくは0.028、特に好ましくは0.030である。
なお、中空粒子の真比重dは、本発明の実施例に記載の方法によるものである。
本発明の中空粒子は下記条件1を満たす。
中空粒子が上記真比重dと下記条件1を満たすことにより、中空粒子は融着などによる強い凝集や接着した状態や、流動性が極めて高く単離した状態ではなく、弱い外力により単離可能な程度の纏まりのある集合体のような状態となるため、中空粒子の飛散が抑制できるだけでなく、中空粒子の強い融着や接着も抑制でき、中空粒子の取り扱い性や分散性に優れたものとなる。
条件1:前記真比重dと前記中空粒子のゆるみ嵩比重dが下記式(I)の関係を有する。
58≦100×(d-d)/d≦78 式(I)
上記式(I)の数値が58未満であると、中空粒子は軽量で流動性が極めて高い単離した状態のものとなるため、飛散しやすく取り扱い性が低下する。一方、上記式(I)の数値が78超であると、中空粒子は融着などによる強い凝集や接着した状態のものとなるため、設備等への付着性が増し、取り扱い性の低下や分散性が低下する。上記式(I)の数値の上限は、好ましくは77、より好ましくは76、さらに好ましくは75、特に好ましくは73、最も好ましくは71である。一方、上記式(I)の数値の下限は、好ましくは60、より好ましくは61、さらに好ましくは63、特に好ましくは、最も好ましくは65である。
本発明の中空粒子のゆるみ嵩比重dは、特に限定はないが、好ましくは0.0045~0.05である。該ゆるみ嵩比重dが0.0045以上であると、中空粒子は分散性が向上する傾向がある。一方、該ゆるみ嵩比重dが0.05以下であると、中空粒子の取り扱い性が向上する傾向がある。該ゆるみ嵩比重dの上限は、より好ましくは0.04、さらに好ましくは0.035である。一方、該ゆるみ嵩比重dの下限は、より好ましくは0.0055、さらに好ましくは0.007、特に好ましくは0.0085である。
なお、中空粒子のゆるみ嵩比重dは、本発明の実施例に記載の方法によるものである。
本発明の中空粒子の灰分は、特に限定はないが、好ましくは2.5重量%以下である。該灰分の量が上記範囲内であると、弱い外力により単離可能な程度に纏まりのある中空粒子の集合体のような状態となり、本発明の効果をより奏する傾向がある。該灰分の量の上限は、(1)2.3重量%、(2)2重量%、(3)1.7重量%、(4)1.5重量%、(5)1重量%、(6)0.8重量%、(7)0.5重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい)。一方、該灰分の量の下限は、好ましくは0重量%、より好ましくは0.1重量%、さらに好ましくは0.2重量%である。
なお、本発明における中空粒子の灰分は中空粒子の強熱残渣を意味し、本発明の実施例に記載の方法によるものである。
本発明の中空粒子は、特に限定はないが、下記条件2を満たすと好ましい。
条件2:前記中空粒子をイオン交換水に分散させた水分散液の25℃におけるpHが7超であり、前記水分散液に占める前記中空粒子の含有量が1重量%である。
上記条件2における水分散液の25℃におけるpHが7超であると、単離可能な程度の纏まりのある中空粒子の集合体のような状態へと制御しやすい傾向がある。該pHの上限は、好ましくは14、より好ましくは12、さらに好ましくは10.5、特に好ましくは10である。一方、該pHの下限は、より好ましくは7.2、さらに好ましくは7.5、特に好ましくは8、最も好ましくは8.5である。
なお、25℃におけるpHは、本発明の実施例に記載の方法によるものである。
本発明の中空粒子の平均粒子径は、特に限定はないが、好ましくは1~100μmである。該平均粒子径が上記範囲内であると、中空粒子の飛散性や付着性などの取り扱い性また分散性が向上する傾向がある。該平均粒子径の上限は、より好ましくは80μm、さらに好ましくは60μm、特に好ましくは50μmである。一方、該平均粒子径の下限は、より好ましくは10μm、さらに好ましくは15μm、特に好ましくは20μm、最も好ましくは22μmである。
なお、中空粒子の平均粒子径は、本発明の実施例に記載の方法によるものである。
本発明の中空粒子の粒度分布の変動係数CVは、特に限定はないが、好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下、より好ましくは40、特に好ましくは35%以下である。変動係数が50%を超える場合は、粒子同士の隙間に異なる粒子径をもつ中空粒子が接することがあるため、結果として粒子径粒子同士が接する点が増加する傾向にあり、中空粒子同士が強く凝集や接着することがある。該変動係数CVの下限は、好ましくは3%、より好ましくは5%、特に好ましくは10%である。該変動係数CVは、以下に示す計算式(1)及び(2)で算出される。
Figure 0007303946000001
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、xはi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
本発明の中空粒子の平均粒子径(上記平均粒子径、r)と外殻部厚み(r)の比(r/r)は、特に限定はないが、効果的な軽量性を有する点で、好ましくは0.001~0.01である。
本発明の中空粒子の外殻部は熱可塑性樹脂により構成される。熱可塑性樹脂は、特に限定はないが、重合性炭素-炭素二重結合を1つ有する単量体である単量体成分を含み、重合性炭素-炭素二重結合を少なくとも2つ有する単量体である架橋剤を含んでもよい重合性成分の重合体であると好ましい。
重合性成分に含まれる単量体成分としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等のニトリル系単量体;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸の無水物や、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフイン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン等のビニルケトン系単量体;N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン等のN-ビニル系単量体;ビニルナフタリン塩;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル等のイタコン酸ジエステル等を挙げることができる。カルボキシル基含有単量体は、一部又は全部のカルボキシル基が重合時や重合後に中和されていてもよい。
アクリル酸又はメタクリル酸を合わせて(メタ)アクリル酸ということもあり、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味するものとし、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味するものとする。
