JP2011193693A - 電圧変換システムの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧変換システムの制御において、動作条件の変動があっても安定に動作することを可能とすることである。
【解決手段】リチウムイオン電池と電圧変換器を含む電圧変換システムにおける電圧変換システム制御装置40は、入力部60と、電圧変換システムの動作条件によってゲイン−周波数特性の共振周波数が変化する電圧変換ゲイン部66と、出力部とを含むメインループ52を備え、さらに、電圧変換ゲイン部66のゲイン−周波数特性を補償するノッチフィルタ部76を含むフィードバックループ54を備える。ノッチフィルタ部76は補正部78によって、電圧変換システムの動作条件に応じて、そのゲイン−周波数特性の補正が行われる。
【選択図】図2
【解決手段】リチウムイオン電池と電圧変換器を含む電圧変換システムにおける電圧変換システム制御装置40は、入力部60と、電圧変換システムの動作条件によってゲイン−周波数特性の共振周波数が変化する電圧変換ゲイン部66と、出力部とを含むメインループ52を備え、さらに、電圧変換ゲイン部66のゲイン−周波数特性を補償するノッチフィルタ部76を含むフィードバックループ54を備える。ノッチフィルタ部76は補正部78によって、電圧変換システムの動作条件に応じて、そのゲイン−周波数特性の補正が行われる。
【選択図】図2
Description
本発明は、電圧変換システムの制御装置に係り、特に、蓄電装置の電圧を電圧変換比で変換した電圧を負荷回路に出力する電圧変換システムの制御装置に関する。
例えば、回転電機を搭載する車両では、蓄電装置から昇圧等を行って回転電機駆動回路に電力を供給する。このように蓄電装置と負荷回路との間には、電圧の昇圧等を行う電圧変換器が用いられ、その動作は、例えば電圧変換器を構成するスイッチング素子のオン・オフで制御が行われる。
例えば、特許文献1には、電動車両制御装置の電源装置として、リチウムイオン電池等の2次電池と、インバータ回路と、2次電池とインバータ回路の間に設けられる昇圧回路である電圧変換器と有する構成が述べられている。
電圧変換器を用いることで、負荷回路に適した電圧の電力を蓄電装置から供給することができる。このような蓄電装置と電圧変換器を含む電圧変換システムにおいては、その構成要素のL、C、R成分によってゲイン−周波数特性を有する。特に、リチウムイオン電池のように電池内部抵抗が他の蓄電装置に比べて低い2次電池を蓄電装置として用いる場合には、電圧変換システムにおけるゲイン−周波数特性における減衰が少なくなる傾向にある。減衰特性は、電圧の振動等に影響を与えるので、動作が不安定な方向となる可能性がある。これを避けるには、ゲイン−周波数特性の共振周波数を補償するように例えばノッチフィルタを用いることが考えられる。
ところで、電圧変換システムの動作は、負荷回路の動作状況に応じて制御されるので、負荷回路の動作状況が変化すると、それに応じて電圧変換システムの動作条件が変化し、そのゲイン−周波数特性が変化する。その変化に対応するには、広い範囲の共振周波数に対して補償できるノッチフィルタ構成にする必要が生じる。このように、広帯域対応のノッチフィルタを用いると、その広帯域フィルタ特性のために、全体の制御性が低下する。
本発明の目的は、動作条件の変動があっても安定に動作することを可能とする電圧変換システムの制御装置を提供することである。
本発明に係る電圧変換システムの制御装置は、蓄電装置の電圧を電圧変換比で変換した電圧を負荷回路に出力する電圧変換システムの制御装置であって、電圧変換比指令値が入力される入力部と、電圧変換システムの動作条件によってゲイン−周波数特性の共振周波数が変化する電圧変換ゲイン部と、電圧変換後の電圧を出力する出力部とを含むメインループと、電圧変換ゲイン部のゲイン−周波数特性を補償するノッチフィルタ部を含み、出力部から、メインループの入力部と電圧変換ゲイン部との間に設けられる電圧変換比減算器に向かうフィードバックループと、を備え、ノッチフィルタ部は、電圧変換システムの動作条件に応じて、そのゲイン−周波数特性の補正が行われることを特徴とする。
また、本発明に係る電圧変換システムの制御装置において、ノッチフィルタ部は、そのゲイン−周波数特性の中心周波数が、蓄電装置の電流に応じたインダクタンス値に基いて補正が行われることが好ましい。
また、本発明に係る電圧変換システムの制御装置において、ノッチフィルタ部は、そのゲイン−周波数特性の減衰度が、蓄電装置の温度に応じた蓄電装置内部抵抗値に基いて補正が行われることが好ましい。
