JP2011184665A - スチールコード被覆用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】初期接着性、耐熱接着性及び湿熱接着性の良好なスチールコード被覆用ゴム組成物、及びそれを使用した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム成分に、下記一般式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤(式中、Rは、水素、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基。)と、第13族元素を有する無機金属化合物と、を配合してなるスチールコード被覆用ゴム組成物である。
【化1】
Figure 2011184665

【選択図】なし

Description

本発明は、スチールコード被覆用ゴム組成物に関し、特に、空気入りタイヤのベルト、カーカス、チェーハー等のスチールコードを被覆するために好適に用いられるゴム組成物、及び、該ゴム組成物をスチールコードの被覆に用いた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤ、特にラジアルタイヤでは、乗用車タイヤのベルト層、トラック・バス用など大型タイヤのベルト、カーカス、チェーハー層などの補強材としてスチールコードが多用されている。タイヤの使用期間が長期化する中、スチールコードによる補強効果を高め、耐久性を長期にわたり維持することが重要視されており、スチールコードを被覆するゴム組成物にはスチールコードとの優れた接着性が要求されている。
従来、かかるスチールコード被覆用ゴム組成物の加硫促進剤としては、金属との接着性に良好な結果を与えるという理由で、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(以下、DCBSという。)が広く用いられている。
しかしながら、DCBSが第一種監視化学物質に指定されたことから、DCBSの代替として、他のスルフェンアミド系加硫促進剤やチアゾール系加硫促進剤などを用いることが検討されている。ところが、これらの加硫促進剤では金属との接着性が十分でないため、初期接着性、耐熱接着性(耐熱老化後の接着性)、湿熱接着性(湿熱老化後の接着性)の全ての接着性を同時に満足させることは困難であった。
DCBSの代替品に関する技術として、下記特許文献1には、ジチオサリチル酸と有機金属塩、更に必要に応じてスルフェンアミド系加硫促進剤を併用することが開示されており、該スルフェンアミド系加硫促進剤として、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを用いることが開示されている。また、下記特許文献2には、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどのベンゾチアゾリルスルフェンアミドを用いる点が開示されており、更に、下記特許文献3には、N−エチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤を用いる点が開示されている。これらの文献には、本発明に規定されたスルフェンアミド系加硫促進剤については開示されているものの、かかる特定の加硫促進剤と、特定の無機金属化合物とを併用することについては開示されていない。
一方、下記特許文献4には、スチールコード被覆用ゴム組成物において、ホウ酸亜鉛を配合することが開示されている。しかしながら、この文献において、ホウ酸亜鉛は、シリカとシランカップリング剤との反応により発生するエタノールに起因するブリスター(気泡の発生)を抑制するために配合されており、本発明で規定された加硫促進剤との併用についても、またこの併用による有利な効果についても開示されていない。
また、下記特許文献5には、ベルト層のタイヤ半径方向外側面に配設されたゴム部材に、シリカや水酸化アルミニウムなどの多孔質無機充填剤を配合することが開示されており、水酸化アルミニウムは第13族元素を有する無機金属化合物に該当する。しかしながら、この文献において、水酸化アルミニウムは、タイヤ外部からベルト層への水分の侵入を防止するために水分を吸収する多孔質無機充填剤として配合されており、本発明で規定された加硫促進剤との併用についても、またこの併用による有利な効果についても開示されていない。
特開2008−127536号公報 特開2009−007549号公報 WO2009/084617A1 特開2008−156448号公報 特開2000−079807号公報
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、DCBSの代替品として用いられる特定の加硫促進剤について、金属との接着性を改善して、初期接着性、耐熱接着性及び湿熱接着性の良好なスチールコード被覆用ゴム組成物、及びそれを使用した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るスチールコード被覆用ゴム組成物は、ジエン系ゴム成分に、下記一般式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤と、第13族元素を有する無機金属化合物と、を配合してなるものである。
Figure 2011184665
式(1)中、Rは、水素、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基である。
また、本発明に係る空気入りタイヤは、上記スチールコード被覆用ゴム組成物を、タイヤのベルト層、カーカス層、及びチェーハー層の少なくとも1つを補強するスチールコードの被覆ゴムに用いたものである。
本発明によれば、加硫促進剤として上記特定のスルフェンアミド系加硫促進剤を用いるとともに、上記特定の無機金属化合物を併用することにより、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性がいずれも良好なゴム組成物を得ることができ、これにより、耐久性能に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係るゴム組成物においては、ゴム成分としてジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、及び/又はジエン系合成ゴムが用いられる。ジエン系合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)などが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか一種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。この中でも、伸長結晶化しやすく破壊特性に優れるNRを主成分とすることが好ましく、即ち、NR単独、又は、NR60重量%以上とジエン系合成ゴム40重量%以下とのブレンドを用いることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物には、加硫促進剤として、上記一般式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤が配合される。式(1)中、Rは、水素、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基である。Rが水素以外の場合、RとRは同一でも異なってもよい。好ましくは、Rは直鎖アルキル基又は分岐アルキル基であり、Rは分岐アルキル基である。
