JP2009103854A - 偏光フィルムの製造方法およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温もしくは高温に繰り返し曝される過酷な条件下においても割れ等の力学的損傷を生じることのない耐久性に優れた偏光フィルムを得ることができる偏光フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 偏光フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素で染色処理し、次いでホウ酸処理した後、乾燥処理を行うことにより偏光フィルムを製造する方法であって、前記乾燥処理を、表面がフッ素樹脂で形成されたガイドロールを用い、2.0×104kN/m2以下の張力で行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐久性に優れた偏光フィルムを得ることができる偏光フィルムの製造方法と、該製造方法で得られた偏光フィルムを用いてなる偏光板および光学積層体とに関する。
偏光フィルムとしては、従来から、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性色素を吸着配向させたものが用いられている。例えば、ヨウ素を二色性色素とするヨウ素系偏光フィルムや、二色性染料を二色性色素とする染料系偏光フィルムなどが知られている。これらの偏光フィルムは、通常、その少なくとも片面、好ましくは両面にポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロース等の保護フィルムを貼合して、偏光板とされる。
偏光フィルムの製造方法として、ニップロール、ガイドロールを使用し、ポリビニルアルコール系フィルムを、前記二色性色素で染色し、これを延伸し、次いで、ヨウ素をフィルムに定着させるとともに耐水性を付与するためにポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸処理し、水洗した後、乾燥する方法が知られている。この際、処理浴前後のニップロールに周速差を与えてフィルムに張力を加え、フィルムの延伸を行い、ガイドロールによってフィルムの搬送方向を変更し、処理液へのフィルムの導入、取り出しを行っている(特許文献1、特許文献2参照)。
特開平10−153709号公報 特開2001−174634号公報
しかしながら、上述した従来の製造方法で得られた偏光フィルムを用いた偏光板を、例えば、液晶テレビやモニター等に用いる場合など、低温状態と高温状態に交互に曝されることになる過酷な条件下においては、偏光フィルムに割れが発生するといった問題が起こることがあった。
そこで、本発明の課題は、低温もしくは高温に繰り返し曝される過酷な条件下においても割れ等の力学的損傷を生じることのない耐久性に優れた偏光フィルムを得ることができる偏光フィルムの製造方法と、該製造方法で得られた偏光フィルムを用いてなる偏光板および光学積層体とを提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、これまで乾燥処理時にガイドロールとの接触で生じていた極めて微小な欠陥が割れの起点となっていること、さらに、乾燥処理時の張力が高すぎると延伸直交方向への応力緩和が小さくなり、これが温度変化が大きいといった高収縮応力が生じた場合に割れの発生原因となることを見出した。そして、これらの知見に基づき、前述した割れの発生原因を解消する手段について検討を重ねた結果、ガイドロール接触時の微小な欠陥の発生を抑制するには、乾燥処理の際に表面がフッ素樹脂で形成されたガイドロールを用いることが有効であること、また、フィルムの延伸直交方向への応力緩和を高収縮応力が生じた場合にも割れが発生しない程度に保つには、乾燥時の張力を2.0×104kN/m2以下とすればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素で染色処理し、次いでホウ酸処理した後、乾燥処理を行うことにより偏光フィルムを製造する方法であって、前記乾燥処理を、表面がフッ素樹脂で形成されたガイドロールを用い、2.0×104kN/m2以下の張力で行う、ことを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
(2)前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である、前記(1)記載の偏光フィルムの製造方法。
(3)フッ素樹脂からなる収縮チューブで被覆したガイドロールを用いる、前記(1)または(2)記載の偏光フィルムの製造方法。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法により製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合されてなる、ことを特徴とする偏光板。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法により製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合されてなる偏光板と、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1種とが貼合されてなる、ことを特徴とする光学積層体。
本発明によれば、低温もしくは高温に繰り返し曝される過酷な条件下においても割れ等の力学的損傷を生じることのない耐久性に優れた偏光フィルムと、これを用いてなる偏光板および光学積層体が容易に得られる、という効果がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、偏光フィルム製造の開始材料であるポリビニルアルコール系フィルムとしては、特に制限はないが、通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化してなるポリビニルアルコール系樹脂で形成されたものが使用される。ここで、ケン化度としては、約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体(例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類など)との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度としては、約1000〜10000、好ましくは約1500〜5000程度である。これらのポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用することができる。
