JP2011191567A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マルチプレックス駆動によって動作する垂直配向型液晶表示装置において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、一面側に第1電極を有する第1基板と、一面側に第2電極を有し、第1基板と対向配置された第2基板と、第1基板の第1電極と第2基板の第2電極との間に配置された液晶層と、を含み、第1電極は、第1方向に延びた形状であって、市松状に配置された複数の開口部15を有し、液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした液晶表示装置である。
【選択図】図5

Description

本発明は、マルチプレックス駆動される垂直配向型の液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、例えば民生用や車載用の各種電子機器における情報表示部として広く利用されている。一般的な液晶表示装置は、数μm程度の間隙を設けて対向配置させた2枚の基板間に液晶材料からなる液晶層を配置して構成されている。このような液晶表示装置の1つとして垂直配向型の液晶表示装置が知られている。垂直配向型の液晶表示装置は、2枚の基板間に配置される液晶層の内部における液晶分子を各基板の表面に対してほぼ垂直に配向させた垂直配向モード(以下「VAモード」という)の液晶セルと、この液晶セルの外側にそれぞれ設けられる偏光板と、を主たる構成として備える。各偏光板はクロスニコル配置とされることが多い。このようにすると、液晶表示装置の電圧無印加時における透過率が非常に低くなるので、高いコントラストを比較的簡単に実現することが可能となる。
VAモードの液晶セルを実現するためには、基板表面へ所定の配向処理を施すことにより液晶層の液晶分子の配向を制御することが重要である。配向処理としては、例えば、SiOxなどの金属酸化物を基板法線より傾いた方向から蒸着することにより、鋸形状の表面を有する薄膜を基板表面に形成する処理(いわゆる斜方蒸着法)や、ポリイミド等の有機配向膜材料を基板表面に成膜した後に、これに紫外線を特定方位から照射する処理(いわゆる光配向処理法)、あるいは特定の表面自由エネルギーを有する垂直配向膜を基板表面に形成し、これにラビング処理を施す配向処理等が主に知られている。これらの配向処理によれば、電圧無印加時における液晶層内の液晶分子が1つの方位に揃った配向(いわゆるモノドメイン配向)が得られる。
上述したようなモノドメイン配向の垂直配向型液晶表示装置においては、液晶層内におけるプレティルト角の設定が表示特性に大きな影響を与える。具体的には、電気光学特性における急峻性について考えると、電圧無印加時において液晶分子が基板法線方向に配向する場合、すなわちプレティルト角が90°の場合が最も良好となる。特に、液晶表示装置をマルチプレックス駆動法によって駆動する場合において、表示容量を増加させる(すなわちデューティを大きくする)ためには、プレティルト角を大きく設定することは有効な手段である。しかし、プレティルト角を90°に設定すると電圧印加時における液晶分子の配向の均一性が得られないため、実用上は上記した配向処理を施す必要が生じる。
特開2005−234254号公報(特許文献1)には、垂直配向型液晶表示装置において、プレティルト角を89.5°より大きくした場合(特に89.7°より大きくした場合)に、プレティルト角の大きさに追随して最大透過率が低下する傾向が見られる旨の指摘がなされている。また、これについて特開2008−281752号公報(特許文献2)には、フレーム周波数が比較的に低い駆動条件において表示部の一部に暗領域が現れ、表示に不均一が発生することが原因の1つであると指摘されている。このような表示不均一性を改善する方法として、上記の特許文献2には、種々のマルチプレックス駆動波形を用いた場合のそれぞれについて、垂直配向型液晶表示装置のプレティルト角の設定とそれに応じたフレーム周波数の設定方法が開示されている。具体的には、特許文献2においては、プレティルト角が90°に近づくほどにフレーム周波数を高くするか、あるいは高周波成分を多く含む1/2ライン反転駆動波形を用いることにより、表示の均一性を実現可能であることが示されている。
ところで、走査線の本数が比較的多い(すなわちデューティが大きい)垂直配向型液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において上記した特許文献2に開示された技術を適用すると、液晶表示装置の内部インピーダンスが低下することから駆動電流の増加を招く。必要となる駆動電流が液晶表示装置を駆動するドライバー(駆動装置)の電流駆動能力を超えた場合には、走査線等となる透明電極の途上で電圧降下が生じることにより各画素への印加電圧が不均一となり、表示ムラが顕著に現れる。例えば、短冊状の透明電極を交差させ、それらの間に液晶層が設けられたドットマトリクス型の液晶表示装置においては、一方の透明電極の延在方向に沿った筋状の表示ムラが生じたり、他方の透明電極の延在方向に沿って明るさやコントラストのばらつきが生じたりする。このような表示ムラを解消するには、ドライバーの電流駆動能力を高めること、フレーム周波数を低下させること、又は高周波成分を多く含まない駆動波形(フレーム反転波形)を用いることが有効である。しかし、ドライバーの電流駆動能力を高めることはコスト上昇を招くために好ましい解決法とはいえない。
特開2005−234254号公報 特開2008−281752号公報
本発明に係る具体的態様は、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