また、本発明に係る電圧変換システムの制御装置において、ノッチフィルタ部は、電圧変換システムを構成する部品のばらつきと、電圧変換システムの動作環境のばらつきとに基いて、予めそのゲイン−周波数特性を予備補正し、その予備補正されたゲイン−周波数特性が電圧変換システムの動作条件に応じて補正されることが好ましい。
また、本発明に係る電圧変換システムの制御装置において、フィードバックループは、出力部とノッチフィルタ部との間に設けられ、負荷回路への出力電圧の指令値と出力部の出力電圧との間で減算処理が行われる電圧減算器を含むことが好ましい。
また、本発明に係る電圧変換システムの制御装置において、メインループは、電圧変換比減算器と電圧変換ゲイン部との間に設けられ、負荷回路の電力に基いて推定される外乱推定値が加算される加算器を含むことが好ましい。
また、本発明に係る電圧変換システムの制御装置において、蓄電装置は、リチウム電池であることが好ましい。
上記構成により、電圧変換システムの制御装置は、制御のメインループの電圧変換ゲイン部のゲイン−周波数特性を補償するノッチフィルタ部を含み、ノッチフィルタ部は、電圧変換システムの動作条件に応じて、そのゲイン−周波数特性の補正が行われる。これによって、例えば、広帯域ノッチフィルタを用いると生じえる動作不安定を回避して、動作条件の変動があっても電圧変換システムが安定に動作することが可能になる。
また、電圧変換システムの制御装置において、ノッチフィルタ部は、そのゲイン−周波数特性の中心周波数が、蓄電装置の電流に応じたインダクタンス値に基いて補正が行われる。電圧変換ゲイン部を構成するインダクタンスは、電流が大きくなると飽和することがある。そこで、蓄電装置からの電流に応じたインダクタンス値を用いて補正を行うことで、動作条件の変動があっても電圧変換システムが安定に動作することが可能になる。
また、電圧変換システムの制御装置において、ノッチフィルタ部は、そのゲイン−周波数特性の減衰度が、蓄電装置の温度に応じた蓄電装置内部抵抗値に基いて補正が行われる。減衰度を決める抵抗成分を構成する蓄電装置内部抵抗は、温度によって変化する。そこで、温度に応じた内部抵抗値を用いて補正を行うことで、動作条件の変動があっても電圧変換システムが安定に動作することが可能になる。
また、電圧変換システムの制御装置において、ノッチフィルタ部は、電圧変換システムを構成する部品のばらつきと、電圧変換システムの動作環境のばらつきとに基いて、予めそのゲイン−周波数特性を予備補正し、その予備補正されたゲイン−周波数特性が電圧変換システムの動作条件に応じて補正される。このように、予め部品のばらつき、動作環境のばらつきが考慮されているので、動作条件の変動があっても電圧変換システムが一層安定に動作することが可能になる。
また、電圧変換システムの制御装置において、フィードバックループは、出力部とノッチフィルタ部との間に設けられ、負荷回路への出力電圧の指令値と出力部の出力電圧との間で減算処理が行われる電圧減算器を含む。これによって、出力電圧指令値のいわゆるフィードフォワード制御を行うことができる。
また、電圧変換システムの制御装置において、メインループは、電圧変換比減算器と電圧変換ゲイン部との間に設けられ、負荷回路の電力に基いて推定される外乱推定値が加算される加算器を含む。これによって、負荷回路の電力変動による外乱も考慮されるので、動作条件の変動があっても電圧変換システムが安定に動作することが可能になる。
また、電圧変換システムの制御装置において、蓄電装置は、リチウム電池である。リチウムイオン電池等のリチウム電池は、他の蓄電装置に比べて内部抵抗値が低い。そのために、リチウム電池を含む電圧変換システムのゲイン−周波数特性の減衰度が低くなる。上記構成によれば、動作条件で補正できるノッチフィルタ部によって電圧変換ゲイン部のゲイン−周波数特性を補償するので、リチウム電池の場合に効果が顕著である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、電圧変換システムの構成を、蓄電装置と電圧変換器を含むものとして説明するが、これは、電圧変換器の動作が蓄電装置の動作にも関連することを考慮して、そのように切り分けたものであり、構成の切り分けをこれ以外としてもよい。例えば、電圧変換器の制御装置というように説明することもできる。
