JP2011191697A - 画像形成装置、画像形成システム、定着制御方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

画像形成装置、画像形成システム、定着制御方法、プログラム及び記録媒体 Download PDF

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淳示 鈴木
Mikiya Ichikawa
美貴也 市川
Tomoaki Okamura
知明 岡村
Kazuki Sasayama
一樹 笹山
Yoshio Taga
吉雄 多賀
Kaname Nomura
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Abstract

【課題】ホストから受信する印刷データをもとに記録用紙にトナー画像を形成するプリンタ等の定着制御において、描画に用いるディザの違いに応じた温度で定着を行えるようにすることにより省電力化を図る。
【解決手段】定着温度決定部119は、印刷データを解析し得られる描画コマンド等の描画条件をもとに中間データ保存部113で選択した使用予定のディザとこのディザと所定の関係にあるディザの描画条件及び定着温度と省エネ判定部118で判定されたユーザーが指定した省エネレベルとにもとづいて決定する。中間データ保存部113は、定着温度決定部119で決定された定着温度とともに受け取るディザID・カラープレーン・濃度値よりなる描画条件をもとに、使用を予定したディザの変更を含めて定着温度決定部119の決定結果を反映させた描画条件を確定させ、プリンタエンジンに通知する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ホストから送信されてくる印刷データをもとに記録用紙に画像を形成するプリンタ、複合機等の画像形成装置に関し、より詳しくは、記録用紙にトナーによって形成した画像を加熱定着するために消費する電力を抑制する制御を所定限度内の画質劣化で行えるようにした画像形成装置、画像形成システム、定着制御方法、前記制御を実行するためのプログラム及び該プログラムを記録した記録媒体に関する。
従来から、プリンタドライバを搭載したPC(Personal computer)等のホストから送信されてくる印刷データをもとに記録用紙に画像を形成するプリンタ、複合機等の画像形成装置において、プリンタエンジンとして、いわゆるレーザプリンタが広く利用されている。このレーザプリンタは、描画された画像データによって点灯が制御されるレーザビームにより走査露光を行い、静電写真方式で画像を形成する。この方式による画像形成過程では、記録用紙上に作成したトナー像を用紙に定着させる処理において、高温加熱が必要で、このために用いるヒータで消費される電力が相当大きくなる。
近年、この電力消費を必要最小限に抑え、TEC(Typical Electricity Consumption)値を基準に省電力化を図ることへの要求の高まりが見られる。
定着で消費される電力を抑制することを目的として提案された従来技術として、例えば、特許文献1,2をあげることができる。特許文献1では、省エネモードの定着温度が設定された場合、定着可能なトナー載り量値をこの定着温度に対応して変更することが示されている。また、特許文献2では、省エネモードの指示により定着温度を低く設定することにより消費電力を抑えることが示されている。
ところで、レーザプリンタやレーザプリンタを載せた複合機の多くは、ディザにより中間調の画像を描画する方法を採用しているが、ディザによる描画処理で生成された画像データを用いて記録用紙に転写されたトナー画像を紙面に定着させるには、高温が必要となる。
これは、定着する記録用紙上のトナー像の形状が孤立した小さな点であると、十分に高温で定着しないと印刷後にはがれる可能性が高くなるからである。他方、トナー像の形状が十分に長い線や、十分に広い面だと比較的低い定着温度でもはがれることは少なく、実用に耐えることが経験の示すところである。
ただ、従来の定着処理においては、描画に用いるディザの違いによって定着温度の制御を変えるという思想はなく(この点については、特許文献1,2にも記述はない)、ディザの孤立した小さな点が示す上記の性質に適応して、定着温度を高温に設定しているので、トナー像の形状が十分に長い線や、十分に広い面に対しては、必要以上の温度で加熱する結果となっている。
本発明の目的は、ホストから送信されてくる印刷データをもとに記録用紙に画像を形成するプリンタ、複合機等の画像形成装置の定着制御における上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、描画に用いるディザの違いに応じた温度で定着を行えるようにすることにより、省電力化を図ることにある。
本発明は、ページ記述言語の印刷データを解析し設定された描画コマンドを含む描画条件を得るPDL解析手段、予め描画条件と関係付けて用意された複数種類のディザの中から前記PDL解析手段によって解析された描画条件によってディザを選択する手段、ディザを用い描画条件に従って描画処理を行うことにより出力用画像データを生成する描画手段、前記出力用画像データを用いて記録用紙に画像を形成する手段、記録用紙上に形成された画像を定着温度に加熱し記録用紙に定着する手段及び前記定着温度を目標値に制御する定着制御手段を有する画像形成装置であって、複数種類のディザそれぞれと省電力を実現するために定めた定着温度目標値とを対応付けたデータベースと、前記印刷データに対し省電力レベルを指定した省電力処理が指示されているか否かを判定する省電力指示判定手段と、前記PDL解析手段によって解析された描画条件によって選択されるディザの種類に対応する定着温度目標値を前記データベースから取得し、得られる定着温度目標値と前記省電力指示判定手段によって判定された省電力処理の指示とにもとづいて、定着温度目標値及び適用するディザの種類を決定する省電力動作条件決定手段とを備え、前記描画手段は、前記省電力動作条件決定手段によって決定されたディザの種類を適用して出力用画像データを生成し、前記定着制御手段は、前記省電力動作条件決定手段によって決定された定着温度目標値への制御を行うことを特徴とする。
