JP2011190440A - 電子部品用液状樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

電子部品用液状樹脂組成物及び電子部品装置 Download PDF

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Satoru Tsuchida
悟 土田
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一良 天童
Shinya Nakamura
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Abstract

【課題】ゲルタイムを速くすることでボイド発生がなく、硬化温度を下げることが可能な電子部品用液状樹脂組成物、及びこれにより封止された信頼性(耐湿性、耐温度サイクル性)の高い電子部品装置を提供する。
【解決手段】(A)液状エポキシ樹脂、(B)液状芳香族アミン、(C)硬化促進剤として下記一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物を含有する電子部品用液状樹脂組成物。R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。

【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品用液状樹脂組成物及び電子部品装置に関する。より詳しくは、厳しい信頼性を要求される電子部品装置の封止用に特に好適な電子部品用液状樹脂組成物、及びこの組成物で封止された素子を備えた電子部品装置に関する。
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品装置の素子封止の分野では、生産性、コストなどの面から樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が作業性、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性にバランスがとれているためである。COB(Chip on Board)、COG(Chip on Glass)、TCP(Tape Carrier Package)等のベアチップ実装した半導体装置においては、電子部品用液状樹脂組成物が封止材として広く使用されている。また、半導体素子をセラミック、ガラス/エポキシ樹脂、ガラス/イミド樹脂又はポリイミドフィルムなどを基板とする配線基板上に直接バンプ接続してなる半導体装置(フリップチップ)では、バンプ接続した半導体素子と配線基板の間隙(ギャップ)を充填するアンダーフィル材として電子部品用液状樹脂組成物が使用されている。これらの電子部品用液状樹脂組成物は電子部品を温湿度や機械的な外力から保護するために重要な役割を果たしている。
フリップチップ実装を行なう場合、素子と基板はそれぞれ熱膨張係数が異なるため、接合部に熱応力が発生することから、接続信頼性の確保が重要な課題である。また、ベアチップは回路形成面が充分に保護されていないため、水分やイオン性不純物が浸入し易く耐湿信頼性の確保も重要な課題である。また、チップ保護のために、チップ側面にフィレットを形成するが、アンダーフィル材とチップとの熱膨張差に起因した熱応力によって、樹脂がクラックを生じ、その結果として最悪の場合、チップを破壊する恐れがある。アンダーフィル材の選定によっては温度サイクル試験などで繰り返し熱衝撃を受ける場合に接続部の保護が不充分なため、低サイクルで接合部が疲労破壊することがある。また、アンダーフィル材中にボイドが存在すると、バンプの保護が不充分なため、同様に低サイクルで接合部が疲労破壊することがある。
上記状況の下、耐湿接着力、低応力性に優れた封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれにより封止された素子を備えた信頼性(耐湿性、耐熱衝撃性)の高い電子部品装置を提供するため、(A)液状エポキシ樹脂、(B)液状芳香族アミンを含む硬化剤、(C)エラストマー、(D)界面活性剤を含有してなる封止用エポキシ樹脂組成物、及びこの封止用エポキシ樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3716237号明細書
最近の素子の高集積度化、多機能化に伴いチップサイズが大きくなってきている一方、多ピン化によってバンプの小径化、狭ピッチ化、狭ギャップ化が、また、搭載機器の小型化に伴いチップ厚の薄型化が行なわれており、エラストマーと界面活性剤を添加したのみでは、電子部品装置の高い信頼性を確保することがますます難しくなってきている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、狭ギャップでの流動性が良好であり、ゲルタイムを速くすることで硬化温度の低温化を可能にし、チップにかかる熱応力を低減させ、更に成形時にボイド発生がない電子部品用液状樹脂組成物、及びこれにより封止された信頼性(耐湿性、耐温度サイクル性)の高い電子部品装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の硬化剤と硬化促進剤を含有する電子部品用液状樹脂組成物を見出した。より詳しくは、本発明は、以下に関する。
(1)(A)液状エポキシ樹脂、(B)液状芳香族アミン、及び(C)硬化促進剤として下記一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物を含有する電子部品用液状樹脂組成物。

(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)
(2)前記一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物が下記一般式(II)で表される化合物である上記(1)に記載の電子部品用液状樹脂組成物。

