JP2011184482A - 2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は酸素吸収性と接着性、及び凝集力を兼ね備えた2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料として含むポリエステルポリオールから成る主剤と、有機チタン系硬化剤から成る硬化剤成分を含む2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は酸素吸収性と接着性及び凝集力に優れた2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物に関する。
内容品保存性能を高めることを目的に、各種のガスバリアー製包装材料が提案されている。近年では特に、酸素吸収性能を有する材料を包装容器に適用した酸素吸収性包装容器が注目を集めている。酸素吸収性包装容器を実現する方法の一つとして、酸素吸収性樹脂組成物を塗料や接着剤として塗工する方法が提案されている。
特許文献1には、ポリオールに酸素吸収性を有する無機酸化物を配合した酸素吸収性接着剤が提案されている。しかしながら、前記酸素吸収性接着剤は、不透明である、酸素吸収性能が低い、酸素吸収性能の発現に水分が必要であり乾燥雰囲気では使用できないなどの問題があった。また、各種酸素吸収性樹脂を用いた塗料や接着剤が提案されている(例えば、特許文献2)が、酸素吸収性と接着性及び凝集力を兼ね備えた例はない。
特開2006−131699号公報 国際公開第2006/080500号パンフレット
したがって、本発明は酸素吸収性と接着性及び凝集力を兼ね備えた2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料として含むポリエステルポリオールから成る主剤と、有機チタン系硬化剤から成る硬化剤成分を含む2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物を提供する。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物はフィルム表面に塗布し、乾燥させることにより、酸素吸収性塗料・塗膜として使用することが出来る。さらには本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物を多層包装材料の接着剤として用いることにより、例えば従来のドライラミネート用接着剤の代替として用いることにより、優れた脱酸素性能を有する軟包材を低コストかつ簡単に製造することができる。この酸素吸収性軟包材により、酸素に敏感な食品や医薬品、電子部品等の品質を長期間維持することができる。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物は、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料として含むポリエステルポリオールから成る主剤と、有機チタン系硬化剤から成る硬化剤成分を含む。
テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体は、好ましくはメチルテトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はメチルテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体である。
また、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体は、好ましくは(i)及び(ii)からなる群より選ばれる構造を有する酸成分を50モル%以上、好ましくは60モル%以上含有する:
(i)下記構造(a)及び(b)の両方の基に結合し、かつ、1個又は2個の水素原子と結合した炭素原子を有し、該炭素原子が脂環構造に含まれているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物;
(a)炭素−炭素二重結合基;
(b)複素原子を含む官能基、該官能基から誘導される結合基、炭素−炭素二重結合基及び芳香環からなる群より選ばれる基;及び
(ii)不飽和脂環構造内の炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子が電子供与性置換基及び水素原子と結合し、かつ、該炭素原子に隣接する別の炭素原子が複素原子を含む官能基又は該官能基から誘導される結合基と結合しており、該電子供与性置換基と複素原子を含む官能基又は該官能基から誘導される結合基とがシス位に位置しているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物。
構造(b)の複素原子を含む官能基又は該官能基から誘導される結合基としては、例えば水酸基、カルボキシル基、ホルミル基、アミド基、カルボニル基、アミノ基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレア結合等が挙げられる。好ましくは、複素原子が酸素を含んでいる官能基又は該官能基から誘導される結合基であり、例えば水酸基、カルボキシル基、ホルミル基、アミド基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレア結合である。さらに好ましくは、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、エステル結合及びアミド結合である。
構造(b)の芳香環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジフェニル環などが挙げられる。好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環であり、さらに好ましくは、ベンゼン環である。