本発明は、ページ記述言語の印刷データを解析し設定された描画コマンドを含む描画条件を得、予め描画条件と関係付けて用意された複数種類のディザの中から前記解析された描画条件によって選択されるディザを用い、且つ該描画条件に従って描画処理を行うことにより出力用画像データを生成し、生成された出力用画像データを用いて記録用紙に画像を形成した後、形成された画像を定着温度に加熱し記録用紙に定着する過程で該定着温度を目標値に制御する定着制御方法であって、複数種類のディザそれぞれと省電力を実現するために定めた定着温度目標値とを対応付けたデータベースを用意し、前記印刷データに対し省電力レベルを指定した省電力処理が指示されているか否かを判定する省電力指示判定工程と、印刷データの解析結果として得られる描画条件によって選択されるディザの種類に対応する定着温度目標値を前記データベースから取得し、得られる定着温度目標値と前記省電力指示判定工程で判定された省電力処理の指示とにもとづいて、定着温度目標値及び適用するディザの種類を決定する省電力動作条件決定工程と、前記省電力動作条件決定工程で決定されたディザの種類を適用して出力用画像データを生成する描画処理工程と、前記省電力動作条件決定工程で決定された定着温度目標値への制御を行う工程を行うことを特徴とする。
本発明によると、印刷データを解析することにより知ったディザの種類と複数種類のディザごとに省電力を実現するために定めた定着温度目標値を示す情報に基づいて、多少の副作用が生じる可能性があっても、トナー画像を加熱定着するために消費するエネルギーを抑える制御を行えるようにしたことで、消費電力の効果的な削減が可能になる。
本発明の画像形成装置の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示す図である。 図1に示したプリンタのソフトウェア構成を示す機能ブロック図である。 図2に示した機能ブロック図のPDL部の詳細な構成を示す図である。 データベースとして用意する「ディザ−定着温度対応テーブル」の1例を示す図である。 データベースとして用意する「ディザ−定着温度対応テーブル」の他の例を示す図である。 変換前の印刷データと使用予定のディザに対応する定着温度の関係を説明する概念図である。 ディザ情報中に用意する「定着温度−優先度対応テーブル」の1例を示す図である。 省エネ優先モードにおける変換前後の印刷データ(図6)に対する定着制御条件を説明する図である。 省エネ最優先モードにおける変換前後の印刷データ(図6)に対する定着制御条件を説明する図である。 処理対象のジョブの定着温度を決定する処理のフローを示す図である。
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、本発明の画像形成装置をレーザプリンタ、即ち、描画された出力用画像データによって点灯が制御されるレーザビームにより走査露光を行い、静電写真方式で画像を形成するプリンタに実施した例を示す。なお、本実施形態では、カラー及びモノクロのプリント出力ができるプリンタを示すが、モノクロ出力だけのものでも良い。
ただ、描画処理によってプリント出力用画像データ(以下、単に「出力用画像データ」ともいう)を生成するプロセスでは、予め用意された複数種類のディザの中から、ページ記述言語(PDL)による印刷データ(以下「PDLデータ」ともいう)に示される描画条件に対応して選択されるディザを使用して描画処理を行うことを前提とする。なお、上記の描画処理とは、PDLデータからプリンタエンジンで用いる出力用画像データを生成する処理を指す。
よって、上記の前提を満たせば、静電写真方式で高分解能の画像を形成するレーザプリンタ以外の画像形成装置を実施対象とすることができる。
[ハードウェア構成の概要]
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示す図である。
同図に示す画像形成装置としてのプリンタ20は、プリンタ全体を制御するコントローラ10と、描画された出力用画像データをもとに記録用紙に印刷(画像形成)をするプリンタエンジン23と、表示部と入力キー等の操作部を備えユーザーインターフェースとしての機能を提供する操作パネル24を有する。
コントローラ10は、ソフトウェアプログラムの命令を実行するためのCPU(Central Processing Unit)11と、コントローラを動作させるためにCPU11によって使用される制御プログラム、制御用データ等を格納するROM(Read Only Memory)12と、前記制御プログラムによって生成される描画された出力用画像データなどを一時的に保存するページ(フレーム)メモリもしくはソフトウェアプログラムの動作に必要なデータを保存するワークメモリとして利用するRAM(Random Access Memory)13と、機器に依存する印刷条件等の設定データなどを保存しておく不揮発性メモリであるNV−RAM(Non Volatile RAM)14を構成要素として有する。つまり、CPU11、ROM12、RAM13の各要素よりなるコンピュータをコントローラ10として機能させる。
さらに、コントローラ10は、プリンタエンジン23との間でデータを交換するためのエンジンインタフェース(I/F)16と、操作パネル24との間でデータを交換するための操作パネルI/F17と、ネットワーク上に接続されたホストとなるプリンタドライバを搭載したPC(以下、「ホストPC」という)40との間でデータを交換するためのネットワークI/F15を構成要素として有する。なお、ネットワークI/F15と通信手段(不図示)で接続したホストPC40と、画像形成装置としてのプリンタ20とにより構成するシステムを画像形成システムという。
また、コントローラ10を構成する上記の要素は、それぞれ内部バス19を介して接続されている。
コントローラ10は、ホストPC40から受信したPDLによる印刷データにもとづいて、各種の変換処理を含む描画処理を行い、プリント出力に用いる画像データを生成し、プリンタエンジン23で出力を行わせる。RAM13は、ホストPC46からの印刷データ、該印刷データから生成される中間データ形式の画像データ、ラスタ形式のピクセルデータ、その後段の処理で生成されるプリント出力に用いる画像データを記憶する。
プリンタ20は、ROM12やNV−RAM14などの記憶装置に格納された制御プログラム及び制御や処理の動作条件に係る設定情報を読出し、CPU11の作業メモリ領域を提供するRAM13のメモリ領域に展開し、またRAM13を画像形成処理の作業領域として利用することによって、後述する図2及び図3に示す各機能を実現する手段を構成する。
[ソフトウェア構成]
図2は、図1に示したプリンタ20のソフトウェア構成を示す機能ブロック図である。
ホストPC40は、所定のプリンタドライバを使用して、アプリケーションによって作成もしくは処理した文書を複数の描画コマンドからなる印刷データに変換して、プリンタ20に送信し、印刷出力を要求する。上記描画コマンドは、通常、文字、イメージ、グラフィックの各描画を指示するコマンドである。また上記印刷データは、PostScript(登録商標)、PCL(登録商標)、RPDL(登録商標)など、各種のPDLで記述されたデータとすることができる。
