JP2011192740A - セラミック基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタライズ層(表層)の形成後に何ら特別な処理を施すことなしに、その表面の硫化現象による変色を好適の防止することができるとともに、メタライズ層の表面において電子部品として機能するために必要かつ十分な接合強度及びワイヤボンド強度を有するセラミック基板を提供する。
【解決手段】セラミック焼結体3表面に,Agと有機質バインダーを含むAgペーストを印刷塗布した後焼成してAg層4を形成し、このAg層4上にAuと有機質バインダーを含むAuペーストを印刷塗布してAuペースト層14を形成し、Ag層4上のAuペースト層14を350〜850℃の温度条件下において焼成してセラミック焼結体3表面上に表層11を形成し、この表層11の少なくとも一部はAg原子とAu原子の混合層6であることを特徴とするセラミック基板による。
【選択図】図1
【解決手段】セラミック焼結体3表面に,Agと有機質バインダーを含むAgペーストを印刷塗布した後焼成してAg層4を形成し、このAg層4上にAuと有機質バインダーを含むAuペーストを印刷塗布してAuペースト層14を形成し、Ag層4上のAuペースト層14を350〜850℃の温度条件下において焼成してセラミック焼結体3表面上に表層11を形成し、この表層11の少なくとも一部はAg原子とAu原子の混合層6であることを特徴とするセラミック基板による。
【選択図】図1
Description
本発明は、セラミック焼結体表面にAgを主成分とするメタライズ層(表層)を備えるセラミック基板に関し、このメタライズ層の表面の変色を長期間に亘って防止することができるセラミック基板に関する。
従来、例えば、セラミック焼結体上にAgと有機質バインダーを含むAgペーストを印刷塗布して焼成してAg層を形成した場合、焼成後のAg層の表面は経時変化により変色(黒色化)し、外観状の審美性が損なわれるという不具合があった。
このようなAg層の表面の変色は、硫化現象、酸化現象、塩化現象等、様々な現象によって起こされると考えられるが、主原因は硫化現象によるものと考えられている。また、Ag層の表面の変色は、特に、Ag層の表面を可視光線の反射面として利用する場合に、可視光線の反射率(光沢度)を低下させるという点で特に問題であった。
このような課題に対処する目的でいくつかの発明が開示されている。
このようなAg層の表面の変色は、硫化現象、酸化現象、塩化現象等、様々な現象によって起こされると考えられるが、主原因は硫化現象によるものと考えられている。また、Ag層の表面の変色は、特に、Ag層の表面を可視光線の反射面として利用する場合に、可視光線の反射率(光沢度)を低下させるという点で特に問題であった。
このような課題に対処する目的でいくつかの発明が開示されている。
特許文献1には「発光素子搭載用パッケージ」という名称で発光素子を搭載するためのキャビティの周側面を発光素子の光を外側に向けて反射する光反射面として用いる発光素子搭載用パッケージに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、アルミナ、窒化アルミニウム等の高温焼成セラミックで形成したパッケージ本体11のキャビティ13の周側面に、タングステン、モリブデン等の高融点金属よりなる下地メタライズ層18をパッケージ本体11と同時焼成した後、この下地メタライズ層18の上に下地ニッケルめっき層19を形成し、更に、この下地ニッケルめっき層19の上に銀めっき層20を形成し、この銀めっき層20の表面を光反射面22としてから、更に、この銀めっき層20上に厚さ0.05μm程度の薄い貴金属めっき層21を形成し、光反射面22となる銀めっき層20の表面全体を薄い貴金属めっき層21でカバーしたものである。なお、この貴金属めっき層21は、めっき厚が薄ければ、ほとんど透明な被膜である。
このような特許文献1に開示される発明によれば、光反射面22となる銀めっき層20の表面を薄い貴金属めっき層21で被覆するようにしたので、これらを封止する樹脂にガス透過性があったり、封止樹脂に硫黄成分が含まれていたとしても、透過ガス中の硫黄成分や封止樹脂中の硫黄成分が銀めっき層21に触れることを貴金属めっき層21によって防止することができ、硫化現象による銀めっき層20表面の変色を長期間に亘って防止することができる。この場合、銀めっき層20表面を被覆する貴金属めっき層21は、厚みが薄ければ、ほとんど透明な被膜であり、しかも、貴金属めっき層21表面でも光を反射できるため、十分な光反射率(光沢度)を確保することができる。
特許文献1に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、アルミナ、窒化アルミニウム等の高温焼成セラミックで形成したパッケージ本体11のキャビティ13の周側面に、タングステン、モリブデン等の高融点金属よりなる下地メタライズ層18をパッケージ本体11と同時焼成した後、この下地メタライズ層18の上に下地ニッケルめっき層19を形成し、更に、この下地ニッケルめっき層19の上に銀めっき層20を形成し、この銀めっき層20の表面を光反射面22としてから、更に、この銀めっき層20上に厚さ0.05μm程度の薄い貴金属めっき層21を形成し、光反射面22となる銀めっき層20の表面全体を薄い貴金属めっき層21でカバーしたものである。なお、この貴金属めっき層21は、めっき厚が薄ければ、ほとんど透明な被膜である。
このような特許文献1に開示される発明によれば、光反射面22となる銀めっき層20の表面を薄い貴金属めっき層21で被覆するようにしたので、これらを封止する樹脂にガス透過性があったり、封止樹脂に硫黄成分が含まれていたとしても、透過ガス中の硫黄成分や封止樹脂中の硫黄成分が銀めっき層21に触れることを貴金属めっき層21によって防止することができ、硫化現象による銀めっき層20表面の変色を長期間に亘って防止することができる。この場合、銀めっき層20表面を被覆する貴金属めっき層21は、厚みが薄ければ、ほとんど透明な被膜であり、しかも、貴金属めっき層21表面でも光を反射できるため、十分な光反射率(光沢度)を確保することができる。
特許文献2には「光素子搭載用パッケージ」という名称で発光素子を搭載するためのキャビティの周側面を発光素子の光を外側に向けて反射する光反射面として用いる発光素子搭載用パッケージに関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、アルミナ、窒化アルミニウム等の高温焼成セラミックで形成したパッケージ本体11のキャビティ13の周側面に、タングステン、モリブデン等の高融点金属よりなる下地メタライズ層18をパッケージ本体11と同時焼成した後、この下地メタライズ層18の上に下地ニッケルめっき層19を形成し、更に、この下地ニッケルめっき層19の上に銀めっき層20を形成し、この銀めっき層20の表面を光反射面22とし、更に、この銀めっき層20の表面を銀変色防止剤で処理して銀変色防止被膜21を形成し、光反射面22となる銀めっき層20の表面全体を透明な薄い銀変色防止被膜21でカバーしたものである。
このような特許文献2に開示される発明によれば、パッケージ本体11のキャビティ13の周側面に下地メタライズ層18を同時焼成し、この下地メタライズ層18の上に下地ニッケルめっき層19を介して銀めっき層20を形成するようにしたので、パッケージ本体11(セラミック)と下地メタライズ層18と下地ニッケルめっき層19と銀めっき層20との間の接合強度が強くなり、パッケージ本体11に発光素子12を実装する行程や、これを透明樹脂で封止する工程等で、銀めっき層20に熱負荷が加わっても、銀めっき層20が剥離することを防止することができる利点もある。
特許文献2に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、アルミナ、窒化アルミニウム等の高温焼成セラミックで形成したパッケージ本体11のキャビティ13の周側面に、タングステン、モリブデン等の高融点金属よりなる下地メタライズ層18をパッケージ本体11と同時焼成した後、この下地メタライズ層18の上に下地ニッケルめっき層19を形成し、更に、この下地ニッケルめっき層19の上に銀めっき層20を形成し、この銀めっき層20の表面を光反射面22とし、更に、この銀めっき層20の表面を銀変色防止剤で処理して銀変色防止被膜21を形成し、光反射面22となる銀めっき層20の表面全体を透明な薄い銀変色防止被膜21でカバーしたものである。
このような特許文献2に開示される発明によれば、パッケージ本体11のキャビティ13の周側面に下地メタライズ層18を同時焼成し、この下地メタライズ層18の上に下地ニッケルめっき層19を介して銀めっき層20を形成するようにしたので、パッケージ本体11(セラミック)と下地メタライズ層18と下地ニッケルめっき層19と銀めっき層20との間の接合強度が強くなり、パッケージ本体11に発光素子12を実装する行程や、これを透明樹脂で封止する工程等で、銀めっき層20に熱負荷が加わっても、銀めっき層20が剥離することを防止することができる利点もある。