上記R及びRにおけるアルキル基は、直鎖のアルキル基、又は分岐構造を持つアルキル基であり、シクロアルキル基のような環状構造を持つものは含まれない。直鎖アルキル基の炭素数は1〜10であるが、より好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜6である。分岐アルキル基の炭素数は3〜10であるが、より好ましくは3〜8である。これらアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、n−ノニル基、2−エチルヘプチル基、n−デシル基、2−エチルオクチル基などが挙げられる。
式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤の具体例としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N−エチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−n−プロピル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−イソプロピル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−n−ブチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−イソブチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−sec−ブチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ(2−メチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、より好ましくは、N−エチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−n−プロピル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ(2−メチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを用いることである。
式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して0.1〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量部である。0.1質量部未満では、十分に加硫しなくなり、逆に、3質量部を超えると、ゴムとスチールコードとの接着性が悪化する場合がある。
本発明に係るゴム組成物において、加硫促進剤としては、基本的には、式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤を単独で用いるが、本発明の効果を損なわない限り、他の加硫促進剤を併用してもよい。
本発明に係るゴム組成物には、式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤とともに、第13族元素を有する無機金属化合物が配合される。かかる無機金属化合物を配合することにより、式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤を単独で用いた場合における不十分な接着性を改善して、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性がいずれも良好なゴム組成物とすることができる。
第13族元素とは、元素周期表の第13族に属する元素であり(族番号はIUPAC勧告に従う。)、これには、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)が含まれる。これらの中でも、ホウ素、アルミニウム、ガリウムが好ましく、より好ましくはホウ素、アルミニウムである。すなわち、第13族元素を有する無機金属化合物としては、ホウ素又はアルミニウムを有する無機金属化合物が特に好ましく用いられる。
ホウ素を有する無機金属化合物としては、無機ホウ酸金属塩が特に好ましくは用いられる。なお、ホウ酸化合物としては、ホウ酸三ネオデカン酸などのホウ素含有有機酸の金属塩をゴム組成物に配合することも知られているが(上記特許文献1の段落0011参照)、このような有機酸の金属塩では、ゴム組成物の未加硫特性において粘度が上昇するなどの不具合が生ずるおそれがある。無機ホウ酸金属塩であれば、このような不具合がなく、上記のように接着性を改善することができる。
無機ホウ酸金属塩としては、ホウ酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩)、亜鉛塩、アルミニウム塩などの各種金属塩が挙げられる。無機ホウ酸金属塩の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛3.5水和物(2ZnO・3B・3.5HO)、四ホウ酸亜鉛(ZnB)、メタホウ酸亜鉛(Zn(BO)、塩基性ホウ酸亜鉛(ZnB・2ZnO)などのホウ酸亜鉛;メタホウ酸バリウム(n(BaO・B・HO))などのホウ酸バリウム;ホウ酸マグネシウム(2MgO・3B・nHO);ホウ酸カルシウム(CaO・B・nHO);メタホウ酸ナトリウム(NaBO・4HO)、二ホウ酸ナトリウム(Na・HO)、四ホウ酸ナトリウム(Na)、五ホウ酸ナトリウム(NaB・5HO)、六ホウ酸ナトリウム(Na10)、八ホウ酸ナトリウム(Na13)などのホウ酸ナトリウム;メタホウ酸カリウム(KBO)、四ホウ酸カリウム(K)、五ホウ酸カリウム(KB)、六ホウ酸カリウム(K10)、八ホウ酸カリウム(K13)などのホウ酸カリウム;ホウ酸アルミニウム(9Al・2B)などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
