(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
本発明の遺失情報通知システムは、役務が提供される施設内に利用者が携行品を遺失した場合に、遺失情報を通知するものであって、図1は、本発明の実施の形態1の遺失情報通知システム1の構成の例を示す。遺失情報通知システム1は、鉄道サービスの提供場所である鉄道施設に適用される。以下、図2に示すように、バッグ・時計・財布・傘を所持した利用者Rが、A駅で列車に乗車した後、列車内に傘を置き忘れて、B駅で降車する場合を例に説明する。なお、A,B駅には、それぞれ、列車の利用を管理するための改札装置K1,K2が設置されており、これら改札装置K1,K2によって、鉄道施設の入退場口が構成されている。すなわち、鉄道施設とは、A,B駅の改札装置K1,K2によって閉ざされる空間に相当し、鉄道施設内には、乗車駅としてのA駅の改札装置K1を通過することで入場でき、入場した者は、列車でA駅からB駅へ移動した後、降車駅としてのB駅の改札装置K2を通らなければ、鉄道施設の外に出ることができない。
図1に示すように、遺失情報通知システム1は、上述の改札装置K1,K2と、利用者Rによって所持される携帯端末2と、バッグ・時計・財布・傘に貼り付けられるICタグT1,T2,T3,T4と、電鉄会社の管理センタ等に設置される管理サーバ3とを備える。携帯端末2は、携帯電話ネットワーク(図示せず)を介してインターネット5に接続され、管理サーバ3は、鉄道会社のイントラネット(図示せず)からインターネット5に接続されている。改札装置K1,K2と管理サーバ3とは、例えばLANであるネットワーク6に接続されている。
図3は、ICタグT1,T2,T3,T4の構成の例を示すブロック図である。ICタグT1,T2,T3,T4は、太陽電池を電源に使用したものであって、制御部10と、通信部11と、記憶部12とを備えている。
通信部11は、非接触型の無線通信により、携帯端末2と電波の送受信を行う。
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリから構成されており、利用者Rの携行品を特定可能な識別情報が記憶される。
制御部10は、ICタグT1,T2,T3,T4全体を制御するプロセッサである。制御部10は、携帯端末2から発信される電波(以下、質問波)を通信部11が受信することに応じて、記憶部12から識別情報を読み出し、通信部11に識別情報の信号を含む電波(以下、応答波)を携帯端末2へ発信させる。
図4は、携帯端末2の構成を示すブロック図である。携帯端末2は、メール機能や電話機能等を有するものであって、制御部20と、記憶部21と、通信部22と、報知部23と、表示部24と、操作部25と、タグリーダ部26と、改札通信部27と、を備えている。
表示部24は、液晶ディスプレイなどから構成され、メールの文字情報等を表示可能である。
操作部25は、例えば、ボタンスイッチやタッチパネルなどから構成され、利用者Rは、操作部25を操作することで、受信したメールの文字情報を、表示部24に表示することができる。
報知部23は、サウンドスピーカ、LED(発光ダイオード)、振動モータなどを備え、メールの受信や電話の着信に応じて駆動して、メロディ音などを発生させたり、LEDを点滅駆動させたり、振動モータを駆動してバイブレーションを発生させる。
通信部22は、最寄りの基地局(図示せず)と無線通信を行う。この無線通信により、携帯端末2は、インターネット5(図1)に接続されて、管理サーバ3と電子メール等のデータの送受信が可能になり、また、他の携帯端末との通話が可能になる。
制御部20は、携帯端末2の全体動作を制御する中核的なプロセッサである。
記憶部21は、ROM等の不揮発性メモリから構成されて、各種プログラムや、利用者Rのメールアドレス等のデータが格納される。
タグリーダ部26は、ICタグT1〜T4(図1,2)と非接触方式の無線通信を行う。すなわち、タグリーダ部26は、制御部20の指令に従って、携帯端末2周囲の領域へ質問波を発信し、それに対するICタグT1〜T4からの応答波を受信することで、ICタグT1〜T4を検出する。そして、タグリーダ部26は、応答波を復調することで、ICタグT1〜T4に記憶されている識別情報を取得する。
なお、質問波の周波数や強度は所定の値に調整され、この結果、タグリーダ部26は、利用者R近傍(携帯端末2近傍)の所定範囲に存在するICタグT1〜T4のみと通信可能である。また、タグリーダ部26は、アンチコリジョン機能を有しており、利用者R近傍(携帯端末2近傍)の複数のICタグT1〜T4から同時に識別情報を読み取ることが可能である。
改札通信部27は、アンテナ27aと、ICチップ27bとを備えている。
アンテナ27aは、改札装置K1,K2(図1,2)が発する通信領域に携帯端末2が近接されることに応じて、改札装置K1,K2と電波の送受信が可能になり、改札装置K1,K2から電波を受信することで、電磁誘導による電力を生じさせる。
ICチップ27bは、アンテナ27aが発生する電力によって作動し、また、定期券等の乗車券類データE(後述の図6,7)が記憶されるメモリ(図示せず)を備えている。
ここで、乗車券類データEには、直前の機会で鉄道施設に入場したか鉄道施設から退場したかを示す、すなわち「入場済」又は「退場済」のいずれかの値を示す入退場フラグ等が含まれている。つまり、図2に示すように、携帯端末2が鉄道施設内に入場しようとする際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過しようとする際)には、この直前の機会で、利用者Rは、鉄道施設から退場していたため、入退場フラグは「退場済」の値を示す。これに対して、携帯端末2が鉄道施設から退場しようとする際(利用者RがB駅の改札装置K2を通過しようとする際)には、この直前の機会で、利用者Rは、鉄道施設に入場していたため、入退場フラグは「入場済」の値を示す。
図5は、改札装置K1,K2の構成の例を示すブロック図である。改札装置K1,K2は、ドアの開閉動作により利用者Rの通行を許容或いは阻止するものであって、制御部40と、記憶部41と、通信部42と、リーダライタ部43とを備えている。
リーダライタ部43は、所定の電波を改札装置K1,K2近傍の所定範囲に放射し、改札通信部27(図4)のアンテナ27aと無線通信を行うアンテナ43aを備える。そして、アンテナ27a,43a間の無線通信は、所定の電界強度を有する通信領域に携帯端末2が近接されることに応じて可能になり、リーダライタ部43は、アンテナ27a,43a間の通信を通じて、ICチップ27bに記憶された乗車券類データEを受信する。
通信部42は、ネットワーク6(図1)を介して管理サーバ3に接続するためのインターフェイスである。
記憶部41は、ROM等の不揮発性メモリから構成されており、各種のプログラムやデータが格納される。
制御部40は、改札装置K1,K2の全体動作を制御するプロセッサであり、リーダライタ部43が受信した乗車券類データEを用いて、利用者Rの通行の可否を判定するとともに、この判定結果に基づき、ドアの開閉を制御する。
図6は、利用者Rが鉄道施設に入場する際に、携帯端末2及び改札装置K1で実行される通信処理を示す概略図である。図7は、利用者Rが鉄道施設から退場する際に、携帯端末2及び改札装置K2で実行される通信処理を示す概略図である。
携帯端末2が改札装置K1,K2の通信領域に近接されて、アンテナ27a,43a間の無線通信が可能になることに応じて、改札装置K1,K2のリーダライタ部43は、FeliCa(登録商標)規格に則った電波D1を、発信する(図6(1A),図7(1B))。
改札通信部27では、アンテナ27aが電波D1を受信して、電力を生じさせることに応じて、ICチップ27bが作動し、ICチップ27bは、メモリに格納される乗車券類データEを読み出して、アンテナ27aに、乗車券類データEを含む電波D2,D3を、発信させる(図6(2A),図7(2B))。また、ICチップ27bは、電波D2,D3を発信した旨を示す情報J1を、携帯端末2の制御部20に伝達する。
改札装置K1,K2のリーダライタ部43は、アンテナ43aが電波D2,D3を受信すると、電波D2,D3に含まれる乗車券類データEを、改札装置K1,K2の制御部40に伝達する。
そして、改札装置K1,K2の制御部40は、電波D2,D3に含まれる乗車券類データEに基づき、利用者Rの通行の可否を判定し、利用者Rの通行が可と判定される場合には、改札装置K1,K2のドアを開く制御を行う。この際、制御部40は、乗車券類データEの入退場フラグが、「入場済」又は「退場済」のいずれの値を示すかを判定しており、「退場済」を示す場合には、後述の入場処理(図6(3A))を実行し、「入場済」を示す場合には、後述の退場処理(図6(3B))を実行する。
携帯端末2が鉄道施設内に入場する場合(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する場合)には、電波D2に含まれる乗車券類データEは、入退場フラグが「退場済」の値を示している(図6(2A))。よってこの場合には、改札装置K1の制御部40は、入場処理として、「入場済」の値をセットした入退場フラグと書き込み指示とを含む情報J2を、リーダライタ部43に伝達する(図6(3A))。そして、改札装置K1のリーダライタ部43は、情報J2を含む電波D4を、アンテナ43aに発信させる。
そして、携帯端末2の改札通信部27は、アンテナ27aが電波D4を受信すると、ICチップ27bは、電波D4に含まれる情報J2に従って、メモリに格納される乗車券類データEを更新する。この結果、乗車券類データEの入退場フラグは、改札装置K1の制御部40によりセットされた「入場済」の値になる。つまり、携帯端末2が鉄道施設内に入場する際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際)には、携帯端末2に格納される乗車券類データEは、入退場フラグが、「退場済」の値から「入場済」の値に変更される(図6(1A),(3A))。そして、ICチップ27bは、入退場フラグの値を変更した旨を示す変更情報J3を、携帯端末2の制御部20に伝達する。
一方、携帯端末2が鉄道施設から退場する場合(利用者RがB駅の改札装置K2を通過する場合)には、電波D3に含まれる乗車券類データEは、入退場フラグが「入場済」の値を示している(図7(2B))。よってこの場合には、改札装置K2の制御部40は、退場処理として、「退場済」の値をセットした入退場フラグと書込み指示とを含む情報J4とを、リーダライタ部43に伝達する(図7(3B))。この際に伝達される情報J4には、運賃の精算に関する情報等も含まれる。そして、改札装置K2のリーダライタ部43は、情報J4を含む電波D5を、アンテナ43aに発信させる。
