JP2011181152A - 情報記録媒体 - Google Patents

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博幸 黒川
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Abstract

【課題】インクの乾燥性を低下させることなく、情報記録時および再生時のエラーの発生が改善された情報記録媒体を提供する。
【解決手段】プリンタブルレーベル層15が無機微粒子とポリビニルアルコールを含有する多孔質層であり、プリンタブルレーベル層15が更に針状または平板状の顔料を含有する情報記録媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも基板上に光情報記録層、下地層、およびプリンタブルレーベル層を有する情報記録媒体に関しており、詳しくはインクの乾燥性を低下させることなく、情報記録時および再生時のエラーの発生が改善された情報記録媒体に関する。
現在、市場にて広く受け入れられている、光学的に情報を記録、読み込みが可能な光情報記録層を有する情報記録媒体としては、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)がある。CD、DVDとも読み出し専用のCD−ROM、DVD−ROM、1回限りの情報記録が可能な追記型のCD−R、DVD−R、DVD+R、何回でも情報記録の書き換えが可能な書き換え可能型のCD−RW、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMがある。
これらの情報記録媒体は、分類や保管を容易にするため、もしくはデータ内容を容易に確認できるようにするために、記録されたデータの内容をケース内のインデックスに記載されているが、同時にスクリーン印刷等の印刷方式により、ディスクそのものにレーベル印刷されている。
しかしながら、このように既存の印刷方式によるレーベル印刷では、大量生産では問題ないが、少量生産では、印刷用刷版の作製が必要となるためコストアップになったり、印刷デザインの変更の場合に、その都度、刷版を交換し色合わせを行う必要がある等、作業性も悪化する問題等々があった。
このような問題に対し、情報記録層に光によって記録・読み込みがなされる面の反対面にインクジェットプリンターや昇華型熱転写プリンターでレーベル印刷が可能となるようにプリンタブルレーベル層を塗設した情報記録媒体が開発され市販されている。インクジェットプリンター用としては、このようなレーベル印刷が可能な情報記録媒体の他に、特開平5−182411号公報にあるように、ラベルに印字した後、情報記録媒体に貼り付ける方式に関しても開示されているが、ラベルの位置合わせ等が非常に煩雑である。昨今、情報記録媒体のプリンタブルレーベル層に直接印字できる安価な機種が数多く発売されており、作製が非常に簡便であることから、業務用だけでなく家庭用にもこのようなインクジェット印字可能な情報記録媒体は広く普及しつつある。
このようなインクジェット印字可能な情報記録媒体のプリンタブルレーベル層としては、例えば特開2004−234764号公報、特開2004−30716号公報、特開2004−30769号公報、特表2004−503610号公報、特開2001−6225号公報、特開平8−279179号公報、特開平9−245380号公報等のように主成分として紫外線硬化型樹脂や、紫外線硬化型樹脂とインク膨潤性樹脂を併用した混合処方が使用されている。しかしながら、これらプリンタブルレーベル層は、主にインク膨潤性樹脂の膨潤を利用してインク吸収させている(以下、膨潤タイプという)ため、近年の微細空隙の毛細管現象でインク吸収させている(以下、空隙タイプという)写真印字対応のインクジェット用記録材料と比較して、印字後指で印字部を触った場合に画像や指が汚れてしまったり、インデックスと共にケースに保管した場合にインデックスに貼り付いて使用不可能になったり、また業務用としての複製システムでは、数十枚から数百枚を連続して印字する場合があり、印字後トレイに重ねられた時にメディア同士がブロッキングしたりする、いわゆるインクの乾燥性が不十分であった。また特開2004−30716号公報には紫外線硬化樹脂と多量の無機微粒子を含有するインク受容層を設けた情報記録媒体が記載されるが、より優れたインクの乾燥性が求められていた。
一方、このような紫外線硬化型樹脂からなるプリンタブルレーベル層の問題点を回避するため、例えば特開2007−76007号公報(特許文献1)、特開2007−118533号公報(特許文献2)、特開2008−251123号公報(特許文献3)、特開2009−151906号公報(特許文献4)、特開2009−151918号公報(特許文献5)、特開2009−163828号公報(特許文献6)、特開2009−199701号公報(特許文献7)、特開2004−276298号公報(特許文献8)、特開2004−276299号公報(特許文献9)、特開2005−96258号公報(特許文献10)等には、無機微粒子とポリビニルアルコールを含有する多孔質層からなるプリンタブルレーベル層が提案されている。
しかしながらこのようなプリンタブルレーベル層は、紫外線硬化樹脂からなるプリンタブルレーベル層よりもインクの乾燥性に優れる反面、温湿度が変化する環境下で保存した場合に情報記録時および再生時に悪影響を及ぼすことがあった。
特開2007−76007号公報 特開2007−118533号公報 特開2008−251123号公報 特開2009−151906号公報 特開2009−151918号公報 特開2009−163828号公報 特開2009−199701号公報 特開2004−276298号公報 特開2004−276299号公報 特開2005−96258号公報