(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜R及びR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。)
(3)一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物が、下記一般式(VII)で表される化合物である上記(1)又は(2)に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜R及びR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。)
(4)一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物が脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、及び芳香族カルボン酸からなるカルボン酸群より選択される1種又は2種以上と、ビニルエーテル基を有する化合物とを付加反応させて得られる反応物である上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
(5)(B)液状芳香族アミンが、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンの少なくともいずれか1つを含有する上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
(6)更に、(E)無機充填材を含有し、該(E)無機充填材の配合量が電子部品用液状樹脂組成物全体の50質量%以上80質量%以下の範囲にある上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
(7)半導体素子の回路形成面と無機又は有機基板の回路形成面とを対向させ、前記半導体素子の電極と前記基板の回路とがバンプを介して電気的に接続され、前記半導体素子と前記基板の隙間に上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物を封止してなる電子部品装置。
本発明の電子部品封止用液状樹脂組成物は、成形時のボイドの発生を抑制するとともに硬化温度の低温化を可能にする。また、硬化物は、吸湿による各種基材との接着力の低下が小さく、吸湿後においても各種基材との接着力が高い。よって、この電子部品封止用液状樹脂組成物を用いて電子部品を封止すれば、成形性、信頼性(耐湿性、耐温度サイクル性)の高い電子部品装置を得ることができるので、その工業的価値は大である。
本発明は、液状エポキシ樹脂、液状芳香族アミン、硬化促進剤を含有する電子部品の封止に用いられる液状樹脂組成物に関するものであり、特定の硬化促進剤を用いることにより、ゲルタイムの短縮などの効果が得られるものである。なお、本発明における液状とは、常温(25℃)において液状であるものであり、また、反応などにより硬化した場合は、常温においても固体となる場合もある。本発明の詳細について、以下に記載する。
(A)液状エポキシ樹脂
本発明で用いる(A)液状エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するもので、常温において液状であれば制限はなく、電子部品用液状樹脂組成物で一般に使用されている液状エポキシ樹脂を用いることができる。本発明で使用できるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、水添ビスフェノールA等のジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を代表とするフェノール類とアルデヒド類を縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、p―アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のアミン化合物とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸により酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、流動性の観点からは液状ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性、接着性及び流動性の観点から液状グリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。
上記した2種の液状エポキシ樹脂(液状ビスフェノール型エポキシ樹脂及び液状グリシジルアミン型エポキシ樹脂)はいずれか1種を単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するために液状エポキシ樹脂全量に対して合わせて20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上とすることが更に好ましい。
液状エポキシ樹脂のエポキシ当量は、50以上5000以下であることが好ましく、70以上1000以下であることがより好ましく、70以上500以下であることが更に好ましい。
また、本発明の電子部品用液状樹脂組成物には、本発明の効果が達成される範囲内であれば固形エポキシ樹脂を併用することもできるが、成形時の流動性の観点から併用する固形エポキシ樹脂はエポキシ樹脂全量に対して20質量%以下とすることが好ましい。
更に、これらのエポキシ樹脂の純度、特に加水分解性塩素量はIC等の素子上のアルミ配線腐食に係わるため少ない方が好ましく、耐湿性の優れた電子部品用液状樹脂組成物を得るためには500ppm以下であることが好ましい。ここで、加水分解性塩素量とは試料のエポキシ樹脂1gをジオキサン30mlに溶解し、1mol/L−KOHメタノール溶液5mlを添加して30分間リフラックス後、電位差滴定により求めた値を尺度としたものである。
(B)液状芳香族アミン
本発明に用いられる(B)液状芳香族アミンは、常温で液状の芳香環を有するアミンを含むものであれば特に制限はなく、これらを例示すればジエチルトルエンジアミン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。これらの液状芳香族アミン化合物は、例えば、市販品として、jERキュアW(三菱化学株式会社(旧ジャパンエポキシレジン株式会社)製商品名)、カヤハードA−A、カヤハードA−B、カヤハードA−S(日本化薬株式会社製商品名)、トートアミンHM−205(東都化成株式会社製商品名)、アデカハードナーEH−101(旭電化工業株式会社製商品名)、エポミックQ−640、エポミックQ−643(三井化学株式会社製商品名)、DETDA80(Lonza社製商品名)などが入手可能で、これらは単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そのなかでも保存安定性の観点から、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン又はジエチルトルエンジアミンが好ましく、(B)液状芳香族アミンとしてこれらのいずれか又はこれらの混合物を主成分として含有することが好ましい。ジエチルトルエンジアミンとしては、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及び3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンが挙げられる。これらは単独で用いても混合物で用いてもよく、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンを全(B)液状芳香族アミン中60質量%以上含むことが好ましい。
(B)液状芳香族アミンの活性水素当量は、30以上1000以下であることが好ましく、30以上500以下であることがより好ましく、30以上200以下であることが更に好ましい。
また、本発明の電子部品用液状樹脂組成物には、本発明の効果が達成される範囲内であれば上記の液状芳香族アミンの他に、液状芳香族アミン以外のアミン系硬化剤、フェノール性硬化剤、酸無水物等の電子部品用液状樹脂組成物で一般に使用されている硬化剤を併用することができ、固形硬化剤も併用することもできる。他の硬化剤を併用する場合、(B)成分の配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して60質量%以上とすることが好ましい。
(A)成分を含むエポキシ樹脂と(B)成分を含む硬化剤との当量比は特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために、エポキシ樹脂1.0当量に対して硬化剤を0.7当量以上1.8当量以下の範囲に設定することが好ましく、0.8当量以上1.6当量以下がより好ましく、1.0以上1.5当量以下が更に好ましい。
(C)硬化促進剤
本発明に用いる(C)硬化促進剤は、下記一般式(I)で表される構造を分子内に有する硬化促進剤を含有する。

(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)
一般式(I)で表される基としては下記一般式(III)表される構造が挙げられる。

(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基である。)
一般式(I)で表される構造を分子内に有する硬化促進剤としては、具体的には、下記一般式(II)や下記一般式(IV)で表される化合物などがあり、なかでも、一般式(II)で表される化合物が硬化促進作用、保存安定性及び各種信頼性の観点からより好ましい。

(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜R及びR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。)

(Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜R及びR11〜R13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)
一般式(II)で表される化合物としては下記一般式(V)で表される化合物が挙げられ、一般式(V)で表される化合物としては、下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。

(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。)

(Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)
一般式(I)〜(VI)におけるR及びRの具体例として、炭素数1〜18のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記Rとしては、炭素数1〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数3〜5のアルキレン基が更に好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
前記Rとしては、炭素数1〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数3〜5のアルキレン基が更に好ましく、プロピレン基又はブチレン基が特に好ましい。
前記R〜R、R〜R、及びR11〜R13はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
前記R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基又はアルケニル基がより好ましい。前記R及びR10がエチレン性二重結合を有する場合、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルケニルオキシアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜18のビニルオキシアルキル基であることがより好ましい。
前記nは1以上の整数であり、1〜30の整数であることが好ましく、1〜20の整数であることがより好ましく、1〜10の整数であることが更に好ましい。
前記一般式(II)で表される構造を分子内に有する化合物のなかでも、下記一般式(VII)で表される化合物が好適である。下記一般式(VII)で表される化合物では、両末端がビニル基でカルボン酸基をブロックしているため、保存安定性及び各種信頼性の観点で優れる。
(R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜R及びR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。)
前記一般式(VII)におけるR〜Rは、上記で説明したR〜Rと同様であり、好適な範囲についても同様である。一般式(VII)におけるnは上記で説明したnと同様であり、好適な範囲についても同様である。
一般式(VII)で表される化合物としては下記一般式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
一般式(VIII)におけるR及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、上記で説明したR及びRと同様であり、好適な範囲についても同様である。一般式(VIII)におけるnは1以上の整数であり、上記で説明したnと同様であり、好適な範囲についても同様である。
前記一般式(I)で表される構造を有する化合物の重量平均分子量は、取り扱い性に優れた粘度とする観点から、300〜20000であることが好ましく、500〜10000であることがより好ましく、500〜5000であることが更に好ましい。
前記一般式(I)で表される構造を有する化合物における残存カルボン酸率が5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。残存カルボン酸率の測定は、13C NMRを用いて行うことができる。測定方法は、例えば、試料約100mgを0.5mlの重アセトンに溶解し、試料管に入れ、定量性の高いインバースゲートデカップリング法を用いて、繰り返し時間を30秒以上の条件で測定し、未反応のカルボン酸のカルボニル炭素と反応により生成したカルボニル炭素の積分比を比較することにより算出することができる。
本発明で使用される前記一般式(I)で表される構造を有する化合物は、これに限定されるわけではないが、カルボン酸類とビニルエーテル化合物とを付加反応させて得られる反応物であることが好ましく、例えば、50℃〜150℃の温度範囲で3〜6時間程度反応させることによって得ることができる。窒素雰囲気下で行うことができ、またキシレン等の溶媒を用いてもよい。反応は酸性リン酸エステル等の酸触媒により促進することができる。反応終点は、残存するカルボン酸を水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定することにより決定できる。
また、前記一般式(VII)で表される化合物は、ジカルボン酸類とジビニルエーテル化合物を付加反応させることで得られる。ジビニルエーテル化合物の仕込みモル量を、ジカルボン酸類の仕込みモル量よりも多くすることで、両末端がビニル基でカルボン酸基がブロックされた上記一般式(VII)で表される化合物が得られ、残存カルボン酸率を下げることができる。残存カルボン酸率を下げるためには、ジカルボン酸類の仕込みモル量に対してジビニルエーテル化合物の仕込みモル量が1倍を超えていればよく、ジカルボン酸類:ジビニルエーテル化合物の仕込みモル比は、1:1.1〜1:4であることが好ましく、1:1.2〜1:3であることがより好ましく、1:1.2〜1:2であることが更に好ましい。
またビニルエーテル化合物を過剰に含むことによって、ビニルエーテル化合物が脱離しても平衡反応によりカルボン酸基がブロックされ、保存安定性に優れる。また、過剰なビニルエーテル化合物により適切な分子量で重合反応が停止するため、粘度を所望の範囲内とすることも可能である。また、残存カルボン酸率を下げるために、カルボン酸類とビニルエーテル化合物が充分に反応できるように、充分な反応時間で反応させることが好ましい。反応が進行すればこの限りではないが、例えば、反応温度が100℃で、カルボン酸類:ビニルエーテル化合物の仕込みモル比が1:1.1〜1:1.4の場合には、4時間以上で反応させることが好ましく、1:1.5〜1:4の場合には、2時間以上で反応させることが好ましい。
上記のカルボン酸類は、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物であればよく、脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、及び芳香族カルボン酸からなるカルボン酸群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。カルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、アセチレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2−ビフェニルジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサフタル酸、1,3−シクロヘキサンカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ポリカルボン酸;及び1分子中にカルボキシル基を2個以上有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。
そのなかでも硬化促進性及び保存安定性の観点から、前記カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、アセチレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2−ビフェニルジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸が好ましく、合成後のハンドリングの観点からマロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、アセチレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸がより好ましく、合成のしやすさからアジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸が更に好ましく、グルタル酸が特に好ましい。
また、上記ビニルエーテル化合物としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、1−プロペニルビニルエーテル、1,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、1,3−ジメチルブチルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、5−メチルヘキシルビニルエーテル、1−ペンチルヘキシルビニルエーテル、n−ヘプチルビニルエーテル、1−メチルヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−エチル−1−メチルオクチルビニルエーテル、2−メチルオクチルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、ウンデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、ビニルヘキサデシルエーテル、ヘプタデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、ヘニコシルビニルエーテル、n−ドコシルビニルエーテル、トリコシルビニルエーテル、テトラコシルビニルエーテル、ビニルテトラデシルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ビニル(6−メチルヘプチル)エーテル、ビニルsec−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、(1,5−ジメチル−1−ビニル−4−ヘキセニル)ビニルエーテル、ビニル(1−メチルエテニル)エーテル、1−メチルアリルビニルエーテル、2−メチルアリルビニルエーテル、ビニル2−ブテニルエーテル、2−ペンテニルビニルエーテル