JP2011186084A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】延伸時の破断が少なく、広幅の偏光フィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルム1を膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、洗浄処理、乾燥処理の順に処理する工程の前または工程中に一軸延伸を行う偏光フィルムの製造方法において、3段以上の連続するホウ酸処理工程を有し、該ホウ酸処理工程の3段目以降に、2つのニップロール間の周速差を利用し、且つ少なくとも1つのガイドロール3を介して1.5倍以上の一軸延伸を行う高延伸処理工程を設け、該工程におけるフィルム搬送方向の上流側のニップロール2から最初のガイドロール3に接触するまでのフィルムの滞留時間Tが4秒以下であることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
【選択図】 図1

Description

液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、プラズマディスプレイ(PD)及び電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等の画像表示装置に使用する偏光フィルムの製造方法に関する。
偏光フィルムとしては、従来から、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性色素を吸着配向させたものが用いられている。すなわち、ヨウ素を二色性色素とするヨウ素系偏光フィルムや、二色性染料を二色性色素とする染料系偏光フィルムなどが知られている。これらの偏光フィルムは、通常、その少なくとも片面、好ましくは両面にポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロース等の保護フィルムを貼合して、偏光板とされ、液晶表示装置(LCD)として、例えば、液晶テレビ、パソコン用モニター、携帯電話の表示画面等に用いられる
偏光フィルムの製造方法としては、ニップロール、ガイドロールを使用し、ポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬させて膨潤させた後、前記二色性色素で染色し、これを延伸し、ついでヨウ素をフィルムに定着させるためにポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸処理(架橋処理)し、水洗した後、乾燥する方法が知られている。この際、処理浴前後のニップロールに周速差を与えてフィルムの延伸を行い、ガイドロールによってフィルムの搬送方向を変更し、処理液へのフィルムの導入、取り出しを行っている。
また、近年では、液晶表示装置の大型化、機能向上及び輝度向上に伴い、それに用いられる偏光フィルムも大型化と同時に、光学特性の向上及び面内均一性の向上が求められている。しかしながら、大型の偏光フィルムを得るためには、広幅の原反フィルムを均一に一軸延伸することが必要であるが、これは実際上、非常に困難な処理であり、面内の均一性と同時に光学特性が悪化する傾向にある。さらに、面内の光学特性が均一でない場合、画像表示装置の形成時に表示ムラが発生する。
上記のような問題を解決するために、特許文献1には、ポリビニルアルコール系フィルムを、2色性の性質をもつヨウ素を含む染色液で染色し、架橋剤で架橋するとともに、前記工程で少なくとも一対のロールを用いて延伸し、前記架橋剤の入った浴を2浴以上設け、2浴目以降の延伸倍率が、前記1浴目の延伸倍率よりも高い延伸率で延伸する偏光フィルムの製造方法が提案されている。しかし、この方法では延伸後にフィルムが収縮し、フィルムの厚みが増し、さらにフィルムの幅が狭まるという問題がある。
一方、特許文献2には、フィルムの湿式延伸工程にて延伸処理時の延伸間距離を縮めることにより広幅のフィルムが製造可能であることが開示されている。しかし、特許文献2の方法では、フィルムが延伸時に破断しやすく、そのため加工安定性に劣るという問題があった。
特開2001−290026号公報 特開2008−241909号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、加工安定性に優れた、広幅の偏光フィルムを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、3段以上の連続するホウ酸処理工程を設け、該ホウ酸処理工程の3段目以降に、少なくとも1本のガイドロールを介して1.5倍以上の一軸延伸を行う高延伸処理工程を設け、該工程におけるフィルム搬送方向の上流側のニップロールから最初のガイドロールに接触するまでのフィルムの滞留時間を4秒以下とすることにより、ガイドロールによる偏光フィルムの拘束を利用して、ニップロール間の距離を短縮して高延伸することができ、その結果、延伸中の偏光フィルムの破断を減少させ、しかもフィルムの幅方向の厚さが均一となって偏光フィルムの広幅化が可能になるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するための、本発明の偏光フィルムの製造方法は、以下の構成を有する。
(1)ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、洗浄処理、乾燥処理の順に処理する工程の前または工程中に一軸延伸を行う偏光フィルムの製造方法において、3段以上の連続するホウ酸処理工程を有し、該ホウ酸処理工程の3段目以降に、2つのニップロール間の周速差を利用し、且つ少なくとも1つのガイドロールを介して1.5倍以上の一軸延伸を行う高延伸処理工程を設け、該工程におけるフィルム搬送方向の上流側のニップロールから最初のガイドロールに接触するまでのフィルムの滞留時間が4秒以下であることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
