しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、製造の際に、TFTの下側に位置する基板に、凹部をエッチング等により掘るという専用工程の追加が不可欠となってしまう。更に、凹部形成後における、TFTの製造やその他の成膜工程を、その凹凸構造の存在により複雑高度化させてしまう。即ち、基板上における積層構造及び製造工程を全体に複雑困難化させてしまうという技術的問題点がある。これは、製造コストの上昇や、製造歩留まりの低下、装置の信頼性の低下に繋がるので、実践上極めて重大なる問題点である。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、比較的容易に製造可能であり、TFTにおける光リークが低減されることにより、高品位な画像表示が可能な電気光学装置及びその製造方法、並びにそのような電気光学装置を用いた電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、画素電極と、該画素電極に対応して設けられたトランジスタと、該トランジスタの少なくともチャネル領域を上側から覆う上側遮光膜と、該上側遮光膜及び前記トランジスタ間に設けられ、前記上側遮光膜を電気的に接続するためのコンタクトホールが形成されていると共に前記トランジスタの上方に凹部が形成されている、多層構造の層間絶縁膜と、該層間絶縁膜内における前記多層構造をなす複数の膜間に設けられており、前記凹部の底又は底の周囲に形成されているストッパー膜の少なくとも一片とを備え、前記上側遮光膜は、前記凹部内に形成されている壁部を含む。
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、例えば基板上に形成されたデータ線から画素電極への画像信号の供給が制御され、所謂アクティブマトリクス方式による画像表示が可能となる。尚、画像信号は、例えば、データ線及び画素電極間に電気的に接続されたスイッチング素子としてのトランジスタが、走査線から供給される走査信号に応じてオンオフされることによって、所定のタイミングでデータ線からトランジスタを介して画素電極に供給される。画素電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる透明電極であり、データ線及び走査線の交差に対応して、基板上において表示領域となるべき領域にマトリクス状に複数設けられる。
本発明に係る「トランジスタ」は、典型的にはTFTであり、基板上における積層構造中、半導体層、ゲート絶縁膜等が積層されることで構築されている。即ち、典型的には、層間絶縁膜や上側遮光膜と共に基板上において層を成している。但し、トランジスタは、厚膜型或いはバルク型などの、他の型のトランジスタであってもよい。
電気光学装置は特に、トランジスタの上層側に層間絶縁膜を有し、その上層側に上側遮光膜を有し、更に、多層構造の層間絶縁膜をなす複数の膜間に、ストッパー膜の少なくとも一片が挟持或いはサンドイッチされている。
上側遮光膜は、上述の如く動作するトランジスタにて、光源光、外光、内面反射光、多重反射光、乱反射光、戻り光等の光のチャネル領域への侵入により、光リークが引き起こされないように、少なくともチャネル領域を上側から覆う。上側遮光膜は、例えば、導電性であり、典型的にはその一部にてトランジスタに(例えば、そのソース領域又はドレイン領域に)電気的に接続され、電気光学動作を行うための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部として機能する。例えば、データ線、データ線からトランジスタへ到る中継配線、画素電位側若しくは所定電位側の容量電極、及びトランジスタから画素電極に到る中継配線などの少なくとも一つとして機能する。また、このように配線等として機能する本体部から延在された部分や分断された部分が、遮光専用に機能してもよい。いずれにしても、上側遮光膜は少なくともその一部において、コンタクトホールを介してトランジスタの一部と電気的に接続されている。
但し、上側遮光膜は、少なくともその一部において、絶縁性材料或いは半導体材料など、導電性でなくてもよい。
上側遮光膜は、層間絶縁膜よりも遮光率の高い材料から形成される。本願発明において「遮光性」とは、広義には層間絶縁膜よりも遮光性が高いことであり、狭義には層間絶縁膜よりも顕著に遮光性が高いことである。上側遮光膜は、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム等の導電性のある金属製の遮光材料から形成される。或いは、導電性のシリサイドやポリシリコン等も、層間絶縁膜よりも遮光性に優れている限り採用可能であり、該採用された遮光膜の種類や膜厚に応じて相応の遮光性能が得られる。
層間絶縁膜は、上側遮光膜及びトランジスタ間に設けられている。即ち、基板上における積層構造中、上側遮光膜とトランジスタ(典型的にはTFT)との間に、層間絶縁膜は、配置或いは挟持されている。層間絶縁膜には、上側遮光膜を電気的に接続するためのコンタクトホールが開孔されている。即ちコンタクトホール(言い換えれば、貫通孔)が層間絶縁膜に形成されている。典型的には、エッチングにより開孔されている。例えば、上側遮光膜及びトランジスタ(例えば、そのソース領域若しくはドレイン領域)間を、電気的に相互接続するためのコンタクトホールがエッチングにより開孔されている。更に、層間絶縁膜には、トランジスタの上方、典型的には、チャネル領域の斜め上方にて、層間絶縁膜用のエッチングにより、トランジスタ(例えば、そのソース領域やドレイン領域)までは貫通していない凹部が掘られている。即ち、凹部が層間絶縁膜に形成されている。凹部は、基板上で平面視して、丸い或いは矩形の穴でもよいし、長手状に真っ直ぐに又は湾曲して若しくは折れ曲がって延びる溝などでもよい。
ストッパー膜の少なくとも一片は、凹部の底又は底の周囲に形成されている。本発明に係る「ストッパー膜」とは、電気光学装置の製造工程中、層間絶縁膜にコンタクトホール及び凹部を掘る際のエッチング(即ち、エッチャント又はエッチングガス若しくはエッチング液)に対して、ストッパーとして機能する膜を意味する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、チッカ膜等が、酸化シリコン膜等から構成される層間絶縁膜用のエッチングのストッパーとして利用される。ストッパー膜は、製造工程中に、その主な使命を追え、その少なくとも一片が、層間絶縁膜の多層構造中に残存している。このストッパー膜の「一片」は、凹部の「底」を構成するように残存していてもよいし、凹部の底に残存すること無く「底の周囲」にて底よりも僅かに上方となる位置にて、凹部の周囲に環状に残存していてもよい。或いは、ストッパー膜は、凹部の「底」を含む、基板面上の全域に残存していてもよいし、凹部の「底」を除く全域に残存していてもよい。
但し、ストッパー膜は、製造後においても、遮光性に優れる場合に、遮光膜の一つ或いは一部として機能したり、耐湿性に優れる場合、水分が素子基板内へ浸入するのを遮断するように機能する。即ち、残存しているストッパー膜は、製造中に必ずしもその使命を完全に終えている訳ではない。このような機能或いは目的に応じて適宜、ストッパー膜の少なくとも一片は、凹部の底又は底の周囲に局所的に或いは局所的にのみ形成されていてもよい。或いは、ストッパー膜は、凹部の底又は底の周囲以外の領域にも形成されていてもよい。