携帯端末2の改札通信部27は、アンテナ27aが電波D5を受信すると、ICチップ27bが、電波D5に含まれる情報J4に従って、メモリに格納される乗車券類データEを更新する。この結果、乗車券類データEに含まれる入退場フラグは、改札装置K2の制御部40によりセットされた「退場済」の値になる。つまり、携帯端末2が鉄道施設から退場する際(利用者RがB駅の改札装置K2を通過する際)には、携帯端末2に格納される乗車券類データEは、入退場フラグが、「入場済」の値から「退場済」の値に変更される(図7(1B),(3B))。そして、ICチップ27bは、入退場フラグの値を変更した旨を示す変更情報J5を、携帯端末2の制御部20に伝達する。
図8は、管理サーバ3(図1)の構成の例を示すブロック図である。管理サーバ3は、制御部30と、記憶部31と、通信部32と、通信部33と、表示部34と、操作部35とを備える。
操作部35は、キーボードやマウスなどから構成され、文字入力、コマンド入力などを行うことができる。
表示部34は、液晶ディスプレイなどから構成され、文字情報等を表示可能である。
通信部32は、インターネット5(図1)を介して携帯端末2に接続するためのインターフェイスであり、通信部33は、ネットワーク6(図1)を介して改札装置K1,K2に接続するためのインターフェイスである。
記憶部31は、ROM等の不揮発性メモリから構成されており、各種のプログラムやデータが格納される。
制御部30は、管理サーバ3の全体動作を制御する中核的なプロセッサである。
図9は、ICタグT1〜T4(図1,図2)に記憶される識別情報を示している。ICタグT1〜T4の記憶部12には、それぞれ一意(ユニーク)な識別情報が記憶される。すなわち、図9に示すように、ICタグT1には、識別情報「4567aaaaaa」が記憶され、ICタグT2には、識別情報「3456aaaaaa」が記憶され、ICタグT3には、識別情報「2345aaaaaa」が記憶され、ICタグT4には、識別情報「1234aaaaaa」が記憶される。
これらの識別情報は、携行品の種類毎に割り当てられた物品情報と、利用者Rに対して割り当てられた個人情報とが組み合わされて構成されている。例えば、ICタグT4に記憶される識別情報「1234aaaaaa」では、物品情報「1234」から、ICタグT4が取り付けられた携行品の種類が「傘」であることを特定でき、さらに、個人情報「aaaaaa」から、ICタグT4が取り付けられた携行品の所有者が、利用者Rであることを特定できる。
本実施の形態の遺失情報通知システム1によれば、利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失した場合、利用者Rが鉄道施設から退場する際(B駅の改札装置K2を通過する際)や、利用者Rが鉄道施設内に入っている間(A駅の改札装置K1を通過してからB駅の改札装置K2を通過するまでの間)に、携帯端末2が用いられて利用者Rに遺失情報が通知される。まず、退場時の通知処理について説明する。
図10は、実施の形態1における退場時通知処理を実行する機能的構成の例を示すブロック図である。
携帯端末2では、制御部20(図4)が記憶部21のプログラムに従った処理を実行することで、入退場検知部2Aと、入退時読み取り部2Bと、入退時抽出部2Cと、送信処理部2Dとが構成される。また、退場時の通知処理のために、携帯端末2の記憶部21には、携帯端末2のメールアドレス「abc@hhhh」と、ICタグT1〜T4の各識別情報(図9)に含まれる利用者Rの個人情報「aaaaaa」とが記憶される。
また、管理サーバ3では、制御部30(図8)が記憶部31のプログラムに従った処理を実行することで、入退場情報判定部3Aと、退場時比較部3Bと、遺失品特定部3Cと、駅情報取得部3Dと、列車情報取得部3Eと、退場時通知部3Fとが構成される。
また、管理サーバ3の記憶部31(図8)には、退場時の通知処理のために、図11に示す時刻表テーブルや、図12に示す物品情報テーブルが記憶される。これらのテーブルは、システムの管理者等が、管理サーバ3の操作部35を操作することで作成される。
図11の時刻表テーブルでは、改札装置K1,K2が設置されたA,B駅における列車の停止時間が記録されている。具体的には、A,B駅を通る列車A〜G毎に、これらが停車する各駅の発着時刻(停止時間は発着時刻の間に相当)が記録されている。また、時刻表テーブルでは、各駅に対して駅識別情報が割り振られており、A駅には駅識別情報「AAAA」が割り振られ、B駅には駅識別情報「BBBB」が割り振られている。
図12の物品情報テーブルでは、遺失情報通知システム1を使用する者が所持する可能性のある携行品の種類の名称として、「バッグ」「時計」「財布」「傘」「鍵」「本」「その他」が記されている。「その他」は、「バッグ」〜「本」以外の物品の種類を総称したものである。
また、物品情報テーブルでは、携行品の種類毎に、物品情報が割り振られている。ICタグT1〜T4の各識別情報(図9)は、図12の物品情報テーブルに記される物品情報を含んで構成されている。例えば、傘に取り付けられるICタグT4では(図2)、これに記憶される識別情報「1234aaaaaa」(図9)が、物品情報テーブルで「傘」に割り振られた物品情報「1234」を含んでいる。
改札装置K1,K2では、制御部40(図5)が記憶部41のプログラムに従った処理を実行することで、図10に示すように、受信処理部4Aと、送信処理部4Bとが、それぞれ構成される。
また、改札装置K1の記憶部41には、退場時の通知処理のために、図11の時刻表テーブルでA駅に割り振れられた駅識別情報「AAAA」が記憶され、改札装置K2の記憶部41には、図の時刻表テーブルでB駅に割り振られた駅識別情報「BBBB」が記憶される。
図13は、実施の形態1に係る携帯端末2における退場時通知処理の動作の一例を示すフローチャートである。
利用者Rが、改札装置K1を通過する際や、改札装置K2を通過する際には、利用者Rが携帯端末2を改札装置K1,K2に近接させる。これにより、携帯端末2は、改札装置K1,K2から電波D1を受信し(図6(1A),図7(1B))、その後、乗車券データEを含む電波D2を発信する(図6(2A),図7(2B))。この結果、電波D2の発信情報J1が制御部40に伝達されるが、これに応じて、携帯端末2の入退場検知部2Aは、携帯端末2が鉄道施設内に入場したこと、或いは携帯端末2が鉄道施設から退場したことを検知する(図13 ステップS101)。
なお、携帯端末2が電波D4,D5を受信して(図6(3A),図7(3B))、制御部40に情報J3,J5が伝達されることに応じて、携帯端末2が鉄道施設内に入場したこと、或いは携帯端末2が鉄道施設から退場したことが検知されるようにしてもよい。
そして、入退場検知部2Aが、携帯端末2が鉄道施設内に入場したこと、携帯端末2が鉄道施設から退場したことを検知したときには、そのたびに、入退時読み取り部2Bは、タグリーダ部26に携帯端末2周囲の領域へ質問波を発信させる。この結果、利用者Rの入退場時において、利用者R近傍の所定範囲に存在するICタグT1〜T4(図1,2)から識別情報が携帯端末2に読み取られる(図13 ステップS102)。
図14は、利用者Rが、鉄道施設に入場する際、及び退場する際に、携帯端末2に読み取られる識別情報を示す図である。
図2に示すように、携帯端末2が鉄道施設に入場する際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際)には、利用者Rは、バッグ・時計・財布・傘を所持していた。このため、携帯端末2が鉄道施設に入場する際には、携帯端末2は、識別情報「4567aaaaa」・「3456aaaaaa」・「2345aaaaaa」・「1234aaaaaa」をICタグT1〜T4から読み取っている(図14(a))。
また、携帯端末2は、バッグ・時計・財布・傘に対応する上記の4つの識別情報の他に、識別情報「7654yyyyyy」を読み取っている。これは、利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際に、利用者Rの近傍にいた他者が、携帯端末2で読み取り可能なICタグT5(図2)を所持していたためである。
一方、図2に示すように、携帯端末2が退場する際(利用者RがB駅の改札装置K2を通過する際)には、利用者Rは、列車内に傘を置き忘れたことで、バッグ・時計・財布を所持しており、傘は所持していなかった。このため、携帯端末2が退場する際には、携帯端末2は、識別情報「4567aaaaa」・「3456aaaaaa」・「2345aaaaaa」をICタグT1〜T3から読み取っており(図14(b))、ICタグT4に記憶された識別情報「1234aaaaaa」を読み取っていなかった。
また、携帯端末2は、バッグ・時計・財布に対応する上記の3つの識別情報の他に、識別情報「5894zzzzzz」を読み取っている。これは、利用者RがB駅の改札装置K2を通過する際に、利用者Rの近傍にいた他者が、携帯端末2で読み取り可能なICタグT6を所持していたためである(図2)。
図13のステップS102が、携帯端末2が入場する際、携帯端末2が退場する際に行われた後では、入退時抽出部2C(図10)が、ステップS102で読み取られた識別情報の中から、利用者Rの携行品に取り付けられているICタグTの識別情報を抽出する(ステップS103)。
このステップS103では、ステップS102で読み取られた識別情報(図14)の中から、携帯端末2に記憶された利用者Rの個人情報「aaaaaa」(図10)を含む情報が抽出される。この結果、利用者Rの携行品に取り付けたICタグTから読み取られた識別情報が抽出される。
図15は、図14の情報から抽出された情報であって、利用者Rの携行品に取り付けられたICタグTの識別情報を示す図である。図15(a)は、図14(a)の識別情報に、ステップS103の抽出処理が実行されることで得られる。図15(b)は、図14(b)の識別情報に、ステップS103の抽出処理が実行されることで得られる。
図15(a)では、利用者Rが鉄道施設に入場する際に所持していたバッグ・時計・財布・傘に取り付けたICタグT1〜T4から読み取られた識別情報が抽出されている。この結果、他者が所持していたICタグT5(図2参照)の識別情報「7654yyyyyy」は、排除されている。
図15(b)では、利用者Rが鉄道施設に退場する際に所持していたバッグ・時計・財布に取り付けたICタグT1〜T3から読み取られた識別情報が抽出されている。この結果、他者が所持していたICタグT6の識別情報「5894zzzzzz」は、排除されている。
図13のステップS103が実行された後では、携帯端末2の送信処理部2D(図10)が、ステップS103で抽出された識別情報と、携帯端末2のメールアドレスとを対応付けた情報を作成する(ステップS104)。
図16は、図15の情報と、携帯端末2のメールアドレスとを対応付けた情報を示す図である。図16(a)は、図15(a)の情報を用いて、ステップS104で作成され、図16(b)は、図15(b)の情報を用いて、ステップS104で作成される。
図16(a)の情報では、利用者Rの入場時に読み取られたバッグ・時計・財布・傘の識別情報と、携帯端末2のメールアドレス「abc@hhhhh」とが対応付けられている。