(2)前記高延伸処理工程において、液中に配置された上流側のニップロールと気中に配置された下流側のニップロールの周速差を利用して一軸延伸を行うことを特徴とする(1)に記載の偏光フィルムの製造方法。
(3)前記高延伸処理工程において、ガイドロールがスポンジゴムロールまたはゴムロールである(1)または(2)に記載の偏光フィルムの製造方法。
(4)前記スポンジゴムロールのスポンジの硬度がJISショアCスケールで20〜60度、表面粗さが10〜30S及び処理フィルムとの水中における動摩擦係数が0.3〜0.8である(3)に記載の偏光フィルムの製造方法。
(5)前記ゴムロールの硬度がJISショアAスケールで50〜90度、表面粗さが0.4〜2.0S及び処理フィルムとの水中における動摩擦係数が0.3〜0.8である(3)に記載の偏光フィルムの製造方法。
(6)前記高延伸処理工程における延伸倍率が1.7倍以上、総延伸倍率が5.5倍以上6.5倍以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
本発明の偏光フィルムの製造方法は、加工安定性に優れ、フィルムの幅方向における収縮の抑制と厚みの均一化が可能になる。
その結果、偏光フィルムとしての光学特性を良好に維持しつつ広幅の偏光フィルムを高い生産性で効率良く製造することができる。
本発明における高延伸処理工程を示す概略図である。
(偏光フィルムの製造方法)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリビニルアルコール系フィルムを形成するポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものが例示される。ケン化度としては、約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度としては、約1000〜10000、好ましくは約1500〜5000程度である。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用しうる。通常、偏光フィルム製造の開始材料としては、厚さが約20μm〜100μm、好ましくは約30μm〜80μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムを用いる。工業的には、フィルムの幅は約1500mm〜6000mmが実用的である。
この未延伸フィルムを、膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理(架橋処理)、水洗処理の順に処理し、最後に乾燥して得られるポリビニルアルコール系偏光フィルムの厚みは、例えば約5〜50μm程度である。
本発明に係る偏光フィルムは、二色性色素を吸着配向せしめたポリビニルアルコール系一軸延伸フィルムであるが、その作製方法としては、大きく分けて2つの製造方法がある。1つは、ポリビニルアルコール系フィルムを空気あるいは不活性ガス中で一軸延伸後、膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理および水洗処理の順に溶液処理し、最後に乾燥を行う方法。2つ目の方法は、未延伸のポリビニルアルコール系フィルムを水溶液で膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理および水洗処理の順に溶液処理し、ホウ酸処理工程および/またはその前の工程で湿式にて一軸延伸を行い、最後に乾燥を行う方法である。
また、上記工程に記載の無い工程を別の目的で挿入することも自由であることは言うまでもない。この工程の例として、ホウ酸処理後に、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液による浸漬処理(ヨウ化物処理)またはホウ酸を含まない塩化亜鉛等を含有する水溶液による浸漬処理(亜鉛処理)工程等が挙げられる。
膨潤工程は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤除去、次工程での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で行われる。処理条件はこれらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。あらかじめ気体中で延伸したフィルムを膨潤させる場合には、例えば約20℃〜70℃、好ましくは約30℃〜60℃の水溶液にフィルムを浸漬して行われる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、更に好ましくは約60秒〜240秒程度である。はじめから未延伸の原反フィルムを膨潤させる場合には、例えば約10℃〜50℃、好ましくは約20℃〜40℃の水溶液にフィルムを浸漬して行われる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、更に好ましくは約60秒〜240秒程度である。
膨潤処理工程では、フィルムが幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいので、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなど公知の拡幅装置でフィルムのシワを取りつつフィルムを搬送することが好ましい。浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用したりすることも有用である。本工程では、フィルムの走行方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、例えば処理槽前後の搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。また、使用する膨潤処理浴は、純水の他、ホウ酸(特開平10−153709号公報に記載)、塩化物(特開平06−281816号公報に記載)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを約0.01重量%〜10重量%の範囲で添加した水溶液も使用可能である。