上側遮光膜は、このように層間絶縁膜においてストッパー膜のところまで又はストッパー膜を若干過ぎたところまで、掘られた凹部内に、形成されている壁部を含む。即ち、壁部は、凹部の斜めの又は切り立った側壁面上や底面上に少なくとも部分的に形成される。上側遮光膜は、例えば、電気光学動作を行うための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部として機能する。また、複数の本体部と、チャネル領域を斜め上方から覆うべく本体部から延在又は分断されており且つこのように凹部内に形成されている壁部とを含むように構成されてもよい。
製造工程において、トランジスタ(例えば、そのソース領域又はドレイン領域)にまで到るコンタクトホール(即ち貫通孔)と同一機会に掘られているにも拘わらず、凹部(即ち非貫通孔)は、ストッパー膜の存在により、チャネル領域を含む半導体層或いはトランジスタにまで到ることはない。このため、導電性の上側遮光膜の一部である壁部が、凹部内に形成されても、トランジスタの電気的な接続状態や絶縁状態に悪影響を及ぼすことは無い。他方、凹部と同一機会に掘られているにも拘わらず、コンタクトホールに形成された上側遮光膜の配線等としての本来の機能は、コンタクトホールがストッパー膜により邪魔されること無く貫通しているので、問題なく発揮される。製造工程の簡素化の観点からは、コンタクトホール内には、上側導電層を、その本体部から連続的に一体的に形成するのが好ましいが、コンタクトホール内に、導電性の金属プラグ等を形成することも可能である。
なお、トランジスタは、表示の妨げとならないように、典型的には、画素領域内における、各画素の開口領域ではなく、非開口領域内に設けられる。ここで、「画素領域」とは、個々の画素の領域ではなく、複数の画素がマトリクス状に配列されてなる領域全体を意味し、「画像表示領域」或いは「表示領域」とも呼ばれる。「開口領域」とは、画素毎に表示に実際に寄与する光が出射する領域など、各画素において電気光学素子或いは電気光学物質による電気光学動作が実際に行なわれる領域をいう。
また、本発明に係る「非開口領域」は、画素毎の開口領域を互いに隔てる領域であり、画素毎に表示に寄与する光が出射しない領域など、各画素において電気光学素子或いは電気光学物質による電気光学動作が実際に行なわれない領域をいう。非開口領域は、例えば、データ線や走査線の少なくとも一部が遮光性を有する遮光膜から形成され、このような遮光膜により各画素に入射される光を遮光可能な領域として、基板上に開口領域を囲むように規定される。上側遮光膜は、このような非開口領域を規定する遮光膜の一部又は全部とされてよい。これに加えて又は代えて、非開口領域は、遮光専用の基板に内蔵された遮光膜、或いは基板上又は対向基板上に形成されたブラックマトリクスやブラックマスクなどにより、少なくとも部分的に若しくは冗長的に規定されてもよい。
以上の如き構造を有するので、先ず、光リークを起こし得るチャネル領域に、真っ直ぐに(即ち、基板面に垂直に)向う直線光を、チャネル領域の上側に対向して位置する上側遮光膜の部分(例えば本体部)により確実に或いは高信頼性で遮光できる。しかも、光リークを起こし得るチャネル領域に、斜めに向う光を、例えば上側遮光膜における凹部内に形成されている壁部により、極めて有効に遮光できる。また、トランジスタを構成する半導体層においてチャネル領域に隣接してLDD(Lightly Doped Drain)領域が有る場合、LDD領域への光の侵入をも、壁部により効果的に防止できる。
ここで特に、上述の如き優秀なる遮光性能を得るために、基板自体に凹部を掘る必要は無く、コンタクトホールを開孔するのと同一機会に、層間絶縁膜に凹部を掘れば足りる。言い換えれば、上側遮光膜を電気的に接続するためのコンタクトホールを開孔する工程が必須であると考えて、これを基準とすれば、追加すべき工程は概ね、ストッパー膜を成膜しパターンニングする工程だけである。即ち、基板上における積層構造及び製造工程が簡単で済み、これは、製造コストの削減、製造歩留まりの向上及び装置信頼性の向上にも繋がる。
以上説明したように、トランジスタの周囲における遮光性能に優れるので、光リークが低減されており、よって、高品位の画像を表示可能な電気光学装置を実現できる。しかも、ストッパー膜を利用することで、このように優れた電気光学装置を、比較的簡単に或いは比較的低コストで、実現できる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記ストッパー膜は、前記基板上で平面的に見て、(i)前記コンタクトホールが形成された領域及び(ii)前記画素電極が夫々形成された各画素の開口領域を、除く領域に形成されている。
この態様によれば、ストッパー膜は、コンタクトホールが形成された領域に形成されていないので、製造時において、コンタクトホール(即ち貫通孔)をストッパー膜により邪魔されること無くエッチングにより開孔できる。しかも、ストッパー膜は、各画素の開口領域に形成されていないので、製造後(即ち完成後)において、ストッパー膜の存在により開口領域における光透過率が下がる等の不具合が生じることは無い。即ち、表示画像の明るさが、ストッパー膜の存在により低下する事態を未然防止できる。逆に、ストッパー膜を、不透明な膜或いは遮光膜から構成することが可能となり、ストッパー膜を遮光膜の一部或いは一つとして機能させることも可能となる。
或いは本発明の電気光学装置の他の態様では、前記ストッパー膜は、前記基板上で平面的に見て、前記底又は前記底の周囲に局所的に形成されていると共に、前記底及び前記底の周囲を除く領域に形成されていない。
この態様によれば、ストッパー膜は、凹部の底及び底の周囲を除く領域に形成されていないので、言い換えれば、凹部の底のみ、凹部の底及び底の周囲のみ、又は凹部の底の周囲のみに局所的に形成されている。このため、製造時において、ストッパー膜により凹部をコンタクトホールをエッチングするのと同一機会に掘ることができる。しかも、製造後(即ち完成後)において、基板上の積層構造に対してストッパー膜が与える影響を最小限に済ませることが出来る。
或いは本発明の電気光学装置の他の態様では、前記ストッパー膜は、前記基板上で平面的に見て、前記コンタクトホールが形成された領域を除く領域に形成されている。
この態様によれば、ストッパー膜は、コンタクトホールが形成された領域を除く領域に形成されている。典型的には、凹部やその周囲のみならず、画素の非開口領域や開口領域の全面に設けられる。このため、製造時において、コンタクトホール(即ち貫通孔)をストッパー膜により邪魔されること無くエッチングにより開孔できる。しかも、ストッパー膜を、例えば耐湿性に優れた窒化膜等から形成しておけば、製造後(即ち完成後)において、ストッパー膜を形成した領域の大きさに応じて、電気光学装置における耐湿性を高めることも可能となる。なお、ストッパー膜に対して、耐湿性以外の機能を与えることも可能である。