従って本発明の課題は、インクの乾燥性を低下させることなく、情報記録時および再生時のエラーの発生が改善された情報記録媒体を提供することにある。
本願の上記課題は以下の手段で解決された。
1.基板上に、光情報記録層、下地層およびプリンタブルレーベル層を少なくとも有する情報記録媒体であって、プリンタブルレーベル層が無機微粒子とポリビニルアルコールを含有する多孔質層であり、プリンタブルレーベル層が更に針状または平板状の顔料を含有することを特徴とする情報記録媒体。
本発明によれば、インクの乾燥性を低下させることなく、情報記録時および再生時のエラーの発生が改善された情報記録媒体を提供することができる。
本発明の情報記録媒体の構成の一例を示した説明図である。
以下に本発明を詳細に説明する。図1は本発明の情報記録媒体の層構成の一例を示した説明図である。本発明の情報記録媒体は、基板10とこの基板上にデータを記録する光情報記録層11、金属箔からなるレーザーを反射させる光反射層12、光反射層を保護するための保護層13、プリンタブルレーベル層との接着性を高めたり画像の発色性や光沢を向上させるための下地層14、更に最外層にプリンタブルレーベル層15を積層形成された構造を有している。
記録および再生時に照射されるレーザーは、プリンタブルレーベル層とは反対面の基板方向から入射される。また、インクジェット記録ヘッドを有するインクジェットプリンターによって、文字や画像がプリンタブルレーベル層上に記録される。この場合、レーザーは基板を通して光情報記録層11の記録および再生を行うため、通称、基板面入射タイプと呼ばれる。また、基板の片側に光反射層、光情報記録層、保護層の順に設け、光情報記録層とは反対側の基板面に下地層、プリンタブルレーベル層を有する構成としてもよい。この場合、保護層側からレーザーを照射するため、通称、膜面入射タイプと呼ばれる。以下、基板面入射タイプに関して詳細に説明するが、いずれのタイプの層構成でも、本発明の効果が損なわれることはない。
<プリンタブルレーベル層15>
本発明の情報記録媒体が有するプリンタブルレーベル層は、無機微粒子とポリビニルアルコールを含有する多孔質層である。更にプリンタブルレーベル層は更に針状または平板状の顔料を含有する。ここで多孔質層とはプリンタブルレーベル層が微細空隙の毛細管現象によりインクを吸収する層であることを意味し、このような多孔質層とするためには、ポリビニルアルコールの含有量を、無機微粒子の固形分量に対して5〜40質量%の範囲とすることが好ましく、特に10〜30質量%とすることがより好ましい。そしてこの多孔質なプリンタブルレーベル層が針状または平板状の顔料を含有することで、温湿度が変化する環境下で保存した場合に生じる情報記録時および再生時のエラーが軽減される。
本発明に使用する針状顔料としては、トリスルホアルミン酸カルシウムと軽質炭酸カルシウム、針状カルシウムメタシリケート、ゾノライト、チタン酸カリ、ロックウール短繊維、ガラスファイバー短繊維、アルミニウムシリケート、カーボンファイバー短繊維、アラミドファイバー短繊維、針状ホウ酸アルミニウム、針状チタン酸カリウム、針状炭化珪素、針状窒化珪素、針状炭酸カルシウム、針状塩基性硫酸マグネシウム、針状酸化亜鉛、アラゴナイト型軽質炭酸カルシウム、紡錘型軽質炭酸カルシウム、サチンホワイト等が挙げられるが、好ましくは短軸径が30nm以下、長軸径/短軸径で表されるアスペクト比が5以上100以下の針状構造で、平均二次粒子径が500nm以下であるアルミナまたはアルミナ水和物を用いることが好ましい。なお、ここでいう短軸径および長軸径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の短軸径および長軸径を測長し、それぞれ平均して求めたものである。
短軸径が30nm以下、長軸径/短軸径で表されるアスペクト比が5以上100以下の針状構造を有するアルミナまたはアルミナ水和物は、公知の方法で合成される。例えば、特開2000−191321号公報では、イソブチレン−マレイン酸共重合体水溶液中にアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、更に硫酸アルミニウム溶液を添加して反応を行い、種子アルミナ水和物を合成し、更にアルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム溶液を添加して結晶成長を行い、針状構造を有するアルミナ水和物を得ている。また、特開2005−126287号公報では、市販の水酸化アルミニウム(商品名C−31、住友化学工業製)を気流中700℃で焼成し、この後、水中にて酢酸マグネシウムと共に200℃にて水熱処理を行うことで針状構造を有するアルミナ水和物を得ている。
本発明における平板状顔料は、平均粒子径が0.5μm以上の平板状顔料であることが好ましい。また平板状顔料のアスペクト比(粒子径/厚さの比)は、5以上90以下であることが好ましく、より好ましくは8以上50以下である。なお平板状顔料のアスペクト比は電子顕微鏡観察による測定値を指す。
本発明に用いる平板状顔料の具体例としては、例えば、平板状カオリン、平板状塩基性炭酸カルシウム、平板状セリサイト、平板状マイカ、平板状炭酸マグネシウム、平板状タルク、真珠光沢顔料およびこれらの複合材料等が挙げられる。
本発明に用いる平板状の真珠光沢顔料としては、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、二酸化チタン被覆酸化アルミナフレーク、オキシ塩化ビスマス等があり、例えばメルク(株)よりIriodin100、同103、同111、同123、Xirallic T50−10 Crystal Silver等の名で、また日本光研工業(株)よりPEARL−GLAZEシリーズとしてME−100R、MF−100R、MM−100R等の名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。
上記した針状または平板状の顔料は通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等により針状または平板状の顔料と分散媒を混合して分散液を作製した後、プリンタブルレーベル層となる無機微粒子とポリビニルアルコールを含有する塗布液の作製に用いることが好ましい。
前記針状または平板状の顔料の添加量は、プリンタブルレーベル層が含有する無機微粒子に対して1〜50固形分質量%が好ましく、5〜25固形分質量%が更に好ましい。
プリンタブルレーベル層が含有する無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物が好ましい。更に、インク乾燥性の観点から、気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、およびアルミナまたはアルミナ水和物が特に好ましく用いられる。またプリンタブルレーベル層が含有する無機微粒子の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、およびその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の1つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは10〜300nm程度まで、更に好ましくは20〜200nm程度まで粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。
本発明における平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法について説明する。まず、水を主体とする分散媒中にシリカ粒子とカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕し、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機および薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカおよび湿式法シリカの分散あるいは粉砕に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。かかるカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は2000〜10万が好ましく、特に2000〜3万がより好ましい。カチオン性ポリマーの添加量は、シリカに対して1〜10質量%の範囲が好ましい。
また無機微粒子としてアルミナまたはアルミナ水和物も好適に用いられる。アルミナまたはアルミナ水和物は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者のいずれかを使用してもよいし、併用してもよい。
本発明に用いることのできる酸化アルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは50〜300nm程度まで分散したものが使用できる。
本発明に用いることのできるアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。酸化アルミニウム含水物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nmである。
本発明に用いられるアルミナおよびアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、メタンスルホン酸、塩酸、硝酸等の公知の分散剤によって平均二次粒子径が500nm以下まで分散されたものが好ましく用いられる。
上記に記載の無機微粒子は併用して使用することができる。好ましい併用方法は、平均一次粒子径10〜20nmの気相法シリカ(A)と平均二次粒子径500nm以下に粉砕された湿式法シリカ(B)がA/B=70/30〜30/70の質量比で含有させる方法、もしくは、平均一次粒子径10〜20nmの気相法シリカ(A)と、該気相法シリカよりも平均一次粒子径が小さい酸化アルミニウム(C)がA/C=70/30〜30/70の質量比で含有させる方法がある。無機微粒子を併用することにより、単独で使用するより、塗工液の経時安定性が高くハンドリング性が良好となる。
本発明に設けるプリンタブルレーベル層には、透明性が高く発色性が良好で、比較的室温付近で膨潤性が低く非晶質シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物との結着能力が高いためインク乾燥性が良好で、更に基板との良好な接着性が得られるという観点からポリビニルアルコールが必須であり、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく使用できる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとは、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
ポリビニルアルコールの中でも、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したものが好ましい。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。プリンタブルレーベル層の塗布性やインク吸収性の観点から、平均重合度3000〜4000のポリビニルアルコールが好ましい。