(i)の構造を有する酸成分として、Δ2−テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体、Δ3−テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体、Δ2−テトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体、Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を挙げることが出来る。好ましくは、Δ3−テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はΔ3−テトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体であり、特に好ましくは4−メチル−Δ3−テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又は4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体である。4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸は、例えば、イソプレンを主成分とするナフサのC5留分を無水マレイン酸と反応させた、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を含む異性体混合物を、構造異性化することにより得ることが出来、工業的に製造されている。
(ii)の構造を有する酸成分として、特に好ましくはcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体である。cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸は、例えば、トランス−ピペリレンを主成分とするナフサのC5留分を無水マレイン酸と反応させることにより得ることが出来、工業的に製造されている。
テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体として、多くの化合物を挙げることが出来るが、その中でも前述の(i)の構造を有する酸成分及び(ii)の構造を有する酸成分は、酸素との反応性が非常に高いため、本発明のポリエステルポリオールの原料として好適に使用できる。これらの(i)の構造を有する酸成分及び(ii)の構造を有する酸成分は単独で使用することも出来るが、2種類以上を組み合わせて使用することも好ましい。前述の(i)の構造として好適な4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸と(ii)の構造として好適なcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物は、トランス−ピペリレン及びイソプレンを主成分とするナフサのC5留分を無水マレイン酸と反応させた、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸と4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物を構造異性化することにより、工業品として低コストで容易に得ることが出来る。このように安価な異性体混合物を、本発明のポリエステルポリオールの原料として使用することは、産業応用を考えると特に好ましい。
また、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を含む原料を重合して得ることができるポリエステルポリオールには、酸素吸収反応を促進させるために酸素吸収反応触媒(酸化触媒)を添加しても良い。しかしながら、前述の(i)の構造を有する酸成分及び(ii)の構造を有する酸成分を含む原料を重合して得ることができるポリエステルポリオールは酸素との反応性が極めて高いことから、酸素吸収反応触媒の不在下において、実用的な酸素吸収性能を発現することができる。また、ポリエステルポリオールを用いて樹脂組成物の調製や樹脂組成物を用いた加工をする際に、酸素吸収反応触媒が原因となる過度の樹脂劣化に起因するゲル化等を防止するためにも、触媒量の酸素吸収反応触媒を含まないことが望ましい。ここで、酸素吸収反応触媒としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅の遷移金属と有機酸からなる遷移金属塩が挙げられる。また、「触媒量の酸素吸収反応触媒を含まない」とは、一般に酸素吸収反応触媒が遷移金属量で10ppm未満であることを意味し、好ましくは1ppm未満である。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収性能はポリエステルポリオールのガラス転移温度に依存する。十分な酸素吸収性能を得るためのポリエステルポリオールのガラス転移温度の範囲は−20℃〜15℃の範囲であり、好ましくは−10℃〜10℃の範囲であり、より好ましくは−5℃〜8℃の範囲である。ガラス転移温度は例えば示差走査熱量計等の機器を用いて測定することが出来る。
ポリエステルポリオールの原料である酸成分とグリコール成分の種類や組成比を制御して上述のガラス転移温度範囲に収めることにより、優れた酸素吸収性能を有する酸素吸収性樹脂組成物を得ることが出来る。さらには、接着性及び凝集力、有機溶剤への溶解性や溶液の粘度特性を制御することも出来る。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物の主剤であるポリエステルポリオールは、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体の他に、テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸やコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸など、他の酸成分を原料として含んでもよく、好ましくは芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸及びこれらの誘導体であり、さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸であり、特に好ましくはテレフタル酸である。ポリエステルポリオールを重合する際、これらの酸成分は、例えばテレフタル酸ジメチルやビス−2−ヒドロキシジエチルテレフタレートのようにエステル化されていても良い。また、無水コハク酸のように酸無水物であっても良い。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。
テレフタル酸を使用することにより、テレフタル酸のもつ凝集力によってポリエステルポリオール自体の凝集力が向上する。凝集力の向上により接着剤の接着強度が向上し、デラミネーションが抑制できる。また、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体は重合中の熱によりラジカル架橋反応を起こしやすいため、テレフタル酸等の他の酸成分によって樹脂中に含まれるテトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体の組成比が減少すると、重合中のゲル化が抑制され高分子量の樹脂を安定的に得ることが出来る。また、多価カルボン酸の導入で樹脂の分岐構造を制御することにより、溶媒に溶解したポリエステルポリオール溶液の粘度特性を調整できる。
テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体の全酸成分に対する割合は、好ましくは40〜90モル%であり、より好ましくは50〜80モル%、さらに好ましくは60〜80モル%である。また、芳香族ジカルボン酸を全酸成分に対して15〜35モル%含むことが好ましく、より好ましくは20〜35モル%であり、さらに好ましくは20〜30モル%である。このような組成比にすることにより、酸素吸収性能、接着性及び凝集力に優れ、かつ有機溶剤への溶解性に優れたポリエステルポリオールを得ることが出来る。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物の主剤であるポリエステルポリオールは、さらに原料としてグリコール成分を含む。グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−フェニルプロパンジオール、2−(4―ヒドロキシフェニル)エチルアルコール、α,α―ジヒドロキシ−1,3−ジイソプロピルベンゼン、o−キシレングリコール、m−キシレングリコール、p−キシレングリコール、α,α―ジヒドロキシ−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ヒドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ナフタレンジオール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。好ましくは、脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールであり、さらに好ましくは1,4−ブタンジオールである。1,4−ブタンジオールを用いた場合は、ポリエステルポリオールの酸素吸収性能が高く、更に自動酸化の過程で生じる分解物の量も少ない。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、原料として多価アルコール及びその誘導体を添加することも出来る。多価アルコール及びその誘導体としては、1,2,3−プロパントリオール、ソルビトール、1,3,5−ペンタントリオール、1,5,8−ヘプタントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール、グリセリン又はこれらの誘導体が挙げられる。多価アルコールの導入で樹脂の分岐構造を制御することにより、溶媒に溶解したポリエステルポリオール溶液の粘度特性を調整できる。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物の主剤であるポリエステルポリオールは当業者に公知の任意のポリエステルポリオールの重縮合方法により得ることが出来る。例えば、界面重縮合、溶液重縮合、溶融重縮合および固相重縮合である。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物の主剤であるポリエステルポリオールを合成する場合に、重合触媒は必ずとも必要としないが、例えばチタン系、ゲルマニウム系、アンチモン系、スズ系、アルミニウム系等の通常のポリエステル重合触媒が使用可能である。また、含窒素塩基性化合物、ホウ酸及びホウ酸エステル、有機スルホン酸系化合物等の公知の重合触媒を使用することもできる。
さらに、重合の際にはリン化合物等の着色防止剤や酸化防止剤等の各種添加剤を添加することもできる。酸化防止剤を添加することにより、重合中やその後の加工中の酸素吸収を抑制できるため、ポリエステルポリオールの性能低下やゲル化を抑えることができる。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは500〜100000であり、より好ましくは1000〜20000である。また好ましい重量平均分子量は1000〜200000、より好ましくは2000〜100000である。上記範囲内の分子量の場合には、接着性、凝集力および有機溶剤への溶解性に優れ、塗工液として好適な粘度特性を有する酸素吸収性樹脂組成物を得ることが出来る。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、有機ジイソシアネート等の鎖延長剤を用いて、ポリエステルポリオールを高分子量化することも出来る。有機ジイソシアネート系鎖延長剤としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。芳香族ジイソシアネート類としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネート類としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネート類としては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。さらには、これら有機ジイソシアネート類をトリメチロールプロパンアダクトやイソシアヌレート、ビュレット体等として使用することも出来る。以上の有機イソシアネートおよび有機イソシアネート誘導体は単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物の主剤であるポリエステルポリオールは、適当な有機溶剤等の溶媒に溶解させて塗料や接着剤として用いることができる。溶媒としては、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、イソプロパノール、などが挙げられる。特に酢酸エチルは残留溶剤を原因とする異臭トラブルが比較的少ないことから、軟包装のドライラミネート用接着剤の溶媒として一般的であり、産業応用を考慮するとトルエンやキシレン等を含有しない酢酸エチル単一溶剤を本発明の溶媒として用いることが好ましい。