上述したストッパー膜を画素の開口領域に設けない各種態様では、前記ストッパー膜は、前記層間絶縁膜に比べて遮光性に優れた遮光性材料から形成されてよい。
このように構成すれば、ストッパー膜を利用して、遮光性能を高めることが可能となる。しかも、ストッパー膜により開口領域における透過率を下げないで済み、明るく高品位の画像表示が可能となる。
上述したストッパー膜を画素の開口領域に設ける態様では、前記ストッパー膜は、前記上側遮光膜に比べて光透過性に優れた透明材料から形成されてよい。
このように構成すれば、ストッパー膜を利用して、例えば耐湿性等を高めることが可能となる。しかも、ストッパー膜により開口領域における透過率を殆ど下げないで済み、明るく高品位の画像表示が可能となる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記層間絶縁膜及び前記チャネル領域間には、前記チャネル領域に対向する位置に、前記トランジスタのゲート電極が存在しており、前記層間絶縁膜及び前記上側遮光膜は、前記ゲート電極の存在に応じて凸状に盛り上がっており、前記凹部は、前記層間絶縁膜における、前記基板上で平面的に見て、前記盛り上がった箇所から外れた箇所に、形成されている。
この態様によれば、チャネル領域に対向するゲート電極の存在により、チャネル領域上の層間絶縁膜は凸状に、言い換えれば土手状或いは山状に盛り上がっているが、その盛り上がった箇所からTFTに向って進入しようとする直進光については、上側遮光膜の本体部により遮光される。他方、その盛り上がった箇所から外れた箇所からTFTに向って侵入しようとする斜め光等については、上側遮光膜のうち、凹部内に形成された壁部或いは本体部から凹部内の壁部に延在する部分により遮光される。このように、ゲート電極の存在により、その上層側の層間絶縁膜に凹凸が生じても、上側遮光膜による遮光性能を高く維持できる。
この態様では、前記ゲート電極は、遮光性の導電材料から形成されており、前記基板上で平面的に見て、前記トランジスタにおけるソースドレイン領域のうち前記画素電極に電気的に接続される側である画素電極側ソースドレイン領域を前記チャネル領域側からU字に囲むU字部を含み、前記凹部は、前記層間絶縁膜における、前記基板上で平面的に見て、前記U字の切れた箇所を少なくとも部分的に塞ぐ箇所に、形成されてよい。
このように構成すれば、遮光性のゲート電極により、先ずU字の中央部分にてチャネル領域を上側から覆うことができ、しかも、U字の両先端部分にて、画素電極側ソースドレイン領域(例えば、ドレイン領域)やそこに隣接するLDD領域をも、斜め上方から覆うことができる。しかも、平面的に見て、ゲート電極により覆われていない領域であると共に画素電極側ソースドレイン領域やそれに隣接するLDD領域に対向する箇所である、U字部分の切れた箇所は、凹部が形成されており且つその中に上側遮光膜の壁部が設けられている。ここで特に、画素電極側ソースドレイン領域やそれに隣接するLDD領域(例えば、ドレイン側LDD領域)は、画素電極に電気的に接続された側であるが故に、光が入射した場合に、トランジスタにおけるソースドレイン領域のうちデータ線に電気的に接続された側であるデータ線側ソースドレイン領域(例えば、ソース領域)と比べて相対的に光リークを引き起こし易い。
この現象は、本願出願人らにより発見され既に公知とされているものであり、「画素電極にプラスフィールドの電荷が保持される場合(即ち、画素電極側ソースドレイン領域が、ドレインとなる場合)には、バイポーラ効果に起因した第2の電流成分は殆ど抑制されないのに対し、画素電極にマイナスフィールドの電荷が保持される場合(即ち、データ側ソースドレイン領域が、ドレインとなる場合)には、バイポーラ効果に起因した第2の電流成分は、フローティング状態である画素電極側ソースドレイン領域の電位の上昇に起因して抑制される」ことに起因する現象である。つまり「画素電極側ソースドレイン領域がドレインとなる場合の方が、データ側ソースドレイン領域がドレインとなる場合よりも、光リーク電流に起因してドレイン電流が増加する」ことに起因する現象である。
よって、このように、遮光性のゲート電極の両先端部分により画素電極側ソースドレイン領域を単独又は冗長に斜め上方から覆うと共に、凹部内の壁部により画素電極側ソースドレイン領域を直上又は斜め上方から覆う構成は、光リークを低減させる上では非常に効果的である。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記エッチングは、前記複数の膜のうちの上方膜を貫通すると共に前記複数の膜のうちの下方膜上に残存するストッパー膜上で止めらており、前記凹部は、前記ストッパー膜から底壁が形成され且つ前記上方膜から側壁が形成されてなる。
この態様によれば、コンタクトホールを開孔する際のエッチングは、ストッパー膜により完全に止められ、層間絶縁膜のうちのストッパー膜より下方側部分(即ち下方膜)にまでは到らない。よって、凹部が層間絶縁膜を貫通してTFTの半導体層等へ到ってしまう事態が、確実にして未然防止されている。特に、製造時におけるエッチングの深度制御或いは時間制御が容易となる。しかも、基板上における壁部が存在する高さを、ストッパー膜の高さにより高精度で制御できるので、製造後における装置信頼性が高まる。
或いは本発明の電気光学装置の他の態様では、前記エッチングは、前記複数の膜のうちの上方膜及び前記ストッパー膜を貫通すると共に前記複数の膜のうちの下方膜の途中で止めらており、前記凹部は、前記下方膜から底壁が形成され且つ前記下方膜、前記上方膜及び前記ストッパー膜から側壁が形成されてなる。
この態様によれば、凹部は、層間絶縁膜のうちのストッパー膜より下方側部分(即ち下方膜の途中)にまで到る。よって、より低い位置まで壁部により覆うことが出来るので、上側遮光膜全体としてキャップ状に覆う深さが深くなり、より遮光性能が高められる。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
本発明に係る電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に、トランジスタと、該トランジスタの少なくともチャネル領域を上側から覆う上側遮光膜と、該上側遮光膜及び前記トランジスタ間に設けられ、前記上側遮光膜を電気的に接続するためのコンタクトホールが形成されていると共に前記トランジスタの上方に凹部が形成されている、多層構造の層間絶縁膜とを備える電気光学装置を製造する電気光学装置の製造方法であって、前記基板上に前記トランジスタを形成する工程と、前記トランジスタの上層側に、前記多層の層間絶縁膜のうち下方膜を形成する工程と、前記形成された下方膜上に、前記層間絶縁膜用のエッチングに対するストッパー膜を成膜する工程と、前記成膜されたストッパー膜を、少なくとも前記コンタクトホールに対応する穴が開いているようにパターンニングする工程と、前記パターンニングされたストッパー膜上に、前記多層の層間絶縁膜のうち上方膜を形成する工程と、前記上方膜上に、前記コンタクトホール及び前記凹部に対応する穴が開いたレジストを形成する工程と、前記層間絶縁膜を、前記レジストを介して、前記エッチングにより貫通するまでエッチングすることで、前記コンタクトホールを開孔すると共に、前記エッチングにより前記ストッパー膜まで若しくは前記下方膜の途中までエッチングすることで、前記凹部を掘る工程と、前記エッチングされた後における前記層間絶縁膜上に、前記コンタクトホール内及び前記凹部内を含むように前記上側遮光膜を形成する工程とを備える。