また、図16(b)の情報では、携帯端末2の退場時に読み取られたバッグ・時計・財布の識別情報と、携帯端末2のメールアドレス「abc@hhhhh」とが対応付けられている。
なお、ステップS104は、携帯端末2のメールアドレスを、管理サーバ3に受信させるべく行うものであり、入場時の識別情報と、退場時の識別情報のうち、いずれか一方について実行されてもよい。
そして図13のステップS105では、携帯端末2の送信処理部2D(図10)は、ステップS104(図13)で作成した情報を、無線通信により、改札装置K1,K2に送信する(ステップS105)。
図17は、実施の形態1に係る改札装置K1,K2における退場時通知処理の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS105(図13)の情報を改札装置K1,K2が受信することに応じて、改札装置K1,K2の受信処理部4A(図10)は、ステップS105の情報と、駅識別情報「AAAA」・「BBBB」と、入退場情報「IN」・「OUT」と、携帯端末2が入退場した時刻(すなわち利用者Rが改札装置K1,K2を通過する時刻)とを対応つけた情報を作成する(ステップS201)。図18に示す情報は、ステップS201で作成される情報の例であり、図16の情報と、駅識別情報と、入退場情報と、入場時刻又は退場時刻とを対応付けた情報である。
ステップS201において、改札装置K1の受信処理部4Aは、駅識別情報「AAAA」を使用し、改札装置K2の受信処理部4Aは、駅識別情報「BBBB」を使用する。
またステップS201では、利用者Rが改札装置K1,K2を通過する時刻として、例えば、改札装置K1,K2が電波D2,D3を受信する時刻、或いは、改札装置K1,K2が電波D1,D4,D5を発信する時刻が用いられる(図6,7)。
またステップS201では、入退場情報として「IN」・「OUT」のいずれかが選択される。「IN」は、鉄道施設内に入場したことを示す情報であり、「OUT」は、鉄道施設から退場したことを示す情報である。
改札装置K1,K2の受信処理部4Aは、改札装置K1,K2の制御部40が情報J2,J4に含ませる入退場フラグの値に基づき、「IN」と「OUT」とのいずれかを選択する(図6(3A),図7(3B))。
すなわち、携帯端末2が鉄道施設内に入場する際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際)では、改札装置K1の制御部40は、情報J2に含ませる入退場フラグを「入場済」の値にセットしている(図6(3A))。この「入場済」の値から、改札装置K1の受信処理部4Aは、鉄道施設内に入場したことを示す情報「IN」を選択する。
この結果、例えば、図18(a)の情報が作成される。図18(a)の情報では、図16(a)の情報と、駅識別情報「AAAA」と、入退場情報「IN」と、利用者Rが改札装置K1を通過した時刻「8:12」とが対応付けられている。
一方、携帯端末2が鉄道施設から退場する際(利用者RがB駅の改札装置K2を通過する際)には、改札装置K2の制御部40は、情報J4に含ませる入退場フラグを「退場済」の値にセットしている(図7(3B))。この「退場済」の値から、改札装置K2の受信処理部4Aは、鉄道施設から退場したことを示す情報「OUT」を選択する。
この結果、例えば、図18(b)に示す情報が作成される。図18(b)の情報では、図16(b)の情報と、駅識別情報「BBBB」と、入退場情報「OUT」と、利用者Rが改札装置K2を通過した時刻「10:10」とが対応つけられている。
図17のステップS201の後では、改札装置K1,K2の送信処理部4B(図10)は、ステップS201で作成された情報を、ネットワーク6(図1)を通じて、管理サーバ3に送信する(ステップS202)。
図19は、実施の形態1に係る管理サーバ3における退場時通知処理の動作の一例を示すフローチャートである。
管理サーバ3では、まず、入退情報判定部3Aにより、図17のステップS202で受信した情報が、携帯端末2が入場したときに受信した「入場時の情報」であるか否かが判定される(ステップS301)。具体的には、図17のステップS202で受信した情報に、鉄道施設に入場したことを示す情報「IN」が記されているか否かが判定される。「IN」が記されている場合には(ステップS301でYES)、ステップS202で受信した情報を、管理サーバ3の記憶部31に記憶する(ステップS302)。
入場時に改札装置K1から受信されるステップS202の「入場時の情報」では、図18(a)のように、「IN」が記されている。このため、「入場時の情報」は、記憶部31に記憶される。
一方、図17のステップS202で受信した情報に、「IN」が記されていない場合には(図19のステップS301でNO)、入退情報判定部3Aにより、図17のステップS202で受信した情報が、携帯端末2が退場したとき受信した「退場時の情報」であるか否かが判定される(ステップS303)。具体的には、ステップS202で受信した情報に、「OUT」が記されているか否かが判定される。
退場時に改札装置K2から受信されるステップS202の情報(以下、「退場時の情報」)では、図18(b)のように、「IN」は記されておらず、「OUT」が記されている。このため、ステップS202で「退場時の情報」が受信された際には、ステップS301でNO,ステップS303でYESと判定されて、退場時比較部3B(図10)によるステップS304が実行される。このステップS304では、ステップS302で過去に記憶された情報から、「退場時の情報」の比較対象となる「入場時の情報」が特定される。
具体的には、「退場時の情報」と、個人情報が一致する「入場時の情報」が特定される。例えば、「退場時の情報」が図18(b)の情報である場合には、「退場時の情報」の識別情報1)〜3)には、個人情報「aaaaaa」が含まれている。このため、入場情報特定部は、個人情報が「aaaaaa」である「入場時の情報」を特定する。この結果、図18(a)のように、個人情報が「aaaaaa」である「入場時の情報」、すなわち、利用者Rについて作成された「入場時の情報」が特定される。
そしてステップS304(図19)の後では、退場時比較部3B(図10)が、「退場時の情報」と、ステップS304で特定された「入場時の情報」とを比較して、「入場時の情報」のうち、「退場時の情報」に含まれない差分情報があるか否かを判定する(ステップS305)。
具体的には、「入場時の情報」と「退場時の情報」とに記される識別情報の数が一致するか否かが判断される。これは、「入場時の情報」に示される識別情報の数は、利用者Rが入場する際に所持していた携行品の数を示し、「退場時の情報」に示される識別情報の数は、利用者Rが退場する際に所持していた携行品の数を示すことから、「入場時の情報」・「退場時の情報」の識別情報の数に相違がある場合には、利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失したと判断できることに基づく。
「入場時の情報」・「退場時の情報」の識別情報の数が一致することで、退場時比較部3Bが、「入場時の情報」のうち、「退場時の情報」に含まれない差分情報がないと判定した場合には(ステップS305でNO)、図19の処理は終了する。
一方、識別情報の数に相違があったため、差分情報があると判定された場合には(ステップS305でYES)、遺失品特定部3C(図10)によるステップS306,ステップS307に移行する。
例えば、「退場時の情報」が図18(b)の情報であり、これと比較する「入場時の情報」が図18(a)の情報である場合には、図18(b)の識別情報の数が3つであり、図18(a)の識別情報の数が4つであることから、ステップS305(図19)では、「入場時の情報」のうち、「退場時の情報」に含まれない差分情報があると判定される。
そしてステップS306,S307では、遺失品特定部3C(図10)により、利用者Rが鉄道施設内に遺失した携行品の種類を示す情報が取得される。
この処理では、まず、「入場時の情報」の中から、「退場時の情報」に含まれていない識別情報が特定される(ステップS306)。
例えば、「入場時の情報」が図18(a)の情報であり、「退場時の情報」が図18(b)の情報である場合には、「傘」の識別情報「1234aaaaaa」は、「入場時の情報」(図18(a))には示されるが、「退場時の情報」(図18(b))には示されていない。このため、ステップS306では、「傘」の識別情報「1234aaaaaa」が特定される。
続くステップS307では、ステップS306で特定された識別情報に含まれる物品情報(図9参照)に基づき、遺失品の種類を示す情報が取得される(ステップS307)。このステップS307では、管理サーバ3に記憶された物品情報テーブル(図12)が使用される。
例えば、ステップS306で「傘」の識別情報「1234aaaaaa」が特定された場合には、まず、この識別情報「1234aaaaaa」に含まれる物品情報「1234」が取得される。そして、物品情報テーブル(図12)において、物品情報「1234」が対応付けられている携行品の種類の名称が取得される。この結果、「傘」が、遺失品の種類を示す情報として取得される。
そしてステップS307(図19)の後では、駅情報取得部3D(図10)が、携帯端末が入場した駅と退場した駅の情報を取得する(ステップS308)。具体的には、入場した駅の情報として「入場時の情報」に含まれる駅識別情報が取得され、退場した駅の情報として「退場時の情報」に含まれる駅識別情報が取得される。
「入場時の情報」が図18(a)の情報であり、「退場時の情報」が図18(b)の情報である場合には、入場した駅の情報として、A駅に対応する「AAAA」が取得され、退場した駅の情報として、B駅に対応する「BBBB」が取得される。
ステップS308(図19)の後では、列車情報取得部3E(図10)により、利用者RがA駅の改札装置K1を通過してからB駅の改札装置K2を通過するまでの時間帯を示す情報が取得される(ステップS309)。
具体的には、「入場時の情報」に示される時刻と、「退場時の情報」に示される時刻とが取得される。「入場時の情報」が図18(a)の情報であり、「退場時の情報」が図18(b)の情報である場合には、時刻「8:12」と、時刻「10:10」とが取得される。
そしてステップS309(図19)の後では、列車情報取得部3E(図10)により、利用者Rが乗車した可能性のある列車の情報が取得される(ステップS310)。このステップS310では、管理サーバ3に記憶された時刻表テーブル(図11)が使用される。
以下、列車情報取得部3Eの処理について、「入場時の情報」が図18(a)の情報であり、「退場時の情報」が図18(b)の情報である場合を例に説明する。なお、この場合、ステップS309では、図18(a)(b)に示される時刻「8:12」「10:10」が取得される。
まず、駅情報取得部3DによるステップS308で取得された駅識別情報「AAAA」「BBBB」に基づき、時刻表テーブルで情報を抽出する範囲が設定される。この結果、時刻表テーブル(図11)の情報の抽出対象範囲として、駅識別情報が「AAAA」・「BBBB」である列1〜4が設定される。