これらの単量体成分は1種又は2種以上を併用してもよい。
重合性成分は単量体成分としてニトリル系単量体を含むと、中空粒子の外殻部の耐熱性やガスバリア性が向上する点で好ましい。重合性成分に占めるニトリル系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは15~100重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは99.9重量%、さらに好ましくは99.5重量%、特に好ましくは99重量%、最も好ましくは98.5重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは20重量%、さらに好ましくは30重量%、特に好ましくは40重量%、最も好ましくは50重量%である。
重合性成分がニトリル系単量体を含む場合、外殻部の機械的強度が向上する点で、ニトリル系単量体がアクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルを含むと好ましく、アクリロニトリルを必須に含むと好ましい。
ニトリル系単量体がアクリロニトリルを含む場合、重合性成分に占めるアクリロニトリルの重量割合は、特に限定はないが、好ましくは40~100重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは95重量%、さらに好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは50重量%、さらに好ましいくは55重量%、特に好ましくは60重量%である。
ニトリル系単量体は、外殻部の緻密性が向上する点で、アクリロニトリル(AN)及びメタクリロニトリル(MAN)を含むと好ましい。
ニトリル系単量体がAN及びMANを含む場合、AN及びMANの重量比(AN/MAN)は、特に限定はないが、好ましくは40/60~99/1である。該重量比の上限は、より好ましくは90/10、さらに好ましくは87/13、特に好ましくは80/20である。一方、該重量比の下限は、より好ましくは50/50、さらに好ましくは55/45、特に好ましくは60/40である。
重合性成分は単量体成分としてカルボキシル基含有単量体を含むと、外殻部の耐熱性や耐溶剤性が向上する点で好ましい。
重合性成分がガルボキシル基含有単量体を含む場合、重合性成分に占めるカルボキシル基含有単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは10~80重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは70重量%、さらに好ましくは60重量%、特に好ましくは50重量%、最も好ましくは45重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは15重量%、さらに好ましくは20重量%である。
重合性成分は単量体成分として(メタ)アクリル酸エステルを含むと、外殻部のガラス転移温度を調整できるため中空粒子の製造条件を調整できる点で好ましい。重合性成分に占める(メタ)アクリル酸エステルの重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0~70重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは60重量%、さらに好ましくは50重量%、特に好ましくは35%、最も好ましくは20%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは0.2重量%、さらに好ましくは0.5重量%、特に好ましくは0.7重量%、最も好ましくは1重量%である。
重合性成分は単量体成分としてハロゲン化ビニリデン系単量体を含むと、熱可塑性樹脂のカスバリア性が向上する点で好ましい。重合性成分に占めるハロゲン化ビニリデン系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0~70重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは60重量%、さらに好ましくは50重量%、特に好ましくは35%、最も好ましくは20%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは0.2重量%、さらに好ましくは0.5重量%、特に好ましくは0.7重量%、最も好ましくは1重量%である。
上述のとおり、重合性成分は架橋剤を含んでいてもよい。重合性成分が架橋剤を含むと、得られる熱可塑性樹脂の緻密性が向上し、膨張性や耐熱性の向上や機械的強度が向上する点で好ましい。
架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラアクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。これらの架橋剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
重合性成分は架橋剤を含まなくてもよいが、重合性成分が架橋剤を含む場合、その量は特に限定はないが、単量体成分100重量部に対して、好ましくは0.01~10重量部である。該含有量の上限は、より好ましくは0.1重量部、さらに好ましくは0.3重量部、特に好ましくは0.5重量部である。一方、該含有量の下限は、より好ましくは6重量部、さらに好ましくは3.5重量部、特に好ましくは1.6重量部、最も好ましくは1.1重量部である。
〔中空粒子の製造方法〕
本発明の中空粒子において、その製造方法は、例えば、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包されかつ加熱することにより気化する発泡剤を含む熱膨張性微小球を加熱膨張させる工程1(膨張工程)を含む製造方法を挙げることができる。また、膨張工程に先立って、熱膨張性微小球を製造しておく必要があり、この熱膨張性微小球の製造方法としては、例えば、上述の重合性成分及び発泡剤を含有する油性混合物を分散させた水性分散媒中で、重合開始剤を用いて重合性成分を重合させる工程2(重合工程)を含む製造方法を挙げることができる。したがって、中空粒子は、順に、重合工程、膨張工程を経て製造することができる。
本発明の中空粒子においては、効率的に中空粒子が得られる点で、上記膨張工程のように、熱膨張性微小球を加熱膨張させる工程を経て製造することが好ましい。
(重合工程)