上述した課題を解決するにあたって本願発明者は、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において発生する表示不均一性について鋭意検討した。図15に、プレティルト角を89.6°とした垂直配向型の液晶表示装置をデューティ比1/8、バイアス比1/5、フレーム周波数を80Hzの条件でマルチプレックス駆動した場合における外観観察写真を示す。図示のようにセグメント型の表示部を有する液晶表示装置を用い、全セグメントをオン表示(明表示)とした。この液晶表示装置におけるラビング方向は12時方向および6時方向(アンチパラレル)であり、液晶層の中央における液晶分子の配向方向は12時方向(図中左側に矢印で示す方向)となっている。図示のように、各セグメントにおいて部分的に暗領域が現れ、表示均一性が損なわれている。これを詳細に観察すると、暗領域が現れる部分には特徴がある。すなわち、各セグメントにおいて暗領域の発生が多いのはラビング方向に対して略直交方向に長辺部を有する3つのセグメントのエッジ付近である。これらの暗領域はフレーム周波数をより高くすることで消失することができるが、フレーム周波数を低くしたいという要望とは相反する。以上の観察より、表示均一性を低下させる暗領域の発生には、電極のエッジ付近における斜め電界の発生状態と、ラビング方向、すなわち液晶層の中央における液晶分子の配向方向とが関連していると考察される。そこで、上記のような観察結果に基づいて本願発明者は以下の発明に至った。
本発明に係る一態様の液晶表示装置は、マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、(a)一面側に第1電極を有する第1基板と、(b)一面側に第2電極を有し、第1基板と対向配置された第2基板と、(c)第1基板の第1電極と第2基板の第2電極との間に配置された液晶層と、を含み、(d)第1電極は、第1方向に延びた形状であって、市松状に配置された複数の開口部を有し、(e)液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、(f)複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、液晶表示装置である。
上記構成によれば、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能となる。
上記した液晶表示装置において、液晶層は、当該液晶層へ電圧が印加されたときに液晶分子の配向にねじれ構造を誘起するカイラル材が添加されていることも好ましい。
それにより、表示均一性をより向上できる。
本発明に係る他の態様の液晶表示装置は、マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、(a)一面側に第1電極を有する第1基板と、(b)一面側に第2電極を有し、第1基板と対向配置された第2基板と、(c)第1基板の第1電極と第2基板の第2電極との間に配置された液晶層と、を含み、(d)第1電極は、第1方向に延びた形状であって、周期的に配置された複数の開口部を有し、(e)液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、かつ当該液晶層へ電圧が印加されたときに液晶分子の配向にねじれ構造を誘起するカイラル材が添加されており、(f)複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、液晶表示装置である。
上記構成によっても、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能となる。
上記の各態様の液晶表示装置において、複数の開口部の各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度が0°に近いほど好ましく、例えば略45°や略0°とすることが好ましい。
それにより、フレーム周波数を低下させる効果をより高めることが可能となる。また、角度を0°又は45°とすることにより、第1基板及び第2基板の各々の外側に偏光板を設けられたときの吸収軸との位置関係の点でも都合がよい。
本発明に係る他の態様の液晶表示装置は、マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、(a)一面側に第1電極を有する第1基板と、(b)一面側に第2電極を有し、第1基板と対向配置された第2基板と、(c)第1基板の第1電極と第2基板の第2電極との間に配置された液晶層と、を含み、(d)第1電極は、第1方向に延びた第1部位と第2方向に延びた第2部位とを交差させてなる十字形状を有し、周期的に配置された複数の開口部を有し、(e)液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、かつ当該液晶層へ電圧が印加されたときに液晶分子の配向にねじれ構造を誘起するカイラル材が添加されており、(f)複数の開口部の第1部位と第2部位の各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、液晶表示装置である。
上記構成によっても、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能となる。
上記の液晶表示装置において、複数の開口部の各々は、第1方向と第2方向とのなす角度が略90°であり、当該第1方向及び第2方向の各々と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度が略45°であることも好ましい。