二色性色素による染色工程は、フィルムに二色性色素を吸着、配向させるなどの目的で行われる。処理条件はこれらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、例えば、約10℃〜45℃、好ましくは約20℃〜35℃の温度で、かつ重量比でヨウ素/KI/水=約0.003〜0.2/約0.1〜10/100の濃度で約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬処理を行う。ヨウ化カリウムに代えて、他のヨウ化物、例えばヨウ化亜鉛などを用いてもよい。また、他のヨウ化物をヨウ化カリウムと併用しても良い。また、ヨウ化物以外の化合物、例えばホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどを共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合、ヨウ素を含む点で下記のホウ酸処理と区別される。水100重量部に対し、ヨウ素を約0.003重量部以上含んでいるものであれば染色槽と見なせる。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、例えば約20℃〜80℃、好ましくは約30℃〜70℃の温度で、かつ重量比で二色性染料/水=約0.001〜0.1/100の濃度で約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬処理を行う。使用する二色性染料の水溶液は、染色助剤などを有していてもよく、例えば硫酸ナトリウムなどの無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は単独でもよいし、2種類以上の二色性染料を同時に用いることもできる。
前記したように染色槽でフィルムを延伸させてもよい。延伸は染色槽の前後のニップロールに周速差を持たせるなどの方法で行われる。また、膨潤工程と同様に、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、染色浴中および/または浴出入り口に設置することもできる。
ホウ酸処理は、水100重量部に対してホウ酸を約1〜10重量部含有する水溶液に、二色性色素で染色したポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われる。二色性色素がヨウ素の場合、ヨウ化物を約1〜30重量部含有させることが好ましい。
ヨウ化物としてはヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどを共存させても良い。
このホウ酸処理は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止する等)等のために実施される。架橋による耐水化のための場合には、必要に応じて、ホウ酸以外に、またはホウ酸と共に、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤も使用することができる。
なお、耐水化のためのホウ酸処理を、耐水化処理、架橋処理、固定化処理などの名称で呼称する場合もある。また、色相調整のためのホウ酸処理を、補色処理、再染色処理などの名称で呼称する場合もある。
このホウ酸処理は、その目的によって、ホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理浴の温度を適宜変更して行なわれる。
耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理は特に区別されるものではないが、下記の条件で実施される。
原反フィルムを膨潤、染色、ホウ酸処理をする場合で、ホウ酸処理が架橋による耐水化を目的としている時は、水100重量部に対してホウ酸を約3〜10重量部、ヨウ化物を約1〜20重量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約50℃〜70℃、好ましくは約53℃〜65℃の温度で行われる。浸漬時間は、通常、約10〜600秒程度、好ましくは20〜300秒、より好ましくは20〜200秒である。
なお、予め延伸したフィルムを染色、ホウ酸処理を行う場合、ホウ酸処理浴の温度は、通常、約50℃〜85℃、好ましくは約55℃〜80℃である。
耐水化のためのホウ酸処理後、色相調整のためのホウ酸処理を行っても良い。例えば二色性染料がヨウ素の場合、この目的のためには、水100重量部に対してホウ酸を約1〜5重量部、ヨウ化物を約3〜30重量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約10℃〜45℃の温度で行われる。浸漬時間は、通常、1〜300秒程度、好ましくは2〜100秒である。
これらのホウ酸処理は複数の工程で行っても良く、本発明では、3段以上の工程で行われる。この場合、使用する各ホウ酸処理槽の水溶液組成、温度は上記の範囲内で同じであっても、異なっていてもよい。また、上記耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理をそれぞれ複数の工程で行っても良い。
ホウ酸処理後、水洗処理される。水洗処理は、例えば、耐水化および/または色調調整のためにホウ酸処理したポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬、水をシャワーとして噴霧、あるいは浸漬と噴霧を併用することによって行われる。水洗処理における水の温度は、通常、約2〜40℃程度であり、浸漬時間は約2〜120秒程度であるのがよい。