発泡剤は、上述のように加熱することによって気化するものであればよく、例えば、プロパン、(イソ)ブタン、(イソ)ペンタン、(イソ)ヘキサン、(イソ)ヘプタン、(イソ)オクタン、(イソ)ノナン、(イソ)デカン、(イソ)ウンデカン、(イソ)ドデカン、(イソ)トリデカン等の炭素数3~13の炭化水素;(イソ)ヘキサデカン、(イソ)エイコサン等の炭素数13超で20以下の炭化水素;プソイドクメン、石油エーテル、初留点150~260℃及び/または蒸留範囲70~360℃であるノルマルパラフィンやイソパラフィン等の石油分留物等の炭化水素;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の炭素数1~12の炭化水素のハロゲン化物;ハイドロフルオロエーテル等の含弗素化合物;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル-n-プロピルシラン等の炭素数1~5のアルキル基を有するシラン類;アゾジカルボンアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等の加熱により熱分解してガスを生成する化合物等が挙げられる。発泡剤は、1種の化合物から構成されていてもよく、2種以上の化合物の混合物から構成されていてもよい。発泡剤は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよく、脂肪族であるものが好ましい。
重合工程では、上述の重合性成分を重合することで、熱膨張性微小球の外殻を形成する熱可塑性樹脂とすることができる。
また重合工程では、重合性成分を重合開始剤の存在下で重合させることが好ましい。重合開始剤は、重合性成分や発泡剤とともに油性混合物に含まれるとよい。
重合開始剤としては、特に限定はないが、たとえば、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド等の過酸化物;アゾニトリル、アゾエステル、アゾアミド、アゾアルキル、高分子アゾ開始剤等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、重合開始剤としては、重合性成分に対して可溶な油溶性の重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の配合量については、特に限定されないが、重合性成分100重量部に対して、0.05~10重量部が好ましく、0.1~8重量部がより好ましく、0.2~5重量部がさらに好ましい。
重合工程において、油性混合物は、連鎖移動剤等をさらに含有していてもよい。
水性分散媒は、油性混合物を分散させるイオン交換水等の水を主成分とする媒体であり、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、アセトン等の親水性有機性の溶媒をさらに含有してもよい。本発明における親水性とは、水に任意に混和できる状態であることを意味する。水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、100~1000重量部の水性分散媒を使用するのが好ましい。
水性分散媒は、電解質をさらに含有してもよい。電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの電解質は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。電解質の含有量については、特に限定はないが、水性分散媒100重量部に対して0.1~50重量部含有するのが好ましい。
水性分散媒は、重クロム酸カリウム、亜硝酸アルカリ金属塩、金属(III)ハロゲン化物、ホウ酸、水溶性アスコルビン酸類、水溶性ポリフェノール類、水溶性ビタミンB類及び水溶性ホスホン酸(塩)類や、カルボン酸(塩)基及びホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基が置換したアルキル基が窒素原子と結合した構造を有するポリアルキレンイミン類、水酸基、カルボン酸(塩)基及びホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1-置換化合物類等から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を含有してもよい。なお、本発明における水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。
水性分散媒中に含まれる水溶性化合物の量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.0001~1.0重量部、より好ましくは0.0003~0.1重量部、さらに好ましくは0.001~0.05重量部である。
水性分散媒は、電解質や水溶性化合物以外に、分散安定剤や分散安定補助剤を含有していてもよい。
分散安定剤としては、特に限定はないが、例えば、第三リン酸カルシウム、複分解生成法により得られるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウムや、コロイダルシリカ、アルミナゾル、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらの分散安定剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
分散安定剤の配合量は、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.05~100重量部、より好ましくは0.2~70重量部である。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、例えば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。これらの分散安定補助剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水性分散媒は、例えば、水(イオン交換水)に、必要に応じて、電解質、水溶性化合物、分散安定剤、分散安定補助剤等を配合して調製される。重合時の水性分散媒のpHは、水溶性化合物、分散安定剤、分散安定補助剤の種類によって適宜決められる。
重合工程では、水酸化ナトリウムや、水酸化ナトリウム及び塩化亜鉛の存在下で重合を行ってもよい。
重合工程では、所定粒子径の球状油滴が調製されるように油性混合物を水性分散媒中に懸濁分散させる。
油性混合物を懸濁分散させる方法としては、例えば、ホモミキサー(例えば、プライミクス社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(例えば、株式会社ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜懸濁法、超音波分散法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