それにより、フレーム周波数を低下させる効果をより高めることが可能となる。第1基板及び第2基板の各々の外側に偏光板を設けられたときの吸収軸との位置関係の点でも都合がよい。
一実施形態の液晶表示装置の構造を示す模式的な断面図である。 実施例1に係る液晶表示装置の各開口部の構造を示す模式平面図である。 実施例1に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を示す図である。 実施例2に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を示す図である。 実施例3に係る液晶表示装置の各開口部の構造を示す模式平面図である。 実施例3に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を示す図である。 実施例4に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を示す図である。 液晶層がねじれ構造を有しない液晶表示装置において、各開口部の配置ピッチを変化させた場合における外観上の表示均一性が得られるフレーム周波数を示す図である。 液晶層がねじれ構造を有する液晶表示装置において、各開口部の配置ピッチを変化させた場合における外観上の表示均一性を示す図である。 実施例7に係る液晶表示装置の各開口部の構造を示す模式平面図である。 実施例7、8に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を示す図である。 電極と液晶層内の液晶分子とを模式的に示した図である。 電極と液晶層内の液晶分子とを模式的に示した図である。 電極と液晶層内の液晶分子とを模式的に示した図である。 プレティルト角を89.6°とした垂直配向型の液晶表示装置をデューティ比1/8、バイアス比1/5、フレーム周波数を80Hzの条件でマルチプレックス駆動した場合における外観観察写真を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態の液晶表示装置(液晶パネル)の構造を示す模式的な断面図である。図1に示す本実施形態の液晶表示装置は、対向配置された第1基板(上側基板)1と第2基板(下側基板)2と、両基板の間に配置された液晶層3と、を主に備える。第1基板1の外側には第1偏光板4が配置され、第2基板2の外側には第2偏光板5が配置されている。第1基板1と第1偏光板4の間には第1視角補償板6が配置され、第2基板2と第2偏光板5の間には第2視角補償板7が配置されている。液晶層3の周囲はシール材8によって封止されている。以下、さらに詳細に液晶表示装置の構造を説明する。
第1基板1および第2基板2は、それぞれ、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。第1基板1と第2基板2との相互間には、スペーサー(粒状体)10が分散して配置されている。これらのスペーサー10により、第1基板1と第2基板2との間隙が所定距離(本実施形態では3.8〜4.0μm程度)に保たれる。
液晶層3は、第1基板1の第1電極11と第2基板2の第2電極12との相互間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負(Δε<0)の液晶材料(ネマティック液晶材料)を用いて液晶層3が構成されている。液晶層3に図示された太線は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。図示のように、本実施形態の液晶表示装置においては、液晶層3の液晶分子の配向状態がモノドメイン配向に規制されている。本実施形態における液晶層3のプレティルト角は概ね89.7°〜89.9°に設定されている。また、液晶層3のリタデーションは略800〜870nmである。
第1電極11は、第1基板1の一面上に設けられている。本実施形態においては、複数の第1電極11がそれぞれ第2電極12と対向して配置されている。各第1電極11の形状は、例えば任意の表示パターンに対応した形状(セグメント表示型)である。各第1電極11は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。また、各第1電極11には複数の開口部(スリット)15が設けられている。各開口部15の詳細については後述する。
第2電極12は、第2基板2の一面上に設けられている。第2電極12は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。本実施形態の液晶表示装置は、第1電極11と第2電極12とが平面視において重なる箇所のそれぞれが表示部となる。
配向膜13は、第1基板1の一面側に、第1電極11を覆うようにして設けられている。同様に、配向膜14は、第2基板2の一面側に、第2電極12を覆うようにして設けられている。本実施形態においては、配向膜13および配向膜14としては、液晶層3の初期状態(電圧無印加時)における配向状態を垂直配向状態に規制するもの(垂直配向膜)が用いられている。より詳細には、各配向膜13、14としては、液晶層3の液晶分子に対して90°に極めて近い角度(89.7°〜89.9°程度)のプレティルト角を付与し得るものが用いられる。
次に、液晶表示装置の製造方法の一例について詳細に説明する。
まず、一面上に透明電極を有する基板を用意する。基板としては、例えば片面が研磨され、その表面にSiOがコートされ、その上にITO(インジウム錫酸化物)からなる透明導電膜が形成されたガラス基板を用いることができる。この基板に対して既知のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を実行することにより、第1電極11を有する第1基板1、第2電極12を有する第2基板2がそれぞれ形成される。なお、必要に応じて第1電極11または第2電極12の一部表面上にさらにSiOなどによる絶縁層を形成してもよい。
