JP2011194065A - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コアワイヤ10の遠位端側小径部11の外周に装着されたコイルスプリング20を備えてなり;コイルスプリング20は、先端側小径部21と、第1テーパ部22と、先端側小径部21のコイル外径より大きいコイル外径を有する中径部23と、第2テーパ部24と、中径部23のコイル外径より大きいコイル外径を有する後端側大径部25とを有し、先端側小径部21と第1テーパ部22と中径部23と第2テーパ部24とにより密巻部分201が構成され、後端側大径部25により疎巻部分202が構成され;先端側小径部21の先端部分、第2テーパ部24の後端部分、および後端側大径部25の後端部分は、はんだにより、コアワイヤ10の遠位端側小径部11の外周に固着されている。
【選択図】図1
Description
このため、コアワイヤの遠位端部の外径を、近位端部の外径よりも小さくするとともに、コアワイヤの遠位端部(遠位端側小径部)の外周にコイルスプリングを装着して、遠位端部の可撓性の向上を企図したガイドワイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
これに伴い、ガイドワイヤの細径化の要請があり、本発明者らは、従来のもの(外径が0.014インチ)より細い外径(0.010インチ)を有するガイドワイヤを開発している。
更に、このガイドワイヤによれば、例えば、CTO(慢性完全閉塞)病変におけるマイクロチャンネルにアクセスする際の操作性もある程度良好である。
他方、ガイドワイヤを構成するコイルスプリングにおいて、先端側と後端側とでコイル外径が異なる場合には、マイクロチャンネルなどの狭窄部位を挿通させる際に、コイル径が変化する部分に応力が集中して、その部分においてキンクしやすくなるという問題がある。
また、コイル外径が大きく変化するコイルスプリングを有するガイドワイヤは、良好な押し込み性およびトルク伝達性を有するものとならない。
本発明の目的は、従来のガイドワイヤでは挿通させることのできなかった孔径の小さな狭窄部位にも挿通させることができ、しかも、曲げ剛性(耐キンク性)が高く、押し込み性およびトルク伝達性にも優れた医療用ガイドワイヤを提供することにある。
前記コアワイヤの遠位端側小径部の外周に軸方向に沿って装着され、コイル線径の1.1〜2.0倍のコイルピッチを有する密巻部分と、前記密巻部分に連続し、コイル線径の2.0倍を超えるコイルピッチを有する粗巻部分とからなるコイルスプリングとを備えてなり;
前記コイルスプリングは、0.008インチ以下のコイル外径を有する先端側小径部と、前記先端側小径部のコイル外径より大きいコイル外径を有する中径部と、0.012インチ以上であって前記中径部のコイル外径より大きいコイル外径を有する後端側大径部と、前記先端側小径部と前記中径部との間に位置する第1テーパ部と、前記中径部と前記後端側大径部との間に位置する第2テーパ部とを有し、前記先端側小径部と前記第1テーパ部と前記中径部と前記第2テーパ部とにより、長さ5.5〜110mmの前記密巻部分が構成されているとともに、前記後端側大径部により前記疎巻部分が構成され;
前記先端側小径部の先端部分、第2テーパ部の後端部分、および前記後端側大径部の後端部分は、はんだにより、前記コアワイヤの遠位端側小径部の外周に固着されていることを特徴とする。
また、「先端硬直部分の長さ」とは、ガイドワイヤの先端から、コイル内部に浸透したはんだの後端までの、ガイドワイヤの軸方向の長さをいう。
そして、先端硬直部分の長さが0.1〜0.5mmと短いので、シェイピング長さ(先端の折り曲げ長さ)を短くする(0.7mm以下とする)ことができ、この結果、マイクロチャンネル内での操作時において摩擦抵抗を十分に低減させることができる。
ここに、例えば、先端から3ピッチに相当する範囲においてコイル内部に浸透しているとは、コイル内部に浸透したはんだの後端が、先端から3巻目のコイルに接触し、4巻目のコイルには接触していない位置にある場合をいう。
コアワイヤ10は、近位方向に拡径するようテーパ加工された遠位端側小径部11と、近位方向に拡径するテーパ部12と、近位端側大径部13とを有する。
遠位端側小径部11、テーパ部12および近位端側大径部13は、同一の線材(例えば、丸棒部材)により一体的に構成されている。
遠位端側小径部11の近位端側における横断面は略円形であるが、遠位端側小径部11の遠位端側は、線材が圧縮されて板状となっていてもよく、その場合の横断面は略矩形となる。