次いで、油性混合物が球状油滴として水性分散媒に分散された分散液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、例えば、単量体の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは30~100℃、より好ましくは40~90℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、1~20時間程度が好ましい。重合初期圧力については特に限定はないが、ゲージ圧で0~5MPa、より好ましくは0.2~3MPaの範囲である。
得られたスラリーを遠心分離機、加圧プレス機、真空脱水機等により濾過し、含水率10~50重量%、好ましくは15~45重量%、より好ましくは20~40重量%のケーキ状物とし、ケーキ状物を、棚型乾燥機、間接加熱乾燥機、流動乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、気流乾燥機等により乾燥し、含水率5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下の乾燥粉体とする。
また、スラリーを噴霧乾燥機、流動乾燥機等により乾燥し、乾燥粉体を得てもよい。
このようにして、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤と、を含む熱膨張性微小球が得られる。
重合工程により得られる熱膨張性微小球の平均粒子径は、特に限定はないが、好ましくは1~75μm、より好ましくは2~50μm、さらに好ましくは3~40μm、特に好ましくは5~35μm、最も好ましくは7~30μmである。
重合工程により得られる熱膨張性微小球の真比重は、好ましくは0.97~1.30、より好ましくは1.05~1.20である。熱膨張性微小球の真比重が上記範囲内であると、効率的に本発明の中空粒子を得ることができる傾向がある。
(膨張工程)
膨張工程は、重合工程で得られた熱膨張性微小球を加熱膨張させる工程であれば、特に限定はないが、乾式加熱膨張法、湿式加熱膨張法のいずれでもよい。
乾式加熱膨張法としては、特開2006-213930号公報に記載されている方法、特に内部噴射方法を挙げることができる。湿式加熱膨張法としては、特開昭62-201231号公報に記載の方法等がある。熱膨張性微小球を加熱膨張させる温度は、好ましくは80~450℃である。
本発明の中空粒子が、熱膨張性微小球の膨張体である場合、中空粒子は膨張余力性を有するものであってもよい。中空粒子の膨張余力性とは、当該中空粒子を加熱するとさらに膨張する性質(再膨張)を意味する。
中空粒子の膨張余力率は、特に限定はないが、好ましくは18~85%である。該膨張余力率が18%未満であると、膨張工程において中空粒子同士が接する頻度が上がることや熱負荷が大きくなりやすいことがあるため、中空粒子は融着などによる強い凝集や接着した状態のものとなり、設備等への付着性が増し、取り扱い性の低下や分散性が低下することがある。一方、該膨張余力率が85%超であると、軽量な中空粒子が得られず軽量効果が得られないことがある。該膨張余力率の上限は、より好ましくは80%、さらに好ましくは70%、特に好ましくは65%、最も好ましくは60%である。一方、該膨張余力率の下限は、より好ましくは25%、さらに好ましくは30%、特に好ましくは35%、最も好ましくは40%である。
なお、熱膨張性微小球の膨張余力率は、通常95%以上である。
中空粒子の膨張余力率は、最大再膨張時の中空粒子に対する膨張程度を示しており、中空粒子の真比重(d)、及び最大再膨張時の中空粒子の真比重(d)を測定し、以下に示す計算式(3)で算出される。
膨張余力率(%)=(1-d/d)×100 (3)
なお、中空粒子が膨張余力性を有する場合、その最大再膨張の状態は、熱膨張性微小球から中空粒子が得られる際に、加熱により気化し、熱膨張性微小球を膨張させることができる成分である発泡剤を中空粒子が含有し、その発泡剤を中空粒子が保持できる限界の状態である。
また、本発明の中空粒子が熱膨張性微小球の膨張体である場合、中空粒子は発泡剤を含有していてもよい。中空粒子の発泡剤の含有率は、特に限定はないが、好ましくは0.5~25重量%である。該含有率の上限は、より好ましくは20重量%、さらに好ましくは15重量%、特に好ましくは12重量%、最も好ましくは10重量%である。一方、該含有率の下限は、より好ましくは1重量%、さらに好ましくは2重量%、特に好ましくは3重量%である。なお、中空粒子における発泡剤の含有率は、中空粒子に対する発泡剤の重量割合を意味するものである。
上述の方法にて得られた中空粒子や熱膨張性微小球を含む生成物は、上記の電解質、水溶性化合物、分散安定剤や分散安定補助剤等の中空粒子や熱膨張性微小球以外の成分を有する。これらの成分については、所定の量となるように調整することができ、また取り除くこともできる。
生成物が中空粒子や熱膨張性微小球を含む分散液である場合、例えば、中空粒子や熱膨張性微小球を水等の液状分散媒に分散することで得られ、また、重合工程後の熱膨張性微小球を含むスラリーや膨張工程後の中空粒子を含むスラリーを分散液とすることもできる。
電解質、水溶性化合物、分散安定補助剤等は水溶性であるので、中空粒子や熱膨張性微小球、上述の熱膨張性微小球のウェットケーキを水洗することで、その量を調整することができる。
分散安定剤は難溶性無機化合物等であるので、pHを調整して、難溶性無機化合物を酸塩基反応(pH調整反応)で水溶性無機化合物に変えて、中空粒子や熱膨張性微小球の表面から除去する工程(pH調整工程)を行い、その量を調整することができる。pH調整工程後は、分散媒をろ過し、得られた中空粒子や熱膨張性微小球を水洗いして、難溶性無機化合物等の量を調整することができる。
pH調整工程は、例えば、分散安定剤が、水酸化マグネシウムや炭酸カルシウム等の難溶性塩基性無機化合物の場合では、硫酸、塩酸等の鉱酸等の酸性物質にて、熱膨張性微小球を含む水性分散媒をpH2.0~5.0に調整することで、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の水溶性無機化合物に変化させて行うことができる。一方、コロイダルシリカ等の難溶性酸性無機化合物の場合では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質にて分散媒を、好ましくはpH9.5以上、より好ましくはpH10以上、さらに好ましくはpH10.5以上、特に好ましくはpH11以上に調整することで、コロイダルシリカではゲル化した状態から水に溶解するケイ酸塩に変化させて、pH調整工程を行うことができる。
pH調整工程では、難溶性無機化合物等の酸塩基反応による水溶性化を促進するために、加熱しても良い。pH調整工程を行うことによって、熱膨張性微小球の表面に付着した分散安定剤が水溶性無機化合物となり、水洗することで電解質、水溶性化合物や分散安定補助剤等とともに除去され、中空粒子や熱膨張性微小球の灰分の量を調整することができる。
pH調整工程は、上述の重合工程後に行ってもよく、膨張工程後に行ってもよい。本発明の中空粒子を効率的に製造できる点で、重合工程後にpH調整工程を行うと好ましい。