そして、列1〜4に示される情報の中から、携行品を遺失した可能性のある列車の情報が取得される。具体的には、列1〜4に示される情報の中から、A駅の出発時刻(或いは到着時刻)が、図18(a)に示す「8:12」以降であり、B駅への到着時刻(或いは出発時刻)が、図18(b)に示す「10:10」以前である列車の情報を取得する。この結果、列1〜4の3〜5行に示される時刻が、利用者Rが乗車した可能性のある列車の情報として取得される。
そして、ステップS310(図19)の後では、管理サーバ3の退場時通知部3F(図10)は、差分情報がある旨を示す遺失情報と、ステップS307で遺失品特定部3Cが取得した情報と、ステップS310で列車情報取得部3Eが取得した情報とを合わせた情報を、携帯端末2を用いて利用者Rに通知する(ステップS311)。
すなわち、上記の3つの情報が記されたメールが、インターネット5(図1)を通じて、携帯端末2に送信される。このメールでは、宛先に「入場時の情報」或いは「退場時の情報」に記されたメールアドレスが設定される(図18(a),(b))。
図20は、実施の形態1の退場時通知処理により、携帯端末2に送信されるメールの例を示している。図20のメールでは、遺失情報と、遺失品特定部3CがステップS306で取得した情報とを合わせた情報として、「傘を置き忘れていませんか?」が記されている。また、列車情報取得部3EがステップS310で取得した情報として、時刻表テーブル(図11)における列1〜4の3〜6行に示された発着時刻が記されている。また図20に示すメールでは、図18の情報に記されている携帯端末2のメールアドレス「abc@hhhhh」が宛先に設定されている。
なお、ステップS311で送信されるメールの宛先は、管理サーバ3に記憶されたアドレスから設定されるようにしてもよい。この場合、携帯端末2のメールアドレスは、予め管理サーバ3の記憶部31(図8)に記憶されて、退場時通知部3FによりステップS311で読み出される(図10参照)。また、この場合には、携帯端末2で実行されるステップS104(図13)は省略される。この結果、「入場時の情報」・「退場時の情報」(図18参照)には、携帯端末2のメールアドレスは記されないものとなる。
また、携帯端末2の報知部23(図4)が、メールの受信に応じて駆動するよう設定されることで、利用者Rにメールの受信を確実に通知することができる。また、メールの文字情報は、利用者Rが操作部25を操作することで、表示部24の画面上に表示される。
実施の形態1の退場時通知処理によれば、利用者Rが、鉄道施設から退場する際には、この時点で携帯端末2がICタグTから読み取った識別情報と、利用者Rが鉄道施設から入場する際に携帯端末2がICタグTから読み取った識別情報とが比較されて、差分情報があるか否かが判定される。利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失していた場合には、差分情報があると判定され、この結果、差分情報がある旨を示す遺失情報が、利用者Rが所持する携帯端末2にメールで通知される。このため、利用者Rは、鉄道施設を退場する際に、携行品を遺失したことを知ることができる。これにより、遺失品の捜索が速やかに行われて、遺失品の早期発見が促される。
また、利用者Rが、鉄道施設内に入場する際や、鉄道施設から退場する際には、利用者Rが携帯端末2を改札装置K1,K2に近づけるだけで、携帯端末2によって利用者周囲のICタグTから識別情報が読み取られる。このため、識別情報を読み取るために、利用者Rは、各携行品に取り付けたICタグT1〜T4を探す必要がない。これにより、利用者は、円滑に、鉄道施設に入場したり、鉄道施設から退場することができる。
また、識別情報を読み取る利用者Rの入退場時刻は、携帯端末2が改札装置K1,K2に近接させた結果、携帯端末2と改札装置K1,K2とが電波による無線通信を行うことで特定される。これにより、識別情報を読み取るタイミングを設定するために、利用者Rが入退場時刻を入力する必要がない。このため、利用者Rの誤入力によって誤った通知が行われず、正確な通知が行われる。
また、利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失した場合には、利用者Rが乗車した可能性のある列車(すなわち、携行品を遺失した可能性のある列車)が携帯端末2に通知される。このため、利用者Rが乗車した列車を憶えていない場合でも、遺失品が発見される可能性は高くなる。また、この通知が、鉄道施設を退場する際に行われるために、遺失品が発見される可能性はさらに高くなる。
また、上記列車の通知処理では、管理サーバ3が、これに記憶された時刻表テーブル(図11)を用いて列車を特定することから、携帯端末2の処理負荷は小さく抑えられる。
また、利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失した場合には、遺失品の種類を示す情報が携帯端末2を用いて通知される。このため、利用者Rは、遺失品が取り戻すべき重要な物品であるか否かを判断することができ、遺失した場所等を絞り込むために有用な情報が提供される。
また、携帯端末2が識別情報を読み取った後では、この識別情報の中から、利用者の携行品に取り付けられているICタグT1〜T4の識別情報のみが抽出される。このため、他者が所持するICタグT5,T7から識別情報が読み取られていたとしても、これらの識別情報は排除された上で、携行品を遺失したか否かが判定される(「入場時の情報」のうち、「退場時の情報」に含まれない差分情報があるか否かが判定される)。このため、他者が所持するICタグT5,T7の読み取りによる誤った通知が行われないため、通知される情報の信頼性はより高められる。
なお、図19の処理では、ステップS306〜S307の遺失品情報取得処理と、ステップS308〜S310の列車情報取得処理とは先後は問われず、ステップS305でNOと判断された場合において、列車情報取得処理(ステップS308〜S310に相当)が、遺失品情報取得処理(ステップS306〜S307に相当)よりも先に実行されてもよい。
また、管理サーバ3と改札装置K1,K2とは、A,B駅にそれぞれ設置される中継装置である駅サーバを介して、接続されるようにしてもよい。この場合、例えば、駅サーバと管理サーバ3とは、LAN等のネットワークを通じて接続され、また、A,B駅の各々において、駅サーバと改札装置K1,K2とは、ケーブル等を通じて接続される。このような接続により、管理サーバ3と改札装置K1,K2とは、駅サーバを介してデータの送受信が可能になる。
次に、実施の形態1では、利用者Rが鉄道施設内に入っている間に、利用者Rに遺失情報を通知するための処理(以下、途中時通知処理と記す)を行う。
途中時通知処理は、携帯端末2で実行される。図21は、途中時通知処理を実行する携帯端末2の機能的構成を示す。
図21に示すように、携帯端末2では、途中時読み取り部2Xと、途中時抽出部2Eと、途中時比較部2Fと、途中時表示部2Gと、退場判定部2Hとが構成される。これら各部は、図4の制御部20が記憶部21のプログラムに従った処理を実行することで構成される。
また途中時通知処理のために、携帯端末2の記憶部21には、図22の入場時情報テーブルが記憶される。入場時情報テーブルは、利用者Rが操作部25(図4)を操作することで作成され、携帯端末2が鉄道施設に入場する際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際)に所持するバッグ・時計・財布・傘に対応する識別情報「4567aaaaaa」,「3456aaaaaa」,「2345aaaaaa」,「1234aaaaaa」が記録されている。
図23は、実施の形態1に係る携帯端末2における途中時通知処理の動作の一例を示すフローチャートである。
入場時に携帯端末2が改札装置K1に近接されると、携帯端末2は、改札装置K1から電波D1を受信した後(図6(1A))、乗車券データEを含む電波D2を発信する(図6(2A))。この結果、電波D2の発信情報J1が制御部20に伝達されるが、これに応じて、途中時読み取り部2Xは、タグリーダ部26に、質問波を発信させる。この結果、利用者R近傍の所定範囲に存在するICタグTの識別情報が読み取られる(ステップS401)。
なお、ステップS401では、携帯端末2に電波D4が受信されて、制御部20に変更情報J3が伝達されることに応じて(図6(3A))、質問波が発信されるようにしても良い。
次に、途中時抽出部2E(図21)は、ステップS401(図23)で読み取られた識別情報の中から、利用者Rの携行品に取り付けられているICタグTの識別情報を抽出する(ステップS402)。このステップS402は、図13のステップS103と同様であり、ステップS401で読み取られた識別情報の中から、利用者Rの個人情報「aaaaaa」が記されていた識別情報のみが抽出される。
そして、途中時比較部2F(図21)は、ステップS402で抽出された識別情報と、入場時情報テーブル(図22)の識別情報とを比較して、入場時情報テーブルの識別情報のうち、ステップS402で抽出された識別情報に含まれない差分情報があるか否かを判定する(ステップS403)。具体的には、ステップS402で抽出された識別情報の数と、入場時情報テーブル(図22)の識別情報の数とが相違するか否かが判定される。
まず、両者の識別情報の数が一致していたことから、差分情報がないと判定される場合(ステップS403でNO)の流れについて説明する。
ステップS403でNOと判断された場合には、退場判定部2Hが、携帯端末2が鉄道施設から退場したか否か(すなわち、利用者RがB駅の改札装置K2を通過したか否か)を判定する(ステップS405)。
具体的には、携帯端末2が改札装置K2に近接された結果、携帯端末2が、乗車券データEを含む電波D3を発信したことで(図7(1B))、電波D3の発信情報J1が携帯端末2の制御部20に伝達されたか否かが判定される。
或いは、携帯端末2に電波D5が受信されたことで、携帯端末2の制御部20に変更情報J5が伝達されたか否かが判定されてもよい(図7(3B))。
そして、制御部20に情報J1或いはJ5が伝達されていないことから、退場判定部2Hが、携帯端末2が鉄道施設から退場していないと判定した場合には(図23 ステップS405でNO)、ステップS401に復帰する。この結果、ステップS401〜S405の処理が繰り返される。
以上のステップS401〜S405の処理は、制御部20に情報J1或いはJ5が伝達されて、携帯端末2が鉄道施設から退場したと判定されるまで(ステップS405でYES)、繰り返される。この結果、利用者Rが鉄道施設内に入っている間では、所定の時間間隔で、利用者Rが所持する携行品に取り付けられたICタグTから識別情報が読み取られる。そして、識別情報が読み取られるたびに、ステップS403が実行されて、ステップS402で抽出された識別情報と、入場時情報テーブル(図22)の識別情報とが比較されて、差分情報があるか否かが判断される。