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、先ず、多層構造を有する層間絶縁膜のうちの下方膜が、蒸着、スパッタリング等により成膜される。
その後、下方膜の上の一面に、層間絶縁膜用のエッチングに対するストッパー膜が成膜される。ストッパー膜は、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、チッカ膜等の、例えばSiO2からなる層間絶縁膜に比べて、層間絶縁膜用のエッチングによるエッチングレートが顕著に低い膜である。
その後、この成膜されたストッパー膜は、少なくともコンタクトホールに対応する穴が開いているようにパターンニングされる。このパターンニングは、例えばフォトリソグラフィ及びエッチングにより行われればよい。このパターンニングの際には、コンタクトホール以外に対応する穴が、例えば、各画素の開口領域に対応して開けられてもよい。
その後、パターンニングされたストッパー膜上の一面に、多層の層間絶縁膜のうち上方膜が、蒸着、スパッタリング等により成膜される。上方膜は、例えば、下方膜と同じくSiO2膜で形成される。
その後、上方膜上に、コンタクトホール及び凹部に対応する穴が開いたレジストが形成される。ここでのレジストの形成は、例えばフォトリソグラフィ及びエッチング等により行われればよい。
その後、このように形成されたレジストを介して、層間絶縁膜は、それ用のエッチングにより、一方で、貫通するまでエッチングされ、コンタクトホールが開孔される。典型的には、層間絶縁膜を貫通することで、コンタクトホールは、TFTを構成するチャネル領域を含む半導体層の延在部分である、ソース領域にまで到る。このエッチングにより、他方で、ストッパー膜まで到る凹部が掘られる。或いは、下方膜の途中まで到る凹部が掘られる。
その後、エッチングされた後における、コンタクトホールが形成されたと共にトランジスタの上方に凹部が形成された後における層間絶縁膜上に、上側遮光膜が形成される。典型的には、上側遮光膜は、コンタクトホール内及び凹部内を含む、トランジスタの少なくともチャネル領域を上側(典型的には、上側及び斜め上方)から覆うパターンを有するように形成される。また、そのパターンは、配線、電極等の上側遮光膜の(即ち上側遮光膜の本体部の)機能に応じて決められる。いずれの場合にも、凹部内には、チャネル領域を上側(典型的には、上側及び斜め上方)から覆う壁部が形成される。
以上の結果、上述した本発明の電気光学装置を、比較的容易に製造できる。即ち、基板自体に凹部を掘る必要は無く、コンタクトホールを開孔するエッチングを援用して、層間絶縁膜に凹部を掘ることで製造できる。言い換えれば、上側遮光膜を電気的に接続するためのコンタクトホールを開孔する工程が必須であると考えて、これを基準とすれば、追加すべき工程は概ね、ストッパー膜を成膜しパターンニングする工程だけである。即ち、基板上における製造工程が簡単で済み、これは、製造コストの削減、製造歩留まりの向上にも繋がる。
なお、本製造方法により製造された電気光学装置は、ストッパー膜の一片が残存している必要性は必ずしも無い。例えば、平面視して、凹部の底面と丁度同じ形状及びサイズになるようにストッパー膜がパターンニングされていれば、凹部を下方膜の途中まで掘る場合にあっては、ストッパー膜はその欠片も残存しない可能性が有る。即ち、本発明の製造方法によれば、そのようにストッパー膜が全く残存していない電気光学装置を製造することも可能である。
以上説明したように、ストッパー膜を利用することで、本発明の電気光学装置を、比較的簡単に或いは比較的低コストで、実現できる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図8を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の透明基板である。対向基板20もTFTアレイ基板10と同様に透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線の上層に、ITO等の透明材料からなる画素電極9aがマトリクス状に設けられている。画素電極9a上には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。遮光膜23上には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
尚、本実施形態では、画像表示領域10aにおける液晶層50に対して対向基板20側から入射される入射光が、TFTアレイ基板10側から表示光として出射されることを前提としている。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9a及び本発明に係る「トランジスタ」の一例としてのTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、液晶装置の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
TFT30のゲートに走査線11が電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して液晶層50(図2参照)を構成する液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
液晶層50を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70は、画像信号の供給に応じて各画素電極9aの電位を一時的に保持する保持容量として機能する容量素子である。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに電気的に接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量線300に電気的に接続されている。蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカの低減といった表示特性の向上が可能となる。尚、蓄積容量70は、後述するように、TFT30へ入射する光を遮る内蔵遮光膜としても機能する。
次に、上述の動作を実現する画素部の具体的な構成について、図4から図8を参照して説明する。ここに図4及び図5は、本実施形態における複数の画素部の平面図である。図4及び図5は、それぞれ、後述する積層構造のうち下層部分(図4)と上層部分(図5)とを分けて図示している。図6は、図4及び図5を重ね合わせた場合のC−C’断面図である。図7は、ストッパー膜の平面図である。図8は、比較例における図6と同趣旨の断面図である。
尚、図6においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、図4及び図5では、説明の便宜上、画素電極9aより上側に位置する部分の図示を省略している。更に、図4及び図5では、ストッパー膜の図示を省略しており、図7では、ストッパー膜を抜粋して示している。