次いで、第1基板1の一面上に配向膜13が形成され、第2基板2の一面上に配向膜14が形成される。具体的には、各基板をアルカリ溶液等で洗浄した後、垂直配向膜の材料液をフレキソ印刷等の方法によって第1基板1の一面上および第2基板2の一面上にそれぞれ塗布し、これらをクリーンオーブン内にて焼成する(例えば、180℃、30分間)。その後、各配向膜13、14に対して配向処理(例えば本実施形態ではラビング処理)を行う。
本工程におけるラビング処理の条件を適宜に設定することにより、液晶層3のプレティルト角を制御することができる。ここでいうプレティルト角とは、基板表面と液晶分子の平均的配向方向(ダイレクター)とのなす角度をいう。また、第1基板1に対してラビング処理を行う際のラビング方向(ラビング布を回転させながら進行させた方向)を適宜設定することにより、液晶層3の中央における液晶分子の配向方向と各開口部15との位置関係を規定することができる。
次いで、一方の基板上(例えば、第1基板1の一面上)には、例えば4μm程度の粒径のスペーサー10が散布される。スペーサー10の散布は、例えば乾式散布法によって行われる。また、他方の基板上(例えば、第2基板2の一面上)にシール材8を形成する。シール材8は、例えば4μm程度の粒径のロッド状ガラススペーサーが混入されたものをスクリーン印刷等の方法によって塗布することによって形成される。
次いで、第1基板1と第2基板2を、これらの一面同士が対向し、各配向膜13、14に対するラビング方向がアンチパラレルとなるようにして貼り合わせ、一定の加圧状態にて焼成する。それによりシール材8が硬化し、第1基板1と第2基板2が固定される(空セルが完成する)。
次いで、真空注入法等の方法によって、第1基板1と第2基板2の間隙に液晶材料(誘電率異方性Δε<0のもの)を注入し、当該注入に用いた注入口を封止した後に、焼成する(例えば120℃、1時間)。これにより液晶層3が形成される。
その後、第1基板1の外側に第1偏光板4および第1視角補償板6を貼り合わせ、かつ第2基板2の外側に第2偏光板5および第2視角補償板7を貼り合わせる。第1偏光板4と第2偏光板2のそれぞれは、例えば、液晶層3の中央における液晶分子の配向方向に対して略45°の角度を有し、かつお互いがクロスニコルとなるように配置される。また、第1視角補償板6、第2視角補償板7は必要に応じて設けられるものであり、省略されてもよい。最後に、リードフレーム等を適宜に取り付けることにより、図1に示した液晶表示装置が完成する。
次に、第1電極11に設けられる各開口部15の形状とそれにより奏される作用効果について、いくつかの実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
上記した図1に示した構造を有する液晶表示装置において、各第1電極11を任意形状のセグメント電極とし、第2電極12をコモン電極としたセグメント表示型の液晶表示装置について実施例1として説明する。各第1電極11には、以下で説明する図2に示した3パターンの何れかで開口部15を設けた。なお、コモン電極に相当する第2電極12に開口部15を設けてもよい(以下の各実施例においても同様)。
図2は、実施例1に係る液晶表示装置の各開口部の構造を示す模式平面図である。図2(a)〜図2(c)に示す各開口部15は、一方向に延びた形(略矩形)を有する。各図において、Lは各開口部15の長手方向の長さを示し、Lsは隣接する各開口部15の長手方向の相互間距離(短辺エッジ間距離)を示し、Sは各開口部15の短手方向の長さ(幅)を示している。また、図2(a)〜図2(c)において、Pは開口部15の短手方向の相互間距離(配置ピッチ)を示している。これらの各パラメータについて、実施例1では、P=0.057mm、S=0.007mm、Ls=0.0035mm、L=0.075mmとした。なお、これらの数値は一例である。
図2(a)に示す各開口部15は、それぞれの長手方向(長辺方向)が第1基板(上側基板)1および第2基板(下側基板)2の各表面における配向方向(例えばラビング方向)と平行になるように配置されている。別言すれば、各開口部15は、それぞれの長手方向が液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向とほぼ平行になるように配置されている。すなわち、各開口部15は、各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度θが略0°となるように配置されている。このように配置された各開口部15を以後「縦スリット」と称する場合もある。
図2(b)に示す各開口部15は、それぞれの長手方向が第1基板(上側基板)1および第2基板(下側基板)2の各表面における配向方向(例えばラビング方向)とほぼ直交するように配置されている。別言すれば、各開口部15は、それぞれの長手方向が液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向とほぼ直交するように配置されている。すなわち、各開口部15は、各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度θが略90°となるように配置されている。このように配置された各開口部15を以後「横スリット」と称する場合もある。