アルミニウムを有する無機金属化合物としては、無機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。アルミニウムはそれ自身が金属であるため、該無機金属化合物としては、ホウ素のように他の金属元素を含む必要はない。無機アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、硫酸アルミニウム(Al(SO・16HO)、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO・12HO)などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、無機ホウ酸金属塩と無機アルミニウム化合物を併用して配合してもよい。
第13族元素を有する無機金属化合物の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して0.2〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。0.2質量部未満では、接着性の改善効果が不十分であり、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性の全てにおいて良好な接着性が得られにくくなる。また、15質量部を超えた場合にも、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性の改善効果が小さくなる。
本発明に係るゴム組成物には、メチレン受容体とメチレン供与体を配合してもよい。メチレン受容体の水酸基とメチレン供与体のメチレン基とが硬化反応することにより、ゴムとスチールコードの接着性を更に向上することができる。
メチレン受容体としては、フェノール類化合物、又はフェノール類化合物をホルムアルデヒドで縮合したフェノール系樹脂が用いられる。該フェノール類化合物としては、フェノール、レゾルシンまたはこれらのアルキル誘導体が含まれる。アルキル誘導体には、クレゾール、キシレノールといったメチル基誘導体の他、ノニルフェノール、オクチルフェノールといった比較的長鎖のアルキル基による誘導体が含まれる。フェノール類化合物は、アセチル基等のアシル基を置換基に含むものであってもよい。
また、フェノール類化合物をホルムアルデヒドで縮合したフェノール系樹脂には、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂(即ち、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、クレゾール樹脂(即ち、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂)等の他、複数のフェノール類化合物からなるホルムアルデヒド樹脂が含まれる。これらは、未硬化の樹脂であって、液状又は熱流動性を有するものが用いられる。
これらの中でも、ゴム成分や他の成分との相溶性、硬化後の樹脂の緻密さ及び信頼性の見地から、メチレン受容体としてはレゾルシン又はレゾルシン誘導体が好ましく、特には、レゾルシン、又はレゾルシン−アルキルフェノール共縮合ホルマリン樹脂が好ましく用いられる。
これらフェノール類化合物又はフェノール系樹脂の配合量としては、ジエン系ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜4質量部である。
上記メチレン供与体としては、ヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体が用いられる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、メチロールメラミンの部分エーテル化物、メラミンとホルムアルデヒドとメタノールの縮合物等が用いられ、その中でもヘキサメトキシメチルメラミンが特に好ましい。
ヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体の配合量としては、ジエン系ゴム成分100質量部に対して0.2〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜8質量部である。
本発明に係るゴム組成物には、接着性を更に向上させるために有機酸金属塩を配合してもよい。有機酸金属塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、マレイン酸コバルトなどの有機酸コバルト塩の他に、有機酸ニッケル塩、有機酸モリブデン塩などが挙げられ、この中でも加工性の点からナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトが特に好ましい。
有機酸金属塩の配合量としては、ジエン系ゴム成分100質量部に対し、金属分換算で0.03〜0.40質量部であることが好ましい。0.03質量部未満であると初期接着性向上の効果が小さく、逆に0.40質量部を超えても接着性向上効果は得がたく、また酸化促進作用が大きくなり耐湿熱接着や耐熱接着性が低下する傾向となる。
本発明に係るゴム組成物には、補強剤としてカーボンブラック、シリカなどのフィラーを配合することができる。カーボンブラックとしては、特に制限されることはなく、例えば、SAF、ISAF、HAF、FEF級のカーボンブラックが使用でき、それらの2種以上をブレンド使用してもよい。カーボンブラックの配合量は、特に限定されないが、ジエン系ゴム成分100質量部に対し20〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量部である。
本発明に係るゴム組成物には、加硫剤としての硫黄が通常配合される。硫黄の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜8質量部である。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、オイル処理硫黄などが挙げられ、特に限定されない。
本発明に係るゴム組成物には、上記各成分の他、スチールコード被覆用ゴム組成物に一般に配合される各種配合剤を任意に配合することができる。そのような配合剤としては、例えば、亜鉛華、老化防止剤、加工助剤などが挙げられ、本発明の目的に反しない範囲で適宜配合することができる。
本発明に係るゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダなどの混合機を用いて混練し作製することができ、各種スチールコードを被覆するためのゴム組成物として用いることができる。特には、空気入りタイヤのベルト層、カーカス層、チェーハー層などの補強材として使用されるスチールコードの被覆(トッピング)ゴムとして好ましく用いられ、常法に従いスチールカレンダーなどのトッピング装置によりスチールコードトッピング反を製造し、これをタイヤ補強部材として用いて、常法に従い成形加硫することにより空気入りラジアルタイヤを製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記表1に記載の配合に従って、実施例及び比較例の各ゴム組成物を、密閉式バンバリーミキサーを用いて、常法に従い混練し調製した。表1の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3