この過程において、利用者Rが列車内に携行品を遺失した場合(携行品が利用者Rから離れて、ICタグTの読み取りが出来なくなった場合)には、この遺失が生じた時点において、遺失品の識別情報は読み取られなくなる(ステップS401)。この結果、この直後のステップS403では、差分情報があると判定される(ステップS403でYES)。
図24は、実施の形態1の途中時処理において、携帯端末2に読み取られる識別情報の例を示す図である。図2の例では、列車内で傘が遺失された時点において、ステップS401で読み取られる識別情報は、図24(a)のようになる。すなわち、バッグ・時計・財布に取り付けられたICタグT1〜T3から、識別情報「4567aaaaa」・「3456aaaaaa」・「2345aaaaaa」は読み取られるが、傘に取り付けられたICタグT4からは、識別情報「1234aaaaaa」は読み取られない。
また、図24(a)の例では、バッグ・時計・財布に対応する上記の3つの識別情報の他に、識別情報「2698xxxxxx」が読み取られている。これは、図2に示すように、列車内で利用者Rの近傍に存在していた他者が、携帯端末2で読み取り可能なICタグT7を所持したためである。
そして、図24(a)の識別情報がステップS401で読み取られた後では、ステップS402により、利用者Rの個人情報「aaaaaa」を含む識別情報が抽出される。この結果、図24(b)に示すように、識別情報「4567aaaaa」・「3456aaaaaa」・「2345aaaaaa」のみが抽出され、他者が所持するICタグT7の識別情報「2698xxxxxx」については、排除される。
そして、続くステップS403では、図24(b)の識別情報の数と、入場時情報テーブル(図22)の識別情報の数とが相違するか否かが判定される。この場合、図24(b)の識別情報の数は3つであり、入場時情報テーブル(図22)の識別情報の数は4つであることから、両者の識別情報の数は相違する。このため、ステップS403では、差分情報があると判定されて(ステップS403でYES)、ステップS404に移行する。
このステップS404では、途中時表示部2G(図21)が、差分情報がある旨を示す遺失情報を、携帯端末を用いて利用者Rに通知する(ステップS404)。具体的には、遺失情報が、携帯端末2の表示部24(図4)の画面上に表示される。
図25は、実施の形態1の途中時処理において、携帯端末2に表示される画面の例を示す図である。この例では、遺失情報として、「携行品を置き忘れていませんか?」のメッセージが示されている。この結果、利用者Rは、鉄道施設内に入っている間に、携行品を遺失したことを知ることができる。なお、ステップS404のメッセージは、表示部24への表示に応じて報知部23(図4)が駆動するよう設定されることで、利用者Rへ確実に伝えられる。
なお、ステップS404の通知が行われた場合でも、利用者Rが鉄道施設から退場するまで、ステップS401〜S405が繰り返される。この繰り返しにより、利用者Rが遺失品を発見できない間では、ステップS404の通知が連続して行われる。しかしながら、携帯端末2が質問波を発信する時間間隔(すなわち、携帯端末2が識別情報を読み取る時間間隔)を調整することで、利用者Rは、ステップS404の通知を頻繁に受けることを回避することができる。また、利用者Rが携行品を発見した後では、ステップS403でNOと判断されるため、ステップS404の通知は停止される。
上述した実施の形態1の途中時通知処理によれば、利用者Rが、鉄道施設内に入っている間に、入場時情報テーブル(図22)の識別情報のうち、携帯端末2が読み取った識別情報に含まれない差分情報があるか否かが判定される。そして、利用者Rが携行品を遺失していた場合には、差分情報があると判定されることで、差分情報がある旨を示す遺失情報が、携帯端末2の表示部24(図4)の画面に表示される。このため、利用者Rは、携行品を遺失した時点で、その事実を知ることができる。このため、遺失品の早期発見がより一層促される。
また、退場時通知処理と同様に、携帯端末2が読み取った識別情報の中から、利用者Rの携行品に取り付けられているICタグT(図2の例ではT1〜T3)の識別情報のみが抽出されて、入場時情報テーブル(図22)の識別情報と比較される。このため、他者が所持するICタグT7の識別情報が携帯端末に読み取られていたとしても、他者のICタグT7の読み取りにより誤った通知が行われない。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。なお以下では、実施の形態1と相違する点を中心に説明し、実施の形態1と対応する構成については、同一の符号を付す。図26は、本発明の実施の形態2の遺失情報通知システム50の構成を示すブロック図である。実施の形態2の遺失情報通知システム50は、実施の形態1の遺失情報通知システム1から、管理サーバ3(図1)を省略したものであり、A,B駅に設置される改札装置K1,K2と、利用者Rによって所持される携帯端末2と、バッグ・時計・財布・傘に取り付けられるICタグT1〜T4とからなる。
本実施の形態においても、図2に示すように、バッグ・時計・財布・傘を所持した利用者Rが、A駅で列車に乗車した後、列車内に傘を置き忘れて、B駅で降車する場合を例に説明する。
図27は、実施の形態2に係る携帯端末2の構成の例を示すブロック図であり、図28は、実施の形態2に係る改札装置K1,K2の構成の例を示すブロック図である。携帯端末2と改札装置K1,K2とは、図4,5に示される構成から、管理サーバ3に接続するための通信部22,42が省略されている。
また、ICタグT1〜T4には、実施の形態1と同様、それぞれ、バッグ・時計・財布・傘に対応する図9の識別情報が記憶されており、これら識別情報を、携帯端末2のタグリーダ部26は、読み取り可能である。
実施の形態2においても、利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失した場合には、利用者Rが鉄道施設から退場する際や、利用者Rが鉄道施設内に入っている間に、携帯端末2が用いられて利用者Rに遺失情報が通知される。まず、退場時の通知処理について説明する。
図29は、実施の形態2における退場時通知処理を実行する機能的構成を示すブロック図である。
携帯端末2では、図27の制御部20が記憶部21のプログラムに従った処理を実行することで、入退場検知部2Iと、入退時読み取り部2Jと、入退時抽出部2Kと、入退場情報判定部2Lと、退場時比較部2Mと、遺失品特定部2Nと、駅情報取得部2Oと、列車情報取得部2Pと、退場時通知部2Qとが構成される。
また、実施の形態2では、実施の形態1で管理サーバ3に記憶されていた時刻表テーブル(図11)・物品情報テーブル(図12)は、携帯端末2の記憶部21に記憶されて、これらテーブルは、退場時通知処理で使用される。
また、実施の形態1と同様、携帯端末2の記憶部21には、利用者Rの個人情報「aaaaaa」が記憶される。
また、改札装置K1,K2では、図28の制御部40が記憶部41のプログラムに従った処理を実行することで、それぞれ、入退識別部4Cと、送信処理部4Dとが構成される。
また、改札装置K1の記憶部41には、実施の形態1と同様、A駅に割り振られた駅識別情報「AAAA」が記憶され、また、改札装置K2の記憶部41には、B駅に割り振られた駅識別情報「BBBB」が記憶される。
図30は、実施の形態2に係る改札装置K1,K2における退場時通知処理の動作の一例を示すフローチャートである。
なお、図30の処理は、利用者Rが改札装置K1,K2を通過する時刻など、改札装置K1,K2で得られる情報を、携帯端末2に送信するために実行される。図30の処理は、利用者Rが携帯端末2を改札装置K1,K2に近接させた結果、改札装置K1,K2の制御部40が、乗車券類データEに基づき、情報J2,J3に含ませる入退場フラグの値をセットすることで開始される(図6(3A),図7(3B)参照)。
まず、改札装置K1,K2の入退識別部4Cは、携帯端末2に送信される入退場情報「IN」「OUT」を選択する(ステップS501)。この選択は、改札装置K1,K2の制御部40が情報J2,J3に含ませる入退場フラグの値に基づき、行われる(図6(3A),図7(3B)参照)。
携帯端末2が鉄道施設内に入場する際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際)では、改札装置K1の制御部40は、情報J2に含ませる入退場フラグを「入場済」の値にセットしている((図6(3A))。この「入場済」の値から、改札装置K1の入退識別部4Cは、鉄道施設内に入場したことを示す情報「IN」を選択する。
一方、携帯端末2が鉄道施設から退場する際(利用者RがB駅の改札装置K2を通過する際)には、改札装置K2の制御部40は、情報J4に含ませる入退場フラグを「退場済」の値にセットしている(図7(3B))。この「退場済」の値から、改札装置K2の入退識別部4Cは、鉄道施設から退場したことを示す情報「OUT」を選択する。
ステップS501(図30)の後では、改札装置K1,K2の送信処理部4Dは、ステップS501で選択された入退場情報「IN」又は「OUT」と、改札装置K1,K2の記憶部41に記憶された駅識別情報「AAAA」,「BBBB」と、利用者Rが改札装置K1,K2を通過する時刻とを対応つけた情報を、携帯端末2に送信する(ステップS502)。
このステップS502において、改札装置K1の送信処理部4Dは、改札装置K1に記憶された駅識別情報「AAAA」を用いる。また、改札装置K2の送信処理部4Dは、改札装置K2に記憶された駅識別情報「BBBB」を用いる。
またステップS502では、利用者Rが改札装置K1,K2を通過する時刻として、例えば、改札装置K1,K2が電波D1,D4,D5を発信する時刻(図6(1A)(3A)、図7(1B)(3B))、或いは、改札装置が電波D2,D3を受信する時刻(図6(2A)、図7(2B))が用いられる。
図31は、駅識別情報と、入退場情報と、入場時刻又は退場時刻とを対応付けた情報を示す図である。
図31(a)は、携帯端末2が鉄道施設に入場する際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際)に、改札装置K1が、ステップS502で送信する情報の例である。図31(a)では、A駅の駅識別情報「AAAA」と、ステップS501で選択された入退場情報「IN」と、利用者Rが改札装置K1を通過した時刻「8:12」とが記されている。
図31(b)は、携帯端末2が鉄道施設から退場する際(利用者RがB駅の改札装置K2を通過する際)に、改札装置K2が、ステップS502で送信する情報の例である。図31(b)では、B駅の駅識別情報「BBBB」と、ステップS501で選択された入退場情報「OUT」と、利用者Rが改札装置K2を通過した時刻「10:10」とが記されている。
図32は、実施の形態2に係る携帯端末2における退場時通知処理の動作の一例を示すフローチャートである。