、cis−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、trans−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−エチルアリルビニルエーテル、1,3−ジメチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−メチル−2−ヘキセニルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、(6−フェニル−2−ヘキセニル)ビニルエーテル、(2,2−ジメチルプロピル)ビニルエーテル、(1−エチルプロピル)ビニルエーテル、(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)ビニルエーテル、p−フェニルベンジルビニルエーテル、ビニル(α−メチルベンジル)エーテル、フェネチルビニルエーテル、2−フェニルプロピルビニルエーテル、3−フェニルプロピルビニルエーテル、α,α−ジメチルベンジルビニルエーテル、ビニルベンズヒドリルエーテル、2−フェニルアリルビニルエーテル、1−メチル−2−フェニルアリルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、3−ヘキセニルビニルエーテル、4−ヘキセニルビニルエーテル、5−ヘキセニルビニルエーテル、1−ヘプテニルビニルエーテル、2−ヘプテニルビニルエーテル、3−ヘプテニルビニルエーテル、4−ヘプテニルビニルエーテル、5−ヘプテニルビニルエーテル、6−ヘプテニルビニルエーテル、1−オクテニルビニルエーテル、2−オクテニルビニルエーテル、3−オクテニルビニルエーテル、4−オクテニルビニルエーテル、5−オクテニルビニルエーテル、6−オクテニルビニルエーテル、7−オクテニルビニルエーテル、1−ノネニルビニルエーテル、2−ノネニルビニルエーテル、3−ノネニルビニルエーテル、4−ノネニルビニルエーテル、5−ノネニルビニルエーテル、6−ノネニルビニルエーテル、7−ノネニルビニルエーテル、8−ノネニルビニルエーテル、1−デセニルビニルエーテル、2−デセニルビニルエーテル、3−デセニルビニルエーテル、4−デセニルビニルエーテル、5−デセニルビニルエーテル、6−デセニルビニルエーテル、7−デセニルビニルエーテル、8−デセニルビニルエーテル、9−デセニルビニルエーテル、1−ウンデセニルビニルエーテル、2−ウンデセニルビニルエーテル、3−ウンデセニルビニルエーテル、4−ウンデセニルビニルエーテル、5−ウンデセニルビニルエーテル、6−ウンデセニルビニルエーテル、7−ウンデセニルビニルエーテル、8−ウンデセニルビニルエーテル、9−ウンデセニルビニルエーテル、10−ウンデセニルビニルエーテル、3,6−ジオキサ−1−デセン、1−ナフチルビニルエーテル、2−ナフチルビニルエーテル、o−トリルビニルエーテル、m−トリルビニルエーテル、p−トリルビニルエーテル、2,3−キシリルビニルエーテル、2,4−キシリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ブチルシクロヘキシルビニルエーテル、ビニル(2−シクロヘキシリデンエチル)エーテル、4−[3−(2,2,4−トリメチル)ペンチル]−シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ドデシルシクロヘキシルビニルエーテル、4−シクロヘキシルシクロヘキシルビニルエーテル、ビニル(シクロヘキシルメチル)エーテル、1−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−デカヒドロナフチルビニルエーテル、2−シクロペンテン−1−イルビニルエーテル、2−シクロヘキセ−1−ニルビニルエーテル、1−(シクロペンテン−1−イル)メチルビニルエーテル、1−(シクロペンテン−1−イル)エチルビニルエーテル、(1−シクロヘキセニルメチル)ビニルエーテル、[1−(1−シクロヘキセニル)エチル]ビニルエーテル、(3−メチル−1−シクロヘキセニル)メチルビニルエーテル、[(3,4−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)メチル]ビニルエーテル、[(3−メチル−4−エトキシ−1−シクロヘキセン−1−イル)メチル]ビニルエーテル、シクロヘプテ−1−ニルメチルビニルエーテル、シクロオクテ−1−ニルメチルビニルエーテル、2−シクロブチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロペンチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシリデン−1−メチルエチルビニルエーテル、2−シクロヘプチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロオクチリデンエチルビニルエーテル、テルピネイルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、ノルボニルビニルエーテル、2−フリルビニルエーテル、3−フリルビニルエーテル、フルフリルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−チエニルビニルエーテル、3−チエニルビニルエーテル、2−テニルビニルエーテル、2−ピリジルビニルエーテル、3−ピリジルビニルエーテル、4−ピリジルビニルエーテル、2,6,8−トリメチルノニルビニルエーテル、酢酸2−(ビニルオキシ)エチル、3−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、ビニル(3,3−ジフェニル−2−プロペニル)エーテル、N,N−ジメチル−2−(ビニルオキシ)エタンアミン、[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ビニルエーテル、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、3−ビニロキシプロピルビニルエーテル、3,9−ジオキサ−1,10−ウンデカジエン、10−ビニロキシデシルビニルエーテル、12−ビニロキシオクタデシルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、レゾルシノールジビニルエーテル、m−フェニレンビス(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物、脂環式ビニルエーテル化合物及び芳香族ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
そのなかでも保存安定性の観点からジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテルといったビニルエーテル基が2つのビニルエーテル化合物が好ましく、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルがより好ましい。
また、合成後のハンドリングの観点からメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、1−プロペニルビニルエーテル、1,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、1,3−ジメチルブチルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、5−メチルヘキシルビニルエーテル、1−ペンチルヘキシルビニルエーテル、n−ヘプチルビニルエーテル、1−メチルヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−エチル−1−メチルオクチルビニルエーテル、2−メチルオクチルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、ウンデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、ビニルヘキサデシルエーテル、ヘプタデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、ヘニコシルビニルエーテル、n−ドコシルビニルエーテル、トリコシルビニルエーテル、テトラコシルビニルエーテル、ビニルテトラデシルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ビニル(6−メチルヘプチル)エーテル、ビニルsec−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、(1,5−ジメチル−1−ビニル−4−ヘキセニル)ビニルエーテル、ビニル(1−メチルエテニル)エーテル、1−メチルアリルビニルエーテル、2−メチルアリルビニルエーテル、ビニル2−ブテニルエーテル、2−ペンテニルビニルエーテル、cis−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、trans−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−エチルアリルビニルエーテル、1,3−ジメチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−メチル−2−ヘキセニルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、(6−フェニル−2−ヘキセニル)ビニルエーテル、(2,2−ジメチルプロピル)ビニルエーテル、(1−エチルプロピル)ビニルエーテル、(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)ビニルエーテル、p−フェニルベンジルビニルエーテル、ビニル(α−メチルベンジル)エーテル、フェネチルビニルエーテル、2−フェニルプロピルビニルエーテル、3−フェニルプロピルビニルエーテル、α,α−ジメチルベンジルビニルエーテル、ビニルベンズヒドリルエーテル、2−フェニルアリルビニルエーテル、1−メチル−2−フェニルアリルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、3−ヘキセニルビニルエーテル、4−ヘキセニルビニルエーテル、5−ヘキセニルビニルエーテル、1−ヘプテニルビニルエーテル、2−ヘプテニルビニルエーテル、3−ヘプテニルビニルエーテル、4−ヘプテニルビニルエーテル、5−ヘプテニルビニルエーテル、6−ヘプテニルビニルエーテル、1−オクテニルビニルエーテル、2−オクテニルビニルエーテル、3−オクテニルビニルエーテル、4−オクテニルビニルエーテル、5−オクテニルビニルエーテル、6−オクテニルビニルエーテル、7−オクテニルビニルエーテル、1−ノネニルビニルエーテル、2−ノネニルビニルエーテル、3−ノネニルビニルエーテル、4−ノネニルビニルエーテル、5−ノネニルビニルエーテル、6−ノネニルビニルエーテル、7−ノネニルビニルエーテル、8−ノネニルビニルエーテル、1−デセニルビニルエーテル、2−デセニルビニルエーテル、3−デセニルビニルエーテル、4−デセニルビニルエーテル、5−デセニルビニルエーテル、6−デセニルビニルエーテル、7−デセニルビニルエーテル、8−デセニルビニルエーテル、9−デセニルビニルエーテル、1−ウンデセニルビニルエーテル、2−ウンデセニルビニルエーテル、3−ウンデセニルビニルエーテル、4−ウンデセニルビニルエーテル、5−ウンデセニルビニルエーテル、6−ウンデセニルビニルエーテル、7−ウンデセニルビニルエーテル、8−ウンデセニルビニルエーテル、9−ウンデセニルビニルエーテル、10−ウンデセニルビニルエーテル、3,6−ジオキサ−1−デセン、1−ナフチルビニルエーテル、2−ナフチルビニルエーテル、o−トリルビニルエーテル、m−トリルビニルエーテル、p−トリルビニルエーテル、2,3−キシリルビニルエーテル、2,4−キシリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ブチルシクロヘキシルビニルエーテル、ビニル(2−シクロヘキシリデンエチル)エーテル、4−[3−(2,2,4−トリメチル)ペンチル]−シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ドデシルシクロヘキシルビニルエーテル、4−シクロヘキシルシクロヘキシルビニルエーテル、ビニル(シクロヘキシルメチル)エーテル、1−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−デカヒドロナフチルビニルエーテル、2−シクロペンテン−1−イルビニルエーテル、2−シクロヘキセ−1−ニルビニルエーテル、1−(シクロペンテン−1−イル)メチルビニルエーテル、1−(シクロペンテン−1−イル)エチルビニルエーテル、(1−シクロヘキセニルメチル)ビニルエーテル、[1−(1−シクロヘキセニル)エチル]ビニルエーテル、(3−メチル−1−シクロヘキセニル)メチルビニルエーテル、[(3,4−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)メチル]ビニルエーテル、[(3−メチル−4−エトキシ−1−シクロヘキセン−1−イル)メチル]ビニルエーテル、シクロヘプテ−1−ニルメチルビニルエーテル、シクロオクテ−1−ニルメチルビニルエーテル、2−シクロブチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロペンチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシリデン−1−メチルエチルビニルエーテル、2−シクロヘプチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロオクチリデンエチルビニルエーテル、テルピネイルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、ノルボニルビニルエーテル、2−フリルビニルエーテル、3−フリルビニルエーテル、フルフリルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−チエニルビニルエーテル、3−チエニルビニルエーテル、2−テニルビニルエーテル、2−ピリジルビニルエーテル、3−ピリジルビニルエーテル、4−ピリジルビニルエーテル、2,6,8−トリメチルノニルビニルエーテル、酢酸2−(ビニルオキシ)エチル、3−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、ビニル(3,3−ジフェニル−2−プロペニル)エーテル、N,N−ジメチル−2−(ビニルオキシ)エタンアミン、[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ビニルエーテルといったビニルエーテル基が1つのビニルエーテル化合物が好ましく、プロピルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルがより好ましい。
一般式(I)で表される構造を有する化合物は、カルボン酸由来の部位が硬化促進剤としての役割を有し、ビニルエーテル由来の部位がカルボン酸をブロックし、保存安定性を向上する役割を果たしていると予測される。電子部品用液状樹脂組成物の保存時には、カルボキシル基がビニルエーテル基によりブロックされることにより、硬化促進剤としての効果が発揮されず、一方で電子部品用液状樹脂組成物を硬化させる際には、加熱することにより該ブロックが外れ、硬化促進剤としての効果が得られると考えられる。
また、本発明の電子部品用液状樹脂組成物には、本発明の効果が達成される範囲内であれば(C)成分は、更に従来公知の硬化促進剤も併用することができる。これらを例示すれば1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−ヒドロキシイミダゾール、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾール、1−ベンジルー2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等のジアルキルアリールホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィン、トリフェニルホスフィン、アルキル基置換トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、及びこれらの誘導体などが挙げられ、更には2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のフェニルボロン塩などが挙げられる。また、潜在性を有する硬化促進剤として、常温固体のアミノ基を有する化合物をコアとして、常温固体のエポキシ化合物のシェルを被覆してなるコア−シェル粒子が挙げられ、市販品としてアミキュア(味の素株式会社製、商品名)、マイクロカプセル化されたアミンをビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に分散させたノバキュア(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)などが使用できる。
(C)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、全エポキシ樹脂の質量に対して0.2質量%〜20質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜17質量%の範囲がより好ましく、6質量%〜16質量%の範囲が更に好ましい。0.2質量%以上含有することで硬化促進剤の添加効果が充分に発揮することができ、結果として成形時のボイド発生の抑制や、反り低減効果を充分に得られやすくなる。20質量%以下であることで保存安定性に優れる。
(E)無機充填剤
更に、熱膨張係数の低減などの観点から(E)無機充填剤を含むことが好ましい。無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミ、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニアなどがあり、これらの粉体、又はこれらを球形化したビーズの他、ガラス繊維などが挙げられる。更に、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などが挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも溶融シリカが好ましく、電子部品用液状樹脂組成物の微細間隙への流動性・浸透性の観点からは球形シリカがより好ましい。
無機充填剤の体積平均粒径は、特に球形シリカの場合、0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましく、体積平均粒径0.3μm以上5μm以下の範囲がより好ましく、0.5μm以上3μm以下の範囲が更に好ましい。体積平均粒径が0.1μm以上とすることで液状樹脂への分散性に優れ、電子部品用液状樹脂組成物にチキソトロピック性が付与されにくく、流動特性に優れる効果が得られる。10μm以下とすることで、電子部品用液状樹脂組成物中での無機充填剤の沈降を低減でき、電子部品用液状樹脂組成物としての微細間隙への浸透性・流動性が向上してボイド・未充填を防止できる傾向がある。
無機充填剤の配合量は、電子部品用液状樹脂組成物全体の50質量%以上80質量%以下の範囲に設定することが好ましい。無機充填剤の配合量を55質量%以上75質量%以下に限定することが好ましく、更に好ましくは60質量%以上70質量%以下である。配合量が50質量%以上とすることで熱膨張係数の低減効果が得られやすく、80質量%を以下とすることで電子部品用液状樹脂組成物の粘度が上昇を防ぎ、流動性・浸透性及びディスペンス性の良好となる。
(F)その他添加剤