本発明のプリンタブルレーベル層には、ポリビニルアルコールと共に硬膜剤を含有することができる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、米国特許第2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。特にホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類等の含ホウ素化合物を含有するのが好ましく、これらを1種または2種以上組み合わせることもできる。ホウ酸塩としては、オルトホウ酸塩、メタホウ酸塩、二ホウ酸塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩等が挙げられる。
本発明のプリンタブルレーベル層には、発色性や耐水性を向上させるために、カチオン性定着剤を含有させることができる。本発明におけるカチオン定着剤としては、気相法シリカの分散に使用するカチオン性化合物として前述した各種カチオン性ポリマーや、各種多価金属類が使用できるが、中でも水溶性アルミニウム化合物や水溶性ジルコニウム化合物に代表される水溶性多価金属を用いることが好ましい。これらの化合物は、無機塩や有機酸の単塩および複塩、金属錯体などのいずれであってもよい。
水溶性アルミニウム化合物は、例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、プリンタブルレーベル層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2または3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。
水溶性ジルコニウム化合物は、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムなどが挙げられる。
これらの水溶性ジルコニウム化合物の中でもプリンタブルレーベル層を形成する塗布液に安定に添加でき、優れた滲み耐性を示す酢酸ジルコニウム(ジルコニル)化合物は特に好ましい。これらのものは、第一稀元素化学工業(株)からジルコゾールZA−20、ZA−30等、または日本軽金属(株)等からも市販されている。
上記カチオン性定着剤の添加量は、無機微粒子に対して10固形分質量%以下が好ましく、0.5〜8固形分質量%がより好ましい。
本発明におけるプリンタブルレーベル層には、1分子中にエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の両方を含むポリエーテル系化合物(以下、EOPO化合物と称す)を少なくとも1種以上を含有せしめることができる。EOPO化合物を含有することにより、プリンタブルレーベル層の発色性、光沢および乾燥性を維持しつつ、温度・湿度変動による情報記録時および再生時のエラーが軽減される。
本発明のEOPO化合物を包含する一般のポリエーテル系化合物としては、ポリメチレンオキサイド、ポリエチレングリコールやポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリオキシデカメチレン、およびこれらのブロック重合体、更にはエチレンの2つメチレンの間にベンゼン環が挿入された形のもの等やこれらの少なくとも一方の末端にアルキル基やアリール基がエーテル結合またはエステル結合したもの等があるが、本発明のEOPO化合物は、1分子中に少なくともオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の両方を含むものである。
本発明におけるEOPO化合物の分子量は200〜4000程度が好ましく、より好ましくは300〜3000程度であり、更には500〜2000程度が好適である。分子量が高くなるにつれ、インク吸収性をあまり低下させずに光沢性、塗工層の強度を向上させることができるが、EOPO化合物の溶解に時間が掛かる場合がある。一方、分子量が低くなると、溶解性は問題なくなるが、塗工層の強度が悪化する場合がある。また、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の重合比は9/1〜1/9が好ましい。この比を大きくはずれると、インク吸収性か塗工層強度の少なくとも一方が悪化する場合がある。
本発明におけるEOPO化合物の両末端は水酸基のままでもよいが、少なくとも一方の末端がアルキルエーテルやアリールエーテルであってもよい。末端にアルキル基やアリール基を導入することにより、インク吸収性と塗工層の強度とをバランスさせることが容易となるが、両末端に長鎖のアルキル基やアリール基が結合したものは、本発明にはインク吸収性の点であまり好ましくない。本発明においては、片末端のみがアルキルエーテルが好ましく、末端のアルキル基の炭素数が多くなるにつれて親水性が低下するので、このアルキル基の炭素数は12以下が好ましく、2〜8程度がよい。また、このアルキル基は分岐していてもよいし、水酸基等の置換基を有していてもよい。
本発明におけるEOPO化合物の市販品の例としては、日油(株)製プロノン102およびプロノン104等のプロノンシリーズ、ユニルーブ50MB−5およびユニルーブ50MB−11等のユニルーブ50MBシリーズ、日本サーファクタント工業(株)製PBC−31、PBC−34、およびPEN−4620等、ライオン(株)製レオコン1020Hおよびレオコン2100E等のレオコンシリーズ、ライオノールLシリーズ等が挙げられる。このようなEOPO化合物の市販品例はいずれも、平均分子量が500〜1500程度で、分子の片末端に炭素数2〜8のアルキル基を有し、オキシエチレンの重合比がオキシプロピレンの重合比より多いEOPO化合物である。