コントローラ10は、コントローラ全体を制御する機能ブロックとしてプリンタ制御システム部104を有する。また、コントローラ10内のモジュールの構成としては、プリンタ制御システム部104の制御下で、画像形成システムを構成するホストPC40とデータ交換を行うネットワークI/F部102と、操作パネル24とのデータ交換によりユーザーに対する表示を行いかつユーザーの操作入力を受付ける操作パネルI/F部103と、受信した印刷データを解析して、解析結果として得られる描画条件に従いプリント出力用の画像データ等を生成するPDL部105と、プリンタエンジン23に対しプリント出力を指示し、プリント出力に用いる画像データ、定着の制御条件(後記で詳述)を含む各種印刷条件の設定データなどを送信するエンジンI/F部106を有する。
また、プリンタ制御システム部104は、現行の処理対象となっている印刷データの処理状況を管理する機能(不図示)を有する。この管理機能は、コントローラ10の制御にある各要素部を制御するための設定条件を把握し、動作状態を監視し、処理が正常に実行されるように管理するとともに、動作状態や処理状況を必要に応じてユーザーに知らせる機能を持つ。例えば、異常の発生や後述する、コントローラ側の判断で定着制御の動作を通常のヒータ点灯電力(定着温度)から省電力に動作を変更する場合のように、ユーザーの意図しない動作が行われる可能性がある場合には、操作パネル24の表示部等を通じてユーザーに状況を通知する。
このような管理機能は、画像形成装置とホストをネットワークで接続する画像形成システムを構成する場合にも機能することが必要である。なお、このような管理機能は、プリンタ等の画像形成装置とこれを利用するホストPC等の機器で構成する従来のクライアントサーバシステムにおいては、ユーザーインターフェースの基本機能として装備される技術であるから、この既存の技術を本実施形態におけるプリンタ制御システム部104とホストPC40のプリンタドライバとの間で実行する当該機能に適用することにより実施することができる。
〈PDL部の内部構成〉
上記コントローラ10のプリンタ制御システム部104の制御下で動作するPDL部105は、印刷データをもとにプリント出力用の画像データを生成するほか、ここで生成した画像データを用いてプリンタエンジン23がプリント出力を行う際に行う定着処理、即ち記録用紙に形成されるトナー画像を加熱定着する処理における制御条件として、定着温度の目標値を決める。
よって、PDL部105には、既存のプリンタが有するPDLの処理部に、上記制御条件を求めるための機能が必要とする要素が加わる。
図3は、図2に示したPDL部105内部のモジュール構成を示す図である。
同図に示すように、PDL部105は、ホストPC40が印刷を要求して送信してくるPostScript(登録商標)、PCL(登録商標)、RPDL(登録商標)などのPDLで記述された印刷データの構文解析をPDLの種類ごとに行うPDLパーサ部108と、印刷データのPDLを解析した結果として得られる描画条件に従い、プリント出力用の画像データ等を生成する描画コアモジュール部110を構成要素として有する。
PDLパーサ部108は、ディザ情報109を管理する。ディザ情報109は、描画条件に応じて選択されるディザのパターン情報、定着温度の目標値を決定する処理に用いる情報(後記で詳述)等よりなる。ディザ情報109は、このプリンタの環境に適合するデータをデータベースとして構築し、例えばROM12に保存しておく。PDLパーサ部108は、コントローラ10の起動時に、ROM12から保存されたディザ情報を取得し、PDL部105内でディザ情報109として管理する。
描画コアモジュール部110は、PDLパーサ部108から描画条件としてのテキスト、イメージ、ベクターグラフィックスの各描画コマンドや描画設定情報を受け取るためのI/Fである描画モジュールI/F部111と、テキスト、イメージ、ベクターグラフィックスなどの描画コマンドと色や透過設定などを持つ描画設定情報を中間データとして保存する中間データ保存部113と、中間データの保存先のメモリである中間データメモリ115と、描画データ(中間データ)にもとづいて、プリント出力用の画像データをレンダリングする複数の描画処理部117のモジュールを有する。
中間データ保存部113は、描画モジュールI/F部111から渡される、文字、図形、イメージの描画コマンド及び描画色を設定するためのコマンド、ページの解像度、ビット深さなどを設定するためのコマンドにより指示される描画条件をもとに、このページで使用するディザIDを選択する。また、選択したディザに対して後述する定着温度決定部119で決定される処理対象のページに設定する定着温度とこの定着温度に伴い指定されるディザID・カラープレーン・濃度値を描画条件として受け取るとともに、描画条件を確定し、確定した描画条件と定着温度目標値をプリンタエンジン23に通知する。なお、描画モジュールI/F部111は、定着温度決定部119の処理を待つまでも無く、省エネ判定部118及びディザ情報よりページの定着温度が決定できる場合、その時点で決定結果をプリンタエンジン23に通知する。
また、描画コアモジュール部110は、印刷ジョブ(印刷データ)に対し省エネ(以下省エネルギーの略語である「省エネ」という場合、省電力を指す)で処理を行うことが指示されているか否かを判定する省エネ判定部118と、省エネ判定部118の判定結果を受けて省エネの処理を実行するための定着温度目標値を決定する定着温度決定部119と、定着温度決定部119で決定した定着温度で定着できるように描画処理部117の描画内容を変換、即ちディザの種類等の描画条件の設定を変更する印刷内容変換部112のモジュールを有する。なお、省エネレベルの指定については、後記[省エネ(電力)レベルの指定]で詳述する。
省エネ判定部118は、操作パネル24を介してユーザーが印刷ジョブに対する処理を省エネの設定で行うことを指示したか否か、或いはホストPC40からの印刷データに省エネで処理を行う設定があるか否かを、定着温度をどの程度下げて省エネを行うかの省エネレベル(後述する「省エネ最優先」「省エネ優先」「通常」モードの動作、参照)、を含めて判定する。なお、この省エネの設定は、上記のように外部からの指示で行う以外に、機種に固定の設定による方法をとってもよい。