図5において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられている(点線によって、その輪郭が示されている)。
図4及び図5に示すように、画素電極9aの縦横の境界にそれぞれ沿ってデータ線6c及び走査線11が設けられている。即ち、走査線11は、X方向に沿って延びており、データ線6aは、走査線11と交差するように、Y方向に沿って延びている。走査線11及びデータ線6aが互いに交差する交差領域の各々にはTFT30(図4参照)が設けられている。
データ線6cは、走査線11との交差領域の夫々において、図4中左側に突出しており、TFT30とのコンタクトをとるための長い角状の延在部分6cxを有する。データ線6cは、走査線11との交差領域の夫々において、図4中右側に突出しており、遮光性能を高めるための、その下地をなす層間絶縁膜に掘られた凹部501h内に入り込む壁部を含む、短い角状の延在部分6cyを有する。
走査線11、データ線6c、蓄積容量70、中継層94及びTFT30は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画素電極9aに対応する各画素の開口領域(即ち、各画素において、表示に実際に寄与する光が透過又は反射される領域)を囲む非開口領域内に配置されている。即ち、これらの走査線11、蓄積容量70、データ線6c、中継層94及びTFT30は、表示の妨げとならないように、各画素の開口領域ではなく、非開口領域内に配置されている。尚、走査線11、蓄積容量70及びデータ線6cは、非開口領域の一部を単独で又は冗長的にそれぞれ規定している。
図6に示すように、TFTアレイ基板10上には、走査線11、TFT30、蓄積容量70、データ線6c、画素電極9a等の各種の構成要素が積層構造をなして設けられている。
この積層構造は、下から順に、走査線11を含む第1層、半導体層4a及びゲート電極3を有するTFT30等を含む第2層、データ線6c及び中継層94を含む第3層、蓄積容量70cを含む第4層、画素電極9a等を含む第5層(最上層)からなる。また、第1層及び第2層間には下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4層間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43がそれぞれ設けられており、上述した各要素間が短絡することを防止している。第4層には、蓄積容量70の電極間ショートを防ぐべく層間絶縁膜61が、誘電体膜75cと共に両電極間に設けられている。
また、これら各種の絶縁膜12、41、42及び43には、例えば、TFT30の半導体層4a中のデータ線側ソースドレイン領域4dとデータ線6cとを電気的に接続するコンタクトホール81c等が形成されている。以下では、これらの各要素について、下から順に説明を行う。尚、上述した積層構造のうち第1層から第3層までが、下層部分として図4に図示されており、第4層から第5層までが上層部分として図5に図示されている。
(第1層の構成―走査線11等―)
図6において、第1層として、走査線11が設けられている。走査線11は、例えばW(タングステン)、Ti(チタン)、TiN(チタンナイトライド)等の高融点金属材料等の遮光性導電材料からなる。尚、走査線11は、戻り光等を遮光するための、下側遮光膜の一例を構成する。
図4に示すように、走査線11は、X方向に沿うように、ストライプ状にパターニングされている。更に、走査線11は、X方向に沿うように延びる本線部分11xと、各交差領域にてゲート電極3とのコンタクトを取れるように且つ下側遮光膜としての遮光性能を高めるために幅広に形成された張出部分11tを有すると共に張出部分11tからY方向に沿ってデータ線6aに重なるように延設された延設部分11yとを備えている。相隣接する走査線11の延設部分11yは相互に接続されることはなく、従って、該走査線11は1本1本分断された形となっている。走査線11は、TFTアレイ基板10側から装置内に入射する戻り光からTFT30の半導体層4a(特に、チャネル領域4a’及びその周辺)を遮光する下側遮光膜として機能する。即ち、TFT30の半導体層4aに入射する戻り光を、下側遮光膜としての本線部分11x及び延設部分11yに加えて、張出部分11tによって有効に遮光できる。更に、張出部分11tは、各画素の開口領域の四隅の各々に形成されている。よって、半導体層4aに入射する戻り光を、張出部分11tによってより確実に遮光できる。
(第2層の構成―TFT30等―)
図6において、第2層として、TFT30が設けられている。
図4及び図6に示すように、TFT30は、半導体層4a及びゲート電極3cを含んで構成されている。
半導体層4aは、例えばポリシリコンからなり、X方向に沿ったチャネル長を有するチャネル領域4a’、データ線側LDD領域4b及び画素電極側LDD領域4c、並びにデータ線側ソースドレイン領域4d及び画素電極側ソースドレイン領域4eからなる。即ち、TFT30はLDD構造を有している。
データ線側ソースドレイン領域4d及び画素電極側ソースドレイン領域4eは、チャネル領域4a’を基準として、X方向に沿ってほぼミラー対称に形成されている。データ線側LDD領域4bは、チャネル領域4a’及びデータ線側ソースドレイン領域4d間に形成されている。画素電極側LDD領域4cは、チャネル領域4a’及び画素電極側ソースドレイン領域4e間に形成されている。データ線側LDD領域4b、画素電極側LDD領域4c、データ線側ソースドレイン領域4d及び画素電極側ソースドレイン領域4eは、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層4aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。データ線側LDD領域4b及び画素電極側LDD領域4cはそれぞれ、データ線側ソースドレイン領域4d及び画素電極側ソースドレイン領域4eよりも不純物の少ない低濃度な不純物領域として形成される。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、ソース領域及びドレイン領域に流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下及びオフリーク電流の上昇を抑制できる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、データ線側LDD領域4b、画素電極側LDD領域4cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極をマスクとして不純物を高濃度に打ち込んでデータ線側ソースドレイン領域及び画素電極側ソースドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
走査線11及び半導体層4a間は、下地絶縁膜12によって絶縁されている。下地絶縁層12は、走査線11から半導体層4aを絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