以下では、負荷回路として、回転電機に接続されるインバータ回路を説明するが、それ以外でも負荷に電力を供給する回路であればよい。また、回転電機は1台として説明するが、複数台の回転電機であってもよく、その場合にインバータ回路も複数として、それぞれの回転電機にそれぞれインバータ回路が接続されるものとし、その複数のインバータ回路に電圧変換システムが接続されるものとしてもよい。ここで負荷回路とは、広義の意味で用いており、単に電気機器または電子機器であってもよい。
また、以下では、電圧変換器として、リアクトルとスイッチング素子を含む一方向昇降圧回路の構成を説明するが、双方向昇降圧回路であってもよい。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、車両に搭載される回転電機駆動システム10の構成を説明する図である。回転電機駆動システム10は、リチウムイオン電池12と、電圧変換器20と、インバータ回路14と、回転電機16と、電圧変換システム制御装置40と、記憶部42を含んで構成される。ここで、回転電機16以外の要素が回転電機16のための電源回路または駆動回路である。また、リチウムイオン電池12と、電圧変換器20と、電圧変換システム制御装置40と、記憶部42が、電圧変換システムを構成し、インバータ回路14が電圧変換システムの負荷回路に相当する。インバータ回路14と回転電機16とをまとめて、これを電圧変換システムの負荷と呼ぶこともできる。
リチウムイオン電池12は、上記の回転電機駆動回路の中で、直流電源の機能を有する充放電可能な2次電池で、広義の蓄電装置に相当する。車両搭載用の電源回路における蓄電装置としては、リチウムイオン電池の他に、例えばニッケル水素電池、キャパシタ等が用いられる。ここでは、他の蓄電装置に比べ内部抵抗が低い代表として、リチウムイオン電池12を車両搭載用蓄電装置として説明する。
リチウムイオン電池12は、端子電圧が約3Vの単電池を複数個組み合わせて所定の電圧とした組電池である。組電池としてのリチウムイオン電池12の端子電圧は、例えば約200Vから300Vとすることができる。
電圧変換器20は、リチウムイオン電池12の電圧を電圧変換比で変換した電圧を負荷回路としてのインバータ回路14に出力する機能を有する回路である。電圧変換器20は、リチウムイオン電池12側の平滑コンデンサ22、リアクトル24、スイッチング素子26,28、ダイオード30,32、インバータ回路14側の平滑コンデンサ34を含んで構成される。
電圧変換器20の電圧変換機能としては、リチウムイオン電池12側の電圧をリアクトル24のエネルギ蓄積作用を利用して昇圧し、インバータ回路14側に供給する昇圧機能と、インバータ回路14側からの電力をリチウムイオン電池12側に降圧して充電電力として供給する降圧機能とを有する。例えば、リチウムイオン電池12の端子電圧を約300Vとし、インバータ回路14の動作電圧を約600Vとすると、この約300Vと約600Vとの間の直流電圧変換を行う機能を有する。
インバータ回路14は、回転電機16に接続される回路で、図示されていないインバータ制御装置の制御の下で動作する複数のスイッチング素子を含んで構成され、交流電力と直流電力との間の電力変換を行う機能を有する。
すなわち、インバータ回路14は、回転電機16をモータとして機能させるときは、リチウムイオン電池12側からの直流電力を交流三相駆動電力に変換し、回転電機16に交流駆動電力として供給する直交変換機能を有する。また、回転電機16を発電機として機能させるときは、回転電機16からの交流三相回生電力を直流電力に変換し、リチウムイオン電池12側に充電電流として供給する交直変換機能を有する。
図1に示されている温度検出部(θB)は、リチウムイオン電池12の温度θBを検出する機能を有し、例えば適当な温度センサで構成できる。また、電流検出部(IB)は、リチウムイオン電池12から流れ出す放電電流、またはリチウムイオン電池12に流れ込む充電電流である電池電流IBを検出する機能を有し、例えば、適当な電流センサで構成することができる。
また、電圧検出部(VL)は、リチウムイオン電池12側の平滑コンデンサ22の両端電圧VLを検出する機能を有し、例えば適当な電圧センサを用いることができる。同様に、電圧検出部(VH)は、インバータ回路14側の平滑コンデンサ34の両端電圧VHを検出する機能を有し、例えば適当な電圧センサを用いることができる。ここで、VLはリチウムイオン電池12の端子電圧、VHはインバータ回路14への電圧変換器20の出力電圧を平滑化した値を示しているものと考えることができる。