上記EOPO化合物の添加量は、プリンタブルレーベル層が含有する無機微粒子に対して0.1〜50固形分質量%が好ましく、1〜20固形分質量%が更に好ましい。
本発明におけるプリンタブルレーベル層には、平均粒子径100nm以下でガラス転移温度Tgが40℃以下のポリマーラテックスおよび炭素数3〜5のアルカンジオールから選ばれる少なくとも1種以上を含有せしめることができる。
上記ポリマーラテックスは、乳化重合法で重合されたポリマーラテックスであり、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリアクリル酸エステル系ラテックス、ポリメタクリル酸エステル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス等が好ましく用いられる。
上記ポリマーラテックスはプリンタブルレーベル層が含有する無機微粒子に対して5〜30固形分質量%使用するのが好ましく、5〜20固形分質量%が更に好ましい。
前記炭素数3〜5のアルカンジオールとしては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールがあり、それらの異性体はいずれも含まれる。また、3−メチル−1,3−ブタンジオール等のような分岐のブタンジオールも含まれる。これらの中でも、炭素数が3〜4のプロパンジオールやブタンジオールが好ましく、特にプロパンジオールが好ましい。プロパンジオールとしてはプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)とトリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)があり、特にプロピレングリコールが好ましい。該化合物の添加量は、無機微粒子に対して0.1〜50固形分質量%が好ましく、1〜20固形分質量%が更に好ましい。
本発明のプリンタブルレーベル層は、インク吸収性と塗層強度を損なわない範囲で必要に応じ、有機顔料、分散剤、画像保存剤、消泡剤、可塑剤、架橋剤、着色剤、その他の添加剤を含有していてもよい。
本発明の情報記録媒体は、プリンタブルレーベル層の上にオーバーコート層があってもよい。オーバーコート層により、表面強度を更に向上させたり、画像の保存性を向上させたりすることができる。オーバーコート層は、インクを受容するか、あるいは速やかに透過させる性質を有する必要がある。オーバーコート層の層厚としては、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmが更に好ましい。
本発明のプリンタブルレーベル層の塗設方法は特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スクリーン印刷方式、スプレーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等を適宜使用することができるが、スクリーン塗布方式やスピンコート方式により形成することが好ましい。
本発明におけるプリンタブルレーベル層塗設時の乾燥水分量は100g/m以下であることが好ましい。このような範囲の乾燥水分量に調整することにより、情報記録時および再生時のエラーがない情報記録媒体が得られる。なお、本発明における乾燥水分量とは、塗布し乾燥するプリンタブルレーベル層中の単位面積当たりの水分量のことである。
本発明におけるプリンタブルレーベル層の乾燥塗布量は12〜28g/mであることが好ましく、より好ましくは12〜25g/mであり、更に14〜23g/mとすることが好ましい。乾燥塗布量が12g/m未満であるとプリンタブルレーベル層のインク吸収性の低下と印字後のインク滲み特性が悪化し、28g/mを超えると情報記録および再生時のエラーが発生しやすくなる場合がある。
本発明におけるプリンタブルレーベル層の乾燥温度は、好ましくは30〜60℃であり、更に40〜60℃であることが好ましい。30℃未満であると乾燥時間が長くなり生産効率が悪化するため好ましくなく、60℃を超えると耐熱性の低い光情報記録層の品質が悪化し、情報記録時および再生時のエラーが多発する場合がある。
<下地層14>
下地層の形成手法は公知のどのような方法を用いても問わないが、生産性の観点から、公知の放射線硬化樹脂をスクリーン印刷により形成することが好ましい。放射線硬化樹脂は、紫外線、電子ビーム、X線、γ線、赤外線等の電磁波によって硬化する樹脂であり、放射線としては、中でも、紫外線、電子ビームが好ましい。
放射線硬化樹脂をスクリーン印刷により形成させる場合、情報記録媒体の平滑性の観点より、印刷後の樹脂のレベリングのための時間が適宜必要である。
下地層の膜厚としては0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜20μmが最も好ましい。
<基板10>
基板としては、記録光および再生光の波長に対して透明な従来の光記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン、ポリエステル、アルミニウム等の金属等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。上記材料の中では、耐薬品性、寸法安定性、光透過性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.2mmとすることが好ましく、0.6〜1.1mmとすることがより好ましい。また、基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表す凹凸(プリグルーブ)が形成されている。プリグルーブのピッチ、深さ(溝深さ)、および半値幅は情報記録媒体の種類により任意に設定できる。
本発明の情報記録媒体においては、前述したように基板と下地層との間に光情報記録層、光反射層および保護層が設けられる。本発明においては、光情報記録層と光反射層は情報記録媒体として必須であるが、保護層に関しては、保護層と下地層の双方の機能を有した下地層があれば、必ずしも設ける必要はない。
<光情報記録層11>
光情報記録層は、基板上に設けられ、レーザー光の照射によりデジタル情報が記録可能な材料により形成される。通常は、CD−RやDVD−Rに代表されるように有機色素からなる光情報記録層、またはCD−RWやDVD−RWに代表されるように無機物質からなる光情報記録層として形成される。
有機色素からなる光情報記録層は、真空蒸着法、スパッタリング法等の乾式薄膜形成法や、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の湿式薄膜形成法を用いて設けられる。中でも量産性、コスト等のよりスピンコート法が特に好ましい。具体的な方法としては、記録物質である有機色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液をスピンコート法により基板のプリグルーブが形成された面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。スピンコート法を適用する際の温度は、生産性と色素の耐熱性の観点から25〜60℃が好ましく、更に30〜50℃が好ましい。
該有機色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、中でも、耐光性や耐久性に優れることからフタロシアニン色素が好ましい。また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、および特開2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
有機色素からなる光情報記録層塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には更にバインダー、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
該バインダーの例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。光情報記録層の材料としてバインダーを併用する場合に、バインダーの使用量は、一般に有機色素100部に対して0.01〜50固形分質量部の範囲にあり、好ましくは0.1〜5固形分質量部の範囲である。このようにして調製される塗布液中の有機色素の濃度は、一般に0.01〜10固形分質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5固形分質量%の範囲である。
光情報記録層には、該光情報記録層の耐光性を向上させるために、一重項酸素クエンチャーに代表される種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、有機色素の量に対して通常0.1〜50固形分質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜45固形分質量%の範囲、更に好ましくは3〜40固形分質量%の範囲である。
無機物質からなる光情報記録層は、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等を用いて形成される。中でも量産性、コスト等の観点よりスパッタリング法が特に好ましい。
該無機物質としては、結晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得る少なくともAg、Al、Te、Sbからなる相変化型の光記録材料が好ましい。なお、該光情報記録層上には、必要に応じて、公知の誘電体層が形成される。
本発明における光情報記録層は単層でも重層でもよく、その層厚は光情報記録層の種類によって異なるが一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲であり、より好ましくは50〜100nmの範囲である。
<光反射層12>
光反射層は、光情報記録層上に設けられ、通常基板側から照射されるレーザー光を基板側へ反射させるために設ける。光情報記録層形成後、該光情報記録層上に光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングして光反射層を形成する。光反射層の形成に際しては、通常マスクが使用され、これによって光反射層の形成領域を調節することができる。
該光反射層には、レーザー光に対する反射率が十分高い光反射性物質が用いられる。当該反射率は、70%以上であることが好ましい。反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは2種以上の組み合わせで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。コストと反射率の観点より、特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
<保護層13>
保護層は、光反射層上に、キャスト法、スピンコート法、スクリーン塗布方式等により形成されるが、特にスピンコート法を適用することで、光情報記録層にダメージ(色素の溶解、色素と保護層材料との化学反応等)を与えることなく保護層を形成することができる。なお、保護層に放射線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂)を使用した場合は、保護層を形成した後、該保護層上から紫外線照射ランプ(メタルハライドランプ)により紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させる。また、形成する保護層の厚みムラを無くすため、樹脂を硬化させる前に一定時間放置する等の処理を適宜行ってもよい。