図2(c)に示す各開口部15は、それぞれの長手方向(長辺方向)が第1基板(上側基板)1および第2基板(下側基板)2の各表面における配向方向(例えばラビング方向)と0°以上90°未満の所定角度をもって交差するように配置されている。別言すれば、各開口部15は、それぞれの長手方向が液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向に対して0°以上90°未満の所定角度をもって交差するように配置されている。本実施例1では、各開口部15の長手方向と液晶分子の配向方向とのなす角度θが略45°の角度をもつ場合が示されている。このように配置された各開口部15を以後「斜めスリット」と称する場合もある。なお、交差する角度θは略45°に限定されない。
実施例1に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を図3に示す。駆動条件については、1/64デューティ、1/9バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。なお、液晶層3のプレティルト角は89.9°とした。図3(a)に示すように、各開口部15が「横スリット」の場合には、各開口部15の周辺に発生する暗領域の形状が不均一であり、外観上の表示均一性の実現が困難であった。一方、図3(b)に示すように、各開口部15が「縦スリット」の場合には、「横スリット」の場合に比べて明らかに、各開口部15の周辺に発生する暗領域に規則性があり、外観上の表示均一性が優れていることがわかった。なお、図示を省略するが各開口部15が「斜めスリット」の場合についても。「縦スリット」の場合と同様に各開口部15の周辺に発生する暗領域に規則性があり、外観上の表示均一性が優れていることを確認できた。なお、表示均一性はフレーム周波数に依存することが確認された。
(実施例2)
次に、上記した実施例1に係る液晶表示装置と同様の構成を有し、さらに液晶層3にねじれ構造を導入した液晶表示装置について実施例2として説明する。詳細には、上記実施例1の液晶表示装置における液晶層3は、電圧の印加状態(印加/無印加)に関わらず層厚方向に対して液晶分子にねじれ構造を生じない。これに対して、実施例2では、カイラル材が添加された液晶材料を用いて液晶層3を形成した。本実施例では、カイラルピッチをp、液晶層3の層厚をdとしたときに、d/pが略0.7となるようにカイラル材を添加した。このような液晶材料を用いて液晶層3を形成すると、電圧印加時において液晶層3の液晶分子の配向にねじれ構造を誘起できる。なお、d/pの条件は上記の略0.7に限定されない。
実施例2に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を図4に示す。駆動条件については、1/128デューティ、1/10バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。なお、液晶層3のプレティルト角は89.9°とした。各開口部15が「横スリット」、「縦スリット」のいずれの場合においても、各開口部15の周辺に発生する暗領域の黒さが低下していることがわかる。図4(a)に示す「横スリット」の場合には、ねじれ構造がないとき(実施例1参照)に比べてより広い範囲で暗領域が不均一であり、外観上も表示均一性が低かった。一方、図4(b)に示す「縦スリット」の場合には、均一な配向状態が得られており、外観上も良好な表示状態が得られていることを確認した。なお、図示を省略するが、「斜めスリット」の場合においても良好な表示状態が得られることを確認した。
なお、実施例2では、第1基板1のラビング方向と第2基板2のラビング方向との関係をアンチパラレル配向とした場合について示したが、この限りではない。第1基板1と第2基板2とをアンチパラレル配向以外に配向処理した場合にも、液晶層3にねじれ構造を生じさせることができる。本願発明者らは、第1基板1のラビング方向と第2基板2のラビング方向の相対的関係を、液晶層3における液晶分子のねじれ角が180°より大きく240°以下、かつ液晶層3の中央における液晶分子の配向方位が液晶表示装置の左右方向となるように設定したd/p=0.64の液晶表示装置においても、図4に示したものと同様な配向組織が得られることを確認した。これらの液晶表示装置において、フレーム周波数を低下させていった場合にはねじれ角が200°のものが特に良好な表示均一性を示す。この傾向は、d/pが0.5以上0.7以下であれば同様であると考えられる。そして、d/p≦0.64に設定した場合には、カイラル材を添加しない場合と同様にフレーム周波数に依存する傾向が見られるが、d/p>0.64に設定した場合には、フレーム周波数が80Hz以上ではほぼ依存性がないことがわかった。
(実施例3)
上記した実施例1、2の液晶表示装置では、各開口部15がその長辺方向および短辺方向のそれぞれに沿って等間隔で規則的に配列されていた。これに対し、以下では実施例3として、各開口部15を市松状に配置した液晶表示装置について説明する。なお、実施例3の液晶表示装置は、各開口部15の配置以外については上記実施例1に係る液晶表示装置と同様の構成を有する。
図5は、実施例3に係る液晶表示装置の各開口部の構造を示す模式平面図である。図5(a)〜図5(c)に示す各開口部15は、上記した実施例1等の場合と同様に、一方向に延びた形(略矩形)を有する。なお、各パラメータについて、実施例3では、P=0.057mm、S=0.007mm、Ls=0.005mm、L=0.075mmとした。なお、これらの数値は一例である。
図示のように、実施例3の液晶表示装置では、各開口部15が市松状(ジグザグ状)に配置されている。詳細には、ある開口部15とその長辺方向および短辺方向のそれぞれにおいて隣接する開口部15との間隔は比較的に大きく確保されている。そして、これら隣接する2つの開口部15のそれぞれから見て斜め方向に、1つの開口部15が配置されている。このような配置パターンが繰り返されることにより、全体としては、各開口部15が市松状に配置される。この実施例3では、隣接する開口部15同士の相互間距離をより大きく確保できることから、第1電極11の電気抵抗の増加を抑制することができる。第1電極11や第2電極12のパターン設計の簡便化の観点からも電気抵抗の増加が抑制されることは好ましい。これにより、セグメント表示部の間で明表示時の明るさが異なる不具合(輝度ムラ)を抑制しやすくなる。