本発明の電子部品用液状樹脂組成物には耐熱衝撃性向上、半導体素子への応力低減などの観点から各種可撓剤を配合することができる。可撓剤としては、特に制限は無いがゴム粒子が好ましく、それらを例示すればスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム(UR)、アクリルゴム(AR)等のゴム粒子が挙げられる。なかでも耐熱性、耐湿性の観点からアクリルゴムからなるゴム粒子が好ましく、コアシェル型アクリル系重合体、すなわちコアシェル型アクリルゴム粒子がより好ましい。
また、上記以外のゴム粒子としてシリコーンゴム粒子も好適に用いることができ、それらを例示すれば、直鎖状のポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のポリオルガノシロキサンを架橋したシリコーンゴム粒子、シリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆したもの、シリコーンゴム粒子の表面をエポキシ基で修飾したもの、乳化重合などで得られる固形シリコーン粒子のコアとアクリル樹脂等の有機重合体のシェルからなるコア−シェル重合体粒子などが挙げられる。
これらのシリコーンゴム粒子の形状は無定形であっても球形であっても使用することができるが、電子部品用液状樹脂組成物の成形性に関わる粘度を低く抑えるためには球形のものを用いることが好ましい。これらのシリコーン重合体粒子は東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、信越化学工業株式会社などから市販品が入手可能である。
シリコーンゴム粒子の体積平均粒径は、耐熱衝撃性向上、半導体素子への応力低減などの観点から、0.001μm以上100μm以下であることが好ましく、0.01μm以上50μm以下であることがより好ましく、0.05μm以上10μm以下であることが更に好ましい。
また、必要に応じ、界面活性剤としての効果を持つシリコーン変性エポキシ樹脂を添加することが好ましい。シリコーン変性エポキシ樹脂は、エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとエポキシ樹脂との反応物として得ることができる。このシリコーン変性エポキシ樹脂は、常温で液状であることが好ましい。エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンを例示すれば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、フェノール性水酸基、メルカプト基等の官能基を1分子中に1個以上有するジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。該オルガノシロキサンの重量平均分子量としては500以上5000以下の範囲が好ましい。この理由としては、500以上5000以下とすることで樹脂系との相溶性が適度であるためである。重量平均分子量が500以上では、樹脂系と適度に相溶し、添加剤としての効果が適切に発揮される。重量平均分子量が5000以下では、樹脂系に非相溶となるのが抑えられシリコーン変性エポキシ樹脂が成形時に分離したり染み出したりするのを抑制し、接着性や外観に優れるためである。
前記シリコーン変性エポキシ樹脂を得るためのエポキシ樹脂としては、電子部品用液状樹脂組成物の樹脂系に相溶するものであれば特に制限は無く、電子部品用液状樹脂組成物に一般に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等のフェノール類とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール類とアルデヒド類とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、常温液状のものが好ましい。
シリコーン変性エポキシ樹脂の添加量は電子部品用液状樹脂組成物全体に対して、0.01質量%以上1.5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましい。0.01質量%以上とすることで充分な添加効果が得られ、1.5質量%以下とすることで硬化時に硬化物表面からの染み出しの発生を防止し、接着力の低下を防止できる。本発明の効果が得られる範囲であれば、シリコーン変性エポキシ樹脂以外にも、界面活性剤としての効果を持つ添加剤を添加することができる。
本発明の電子部品用液状樹脂組成物には必要に応じて、樹脂と無機充填剤或いは樹脂と電子部品の構成部材との界面接着を強固にする目的でカップリング剤を使用することが好ましい。これらのカップリング剤には特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、1級及び/又は2級及び/又は3級アミノ基を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の電子部品用液状樹脂組成物には、必要に応じて下記一般式(1)又は(2)で表されるイオントラップ剤をIC等の半導体素子の耐マイグレーション性、耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から含有することが好ましい。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO ・・・(1)
(0<x≦0.5、mは正の数)
BiO(OH)(NO ・・・(2)
(0.9≦x≦1.1、 0.6≦y≦0.8、 0.2≦z≦0.4)
これらイオントラップ剤の添加量としては0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.3質量%以上1.5質量%以下である。イオントラップ剤の平均粒径は0.1μm以上3.0μm以下が好ましく、最大粒径は10μm以下が好ましい。なお、一般式(1)の化合物は市販品として協和化学工業株式会社製商品名DHT−4Aとして入手可能である。また、一般式(2)の化合物は市販品としてIXE500(東亞合成製商品名)として入手可能である。また必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。たとえば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等の元素の含水酸化物などが挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の電子部品用液状樹脂組成物には、その他の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤、レベリング剤、消泡剤などを必要に応じて配合することができる。
本発明の電子部品用液状樹脂組成物は、上記各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサなどを用いて混合、混練し、必要に応じて脱泡することによって得ることができる。
本発明の電子部品用液状樹脂組成物の25℃における粘度は、0.01Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましく、0.1Pa・s〜200Pa・sであることがより好ましく、1Pa・s〜50Pa・sであることが更に好ましい。
電子部品用液状樹脂組成物の25℃における粘度は、E型粘度計(コーン角度3°、回転数5rpm)を用いて測定する。
本発明の電子部品用液状樹脂組成物は、半導体素子と基板の隙間を封止するのに用いることができる。具体的には、本発明の電子部品用液状樹脂組成物を用いた電子部品装置は、半導体素子の回路形成面と無機又は有機基板の回路形成面とを対向させ、前記半導体素子の電極と前記基板の回路とがバンプを介して電気的に接続され、前記半導体素子と前記基板の隙間に本発明の電子部品用液状樹脂組成物を封止してなる。
本発明の電子部品用液状樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式などが挙げられる。
次に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜30、比較例1〜7)
液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールFをエポキシ化して得られるエポキシ当量160の液状ジエポキシ樹脂(液状エポキシ1;三菱化学株式会社(旧ジャパンエポキシレジン株式会社)製、商品名jER806)、アミノフェノールをエポキシ化して得られるエポキシ当量95の3官能液状エポキシ樹脂(液状エポキシ2;三菱化学株式会社(旧ジャパンエポキシレジン株式会社)製、商品名jER630)、硬化剤として、活性水素当量45のジエチルトルエンジアミン(液状アミン1;三菱化学株式会社(旧ジャパンエポキシレジン株式会社)製、商品名jERキュアW)、活性水素当量63の3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(液状アミン2;日本化薬株式会社製商品名カヤハードA−A)、活性水素当量63のテトラメチル−ジアミノ−ジフェニルメタン(固形アミン;日本化薬株式会社製商品名カヤボンドC−200S)、酸無水物当量168の液状酸無水物(酸無水物;日立化成工業株式会社製商品名HN5500)、水酸基当量141のアリル化フェノールノボラック樹脂(フェノール樹脂;明和化成株式会社製商品名MEH−8000H)、硬化促進剤として、2−フェニル−4−メチル−ヒドロキシイミダゾール(硬化促進剤3)、無機充填剤として、体積平均粒径1μmの球状溶融シリカ(シリカ)、その他に、ジメチル型固形シリコーンゴム粒子の表面がエポキシ基で修飾された体積平均粒径2μmの球状のシリコーン粒子、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、カーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)、ビスマス系イオントラップ剤(東亞合成株式会社製商品名IXE−500)を用意した。