携帯端末2が、鉄道施設に入場する際や、鉄道施設から退場する際では、利用者Rが、携帯端末2を改札装置K1,K2に近接させた結果、制御部20に電波D2の発信情報J1が伝達される(図6(2A),図7(2B))。これに応じて、携帯端末2の入退場検知部2Iは、携帯端末2が鉄道施設内に入場したこと、或いは携帯端末2が鉄道施設から退場したことを検知する(図32 S601)。
なお、携帯端末2が電波D4,D5を受信して(図6(3A),図7(3B))、制御部40に情報J3,J5が伝達されることに応じて、携帯端末2が鉄道施設内に入場したこと、或いは携帯端末2が鉄道施設から退場したことが検知されるようにしてもよい。
そして、入退場検知部2Iが、携帯端末2が鉄道施設内に入場したこと、或いは、携帯端末2が鉄道施設から退場したことを検知したときには、そのたびに、入退時読み取り部2Jは、タグリーダ部26に携帯端末2周囲の領域へ質問波を発信させる。
この結果、図2の例では、携帯端末2が入場する際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過する際)に、図14(a)の情報が、携帯端末2に読み取られる(入場時のステップS602)。また、携帯端末2が退場する際(利用者RがB駅の改札装置を通過する際)には、図14(b)の情報が、携帯端末2に読み取られる(退場時のステップS602)。
そしてステップS602の後では、入退時抽出部2K(図29)が、ステップS602で読み取った情報の中から、利用者Rの個人情報「aaaaaa」を含む情報を抽出する(ステップS603)。これは、図13のステップS103と同様の処理である。この結果、図15(a),(b)のように、利用者Rの携行品に取り付けられているICタグTの識別情報のみが抽出され、他者が所持するICタグTの識別情報は、排除される。
次に、改札装置K1,K2からステップS502(図30)の情報を受信することに応じて、携帯端末2の入退場情報判定部2Lは、ステップS502の情報と、ステップS603で抽出された情報とを対応付ける(ステップS604)。
図33は、図15の情報と、図31の情報とを対応付けた情報を示す図である。携帯端末2が鉄道施設に入場した際(利用者RがA駅の改札装置K1を通過した際)では、改札装置K1がステップS502で送信した図31(a)の情報と、図15(a)の情報(ステップS603の抽出情報)とが対応付けられることで、図33(a)の情報が作成される(入場時のステップS604)。
また、携帯端末2が鉄道施設に退場した際(利用者RがB駅の改札装置K2を通過した際)では、改札装置K2がステップS502で送信した図31(b)の情報と、図15(b)の情報(ステップS603の抽出情報)とを対応付けることで、図33(b)の情報が作成される(退場時のステップS604)。
ステップS604(図32)の後では、入退場情報判定部2L(図29)により、ステップS604で作成された情報が、携帯端末2が入場したときに作成された「入場時の情報」であるか否かが判定される(ステップS605)。具体的には、ステップS604で作成した情報に、鉄道施設に入場したことを示す入退場情報「IN」が記されているか否かが判定される。そして「IN」が記されている場合には(ステップS605でYES)、ステップS604で作成した情報が、携帯端末2の記憶部21に記憶される(ステップS606)。
入場時のステップS604で作成される「入場時の情報」では、図33(a)のように、「IN」が記されている。よって、「入場時の情報」は、記憶部21に記憶されて、図32の処理は終了する。
一方、ステップS604で作成した情報に、「IN」が記されていない場合には(ステップS605でNO)、入退場情報判定部2L(図29)により、ステップS604で作成された情報が、携帯端末2が退場したときに作成された「退場時の情報」であるか否かが判定される(ステップS607)。具体的には、ステップS604で作成した情報に、「OUT」が記されているか否かが判定される。
改札装置K2からステップS502で送信された情報を含む「退場時の情報」では、図33(b)のように、「IN」は記されておらず、「OUT」が記されている。このため、ステップS604で「退場時の情報」が作成された際には、ステップS605でNO,ステップS607でYESと判定されて、退場時比較部2M(図29)によるステップS608が実行される。このステップS607では、ステップS606で過去に記憶された情報から、「退場時の情報」の比較対象となる「入場時の情報」が特定される。
具体的には、「退場時の情報」と、個人情報が一致する「入場時の情報」が特定される。例えば、「退場時の情報」が図33(b)の情報である場合には、「退場時の情報」の1)〜3)識別情報には、個人情報「aaaaaa」が含まれている。このため、退場時比較部2Mは、個人情報が「aaaaaa」である「入場時の情報」を特定する。この結果、図33(a)のように、個人情報が「aaaaaa」である「入場時の情報」、すなわち、利用者Rについて作成された「入場時の情報」が特定される。
ステップS608の後では、退場時比較部2M(図29)が、「退場時の情報」と、ステップS608で特定された「入場時の情報」とを比較して、「入場時の情報」のうち、「退場時の情報」に含まれない差分情報があるか否かを判定する(ステップS609)。具体的には、「退場時の情報」と、ステップS608で特定された「入場時の情報」とに記されている識別情報の数が相違するか否かが判定される。
例えば、「退場時の情報」が図33(b)の情報であり、「入場時の情報」が図33(a)の情報である場合には、図33(b)の識別情報の数が3つであり、図33(a)の識別情報の数が4つで、相違することから、退場時比較部2Mは、差分情報があると判定する(ステップS609でYES)。
そして、この場合には(ステップS609でYES)、遺失品特定部2Nが、利用者Rが鉄道施設内に遺失した携行品の種類を示す情報を取得する(ステップS610,S611)。
この処理では、まず、「入場時の情報」の中から、「退場時の情報」に含まれていない識別情報が特定される(ステップS610)。
「入場時の情報」が図33(a)の情報であり、「退場時の情報」が図33(b)の情報である場合には、「傘」の識別情報「1234aaaaaa」が特定される。
次に、遺失品特定部2Nは、ステップS610で特定した識別情報に含まれる物品情報(図9参照)に基づき、利用者Rが遺失した携行品の種類を示す情報を取得する(ステップS611)。このステップS611では、携帯端末2に記憶された物品情報テーブル(図12)が使用される。
ステップS610で「傘」の識別情報「1234aaaaaa」が特定されていた場合には、物品情報「1234」が取得される。そして、物品情報テーブル(図12)で、物品情報「1234」に対応付けられている「傘」が、利用者Rが遺失した携行品の種類を示す情報として取得される。
ステップS611の後では、駅情報取得部2O(図29)が、携帯端末が入場した駅と退場した駅の情報を取得する(ステップS612)。ステップS612では、図19のステップS307と同様である。この結果、入場した駅の情報として「入場時の情報」に含まれる駅識別情報が取得され、退場した駅の情報として「退場時の情報」に含まれる駅識別情報が取得される。
ステップS612の後では、列車情報取得部2P(図29)が、利用者Rが入場口の改札装置K1を通過した時刻から退場口の改札装置K2を通過した時刻までの時間帯を取得する(ステップS613)。
具体的には、「入場時の情報」に示される時刻と、「退場時の情報」に示される時刻とが、取得される。
「入場時の情報」が図33(a)の情報であり、「退場時の情報」が図33(b)の情報である場合には、時刻「8:12」と、時刻「10:10」とが取得される。
ステップS613の後では、列車情報取得部2Pが、利用者Rが乗車した可能性のある列車の情報を取得する(ステップS614)。
このステップS614では、携帯端末2に記憶された時刻表テーブル(図11)に示される情報の中から、ステップS613で取得された2つの時刻の間の時間帯で、A,B駅を発着した列車の時刻が抽出される。この処理は、図19のステップS310と同様であり、ステップS612でA,B駅に対応する駅識別情報「AAAA」「BBBB」が取得され、ステップS613で、時刻「8:12」と時刻「10:10」とが取得された場合には、時刻表テーブル(図11)で、駅識別情報が「AAAA」「BBBB」である列1〜4の3〜5行の発着時刻が、列車の情報として取得される。
そして、ステップS614の後では、退場時通知部2Q(図29)により、ステップS609の差分情報がある旨を示す遺失情報と、ステップS611で取得された情報と、ステップS614で取得された情報とが、携帯端末2が用いられて利用者Rに通知される(ステップS615)。このステップS615では、上記3つの情報が、携帯端末2の表示部24(図4)の画面上に表示される。
図34は、実施の形態2の退場時通知処理において、携帯端末2に表示される画面の例を示す図である。この画面では、遺失情報と、遺失品特定部がステップS611で取得した情報とを合わせた情報として、「傘を置き忘れていませんか?」が記されている。また、列車特定部がステップS614で取得した情報として、時刻表テーブル(図11)で、列1〜4における3〜5行の発着時刻が、情報として取得されている。
なお、携帯端末2で、表示部24の表示に応じて、報知部23(図4)が駆動するよう設定されることで、ステップS615のメッセージは確実に利用者Rに通知される。
実施の形態2の退場時通知処理によれば、実施の形態1のように管理サーバ3(図1)を設置する必要がなくなるため、管理サーバ3の設置に要するコストや手間を省くことができる。
利用者Rが、鉄道施設内に携行品を遺失した場合には、鉄道施設から退場する際に、遺失情報が、携帯端末2の表示部24の画面に表示される。このため、実施の形態2においても、利用者Rは、鉄道施設を退場する際に、鉄道施設内に携行品を遺失したことを知ることができるため、遺失品の早期発見が促される。
また、利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失した場合には、遺失品の種類を示す情報が携帯端末2の画面に表示される。このため、利用者Rは、遺失品が取り戻すべき重要な物品であるか否かを判断することができ、また、携行品を遺失した場所等を思い出すことが容易になる。
また、利用者Rが鉄道施設内に携行品を遺失した場合には、利用者が乗車した列車(携行品を遺失した可能性のある列車)を示す情報が、携帯端末2の画面に表示される。このため、利用者Rが乗車した列車を憶えていない場合でも、遺失品が発見される可能性は高くなり、上記の表示が、鉄道施設を退場する際に行われるために、遺失品が発見される可能性はさらに高くなる。
また、実施の形態1と同様、利用者Rが携帯端末2を改札装置K1,K2に近づけるだけで、携帯端末2が利用者R周囲のICタグTから識別情報を読み取るため、利用者は、円滑に、鉄道施設に入場したり、鉄道施設から退場することができる。