図5(a)に示す各開口部15は、上記した実施例1、2における「縦スリット」に相当するものであり、ここでは「縦市松スリット」と称する。各開口部15は、各々の長手方向と、液晶層3の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度θが略0°となるように配置されている。また、図5(b)に示す各開口部15は、上記した実施例1、2における「横スリット」に相当するものであり、ここでは「横市松スリット」と称する。各開口部15は、各々の長手方向と、液晶層3の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度θが略90°となるように配置されている。また、図5(c)に示す各開口部15は、上記した実施例1、2における「斜めスリット」に相当するものであり、ここでは「斜め市松スリット」と称する。各開口部15は、各々の長手方向と、液晶層3の液晶分子の配向方向とのなす角度θが0°以上90°未満の所定角度(本実施例では略45°)をもって配置されている。
実施例3に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を図6に示す。駆動条件については、1/64デューティ、1/9バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。なお、液晶層3のプレティルト角は89.9°とした。図6(a)に示す「横市松スリット」の場合には、各開口部15の周辺に発生する暗領域の形状が不均一であり、外観上の表示均一性の実現が困難であった。一方、図6(b)に示す「縦市松スリット」の場合ならびに図6(c)に示す「斜め市松スリット」の場合には、上記した実施例1の場合と同様に、均一な配向組織が得られており、外観上の表示均一性が優れていることがわかった。
(実施例4)
次に、上記した実施例3に係る液晶表示装置と同様の構成を有し、さらに液晶層3にねじれ構造を導入した液晶表示装置について実施例4として説明する。実施例4では、d/pが略0.7となるようにカイラル材を添加した液晶材料を用いて液晶層3を形成した。なお、d/pの条件は上記の略0.7に限定されない。
実施例4に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を図7に示す。駆動条件については、1/128デューティ、1/10バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。なお、液晶層3のプレティルト角は89.8°とした。図7(a)に示す「横市松スリット」の場合には、各開口部15の周辺に発生する暗領域の形状が不均一であり、外観上の表示均一性の実現が困難であった。一方、図7(b)に示す「縦市松スリット」の場合ならびに図7(c)に示す「斜め市松スリット」の場合には、上記した実施例2の場合と同様に、均一な配向組織が得られており、外観上の表示均一性が優れていることがわかった。
(実施例5)
各開口部15の配置ピッチPとフレーム周波数には相関関係が存在する。図8に、液晶層3がねじれ構造を有しない液晶表示装置(実施例1、3参照)において、各開口部15の配置ピッチPを変化させた場合における外観上の表示均一性が得られるフレーム周波数を示す。なお、駆動条件については、駆動条件については、1/64デューティ、1/9バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。
各開口部15が「縦スリット」、「縦市松スリット」、「斜め市松スリット」のいずれの場合においても、配置ピッチPが大きくなるに従って表示均一性が得られるフレーム周波数が上昇する傾向が見られることがわかる。その中でも、「縦スリット」および「縦市松スリット」が配置ピッチPに対するフレーム周波数の変化が等しく、より低い周波数で表示均一性が得られることがわかった。なお、比較例として開口部15を設けない液晶表示装置についても検証したところ、フレーム周波数を300Hz以上に設定しないと表示均一性が得られなかった。
(実施例6)
液晶層3にねじれ構造を有する液晶表示装置(実施例2、4参照)についても、上記実施例5と同様に、各開口部15の配置ピッチPとフレーム周波数には相関関係について検討した。図9に、液晶層3がねじれ構造を有する液晶表示装置において、各開口部15の配置ピッチPに対する外観上の表示均一性の依存性を示す。液晶層3のd/pは略0.7に設定した。実施例2で示したようにこのd/pの設定においては表示均一性のフレーム周波数依存性はほぼ観察されない。なお、駆動条件については、駆動条件については、1/128デューティ、1/10バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。
各開口部15が「縦スリット」および「縦市松スリット」の場合においては、配置ピッチPが0.082mmまでは外観上均一な表示状態が得られることがわかった。一方、各開口部15が「横スリット」、「横市松スリット」の場合については、配置ピッチPによらず表示均一性は得られなかった。また、「斜め市松スリット」については、配置ピッチPが0.057mmの場合において表示均一性が得られた。
(実施例7)