〔組成物及び成形物〕
本発明の組成物は、上述の中空粒子と、基材成分を含むものである。
基材成分としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等のゴム類;不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス類;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー;ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース、PBS、PHA、澱粉樹脂等のバイオプラスチック;シリコーン系、変性シリコーン系、ポリサルファイド系、変性ポリサルファイド系、ウレタン系、アクリル系、ポリイソブチレン系、ブチルゴム系等のシーリング材料;ウレタン系、エチレン-酢酸ビニル共重合物系、塩化ビニル系、アクリル系の塗料成分;セメントやモルタルやコージエライト等の無機物等が挙げられる。これらの基材成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物は、中空粒子及び基材成分以外に、用途に応じて適宜使用されるその他の成分を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、上記の基材成分と中空粒子とを混合することによって調製することができる。また、基材成分と中空粒子とを混合して得られた混合物と、更に基材成分とを混合して、本発明の組成物とすることもできる。
本発明の中空粒子は軽量で、取り扱い性と分散性に優れるため、偏りがなく均一で安定した軽量な組成物を得ることができる。
本発明の組成物において、中空粒子の含有量は、特に限定はないが、基材成分100重量部に対して、好ましくは0.1~20重量部である。該含有量が上記範囲であると、軽量で且つ基材成分が有する物性を維持した組成物が得ることができる。該含有量の上限は、より好ましくは15重量部、さらに好ましくは13重量部、特に好ましくは10重量部である。一方、該含有量の下限は、より好ましくは0.3重量部、さらに好ましくは0.5重量部、特に好ましくは1.0重量部である。
中空粒子と基材成分の混合方法は、例えば、ニーダー、ロール、ミキシングロール、ミキサー、単軸混練機、二軸混練機、多軸混練機等により混合することが挙げられる。
本発明の組成物の用途としては、例えば、成形用組成物、塗料組成物、粘土組成物、繊維組成物、接着剤組成物、粉体組成物等を挙げることができる。
本発明の成形体は、上述の組成物を成形して得られる。本発明の成形物としては、例えば、成形品や塗膜等の成形物等を挙げることができる。
本発明の成形物では、軽量性、多孔性、吸音性、断熱性、低熱伝導性、低誘電率化、意匠性、衝撃吸収性、強度等の諸物性を向上させることができる。
以下に、本発明の中空粒子の実施例について具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、断りのない限り、「%」とは「重量%」、「部」とは「重量部」を意味するものとする。
以下の製造例、実施例及び比較例で挙げた熱膨張性微小球、中空粒子について、次に示す要領で物性を測定し、さらに性能を評価した。
〔熱膨張性微小球の平均粒子径と粒度分布の測定〕
測定装置として、日機装株式会社のマイクロトラック粒度分布計(型式9320-HRA)を使用し、体積基準測定によるD50値を平均粒子径とした。
〔中空粒子の平均粒子径と粒度分布の測定〕
測定装置として、Malvern社製のレーザー回折式粒度分布測定装置(マスタサイザー3000)を使用し、乾式測定法により測定した。平均粒子径は体積基準測定によるD50値とした。
〔熱膨張性微小球の膨張開始温度(T)及び最大膨張温度(Tmax)の測定〕
測定装置として、DMA(DMAQ800型TA instruments社製)を使用した。微小球0.5mgを直径6.0mm、深さ4.8mmのアルミカップに入れ、微小球層の上部にアルミ蓋(直径5.6mm、厚み0.1mm)をのせて試料を準備した。その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定した。加圧子により0.01Nの力を加えた状態で20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定した。正方向への変位開始温度を膨張開始温度(T)とし、最大変位量を示した温度を最大膨張温度(Tmax)とした。
〔灰分(強熱残渣量)の測定〕
乾燥した試料W(g)をるつぼに入れ、電熱器にて加熱を行い、700℃で30分間強熱して灰化させ、得られた灰化物W(g)を重量測定した。試料の灰分C(重量%)は、W(g)及びW(g)から下記式によって算出した。
(重量%)=(W/W)×100
ここで、上記試料として、熱膨張性微小球、中空粒子をそれぞれ用いて、灰分の測定を行った。また、灰分の測定には、含水率1%以下である試料を用いた。
〔含水率の測定〕
測定装置として、カールフィッシャー水分計(MKA-510N型 京都電子工業株式会社製)を用いて、熱膨張性微小球、中空粒子それぞれの含水率を測定した。熱膨張性微小球の含水率をCw1とした。
〔熱膨張性微小球の発泡剤の含有率の測定〕
熱膨張性微小球1.0gを直径80mm、深さ15mmのステンレス製蒸発皿に入れ、その重量(W(g))を測定した。アセトニトリルを30ml加え均一に分散させ、24時間室温で放置した後に、130℃で2時間減圧乾燥後の重量(W(g))を測定した。
熱膨張性微小球の発泡剤の含有率(以下、内包率ともいう)(C)を、下記の式により算出した。
(重量%)=100×{100×(W-W)/1.0-Cw1}/(100-Cw1
(式中、熱膨張性微小球の含水率Cw1は、上記含水率の測定方法により測定した。)
〔中空粒子の真比重dの測定〕
中空粒子の真比重dは、以下の測定方法で測定した。
真比重は環境温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下においてイソプロピルアルコールを用いた液浸法(アルキメデス法)により測定した。
具体的には、容量100ccのメスフラスコを空にし、乾燥後、メスフラスコ重量(WB1(g))を秤量した。秤量したメスフラスコにイソプロピルアルコールをメニスカスまで正確に満たした、イソプロピルアルコール100ccの充満されたメスフラスコの重量(WB2(g))を秤量した。
また、容量100ccのメスフラスコを空にし、乾燥後、メスフラスコ重量(WS1(g))を秤量した。秤量したメスフラスコに約50ccの含水率が1%未満に調整された中空粒子を充填し、中空粒子の充填されたメスフラスコの重量(WS2(g))を秤量した。そして、中空粒子の充填されたメスフラスコに、イソプロピルアルコールを気泡が入らないようにメニスカスまで正確に満たした後の重量(WS3(g))を秤量した。そして、得られたWB1、WB2、WS1、WS2及びWS3を下記の式に導入して、中空粒子の真比重(d)を算出した。また、中空粒子の最大再膨張時の真比重dについても、上記方法にて中空粒子を最大再膨張時の中空粒子に