・カーボンブラック:HAF、東海カーボン(株)製「シースト300」
・ホウ酸亜鉛:2ZnO・3B・3.5HO、ボラックス社製「フャイヤーブレイクZB−XF」
・ホウ酸マグネシウム:2MgO・3B・nHO、富田製薬(株)製
・酸化アルミニウム:Al、昭和電工(株)製「アルミナ」
・水酸化アルミニウム:Al(OH)、昭和電工(株)製「ハイジライト」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華3号」
・老化防止剤:フレキシス社製「サントフレックス6PPD」
・レゾルシン:住友化学工業(株)製
・ヘキサメトキシメチルメラミン:三井サイテック(株)製「サイレッツ963L」
・ステアリン酸コバルト:(株)ジャパンエナジー製「ステアリン酸コバルト」(Co含有率9.5重量%)
・不溶性硫黄:フレキシス社製「ミュークロンHS OT−20」
・加硫促進剤DCBS:下記式(2)で表されるN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDZ−G」
・加硫促進剤BEBS:WO2009/084538の段落0034に記載の方法により合成される下記式(3)で表されるN−エチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
・加硫促進剤BEHZ:下記式(4)で表されるN,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、川口化学工業(株)製「BEHZ」
・加硫促進剤BBS:下記式(5)で表されるN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーNS−P」
Figure 2011184665
得られた各ゴム組成物について、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性を評価した。評価方法は以下の通りである。
・初期接着性:タイヤ用に用いる黄銅メッキスチールコードを17本/25mmの打ち込み密度で平行配列したものの両面を、上記各ゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを用いて被覆してコード部材を作製した。該コード部材を2枚用いて、互いのコードが平行になるように重ね、150℃×30分の条件で加硫することにより、25mm幅の評価用の試験片を作製した。得られた試験片を、島津製作所(株)製オートグラフ「DCS500」を用いて2層のスチールコード間の剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察して0〜100%で表示し、接着性の指標とした。数値が大きいほど初期接着性が良好である。
・耐熱接着性(耐熱老化後の接着性):上記試験片を100℃のオーブン中で96時間、老化させた後、上記初期接着性と同様の剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察して0〜100%で表示した。数値が大きいほど耐熱接着性が良好である。
・湿熱接着性(湿熱老化後の接着性):上記試験片を105℃の飽和蒸気内で96時間放置した後、上記初期接着性と同様の剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察して0〜100%で表示した。数値が大きいほど湿熱接着性が良好である。
Figure 2011184665
結果は表1に示す通りであり、加硫促進剤としてDCBSを用いたコントロールである比較例1に対し、DCBSをBEBSやBEHZ、BBSに置き換えた比較例2〜4では、いずれも初期接着性が悪化しており、耐熱接着性と湿熱接着性については大幅に悪化していた。また、比較例5では、DCBSをBEBSに置換しつつ硫黄の配合量を増量してみたが、初期接着性の改良は不十分であり、また耐熱接着性と湿熱接着性も明らかに低いレベルのままであった。
これに対し、加硫促進剤としてBEBSを用いるとともに、ホウ酸亜鉛を併用した実施例1〜3では、単にBEBSで置換した比較例2に対して、初期接着性、耐熱接着性及び湿熱接着性の全てにおいて大幅な改善効果が見られ、コントロールである比較例1に比べても、これら全ての接着性において改善効果が認められた。ホウ酸亜鉛とともに加硫促進剤BEHZを用いた実施例4でも、ホウ酸亜鉛とともに加硫促進剤BBSを用いた実施例5でも、同様に、初期接着性、耐熱接着性及び湿熱接着性のいずれも良好であった。また、ホウ酸亜鉛の代わりにホウ酸マグネシウムを用いた実施例6,7でも、更には酸化アルミニウムや水酸化アルミニウムを用いた実施例8〜11でも、加硫促進剤BEBS,BEHZとともに併用することにより、初期接着性、耐熱接着性及び湿熱接着性の全てにおいて良好な結果が得られた。メチレン受容体とメチレン供与体を更に添加した実施例12では接着性の更なる改善効果が認められた。
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物は、空気入りタイヤの補強材であるスチールコード被覆用ゴムとして有用であり、このゴム組成物を用いたゴム−スチールコード複合体は、乗用車用タイヤのベルト層、トラック・バス用などの大型タイヤのベルト、カーカス、チェーハー層などに使用することができる。

Claims (4)

  1. ジエン系ゴム成分に、下記一般式(1)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤と、第13族元素を有する無機金属化合物と、を配合してなるスチールコード被覆用ゴム組成物。
    Figure 2011184665
    (式中、Rは、水素、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、又は炭素数3〜10の分岐アルキル基である。)
  2. 前記ジエン系ゴム成分100質量部に対し、前記スルフェンアミド系加硫促進剤を0.1〜3質量部と、前記無機金属化合物を0.2〜15質量部を配合してなる、請求項1記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
  3. 前記無機金属化合物が第13族元素としてホウ素又はアルミニウムを有する、請求項1又は2記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチールコード被覆用ゴム組成物を、タイヤのベルト層、カーカス層、及びチェーハー層の少なくとも1つを補強するスチールコードの被覆ゴムに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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