前記ポリビニルアルコール系フィルムとしては、通常、厚さが約20μm〜100μm、好ましくは 約30μm〜80μmであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムが用いられる。フィルムの幅は、特に制限はないが、工業的には、約1500mm〜4000mmが実用的である。
偏光フィルム製造の開始材料として、前記未延伸のポリビニルアルコール系フィルムを用いる場合、その延伸は、ホウ酸処理工程および/またはその前の工程で湿式にて一軸延伸を行えばよい。ただし、これに制限されるものではなく、例えば、予め空気あるいは不活性ガス中で一軸延伸したポリビニルアルコール系フィルムを開始材料とすることもできる。いずれの場合も、一軸延伸は、1つの工程で行ってもよいし、2つ以上の工程で行っても良いが、複数の工程で行うことが好ましい。延伸方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、フィルムを搬送する2つのニップロール間に周速差をつけて延伸を行うロール間延伸法、特許第2731813号公報に記載のような熱ロール延伸法、テンター延伸法などを採用することができる。
本発明の偏光フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素で染色処理し、次いでホウ酸処理した後、乾燥処理を行うものであるが、通常、染色処理に先立ち、ポリビニルアルコール系フィルムに膨潤処理が施される。この膨潤処理は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤の除去、染色処理工程での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で行われる。
膨潤処理の際の処理条件は、上記目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透などの不具合が生じない範囲で、適宜設定すればよい。あらかじめ延伸したフィルムを膨潤させる場合には、例えば約20℃〜70℃、好ましくは約30℃〜60℃の水溶液を入れた処理浴に、約30秒〜300秒、好ましくは約60秒〜240秒程度の時間、フィルムを浸漬すればよい。他方、未延伸のフィルムを膨潤させる場合には、例えば約10℃〜50℃、好ましくは約20℃〜40℃の水溶液を入れた処理浴に、約30秒〜300秒、好ましくは約60秒〜240秒程度の時間、フィルムを浸漬すればよい。
膨潤処理に使用する水溶液は、純水であってもよいし、ホウ酸、塩化物、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを約0.01重量%〜10重量%の範囲で含有する水溶液であってもよい。
膨潤処理を行う際には、フィルムが幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいので、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなど公知の拡幅装置でフィルムのシワを取りつつフィルムを搬送することが好ましい。浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用したりすることも有用である。また、フィルムの走行方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、例えば処理槽前後の搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。
二色性色素による染色処理は、フィルムに二色性色素を吸着、配向させるなどの目的で行われる。この染色処理は、ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素含有水溶液に浸漬することにより行うことができ、二色性色素として、ヨウ素を用いる方法と、水溶性二色性染料を用いる方法とがある。染色処理の際の処理条件は、前述した目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透などの不具合が生じない範囲で、適宜設定すればよい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、例えば、約10℃〜45℃、好ましくは約20℃〜35℃の温度で、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)=約0.003〜0.2/約0.1〜10/100の水溶液を入れた染色槽に、約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒の時間、フィルムを浸漬すればよい。ここで用いる水溶液は、ヨウ化カリウムに代えて他のヨウ化物(例えば、ヨウ化亜鉛など)を用いた水溶液であってもよいし、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用して用いた水溶液であってもよい。また、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどのヨウ化物以外の化合物を共存させた水溶液を用いることもできる。なお、ホウ酸を含む水溶液を用いる場合、ヨウ素をも含む点で、後述のホウ酸処理と区別される。具体的には、水100重量部に対し、ヨウ素を約0.003重量部以上含んでいる水溶液を用いた場合には染色処理と見なす。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、例えば、約20℃〜80℃、好ましくは約30℃〜70℃の温度で、二色性染料/水(重量比)=約0.001〜0.1/100の水溶液を入れた染色槽に、約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒の時間、フィルムを浸漬すればよい。ここで用いる水溶液は、染色助剤などを含有していてもよいし、例えば硫酸ナトリウムなどの無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料としては、従来公知のものを使用すればよく、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