={(WS2-WS1)×(WB2-WB1)/100}/{(WB2-WB1)-(WS3-WS2)}
〔中空粒子のゆるみ嵩比重dの測定〕
中空粒子のゆるみ嵩比重dは、以下の測定方法で測定した。
ステンレス製の100ml円筒形容器(A)(内径5.0cm、深さ5.1cm)を準備し、重量(W(g))を秤量した。次に、円筒形容器(A)に上下に蓋の無い円筒形のセルキャップ(B)(口径5.2cm、高さ5.0cm)を取り付け、測定器具(C)を準備した。
ポリエチレン袋(規格12号:0.03mm×230mm×340mm(厚み×巾×長さ))に中空粒子30gを量りとり、袋口から100mmのところを輪ゴムで縛り、振幅200mmで上下に10往復素早く振り、中空粒子を良く流動化させた後に、器具(C)のセルキャップ(B)部の上部より高さ30mmの位置より、ポリエチレン袋の口から中空粒子を緩やかに容器に満たすまで充填した。器具(C)への中空粒子の充填は、中空粒子の流動化操作の実施後、連続して迅速に行った。
器具(C)へ中空粒子を充填した後、2分間静置し、その後、セルキャップ(B)を取り除き、容器(A)より溢れた部分をすり切り、中空粒子が容器(A)に付着している場合は取り除いた。次に、中空粒子が充填された容器(A)の重量(W(g))を秤量した。
そして、得られたW、Wを下記の式に導入し、中空粒子のゆるみ嵩比重dを算出した。
=(W-W)/100
〔中空粒子の含有量1重量%の水分散液のpHの測定〕
中空粒子1gをイオン交換水99gに添加し、スリーワンモーターを用いて150rpmで10分間混合し、必要に応じて水分散液の温度が25℃になるように加熱・冷却を実施し水分散液を調整した。
測定装置として、堀場製作所社製のpHメーター(品番:D-71)を使用し、得られた水分散液のpHを測定した。
<中空粒子の取り扱い性評価:沈降時間評価>
まず、中空粒子のハンドリング性の評価として、中空粒子の沈降時間評価を採用した技術的意義について説明する。
一般に真比重の低い物質は沈降速度が小さく、比重の高い物質は沈降速度が大きくなる。
真比重の低い物質は、地面に落下するまでの空間に滞留する時間が長く、わずかな気流にも飛散する頻度が上がるため、ハンドリング性が低いとされる。本発明における中空粒子の取り扱い性として、中空粒子の沈降時間を指標とし評価した。
ここで物質が落下する場合、重力と空気抵抗の関係から粒子サイズにより、終端速度つまり沈降滞留時間に差異が生じることが知られている。当然ながら、単離した状態にある中空粒子と比較して、中空粒子同士が纏まりのある集合体の質量は大きくなり、終端速度は速く、終端速度に達するまでの時間は長くなる。言い換えると、粒子の沈降時間は中空粒子の状態により影響を受け、その沈降時間により中空粒子の取り扱い性を評価することができる。
中空粒子の取り扱い性の評価は、以下の方法で実施した。
1Lのガラス製メスシリンダー(外径70mm、高さ420mm)を準備した。次に、中空粒子を容器容量300mlになるよう、ゆるみ嵩比重から算出される重量(W(g)、W=300/d)を秤量し、メスシリンダーに充填した。
上記以降の作業は連続して迅速に行った。
メスシリンダーに蓋をかぶせて密封し、中空粒子が完全に落下したことを1回として、上下転回を5回実施し、中空粒子を流動化させた。続いて容器容量300mlまで沈降した状態を確認した状態で、上下転回しメスシリンダーを設置台に置き、容器容量320mlに沈降した時間を計測した。
計測した沈降時間(T)から、以下の指標により中空粒子の取り扱い性を評価した。
〇:T≦30s
×:T>30s
<中空粒子の分散性評価>
350mlの容器に中空粒子を体積45cmになるように真比重dから算出される重量(W(g)、W=45/d)を秤量した。エチレン-酢酸ビニルエマルジョン(スミカフレックス456HQ)100g(真比重1.08g/cm)を容器に添加し、手で軽く混合し、続いてプライミクス社製 TK ホモディスパーを使用し、500rpmで2分間攪拌を実施し、コンパウンドを得た。
得られたコンパウンドを0.2mmのギャップを有するコーターで塗工(縦幅5cm×横幅30cm)し、乾燥後の塗膜表面の凝集体の個数(N)を測定し評価し、以下の指標により中空粒子の分散性を評価した。
〇:N≦2
×:N>2
<総合評価>
以下の指標より、中空粒子を総合的に評価した。
〇:ハンドリング性が〇であり、かつ、分散性評価が〇
×:ハンドリング性が〇であり、分散性評価が×
×:ハンドリング性が×であり、分散性評価が〇
×:ハンドリング性が×であり、分散性評価が×
<製造例A>
イオン交換水750部に、ポリビニルピロリドン0.9部、カルボキシメチル化ポリエチレンイミン・Na塩0.1部、及びコロイダルシリカA分散液(平均粒子径12nm、有効濃度20%)38部を添加し、pHを3に調整して水性分散媒体を調製した。
これとは別に、アクリロニトリル137部、メタクリロニトリル91部、メタクリル酸メチル12部、ジエチレングリコールジメタクリレート1部、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート3部、イソブタン36部、及びイソペンタン9部を溶解、混合し油性混合物とした。
水性分散媒体と油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサー(プライミクス社製、TKホモミキサー)により回転数10000rpmで1分間分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5Lの加圧反応容器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.35Mpaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で20時間重合反応し、重合液Aを得た。
<製造例B~E>
製造例B~Eでは、表1に示すように反応条件をそれぞれ変更する以外は、製造例Aと同様にして重合液B~Eを得た。なお、製造例Eで使用したコロイダルシリカB分散液は、平均粒子径7nm、有効濃度20%のものを使用した。
<実施例1>
得られた重合液Aを濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球Aを得た。得られた熱膨張性微小球Aの灰分は2.2%であった。また、得られた熱膨張性微小球Aの表1に示す。
次に、得られた熱膨張性微小球Aを乾式加熱膨張法により、中空粒子を製造した。
乾式加熱膨張法として特開2006-213930号公報に記載されている内部噴射方法を採用した。具体的には、図2に示す発泡工程部を備えた製造装置を用いて、以下の手順で熱膨張性微小球を加熱膨張させて、中空粒子を製造した。
(発泡工程部の説明)