その後、ポリビニルアルコール系フィルムを水洗し、乾燥炉中で約40〜100℃の温度で約60〜600秒乾燥させることにより、偏光フィルムを得ることができる。
(一軸延伸)
本発明は、少なくとも1本のガイドロールを有する3段以上の連続するホウ酸処理工程を有し、該ホウ酸処理工程の3段目以降において、フィルム搬送方向の上流側のニップロールと下流側のニップロールの間で、2つのニップロールの周速差を利用して、ホウ酸含有水溶液中で湿式延伸法にて一軸延伸を行うものである。
ホウ酸処理工程の3段目以降に、高延伸処理工程が設けられる。図1は該高延伸工程を示しており、同図に示すように、ホウ酸含有水溶液11を入れたホウ酸処理槽4は、ポリビニルアルコール系フィルム1の搬送方向の上流側に設置されたニップロール2と、下流側に設置されたニップロール2’と、それらの間に設置されたガイドロール3とを備える。
上記ニップロール2、2’はそれらの間の周速差を利用してポリビニルアルコール系フィルム1を一軸延伸するものである。この時、上流側のニップロール2はホウ酸含有水溶液11の液中で、下流側のニップロール2’はホウ酸含有水溶液11より上の空気中で、それぞれポリビニルアルコール系フィルム1を挟着し延伸するように構成されている。ガイドロール3も液中に浸漬されている。
本発明では、ニップロール2、2’間での一軸延伸は1.5倍以上、好ましくは1.5〜2.7倍、より好ましくは1.7〜2.5倍であるのがよい。
該高延伸処理工程におけるフィルム搬送方向の上流側のニップロール2からガイドロール3に接触するまでのフィルムの滞留時間は4秒以下である。
なお、本発明では、ホウ酸処理工程で偏光フィルムを浸漬させつつ一軸延伸させるため、上記したガイドロール3は液中にあるが、両端のニップロール2、2’の位置は、特に限定されず、気中、液中のどちらに設置されていてもよい。
また、高延伸処理工程における上流側のニップロール2から(正確にはロール同士の接触点から)ガイドロール3に接触するまでのフィルムの滞留時間Tは4秒以下であることが好ましい。これは、フィルムの滞留時間が4秒以上である場合、フィルムの膜厚が薄くなり、破断する可能性があるためである。上記滞在時間Tは0.5〜3秒であるのが、より好ましい。滞留時間Tを4秒以下に調整するには、例えばフィルムの搬送速度を制御したり、ニップロール2とガイドロール3の距離を調整するなどすればよい。
高延伸処理工程では上記ガイドロール3により、フィルム1を拘束しながら1.5倍以上、好ましくは1.7倍以上の一軸延伸を行うものである。これにより、フィルム1が幅方向に縮むのを抑制して、厚さが均一な広幅化が可能になる。
本発明で使用するガイドロール3としては、スポンジゴムロールまたはゴムロールが用いられる。
スポンジロールとしては、スポンジの硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで20〜60度、より好ましくは25〜50度、表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約10〜30S、より好ましくは約15〜25S、および処理フィルムとの水中における動摩擦係数が0.3〜0.8、より好ましくは0.4〜0.8であることが好ましい。
また、ガイドロール3がゴムロールである場合、ゴムロールの硬度が、JISショアAスケールで50〜90度、より好ましくは70〜80度、表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して0.1〜5S、より好ましくは0.5〜1S、および処理フィルムとの水中における動摩擦係数が0.3〜0.8、より好ましくは0.4〜0.8であることが好ましい。
なお、ガイドロールは1本に限定されず、ガイドロール3の後に複数本(例えば2〜3本)のガイドロールを設けても良い。
本発明における最終的な総積算延伸倍率は、5.5〜6.5倍、好ましくは5.6〜6.3倍であるのがよい。
延伸処理後のそれぞれの工程において、フィルムの張力がそれぞれ実質的に一定になるように張力制御を行ってもよい。
ホウ酸処理後に、上記したヨウ化物処理または亜鉛処理を行う場合には、これらの工程についても張力制御を行う。
それぞれの工程における張力は同じであっても良く、異なっていても良い。
張力制御におけるフィルムへの張力は、特に限定されるものではなく、単位幅当たり、約150N/m〜2000N/m、好ましくは約600N/m〜1500N/mの範囲内で適宜設定される。張力が約150N/mを下回ると、フィルムにシワなどができやすくなる。一方、張力が約2000N/mを超えると、フィルムの破断やベアリングの磨耗による低寿命化などの問題が生じる。また、この単位幅当たりの張力は、その工程の入口付近のフィルム幅と張力検出器の張力値から算出する。
なお、張力制御を行った場合に、不可避的に若干延伸・収縮される場合があるが、本発明においては、これは延伸処理に含めない。
このようにして製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムを接着剤で貼合して偏光板が得られる。
保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム、ポリカーボネート系樹脂からなるフィルム、シクロオレフィン系樹脂からなるフィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレンフィルムが挙げられる。
接着剤と偏光フィルム及び/又は保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルム及び/又は保護フィルムに、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
〔実施例1〕