撥水性樹脂層を構成する樹脂としては、医療用として用いられる樹脂であって、撥水性を有するものをすべて用いることができ、好適な樹脂としてPTFEなどのフッ素系樹脂を挙げることができる。
コアワイヤ10の近位端側大径部13の外径(D1 )は、0.012インチ(0.305mm)以上とされ、0.014インチ(0.356mm)以上であることが好ましく、好適な一例を示せば0.014インチである。
コイルスプリング20の材質としては、白金、白金合金(たとえばPt/W=92/8)、金、金−銅合金、タングステン、タンタルなどのX線に対する造影性が良好な材質(X線不透過物質)を挙げることができる。
後端側大径部25は、コイルスプリング20の疎巻部分202を構成している。
コイルピッチがコイル線径の1.1倍未満である場合には、当該領域の柔軟性が損なわれる。一方、コイルピッチがコイル線径の2.0倍を超える場合には、当該領域において良好な造影性を発現することができない。
後端側の疎巻部分202におけるコイルピッチは、コイル線径の2.0倍を超えており、好適な一例を示せば3.0倍である。
このように、先端側と後端側とにおいてコイルピッチを変化させることにより、先端領域である密巻部分201において良好な造影性(視認性)を発現させることができる。
コイルスプリング全域にわたり同一のピッチとする場合には、X線不透過領域が長くなるために視認性の低下を招く。
先端側小径部21の長さ(L21)は、0.5〜100mmとされ、好ましくは3〜15mm、好適な一例を示せば8.5mmである。
第1テーパ部22の長さ(L22)は、0.5〜10mmであることが好ましく、好適な一例を示せば1.5mmである。
中径部23の長さ(L23)は、0.5〜150mmとされ、好ましくは10〜50mm、好適な一例を示せば28.5mmである。
第2テーパ部24の長さ(L24)は、0.5〜10mmであることが好ましく、好適な一例を示せば1.5mmである。
後端側大径部25の長さ(L25)は、例えば85〜154.5mmとされ、好適な一例を示せば125mmである。
この長さ(L21+L22+L23+L24)が5.5mm以上であることにより、殆どのマイクロチャンネルに対して、先端側小径部21の先端から第2テーパ部24の後端に至る密巻部分201を挿通(貫通)させることができる。
また、この長さ(L21+L22+L23+L24)が110mm以下であることにより、曲げ剛性、押し込み性およびトルク伝達性の向上に寄与する後端側大径部25の長さ(L25)を十分に確保することができる。
ガイドワイヤの先端から第2テーパ部24の後端までの長さ(L3 +L21+L22+L23+L24)は、例えば10〜50mmとされ、好適な一例を示せば40.2mm(0.2mm+8.5mm+1.5mm+28.5mm+1.5mm)である。
一方、この比(D21/D23)が0.9を超える場合、および/または、第1テーパ部22の長さが10mmを超える場合には、先端側小径部21の小径化を十分に図ることができないおそれがある。
コイル外径の比(D21/D23)の好適な一例を示せば0.78(0.0078インチ/0.010インチ)である。
一方、この比(D21/D23)が1.1未満である場合、および/または、第2テーパ部24の長さが10mmを超える場合には、中径部23および先端側小径部21の小径化を十分に図ることができないおそれがある。
コイル外径の比(D25/D23)の好適な一例を示せば1.4(0.014インチ/0.010インチ)である。
すなわち、Au−Sn系はんだ31が、コイルスプリング20の先端部(先端側小径部21の先端部分)の内部に浸透し、コアワイヤ10(遠位端側小径部11)の外周と接触することにより、コイルスプリング20の先端部がコアワイヤ10(遠位端側小径部11)に固着されている。
また、コイルスプリング20の先端部においてコイルスプリング20の内部に浸透しなかったAu−Sn系はんだ31によって、略半球状の先端チップが形成されている。
この先端硬直部分の長さ(ガイドワイヤの先端から、コイル内部に浸透したAu−Sn系はんだ31の後端まで長さ)(L4 )は0.1〜0.5mmとされ、好ましくは0.3〜0.4mmである。
また、先端硬直部分の長さが0.5mm以下であることにより、シェイピング長さ(後述する外側長さ(L52))を0.7mm以下とすることができる。