定着温度決定部119は、省エネ判定部118で判定された省エネレベルに応じる定着温度目標値を、プリンタエンジン23で定着制御に用いる目標値として決定する。定着温度目標値を決定する方法は、後記実施例で詳述するが、中間データ保存部113で選択された使用予定ディザとこのディザと所定の関係にあるディザの描画条件及び定着温度目標値と省エネ判定部118で判定された省エネレベルとにもとづいて決定する。この決定は、定着温度目標値とともにディザID・カラープレーン・濃度値の描画条件が同時に指定されるので、定着温度決定部119は、これらの決定結果を中間データ保存部113に伝える。なお、決定した目標値は、処理単位(ここでは、ページを単位とする)のプリント出力の間、定着温度決定部119に保持される。また、中間データの形式によっては、定着温度決定部119で行う処理を描画処理部117で実施しても構わない。
[描画条件に対応する定着制御の基本動作]
レーザプリンタにおいて、ディザによる描画処理で生成された画像データを用いて記録用紙に転写されたトナー画像を紙面に定着させる際、記録用紙上のトナー像の形状が孤立した小さな点であると、十分に高温で定着しないと、印刷後に剥がれる可能性が高くなるために、従来では、比較的低い定着温度でも剥がれることの少ない広い面を持つトナー像に対しても、孤立した小さな点に適応する高温に固定して定着を行う方法をとっていた。
ただ、この従来技術の問題点として、上述したように、広い面に対しては、必要以上の温度で加熱する結果となり、定着用ヒータを点灯する電力を省電力化する観点から望ましくない。
そこで本実施形態では、印刷対象が孤立した小さな点を持たず、広い面を持つトナー像を形成する印刷要求であるか否かを印刷データの内容から判断し、それぞれに適応する定着温度で定着をする制御を行うことで、上記問題点を解決する。
この実施形態では、印刷データに指示される描画条件(描画コマンド及び描画設定情報)と関係付けて用意された複数種類のディザの中から印刷データに指示された描画条件によって使用するディザが選択され、また選択されるディザは、それぞれのディザが持つパターンとの関係で定着温度を通常の目標値より低減できるか否かを判断し、基本的にはこの判断に従って定着温度の目標値を決める。
〈ディザ−定着温度対応テーブル〉
この実施形態では、定着温度の目標値は、ディザIDによって特定されるディザの種類に対応して所定値をとるので、ディザ情報の1つとして「ディザ−定着温度対応テーブル」の形式でこの両者の関係を表す情報を予めデータベースとして用意する。
図4は、データベースとして用意する「ディザ−定着温度対応テーブル」の1例を示す図である。
図4の「ディザ−定着温度対応テーブル」において、ディザの種類を表すディザIDに対応付けて定着温度を「NORMAL」「LV1」「LV2」という温度情報で示している。ここでは、定着温度情報として、標準温度で定着を行う「NORMAL」と、1段階目まで定着温度を下げることができる「LV1」と、「LV1」よりも大きく定着温度を下げることのできる「LV2」の3段階の定着温度を目標値として表している。つまり、「LV1」「LV2」を目標値とする定着制御を行うことで、目的とする省電力化が図れる。なお、この動作が、必要以上の温度で加熱していた従来技術の問題を解決し、省エネを実現する定着制御の基本動作(後述する標準モードの動作)である。
また、このテーブルは、KCMY(K:ブラック,C:シアン,M:マゼンタ,Y:イェロー)の各カラープレーン及び濃度値(0,1,2,・・,255)ごとにそれぞれの定着温度を対応付けている。
ただ、図4の「ディザ−定着温度対応テーブル」において、例えば、“ディザID:1番,プレーン:K,濃度値:0”に対応する定着温度情報が“NORMAL”であるのに対して、“ディザID:0番,プレーン:K,濃度値:0”に対応する定着温度情報が“LV2”であることが示すように、一義的にはディザの種類に対応して定着温度の目標値を“NORMAL”から下げて定着制御を行っても、定着を正常に行うことが可能であり、省電力という目的を達成できることを表している。
図4の「ディザ−定着温度対応テーブル」において、ディザの種類に加えてKCMYの各カラープレーン及び濃度値ごとにそれぞれの定着温度を対応付ける意味は、ディザの種類が同一であっても、さらにカラープレーン及び濃度値が違えば、適応する定着温度の目標値を下げる余地があることを示すものである。つまり、あるディザの種類における一部のカラープレーン及び濃度値では定着温度の目標値を“NORMAL”にする必要があっても、他のカラープレーン及び濃度値では、「LV1」「LV2」を目標値とする定着制御を行うことが可能である場合、可能な範囲で定着温度の目標値の低減化を実行することにより、省電力という目的が達成できる。
なお、処理対象の描画に使用するディザの選択や定着温度を決定する中間データ保存部113及び定着温度決定部119は、ディザの種類に対応する定着温度の目標値をカラープレーン及び濃度値を加味して決定する場合、描画モジュールI/F部111が求める描画条件からカラープレーン及び濃度値を得、PDLパーサ部108によって管理されるディザ情報109の「ディザ−定着温度対応テーブル」を参照することによって、定着温度の目標値の決定に用いる。
〈ディザ−定着温度対応情報の他の実施例〉
ディザの種類に対応する定着温度の目標値は、それぞれ所定値をとり、上記では、図4に示したように、両者の関係を「ディザ−定着温度対応テーブル」としているが、フラグ形式で実施しても構わない。フラグ形式で実施する場合は、あるディザIDのカラープレーンごとにフラグを持つ、といった方法で実施が可能である。また、最も高い濃度値(255)でのディザパターンが全てのドットにトナーが載るベタ塗りの場合はディザ種を区別する必要が無い。
図5は、フラグ形式の実施例で用意する「ディザ−定着温度対応情報」の1例を示す図である。
同図に示すように、カラープレーンごとに2本のフラグ、即ち、濃度値[255(ベタ塗り)]と[255以外]のフラグを持つ形式により実施できる。このような方法をとることにより、図4に示した「ディザ−定着温度対応テーブル」の場合よりも少ないメモリ量でディザの種類に対応する定着温度の目標値を保持することが可能となる。
[省エネ(電力)レベルの指定]
上記[描画条件に対応する定着制御の基本動作]では、印刷データの内容(描画条件)に適応する温度を目標値とすることによって、必要以上の温度で加熱することをなくし、省エネを実現する定着制御の基本動作を中心に説明した。
以下の説明では、上記の基本動作に加え、より高い省エネレベルが指定された場合に、多少の副作用が生じる可能性があっても、この省エネレベルで効果的に省エネ動作を行えるようにする制御方法による実施形態について、説明する。