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物の主剤であるポリエステルポリオールは、有機チタン系硬化剤から成る硬化剤成分と共に使用する。ポリオールの硬化剤として、イソシアネート系やエポキシ系、メラミン系、カルボジイミド系等が挙げられるが、一般的に包装フィルム用ドライラミネート接着剤としては、イソシアネート系硬化剤が用いられる。すなわち、ウレタン樹脂系接着剤であり、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールから成る主剤と、末端にイソシアネート基をもつイソシアネートプレポリマーから成る硬化剤との2液硬化型接着剤である。ウレタン樹脂系接着剤は、接着強度に優れ、室温付近の低温でキュアが可能であるという特長を有する。包装用フィルムにおいては、高温の熱処理はフィルムの熱収縮によるトラブルの原因となるため、接着剤の特長として室温付近での低温キュアが可能であることは必要不可欠な条件である。2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物においても、酸素吸収性ポリエステルポリオールから成る主剤とイソシアネート系硬化剤の組み合わせを適用することが考えられるが、実施例に示すように、この場合、接着強度や凝集力は向上するものの、酸素吸収性能が劇的に低下するという問題が認められた。これに対して、本発明の酸素吸収性ポリエステルポリオールと有機チタン系硬化剤を含む樹脂組成物の場合、イソシアネート系硬化剤と同様のキュア条件において、酸素吸収性能を損なうことなく凝集力および接着力を向上させることができる。
有機チタン系硬化剤とは、ポリエステルの官能基に反応し、樹脂を硬化せしめる化合物を指す。有機チタン系硬化剤のチタンの原子価は限定されないが、特に4価のチタンを有するテトラアルコキシチタン及びその誘導体が好ましい。有機チタン系硬化剤としては、例えばチタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンテトラステアロキシド、クロロトリメトキシチタン、クロロトリエトキシチタン、エチルトリメトキシチタン、メチルトリエトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、ジエチルジエトキシチタン、フェニルトリメトキシチタン、フェニルトリエトキシチタン等のチタンアルコキシド類、及びこれらの重合体等のチタンアルコキシド誘導体、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテート、チタンジヒドロキシビスラクテート等のチタンキレート類及びその誘導体、ヒドロキシチタンステアレート、トリ−n−ブトキシチタンステアレート、イソプロポキシチタントリステアレート等のアシレートチタン類及びその重合体等の誘導体が挙げられるが、これらの例に限定されない。また、これらの中でも特に好ましくは、チタンアルコキシド及びその誘導体、或いはチタンキレート類であり、さらに好ましくはチタンテトラ−n−ブトキシド重合体及びチタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)である。以上の有機チタン系硬化剤は単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じてシランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防カビ剤、硬化触媒、増粘剤、可塑剤、顔料、充填剤、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の各種添加剤を添加することができる。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は通常のドライラミネート用接着剤と同様に複数のフィルムを積層する目的で使用することが出来る。特に酸素バリア性を有するフィルム基材と、ヒートシール性および酸素ガス透過性を有するシーラントフィルムの積層に好適に使用できる。この場合、外層側から酸素バリア基材層/酸素吸収性樹脂組成物層/シーラント層の積層構成となり、外部から透過進入する酸素を酸素バリア基材により遮断することで、酸素吸収性樹脂組成物の容器外酸素による酸素吸収性能の低下を抑えると共に、酸素吸収性樹脂組成物が酸素透過性シーラントフィルムを介して容器内部の酸素を速やかに吸収できるため好ましい。
酸素バリア性を有するフィルム基材およびシーラントフィルムはそれぞれ単層でも積層体でもよい。酸素バリア性を有するフィルム基材としては、バリア層としてシリカ、アルミナ等の金属酸化物或いは金属の蒸着薄膜や、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸系樹脂或いは塩化ビニリデン系樹脂等のガスバリア性有機材料を主剤とするバリアコーティング層を有する、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム或いは二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できる。またエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリメタキシリレンアジパミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルムや、アルミ箔等の金属箔も好ましい。これらの酸素バリア性を有するフィルム基材は同種基材や2種以上の異種基材を積層して使用することも出来、また、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、セロファン、紙等を積層して使用することも好ましい。
シーラントフィルムの材料としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体、ヒートシール性を有するPET、A−PET、PETG、PBT等のポリエステルやアモルファスナイロン等を好適に使用できる。これらは二種以上の材料をブレンドして使用することも出来、同種材料や異種材料を積層して用いることも出来る。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物を用いて複数のフィルム基材をラミネートする際、公知のドライラミネーターを使用することが出来る。ドライラミネーターにより、酸素吸収性樹脂組成物のバリアフィルム基材への塗布、乾燥オーブンによる溶剤揮散、50〜120℃に加温したニップロールでのシーラントフィルムとの貼り合わせの一連のラミネート工程を実施することが出来る。前記ポリエステルポリオールの塗布量は0.1〜30g/m2、好ましくは1〜15g/m2であり、さらに好ましくは2〜10g/m2である。酸素吸収性樹脂組成物を用いてラミネートされた酸素吸収性積層フィルムは、室温付近の温度、例えば10〜60℃で硬化反応を進めるためにエージングすることも好ましい。硬化は前記ポリエステルポリオールの結晶化や有機チタン系硬化剤による架橋反応によるものであり、接着強度や凝集力が向上する。なお、エージングは、酸素吸収性積層フィルムを、例えば酸素不透過性の袋等で密封することにより、酸素不在下若しくは酸素遮断下で行うのが好ましい。これにより、エージング時の空気中の酸素による酸素吸収性能の低下を抑制することが出来る。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物を用いてラミネートされた酸素吸収性積層フィルムは、種々の形態の袋状容器や、カップ・トレイ容器の蓋材に好適に使用できる。袋状容器としては、三方又は四方シールの平パウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋等が挙げられる。