上記した実施例5において示したように、矩形状の開口部15を設けた場合でも、液晶層3がねじれ構造を有していない場合には、各開口部15の配置ピッチPが増加するに従ってフレーム周波数が増加する傾向がみられる。フレーム周波数を上昇させずにできるだけ配置ピッチPを大きくすれば、表示部の実質開口率は上昇し、表示部の明るさ不均一も解消できる。そこで、実施例7として、各開口部15を十字状に形成し、周期的に並べた構造を有する液晶表示装置を説明する。なお、液晶表示装置の全体構成は上記した通りであり(図1参照)、ここでは詳細な説明を省略する。
図10は、実施例7に係る液晶表示装置の各開口部の構造を示す模式平面図である。図10に示すように、本実施形態における各開口部15は、2つの矩形状の部位(第1部位および第2部位)を交差させてなる十字状の形状を有している。図10においては、配置ピッチPは、十字状の開口部15における中心点の相互間距離を示している。そして、各開口部15は、一方の矩形の長手方向(第1方向)と他方の矩形の長手方向(第2方向)とのなす角度が略90°に設定されている。また、各開口部15は、第1方向と第2方向のいずれもが液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向に対してある角度(本例ではそれぞれ略45°)をもって交差するように配置されている。このように配置された各開口部15を以後「クロススリット」と称する場合もある。上述した各パラメータについては、例えば、S=0.007mm、L=P−0.025mmとすることができる。
実施例7に係る液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を図11(a)に示す。駆動条件については、1/64デューティ、1/9バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。なお、液晶層3のプレティルト角は89.9°とした。また、P=0.15mmとした。図11(a)に示すように、各開口部15の周辺に発生する暗領域の形状が比較的に均一であり、外観上も表示均一性が良好であることが確認できる。なお、P=0.1mmとP=0.15mmのそれぞれにおいて外観上で表示均一性が得られるフレーム周波数はそれぞれ190Hz、180Hzであり、ほぼ等しい値であった。このことから、上記各実施形態で示した矩形状の開口部15を設けた液晶表示装置とは異なるフレーム周波数依存性を有することものと考えられる。
(実施例8)
上記した実施例7と同構造の液晶表示装置において、さらに、液晶層3にカイラル材を混入することによってねじれ構造を導入した場合についても検討した。d/p=0.7に設定し、P=0.15mmとした液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときの配向組織観察像を図11(b)に示す。駆動条件については、1/128デューティ、1/10バイアス、フレーム周波数250Hzのマルチプレックス駆動とし、マルチプレックス波形はフレーム反転波形とし、ほぼ最大コントラストが得られる駆動電圧とした。なお、液晶層3のプレティルト角は89.8°とした。図11(b)に示すように、実施例7の液晶表示装置と比較しても、開口部15の周辺に発生する暗領域が大幅に減少しており、均一な配向組織が得られていることがわかった。外観上も良好な表示状態が得られていることを確認した。なお、P=0.1と設定した場合にも同様に良好な表示状態が確認された。
(開口部の形状の相違による効果について)
次に、開口部15の形状の相違による効果の違いについて理論的な観点から説明する。
上述した図15に示したように、電極中に、液晶層の中央における液晶分子の配向方向(ラビング方向に対応)と直交する方向の辺(エッジ)が長い場合に、その辺の近くで暗領域が現れ、表示均一性(表示品位)が低下している。このエッジ付近では、基板表面におけるラビング方向と、液晶層に電圧を印加したときに発生する斜め電界によって液晶分子が配向制御される方向とが180°異なっていることから、エッジ周辺で液晶分子のダイレクターが180°回転する。このときの回転の方向が規則的になっていない等の要因により液晶分子の配向が不均一となり、それにより暗領域が生じ、表示均一性を低下させるものと考えられる。また、電極の形状によってはより広い面積で暗領域が発生すると考えられる。
したがって、このようなエッジが出来るだけ短くなるように電極の構造を工夫することが有効であると考えられる。この考え方に従うと、上記した図2または図5に示した「縦スリット」または「斜めスリット」の開口部15を電極に設けることが有効と考えられる。すなわち、ラビング方向に対して直交よりも小さい角度で配置されたエッジが多く存在するように、各電極に対して複数の開口部15を規則的に設けることが有効である。
一方、上述した図10に示した「クロススリット」の開口部15を電極に設ける場合には、電界無印加領域で囲い込まれた局所的な領域が電極内に多く形成されるようになるので、例え液晶分子の配向乱れが生じたとしてもそれを隣接する領域の液晶分子から隔離する効果が得られると考えられる。これについて図12に基づいて詳しく説明する。
図12(a)は、開口部15を設けていない場合の電極と液晶層内の液晶分子とを模式的に示している。ここでは、上下の各電極111、112にそれぞれは垂直配向膜が形成され、これらをラビング処理することで、紙面左右方向においてアンチパラレルに配向処理がなされているとする。電極111、112の間に電圧を印加したときには、図示のように液晶層3の中央付近を中心に液晶分子が均一に水平に再配向すると考えられる。しかし、電極のエッジ付近などで基板面に対して面内方向に不均一な配向が生じたとすると、水平配向に再配向されている領域にはその不均一な配向が伝播し、広い範囲で表示不良が発生する。