ここで説明する制御動作は、ディザ情報109として、図4に示した形式の「ディザ−定着温度対応テーブル」(定着温度情報を「NORMAL」「LV1」「LV2」とする)が用意され、省エネレベルとして、下記(1)〜(3)の順にレベルを高くする3モードの指定で動作させる例を示す。
(1)標準モード
上記定着制御の基本動作に相当する動作を行う。入力PDLデータの解析結果に基づき、「ディザ−定着温度対応テーブル」を参照の上、使用するディザID・カラープレーン・濃度値から定着温度情報「NORMAL」「LV1」「LV2」を参照し、その値を定着温度目標値として決定する。定着温度目標値の決定を描画コマンド単位で行い、ページ内の全描画コマンドにおける定着温度目標値が決定できれば、定着温度目標値の最も高いレベルをそのページの定着温度目標値としてプリンタエンジン23に通知する。よって、ページ内で1度でも定着温度目標値「NORMAL」が使用される場合、標準温度「NORMAL」で定着を行う。
(2)省エネ優先モード
省エネレベルを「LV1」よりも低くしない定着温度目標値とし、使用する「ディザ−定着温度対応テーブル」をもとにそのレベルを決定する。例えば、使用するディザID・カラープレーン・濃度値に対応する定着温度目標値が「NORMAL」の場合は、「LV1」のディザID・カラープレーン・濃度値を使用するように印刷内容変換部112で描画条件を変換する。なお、「NORMAL」を「LV1」以上に省エネレベルを高くするディザがなければ、変換しないので、「NORMAL」になって、標準モードと同じになる、また、ページ内で1度でも定着温度情報「LV1」が使用される場合、このページは「LV1」で定着を行う。
(3)省エネ最優先モード
使用可能なディザの定着温度目標値のうち、最も省エネレベルの高い目標値(最も低い定着温度目標値)を定着温度とする。例えば、使用可能なディザの「ディザ−定着温度対応テーブル」に1つでも「LV2」があれば「LV2」で定着を行う。
上記(2)、(3)の動作モードにおいて、描画コマンドの中には定着温度目標値を変更するコマンドが含まれる場合がある(後記で図7,8を参照して説明する実施例に示す)。
この場合印刷内容変換部112は、定着温度決定部119で決定した温度で定着できるよう、この描画コマンドに設定されていた描画条件を示す設定情報を変換する必要がある。
図4に示した形式の「ディザ−定着温度対応テーブル」の例では、変換の対象となる設定情報は、ディザID・カラープレーン・濃度値であるが、いずれかを選択できる状況にあれば、変換優先順位は下記1.〜3.の順位に示すように、見た目を出来るだけ変換前と変えない順序とする。
1.ディザID
2.濃度値
3.カラープレーン
このようにすることで、優先順位をつけることによって、副作用が生じる可能性があっても、最小限の画質の劣化に抑えることができる。
〈描画条件の変換〉
指定された省エネレベルに対応して印刷内容変換部112が行う描画条件の変換について、下記変換例1〜3により上記(1)〜(3)の動作モードそれぞれについて、具体的に説明する。
図6は、変換前の印刷データの具体例と使用予定のディザに対応する定着温度の関係を説明する概念図である。同図において、描画コマンド“C”は最も高い定着温度「NORMAL」を必要とするディザを用い、描画コマンド“A”は「NORMAL」よりも低い定着温度「LV1」を必要とするディザを用い、描画コマンド“B”はさらに低い定着温度「LV2」を必要とするディザを用いる印刷データを示している。
変換例1:標準モード
入力印刷データを解析し描画コマンドを含む描画条件を得、得られる描画コマンドに用いるディザを選択し、選択したディザに対応する定着温度目標値を、ディザID・カラープレーン・濃度値にもとづいて「ディザ−定着温度対応テーブル」(図4)を参照し求める。
このモードでは、求めた定着温度目標値をそのままこの描画コマンドに対する値として決定する。即ち、テーブルを参照して求めた定着温度目標値を変更することなく、そのまま用いるので、印刷内容変換部112によって描画条件を変換する処理を行う必要も無い。
ただ、PDLデータをもとに行う描画の処理単位は、ページ単位であり、プリント出力を行う途中で定着温度の設定を変更することはあり得ない。
つまり、ページ単位の印刷データから得られる描画コマンドに対応するディザが複数種類あり、それぞれの定着温度目標値が決定されても、設定される目標値は1つである。
そこで、予め定めておいた優先度に従ってページ単位の定着温度目標値を決める。
図7は、上記の予め定めた優先度として用意する、定着温度情報に対する優先度を定めた「定着温度−優先度対応テーブル」の1例を示す図である。なお、このテーブルは、ディザ情報109中に用意しておく。また、図7のテーブルに示す優先度によりページ単位の定着温度目標値を決定する方法は、下記の変換例にも適用される。
図7に示す例では、優先度は、温度が高い順とし、定着温度の目標値「NORMAL」が最も高く、次に「LV1」、最も低いのが「LV2」となっている。
定着温度の最も高いレベルをそのページの定着温度としてエンジンに通知する。
この変換例を図6の印刷データに適用した場合には、描画コマンド“C”は最も高い定着温度「NORMAL」を必要とするディザであるから、ページ単位の定着温度目標値は「NORMAL」と決定される。即ち、ページ内で1度でも定着温度「NORMAL」が使用される場合、標準モードで定着制御を行う。
変換例2:省エネ優先モード
この変換例では、図6の入力印刷データを解析し、得られる描画コマンドを含む描画条件から各描画コマンド“A”,“B”,“C”に用いるディザが選択され、その結果が図8に示すように選択されたとする。
なお、図8は、図4に示した「ディザ−定着温度対応テーブル」と同様の形式のテーブルに加えて、図6の入力印刷データの各描画コマンド“A”,“B”,“C”の変換前後の定着制御条件の変化(変換前後のディザID・カラープレーン・濃度値・定着温度目標値と各描画コマンドとの関係で表される)を、表中の「変換前」及び「変換後」の各欄で示す図である。
この省エネ優先モードでは、省エネレベルを「LV1」よりも低くしない、即ち、定着温度目標値は「NORMAL」とせず、高い温度としても「LV1」であり、それ以下の定着温度目標値に決定する。
よって、図8の表において、「変換前」に定着温度目標値「NORMAL」が予定されている描画コマンド“C”は、定着温度「LV1」に変換しなければならない。
この変換を行う場合、選択されたディザID「0番」に適用可能なカラープレーン・濃度値のうち予め定められた優先順位(上述の「ディザID」「濃度値」「カラープレーン」の順)に従い、かつ省エネ優先モードが求める定着温度「LV1」を満たすものを「ディザ−定着温度対応テーブル」から探し、変換先とする。この例では、「変換前」と同じカラープレーンである「KCMY」,濃度値「2」が変換先である。