また、電流検出部(IM)は、回転電機16に流れる電流IMを検出する機能を有する。回転電機16の三相電流をそれぞれ検出してもよいが、代表的にそのうちの一相の電流を検出するものとしてもよい。電流検出部(IM)としては、例えば、適当なカレントプローブ等を用いることができる。回転数検出部(N)は、回転電機16の回転数Nを検出する機能を有し、例えば適当な回転検出デバイスを用いることができる。
電圧変換システム制御装置40は、リチウムイオン電池12と電圧変換器20とをまとめた電圧変換システムの動作を制御する機能を有し、ここでは特に、内部抵抗の低いリチウムイオン電池12の特性に合わせ、電圧変換システムの動作条件の変動があっても、安定に電圧変換システムが動作するように制御する機能を有する。
記憶部42は、電圧変換システムの等価回路におけるL成分の電池電流IB依存性をマップ化したIB−Lマップファイル44と、リチウムイオン電池12の内部抵抗RBの電池温度θB依存性をマップ化したθB−RBマップファイル46を記憶するメモリである。これらのマップは、予め実験等で求めておくことができる。これらのファイルは、マップ形式の他、ルックアップテーブル、計算式等の形式でもよく、例えば、IB−Lマップファイル44の場合でいえば、電池電流IBを入力して、Lが検索できる対応付けがされている形式であればよい。
図2に、電圧変換システム制御装置40の内部構成をブロック図で示す。電圧変換システム制御装置40の制御は、メインループ52と、フィードバックループ54と、フィードフォワードループ56とを含んで構成される。なお、これらのループを構成する各要素が実行する演算処理は、アナログ処理で実行することもでき、ディジタル処理で実行することもできる。
メインループ52は、電圧変換比指令値が入力される入力部60と、電圧変換システムの動作条件によってゲイン−周波数特性の共振周波数が変化する電圧変換ゲイン部66と、電圧変換後の電圧を出力する出力部68とを含んで構成される。なお、入力部60と電圧変換ゲイン部66との間には、フィードバックループ54との接続点として減算器62が設けられる。また、減算器62と電圧変換ゲイン部66との間には、回転電機16の負荷変動による外乱を推定する要素がフィードバックされる加算器64が設けられる。
入力部60は、リチウムイオン電池12の実端子電圧を示すVLと、インバータ回路14へ出力される出力電圧VHについての指令値である出力電圧指令値VH *とが入力され、電圧変換比d=(VL/VH)の指令値である電圧変換比指令値d*=(VL/VH *)が算出する機能を有する演算処理回路である。演算された電圧変換比指令値d*は、減算器62に出力される。
減算器62では、電圧変換比指令値d*に対して、フィードバックループ54から帰還される電圧変換比相当の値を減算する機能を有する演算処理回路である。減算された結果は、次の加算器64に出力される。
外乱推定部70は、上記のように、回転電機16の負荷変動による外乱を推定し、電圧変換比相当の値として加算器64に出力する機能を有する演算処理回路である。外乱推定部70は、回転電機16に流れる電流IMと、回転電機16の回転数Nに基いて回転電機16のパワーP=IM×Nを算出し、その変動が電圧変換システムに与える影響を外乱として推定する。
電圧変換ゲイン部66は、リチウムイオン電池12と電圧変換器20とを含む電圧変換システムを、1つの振動回路系として考えるときに、入力に対する出力の大きさであるゲインを示す要素である。電圧変換システムは、図1で説明したように、リチウムイオン電池12、平滑コンデンサ22、リアクトル24、スイッチング素子26,28、ダイオード30,32、平滑コンデンサ34を含んで構成されるので、そのゲインは周波数特性を有する。
電圧変換システムは上記のように複数の電気デバイスを含むので、その等価回路は、図3のようにLCR回路で示すことができる。この等価回路のインピーダンスZは、周知のように、Z=R+j{ωL−(1/ωC)}で与えられる。ωは各速度で、周波数fを用いると、ω=2πfである。
図4は、図3のLCR回路のインピーダンスZの逆数であるアドミタンスを縦軸にとり、横軸に角速度ωをとって、いわゆるゲイン−周波数特性67として示す図である。このように、電圧変換システムのゲイン−周波数特性は、角速度ω0においてゲインのピークを有する共振特性として示すことができる。ゲインがピークとなる角速度ω0は共振角速度で、これに対応する周波数f0=(ω0/2π)が共振周波数である。