酸素吸収性積層フィルムを少なくとも一部に用いた酸素吸収性容器は、容器外部から透過する酸素を有効に遮断し、容器内に残存した酸素を吸収する。そのため、容器内の酸素濃度を長期間低いレベルに保ち、内容物の酸素が係わる品質低下を防止し、シェルフライフを向上させる容器として有用である。
特に、酸素存在下で劣化しやすい内容品として、例えば、食品ではコーヒー豆、茶葉、スナック類、米菓、生・半生菓子、果物、ナッツ、野菜、魚・肉製品、練り製品、干物、薫製、佃煮、生米、米飯類、幼児食品、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、乳製品等、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、緑茶、コーヒー等、その他では医薬品、化粧品、電子部品等が挙げられるが、これらの例に限定されない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。各値は以下の方法により測定した。
(1)数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製;HLC−8120型GPC)により、ポリスチレン換算で測定した。溶媒にはクロロホルムを使用した。
(2)酸素吸収性ポリエステル樹脂中の各モノマー単位の組成比
核磁気共鳴分光法(1H−NMR、日本電子データム社製;EX270)により、テレフタル酸由来のベンゼン環プロトン(8.1ppm)、イソフタル酸由来のベンゼン環プロトン(8.7ppm)、コハク酸由来のメチレンプロトン(2.6ppm)、テレフタル酸及びイソフタル酸から誘導されたエステル基に隣接するメチレンプロトン(4.3〜4.4ppm)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸およびコハク酸から誘導されたエステル基に隣接するメチレンプロトン(4.1〜4.2ppm)のシグナルの面積比から樹脂中の酸成分の組成比をそれぞれ算出した。溶媒には基準物質としてテトラメチルシランを含む重クロロホルムを使用した。
このとき、樹脂中の酸成分の組成比は、重合に使用した各モノマーの仕込み量(モル比)とほぼ同等であった。
(3)酸素吸収量
2cm×10cmに切り出した積層フィルム試験片を、内容積85cm3の酸素不透過性のスチール箔積層カップに仕込んでアルミ箔積層フィルム蓋でヒートシール密封し、22℃雰囲気下にて保存した。14日間保存後のカップ内酸素濃度をマイクロガスクロマトグラフ装置(アジレント・テクノロジー社製;M200)にて測定し、フィルム1cm2当たりの酸素吸収量を算出した。0.015ml/cm2以上を良好、0.015ml/cm2未満を不良とした。
(5)ラミネート強度
23℃、50%RHの雰囲気下において、T型剥離試験により試験片幅15mm、剥離速度300mm/minの測定条件で酸素吸収性接着剤によるアルミ箔−LDPE間のラミネート強度(単位:N/15mm)を測定した。4N/15mm以上を良好、4N/15mm未満を不良とした。
(6)耐クリープ性
40℃雰囲気下において、試験片幅25mm、荷重50gでアルミ箔−LDPE間のT型剥離クリープ試験を行い、2時間後に剥離距離(単位:mm)を測定した。20mm以上を不良、20mm未満を良好とした。
(実施例1)
攪拌装置、窒素導入管、Dean−Stark型水分離器を備えた500mlのセパラブルフラスコに、4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を80g、テレフタル酸(和光純薬社製)を20g、1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)を108g、重合触媒としてイソプロピルチタナート(キシダ化学社製)を63mg、及びトルエン20mlを仕込み、窒素雰囲気中150℃〜200℃で生成する水を除きながら約6時間反応させた。引き続いて反応系よりトルエンを除いた後、0.1kPaの減圧下、200〜220℃で2時間重合を行い、酸素吸収性ポリエステル樹脂を得た。このときMnは約5200で、Mwは約59000であった。
得られた酸素吸収性樹脂を酢酸エチルに20wt%の濃度で室温にて溶解した(以下、この溶液を基本溶液Aとする)。この基本溶液Aに対して、有機チタン系硬化剤として、3phr(parts per hundred resin)のチタンアルコキシド(チタンテトラ−n−ブトキシド重合体;B−4 日本曹達社製、以下チタンアルコキシドAとする)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を、二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)積層フィルムのアルミ箔面に、#18のバーコーターにて塗布した。ヘアドライヤーの温風にて溶剤を揮発させた後、積層フィルムの接着剤塗布面と30μmLDPEフィルム(タマポリ製;AJ−3)のコロナ処理面を対向させて70℃の熱ロールに通し、二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)/酸素吸収性樹脂(膜厚4μm)/30μmLDPEからなる酸素吸収性積層フィルムを得た。
得られた酸素吸収性積層フィルムを、50℃窒素雰囲気下で42時間保存後、酸素吸収量評価、ラミネート強度評価及び耐クリープ性評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例2)