このため、先端硬直部分の長さが0.1〜0.5mmと短い場合(はんだの浸透範囲がコイルピッチの1〜3倍である場合)であっても、コアワイヤ10に対するコイルスプリング20の固着強度を十分高くすることができ、具体的には、コアワイヤ10の遠位端側小径部11の引張破断強度より高くすることができる。このため、コイルスプリング20と、コアワイヤ10との間に引張力を作用しても、コアワイヤ10が引き抜かれるようなことを防止することができる。
また、Au−Sn系はんだは、Ag−Sn系はんだよりも造影性に優れている。
更に、Au−Sn系はんだは、Ag−Sn系はんだよりも血液および体液に対する耐蝕性にも優れている。
なお、Au−Sn系はんだに代えて、他の金含有はんだを使用することによっても、Au−Sn系はんだを使用した場合と同様の効果を奏することができる。
Au−Sn系はんだ以外の金含有はんだとしては、Au−Ge系はんだ、Au−Si系はんだ、Au−In系はんだ、Au−Sb系はんだなどのAu合金はんだおよびAuはんだを挙げることができる。
これにより、先端側小径部21(先端部分を除く)から第2テーパ部24(後端部分を除く)に至る領域(コイルスプリングの先端領域)には、はんだによる硬直部分が存在しないので、当該領域おけるガイドワイヤの柔軟性を十分に確保することができる。
すなわち、Au−Sn系はんだ32が、第2テーパ部24の後端部分における内部に浸透し、コアワイヤ10(遠位端側小径部11)の外周と接触することにより、第2テーパ部24の後端部分がコアワイヤ10(遠位端側小径部11)に固着されている。
すなわち、Ag−Sn系はんだ33が、コイルスプリング20の後端部(後端側大径部25の後端部分)の内部に浸透し、コアワイヤ10(遠位端側小径部11)の外周と接触することにより、コイルスプリング20の後端部がコアワイヤ10(遠位端側小径部11)に固着されている。
そして、この樹脂層40Aの表面には、親水性樹脂層50が積層形成されている。
コイルスプリング20の外周および先端チップを被覆する樹脂層40Aの膜厚としては、例えば1〜100μmとされ、好ましくは3〜10μmとされる。
親水性樹脂層50の膜厚としては、例えば1〜30μmとされ、好ましくは3〜19μmとされる。
また、硬化樹脂40による樹脂層40Aを介して、コイルスプリング20の外周に親水性樹脂層50が積層形成されているので、親水性樹脂による潤滑性を安定的に発現させることができる。
そして、先端硬直部分の長さが0.1〜0.5mmと短いので、シェイピング長さを短くすることができ、この結果、マイクロチャンネル内での操作時において摩擦抵抗を十分に低減させることができる。また、従来のガイドワイヤを使用したのでは行うことのできなかった狭い領域における治療も可能になる。
近位端側大径部の外径が0.014インチであるコアワイヤ(PTFEで被覆したステンレスからなるコアワイヤ)の遠位端側小径部にコイルスプリングを装着して、図1〜図3に示したような構造の本発明のガイドワイヤを6個作製した。
なお、コイルスプリング20の先端側小径部21の先端部分および第2テーパ部の後端部分は、Au−Sn系はんだを使用してコアワイヤ10に固着し、後端側大径部25の後端部分は、Ag−Sn系はんだ使用してコアワイヤ10に固着した。
また、コイルスプリングをコアワイヤに装着後、コイルスプリングの内部に硬化樹脂(ウレタンアクリレート樹脂)を充填するとともに、コイルスプリングの外周に硬化樹脂による樹脂層を形成し、この樹脂層の表面にポリエチレンオキサイドからなる親水性樹脂層を積層形成した。
コイルスプリングとして、外径が50μmの白金線材から構成され、コイル外径が0.0078インチ、長さが38.5mmの先端側小径部と、この先端側小径部に連続する長さ1.5mmのテーパ部と、このテーパ部に連続する、コイル外径が0.014インチ、長さが125mmの後端側大径部とからなり、先端側小径部とテーパ部とにより構成される密巻部分におけるコイルピッチが75μm、後端側大径部により構成される粗巻部分におけるコイルピッチが150μmのものを使用し、このコイルスプリングの先端側小径部の先端部分およびテーパ部の後端部分をAu−Sn系はんだを使用してコアワイヤに固着し、後端側大径部の後端部分をAg−Sn系はんだ使用してコアワイヤに固着したこと以外は実施例と同様にして、先端側小径部とテーパ部と後端側大径部とからなるコイルスプリングがコアワイヤの遠位端側小径部に装着されてなる比較用のガイドワイヤを6個作製した。