よって、描画コマンド“C”は、ディザID「0番」,カラープレーン「KCMY」,濃度値「2」を変換後の描画条件とし、定着温度「LV1」を定着の制御条件とする。
従って、印刷内容変換部112は、ディザIDは変わらないが、濃度値を変更して描画を行うために描画条件を変換する処理を行う必要がある。なお、定着温度「LV1」にするために、濃度値等の描画条件の設定値を変換する場合にも、変換される設定値の変化を大きくしない限界値を当てることにより、画質の劣化を極力抑えることが望ましい。
また、描画コマンド“A”については、「変換前」に定着温度目標値「LV1」が予定されており、この省エネ優先モードの設計条件を満たすので、描画条件を変換する必要はない。
また、描画コマンド“B”についても、「変換前」に定着温度目標値「LV2」が予定されており、この省エネ優先モードの設計条件を満たすので、描画条件を変換する必要はない。
変換例3:省エネ最優先モード
この変換例では、図6の入力印刷データを解析し、得られる描画コマンドを含む描画条件から各描画コマンド“A”,“B”,“C”に用いるディザが選択され、その結果が図9に示すように選択されたとする。
なお、図9は、図4に示した「ディザ−定着温度対応テーブル」と同様の形式のテーブルに加えて、図6の入力印刷データの各描画コマンド“A”,“B”,“C”の変換前後の定着制御条件の変化(変換前後のディザID・カラープレーン・濃度値・定着温度目標値と各描画コマンドとの関係で表される)を、表中の「変換前」及び「変換後」の各欄で示す図である。
この省エネ最優先モードでは、使用可能なディザの定着温度月標値のうち,最も省エネレベルの高い目標値(最も低い定着温度目標値)を定着温度として決定する。
よって、図9の表において、最も低い定着温度目標値「LV2」を定着温度とすべく、「変換前」に定着温度目標値「LV1」が予定されている描画コマンド“A”及び「変換前」に定着温度目標値「NORMAL」が予定されている描画コマンド“C”は、定着温度「LV2」に変換しなければならない。
描画コマンド“A”に対してこの変換を行う場合、選択されたディザID「0番」・カラープレーン「KCMY」・濃度値「1」に適用可能なディザID・カラープレーン・濃度値のうち予め定められた上述の優先順位に従い、かつ省エネ最優先モードが求める定着温度「LV2」を満たすものを「ディザ−定着温度対応テーブル」から探し、変換先とする。この例では、「変換前」と同じディザであるディザID「1番」、同じカラープレーンである「KCMY」及び異なる濃度値である「0」が変換先である。
また、描画コマンド“C”に対してこの変換を行う場合、選択されたディザID「0番」・カラープレーン「KCMY」・濃度値「10」に適用可能なディザID・カラープレーン・濃度値のうち予め定められた上述の優先順位に従い、かつ省エネ最優先モードが求める定着温度「LV2」を満たすものを「ディザ−定着温度対応テーブル」から探し、変換先とする。
この例では、「変換前」と異なるディザであるディザID「1番」、同じカラープレーンである「K」、同じ濃度値である「10」が変換先である。なお、ここでは、「変換前」と同じディザID「0番」に「変換前」の濃度値「10」に近い濃度値に定着温度「LV2」を満たすものが無いので、ディザID「1番」を変換先としている。
従って、印刷内容変換部112は、描画コマンド“A”に対してディザIDは変わらないが、濃度値を変更して描画を行うために描画条件を変換する処理を行い、描画コマンド“C”に対してディザIDを変更して描画を行うために描画条件を変換する処理を行う必要がある。なお、定着温度「LV2」にするために、濃度値等の描画条件の設定値を変換する場合にも、変換される設定値の変化を大きくしない限界値を当てることにより、画質の劣化を極力抑えることが望ましい。
また、描画コマンド“B”については、「変換前」に定着温度目標値「LV2」が予定されており、この省エネ優先モードの設計条件を満たすので、描画条件を変換する必要はない。
[定着温度の決定処理プロセス]
次に、ページ単位の描画処理とともに行われる定着温度の決定処理の実施形態をプロセスに沿って説明する。
ホストPC40上のドライバからプリンタ20のコントローラ10へ送られてくる印刷データはジョブを単位とし、1つのジョブは1枚以上のページから構成されている。なお、1ページの描画処理は複数バンド構成の処理であってもよいが、定着温度の設定処理はページごとに行う。この実施形態では、1ページ分のピクセルデータを格納するに充分な容量のフレームメモリが確保されており、処理単位をページとする。
ジョブの印刷データには、描画コマンドや描画設定情報等の情報が挿入されている。代表的な描画コマンドには文字、図形、イメージがある。また、描画設定情報として、描画色を設定するためのコマンド、ページの解像度、ビット深さなどを設定するためのコマンドが挿入されている。
印刷データを受け取るPDLパーサ部108は、印刷データを解析することにより描画コマンドなどの各コマンドに切り分けて、切り分けたコマンドを描画モジュールI/F部111へ伝達する。また、描画モジュールI/F部111は、受け入れたコマンドを中間データ保存部113へ伝達する。
描画モジュールI/F部111から渡されるコマンドを受け取る中間データ保存部113は、文字、図形、イメージの描画コマンド及び描画色を設定するためのコマンド、ページの解像度、ビット深さなどを設定するためのコマンドにより指示される描画条件をもとに、このページで使用を予定するディザIDを選択する。なお、このディザの選択は、このプリンタの環境に適合するデータベースとして構築されPDLパーサ部108で管理されているディザ情報109の複数種のディザから上記描画条件に適合するディザの種類を選択し、そのディザIDを得る。
他方、省エネ判定部118は、操作パネル24を介してユーザーが印刷ジョブに対する処理を省エネの設定で行うことを指示したか否か、或いはホストPC40からの印刷データに省エネで処理を行う設定があるか否かを、定着温度をどの程度下げて省エネを行うかの省エネレベル(上記「省エネ最優先」「省エネ優先」「通常」モードの動作、参照)、を含めて判定する。なお、操作パネル24で行われるキー操作によるジョブに対する処理条件の指示や印刷データに設定されたジョブの処理条件は、プリンタ制御システム部104(図2)でジョブの管理情報(データ)を保管しているので、ここに保管されている情報(データ)をもとに、省エネ判定部118は、上記の判定を行い、判定結果を定着温度決定部119に伝える。