また、実施の形態1と同様、利用者Rの入退場時点(携帯端末が識別情報を読み取る時点)は、携帯端末2と改札装置K1,K2とが電波による無線通信を行うことで特定される。このため、利用者Rによる入退時刻の入力が不要になるから、誤入力による誤った通知が行われることを回避できる。
また、実施の形態1と同様、携帯端末2が読み取った識別情報の中から、利用者Rの携行品に取り付けられているICタグTの識別情報のみが抽出されて、携行品を遺失したか否かが判断される(「入場時の情報」のうち、「退場時の情報」に含まれない差分情報があるか否かが判定される)。このため、他者が所持するICタグT5,T6の読み取りが行われている場合でも、この読み取りによる誤った通知が行われない。
次に、利用者Rが鉄道施設内に入っている間(A駅の改札装置を通過してからB駅の改札装置を通過するまでの間)に実行される途中時通知処理について説明する。
本実施の形態においても、途中時通知処理は携帯端末2で実行されるが、実施の形態1と異なり、鉄道施設内に携行品が遺失された場合、その旨を示す遺失情報に加えて、遺失品の種類を示す情報が、携帯端末2の表示部24の画面上に表示される。図35は、途中時通知処理を実行するための携帯端末2の機能的構成を示している。図35に示すように、携帯端末2では、途中時読み取り部2Rと、途中時抽出部2Sと、途中時比較部2Tと、遺失品特定部2Uと、途中時通知部2Vと、退場判定部2Wとが、構成される。
また実施の形態1と同様、携帯端末2の記憶部21には、途中時通知処理のために、図22の入場時情報テーブルが記憶される。
また、実施の形態2では、実施の形態1で管理サーバ3に記憶されていた図12の物品情報テーブルは、携帯端末2の記憶部21に記憶されて、途中時通知処理に使用される。
図36は、実施の形態2に係る携帯端末2における途中時通知の動作の一例を示すフローチャートである。
ここで、図36のステップS701〜S703(途中時読み取り部2R・途中時抽出部2S・途中時比較部2Tによる処理)は、図23のステップS401〜S403と同様であり、ステップS701では、例えば図24(a)の識別情報が読み取られ、ステップS702では、例えば図24(b)の識別情報が抽出される。ステップS703では、ステップS702で抽出された情報の数と、入場時情報テーブル(図22)の情報の数とが比較され、情報の数が相違する場合に、入場時情報テーブル(図22)の情報のうち、ステップS702の抽出情報に含まれない差分情報があると判定される(ステップS703でYES)。
ステップS703で差分情報があると判定された場合(ステップS703でYES)、ステップS704,S705で、遺失品特定部2Uが、利用者Rが遺失した携行品の種類を示す情報を取得する。
ステップS704では、入場時情報テーブル(図22)に記される識別情報の中から、ステップS702で途中時抽出部2Sにより抽出された情報に含まれない識別情報が特定される。
例えば、ステップS702で抽出される情報が、図24(b)の情報である場合には、図22の識別情報の中で、識別情報「1234aaaaaa」が図24(b)の情報に含まれていないため、識別情報「1234aaaaaa」が差分情報として特定される。
そしてステップS705は、ステップS704で特定された識別情報に含まれる物品情報に基づき、利用者Rが遺失した携行品の種類を示す情報が取得される。このステップS705では、携帯端末2に記憶された物品情報テーブル(図12)が使用される。
例えば、ステップS704で識別情報「1234aaaaaa」が特定された場合には、識別情報「1234aaaaaa」から物品情報「1234」が取得され、さらに、図12の物品情報テーブルで、物品情報「1234」に対応付けられた「傘」が、種類を示す情報として取得される。
ステップS704,S705の後では、途中時通知部2V(図35)により、差分情報がある旨を示す遺失情報と、ステップS705で取得された情報とが、携帯端末2を用いて利用者Rに通知される(ステップS706)。具体的には、これら2つの情報が、携帯端末2の表示部24の画面に表示される
図37は、実施の形態2の途中時通知処理において、携帯端末に表示される画面の例を示す図である。この画面では、遺失情報と、ステップS705で取得された情報とを合わせた情報として、「傘を置き忘れていませんか?」のメッセージが表示されている。
そしてステップS706が実行された場合、或いは、ステップS703で差分情報がないと判定された場合(ステップS703でNO)には、退場判定部2W(図35)により、携帯端末2が鉄道施設から退場したか否か(すなわち利用者RがB駅の改札装置K2を通過したか否か)が判定される(ステップS707)。
ステップS707では、携帯端末2が改札装置K2に近接されたことで、携帯端末2の制御部20に電波D3の発信情報J1が伝達されたか否かが判定される(図7(2B))。
或いは、携帯端末2に電波D5が受信されたことで、制御部20に変更情報J5が伝達されたか否かが判定されるようにしてもよい(図7(3B))。
情報J1或いはJ5が伝達されていないことで、携帯端末2が鉄道施設から退場していないと判定された場合には(ステップS707でNO)、ステップS701に復帰する。この復帰により、ステップS701〜S707が、携帯端末2が鉄道施設から退場したと判定されるまで(ステップS707でYES)、繰り返される。
この結果、利用者Rが鉄道施設内に入っている間では、所定の時間間隔で、利用者Rが所持する携行品に取り付けられたICタグTから識別情報が読み取られる(ステップS701)。そして、識別情報が読み取られるたびに、入場時情報テーブルの識別情報のうち、ステップS702で抽出された識別情報に含まれない差分情報があるか否かが判定される(ステップS703)。利用者Rが列車内で携行品を遺失した場合には、この遺失が生じた時点のステップS703で差分情報があると判定され、この結果、遺失情報が、ステップS706で携帯端末2が用いられて利用者Rに通知される。
実施の形態2の途中時通知処理では、実施の形態1と同様、利用者Rが、鉄道施設内に入っている間に読み取られた識別情報と、入場時情報テーブルの識別情報とが比較されて、差分情報があるか否かが判定される。そして、利用者が携行品を鉄道施設内に遺失したことから、差分情報があると判定された場合には、その旨を示す遺失情報と、遺失品の種類を示す情報とが、携帯端末2の表示部24の画面上に表示される。このため、利用者Rは、鉄道施設内に入っている間に、遺失の事実を知ることができるとともに、遺失品が取り戻すべき重要な物品であるか否かを判断でき、遺失した場所等を絞り込むことが容易になる。
また、実施の形態1と同様に、携帯端末2が読み取った識別情報の中から、利用者Rの携行品に取り付けられているICタグTの識別情報のみが抽出されて、携行品を遺失したか否かが判断される(入場時情報テーブルの識別情報のうち、抽出された情報に含まれない差分情報があるか否かが判定される)。このため、他者が所持するICタグT7の識別情報が読み取られていたとしても、他者のICタグT7の読み取りによる誤った通知が行われない。
なお、実施の形態2では、図12の物品情報テーブルと図22の入場時情報テーブルとの両方に代えて、図38の入場時情報テーブルが携帯端末2の記憶部21に記憶されてもよい。
図38の入場時情報テーブルは、利用者Rが、携帯端末2の操作部25を操作することで作成され、入場時に利用者Rが所持する携行品の種類の名称(バッグ・時計・財布・傘)と、携行品が取り付けられるICタグT1〜T4の識別番号とが対応付けて記録されている。この入場時情報テーブルが携帯端末2に記憶される場合には、図36のステップS703,S704,S705は、図38の入場時情報テーブルが使用されて実行される。
すなわち、図36のステップS703では、ステップS702で抽出される識別情報(図24(b))の数と、図38の入場時情報テーブルの識別情報の数が相違するか否かを判断することで、入場時情報テーブル(図38)の識別情報のうち、ステップS702の抽出情報に含まれない差分情報があるか否かが判定される。
ステップS703で図24(b)の情報が抽出されていた場合には、図24(b)の識別情報の数が3であり、図38の識別情報の数が4であることから、差分情報があると判定される(ステップS703でYES)。
ステップS704では、図34の入場時情報テーブルに示される識別情報の中から、ステップS704で特定された識別情報に含まれていない識別情報が特定される。ステップS703で抽出された情報が図24(b)である場合には、図38の情報の中から、図24(b)に含まれない識別情報「1234aaaaaa」が特定される。
ステップS705では、図38の入場時情報テーブルで、ステップS704で特定された識別情報に対応付けられている携行品の種類を示す情報が取得される。上述のようにステップS704で「傘」の識別情報「1234aaaaaa」が特定された場合には、これから物品情報「1234」が取得されて、図38の入場時情報テーブルで物品情報「1234」に対応付けられた「傘」が、遺失品の種類を示す情報として取得される。
また、図38の入場時情報テーブルを用いる場合、図32の処理では、退場時に読み取られた識別情報の数と、図38のテーブルの識別情報の数が相違するか否かによって差分情報があるか否かを判定し(ステップS609)、さらにステップS610,S611では、図38の入場時情報テーブルを用いて、上述したステップS704,S705(図36)と同様の処理を行うことで、利用者Rが鉄道施設内に遺失した携行品を特定することができる。このようにすることで、ICタグTからの識別情報の読み取り(ステップS602)は、利用者Rが鉄道施設から退場する際のみ行い、利用者Rが鉄道施設に入場する際には行う必要がなくなる。この場合には、携帯端末2の制御部20が情報J1,J5を受信することに応じて(図7(2B)(3B))、退場時のICタグTの読み取りが行われる。
なお、図38のテーブルを用いる場合、上述のように入場時の読み取りは不要となるが、利用者Rが乗車した可能性のある列車を特定するためには、利用者Rが入退場した駅を示す駅識別情報「AAAA」・「BBBB」等を取得する必要がある。このため、駅識別情報「AAAA」・「BBBB」等を改札装置K1,K2から管理サーバ3に送信する処理(図30の処理に相当)は、入場時・退場時に実行される必要がある。なお、携帯端末2がGPS機能を有する場合には、利用者Rが改札装置K1,K2を通過する際に、GPS機能により携帯端末2の位置を特定することで、利用者Rが乗降車した駅を特定できる。このため、図30の処理は省略され得る。
また、携帯端末2の記憶部21(図4,図27)には、利用者Rが所持する全てのICタグの識別番号が記されたテーブル(図示せず)が予め登録されてもよい。上記のテーブルには、利用者Rが鉄道施設を利用する際に、携行品に取り付けられていないICタグの識別番号も記されている。このテーブルを用いる場合、図13のステップS103や、図32のステップS603では、上記のテーブルに含まれる識別情報のみが抽出される。この結果、他者が所持していたICタグT5〜T6(図2)の識別情報は排除され、図19のステップS302や図32のステップS606では,上記のテーブルに登録された「入場時の情報」のみが記憶されるようになる。このようにする場合には、図9に示すように、識別番号に個人情報「aaaa」を設定する必要がなくなるため、遺失情報通知システム1,50に使用できるICタグTの自由度が向上する。