保護層は、水分の侵入やキズの発生を防止する。保護層を構成する材料としては、放射線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化性樹脂、二酸化ケイ素等であることが好ましく、中でも放射線硬化樹脂であることが好ましい。該放射線硬化樹脂としては、例えば、DIC(株)製の「SD−640」等の各種紫外線硬化樹脂を使用することができる。
保護層の厚さは、1〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
以上のようにして、基板上に光情報記録層、光反射層、保護層、下地層、プリンタブルレーベル層、熱可塑性樹脂層が順次設けられた積層体からなる情報記録媒体が作製される。
なお、本発明の情報記録媒体は、基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチや、光情報記録層を構成する材料等を適宜設定することで、従来のDVD等よりトラックピッチが狭く、使用されるレーザー光より小さい波長のレーザー光で情報の記録再生を行うことが可能な情報媒体にも適用することができる。
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されず、特許請求の範囲において各種の応用ができるものである。なお、表記中で「部」とは全固形分質量部を表す。
(実施例1)
−プリンタブルレーベル層塗設前情報記録媒体の作製−
射出成形により、幅0.45μm、深さ155nmのグルーブを有した、厚さ1.2mmのポリカーボネート樹脂製基板を作製した。この基板上に、含金属アゾ系色素のアルコール溶液をスピンコートで塗布・乾燥し、厚さ70nmの光情報記録層を形成した。続いてこの光情報記録層上に銀をスパッタリングして厚さ60nm光反射層を形成した。続いて、この光反射層上に、紫外線硬化樹脂(商品名:SD318、DIC(株)製)をスピンコートで塗布し、高圧水銀灯を用い紫外線を照射させることで硬化し、厚さ5μmの保護層を形成した。その後、紫外線硬化インク(商品名:SSD F27、DIC(株)製)をスクリーン印刷で印刷し、20秒後、高圧水銀灯を用い紫外線を照射させることで硬化し、10μmの白色の下地層を形成した。続いて、この下地層の上に、以下に作製方法を示したプリンタブルレーベル層を形成した。以上の工程により、基板、光情報記録層、光反射層、保護層、下地層からなるプリンタブルレーベル層塗設前情報記録媒体を作製した。
−プリンタブルレーベル層の形成−
水にカチオンポリマー(ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー、分子量9000、第一工業製薬(株)シャロールDC902P)4部と湿式法シリカ(吸油量200ml/100g、平均一次粒子径16nm、東ソー・シリカ(株)ニップシールLP)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用してシリカ分散液を調製した。次に得られたシリカ分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度30質量%のプリンタブルレーベル層用シリカ分散液1を作製した。なお、この時の湿式シリカ分散液の平均二次粒子径を測定したところ200nmであった。
<真珠光沢顔料分散液1の作製>
水に真珠光沢顔料(メルク(株)製、Iriodin123 Bright Luster Satin)を添加し予備分散液を作製した後、3000rpmで1分間ディスパー処理して、固形分濃度25質量%の真珠光沢顔料分散液を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合1>
シリカ分散液1(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
真珠光沢顔料分散液1(真珠顔料固形分として) 16.5部
その後、上記配合の液を常温で混合して、固形分濃度が16質量%のプリンタブルレーベル層塗布液を調製し、固形分塗布量が18g/mになるように、上記プリンタブルレーベル層塗設前情報記録媒体にスピンコート法により塗布し、40℃の空気を吹き付けて乾燥して、実施例1の情報記録媒体を作製した。
(実施例2)
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、比表面積200m/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度25%のシリカ分散液2を作製した。なお、この時の湿式シリカ分散液の平均二次粒子径を測定したところ160nmであった。
実施例1のプリンタブルレーベル層配合1を下記のプリンタブルレーベル層配合2に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2の情報記録媒体を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合2>
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
真珠光沢顔料分散液1(真珠顔料固形分として) 16.5部
(実施例3)
<真珠光沢顔料分散液2の作製>
水に真珠光沢顔料(日本光研工業(株)製、MM−100R)を添加し予備分散液を作製した後、700rpmで5分間プロペラ撹拌して、固形分濃度25%の真珠光沢顔料分散液2を作製した。