図3に示すとおり、発泡工程部は、出口に分散ノズル(11)を備え且つ中央部に配置された気体導入管(番号表記せず)と、分散ノズル(11)の下流部に設置された衝突板(12)と、気体導入管の周囲に間隔を空けて配置された過熱防止筒(10)と、過熱防止筒(10)の周囲に間隔を空けて配置された熱風ノズル(8)とを備える。この発泡工程部において、気体導入管内の矢印方向に熱膨張性微小球を含む気体流体(13)が流されており、気体導入管と過熱防止筒(10)との間に形成された空間には、熱膨張性微小球の分散性の向上及び気体導入管と衝突板の過熱防止のための気体流(14)が矢印方向に流されており、さらに、過熱防止筒(10)と熱風ノズル(8)との間に形成された空間には、熱膨張のための熱風流が矢印方向に流されている。ここで、熱風流(15)と気体流体(13)と気体流(14)とは、通常、同一方向の流れである。過熱防止筒(10)の内部には、冷却のために、冷媒流(9)が矢印方向に流されている。
(製造装置の操作)
噴射工程では、熱膨張性微小球を含む気体流体(13)を、出口に分散ノズル(11)を備え且つ熱風流(15)の内側に設置された気体導入管に流し、気体流体(13)を前記分散ノズル(11)から噴射させる。
分散工程では、気体流体(13)を分散ノズル(11)の下流部に設置された衝突板(12)に衝突させ、熱膨張性微小球が熱風流(15)中に万遍なく分散するように操作される。ここで、分散ノズル(11)から出た気体流体(13)は、気体流(14)とともに衝突板(12)に向かって誘導され、これと衝突する。
膨張工程では、分散した熱膨張性微小球を熱風流(15)中で膨張開始温度以上に加熱して膨張させる。その後、得られた中空粒子を冷却部分に通過させる等して回収する。
(膨張条件及び結果)
実施例1では、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度270℃に設定し、中空粒子1を得た。得られた中空粒子1の真比重dは0.025であった。ゆるみ嵩比重dは0.0084であった。中空粒子1のその他の物性を表2に示す。
<実施例2>
実施例2では、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度240℃に設定し、熱膨張性微小球Aから中空粒子2を得た。得られた中空粒子2の真比重dは0.05、ゆるみ嵩比重dは0.02であった。中空粒子2のその他の物性を表2に示す。
<実施例3>
得られた重合液Aを濾過し、固形分62%のウェットケーキを得た。
得られたウェットケーキ450gをイオン交換水1300gに添加し、200rpmで3時間攪拌して再分散液Aを調製した。再分散液Aを濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球A-1を得た。得られた熱膨張性微小球A-1の灰分は1.7%であった。熱膨張性微小球A-1のその他物性は、熱膨張性微小球Aと同様であった。
次に、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度200℃に設定し、中空粒子3を得た。得られた中空粒子3の真比重dは0.09で、ゆるみ嵩比重dは0.0348であった。中空粒子3のその他の物性を表2に示す。
<実施例4、5>
得られた重合液A1000gに水酸化カリウム水溶液(濃度50%)8g加え、25℃、200pmで1時間攪拌してpH調整を行った。重合液AのpHは11.2であった。
pH調整後の重合液Aを濾過し、得られた固形分62%のウェットケーキ450gを450gのイオン交換水で洗浄を実施した。洗浄後の分散液を濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球A-2を得た。得られた熱膨張性微小球A-2の灰分は0.2%であった。熱膨張性微小球A-2のその他物性は、熱膨張性微小球Aと同様であった。
次に、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度265℃に設定し、中空粒子4を得た。得られた中空粒子4の真比重dは0.03、ゆるみ嵩比重dは0.0074であった。中空粒子4のその他の物性を表2に示す。
また、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度205℃に設定し、熱膨張性微小球A-2から中空粒子5を得た。得られた中空粒子5の真比重dは0.086、ゆるみ嵩比重dは0.025であった。中空粒子5のその他の物性を表2に示す。
<実施例6、7>
製造例Bで得られた重合液B1000gに水酸化カリウム水溶液(濃度50%)8.5g加え、25℃、200pmで1時間攪拌してpH調整を行った。重合液BのpHは11.5であった。
pH調整後の重合液Bを濾過し、得られた固形分62%のウェットケーキ450gを450gのイオン交換水で洗浄を実施した。洗浄後の分散液を濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球B-2を得た。得られた熱膨張性微小球B-2の灰分は0.1%であった。熱膨張性微小球B-2のその他物性は、熱膨張性微小球Bと同様であった。
次に、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度285℃に設定し、中空粒子6を得た。得られた中空粒子6の真比重dは0.025、ゆるみ嵩比重dは0.0058であった。中空粒子6のその他の物性を表2に示す。
また、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度265℃に設定し、熱膨張性微小球B-2から中空粒子7を得た。得られた中空粒子7の真比重dは0.055、ゆるみ嵩比重dは0.015であった。中空粒子7のその他の物性を表2に示す。
<比較例1>
実施例1で得られた熱膨張性微小球Aを乾式加熱膨張法により、中空粒子を製造した。
膨張条件として、図2に示す製造装置を用い、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度310℃に設定し、中空粒子8を得た。得られた中空粒子8の真比重dは0.019、ゆるみ嵩比重dは0.0034であった。中空粒子8のその他の物性を表3に示す。
<比較例2>
実施例6で得られた熱膨張性微小球B-2を乾式加熱膨張法により、中空粒子を製造した。
図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度315℃に設定し、中空粒子9を得た。得られた中空粒子9の真比重dは0.015、ゆるみ嵩比重dは0.001であった。中空粒子9のその他の物性を表3に示す。
<比較例3、4>
製造例Cで得られた重合液Cを濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球Cを得た。得られた熱膨張性微小球Cの灰分は4.2%であった。熱膨張性微小球Cのその他の物性を表1に示す。