図4及び図6に示すように、ゲート電極3cは、半導体層4aよりもゲート絶縁膜2aを介して上層側に配置されている。即ち、TFT30は、トップゲート型のTFTとして形成されている。ゲート電極3cは、例えば例えば導電性ポリシリコンや、W、Ti、TiN等の高融点金属材料等の遮光性の導電材料からなる。
図4に示すように、ゲート電極3cは、TFT30のチャネル領域4a’に重なる本体部分3caと、本体部分3caを中心として、右側に開いたU字状或いはコの字状に延設される延設部分32とを有している。ゲート電極3cは、下地絶縁膜12を貫通して開孔されたコンタクトホール82cを介して、走査線11と互いに電気的に接続されている。
コンタクトホール82cは、半導体層4aの両側(即ち図4中上側及び下側)にそれぞれ1つずつ、X方向に沿った壁状の遮光体として形成されている。よって、半導体層4aに対して両側(即ち図4中上側及び下側)から斜めに入射される光を遮光できる。従って、TFT30に対する遮光性を高めることができ、例えばTFT30における光リーク電流をより確実に低減できる。
尚、本実施形態では、各TFT30のゲート電極3cをそれぞれ分離して形成したが、例えば、同一の走査線11に対応するTFT30(即ち、X方向に沿って互いに隣接するTFT30)のゲート電極3cを互いに繋ぐように形成してもよい。言い換えれば、同一の走査線11に対応するTFT30のゲート電極3cを含む、半導体層4aに対して走査線11とは反対側の層に配置された他の走査線として形成してもよい。この場合には、走査線を二重配線として構成でき、ゲート電極3cに走査信号をより確実に供給できる。
(第3層の構成―データ線6c等―)
図6において、第3層としてデータ線6cが設けられている。また、第3層には、中継層94が、データ線6cと同一膜から形成されている。
図4及び図6に示すように、データ線6cは、Y方向に沿って延びる本線部分と該本線部分からX方向に沿って延設された延設部分6cx及び延設部分6cyとを有している。データ線6cは、延設部分6cxにおいて、半導体層4aのデータ線側ソースドレイン領域4dに、第1層間絶縁膜41及びゲート絶縁膜2aを貫通して開孔されたコンタクトホール81cを介して電気的に接続されている。データ線6c及びコンタクトホール81c内部は、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl含有材料、又はAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からなる。データ線6cは、TFT30を遮光する機能も有している。
中継層94は、第1層間絶縁膜41上においてデータ線6cと同層に形成されている。中継層94は、第1層間絶縁膜41及びゲート絶縁膜2aを貫通して開孔されたコンタクトホール83cを介して画素電極側ソースドレイン領域4eに電気的に接続される共に、第2層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール84c(図5及び図6参照)を介して後述する蓄積容量70cの下部容量電極71cに電気的に接続されている。更に、下部容量電極71cは、後述する絶縁膜61及び第3層間絶縁膜43を貫通して開孔されたコンタクトホール85c(図5参照)を介して画素電極9aに電気的に接続されている。即ち、中継層94は、下部容量電極71bと共に画素電極側ソースドレイン領域4e及び画素電極9a間の電気的な接続を中継する。
本実施形態では特に、第1層間絶縁膜41は、本発明に係る「多層構造の層間絶縁膜」の一例として、多層構造をなす下方膜41a及び上方膜41bを有し、これら下方膜41a及び上方膜41b間に、ストッパー膜500が挟持されている多層構造を有する。
図7に示すように、ストッパー膜500は、概ね非開口領域の大部分に形成されており、より詳細には格子状の非開口領域のうちコンタクトホール81c及び83cを除く平面領域に形成されている。
図6及び図7に示すように、ストッパー膜500は、これらのコンタクトホール81c及び83cを、後で詳述するようにエッチングで開孔する際に、凹部501hを非貫通孔とするためのストッパーとして機能し、このエッチングにて掘られる凹部501hの底をなしている。
このように、基板上における積層構造中、本発明に係る「上側遮光膜」として機能するデータ線6c及び中継層94とTFT30との間に介在する第1層間絶縁膜41には、データ線6cを電気的に接続するためのコンタクトホール81c及び83cが、エッチングにより開孔されている。更に、第1層間絶縁膜41には、チャネル領域4a'の斜め上方にて、層間絶縁膜用のエッチングにより、貫通していない凹部501hが掘られている。凹部501hは、基板上で平面視して、ゲート電極3cのU字状の切れた側(図4中右側)を塞ぐ位置にて、平面形状が矩形となるように、掘られてる。
ストッパー膜500は、電気光学装置の製造工程中、第1層間絶縁膜41にコンタクトホール81c及び83c並びに凹部501hを掘る際のエッチャントに対して、ストッパーとして機能する、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)からなる。ストッパー膜500は、各画素の開口領域に設けられていないので、遮光率或いはOD(Optical Density:光学濃度)値の高いAl2O3等の遮光性の材料膜をストッパー膜500として使用でき、ストッパー膜500の存在自体による遮光性能の向上も見込める。
このように、ストッパー膜500は、製造後においても、遮光膜の一つとして機能し、非開口領域をデータ線6c等と共に冗長的に規定する。
データ線6cは、ストッパー膜500のところまで掘られた凹部501h内に、形成されている壁部6wを含む。壁部6wは、図4に示した延在部分6cyが、凹部501h内に落ち込んでなる部分である。よって、光リークを起こし得るチャネル領域4a’に、斜めに向おうとする光を、壁部6wにより、極めて有効に遮光できる。
図8に示した比較例を参照して、この斜め光に対する遮光性能について検討を加える。図8の比較例は、本実施形態と比べて、ストッパー膜500が無く、層間絶縁膜41は単一層構造を有する。更に、図8の比較例では、凹部501hが掘られておらず、壁部6wも存在しない。その他の構成については本実施形態の場合と同様である。
図8において、データ線6cの右端は、平坦なままであり凹部501h内にて、チャネル領域4a’及びその周辺を斜め上方から囲う壁部6wがないので、斜め光に対する遮光性能が低いことがよく理解できる。
再び図6において、データ線6cは、先ず、光リークを起こし得るチャネル領域4a’に、真っ直ぐに向う直線光を、チャネル領域4a’の上側に対向して位置するデータ線6cの部分により確実に或いは高信頼性で遮光できる。しかも、光リークを起こし得るチャネル領域4a’に、斜めに向う光を、壁部6wにより、極めて有効に遮光できる。特に、光リークを起こし易い画素電極側ソースドレイン領域4eに近い側のLDD領域4c側に、壁部6wが形成されているので、ここに起因する光リークを効果的に低減できる。