定着温度決定部119は、省エネ判定部118で判定された省エネレベルに応じる定着温度目標値を、プリンタエンジン23で定着制御に用いる目標値として決定する。定着温度目標値の決定方法は、中間データ保存部113によって選択された使用予定のディザとこのディザと所定の関係にあるディザの描画条件及び定着温度目標値(「ディザ−定着温度対応テーブル」に示される)と省エネ判定部118によって判定された省エネレベルとにもとづいて決定する(上記[省エネ(電力)レベルの指定]、参照)。この決定方法によると、定着制御に用いる目標値の変更に伴い、使用を予定したディザを含め描画条件が変更される場合があるので、定着温度決定部119の決定結果は、決定された定着温度目標値に伴い、指定されるディザID・カラープレーン・濃度値よりなる描画条件を中間データ保存部113に伝える。
なお、定着温度決定部119は、決定した目標値等の決定結果を処理単位(ここでは、
ページを単位とする)のプリント出力の間、保持しておく。
中間データ保存部113は、定着温度決定部119で決定した定着温度を処理対象のページに設定する定着温度として受け取り、また、定着温度とともに受け取るディザID・カラープレーン・濃度値よりなる描画条件をもとに、使用を予定したディザの変更を含めて定着温度決定部119の決定結果を反映させた描画条件を確定する。
即ち、中間データ保存部113は、必要な描画条件の変換を印刷内容変換部112に指示して描画条件の設定を変更する処理を行わせ、定着温度決定部119で決定したディザID・カラープレーン・濃度値によって、使用を予定していたディザの設定をし直し、これらの描画条件を確定する。
中間データ保存部113は、確定した描画条件及び定着温度決定部119で決定した定着温度をプリンタエンジン23に通知する。なお、描画モジュールI/F部111は、定着温度決定部119の処理を待つまでも無く、省エネ判定部118及びディザ情報よりページの定着温度が決定できる場合、その時点で決定結果をプリンタエンジン23に通知する。
〈定着温度の決定処理フロー〉
図10は、処理対象のジョブの定着温度を決定する処理のフローを示す図である。
コントローラ10のプリンタ制御システム部104は、ネットワークI/F部102で印刷ジョブを受け付けたタイミングで、図10に示す処理フローを起動する。
プリンタ制御システム部104は、印刷ジョブが複数ページからなる場合でも、ページ単位で設定する定着温度の目標値を決めていくのでページごとにこの処理を起動する。
先ず、処理対象のジョブに設定されている省エネモードを判定する(ステップS101)。
この判定は、上記「省エネ最優先」「省エネ優先」「通常」モードのどれが設定されているかを、ユーザーの操作や印刷データの設定から判定する。
次に処理対象のページに適用する定着温度を確定できるか否かを確認する(ステップS102)。このステップを行う理由は、定着温度目標値を求めるタイミングが、描画コマンドを解析する時点だけでなく、印刷ジョブを受け付けたタイミングに行うことを前提にして、この時点で予めこのプリンタの環境に適合するデータによるチェックを掛け、処理を簡略化するためである。例えば、ディザIDが全て「NORMAL」だとか、全てのディザIDのあるカラープレーンが最も優先度の高い「NORMAL」だといったことが、このプリンタの環境として用意されていることが分かっている場合、この環境を示すデータをROM12に保存しておくようにする。このようなチェックを掛けるようにすると、定着温度を決定する一連の処理、即ち、描画コマンド単位で定着温度を決定していくといった処理を行うまでも無く、ディザIDが決まった直ぐの時点で、処理対象のページの定着温度を決定することができる。
この処理フローの手順としては、ステップS102で上記の方法で適用する定着温度が確定できた場合(ステップS102−YES)、直ちに確定した定着温度をプリンタエンジン23にこの処理対象のページに適用する定着温度として通知する手続きを行う(ステップS110)。
また、上記の処理と並行に、この処理対象ページのPDLデータを解析することにより得られる描画コマンド等の描画条件そのまま、即ちPDLの設定を変更することなく、描画処理を行い(ステップS111)、描画処理の終了を確認して、このフローの処理を終了する。
他方、ステップS102で適用する定着温度が確定できない場合(ステップS102−NO)、処理対象の入力印刷データの解析結果から得られる描画コマンド単位の定着温度の決定処理を順次行っていく(ステップS103)。
即ち、定着温度の決定処理の対象とした描画コマンドについて、使用予定のディザと、このディザと所定の関係にあるディザの描画条件及び定着温度目標値と、指定された省エネレベルとにもとづいて、上述の決定方法に従って当該描画コマンドに対する定着温度目標値を決定する(ステップS104)。
次に、ステップS104で決定された結果によって、印刷内容の変換が必要になるか否かを確認する(ステップS105)。つまり、省エネレベルとして、「省エネ最優先」「省エネ優先」が指定され、定着制御に用いる定着温度が変更され、それに伴いディザID・カラープレーン・濃度値よりなる描画条件が変更される場合には、印刷内容の変換が必要になる。
よって、ステップS105で印刷内容の変換が必要になる場合には(ステップS105−YES)、ステップS104の処理で決定された結果に従い、印刷内容を変換する(ステップS106)。なお、ステップS105で印刷内容の変換が必要にならない場合には(ステップS105−NO)、何もせずに次のステップS107に移行する。
この後、処理対象とした描画コマンドに対するステップS104の処理で決定された結果によって、現行の処理対象ページの定着温度が決まってしまう場合があるので、その確認をする(ステップS107)。これは、ステップS104の処理で、指定された省エネレベルに定められた最も高い温度が決定された場合には、ページ単位の定着温度が決まってしまい、以降に行う描画コマンドに対する処理が省略できるからである。
ステップS107の確認の結果、ページの定着温度が決まった場合(ステップS107−YES)、ステップS110に移行し、上記ステップS110の処理と同様の処理を経て、このフローの処理を終了する。
他方、ステップS107の確認の結果、ページの定着温度が決まらない場合(ステップS107−NO)、ステップS108に移行する。
ステップS108では、処理対象ページの全描画コマンドの処理を終了したか否かを確認し、未処理の描画コマンドがある場合には、次の描画コマンドの定着温度を決定する処理を行うためにステップS103に戻す。
また、ステップS108で未処理の描画コマンドがなくページの全描画コマンドの処理を終了したことが確認できれば、ステップS110に移行し、上記ステップS110の処理と同様の処理を得て、このフローの処理を終了する。