染色処理を行う際には、前述したように、フィルムを延伸させながら行うことができる。その場合、延伸は、染色槽の前後のニップロールに周速差を持たせるなどの方法で行われる。また、膨潤処理の場合と同様に、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、染色槽中および/または槽出入り口に設置することもできる。
ホウ酸処理は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止する等)等の目的で行われる。なお、架橋による耐水化のためのホウ酸処理を、耐水化処理、架橋処理、固定化処理などの名称で呼称する場合もある。他方、色相調整のためのホウ酸処理を、補色処理、再染色処理などの名称で呼称する場合もある。
ホウ酸処理は、通常、二色性色素で染色したポリビニルアルコール系フィルムを、水100重量部に対して1〜10重量部程度のホウ酸を含有する水溶液を入れた処理槽に浸漬することにより行われる。二色性色素としてヨウ素を用いている場合には、前記水溶液に、さらにヨウ化物を約1〜30重量部含有させることが好ましい。ここで用いるヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。さらに、前記水溶液には、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどのヨウ化物以外の化合物を共存させてもよい。
耐水化のためのホウ酸処理と、色相調整のためのホウ酸処理とは、特に区別されるものではないが、その目的に応じて、ホウ酸処理の際のホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理槽内の水溶液の温度を適宜変更することが好ましい。
架橋による耐水化を目的とする場合であって、二色性色素としてヨウ素を用いている場合には、例えば、水100重量部に対してホウ酸を約3〜10重量部、ヨウ化物を約1〜20重量部含有する水溶液を入れた処理槽に、約30〜600秒、好ましくは約60〜420秒、より好ましくは約90〜300秒の時間、フィルムを浸漬すればよい。このとき、処理槽内の水溶液の温度は、未延伸のフィルムを染色、ホウ酸処理をする場合には、例えば、約50℃〜70℃、好ましくは約55℃〜65℃の温度であり、他方、予め延伸したフィルムを染色、ホウ酸処理する場合には、例えば、約50℃〜85℃、好ましくは約55℃〜80℃である。なお、架橋による耐水化を目的とする場合には、必要に応じて、ホウ酸とともに、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を使用することもできる。
色相調整を目的とする場合であって、二色性色素としてヨウ素を用いている場合には、例えば、水100重量部に対してホウ酸を約1〜5重量部、ヨウ化物を約3〜30重量部含有し、約10℃〜45℃の温度の水溶液を入れた処理槽に、約3〜300秒程度、好ましくは約10〜240秒の時間、フィルムを浸漬すればよい。つまり、色相調整のためのホウ酸処理は、耐水化のためのホウ酸処理に比べて、通常、低いホウ酸濃度、高いヨウ化物濃度、低い温度の水溶液を用いて行なわれる。
これらのホウ酸処理は、複数の工程に分けて行うことができ、通常、2〜5の工程に分けて行われることが多い。複数の工程でホウ酸処理を行う場合、各工程で使用する処理槽の水溶液組成やその温度は、上述した範囲内で同じであってもよいし異なっていてもよい。なお、耐水化のためのホウ酸処理と色相調整のためのホウ酸処理との処理順序は特に制限されないが、通常、耐水化のためのホウ酸処理の後に色相調整のためのホウ酸処理が行われる。
ホウ酸処理を行う際にも、染色処理のときと同様に、フィルムを延伸させながら行うことができる。
ホウ酸処理が施されたポリビニルアルコール系フィルムには、必要に応じて、後述する乾燥処理を行う前に水洗処理が施される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理したポリビニルアルコール系フィルムを水中に浸漬するか、水をシャワーとして噴霧するか、あるいは浸漬と噴霧を併用することによって行われる。水洗処理に用いる水の温度は、通常、約2〜40℃程度であり、浸漬もしくは噴霧時間は、約2〜120秒程度であるのがよい。
前述したように、フィルムの延伸は、開始材料として用いる前に予め行うか、前記膨潤処理から前記ホウ酸処理までの任意の工程において(必要に応じて多段階に分けて)行われるが、延伸を終了する工程における最終的なフィルムの積算延伸倍率は、約4.5〜7.0倍、好ましくは約5.0〜6.5倍となるようにするのがよい。
前記膨潤処理から前記水洗処理までの各工程のなかで、ポリビニルアルコール系フィルムの延伸を終了した工程より後の処理工程においては、各処理工程ごとにフィルムの張力がそれぞれ実質的に一定になるように張力制御を行うことができる。例えば、染色処理の工程で延伸を終了した場合、それより後のホウ酸処理および水洗処理の工程では張力制御を行う。各処理工程におけるフィルムの張力は、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、張力制御を行った場合に、不可避的に若干、延伸・収縮される場合があるが、本発明においては、このような場合は延伸処理に含めない。
本発明の偏光フィルムの製造方法において、前述した各処理を施したポリビニルアルコール系フィルムは、特定のガイドロールを用い、特定の張力下で、乾燥処理に付される。
本発明における乾燥処理は、表面がフッ素樹脂で形成されたガイドロールを用いて行う。これにより、フィルムがガイドロールと接触しても割れの起点となりうる微小な欠陥が生じにくくなり、温度差の大きい過酷な条件下においても割れ等を発生させない優れた耐久性を有する偏光フィルムが得られる。
フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などが挙げられる。これの中でも特に、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましい。