特許文献3には「発光素子搭載パッケージの製造方法」という名称で発光素子を実装するキャビティ内面に該発光素子の光を反射する光反射面を形成した発光素子搭載パッケージの製造方法に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、パッケージ本体11のキャビティ13の周側面に銀めっき層20を形成した後、キャビティ13内の素子搭載部24上にシート状の半田プリフォーム23を挟んで発光素子12を載置し、発光素子12を素子搭載部24上に半田付けした後、発光素子12の電極とパッド15とをボンディングワイヤ14で接続する。この後、パッケージ本体11(少なくとも銀めっき層20の表面全体)を銀変色防止剤の溶液中に浸漬させて銀めっき層20の表面に銀変色防止処理被膜21を形成した後、当該パッケージ本体11を銀変色防止剤の溶液から取り出して、これを水洗して乾燥させることで、光反射面22となる銀めっき層20の表面全体を透明な薄い銀変色防止処理被膜21で被覆したものである。
このような特許文献3に開示される発明によれば、発光素子12の実装後に、光反射面22となる銀めっき層20の表面を銀変色防止剤で表面処理して透明な薄い銀変色防止処理被膜21を形成するようにしたので、発光素子の実装前に、銀めっき層の表面を銀変色防止剤により銀変色防止処理した後に発光素子の実装を行う場合とは異なり、発光素子12の実装を230℃程度の熱をかけて行う場合でも、銀めっき層20の表面の銀変色防止処理被膜21が実装時の熱で焼失するという不具合は全く起こり得ず、銀変色防止処理被膜21による銀変色防止効果を長期間に亘って維持できる。このため、キャビティ13を封止する樹脂にガス透過性があったり、封止樹脂に硫黄成分が含まれていたとしても、透過ガス中の硫黄成分や封止樹脂中の硫黄成分が銀めっき層21に触れることを銀変色防止処理被膜21によって防止することができ、硫化現象等による銀めっき層20表面の変色を長期間に亘って防止することができるという効果を有する。
特許文献3に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、パッケージ本体11のキャビティ13の周側面に銀めっき層20を形成した後、キャビティ13内の素子搭載部24上にシート状の半田プリフォーム23を挟んで発光素子12を載置し、発光素子12を素子搭載部24上に半田付けした後、発光素子12の電極とパッド15とをボンディングワイヤ14で接続する。この後、パッケージ本体11(少なくとも銀めっき層20の表面全体)を銀変色防止剤の溶液中に浸漬させて銀めっき層20の表面に銀変色防止処理被膜21を形成した後、当該パッケージ本体11を銀変色防止剤の溶液から取り出して、これを水洗して乾燥させることで、光反射面22となる銀めっき層20の表面全体を透明な薄い銀変色防止処理被膜21で被覆したものである。
このような特許文献3に開示される発明によれば、発光素子12の実装後に、光反射面22となる銀めっき層20の表面を銀変色防止剤で表面処理して透明な薄い銀変色防止処理被膜21を形成するようにしたので、発光素子の実装前に、銀めっき層の表面を銀変色防止剤により銀変色防止処理した後に発光素子の実装を行う場合とは異なり、発光素子12の実装を230℃程度の熱をかけて行う場合でも、銀めっき層20の表面の銀変色防止処理被膜21が実装時の熱で焼失するという不具合は全く起こり得ず、銀変色防止処理被膜21による銀変色防止効果を長期間に亘って維持できる。このため、キャビティ13を封止する樹脂にガス透過性があったり、封止樹脂に硫黄成分が含まれていたとしても、透過ガス中の硫黄成分や封止樹脂中の硫黄成分が銀めっき層21に触れることを銀変色防止処理被膜21によって防止することができ、硫化現象等による銀めっき層20表面の変色を長期間に亘って防止することができるという効果を有する。
特許文献4には「光半導体装置用リードフレームおよびこれを用いた光半導体装置、並びにこれらの製造方法」という名称で、光半導体装置用リードフレームに関し、特に短波長領域(400〜500nm程度)での紫色〜青色発光時における光半導体装置の外観劣化を防止する技術に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示される発明は、文献中に記載の符号をそのまま用いて説明すると、塩化白金酸が混入したシリコーン樹脂からなる封止樹脂14の内部において、リードフレーム10の純Agメッキ層21がシリコーン樹脂と直接接触するのを回避するべく、前記純Agメッキ層21の表面にAg−Au合金メッキ層22が形成されたことを特徴とするものである。
このような特許文献4に開示される発明によれば、シリコーン樹脂の硬化触媒由来のAgClの発生を抑制し、Agメッキ層の黒褐色化を防止することができるという効果を有する。
特許文献4に開示される発明は、文献中に記載の符号をそのまま用いて説明すると、塩化白金酸が混入したシリコーン樹脂からなる封止樹脂14の内部において、リードフレーム10の純Agメッキ層21がシリコーン樹脂と直接接触するのを回避するべく、前記純Agメッキ層21の表面にAg−Au合金メッキ層22が形成されたことを特徴とするものである。
このような特許文献4に開示される発明によれば、シリコーン樹脂の硬化触媒由来のAgClの発生を抑制し、Agメッキ層の黒褐色化を防止することができるという効果を有する。
特許文献1に開示される発明によれば、銀メッキ層20の変色を防止することができるものの、そのためには銀メッキ層20を形成した後に貴金属メッキ層21を形成する必要がある。
つまり、銀メッキ層20の形成工程とは別に、その変色を防止するための工程が別途必要となるので、製造コスト及びその手間を軽減し難いという課題があった。
つまり、銀メッキ層20の形成工程とは別に、その変色を防止するための工程が別途必要となるので、製造コスト及びその手間を軽減し難いという課題があった。
特許文献2に開示される発明の場合も、銀メッキ層20の形成工程とは別に、銀変色防止被膜21を形成する工程が必要となる。この場合も、銀メッキ層20の表面の変色を防止するための工程が別途必要となるので、製造コスト及びその手間を軽減し難いという課題があった。
特許文献3に開示される場合も、銀メッキ層20の形成工程とは別に、銀変色防止被膜21をメッキ処理により形成する必要がある。この場合も、銀メッキ層20の表面の変色を防止するための工程が別途必要となるので、製造コスト及びその手間を軽減し難いという課題があった。
特許文献4に開示される発明の場合も、Agメッキ層21の形成工程とは別に、Ag−Au合金メッキ層22を形成する必要がある。この場合も、Agメッキ層21表面の変色を防止するための工程が別途必要となるので、製造コスト及びその手間を軽減し難いという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、Agを主成分とするメタライズ層(表層)の形成後に、その表面に何ら特別な処理を施すことなしに、その表面の硫化現象による変色を好適の防止することができ、かつ、メタライズ層の表面において電子部品として機能するために必要かつ十分な接合強度及びワイヤボンド強度を有するセラミック基板を提供することにある。
上記目的を達成するため請求項1記載の発明であるセラミック基板は、セラミック焼結体表面に,Agと有機質バインダーを含むAgペーストを印刷塗布した後焼成してAg層を形成し、このAg層上にAuと有機質バインダーを含むAuペーストを印刷塗布してAuペースト層を形成し、Ag層上のAuペースト層を350〜850℃の温度条件下において焼成してセラミック焼結体表面上に表層を形成し、この表層の少なくとも一部はAg原子とAu原子の混合層であることを特徴とするものである。
上記構成の発明において、セラミックス焼結体は、AgとAuとからなる表層を支持するという作用を有する。また、セラミックス焼結体上に形成される表層は導電体として作用する。
さらに、Ag層上に印刷塗布されたAuペースト層は焼成されることで、セラミックス焼結体の表面にAg原子とAu原子の混合層を有する表層を形成するという作用を有する。
また、表層の主成分であるAg原子群の中に、Au原子が存在することにより、Ag原子にAu原子から自由電子が供給されてAg原子の化学反応性を低下させるという作用を有する。すなわち、表層の表面に裸出するAg原子と大気中の硫化物との化学反応を抑制するという作用を有する。
上記構成の発明において、セラミックス焼結体は、AgとAuとからなる表層を支持するという作用を有する。また、セラミックス焼結体上に形成される表層は導電体として作用する。
さらに、Ag層上に印刷塗布されたAuペースト層は焼成されることで、セラミックス焼結体の表面にAg原子とAu原子の混合層を有する表層を形成するという作用を有する。
また、表層の主成分であるAg原子群の中に、Au原子が存在することにより、Ag原子にAu原子から自由電子が供給されてAg原子の化学反応性を低下させるという作用を有する。すなわち、表層の表面に裸出するAg原子と大気中の硫化物との化学反応を抑制するという作用を有する。