図4にまとめて示すように、共振角速度ω0は、ω0=1/(LC)1/2で与えられる。また、ω0付近のピークの尖鋭度は、例えば、電流がピークの70.7%となるときの周波数帯域幅ΔBと共振周波数f0の比として示すことができる。すなわちf0/ΔB=Qとして示される。Qは図3の等価回路の場合、Q=ω0L/R={L1/2/(RC1/2)}と計算される。または、ξ=1/(2Q)={RC1/2/(2L1/2)}を用いることができる。
リチウムイオン電池12は、上記のように電池の内部抵抗RBが他の電池の内部抵抗よりも低いので、上記のQが大きく、ξが小さくなる。つまり、電圧変換システムのゲイン−周波数特性としては、共振周波数f0付近で急峻になる特性となる。これによって、出力電圧VHが変動しやすくなることが生じ得る。
再び図2に戻り、電圧変換ゲイン部66では、加算器64の出力にゲインGが乗算されて電圧として出力される。この電圧は、電圧変換器20のインバータ回路14に対する出力電圧VHとなる。
出力電圧VHは、フィードバックループ54の各要素を経て、メインループ52の減算器62に帰還される。すなわち、フィードバックループ54における減算器72は、出力電圧指令値VH *が入力されて、出力部68からの実出力電圧VHとの差分ΔVHを計算する機能を有する演算処理回路である。
PI制御部74は、出力電圧の差分ΔVHをゼロに近づける比例積分制御を行う機能を有する演算処理回路である。比例積分制御の結果は、ΔVHをゼロに近づけたときのゲインに相当する値としてノッチフィルタ部76に出力される。このゲインは、理想的には、出力電圧指令値VH *の条件のときの電圧変換ゲインGに相当することになる。
ノッチフィルタ部76は、PI制御部74から出力されたゲインに相当する値におけるゲイン−周波数特性を補償する機能を有する狭帯域フィルタである。再び図4を参照すると、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性77が破線で示されている。
図4に示されるように、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性77は、PI制御部74から出力されるゲインの周波数特性をあらためてゲイン−周波数特性67と読み替えるとして、そのゲイン−周波数特性67をちょうど相殺できるものとして設定される。すなわち、メインループ52から出力され、差分ΔVHがゼロに近づけられたときのゲイン−周波数特性67と、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性77とを加算すれば、平坦なゲイン−周波数特性とすることができる。
このようにして、電圧変換ゲイン部66が有するゲイン−周波数特性67をノッチフィルタ部76の機能によって補償し、共振特性を有しない平坦なゲイン−周波数特性とすることができる。ここで、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性77におけるω0は、共振角速度というよりは狭帯域フィルタの中心周波数に対応する角速度というものであり、ξは、尖鋭度というよりは、減衰率としての機能を示すことになる。そこで、以下ではノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性77についてのω0を中心周波数に対応する角速度、すなわち中心角速度、ξを減衰率と呼ぶことにする。
ノッチフィルタ部76は、このようにして平坦化したゲインを、電圧変換比に相当する値に変換し、その値が、メインループ52の減算器62に入力される。このようにして、電圧変換ゲイン部66のゲイン−周波数特性67を補償して、リチウムイオン電池12の低い内部抵抗RBによって発生しやすい電圧の振動等を抑制することができる。
図2の補正部78は、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性77を固定的なものとせずに、電圧変換システムの動作条件に応じて、そのゲイン−周波数特性77を補正する機能を有する。補正部78には、電圧変換システムの動作条件を示すものとして、VL、VH、L、RBが入力される。電圧変換比を入力することもできる。