前記ガイドロールは、少なくともその表面がフッ素樹脂で形成されていればよい。詳しくは、フッ素樹脂で形成されていなければならないのは、ロールの表面であって、フィルムとの接触部分である。従って、表面がフッ素樹脂で形成されたガイドロールとしては、例えば、従来から汎用されているガイドロール(SUS製ガイドロールなど)のロール表面を、フッ素樹脂からなる収縮チューブで被覆したものを用いることができる。ただし、ガイドロールの表面をフッ素樹脂で形成する手段としては、これに限定されるものではなく、ほかにも、例えばSUS製のガイドロールの表面にフッ素樹脂のコーティング塗膜を形成してもよいし、ガイドロール自体をフッ素樹脂で形成してもよい。
なお、乾燥処理において、ガイドロール以外の他のロール(例えば、ニップロールなど)も使用される場合には、当該他のロールについても、ガイドロールと同様、少なくともその表面がフッ素樹脂で形成されていることが好ましい。
乾燥処理は、フィルムが弛んで皺が発生することを防止するため、通常、フィルムに張力を付与しながら行われるが、本発明における乾燥処理では、その際の張力を2.0×104kN/m2以下、好ましくは1.5×104kN/m2以下とする。これにより、フィルムの延伸直交方向への応力緩和を充分に保持させることができ、温度差の大きい過酷な条件下においても割れを発生しない優れた耐久性を有する偏光フィルムが得られる。
乾燥処理の処理条件において、上記以外の点については、特に制限されないが、例えば、乾燥温度は、通常、40〜95℃、好ましくは50〜80℃であり、乾燥時間(乾燥炉内の滞留時間)が、通常、50〜200秒間、好ましくは100〜190秒間である。また、乾燥処理の程度については、乾燥処理後のフィルムの水分率が15重量%以下となる程度にする。
なお、乾燥手段としては、特に制限はなく、例えば、熱風乾燥法 赤外線を利用した乾燥方法等を採用すればよい。
本発明の偏光フィルムの製造方法においては、必要に応じて、上述した処理以外の処理を、任意の段階で加えて行うこともできる。例えば、ホウ酸処理後に、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液による浸漬処理(ヨウ化物処理)を行ってもよいし、ホウ酸を含まない塩化亜鉛等の亜鉛化合物を含有する水溶液による浸漬処理(亜鉛処理)を行ってもよい。
このようにして製造された偏光フィルムは、通常、約5μm〜50μm程度の厚みを有することが好ましい。
本発明の偏光板は、上述の本発明の製造方法で得られた偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合されてなるものである。
保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム、ポリカーボネート系樹脂からなるフィルム、シクロオレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。市販の熱可塑性シクロオレフィン系樹脂としては、例えばドイツのティコナ(Ticona)社から販売されている「トパス」(Topas)(登録商標)、ジェイエスアール(株)から販売されている「アートン」(登録商標)、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオノア」や「ゼオネックス」(いずれも登録商標)、三井化学(株)から販売されている「アペル」(登録商標)などがある。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜したものを保護フィルムとすることになるが、製膜には、溶剤キャスト法、溶融押出法など、公知の方法が適宜用いられる。製膜されたシクロオレフィン系樹脂フィルムも市販されており、例えば、積水化学工業(株)から販売されている「エスシーナ」や「SCA40」などがある。
保護フィルムには、アンチグレア処理、アンチリフレクション処理、ハードコート処理、帯電防止処理、防汚処理などの表面処理が単独或いは組み合わせて施されていても良い。また、保護フィルムおよび/又は保護フィルム表面保護層はベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤や、フェニルホスフェート系化合物、フタル酸エステル化合物などの可塑剤を有していても良い。
保護フィルムの厚みは、薄すぎると、強度が低下して加工性に劣ることになり、一方、厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったりするなどの問題が生じる。従って、保護フィルムの適当な厚みは、通常、約5〜200μm程度であり、好ましくは約10〜150μm、より好ましくは約20〜100μmである。
偏光フィルムと保護フィルムとは、接着剤を介して貼合される。接着剤と偏光フィルム及び/又は保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルム及び/又は保護フィルムに、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。
接着剤としては、例えば、水溶媒系接着剤、有機溶媒系接着剤、ホットメルト系接着剤、無溶剤系接着剤などが用いられる。水溶媒系接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などが、有機溶媒系接着剤としては例えば二液型ウレタン系接着剤などが、無溶剤系接着剤としては例えば一液型ウレタン系接着剤などがそれぞれ挙げられる。偏光フィルムとの接着面をケン化処理などで親水化処理されたアセチルセルロース系フィルムを保護フィルムとして用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が接着剤として好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物などを添加剤として用いても良い。
偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する方法は、特に限定されるものではなく、例えば偏光フィルム又は保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。通常、接着剤は、調製後、約15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常約15〜30℃程度の範囲である。貼合後は乾燥処理を行って、接着剤中に含まれる水などの溶剤を除去するが、この際の乾燥温度は、通常約30〜85℃、好ましくは約40〜80℃の範囲である。その後、約15〜85℃、好ましくは約20〜50℃、より好ましくは約35〜45℃の温度環境下で、通常約1〜90日間程度養生して接着剤を硬化させてもよい。この養生期間が長いと生産性が悪くなるため、養生期間は、約1〜30日間程度、好ましくは約1〜7日間である。