請求項2記載の発明であるセラミック基板は、請求項1記載のセラミック基板であって、Auペーストは、金アセチレン誘導体化合物を主成分とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明におけるAuペーストを具体的に示したものであり、その作用は請求項1記載の発明と同じである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明におけるAuペーストを具体的に示したものであり、その作用は請求項1記載の発明と同じである。
請求項3記載の発明であるセラミック基板は、請求項2に記載のセラミック基板であって、金アセチレン誘導体化合物は、以下に示す化学式1により示されるものである。
上記構成の発明は、請求項2記載の発明における金アセチレン誘導体化合物を具体的に示したものであり、その作用は請求項2記載の発明と同じである。
請求項4記載の発明であるセラミック基板は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセラミック基板であって、Auペースト層の焼成温度は、600〜850℃の範囲内であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ作用に加えて、Auペースト層の焼成温度を特に600〜850℃の範囲内とすることで、表層の表面の色調を銀色に近い色調とし、請求項4記載の発明を高反射材としても使用可能にするという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ作用に加えて、Auペースト層の焼成温度を特に600〜850℃の範囲内とすることで、表層の表面の色調を銀色に近い色調とし、請求項4記載の発明を高反射材としても使用可能にするという作用を有する。
請求項5記載の発明であるセラミック基板は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のセラミック基板であって、Auペースト層の乾燥膜厚は、5μm以上であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項4のそれぞれに記載の発明と同じ作用に加えて、表層表面におけるワイヤボンド強度を電子部品として必要かつ十分なものにするという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項4のそれぞれに記載の発明と同じ作用に加えて、表層表面におけるワイヤボンド強度を電子部品として必要かつ十分なものにするという作用を有する。
本発明の請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明によれば、表層の表面の硫化現象による変色を長期間にわたり防止することができるという効果を有する。
また、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明によれば、セラミック焼結体の表面に表層を形成した後、表層の表面に硫化現象等による変色を防止するための処理を何ら行う必要がない。すなわち、表層の形成後に、表層の表面に被膜やメッキ層を別途形成する必要が全くないので、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載のセラミック基板の生産性を大幅に向上するとともに、その製造にかかるコスト並びに、原材料費を削減することができる。
この結果、Agを主成分とする表層(メタライズ層)を有しながら、その表面の変色が生じ難い高品質な製品を廉価に提供することができる。
また、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明によれば、セラミック焼結体の表面に表層を形成した後、表層の表面に硫化現象等による変色を防止するための処理を何ら行う必要がない。すなわち、表層の形成後に、表層の表面に被膜やメッキ層を別途形成する必要が全くないので、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載のセラミック基板の生産性を大幅に向上するとともに、その製造にかかるコスト並びに、原材料費を削減することができる。
この結果、Agを主成分とする表層(メタライズ層)を有しながら、その表面の変色が生じ難い高品質な製品を廉価に提供することができる。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ効果に加えて、表層の表面の色調を銀色に近い色調にすることができる。この場合、表層の表面の変色防止効果に加えて、表層自体を可視光線の反射面として、すなわち、高反射材料としても利用可能にすることができる。
従って、請求項4記載のセラミック基板上に半導体発光素子を搭載して、半導体素子収納用パッケージを製造する際に、発光出力の向上と生産性の向上を同時に実現することができる。
従って、請求項4記載のセラミック基板上に半導体発光素子を搭載して、半導体素子収納用パッケージを製造する際に、発光出力の向上と生産性の向上を同時に実現することができる。
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ効果に加えて、表層の接合強度を電子部品として必要かつ十分なものにすることができるという効果を有する。
また、特に表層を導電体として利用する際に、その表面におけるワイヤボンド強度を必要かつ十分なものにするとともに、導電性を向上することができるという効果を有する。
また、特に表層を導電体として利用する際に、その表面におけるワイヤボンド強度を必要かつ十分なものにするとともに、導電性を向上することができるという効果を有する。
以下に、本発明の実施の形態に係るセラミック基板について図1乃至図8を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係るセラミック基板について図1を参照しながら説明する。
図1(a)は本実施の形態に係るセラミック基板のAuペースト層の焼成前の状態を示す断面図であり、(b)乃至(d)はいずれも本発明に係るセラミック基板の断面図である。
本発明に係るセラミック基板1a〜1fは、まず、焼成済みのセラミック焼結体3の表面に、Agと有機質バインダーを含むAgペーストをスクリーン印刷法により印刷塗布してから焼成してAg層4を形成した後(ステップS1)、このAg層4上に、Auと有機質バインダーとからなるAuペースト層14を形成し(ステップS2)、次いで、このAuペースト層14を350〜850℃の温度条件下(大気中)において焼成することにより(ステップS3)、AgとAuとから成る表層11をセラミック焼結体3の表面に形成したものである。
すなわち、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fは、図1(b)〜(c)に示すように、セラミック焼結体3上に、Ag原子とAu原子の混合層6を有する表層11を備えたものである。
なお、表層11中において混合層6は、必ずしも図1(d)に示すように、表層11の全体にわたって形成される必要はなく、図1(b),(c)に示すように、表層11の上方のみに(少なくとも一部に)形成されるものでもよい。
また、図1(b)に示される表層11は、Ag層4とAu層5の間に混合層6が形成されている状態を示すものである。
図1(a)は本実施の形態に係るセラミック基板のAuペースト層の焼成前の状態を示す断面図であり、(b)乃至(d)はいずれも本発明に係るセラミック基板の断面図である。
本発明に係るセラミック基板1a〜1fは、まず、焼成済みのセラミック焼結体3の表面に、Agと有機質バインダーを含むAgペーストをスクリーン印刷法により印刷塗布してから焼成してAg層4を形成した後(ステップS1)、このAg層4上に、Auと有機質バインダーとからなるAuペースト層14を形成し(ステップS2)、次いで、このAuペースト層14を350〜850℃の温度条件下(大気中)において焼成することにより(ステップS3)、AgとAuとから成る表層11をセラミック焼結体3の表面に形成したものである。
すなわち、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fは、図1(b)〜(c)に示すように、セラミック焼結体3上に、Ag原子とAu原子の混合層6を有する表層11を備えたものである。
なお、表層11中において混合層6は、必ずしも図1(d)に示すように、表層11の全体にわたって形成される必要はなく、図1(b),(c)に示すように、表層11の上方のみに(少なくとも一部に)形成されるものでもよい。
また、図1(b)に示される表層11は、Ag層4とAu層5の間に混合層6が形成されている状態を示すものである。
そして、上記ステップS3を行なう際の温度条件が600℃を超えると、表層11の表面に存在するAu原子の量が減少して、表層11の表面は銀色に近づくので高反射材料としての利用価値が高まる。
また、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fのいずれにおいても、混合層6を有することで、表層11の表面における硫化反応が抑制されて変色防止効果が発揮される。なお、本発明に係るセラミック基板1a〜1fにおける表層11の表面において変色が抑制される仕組みの詳細については後述する。