10・・コントローラ、11・・CPU、12・・ROM、13・・RAM、14・・NV−RAM、15・・ネットワークI/F、16・・エンジンI/F、17・・操作パネルI/F、20・・プリンタ、23・・プリンタエンジン、24・・操作パネル、40・・ホストPC、102・・ネットワークI/F部、103・・・操作パネルI/F部、104・・プリンタ制御システム部、105・・・PDL部、106・・エンジンI/F部、108・・・PDLパーサ部、109・・ディザ情報、110・・・描画コアモジュール部、111・・描画モジュールI/F部、112・・・印刷内容変換部、113・・中間データ保存部、115・・・中間データメモリ、117・・描画処理部、118・・・省エネ判定部、119・・定着温度決定部。
特開2009−151102号公報 特開平6−19257号公報

Claims (10)

  1. ページ記述言語の印刷データを解析し設定された描画コマンドを含む描画条件を得るPDL解析手段、予め描画条件と関係付けて用意された複数種類のディザの中から前記PDL解析手段によって解析された描画条件によってディザを選択する手段、ディザを用い描画条件に従って描画処理を行うことにより出力用画像データを生成する描画手段、前記出力用画像データを用いて記録用紙に画像を形成する手段、記録用紙上に形成された画像を定着温度に加熱し記録用紙に定着する手段及び前記定着温度を目標値に制御する定着制御手段を有する画像形成装置であって、
    複数種類のディザそれぞれと省電力を実現するために定めた定着温度目標値とを対応付けたデータベースと、
    前記印刷データに対し省電力レベルを指定した省電力処理が指示されているか否かを判定する省電力指示判定手段と、
    前記PDL解析手段によって解析された描画条件によって選択されるディザの種類に対応する定着温度目標値を前記データベースから取得し、得られる定着温度目標値と前記省電力指示判定手段によって判定された省電力処理の指示とにもとづいて、定着温度目標値及び適用するディザの種類を決定する省電力動作条件決定手段とを備え、
    前記描画手段は、前記省電力動作条件決定手段によって決定されたディザの種類を適用して出力用画像データを生成し、
    前記定着制御手段は、前記省電力動作条件決定手段によって決定された定着温度目標値への制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載された画像形成装置において、
    前記ディザの種類は、カラープレーン及び濃度によって分類されることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
    前記ディザの種類は、前記印刷データに設定される解像度、ビット深さによって分類されることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
    前記省電力動作条件決定手段は、前記省電力指示判定手段によって省電力処理の指示が判定され、その処理に指定された省電力レベルに対応する定着温度目標値と、前記データベースから取得された定着温度目標値とが異なる場合に、省電力レベルに対応する定着温度目標値で実施できる種類のディザを前記データベースから選択し得られるディザの種類を前記適用するディザの種類として決定することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置において、
    表示部と操作部を持つユーザーインターフェースを備え、
    前記ユーザーインターフェースは、印刷データに対し省電力レベルを指定した省電力処理を指示する前記操作部の入力操作を受け付け、前記省電力動作条件決定手段の決定結果を前記表示部によって表示することを特徴とする画像形成装置。
  6. コンピュータを請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置が有する、前記データベース、前記省電力指示判定手段、前記省電力動作条件決定手段、前記描画手段、前記定着制御手段の各手段として機能させるためのプログラム。
  7. 請求項6に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載された画像形成装置と、
    前記画像形成装置と通信手段で接続し、前記通信手段により画像形成装置に対し印刷ジョブを送り、該印刷ジョブの処理状況の通知を受けるホストであって、
    表示部と操作部を持つユーザーインターフェースと、
    前記印刷ジョブの処理状況の通知を前記ユーザーインターフェースで表示するための処理手段及び該ユーザーインターフェースからの指示操作に従い、ページ記述言語の印刷データを作成する手段として機能するプリンタドライバと
    を有するホストと、
    により構成することを特徴とする画像形成システム。
  9. 請求項8に記載された画像形成システムにおいて、
    前記印刷ジョブの処理状況の通知が前記省電力動作条件決定手段の決定結果であることを特徴とする画像形成システム。
  10. ページ記述言語の印刷データを解析し設定された描画コマンドを含む描画条件を得、予め描画条件と関係付けて用意された複数種類のディザの中から前記解析された描画条件によって選択されるディザを用い、且つ該描画条件に従って描画処理を行うことにより出力用画像データを生成し、生成された出力用画像データを用いて記録用紙に画像を形成した後、形成された画像を定着温度に加熱し記録用紙に定着する過程で該定着温度を目標値に制御する定着制御方法であって、
    複数種類のディザそれぞれと省電力を実現するために定めた定着温度目標値とを対応付けたデータベースを用意し、
    前記印刷データに対し省電力レベルを指定した省電力処理が指示されているか否かを判定する省電力指示判定工程と、
    印刷データの解析結果として得られる描画条件によって選択されるディザの種類に対応する定着温度目標値を前記データベースから取得し、得られる定着温度目標値と前記省電力指示判定工程で判定された省電力処理の指示とにもとづいて、定着温度目標値及び適用するディザの種類を決定する省電力動作条件決定工程と、
    前記省電力動作条件決定工程で決定されたディザの種類を適用して出力用画像データを生成する描画処理工程と、
    前記省電力動作条件決定工程で決定された定着温度目標値への制御を行う工程
    を行うことを特徴とする定着制御方法。
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