補正部78の機能について、図5を用いて説明する。図5には、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性として、3つの特性が示されている。ゲイン−周波数特性80は、補正が全く行われない状態の特性である。この特性は、電圧変換システムの当初設計条件におけるゲイン−周波数特性に対応するものである。当初設計条件とは、動作環境条件が標準状態であり、またリチウムイオン電池12が標準的な仕様状態であり、電圧変換器20を構成する各要素の特性がそれぞれ標準的な仕様状態であるときである。この当初設計条件における電圧変換システムのゲイン−周波数特性を補償できるノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性が、図5のゲイン−周波数特性80である。このときの中心周波数に対応する角速度がω0、減衰率がξとして示されている。
次に、ゲイン−周波数特性82は、電圧変換システムを構成する部品のばらつきと、電圧変換システムの動作環境のばらつきとに基いて、当初設計条件におけるゲイン−周波数特性80を予め予備補正したときの特性である。このときの中心周波数に対応する角速度がω0+Δω0、減衰率がξ+ξ0として示されている。Δω0、ξ0が補正項である。この補正項は、電圧変換システムの動作環境の範囲が予め分かっており、また、構成部品も予め許容されるばらつき内のものを使用するので、容易に事前に予備補正することができる。この程度の補正であれば、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性82が過度に広帯域となることはない。
このゲイン−周波数特性82について、電圧変換システムの動作条件に応じた補正が行われる。ゲイン−周波数特性84がその補正が行われたときの特性である。ここでは、このときの中心周波数に対応する角速度がω0+Δω0+Δωv、減衰率がξ+ξ0+ξb+ξpとして示されている。Δωv、ξb、ξpが電圧変換システムの動作条件に応じた補正項である。
Δωvは、中心周波数に対応する中心角速度ω0のLC依存性に応じて計算される。すなわち、上記のように、ω0=1/(LC)1/2で与えられるので、電圧変換システムが実際に動作している状態のLとCの値に基き、ゲイン−周波数特性82の中心周波数に対応する角速度ω0+Δω0からのずれを補正する。すなわち、電圧変換システムが実際に動作しているときのLとCに基いて計算されるときの中心周波数に対応する角速度をωAとすれば、Δωv=ωA−(ω0+Δω0)である。
ここで、実際に動作している状態のLをLA、CをCAとすると、ωA=1/(LACA)1/2である。図3で説明した電圧変換システムの等価回路において、動作条件においてCはほとんど変化しないが、Lは電池電流IBが大きくなると飽和する。したがって、Cはばらつきを含めた仕様上の容量値をそのまま用いてよいが、Lは、ばらつきを含めた仕様上のインダクタンス値を用いるのではなく、電池電流IBに応じたインダクタンス値に基いてωAを計算し、このωAに基いて、ΔωVの補正が行われる。
電池電流IBに応じたインダクタンス値は、記憶部42のIB−Lマップファイル44において、電流検出部(IB)によって検出された電池電流IBに対応するLを読み出して得られた値を用いることができる。
なお、ΔωVに、必要に応じ、フィードバックループ54におけるゲインについての補正分を加えるものとしてもよい。
ξに対する補正項である(ξb+ξp)のうち、ξbは、減衰率ξにおけるd、R、C、L依存性に応じて計算される。すなわち、上記のように、ξ={RC1/2/(2L1/2)}で与えられるので、電圧変換システムが実際に動作している状態のd、R、C、Lの値に基き、ゲイン−周波数特性82の減衰率ξ+ξ0からのずれを補正する。すなわち、電圧変換システムが実際に動作しているときのd、R、C、Lに基いて計算されるときの減衰率をξAとすれば、ξb=ξA−(ξ+ξ0)である。
dは、(VL/VH)であるので、電圧検出部(VL)と電圧検出部(VH)の検出値によって計算される値を用いることができる。CとRについては、ωvについて述べたのと同じ方法で得られる値を用いることができる。Rは、リチウムイオン電池12の内部抵抗RBが関係するが、内部抵抗RBは電池温度θB依存性があるので、ばらつきを含めた仕様上の内部抵抗値を用いるのではなく、電池温度θBに応じた内部抵抗値に基いてξAを計算し、このξAに基いて、ξbの補正が行われる。
電池温度θBに応じたリチウムイオン電池12の内部抵抗値は、記憶部42のθB−RBマップファイル46において、温度検出部(θB)によって検出された電池温度θBに対応するRBを読み出して得られた値を用いることができる。