また、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fのいずれにおいても、混合層6を有することで、表層11の表面における硫化反応が抑制されて変色防止効果が発揮される。なお、本発明に係るセラミック基板1a〜1fにおける表層11の表面において変色が抑制される仕組みの詳細については後述する。
また、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fを製造する際に用いるセラミック焼結体3は、Auペースト層14の焼成時に、つまり、印刷済セラミック基板2を350〜850℃の温度条件下において加熱処理した際に、製品として利用できない程の収縮や変形を生じないものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、アルミナセラミックスや窒化アルミニウム焼結体等を問題なく使用することができる。
さらに、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fを製造する際に用いるAuペーストは、Auと有機質バインダーとにより構成されるものであり、より具体的には、金アセチレン誘導体化合物を主成分とするものである。
さらに、具体的に説明すると、この金アセチレン誘導体化合物は、以下に示す化学式1により示されるものである。
さらに、具体的に説明すると、この金アセチレン誘導体化合物は、以下に示す化学式1により示されるものである。
本実施の形態に係る印刷済セラミック基板2を作製する際に、Auペースト層14の主成分として上述の化学式1で示されるような金アセチレン誘導体化合物を用いることで、その有機質部分を350〜850℃の温度条件下において加熱処理(焼成)することで熱分解して略完全に除去することができる。
また、特に金アセチレン誘導体化合物として、上記化学式1で示されるものを用いることで、スクリーン印刷法によりAg層4上にAuペースト層14を厚膜印刷することができるという効果も有する。すなわち、金アセチレン誘導体化合物として、上記化学式1で示されるものを用いることで、Ag層4上に乾燥膜厚が少なくとも5μm以上であるAuペースト層14を形成することができるという効果を有する。
また、特に金アセチレン誘導体化合物として、上記化学式1で示されるものを用いることで、スクリーン印刷法によりAg層4上にAuペースト層14を厚膜印刷することができるという効果も有する。すなわち、金アセチレン誘導体化合物として、上記化学式1で示されるものを用いることで、Ag層4上に乾燥膜厚が少なくとも5μm以上であるAuペースト層14を形成することができるという効果を有する。
例えば、金アセチレン誘導体化合物を主成分とするAuペーストを用いて、セラミック焼結体3の表面にAuペースト層14のみを形成し、これを350〜850℃の温度条件下において焼成すると、焼成後のAu層の膜厚は少なくとも0.7μm以上となる。
一般に、金属Auを用いてワイヤボンドを行なう場合、焼成済みAu層の膜厚が0.7μmを下回ると、電子部品として使用する際に十分なワイヤボンド強度が発揮されず好ましくない。
このため、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fにワイヤボンドを行なって電子部品として使用する場合には、印刷済セラミック基板2におけるAg層4上のAuペースト層14の乾燥時の膜厚を少なくとも5μm以上として、より具体的には、Auペースト層14の乾燥時の膜厚を5〜10μmの範囲内として、350〜850℃の温度条件下において焼成することが望ましいといえる。
一般に、金属Auを用いてワイヤボンドを行なう場合、焼成済みAu層の膜厚が0.7μmを下回ると、電子部品として使用する際に十分なワイヤボンド強度が発揮されず好ましくない。
このため、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fにワイヤボンドを行なって電子部品として使用する場合には、印刷済セラミック基板2におけるAg層4上のAuペースト層14の乾燥時の膜厚を少なくとも5μm以上として、より具体的には、Auペースト層14の乾燥時の膜厚を5〜10μmの範囲内として、350〜850℃の温度条件下において焼成することが望ましいといえる。
なお、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fでは、実際には、セラミック焼結体3上に形成される表層11には、Ag原子とAu原子の混合層6が形成されるので、Au層5が単独で存在するわけではない。
従って、上述のような印刷済セラミック基板2におけるAuペースト層14の乾燥時の膜厚は、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fの表層11の表面に、つまり、Ag原子とAu原子の混合層6上に、金属Auをワイヤボンドする場合に、電子部品としての必要かつ十分な接合強度を発揮させるための目安である。
よって、本実施の形態に係るセラミック基板を単に高反射材料として用いる場合には、図1(a)に示す、印刷済セラミック基板2のAg層4上におけるAuペースト層14の乾燥時の膜厚を5μm以上に限定する必要は特にない。
つまり、本実施の形態に係るセラミック基板を単に高反射材料として用いる場合に重要なのは、表層11がAg原子とAu原子の混合層6を有していることのみである。
従って、上述のような印刷済セラミック基板2におけるAuペースト層14の乾燥時の膜厚は、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fの表層11の表面に、つまり、Ag原子とAu原子の混合層6上に、金属Auをワイヤボンドする場合に、電子部品としての必要かつ十分な接合強度を発揮させるための目安である。
よって、本実施の形態に係るセラミック基板を単に高反射材料として用いる場合には、図1(a)に示す、印刷済セラミック基板2のAg層4上におけるAuペースト層14の乾燥時の膜厚を5μm以上に限定する必要は特にない。
つまり、本実施の形態に係るセラミック基板を単に高反射材料として用いる場合に重要なのは、表層11がAg原子とAu原子の混合層6を有していることのみである。
ここで、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fの表層11に、Ag原子とAu原子の混合層6が形成される仕組みについて図2乃至図7を参照しながら説明する。
図2は本実施の形態に係るAuペースト層印刷済セラミック基板を示す概念図である。また、図3乃至図8はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面の概念図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2に示すように、Auペースト層14焼成前の印刷済セラミック基板2は、セラミック焼結体3上にAg層4が形成され、その上にAuペースト層14が積層されたものである。
図2に示す印刷済セラミック基板2において、Ag層4は、図2中に白抜き丸印で示されるAg原子7(実際には導電Ag粒子)により構成されている。
他方、Auペースト層14は、模式的に説明すると図2中に黒丸印で示すAu原子9と、それをペースト状にして印刷塗布可能にするための有機質バインダー10とにより構成されている。実際には、このAuペースト層14を構成するAu原子9と有機質バインダー10は、上記化学式1で示される金アセチレン誘導体化合物であり、その粘度等を調製するために、必要に応じて350〜850℃の温度条件下において熱分解して消失する有機化合物を1種類以上添加してもよい。
図2は本実施の形態に係るAuペースト層印刷済セラミック基板を示す概念図である。また、図3乃至図8はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面の概念図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2に示すように、Auペースト層14焼成前の印刷済セラミック基板2は、セラミック焼結体3上にAg層4が形成され、その上にAuペースト層14が積層されたものである。
図2に示す印刷済セラミック基板2において、Ag層4は、図2中に白抜き丸印で示されるAg原子7(実際には導電Ag粒子)により構成されている。
他方、Auペースト層14は、模式的に説明すると図2中に黒丸印で示すAu原子9と、それをペースト状にして印刷塗布可能にするための有機質バインダー10とにより構成されている。実際には、このAuペースト層14を構成するAu原子9と有機質バインダー10は、上記化学式1で示される金アセチレン誘導体化合物であり、その粘度等を調製するために、必要に応じて350〜850℃の温度条件下において熱分解して消失する有機化合物を1種類以上添加してもよい。
そして、図2に示すような印刷済セラミック基板2を、350〜850℃の温度条件下において焼成すると、Auペースト層14中の有機質バインダー10は熱分解されて消失し、セラミック焼結体3上にAg原子7及びAu原子9から成る表層11が形成される。