実施例および比較例により得られたガイドワイヤの各々について、先端チップを電子天秤に当接させた状態で、先端から10mmの部分を撓ませたとき(撓み量:0.5mm)の最大荷重を測定した。この最大荷重(表1では「先端荷重」と記載する)が0.5〜1.0gfの範囲にあれば、ガイドワイヤの先端部分が良好な曲げ剛性と柔軟性とを兼ね備えたものであるといえる。結果を下記表1に示す。
実施例および比較例により得られたガイドワイヤの各々について最小シェイピング長さ(折り曲げ可能な最小長さ)を測定した。
最小シェイピング長さの測定は、図4に示したような内側長さ(L51)および外側長さ(L52)について行った。
また、コイルスプリングとコアワイヤとの間に引張力を作用させ、破断部位を観察して固着性を評価した。評価基準は、コアワイヤの遠位端側小径部に破断が生じた場合を「○」、コイルスプリングまたは遠位端側小径部とはんだとの間で剥離が生じた場合を「×」とした。1つでも「×」がある場合には、製品とすることができない。結果を下記表1に併せて示す。
11 遠位端側小径部
12 テーパ部
13 近位端側大径部
20 コイルスプリング
21 先端側小径部
22 第1テーパ部
23 中径部
24 第2テーパ部
25 後端側大径部
201 密巻部分
202 疎巻部分
31 Au−Sn系はんだ
32 Au−Sn系はんだ
33 Ag−Sn系はんだ
40 硬化樹脂
40A 樹脂層
50 親水性樹脂層
Claims (7)
- 外径が0.012インチ以上である近位端側大径部と、前記近位端側大径部より外径の小さい遠位端側小径部とを有するコアワイヤと;
前記コアワイヤの遠位端側小径部の外周に軸方向に沿って装着され、コイル線径の1.1〜2.0倍のコイルピッチを有する密巻部分と、前記密巻部分に連続し、コイル線径の2.0倍を超えるコイルピッチを有する粗巻部分とからなるコイルスプリングとを備えてなり;
前記コイルスプリングは、
0.008インチ以下のコイル外径を有する先端側小径部と、
前記先端側小径部のコイル外径より大きいコイル外径を有する中径部と、
0.012インチ以上であって前記中径部のコイル外径より大きいコイル外径を有する後端側大径部と、
前記先端側小径部と前記中径部との間に位置する第1テーパ部と、
前記中径部と前記後端側大径部との間に位置する第2テーパ部とを有し、
前記先端側小径部と前記第1テーパ部と前記中径部と前記第2テーパ部とにより、長さ5.5〜110mmの前記密巻部分が構成されているとともに、前記後端側大径部により前記疎巻部分が構成され;
前記先端側小径部の先端部分、第2テーパ部の後端部分、および前記後端側大径部の後端部分は、はんだにより、前記コアワイヤの遠位端側小径部の外周に固着されていることを特徴とする医療用ガイドワイヤ。 - 前記コアワイヤの近位端側大径部の外径が0.014インチ以上であり、
前記コイルスプリングの先端側小径部のコイル外径が0.008インチ以下、
前記中径部のコイル外径が0.009〜0.011インチ、
前記後端側大径部のコイル外径が0.014インチ以上であることを特徴とする請求項1に記載の医療用ガイドワイヤ。 - 前記中径部のコイル外径に対する前記先端側小径部のコイル外径の比が0.5〜0.9、前記第1テーパ部の長さが0.5〜10mmであり、
前記中径部のコイル外径に対する前記後端側大径部のコイル外径の比が1.1〜2.3、前記第2テーパ部の長さが0.5〜10mmであることを特徴とする請求項2に記載の医療用ガイドワイヤ。 - 前記先端側小径部の先端部分は、金含有はんだにより、前記コアワイヤに固着され、
金含有はんだによる先端硬直部分の長さが0.1〜0.5mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の医療用ガイドワイヤ。 - 前記コイルスプリングの先端側小径部において、金含有はんだが、先端から1〜4ピッチに相当する範囲においてコイル内部に浸透していることを特徴とする請求項4に記載の医療用ガイドワイヤ。
- 前記コイルスプリングの内部に樹脂が充填されているとともに、前記コイルスプリングの外周に前記樹脂による樹脂層が形成され、前記樹脂層の表面に親水性樹脂層が積層形成され、
前記コアワイヤの表面には撥水性樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の医療用ガイドワイヤ。 - 前記コアワイヤがステンレスからなることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の医療用ガイドワイヤ。
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