本発明の光学積層体は、上述の偏光板と、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1種とが貼合されてなるものである。このような光学積層体は、保護フィルムに、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能、光学補償フィルムとしての機能など、光学的機能を持たせることもできる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製「VF−PS♯75d」)を30℃の純水に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったまま約170秒間浸漬してフィルムを充分に膨潤させた(膨潤処理)。膨潤させたフィルムを、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水が0.03/1.5/100(重量比)である水溶液に浸漬しつつ、一軸延伸を行うことにより、染色した(二色性色素による染色処理)。次いで、染色したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が10/5/100(重量比)である54℃の水溶液に浸漬しつつ、原反からの積算延伸倍率が5.6倍になるまで一軸延伸を行った後、さらに、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が10/5/100(重量比)である水溶液に40℃で約10秒間浸漬し、さらに15℃の純水で約10秒間洗浄した(ホウ酸処理)。
次に、水洗したフィルムを、厚み約500μmのテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)製収縮チューブ(引張り強度:19.7MPa(23℃)、伸び:約200%、動摩擦係数:約0.3)でロール表面を被覆したSUS製のガイドロールを備えた乾燥炉内を、約1.3×104kN/m2の張力を保持させながら50〜85℃で180秒間通過させることにより乾燥して(乾燥処理)、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、厚み80μmの保護フィルム(表面にケン化処理を施したトリアセチルセルロースフィルム)を両面に貼合して、偏光板を作製した。
(比較例1)
乾燥処理で用いた乾燥炉内のガイドロールを、SUS製のガイドロール(すなわち、FEP製収縮チューブでロール表面を被覆しておらず、ロール表面がSUSで形成されているガイドロール)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、偏光板を作製した。
(比較例2)
乾燥処理で用いた乾燥炉内のガイドロールを、SUS製のガイドロール(すなわち、FEP製収縮チューブでロール表面を被覆しておらず、ロール表面がSUSで形成されているガイドロール)に変更し、かつ乾燥処理時の張力を約1.3×104kN/m2から約2.1×104kN/m2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、偏光板を作製した。
以上の実施例1および比較例1〜2で得られた偏光板をガラスに貼合した試験サンプルを7個ずつ作製し、低温状態(−35℃)と高温状態(70℃)とを交互に保持するよう設定(低温状態、高温状態のそれぞれ保持時間は1時間、昇温時および降温時の速度は約10℃/分)された恒温器(オーブン)内に7個ずつの試験サンプルを投入し、所定の経過時間毎に一旦全てのサンプルを取り出して、暗室内においてバックライトで目視観察して割れの有無を確認した。そして、投入した全サンプル数(7個)に対する、割れが発生したサンプル数の割合(%)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2009103854
実施例1で得られた偏光板は、480時間が経過しても何の損傷も認められなかったのに対して、比較例1で得られた偏光板では480時間で、比較例2で得られた偏光板では240時間という短時間で、ポリビニルアルコールフィルムの延伸方向に割れが観察された。
さらに、比較例1の偏光板に生じた割れ部位を顕微鏡で観察したところ、微小欠陥が割れの起点となっていることがわかった。他方、比較例2の偏光板に生じた割れ部位を顕微鏡で観察したところ、比較例1のような微小欠陥は認められなかったことから、比較例2の場合は、起点起因の割れではなく、乾燥時の張力が高すぎたために延伸直交方向への応力緩和が小さくなり、その結果、低温・高温状態に繰り返し曝される過酷な条件下において高収縮応力が発生したことが、割れ発生の原因と考えられた。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素で染色処理し、次いでホウ酸処理した後、乾燥処理を行うことにより偏光フィルムを製造する方法であって、
    前記乾燥処理を、表面がフッ素樹脂で形成されたガイドロールを用い、2.0×104kN/m2以下の張力で行う、ことを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である、請求項1記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. フッ素樹脂からなる収縮チューブで被覆したガイドロールを用いる、請求項1または2記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合されてなる、ことを特徴とする偏光板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合されてなる偏光板と、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1種とが貼合されてなる、ことを特徴とする光学積層体。
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