つまり、図1(b)〜(d)に示す焼成済みのセラミック基板1a〜1fの断面構造を概念的に表現したものが図3乃至図8である。さらに、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fを作製する際のAuペースト層14の焼成温度は、それぞれ、350〜400℃(セラミック基板1a,図3を参照)、400〜500℃(セラミック基板1b,図4を参照)、500〜600℃(セラミック基板1c,図5を参照)、600〜650℃(セラミック基板1d,図6を参照)、650〜750℃(セラミック基板1e,図7を参照)、750〜850℃(セラミック基板1f,図8を参照)である。
つまり、図1(b)〜(d)に示す焼成済みのセラミック基板1a〜1fの断面構造を概念的に表現したものが図3乃至図8である。さらに、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fを作製する際のAuペースト層14の焼成温度は、それぞれ、350〜400℃(セラミック基板1a,図3を参照)、400〜500℃(セラミック基板1b,図4を参照)、500〜600℃(セラミック基板1c,図5を参照)、600〜650℃(セラミック基板1d,図6を参照)、650〜750℃(セラミック基板1e,図7を参照)、750〜850℃(セラミック基板1f,図8を参照)である。
図3に示すセラミック基板1aについて説明する。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、350〜400℃の温度条件下において焼成すると、図3に示すように、セラミック焼結体3上に形成される表層11の上層側にAg原子7とAu原子9からなる混合層6が形成されたセラミック基板1aとなる。
この場合、Ag層4中にAuペースト層14に由来するAu原子9が十分に拡散混合されていないため、表層11の表面は金色に近い色調を呈することになる。つまり、図3に示すセラミック基板1aでは、表層11の表面に、Ag原子7よりもはるかに多くのAu原子9が存在していることを意味している。
このため、本実施の形態に係るセラミック基板1aの表層11の表面において、可視光線の反射率を高めることはできないが、表層11表面の変色防止効果は十分に発揮させることができる。
また、図3に示すセラミック基板1aの表層11にAu原子9が存在することで、その表面に金属Auを用いてワイヤボンドを行なった際に、電子部品として必要かつ十分な接合強度、及び、ワイヤボンド強度を発揮させることができる。なお、以下に示すセラミック基板1b〜1fの場合についても同様である。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、350〜400℃の温度条件下において焼成すると、図3に示すように、セラミック焼結体3上に形成される表層11の上層側にAg原子7とAu原子9からなる混合層6が形成されたセラミック基板1aとなる。
この場合、Ag層4中にAuペースト層14に由来するAu原子9が十分に拡散混合されていないため、表層11の表面は金色に近い色調を呈することになる。つまり、図3に示すセラミック基板1aでは、表層11の表面に、Ag原子7よりもはるかに多くのAu原子9が存在していることを意味している。
このため、本実施の形態に係るセラミック基板1aの表層11の表面において、可視光線の反射率を高めることはできないが、表層11表面の変色防止効果は十分に発揮させることができる。
また、図3に示すセラミック基板1aの表層11にAu原子9が存在することで、その表面に金属Auを用いてワイヤボンドを行なった際に、電子部品として必要かつ十分な接合強度、及び、ワイヤボンド強度を発揮させることができる。なお、以下に示すセラミック基板1b〜1fの場合についても同様である。
図4に示すセラミック基板1bについて説明する。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、400〜500℃の温度条件下において焼成すると、図4に示すように、セラミック焼結体3上に形成される表層11の上層側に混合層6を有するセラミック基板1bとなる。
この場合、特に表層11の上層側では、Ag層4中にAuペースト層14に由来するAu原子9がある程度十分に拡散混合された状態となるので、表層11の表面は、金色と銀色の中間色に近い色調を呈する。従って、表層11における可視光線の反射性は、上述のセラミック基板1aに比べて高くなる。
このように、表層11中においてAg原子7とAu原子9の混合層6が形成されると、Ag原子7の周囲がAu原子9に取り囲まれた状態となり、Ag原子7の化学反応性は低下する。
より具体的に説明すると、Ag原子7とAu原子9の混合層6においては、Au原子9の最外殻に配置される電子が、Ag原子7の最外殻に移動してAg原子7は電気的に安定した状態となり、そのAg原子7の化学反応性が低下する。この結果、セラミック基板1aの表層11の表面におけるAg原子7の化学反応が抑制されてその変色防止効果が発揮されると考えられる。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、400〜500℃の温度条件下において焼成すると、図4に示すように、セラミック焼結体3上に形成される表層11の上層側に混合層6を有するセラミック基板1bとなる。
この場合、特に表層11の上層側では、Ag層4中にAuペースト層14に由来するAu原子9がある程度十分に拡散混合された状態となるので、表層11の表面は、金色と銀色の中間色に近い色調を呈する。従って、表層11における可視光線の反射性は、上述のセラミック基板1aに比べて高くなる。
このように、表層11中においてAg原子7とAu原子9の混合層6が形成されると、Ag原子7の周囲がAu原子9に取り囲まれた状態となり、Ag原子7の化学反応性は低下する。
より具体的に説明すると、Ag原子7とAu原子9の混合層6においては、Au原子9の最外殻に配置される電子が、Ag原子7の最外殻に移動してAg原子7は電気的に安定した状態となり、そのAg原子7の化学反応性が低下する。この結果、セラミック基板1aの表層11の表面におけるAg原子7の化学反応が抑制されてその変色防止効果が発揮されると考えられる。
図5に示すセラミック基板1cについて説明する。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、500〜600℃の温度条件下において焼成すると、図5示すように、セラミック焼結体3上に形成される表層11の上層側にAg原子7とAu原子9からなる混合層6が形成されたセラミック基板1cとなる。
この場合、Ag層4中に、Auペースト層14に由来するAu原子9が十分に拡散混合されるとともに、Au原子9はAg原子7より重いので、Au原子9はセラミック焼結体3に向って沈降を始める。
この結果、セラミック基板1cの表層11の表面には、より多くのAg原子7が存在することになり、先に述べたセラミック基板1bに比べて、その表面の色調はより銀色に近くなる。そして、これにより、表層11の表面における可視光線の反射性が高まり、高反射材(反射体)としての使用が可能になる。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、500〜600℃の温度条件下において焼成すると、図5示すように、セラミック焼結体3上に形成される表層11の上層側にAg原子7とAu原子9からなる混合層6が形成されたセラミック基板1cとなる。
この場合、Ag層4中に、Auペースト層14に由来するAu原子9が十分に拡散混合されるとともに、Au原子9はAg原子7より重いので、Au原子9はセラミック焼結体3に向って沈降を始める。
この結果、セラミック基板1cの表層11の表面には、より多くのAg原子7が存在することになり、先に述べたセラミック基板1bに比べて、その表面の色調はより銀色に近くなる。そして、これにより、表層11の表面における可視光線の反射性が高まり、高反射材(反射体)としての使用が可能になる。
図6に示すセラミック基板1dについて説明する。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、600〜650℃の温度条件下において焼成すると、図6に示すように、セラミック焼結体3上の表層11の上層部から中部にかけてAg原子7とAu原子9からなる混合層6が形成されたセラミック基板1dとなる。
この場合、図5に示す場合に比べてさらにAu原子9の拡散及び沈降が進むので、表層11の表面はほぼ銀色になり、表層11の表面における反射性が一層高まる。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、600〜650℃の温度条件下において焼成すると、図6に示すように、セラミック焼結体3上の表層11の上層部から中部にかけてAg原子7とAu原子9からなる混合層6が形成されたセラミック基板1dとなる。
この場合、図5に示す場合に比べてさらにAu原子9の拡散及び沈降が進むので、表層11の表面はほぼ銀色になり、表層11の表面における反射性が一層高まる。
図7に示すセラミック基板1eについて説明する。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、650〜750℃の温度条件下において焼成すると、図7に示すように、セラミック焼結体3上にAg原子7とAu原子9からなる混合層6からなる表層11が形成されたセラミック基板1eとなる。