しかも、後に詳述する製造工程において、半導体層4aにまで到るコンタクトホール81c及び83cと同一機会に掘られているにも拘わらず、凹部501hは、ストッパー膜500の存在により、半導体層4aにまで到ることない。このため、データ線6cの一部である導電性の壁部6wが、凹部501h内に形成されても、TFT30の電気的な接続状態や絶縁状態に悪影響を及ぼすことは無い。他方、凹部501hと同一機会に掘られているにも拘わらず、コンタクトホール81c及び83cは貫通孔として、その本来の機能が発揮される。
図6及び図8を見比べれば分かるように、本実施形態の積層構造と比較例のそれとの間における相違は僅かであり、ストッパー膜500の存在により、このような遮光性能に優れた壁部6wを含むデータ線6cを構築できるので、本実施形態は実践上有利である。加えて、後に詳述するように、製造工程についても、図8の比較例を製造する場合に比べて、追加すべき工程は僅かで済むので、実践上極めて有利である。
(第4層の構成―蓄積容量70c等―)
図6において、第4層として蓄積容量70cが設けられている。蓄積容量70cは、図3の等価回路に示した蓄積要領70の一例であり、データ線6cよりも、第2層間絶縁膜42を介して上層側に設けられている。
蓄積容量70cは、上部容量電極300cと下部容量電極71cとが誘電体膜75cを介して対向配置されることにより形成されている。下部容量電極71c、誘電体膜75c及び上部容量電極300cは、下層側からこの順に積層されている。
第2層間絶縁膜42及び第3層間絶縁膜43間には、絶縁膜61が、下部容量電極71c及び上部容量電極300c間に部分的に介在するように設けられている。
図5及び図6に示すように、上部容量電極300cは、容量線300の一部として形成されている。容量線300は、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設されている。上部容量電極300cは、容量線300を介して定電位源と電気的に接続され、固定電位に維持された固定電位側容量電極である。上部容量電極300cは、例えばAl、Ag等の金属又は合金を含んだ非透明な金属膜から形成されており、TFT30を遮光する上側遮光膜としても機能する。尚、上部容量電極300cは、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pd等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等から構成されていてもよい。
下部容量電極71cは、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域4e及び画素電極9aに電気的に接続された画素電位側容量電極である。より具体的には、下部容量電極71は、コンタクトホール84c、中継層94及びコンタクトホール83cを介して画素電極側ソースドレイン領域4eに電気的に接続されると共に、コンタクトホール85cを介して画素電極9aに電気的に接続されている。下部容量電極71cは、例えばAl、Ag等の金属又は合金を含んだ非透明な金属膜から形成されており、TFT30を遮光する、更なる上側遮光膜としても機能する。尚、下部容量電極71cは、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pd等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等から構成されていてもよい。
誘電体膜75は、例えばHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜若しくは窒化シリコン膜又はアルミナやハフニア等の絶縁性を有する金属酸化物等から構成された単層構造、或いは多層構造を有している。
図5に示すように、下部容量電極71cは、走査線11及びデータ線6aが互いに交差する交差領域において開口領域の隅から開口領域の中央へ向かって張り出した張出部分71ctを有している。張出部分71ctは、図4を参照して上述した張出部分11tに概ね重なると共に非開口領域の一部を規定するように形成されている。
コンタクトホール84cは、張出部分11t及び71ctと重なるように配置される。これにより、半導体層4aに対して、それよりも上層側から斜めに入射しようとする光を、壁部6wに加えてコンタクトホール84cによっても(即ち、下部容量電極71cのうちコンタクトホール84c内に形成された部分によっても)遮光できる。
(第5層の構成―画素電極9a等―)
図6において、第5層として画素電極9aが設けられている。画素電極9aは、蓄積容量71cよりも第3層間絶縁膜43を介して上層側に形成されている。
図5及び図6に示すように、画素電極9aは、下部容量電極71c、コンタクトホール83c、84c及び85c、並びに中継層94を介して半導体層4aの画素電極側ソースドレイン領域4eに電気的に接続されている。
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置によれば、TFT30に対する遮光性を高めつつ開口率を向上させることができ、最終的に明るく高品位な画像を表示できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る液晶装置について、図9及び図10を参照して説明する。ここに図9は、第1実施形態における図6と同趣旨の図面であり、図10は、第1実施形態における図7と同趣旨の図面である。尚、図9及び図10において、図6及び図7に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図9及び図10において、第2実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態と比べて、ストッパー膜の平面レイアウトが異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。即ち、第2実施形態では、ストッパー膜502が、凹部501hの底付近にのみ設けられており、即ち交差領域にのみ局所的に且つ分断して設けられており、その他の非開口領域には設けられていない。
このように、ストッパー膜502を僅かに設けるだけでも、コンタクトホール81c及び83cを開孔するのと同一エッチングにより、凹部501hを掘ることができ、壁部6wを第1実施形態の場合とほぼ同様に形成できる。この場合にも、第1実施形態の場合と同様に、ストッパー膜502が各画素の開口領域に設けられていないので、OD値の高い遮光性の材料膜をストッパー膜502として使用でき、ストッパー膜502の存在自体による遮光性能の向上も見込める。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る液晶装置について、図11を参照して説明する。ここに図11は、第1実施形態における図7或いは第2実施形態における図10と同趣旨の図面である。尚、図11において、図7に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図11において、第3実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態と比べて、ストッパー膜の平面レイアウトが異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。特にその断面については、上述した第1実施形態に係る図6に示したものと同様である。即ち、第3実施形態では、ストッパー膜503が、コンタクトホール81c及び83cを除く基板一面に設けられている。