基本溶液Aに対して、有機チタン系硬化剤として、3phrのチタンアルコキシド(チタンテトラ−n−ブトキシド重合体;B−10 日本曹達社製)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を用いて実施例1と同様に酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例3)
基本溶液Aに対して、有機チタン系硬化剤として、3phrのチタンキレート(チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート);TC−100 マツモト交商社製、以下チタンキレートAとする)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を用いて実施例1と同様に酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例4)
基本溶液Aに対して混合したチタンキレートAが、7phrであること以外は実施例3と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例5)
基本溶液Aに対して、有機チタン系硬化剤として、7phrのチタンキレート(チタンテトラアセチルアセトネート;TC−401 マツモト交商社製)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を用いて実施例1と同様に酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例6)
攪拌装置、窒素導入管、Dean−Stark型水分離器を備えた3000mlのセパラブルフラスコに、4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を350g、テレフタル酸(和光純薬社製)を150g、1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)を487g、重合触媒としてイソプロピルチタナート(キシダ化学社製)を296mg、及びトルエン20mlを仕込み、窒素雰囲気中150℃〜200℃で生成する水を除きながら約6時間反応させた。引き続いて反応系よりトルエンを除いた後、0.1kPaの減圧下、200〜220℃で2.5時間重合を行い、酸素吸収性ポリエステル樹脂を得た。このときMnは約5500で、Mwは約66000であった。
得られた酸素吸収性樹脂を酢酸エチルに20wt%の濃度で室温にて溶解した(以下、この溶液を基本溶液Bとする)。この基本溶液Bに対して、有機チタン系硬化剤として、0.5phr(parts per hundred resin)のチタンアルコキシド(チタンテトラ−n−ブトキシド重合体;B−4 日本曹達社製、チタンアルコキシドA)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を、二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)積層フィルムのアルミ箔面に、#18のバーコーターにて塗布した。ヘアドライヤーの温風にて溶剤を揮発させた後、積層フィルムの接着剤塗布面と30μmLDPEフィルム(タマポリ製;AJ−3)のコロナ処理面を対向させて70℃の熱ロールに通し、二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)/酸素吸収性樹脂(膜厚4μm)/30μmLDPEからなる酸素吸収性積層フィルムを得た。
得られた酸素吸収性積層フィルムを、50℃窒素雰囲気下で42時間保存後、酸素吸収量評価、ラミネート強度評価及び耐クリープ性評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例7)
基本溶液Bに対して混合したチタンアルコキシドAが、1phrであること以外は実施例6と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例8)
基本溶液Bに対して、有機チタン系硬化剤として、1phrのチタンキレート(チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート);TC−100 マツモト交商社製、チタンキレートA)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を用いて実施例6と同様に酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例9)
基本溶液Bに対して混合したチタンキレートAが、2phrであること以外は実施例8と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例10)
攪拌装置、窒素導入管、Dean−Stark型水分離器を備えた3000mlのセパラブルフラスコに、4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を399g、コハク酸(和光純薬社製)を189g、エチレングリコール(和光純薬社製)を298g、重合触媒としてイソプロピルチタナート(キシダ化学社製)を266mg、及びトルエン20mlを仕込み、窒素雰囲気中150℃〜200℃で生成する水を除きながら約5時間反応させた。引き続いて反応系よりトルエンを除いた後、0.1kPaの減圧下、200〜220℃で約3時間重合を行い、酸素吸収性ポリエステル樹脂を得た。このときMnは約3500で、Mwは約70000であった。
得られた酸素吸収性樹脂を酢酸エチルに20wt%の濃度で室温にて溶解した(以下、この溶液を基本溶液Cとする)。この基本溶液Cに対して、有機チタン系硬化剤として、1phr(parts per hundred resin)のチタンアルコキシド(チタンテトラ−n−ブトキシド重合体;B−4 日本曹達社製、チタンアルコキシドA)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を、二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)積層フィルムのアルミ箔面に、#18のバーコーターにて塗布した。ヘアドライヤーの温風にて溶剤を揮発させた後、積層フィルムの接着剤塗布面と30μmLDPEフィルム(タマポリ製;AJ−3)のコロナ処理面を対向させて70℃の熱ロールに通し、二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)/酸素吸収性樹脂(膜厚4μm)/30μmLDPEからなる酸素吸収性積層フィルムを得た。