厚さ75μm 、幅450mmのポリビニルアルコールフィルム(クラレビニロンVF−PS#7500、重合度2,400 、ケン化度99.9モル%以上 )を30℃の純水に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったまま浸漬しフィルムを十分に膨潤させた。次にヨウ素/ヨウ化カリウム/水が重量比で0.02/1.5/100 の水溶液に浸漬しつつ、一軸延伸を行った。その後、第一のホウ酸処理工程として、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で12/4.2/100 の55℃水溶液に浸漬処理しつつ原反からの積算延伸倍率が2.32倍になるまで一軸延伸を行った。次に第二のホウ酸処理工程として、第一のホウ酸処理工程と同一組成、同一温度のホウ酸含有水溶液に浸漬処理しつつ原反からの積算延伸倍率が2.69倍になるまで一軸延伸を行った。
次に、図1に示すように高延伸工程として、上記ホウ酸処理工程と同一組成、同一温度のホウ酸含有水溶液11を用いて、スポンジ製のガイドロール3(スポンジの硬度がJISショアCスケールで25度、密度が0.42g/cm3、および表面粗さが20S)を介して、フィルム1の搬送方向の上流側の液中ニップロール2と下流側の気中ニップロール2’の周速差により2.06倍延伸を行った。
この時の液中ニップロール2とガイドロール3までのフィルムの浸漬時間Tは3秒であった。その後、上記ホウ酸処理工程と同一組成の40℃のホウ酸含有水溶液に浸漬し、続いて5℃の純水で8秒間洗浄した後、70℃で3分乾燥して、偏光フィルムを得た。総延伸倍率は5.54倍であった。
得られた偏光フィルムの幅は250mmであった。
〔実施例2〕
前記高延伸処理工程において、液中ニップロール2とガイドロール3までのフィルムの浸漬時間Tを1.5秒として一軸延伸を行った以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの幅は256mmであった。
〔実施例3〕
前記高延伸処理工程の前までの積算延伸倍率を2.35倍、高延伸工程における延伸倍率を2.35倍として一軸延伸を行った以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。総延伸倍率は5.52倍であった。得られた偏光フィルムの幅は259mmであった。
〔実施例4〕
前記高延伸処理工程の前までの積算延伸倍率を3.27倍、高延伸工程における延伸倍率を1.70倍として一軸延伸を行った以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの幅は243mmであった。
〔実施例5〕
前記高延伸処理工程におけるガイドロール3をゴム硬度がJISショアCスケールで80度、密度が1.3g/cm3、および表面粗さが0.6SであるNBRゴム製のガイドロール3とした以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの幅は249mmであった。
〔比較例1〕
前記高延伸処理工程において、入口側の液中ニップロール2とガイドロール3までの浸漬時間Tを5秒として一軸延伸を行った以外は実施例2と同様にして偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの幅は235mmであった。
〔比較例2〕
前記高延伸処理工程の前までの積算延伸倍率を4.16倍、高延伸工程における延伸倍率を1.33倍として一軸延伸を行った以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの幅は232mmであった。
上記した実施例1〜5および比較例1、2の結果を以下に示す。
Figure 2011186084
上記した表1より、実施例1〜5で得た偏光フィルム1は、いずれも広幅化していることがわかった。
1 ポリビニルアルコール系フィルム 、 2 、2’ニップロール
3 ガイドロール 、4 ホウ酸処理槽、11 ホウ酸含有水溶液
T フィルムの滞留時間

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、洗浄処理、乾燥処理の順に処理する工程の前または工程中に一軸延伸を行う偏光フィルムの製造方法において、3段以上の連続するホウ酸処理工程を有し、該ホウ酸処理工程の3段目以降に、2つのニップロール間の周速差を利用し、且つ少なくとも1つのガイドロールを介して1.5倍以上の一軸延伸を行う高延伸処理工程を設け、該工程におけるフィルム搬送方向の上流側のニップロールから最初のガイドロールに接触するまでのフィルムの滞留時間が4秒以下であることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記高延伸処理工程において、液中に配置された上流側のニップロールと気中に配置された下流側のニップロールの周速差を利用して一軸延伸を行うことを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記高延伸処理工程において、ガイドロールがスポンジゴムロールまたはゴムロールである請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記スポンジゴムロールのスポンジの硬度がJISショアCスケールで20〜60度、表面粗さが10〜30S及び処理フィルムとの水中における動摩擦係数が0.3〜0.8である請求項3に記載の偏光フィルムの製造方法。
  5. 前記ゴムロールの硬度がJISショアAスケールで50〜90度、表面粗さが0.4〜2.0S及び処理フィルムとの水中における動摩擦係数が0.3〜0.8である請求項3に記載の偏光フィルムの製造方法。
  6. 前記高延伸処理工程における延伸倍率が1.7倍以上、総延伸倍率が5.5倍以上6.5倍以下である請求項1〜5のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
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