この場合、図6に示す場合に比べてAg層4内におけるAu原子9の拡散及び沈降がさらに進むので、表層11の表面は一層銀色に近づく。従って、高反射材料として特に適した状態となる。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、650〜750℃の温度条件下において焼成すると、図7に示すように、セラミック焼結体3上にAg原子7とAu原子9からなる混合層6からなる表層11が形成されたセラミック基板1eとなる。
この場合、図6に示す場合に比べてAg層4内におけるAu原子9の拡散及び沈降がさらに進むので、表層11の表面は一層銀色に近づく。従って、高反射材料として特に適した状態となる。
図8に示すセラミック基板1fについて説明する。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、750〜850℃の温度条件下において焼成すると、図8に示すように、セラミック焼結体3上にAg原子7とAu原子9からなる混合層6からなる表層11が形成されたセラミック基板1fとなる。
この場合、図7に示す場合に比べてAg層4内に、より均一にAu原子9が拡散した状態となるので、表層11の表面は、外観上銀色となる。従って、高反射材料として最適の状態となる。
なお、Auペースト層14の焼成温度が850℃を超えると、Ag層4中におけるAu原子9の沈降が進みすぎて、表層11の上層部にAu原子9がほとんど存在しない状態になってしまい、表層11の表面の変色防止効果が発揮され難くなるので好ましくない。
従って、本実施の形態においては、図2に示す印刷済セラミック基板2のAuペースト層14を焼成する際の温度は350〜850℃の範囲内とすることが望ましい。
図2に示すような印刷済セラミック基板2を、750〜850℃の温度条件下において焼成すると、図8に示すように、セラミック焼結体3上にAg原子7とAu原子9からなる混合層6からなる表層11が形成されたセラミック基板1fとなる。
この場合、図7に示す場合に比べてAg層4内に、より均一にAu原子9が拡散した状態となるので、表層11の表面は、外観上銀色となる。従って、高反射材料として最適の状態となる。
なお、Auペースト層14の焼成温度が850℃を超えると、Ag層4中におけるAu原子9の沈降が進みすぎて、表層11の上層部にAu原子9がほとんど存在しない状態になってしまい、表層11の表面の変色防止効果が発揮され難くなるので好ましくない。
従って、本実施の形態においては、図2に示す印刷済セラミック基板2のAuペースト層14を焼成する際の温度は350〜850℃の範囲内とすることが望ましい。
このように、本実施の形態においては、図2に示すような、印刷済セラミック基板2を350℃に近い温度で焼成してセラミック焼結体3上に表層11を形成した場合は、表層11の表面が金色に近い色調を呈しながらもその変色防止効果が発揮される。これに対して、図2に示すような、印刷済セラミック基板2を600℃に近い温度で焼成した場合は、表層11の表面が銀色に近づいて高反射性材料として適したものとなり,かつ,その表面における変色防止効果も発揮される。
つまり、従来技術は、セラミック焼結体3上に形成されるAg層4(メタライズ層)の表面をメッキ被膜やその他被膜で被覆することにより、Ag原子7と大気中の硫化物の接触を遮断して、その表面の変色を防止する技術であるのに対して、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fはいずれも、Ag原子7にAu原子9を混合することにより、Ag原子7自体の化学反応性を低下させて表層11の表面における変色を防止するものであり、従来技術とは根本的に技術思想が異なるものである。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fによれば、セラミック焼結体3上における表層11(メタライズ層)の形成工程と、表層11の表面の変色防止処理を1つの工程で行うことができるので、従来技術に比べて、表層11の変色防止効果を有するセラミック基板1a〜1fの製造を容易にするとともに、その生産性を向上できるというメリットを有している。
さらに、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fにおいては、表層11の表面及び内部にAu原子9を存在させることで、表層11の表面における接合強度,及び,金属Auのワイヤボンド強度を、電子部品として使用するのに必要かつ十分なものにすることができるという効果も有している。
つまり、従来技術は、セラミック焼結体3上に形成されるAg層4(メタライズ層)の表面をメッキ被膜やその他被膜で被覆することにより、Ag原子7と大気中の硫化物の接触を遮断して、その表面の変色を防止する技術であるのに対して、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fはいずれも、Ag原子7にAu原子9を混合することにより、Ag原子7自体の化学反応性を低下させて表層11の表面における変色を防止するものであり、従来技術とは根本的に技術思想が異なるものである。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fによれば、セラミック焼結体3上における表層11(メタライズ層)の形成工程と、表層11の表面の変色防止処理を1つの工程で行うことができるので、従来技術に比べて、表層11の変色防止効果を有するセラミック基板1a〜1fの製造を容易にするとともに、その生産性を向上できるというメリットを有している。
さらに、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fにおいては、表層11の表面及び内部にAu原子9を存在させることで、表層11の表面における接合強度,及び,金属Auのワイヤボンド強度を、電子部品として使用するのに必要かつ十分なものにすることができるという効果も有している。
なお、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fの製造方法として、セラミック焼結体3の表面に、Ag原子7とAu原子9の両者を同時に含むペースト層を形成して350〜850℃の温度条件下において焼成する方法も考えられる。
しかしながら、先にも述べたように、Au原子9はAg原子7に比べて重く、焼成温度が高いと急速に沈降するため、Ag層4中においてAu原子9を内包させるためには、図2に示すような、Ag層4上にAuペースト層14を形成してから350〜850℃の温度条件下においてAuペースト層14を焼成して表層11を形成することが望ましい。
しかしながら、先にも述べたように、Au原子9はAg原子7に比べて重く、焼成温度が高いと急速に沈降するため、Ag層4中においてAu原子9を内包させるためには、図2に示すような、Ag層4上にAuペースト層14を形成してから350〜850℃の温度条件下においてAuペースト層14を焼成して表層11を形成することが望ましい。
以下に、本実施の形態に係るセラミック基板1a〜1fの効果を立証するために実施した試験結果について図9乃至図18を参照しながら詳細に説明する。
まず、図2に示す印刷済セラミック基板2を焼成した際に、図3乃至図8に示すようなセラミック基板1a〜1fが確かに作製されていることを示す試験結果について説明する。
図9(a)は比較例1に係るセラミック基板の電子顕微鏡写真であり、(b)はそのAg層中において放射性同位体で標識されたAg原子の分布を示す電子顕微鏡写真であり、(c)はそのAu層中において放射性同位体で標識されたAu原子の分布を示す電子顕微鏡写真である。図10乃至図14における(a)はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面の電子顕微鏡写真である。また、図10乃至図14における(b)はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面において放射性同位体で標識されたAg原子の分布を示す電子顕微鏡写真である。さらに、図10乃至図14における(c)はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面において放射性同位体で標識されたAu原子の分布を示す電子顕微鏡写真である。
図9(a)は比較例1に係るセラミック基板の電子顕微鏡写真であり、(b)はそのAg層中において放射性同位体で標識されたAg原子の分布を示す電子顕微鏡写真であり、(c)はそのAu層中において放射性同位体で標識されたAu原子の分布を示す電子顕微鏡写真である。図10乃至図14における(a)はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面の電子顕微鏡写真である。また、図10乃至図14における(b)はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面において放射性同位体で標識されたAg原子の分布を示す電子顕微鏡写真である。さらに、図10乃至図14における(c)はいずれも本実施の形態に係るセラミック基板の断面において放射性同位体で標識されたAu原子の分布を示す電子顕微鏡写真である。