硬化促進剤1は、フラスコに48.2gのグルタル酸と51.8gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(グルタル酸と4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は、1:0.6となる。)、100℃で2時間反応させることにより、Rがプロピレン基、Rがブチレン基である一般式(V)で表される化合物を得た。13C NMRから、ビニルエーテルと反応したカルボン酸と未反応のカルボン酸の比は96:4、すなわち、残存カルボン酸は4%であった。
硬化促進剤2は、フラスコに60.5gのグルタル酸と47.3gのn−プロピルビニルエーテルを仕込み、30分かけて常温から70℃まで上昇させた後、70℃で4時間反応させた。その後、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から未反応のビニルエーテルを留去し、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより、Rがプロピレン基、Rがプロピレン基である一般式(III)に該当する化合物を得た。
硬化促進剤4は、フラスコに48.2gのグルタル酸と77.8gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(グルタル酸と4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は、1:1.5となる。)、100℃で2時間反応させることにより、Rがプロピレン基、Rがブチレン基である一般式(V)及び(VIII)に該当する化合物を得た。13C NMRから、残存カルボン酸は検出されなかった。
硬化促進剤5は、フラスコに60.5gのグルタル酸と94.7gのn−プロピルビニルエーテルを仕込み(グルタル酸とn−プロピルビニルエーテルのモル比は、1:2.4となる。)、30分かけて常温から70℃まで上昇させた後、70℃で4時間反応させた。その後、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から未反応のビニルエーテルを留去し、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより、Rがプロピレン基、R及びR10がプロピル基である一般式(VI)で表される化合物を得た。
硬化促進剤6は、フラスコに48.2gのグルタル酸と103.8gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(グルタル酸と4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は、1:2となる。)、100℃で2時間反応させることにより、Rがプロピレン基、Rがブチレン基である一般式(V)及び(VIII)に該当する化合物を得た。13C NMRから、残存カルボン酸は検出されなかった。
硬化促進剤7は、フラスコに48.2gのグルタル酸と62.8gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(グルタル酸と4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は、1:1.2となる。)、100℃で4時間反応させることにより、Rがプロピレン基、Rがブチレン基である一般式(V)及び(VIII)に該当する化合物を得た。13C NMRから、残存カルボン酸は検出されなかった。
硬化促進剤8は、フラスコに48.2gのグルタル酸と62.8gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(グルタル酸と4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は、1:1.2となる。)、100℃で1時間反応させることにより、Rがプロピレン基、Rがブチレン基である一般式(V)及び(VIII)に該当する化合物を得た。13C NMRから、ビニルエーテルと反応したカルボン酸と未反応のカルボン酸の比は98:2、すなわち、残存カルボン酸は2%であった。
硬化促進剤9は、フラスコに48.2gのグルタル酸と51.9gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(グルタル酸と4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は、1:1となる。)、100℃で1時間反応させることにより、Rがプロピレン基、Rがブチレン基である一般式(V)及び(VIII)に該当する化合物を得た。13C NMRから、ビニルエーテルと反応したカルボン酸と未反応のカルボン酸の比は95:5、すなわち、残存カルボン酸は5%であった。
下記表1、2に示す組成で配合し、三本ロール及び真空擂潰機にて混練分散した後、実施例1〜30及び比較例1〜7の電子部品用液状樹脂組成物を作製した。なお表中の配合単位は特に記載のない限り質量部であり、空欄は配合無し、を表す。
得られた電子部品用液状樹脂組成物の評価結果について表3、4に示す。特性試験の試験方法を以下に説明する。なお、使用した電子部品用液状樹脂組成物の諸特性及び含浸時間、ボイドの観察、各種信頼性の評価は以下の方法及び条件で行った。
信頼性の評価に使用した半導体装置の諸元は、チップサイズ20×20×0.55tmm(回路:アルミのデイジーチェーン接続、パッシベーション:ポリイミド膜HD4000,日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社製商品名)、バンプ:はんだボール(Sn−Ag−Cu、直径80μm、 7,744pin、)、バンプピッチ:190μm、基板:FR−5(ソルダーレジストSR7200,日立化成工業株式会社製商品名、60×60×0.8tmm)、チップ/基板間のギャップ:50μmである。
半導体装置は、電子部品用液状樹脂組成物をディスペンス方式でアンダーフィルし、130℃又は165℃の硬化温度で、2時間硬化することで作製した。また、各種試験片の硬化条件も同様な条件で行った。
(1)粘度(初期粘度)
電子部品用液状樹脂組成物の25℃における粘度をE型粘度計(コーン角度3°、回転数5rpm)を用いて測定した。但し、高粘度で回転数5rpmで測定できない試料については、2.5rpmで測定した。
(2−1)ポットライフ1
電子部品用液状樹脂組成物を25℃で24時間放置後、25℃における粘度をE型粘度計(コーン角度3°、回転数5rpm)を用いて測定した(放置後粘度)。但し、高粘度で回転数5rpmで測定できない試料については、2.5rpmで測定した。ポットライフ(%)は、((放置後粘度)−(初期粘度))/(初期粘度)×100で算出した。
(2−2)ポットライフ2
電子部品用液状樹脂組成物を35℃で24時間放置後、25℃における粘度をE型粘度計(コーン角度3°、回転数5rpm)を用いて測定した(放置後粘度)。但し、高粘度で回転数5rpmで測定できない試料については、2.5rpmで測定した。ポットライフ(%)は、((放置後粘度)−(初期粘度))/(初期粘度)×100で算出した。
(3)ゲルタイム
ゲル化試験機を用い、配合した電子部品用液状樹脂組成物を165℃又は130℃の熱板上に適量(約3ml)たらした後、ゲル化し始めるまでの時間を測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
所定条件で硬化した試験片(3mm×3mm×20mm)を熱機械分析装置TMAQ400(ティー・エイ・インスツルメント製)を用い、荷重15g、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(5)接着力
・SiN接着力
P−SiN付きウェハー(住友商事九州株式会社製)の表面に電子部品用液状樹脂組成物を直径3mm高さ3mmに成形した試験片を作製し、ボンドテスターDS100型(DAGE製)を用いて、ヘッドスピード50um/sec、25℃の条件でせん断応力をかけ、成形品がP−SiN付ウェハーから剥離する強度を測定した。この測定は、試験片成形直後、及び130℃、85%RHのHAST(Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress Test)条件下で200h処理後に行った。
・PI接着力
感光性ポリイミドHD4100(日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社製商品名)の表面に電子部品用液状樹脂組成物を直径3mm高さ3mmに成形した試験片を作製し、ボンドテスターDS100型(DAGE製)を用いて、ヘッドスピード50um/sec、25℃の条件においてせん断応力をかけ、成形品が感光性ポリイミドから剥離する強度を測定した。この測定は、試験片成形直後、及び130℃、85%RHのHAST条件下で200h処理後に行った。
(6)含浸時間
半導体装置を110℃に加熱したホットプレート上に置き、デイスペンサーを用いて電子部品用液状樹脂組成物の所定量(約1ml)をチップの側面(1辺)に滴下し、樹脂組成物が対向する側面に浸透するまでの時間を測定した。
(7)ボイド観察
電子部品用液状樹脂組成物をアンダーフィルして作製した半導体装置の内部を超音波探傷装置AT−5500(日立建機株式会社製)で観察し、ボイドの有無を調べた。
(8)チップ反り
電子部品用液状樹脂組成物をアンダーフィルして作製した半導体装置のチップ対角線上の反り量(μm)を、室温にて表面粗さ測定器サーフコーダSE−2300(小坂研究所製)を用いて測定した。
(9)耐温度サイクル性
電子部品用液状樹脂組成物をアンダーフィルして作製した半導体装置を−55℃〜125℃、各30分のヒートサイクルで2000サイクル処理し、1000サイクルごとに導通試験を行いアルミ配線及びパッドの断線不良を調べ、不良パッケージ数/評価パッケージ数で評価した。
(10)耐湿信頼性
電子部品用液状樹脂組成物をアンダーフィルして作製した半導体装置を130℃、85%RHのHAST条件下で200h処理後、アルミ配線及びパッドの断線有無を導通試験より確認し、不良パッケージ数/評価パッケージ数で評価した。