図12(b)は、開口部を設けた場合の電極と液晶層内の液晶分子とを模式的に示している。ここでは、第1電極11、第2電極12にそれぞれは垂直配向膜が形成され、これらをラビング処理することで、紙面左右方向においてアンチパラレルに配向処理がなされているとする。また、第1電極11にのみ複数の開口部15が規則的に設けられているとする。図示の構成を用いた場合には、開口部15の配置に対応して液晶層3の液晶分子の配向が部分的に垂直配向状態を保持することが可能である。このような垂直配向状態を保持した領域によって液晶層3を局所的に囲むことで、例え不均一な配向が生じたとしても、その領域を周囲から遮断して外部には伝播させないようにすることができる。この様子を模式的に示したのが図13である。図13(a)の模式斜視図および図13(b)の模式平面図に示すように、各開口部15の部分では、液晶分子が垂直配向状態のままで保たれる。このような原理から、電極に開口部を設けることにより液晶層3の配向均一性を高め、表示均一性を確保することができると考えられる。なお、この場合の最適な視角方向はラビング方向に依存しており、複数の配向ドメインが生じることはない。
「クロススリット」の開口部15についても同様である。この様子を模式的に示したのが図14である。「クロススリット」の開口部15を設けた場合には、図示のように、垂直配向状態を保持した領域によって液晶層3を局所的に囲む作用がより強く得られる。それにより、例え不均一な配向が生じたとしてもその領域を周囲から遮断して外部には伝播させないようにすることができる。「クロススリット」の開口部15は、その長手方向がラビング方向に対して直交させないほうが配向均一性をより高められる。したがって、例えば図10に示したように、開口部15の長手方向がラビング方向に対して略45°の角度をもつように配置することが有効であると考えられる。なお、この場合においても最適な視角方向はラビング方向に依存しており、複数の配向ドメインが生じることはない。
(変形実施の態様等)
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上述した各数値例は一例でありそれらに限定されない。各開口部を「クロススリット」とした場合の一例として、第1部位および第2部位を略90°に交差させてなる十字状のものを示していたが、第1部位と第2部位とのなす角度は90°にのみ限定されない。また、各開口部を液晶表示装置の表示領域の全面において等しい条件(配置ピッチP等)で設ける場合について示したが、この限りではない。液晶表示装置の表示領域を複数に分割し、それぞれの領域で異なる配置ピッチP、長手方向の長さL、Lsは隣接する各開口部15の長手方向の相互間距離Ls、短手方向の長さ(幅)Sを設定してもよい。また、複数の表示領域のそれぞれについて、例えば、ある表示領域には実施例1の開口部を設け、他の表示領域には実施例3の開口部を設ける、というように異なる開口部を混在させてもよい。
1…第1基板、2…第2基板、3…液晶層、4…第1偏光板、5…第2偏光板、6…第1視角補償板、7…第2視角補償板、8…シール材、10…スペーサー、11…第1電極、12…第2電極、13、14…配向膜、15…開口部

Claims (5)

  1. マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、
    一面側に第1電極を有する第1基板と、
    一面側に第2電極を有し、前記第1基板と対向配置された第2基板と、
    前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極との間に配置された液晶層と、
    を含み、
    前記第1電極は、第1方向に延びた形状であって、市松状に配置された複数の開口部を有し、
    前記液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、
    前記複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、
    液晶表示装置。
  2. 前記液晶層は、当該液晶層へ電圧が印加されたときに液晶分子の配向にねじれ構造を誘起するカイラル材が添加されている、
    請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、
    一面側に第1電極を有する第1基板と、
    一面側に第2電極を有し、前記第1基板と対向配置された第2基板と、
    前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極との間に配置された液晶層と、
    を含み、
    前記第1電極は、第1方向に延びた形状であって、周期的に配置された複数の開口部を有し、
    前記液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、かつ当該液晶層へ電圧が印加されたときに液晶分子の配向にねじれ構造を誘起するカイラル材が添加されており、
    前記複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、
    液晶表示装置。
  4. 前記複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を略0°とした、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を略45°とした、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
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