図9は、図2に示すような印刷済セラミック基板2を300℃の温度条件下において焼成したセラミック基板(比較例1)の断面の電子顕微鏡写真である。
焼成温度を300℃とした場合、図9(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4とAu層5の境界が確認できる。また、図9(b),(c)から明らかなように、焼成温度を300℃とした場合には、Ag層4内部へのAu原子9の拡散は特に認められなかった。
焼成温度を300℃とした場合、図9(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4とAu層5の境界が確認できる。また、図9(b),(c)から明らかなように、焼成温度を300℃とした場合には、Ag層4内部へのAu原子9の拡散は特に認められなかった。
図10は、図2に示すような印刷済セラミック基板2を350℃の温度条件下において焼成したセラミック基板の断面の電子顕微鏡写真である。
焼成温度を350℃とした場合、図10(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4とAu層5の境界を確認することができるものの、図9(c)と図10(c)とを比較すると、Au原子9群からなるバンドがややブロードしていることから、Ag層4内へのAu原子9の拡散が生じていることが確認できる。
焼成温度を350℃とした場合、図10(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4とAu層5の境界を確認することができるものの、図9(c)と図10(c)とを比較すると、Au原子9群からなるバンドがややブロードしていることから、Ag層4内へのAu原子9の拡散が生じていることが確認できる。
図11は、図2に示すような印刷済セラミック基板2を400℃の温度条件下において焼成したセラミック基板の断面の電子顕微鏡写真である。
焼成温度を400℃とした場合、図11(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4とAu層5の境界を確認することができる。しかしながら、図11(b),(c)から明らかなように、Ag層4内部の空隙や隙間においてAu原子9の存在を確認できることから、焼成温度を350℃にした場合に比べて、Ag層4内へのAu原子9の拡散が進行していることが確認できる。
焼成温度を400℃とした場合、図11(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4とAu層5の境界を確認することができる。しかしながら、図11(b),(c)から明らかなように、Ag層4内部の空隙や隙間においてAu原子9の存在を確認できることから、焼成温度を350℃にした場合に比べて、Ag層4内へのAu原子9の拡散が進行していることが確認できる。
図12は、図2に示すような印刷済セラミック基板2を500℃の温度条件下において焼成したセラミック基板の断面の電子顕微鏡写真である。
焼成温度を500℃とした場合、図12(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、混合層6とAg層4の境界が辛うじて確認できる。また、図12(b)及び図12(c)から、Au原子9がAg層4の断面中程まで分散していることが確認できる。
焼成温度を500℃とした場合、図12(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、混合層6とAg層4の境界が辛うじて確認できる。また、図12(b)及び図12(c)から、Au原子9がAg層4の断面中程まで分散していることが確認できる。
図13は、図2に示すような印刷済セラミック基板2を600℃の温度条件下において焼成したセラミック基板の断面の電子顕微鏡写真である。
焼成温度を600℃とした場合、図13(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4と混合層6の境界は不明確になっており、図13(b)を見ると、混合層6とAg層4の境界が辛うじて確認できる。つまり、図13(b)において、混合層6はやや暗くなっている。また、図13(c)からは、Au原子9がAg層4の断面中程まで分散していることが確認できる。
焼成温度を600℃とした場合、図13(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4と混合層6の境界は不明確になっており、図13(b)を見ると、混合層6とAg層4の境界が辛うじて確認できる。つまり、図13(b)において、混合層6はやや暗くなっている。また、図13(c)からは、Au原子9がAg層4の断面中程まで分散していることが確認できる。
図14は、図2に示すような印刷済セラミック基板2を850℃の温度条件下において焼成したセラミック基板の断面の電子顕微鏡写真である。なお、図14(c)中において、混合層6(表層11)とセラミック焼結体3の境界を明確する目的で、セラミック焼結体3として、その製造時に粉体材料中に別途放射性同位体を添加したものを使用した。
焼成温度を850℃とした場合、図14(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4と混合層6の境界は全く確認できないものの、図14(b)及び図14(c)から明らかなように、Au原子9は表層11内部に分散された状態で存在していることが確認できた。
よって、上述の図9乃至図14からも印刷済セラミック基板2の焼成温度は350〜850℃の範囲内とすることが望ましいと言える。
焼成温度を850℃とした場合、図14(a)から明らかなように、セラミック基板の断面において、Ag層4と混合層6の境界は全く確認できないものの、図14(b)及び図14(c)から明らかなように、Au原子9は表層11内部に分散された状態で存在していることが確認できた。
よって、上述の図9乃至図14からも印刷済セラミック基板2の焼成温度は350〜850℃の範囲内とすることが望ましいと言える。
次に、図15を参照しながら本実施の形態に係るセラミック基板の接合強度に関する試験結果について説明する。
図15は表層の焼成温度が異なる3種類のセラミック基板の表層上における接合強度の測定結果を示すグラフである。
本試験は、350℃(低温焼成‐1)、400℃(低温焼成‐2)、600℃(高温焼成)のそれぞれの温度条件下において表層11を焼成したセラミック基板のサンプルに上に[表層11(メタライズ層)上に]、直径2mmの鋼スタッドピンをエポキシ樹脂により接着した後、この鋼スタッドピンに引張を加えて、その引張強度の測定を行なった。この測定結果を示したものが、図15のグラフである。
図15に示すように、表層11上の接合強度は、低温焼成‐1(350℃)が最も高く、次いで、高温焼成(600℃)、低温焼成‐2(400℃)の順であった。
なお、本試験において鋼スタッドピンに引張力を作用させた際に、どのサンプルにおいてもエポキシ樹脂部分に剥離が生じ、表層11(メタライズ層)部分に剥離は生じなかった。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板の表層11(メタライズ層)は、焼成温度に関わらず電子部品として使用するのに十分な接合強度を有することが確認された。
図15は表層の焼成温度が異なる3種類のセラミック基板の表層上における接合強度の測定結果を示すグラフである。
本試験は、350℃(低温焼成‐1)、400℃(低温焼成‐2)、600℃(高温焼成)のそれぞれの温度条件下において表層11を焼成したセラミック基板のサンプルに上に[表層11(メタライズ層)上に]、直径2mmの鋼スタッドピンをエポキシ樹脂により接着した後、この鋼スタッドピンに引張を加えて、その引張強度の測定を行なった。この測定結果を示したものが、図15のグラフである。
図15に示すように、表層11上の接合強度は、低温焼成‐1(350℃)が最も高く、次いで、高温焼成(600℃)、低温焼成‐2(400℃)の順であった。
なお、本試験において鋼スタッドピンに引張力を作用させた際に、どのサンプルにおいてもエポキシ樹脂部分に剥離が生じ、表層11(メタライズ層)部分に剥離は生じなかった。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板の表層11(メタライズ層)は、焼成温度に関わらず電子部品として使用するのに十分な接合強度を有することが確認された。
続いて、図16及び図17を参照しながら本実施の形態に係るセラミック基板のワイヤボンド強度に関する試験結果について説明する。
図16は本実施の形態に係るセラミック基板のワイヤボンド強度に関する試験の様子を示す図である。また、図17(a)は従来技術に係るセラミック基板のワイヤボンド強度の測定結果を示すグラフであり、(b)は本実施の形態に係るセラミック基板のワイヤボンド強度の測定結果を示すグラフである。