本発明における(C)成分を含まない比較例1、2及び3では、ゲルタイムが長く、またボイドが発生した。更に、130℃硬化において、硬化物の接着力が低いために、耐温度サイクル性及び耐湿信頼性に劣り、特に耐温度サイクル性が著しく劣っていた。
また、(B)成分が固形アミンである比較例4では、粘度が高く、未充填で半導体装置を作製することができなかった。
また、(B)成分が酸無水物である比較例6は、ゲルタイムは短くなるものの、HAST処理後の接着力が低下し、耐湿性が著しく低下した。
(B)成分がフェノール樹脂である比較例7は、比較例6と同様にゲルタイムは短くなるものの、Tgが低下したために温度サイクル性が著しく低下した。
また、(C)成分が硬化促進剤3である比較例5では、ゲルタイムが短くなるものの、硬化物のTg及びHAST処理後の接着力が低下し、耐湿性が著しく低下した。
これに対して、実施例1〜30は、比較例1〜3と比較してゲルタイムが短縮し、ボイドが発生せず、硬化物の接着力も向上し、耐温度サイクル性や耐湿性が向上した。特に、130℃硬化での接着力が向上し、耐温度サイクル性や耐湿性が向上しており、硬化温度を低く設定することでとチップ反り量が小さくすることも可能となった。また、比較例5と比較すると、HAST処理後の接着力が向上し、耐湿性に優れた半導体装置が得られており、比較例1〜7と比較して、成形性、信頼性においてバランスの良い半導体装置が得られた。
更に、実施例の中で、以下の比較検討を行った。
無機充填剤の配合量について、実施例2(65質量%)、実施例14(55質量%)、実施例15(75質量%)を比較すると、無機充填剤の配合量の多い実施例15は、粘度が高くなり、含侵時間がやや劣るが、チップ反りが低減し、耐温度サイクル性が向上しており、無機充填剤の配合量の少ない実施例14は、耐湿度サイクル性がやや低下するものの、流動性に優れていた。
硬化剤について、実施例1及び2(液状アミン1)と実施例5及び6(液状アミン2)と実施例8及び9(液状アミン1及び2の併用)を比較すると、液状アミン1を含有すると流動性やポットライフに優れ、液状アミン2を含有すると、硬化物の接着力が向上し耐温度サイクル性が向上した。これら2種の液状アミンを併用することにより、これらの特性のバランス良く優れ、更にチップ反り、耐温度サイクル性に優れていた。
エポキシ樹脂と硬化剤の当量比について、実施例9,11,12及び13を比較すると、硬化剤の量が多くなる(エポキシ樹脂と硬化剤の当量比が大きくなる)と流動性に優れ、少なくなると165℃の硬化において、Tgが上昇した。なお、130℃の硬化において、硬化剤の量が多くなるとTgが上昇するものの、硬化剤の量が多くなりすぎるとTgが低下した。
硬化促進剤について、実施例1及び2(硬化促進剤1)と実施例3及び4(硬化促進剤2)とを比較すると、硬化促進剤1を含有すると、ポットライフに優れ、硬化促進剤2を含有すると、ポットライフがやや悪化するものの、流動性に優れていた。
また、実施例2、16,18及び19を比較すると、硬化促進剤におけるビニルエーテル化合物の当量比が多くなると、ゲルタイムがやや低下したものの、ポットライフに優れていた。また、実施例2、19、20及び21を比較すると、硬化促進剤の残存カルボン酸量が少なくなるとゲルタイムがやや低下したものの、ポットライフに優れていた。
硬化促進剤の配合量について、実施例7(エポキシ樹脂の配合量の1%)、実施例8(エポキシ樹脂の配合量の5%)、実施例9(エポキシ樹脂配合量の10%)及び実施例10(エポキシ樹脂の配合量の20%)を比較すると、配合量が少ない方が、ポットライフの観点からは好ましく、多い方が、ゲルタイムが短く、硬化物の接着性やチップ反りの低減や耐温度サイクル性に優れていた。硬化促進剤の配合量は、特に、130℃の硬化においての硬化物の接着力や耐湿信頼性への影響が大きかった。
特に、本実施例1〜30の中では、硬化促進剤4を含有し、エポキシ樹脂と硬化剤の当量比を適切なバランスにし、硬化剤1及び硬化剤2を併用し、更に無機充填剤の配合量が60質量%〜70質量の範囲にある実施例16は特性のバランスが最も優れた。

Claims (7)

  1. (A)液状エポキシ樹脂、(B)液状芳香族アミン、及び(C)硬化促進剤として下記一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物を含有する電子部品用液状樹脂組成物。

    (R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)
  2. 前記一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である請求項1に記載の電子部品用液状樹脂組成物。

    (R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜R及びR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。)
  3. 一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物が、下記一般式(VII)で表される化合物である請求項1又は請求項2に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
    (R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R〜R及びR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。)
  4. (C)一般式(I)で表される構造を分子内に有する化合物が脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、及び芳香族カルボン酸からなるカルボン酸群より選択される1種又は2種以上と、ビニルエーテル基を有する化合物とを付加反応させて得られる反応物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
  5. (B)液状芳香族アミンが、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンの少なくともいずれか1つを含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
  6. 更に、(E)無機充填材を含有し、該(E)無機充填材の配合量が電子部品用液状樹脂組成物全体の50質量%以上80質量%以下の範囲にある請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物。
  7. 半導体素子の回路形成面と無機又は有機基板の回路形成面とを対向させ、前記半導体素子の電極と前記基板の回路とがバンプを介して電気的に接続され、前記半導体素子と前記基板の隙間に請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子部品用液状樹脂組成物を封止してなる電子部品装置。
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