得られた酸素吸収性積層フィルムを、50℃窒素雰囲気下で42時間保存後、酸素吸収量評価、ラミネート強度評価及び耐クリープ性評価に供した。結果を表1に示す。
(実施例11)
基本溶液Cに対して、有機チタン系硬化剤として、1phrのチタンキレート(チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート);TC−100 マツモト交商社製、チタンキレートA)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を用いて実施例10と同様に酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例1)
基本溶液Aに対して有機チタン系硬化剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例2)
基本溶液Bに対して有機チタン系硬化剤を添加しなかったこと以外は実施例6と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例3)
基本溶液Bに対して、イソシアネート系硬化剤として、2phrの芳香族イソシアネートプレポリマー;EL−443A(東洋モートン社製)を混合、振騰し、酸素吸収性接着剤を調製した。この酸素吸収性接着剤を用いて実施例1と同様に酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例4)
基本溶液Bに対して混合した芳香族イソシアネートプレポリマーが、5phrであること以外は比較例3と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例5)
基本溶液Bに対して混合した芳香族イソシアネートプレポリマーが、7phrであること以外は比較例3と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを作成、保存後、各評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例6)
基本溶液Cに対して有機チタン系硬化剤を添加しなかったこと以外は実施例10と同様に酸素吸収性接着剤を調製し、酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
Figure 2011184482
本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物はフィルム表面に塗布し、乾燥させることにより、酸素吸収性塗料・塗膜として使用することが出来る。さらには本発明の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物を多層包装材料の接着剤として用いることにより、例えば従来のドライラミネート用接着剤の代替として用いることにより、優れた脱酸素性能を有する軟包材を低コストかつ簡単に製造することができる。この酸素吸収性軟包材により、酸素に敏感な食品や医薬品、電子部品等の品質を長期間維持することができる。

Claims (6)

  1. テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料として含むポリエステルポリオールから成る主剤と、有機チタン系硬化剤から成る硬化剤成分を含む2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物。
  2. テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体がメチルテトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はメチルテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体である、請求項1に記載の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物。
  3. テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体が(i)及び(ii)からなる群より選ばれる構造を有する酸成分を50mol%以上含有する、請求項1又は2に記載の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物:
    (i)下記構造(a)及び(b)の両方の基に結合し、かつ、1個又は2個の水素原子と結合した炭素原子を有し、該炭素原子が脂環構造に含まれているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物;
    (a)炭素−炭素二重結合基;
    (b)複素原子を含む官能基、該官能基から誘導される結合基、炭素−炭素二重結合基及び芳香環からなる群より選ばれる基;
    (ii)不飽和脂環構造内の炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子が電子供与性置換基及び水素原子と結合し、かつ、該炭素原子に隣接する別の炭素原子が複素原子を含む官能基又は該官能基から誘導される結合基と結合しており、該電子供与性置換基と複素原子を含む官能基又は該官能基から誘導される結合基とがシス位に位置しているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物。
  4. (i)の構造を有する酸成分が4−メチル−Δ3−テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又は4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体であり、(ii)の構造を有する酸成分がcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体である、請求項3に記載の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4に記載の2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物から成る酸素吸収性接着剤。
  6. 少なくとも酸素バリアフィルム層、請求項5に記載の酸素吸収性接着剤から成る酸素吸収層、シーラントフィルム層から構成される酸素吸収性積層フィルム。
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