実施例1のプリンタブルレーベル層配合1を下記のプリンタブルレーベル層配合3に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3の情報記録媒体を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合3>
シリカ分散液1(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
真珠光沢顔料分散液2(真珠顔料固形分として) 16.5部
(実施例4)
実施例1のプリンタブルレーベル層配合1を下記のプリンタブルレーベル層配合4に変更した以外は実施例1と同様にして実施例4の情報記録媒体を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合4>
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
真珠光沢顔料分散液2(真珠顔料固形分として) 16.5部
(実施例5)
<針状アルミナ分散液1の作製>
水に硝酸(2.5部)と針状構造のアルミナ水和物(擬ベーマイト、短軸径5nm、長軸径100nm、アスペクト比20)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度20%の針状アルミナ分散液1を作製した。平均二次粒子径は200nmであった。
実施例1のプリンタブルレーベル層配合1を下記のプリンタブルレーベル層配合5に変更した以外は実施例1と同様にして実施例5の情報記録媒体を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合5>
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
針状アルミナ分散液1(固形分として) 16.5部
(実施例6)
<針状アルミナ分散液2の作製>
水に硝酸(2.5部)と針状構造のアルミナ水和物(擬ベーマイト、短軸径5nm、長軸径300nm、アスペクト比60)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度20%の針状アルミナ分散液2を作製した。平均二次粒子径は450nmであった。
実施例1のプリンタブルレーベル層配合1を下記のプリンタブルレーベル層配合6に変更した以外は実施例1と同様にして実施例6の情報記録媒体を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合6>
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
針状アルミナ分散液2(固形分として) 16.5部
(比較例1)
実施例1のプリンタブルレーベル層配合1を下記のプリンタブルレーベル層配合7に変更した以外は実施例1と同様にして比較例1の情報記録媒体を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合7>
シリカ分散液1(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
(比較例2)
実施例1のプリンタブルレーベル層配合1を下記のプリンタブルレーベル層配合8に変更した以外は実施例1と同様にして比較例2の情報記録媒体を作製した。
<プリンタブルレーベル層配合8>
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3.5部
得られた各々の情報記録媒体について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<記録・再生時エラー>
得られた各々のレーベル印刷画像を有する情報記録媒体を13℃35%RHの環境下に5日間保存した後、市販のCD−Rドライブを用いて、48倍速で音楽CDのコピー記録および再生をA(23℃、50%RH)およびB(45℃、15%RH)の環境下で各々300枚行った。その時の記録時のエラーの発生状況および再生時のエラー発生状況を以下の基準で評価した。
◎:A,Bの環境下とも全くエラーは発生しなかった。
○:B環境下で1回のエラーが発生したが、A環境下ではエラーは全く発生せず、実使用上は問題なかった。
△:A環境下ではエラーは発生しなかったが、B環境下で少なくとも2回以上エラーが発生した。
×:A環境下で少なくとも1回以上エラーが発生した。
<乾燥性>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンター(キヤノン(株)製、PIXUS iP4300)にて、各々の情報記録媒体のプリンタブルレーベル層面にレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で総合評価した。
◎:全く転写しない。
○:僅かに転写が認められるが実使用可能。
△:転写が認められ実使用困難。
×:大部分が転写し実使用不可。
Figure 2011181152
表1の結果からも明らかなように本発明によって、インクの乾燥性を低下させることなく、情報記録時および再生時のエラーの発生が改善された情報記録媒体が得られることが判る。
10 基板
11 光情報記録層
12 光反射層
13 保護層
14 下地層
15 プリンタブルレーベル層

Claims (1)

  1. 基板上に、光情報記録層、下地層およびプリンタブルレーベル層を少なくとも有する情報記録媒体であって、プリンタブルレーベル層が無機微粒子とポリビニルアルコールを含有する多孔質層であり、プリンタブルレーベル層が更に針状または平板状の顔料を含有することを特徴とする情報記録媒体。
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