次に、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度325℃に設定し、中空粒子10を得た。得られた中空粒子10の真比重dは0.011、ゆるみ嵩比重dは0.0021であった。中空粒子10のその他の物性を表3に示す。
また、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度300℃に設定し、熱膨張性微小球Cから中空粒子11を得た。得られた中空粒子11の真比重dは0.025、ゆるみ嵩比重dは0.012であった。中空粒子11のその他の物性を表3に示す。
<比較例5>
製造例Dで得られた重合液Dを濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球Dを得た。得られた熱膨張性微小球Dの灰分は2.2%であった。熱膨張性微小球Dのその他の物性を表1に示す。
50部の熱膨張性微小球Dと50部の炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製ホワイトンSBアカ)とをセパラブルフラスコに添加して混合し、ついでこの混合物を攪拌しながら5分間かけて加熱温度140℃まで昇温して、中空粒子12を得た。得られた中空粒子12の真比重dは0.044、ゆるみ嵩比重dは0.0197であった。中空粒子12のその他の物性を表3に示す。
<比較例6>
製造例Dで得られた重合液D1000gに水酸化カリウム水溶液(濃度50%)7g加え、25℃、200pmで1時間攪拌してpH調整を行った。重合液DのpHは10.6であった。
pH調整後の重合液Dを濾過し、得られた固形分62%のウェットケーキ450gを450gのイオン交換水で洗浄を実施した。洗浄後の分散液を濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球D-2を得た。得られた熱膨張性微小球D-2の灰分は0.6%であった。熱膨張性微小球D-2のその他物性は、熱膨張性微小球Dと同様であった。
次に、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度330℃に設定し、中空粒子13を得た。得られた中空粒子13の真比重dは0.015、ゆるみ嵩比重dは0.0028であった。中空粒子13のその他の物性を表3に示す。
<比較例7>
製造例Eで得られた重合液Eを濾過し、乾燥機で40℃、24時間乾燥して熱膨張性微小球Eを得た。得られた熱膨張性微小球Eの灰分は0.5%であった。熱膨張性微小球Eのその他の物性を表1に示す。
次に、図2に示す製造装置を用い、膨張条件として、原料供給量0.5kg/min、原料分散気体量0.35m/min、熱風流量8.0m/min、熱風温度265℃に設定し、中空粒子14を得た。得られた中空粒子14の真比重dは0.02、ゆるみ嵩比重dは0.0011であった。中空粒子13のその他の物性を表3に示す。
Figure 0007303946000002
表1における略号の詳細を以下に示す。
AN:アクリロニトリル
MAN:メタクリロニトリル
MMA:メタクリル酸メチル
St:スチレン
IBX:イソボルニルメタクリレート
TMP:トリメチロールプロパントリメタクリレート
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
OPP:ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
V-65:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)
NaCl:塩化ナトリウム
PVP:ポリビニルピロリドン
DEA-ADA:ジエタノールアミン-アジピン酸の縮合物(有効濃度50%)
CMPEI・Na塩:カルボキシメチル化ポリエチレンイミン・Na塩
AlCl・6HO:塩化アルミニウム・6水和物
Figure 0007303946000003
Figure 0007303946000004
<評価>
得られた中空粒子の軽量性、取り扱い性及び分散性の各項目について、上述の方法にて評価を実施した。結果を表4~5に示す。
実施例1~7の中空粒子は、真比重dが0.02~0.1であり、上述の条件1を満たすため、軽量であり、取り扱い性・分散性に優れていた。
一方、比較例1~3、6及び7は、条件1の式(I)の数値が78を超え、中空粒子は融着等強い凝集や接着状態にあり、分散性に優れるものではなかった。
また、比較例4及び5は、条件1の式(I)の数値が58未満であり、中空粒子は単離可能な程度の纏まりのある集合体のような状態にないため、沈降速度が低く、沈降時間が長くなり飛散性が高く、取り扱い性に優れるものではなかった。
Figure 0007303946000005
Figure 0007303946000006
本発明の中空粒子は、例えば、パテ、塗料、インク、シーリング材、モルタル、紙粘土、陶器等の軽量化材として用いることができたり、射出成形、押出成形、プレス成形等の成形を行って、遮音性、断熱性、遮熱性、吸音性等に優れる発泡成形体の製造に用いることができる。
1 外殻部
2 中空部
8 熱風ノズル
9 冷媒流
10 過熱防止筒
11 分散ノズル
12 衝突板
13 熱膨張性微小球を含む気体流体
14 気体流
15 熱風流

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂からなる外殻部と、前記外殻部に囲まれた中空部とを含む中空粒子であって、
    前記熱可塑性樹脂がニトリル系単量体を含む重合性成分の重合体であり、
    前記ニトリル系単量体がアクリロニトリルを含み、
    前記重合性成分に占める前記アクリロニトリルの重量割合が50~100重量%であり、
    前記中空粒子の真比重dが0.02~0.1であり、
    灰分が2.5重量%以下であり、
    前記中空粒子の膨張余力率が18~85%であり、
    下記条件1を満たす、中空粒子。
    条件1:前記真比重dと前記中空粒子のゆるみ嵩比重dが下記式(I)の関係を有する。
    58≦100×(d-d)/d≦78 式(I)
  2. 平均粒子径が1~55μmである、請求項1に記載の中空粒子。
  3. 前記重合性成分に占める前記アクリロニトリルの重量割合が55~100重量%である、請求項1又は2に記載の中空粒子。
  4. 下記条件2を満たす、請求項1~のいずれかに記載の中空粒子。
    条件2:前記中空粒子をイオン交換水に分散させた水分散液の25℃におけるpHが7超であり、前記水分散液に占める前記中空粒子の含有量が1重量%である。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の中空粒子と、基材成分を含む、組成物。
  6. 請求項に記載の組成物を成形してなる、成形体。
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