ξに対する補正項である(ξb+ξp)のうち、ξpは、回転電機16のパワーに応じた補正項である。回転電機16の実際の動作状態におけるパワーをPAとすれば、PAは上記のように、実際の動作状態における回転電機16に流れる電流IMと、回転電機16の回転数Nに基いて回転電機16のパワーPA=IM×Nを算出することができる。ξpは、適当な係数αを用いて、ξp=αPAとして計算することができる。αは、実験的に求めた値を用いることができる。
このようにして求められた補正項Δωvと(ξb+ξp)とを用いて、ゲイン−周波数特性82が補正されてゲイン−周波数特性84となる。このゲイン−周波数特性84は、上記のように、電圧変換システムの動作条件に応じて刻々変化する。このように、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性を固定したものとせずに、電圧変換システムの動作条件に応じて、必要な補正をその都度行うこととすることで、ノッチフィルタ部76のゲイン−周波数特性を過度に広帯域とすることが不要となる。これによって、リチウムイオン電池12のように内部抵抗が低い蓄電装置を用いても、電圧変換システムの動作を安定したものとすることができる。
本発明に係る電圧変換システムの制御装置は、蓄電装置と負荷回路との間の電圧変換のためのシステムの制御に利用できる。
10 回転電機駆動システム、12 リチウムイオン電池、14 インバータ回路、16 回転電機、20 電圧変換器、22,34 平滑コンデンサ、24 リアクトル、26,28 スイッチング素子、30,32 ダイオード、40 電圧変換システム制御装置、42 記憶部、44 IB−Lマップファイル、46 θB−RBマップファイル、52 メインループ、54 フィードバックループ、56 フィードフォワードループ、60 入力部、62,72 減算器、64 加算器、66 電圧変換ゲイン部、67,77,80,82,84 ゲイン−周波数特性、68 出力部、70 外乱推定部、74 PI制御部、76 ノッチフィルタ部、78 補正部。
Claims (7)
- 蓄電装置の電圧を電圧変換比で変換した電圧を負荷回路に出力する電圧変換システムの制御装置であって、
電圧変換比指令値が入力される入力部と、電圧変換システムの動作条件によってゲイン−周波数特性の共振周波数が変化する電圧変換ゲイン部と、電圧変換後の電圧を出力する出力部とを含むメインループと、
電圧変換ゲイン部のゲイン−周波数特性を補償するノッチフィルタ部を含み、出力部から、メインループの入力部と電圧変換ゲイン部との間に設けられる電圧変換比減算器に向かうフィードバックループと、
を備え、
ノッチフィルタ部は、電圧変換システムの動作条件に応じて、そのゲイン−周波数特性の補正が行われることを特徴とする電圧変換システムの制御装置。 - 請求項1に記載の電圧変換システムの制御装置において、
ノッチフィルタ部は、そのゲイン−周波数特性の中心周波数が、蓄電装置の電流に応じたインダクタンス値に基いて補正が行われることを特徴とする電圧変換システムの制御装置。 - 請求項1に記載の電圧変換システムの制御装置において、
ノッチフィルタ部は、そのゲイン−周波数特性の減衰度が、蓄電装置の温度に応じた蓄電装置内部抵抗値に基いて補正が行われることを特徴とする電圧変換システムの制御装置。 - 請求項1に記載の電圧変換システムの制御装置において、
ノッチフィルタ部は、電圧変換システムを構成する部品のばらつきと、電圧変換システムの動作環境のばらつきとに基いて、予めそのゲイン−周波数特性を予備補正し、その予備補正されたゲイン−周波数特性が電圧変換システムの動作条件に応じて補正されることを特徴とする電圧変換システムの制御装置。 - 請求項1に記載の電圧変換システムの制御装置において、
フィードバックループは、
出力部とノッチフィルタ部との間に設けられ、負荷回路への出力電圧の指令値と出力部の出力電圧との間で減算処理が行われる電圧減算器を含むことを特徴とする電圧変換システムの制御装置。 - 請求項1に記載の電圧変換システムの制御装置において、
メインループは、
電圧変換比減算器と電圧変換ゲイン部との間に設けられ、負荷回路の電力に基いて推定される外乱推定値が加算される加算器を含むことを特徴とする電圧変換システムの制御装置。 - 請求項1に記載の電圧変換システムの制御装置において、
蓄電装置は、リチウム電池であることを特徴とする電圧変換システムの制御装置。
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-
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