このように、ストッパー膜503を非開口領域のみならず、開口領域を含めた基板一面に形成する場合、ストッパー膜503に、耐湿向上、耐久性向上などの他の機能を持たせると有利である。この場合、開口領域における光透過率が下がらないように、OD値の低い透明なストッパー膜503を採用するのが好ましい。
<製造方法>
次に、上述した第1実施形態に係る電気光学装置の製造方法について図12及び図13を参照して説明を加える。ここでは特に、ストッパー膜500、凹部501h及び壁部6wを形成する各種工程について詳細に説明する。図12及び図13は、該製造方法に係る一連の工程図(その1及びその2)である。
図12の工程S1に示すように、ガラス基板等のTFTアレイ基板10上に、例えばスパッタリング、蒸着等により、走査線11となる例えばWSi、W、Ti、TiN等の導電性金属シリサイド膜或いは金属膜を、例えば膜厚200nm程度成膜する。その後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、図4に示した平面パターンを有するように走査線11をパターンニングする。
続いて、工程S2に示すように、走査線11上の一面に、例えば蒸着等により、酸化シリコン膜等の下地絶縁膜12を、例えば膜厚400nm程度成膜する。
続いて、工程S3に示すように、半導体層4aを、例えば膜厚55nm程度成膜し、その後、工程S4に示すように、熱酸化によりゲート絶縁膜2aを、例えば膜厚50nm程度成長させる。ゲート電極は、例えばHTO膜、LTO膜等の酸化シリコン膜から形成してもよいし、或いは、窒化シリコン膜又はアルミナやハフニア等の絶縁性を有する金属酸化物等から構成された単層構造、或いは多層構造を有するように形成してもよい。
続いて、工程S5に示すように、例えば、導電性のポリシリコン膜等の成膜及びパターンニングにより、図4に示した平面パターンを有するように、ゲート電極3cを形成する。或いは、導電性の金属膜から、ゲート電極3cを形成する。
その後、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層4aに不純物を打ち込み、データ線側LDD領域4b、画素電極側LDD領域4c、データ線側ソースドレイン領域4d及び画素電極側ソースドレイン領域4eを形成する。この際、データ線側LDD領域4b及び画素電極側LDD領域4c等については、ゲート電極3cをマスクとして自己整合的に形成すればよい。
続いて、図13の工程S6に示すように、第1層間絶縁膜41のうちの下方膜41aを酸化シリコンの蒸着等により、例えば膜厚300nm程度形成する。
続いて、工程S7に示すように、ストッパー膜500となる、酸化アルミニウム等の材料膜500aを、例えばスパッタリングにより、膜厚40nm程度成膜する。その後、この材料膜500aに対するフォトリソグラフィ及びエッチングにより、図7に示した平面パターンを有するように、ストッパー膜500を形成する。特に、コンタクトホール81c及び83cになる部分には、ストッパー膜500が形成されず、凹部501hとなる部分には、ストッパー膜500が形成される。
続いて、工程S8に示すように、パターンニングを終えたストッパー膜500上に、第1層間絶縁膜41のうちの上方膜41bを酸化シリコンの蒸着等により、例えば膜厚100nm程度形成する。これにより、第1層間絶縁膜41内において、所定平面パターンを有するストッパー膜500が、下方膜41a及び上方膜41bにより挟持或いはサンドイッチされている多層構造が作成される。
続いて、工程S9に示すように、同一エッチングにより、コンタクトホール81c及び83cが開孔されると共に、凹部501hが掘られる。特に、凹部501hには、ストッパー膜500が露出すると、エッチングレートの差により、エッチングはそこより下に殆ど進行しない。このため、非貫通の凹部501hがストッパー膜を突き破って掘り進められることがないままに、貫通孔であるコンタクトホール81c及び83cが完成されることになる。このようなエッチングは、ドライエッチング若しくは指向性のある異方性エッチング、又はウエットエッチングでもよい。いずれの場合にも、下方膜41a及びストッパー膜500との間でエッチングレートは、顕著に(例えば十倍以上程度に)異なるようにエッチャントが選択される。
その後、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl含有材料、又はAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からデータ線6cが形成されると、凹部501h内には、データ線6cの延設部分6cyの一部が落ち込むことにより、壁部6wが形成されることになる。
その後、蓄積容量70c、層間絶縁膜43、画素電極9a等が順次形成されることなどにより、電気光学装置のTFTアレイ基板側が完成され、その後、対向基板側との貼り合せ、液晶注入等の工程を経て、第1実施形態に係る電気光学装置が完成される。
以上の結果、ストッパー膜500の形成及び第1層間絶縁膜41へのエッチングという、比較的簡単な工程を採用しつつ、チャネル領域4a’及びその近隣を、斜め上方から覆うための凹部501h及び壁部6wを形成できる。例えば、図8に示した比較例を製造する場合と比較した場合における製造コストの上昇を、極めて効果的に抑制できる。この際、TFTアレイ基板10自体に凹部を掘る必要は無いままに、コンタクトホール81c及び83cを開孔するエッチングを援用して、層間絶縁膜41に凹部を掘ることで、このような遮光性能に優れた電気光学装置を製造できる。基板上における製造工程が簡単で済み、これは、製造コストの削減、製造歩留まりの向上にも繋がる。
なお、上述した第2実施形態に係る電気光学装置の製造方法については、上述した第1実施形態に係る電気光学装置の製造方法において、工程S7から工程S8にかけてのストッパー膜500のパターンニングについて変更を加えれば済む。上述した第3に係る電気光学装置の製造方法については、上述した第1実施形態に係る電気光学装置の製造方法において、工程S7から工程S8にかけてのストッパー膜500の材質及びパターンニングについて変更を加えれば済む。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について、図14を参照して説明する。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。ここに図14は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
図14に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図14を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。