本試験では、まず、350℃(低温焼成‐1)、400℃(低温焼成‐2)、600℃(高温焼成)のそれぞれの温度条件下において表層11を焼成したセラミック基板、及び、従来公知の技術である、Ag/Pdメタライズ層上にAuメッキ層を形成した比較例2に係るセラミック基板、Ag/Pdメタライズ層上にNi/Auメッキ層を形成した比較例3に係るセラミック基板、Ag/Pdメタライズ層のみを有する比較例4に係るセラミック基板をそれぞれサンプルとして準備した。そして、図16に示すように、各サンプル(セラミック基板16)の表層11(メタライズ層17)上に、直径30μmの金属Au線18をループ状に溶着し、そのループ部分に引張力を作用させて、ワイヤーボンド強度(W/B強度)の測定を行なった。
図16は本実施の形態に係るセラミック基板のワイヤボンド強度に関する試験の様子を示す図である。また、図17(a)は従来技術に係るセラミック基板のワイヤボンド強度の測定結果を示すグラフであり、(b)は本実施の形態に係るセラミック基板のワイヤボンド強度の測定結果を示すグラフである。
本試験では、まず、350℃(低温焼成‐1)、400℃(低温焼成‐2)、600℃(高温焼成)のそれぞれの温度条件下において表層11を焼成したセラミック基板、及び、従来公知の技術である、Ag/Pdメタライズ層上にAuメッキ層を形成した比較例2に係るセラミック基板、Ag/Pdメタライズ層上にNi/Auメッキ層を形成した比較例3に係るセラミック基板、Ag/Pdメタライズ層のみを有する比較例4に係るセラミック基板をそれぞれサンプルとして準備した。そして、図16に示すように、各サンプル(セラミック基板16)の表層11(メタライズ層17)上に、直径30μmの金属Au線18をループ状に溶着し、そのループ部分に引張力を作用させて、ワイヤーボンド強度(W/B強度)の測定を行なった。
図17(a),(b)に示すように、従来技術に係るメタライズ層17を有するセラミック基板と、本実施の形態に係るメタライズ層17(表層11)を有するセラミック基板とを比較すると、ワイヤボンド強度に顕著な差は認められなかった。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板は表層11の焼成温度に関わらず、従来技術に係るセラミック基板と同程度のワイヤボンド強度を有していることが確認された。
なお、本試験においては、金属Au線18に引張力を作用させた際に、全てのサンプルにおいて図16中の符号Bで示す位置において金属Au線18の破断が生じた。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板は表層11の焼成温度に関わらず、従来技術に係るセラミック基板と同程度のワイヤボンド強度を有していることが確認された。
なお、本試験においては、金属Au線18に引張力を作用させた際に、全てのサンプルにおいて図16中の符号Bで示す位置において金属Au線18の破断が生じた。
最後に、図18を参照しながら本実施の形態に係るセラミック基板の表層表面の変色防止効果に関する試験結果について説明する。
図18は本実施の形態に係るセラミック基板の表層の表面における可視光線の反射率の測定結果を示すグラフである。
本試験では、上記試験に用いたセラミック基板のサンプルにおける、低温焼成-1(350℃)、低温焼成-2(400℃)、高温焼成(600℃)、及び、比較例4を用い、それぞれを、濃度50%のH2SO4液入りデシケータ内にて晒し、定期的に各サンプルの表層11(メタライズ層17)表面における可視光線の反射率の測定をした。なお、本試験においては、本実施の形態に係るセラミック基板を高反射材として使用する際に、最も利用可能性が高い光である波長450nmの可視光線を反射率の測定に用いた。
図18に示すように、比較例4に係るセラミック基板のメタライズ層17表面における可視光線の反射率は、時間の経過とともに急激な低下が起こったのに対して、低温焼成-1、低温焼成-2、及び、高温焼成では、時間の経過とともに僅かに反射率の低下が認められたものの、全体としては反射率の急激な低下は認められなかった。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板は、表層11(メタライズ層17)の表面の変色防止効果を有していることが確認された。
さらに、本実施の形態に係るセラミック基板において、特に高温焼成された表層11の表面は、試験開始から22日を経過した時点でも80%近い反射率を維持しており、高反射材として十分に利用可能であることも確認された。
なお、低温焼成-1、低温焼成-2に係るセラミック基板の、初期の反射率が低いのは、表層11の表面に裸出するAu原子9の絶対数が多いことによるものと考えられる。
図18は本実施の形態に係るセラミック基板の表層の表面における可視光線の反射率の測定結果を示すグラフである。
本試験では、上記試験に用いたセラミック基板のサンプルにおける、低温焼成-1(350℃)、低温焼成-2(400℃)、高温焼成(600℃)、及び、比較例4を用い、それぞれを、濃度50%のH2SO4液入りデシケータ内にて晒し、定期的に各サンプルの表層11(メタライズ層17)表面における可視光線の反射率の測定をした。なお、本試験においては、本実施の形態に係るセラミック基板を高反射材として使用する際に、最も利用可能性が高い光である波長450nmの可視光線を反射率の測定に用いた。
図18に示すように、比較例4に係るセラミック基板のメタライズ層17表面における可視光線の反射率は、時間の経過とともに急激な低下が起こったのに対して、低温焼成-1、低温焼成-2、及び、高温焼成では、時間の経過とともに僅かに反射率の低下が認められたものの、全体としては反射率の急激な低下は認められなかった。
従って、本実施の形態に係るセラミック基板は、表層11(メタライズ層17)の表面の変色防止効果を有していることが確認された。
さらに、本実施の形態に係るセラミック基板において、特に高温焼成された表層11の表面は、試験開始から22日を経過した時点でも80%近い反射率を維持しており、高反射材として十分に利用可能であることも確認された。
なお、低温焼成-1、低温焼成-2に係るセラミック基板の、初期の反射率が低いのは、表層11の表面に裸出するAu原子9の絶対数が多いことによるものと考えられる。
以上説明したように、本発明は、メタライズ層(表層)の形成後に何ら特別な処理を施すことなしに、その表面の硫化現象による変色を防止することができ、しかも、メタライズ層の表面において電子部品として機能するために必要かつ十分な接合強度、及び、ワイヤボンド強度を有するセラミック基板に関するものであり、電子部品及び高反射材料に関する分野において利用可能である。
1a〜1f…セラミック基板 2…印刷済セラミック基板 3…セラミック焼結体 4…Ag層 5…Au層 6…混合層 7…Ag原子 9…Au原子 10…有機質バインダー 11…表層 14…Auペースト層 16…セラミック基板 17…メタライズ層(表層) 18…金属Au線
Claims (5)
- セラミック焼結体表面に,Agと有機質バインダーを含むAgペーストを印刷塗布した後焼成してAg層を形成し、このAg層上にAuと有機質バインダーを含むAuペーストを印刷塗布してAuペースト層を形成し、前記Ag層上の前記Auペースト層を350〜850℃の温度条件下において焼成して前記セラミック焼結体表面上に表層を形成し、この表層の少なくとも一部はAg原子とAu原子の混合層であることを特徴とするセラミック基板。
- 前記Auペーストは、金アセチレン誘導体化合物を主成分とすることを特徴とする請求項1記載のセラミック基板。
- 金アセチレン誘導体化合物は、以下に示す化学式1により示されることを特徴とする請求項2に記載のセラミック基板。
- 前記Auペースト層の焼成温度は、600〜850℃の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセラミック基板。
- 前記Auペースト層の乾燥膜厚は、5μm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のセラミック基板。
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CN108264350A (zh) * | 2018-03-26 | 2018-07-10 | 昆明理工大学 | 一种各向异性镧钙锰氧基陶瓷靶的制备方法 |
CN111681803A (zh) * | 2020-05-18 | 2020-09-18 | 南京以太通信技术有限公司 | 一种5g通信用陶瓷介质波导浸银专用银浆的制备方法及浸银工艺 |
WO2023023731A1 (en) * | 2021-08-23 | 2023-03-02 | AdvanCell Isotopes Pty Limited | Materials and processes for generating radioisotope |
-
2010
- 2010-03-12 JP JP2010056243A patent/JP2011192740A/ja active Pending
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