また、利用者に鉄道施設内に携行品を遺失したことを通知する方法は、実施の形態1,2に示す方法に限られず、例えば、携帯端末2の報知部23(図4,27)を駆動させることで、音を発生させたり、バイブレーションを発生させることで通知してもよい。
また、本発明の遺失情報通知システムは、上述の鉄道施設に限らず、役務が提供される様々な施設に対して適用できる。例えば、本発明の遺失情報通知システムは、映画館、コンサートホール、デパート、オフィスビルなど、入退場口のある施設に適用可能である。
また、実施の形態1,2で述べた遺失情報通知システムの処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する遺失情報通知システムを構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで遺失情報通知システムを構成してもよい。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
役務が提供される施設に入場することを検知する入場検知手段、前記施設から退場することを検知する退場検知手段、および、これらの手段が入場や退場を検知したときに、ICタグの情報を読み取る入退時読み取り手段、を備える携帯端末と、
前記入場検知手段が前記施設に入場したことを検知したときに、前記入退時読み取り手段が前記ICタグから読み取った入場時の情報を記憶する記憶手段と、
前記退場検知手段が前記施設から退場することを検知したときに、前記入退時読み取り手段が前記ICタグから読み取った退場時の情報と、前記記憶手段に記憶された前記入場時の情報とを比較する退場時比較手段と、
前記退場時比較手段が、前記入場時の情報のうち、前記退場時の情報に含まれない差分情報を抽出した場合に、該差分情報があることを示す遺失情報を、前記携帯端末を用いて通知する退場時通知手段と、を備えることを特徴とする遺失情報通知システム。
(付記2)
前記入場検知手段、または前記退場検知手段は、前記携帯端末と前記遺失情報通知システムの他の装置とが電波による通信を行うことで、前記携帯端末が前記施設に入場すること、または、前記携帯端末が前記施設から退場することを検知することを特徴とする付記1に記載の遺失情報通知システム。
(付記3)
前記施設は、鉄道輸送サービスの提供場所であり、
前記入場検知手段、または前記退場検知手段は、前記携帯端末と列車の利用を管理する改札装置とが電波による通信を行うことで、前記携帯端末が前記施設に入場すること、または、前記携帯端末が前記施設から退場することを検知することを特徴とする付記2に記載の遺失情報通知システム。
(付記4)
前記改札装置の設置駅のうち、前記携帯端末が入場した駅と退場した駅の情報を取得する駅情報取得手段と、
前記改札装置の設置駅における列車の停止時間を示す時刻表情報を保持する時刻表保持手段と、
前記携帯端末が入場した駅と退場した駅の情報、前記時刻表情報、前記入場検知手段が前記施設に入場したことを検知した時刻、および、前記退場検知手段が前記施設から退場したことを検知した時刻を用いて、前記携帯端末を所持する者が乗車した可能性のある列車の情報を取得する列車情報取得手段と、をさらに備え、
前記退場時通知手段は、前記列車情報取得手段が取得した列車の情報を、前記携帯端末を用いて通知することを特徴とする付記3に記載の遺失情報通知システム。
(付記5)
前記携帯端末は、前記施設に入場してから退場するまでの間の所定の途中時点で、前記ICタグの情報を読み取る途中時読み取り手段を、さらに備え、
前記途中時読み取り手段が前記途中時点で前記ICタグから読み取った途中情報と、前記記憶手段に記憶された前記入場時の情報とを比較する途中時比較手段と、
前記途中時比較手段が、前記入場時の情報のうち、前記途中情報に含まれない差分情報を抽出した場合に、その差分情報があることを示す遺失情報を、前記携帯端末を用いて通知する途中時通知手段と、を備えることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載の遺失情報通知システム。
(付記6)
前記携帯端末は、前記ICタグの情報を予め登録する登録手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記入場時の情報のうち、前記登録手段に登録された情報を記憶することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1つに記載の遺失情報通知システム。
(付記7)
役務が提供される施設に入場することを検知する入場検知手段と、
前記施設から退場することを検知する退場検知手段と、
前記入場検知手段が前記施設に入場することを検知したとき、および、前記退場検知手段が前記施設から退場することを検知したときに、ICタグの情報を読み取る入退時読み取り手段と、
前記入場検知手段が前記施設に入場したことを検知したときに、前記入退時読み取り手段が前記ICタグから読み取った入場時の情報を記憶する記憶手段と、
前記退場検知手段が前記施設から退場することを検知したときに、前記入退時読み取り手段が前記ICタグから読み取った退場時の情報と、前記記憶手段に記憶された前記入場時の情報とを比較する退場時比較手段と、
前記退場時比較手段が、前記入場時の情報のうち、前記退場時の情報に含まれない差分情報を抽出した場合に、該差分情報があることを示す遺失情報を表示する退場時通知手段と、を備えることを特徴とする携帯端末。
(付記8)
前記入場検知手段、または前記退場検知手段は、前記携帯端末と他の装置とが電波による通信を行うことで、前記施設に入場すること、または、前記施設から退場することを検知することを特徴とする付記7に記載の携帯端末。
(付記9)
前記施設に入場してから退場するまでの間の所定の途中時点で、前記ICタグの情報を読み取る途中時読み取り手段と、
前記途中時読み取り手段が前記途中時点で前記ICタグから読み取った途中情報と、前記記憶手段に記憶された前記入場時の情報とを比較する途中時比較手段と、
前記途中時比較手段が、前記入場時の情報のうち、前記途中情報に含まれない差分情報を抽出した場合に、該差分情報があることを示す遺失情報を表示する途中時通知手段と、をさらに備えることを特徴とする付記7又は8に記載の携帯端末。
(付記10)
前記ICタグの情報を予め登録する登録手段を、さらに備え、
前記記憶手段は、前記入場時の情報のうち、前記登録手段に登録された情報を記憶することを特徴とする付記7乃至9のいずれか1つに記載の携帯端末。
(付記11)
携帯端末が読みとったICタグの情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した情報が、役務が提供される施設に前記携帯端末が入場したときに受信した入場時の情報であるか否かを判定する入場情報判定手段と、
前記受信手段が受信した情報が、前記施設から前記携帯端末が退場したときに受信した情報であるか否かを判定する退場情報判定手段と、
前記入場情報特定手段により前記受信手段が受信した情報が前記入場時の情報であると判定された場合に、前記入場時の情報を記憶する記憶手段と、
前記退場情報判定手段により前記受信手段が受信した情報が前記退場時の情報であると判定された場合に、前記退場時の情報と、前記記憶手段に記憶された前記入場時の情報とを比較する退場時比較手段と、
前記退場時比較手段が、前記入場時の情報のうち、前記退場時の情報に含まれない差分情報を抽出した場合に、該差分情報があることを表す遺失情報を、前記携帯端末を用いて通知する退場時通知手段と、を備えることを特徴とするサーバ。
(付記12)
前記施設は、鉄道輸送サービスの提供場所であり、列車の利用を管理する改札装置が、前記携帯端末と電波による通信を行うことで、前記携帯端末から前記ICタグの情報を受信するとともに、前記携帯端末が前記施設に入場したことを示す情報、または、前記携帯端末が前記施設から退場したことを示す情報を取得し、
前記受信手段は、前記ICタグの情報と、前記携帯端末が前記施設に入場したことを示す情報、または、前記携帯端末が前記施設から退場したことを示す情報とが対応付けられた情報を前記改札装置から受信し、
前記入場検知手段、または前記退場検知手段は、前記携帯端末が前記施設に入場したことを示す情報、または、前記携帯端末が前記施設から退場したことを示す情報に基づき、前記受信手段が受信した情報が、前記入場時の情報であるか否か、または、前記退場時の情報であるか否かを判定することを特徴とする付記11に記載のサーバ。
(付記13)
前記改札装置の設置駅のうち、前記携帯端末が入場した駅と退場した駅の情報を取得する駅情報取得手段と、
前記改札装置の設置駅における列車の停止時間を示す時刻情報を保持する時刻表保持手段と、
前記携帯端末が入場した駅と退場した駅の情報、前記時刻表情報、前記入場時検知手段が前記施設に前記携帯端末が入場したことを検知した時刻、および、前記退場時検知手段が前記施設から前記携帯端末が退場したことを検知した時刻を用いて、前記携帯端末を所持する者が乗車した可能性のある列車の情報を取得する列車情報取得手段と、をさらに備え、
前記退場時通知手段は、前記列車情報取得手段が取得した情報を、前記携帯端末を用いて通知することを特徴とする付記12に記載のサーバ。
(付記14)
役務が提供される施設に携帯端末が入場することを検知する入場検知ステップと、
前記施設から前記携帯端末が退場することを検知する退場検知ステップと、
前記入場検知ステップで前記施設に前記携帯端末が入場することを検知されたとき、および、前記退場検知ステップで前記施設から前記携帯端末が退場することを検知されたときに、ICタグの情報を読み取る入退時読み取りステップと、
前記入場検知ステップで前記施設に前記携帯端末が入場したことを検知されたときに、前記入退時読み取りステップで前記ICタグから読み取られた入場時の情報を記憶する記憶ステップと、
前記退場検知ステップで前記施設から前記携帯端末が退場することを検知されたときに、前記入退時読み取りステップで前記ICタグから読み取られた退場時の情報と、前記記憶ステップで記憶された前記入場時の情報とを比較する退場時比較ステップと、
前記退場時比較ステップで、前記入場時の情報のうち、前記退場時の情報に含まれない差分情報が抽出された場合に、その差分情報があることを示す遺失情報を前記携帯端末を用いて通知する退場時通知ステップと、を備えることを特徴とする遺失情報通知方法。
(付記15)
前記入場検知ステップ、または前記退場検知ステップでは、前記携帯端末と他の装置とが電波による通信を行うことで、前記施設に前記携帯端末が入場すること、または、前記施設から前記携帯端末が退場することが検知されることを特徴とする付記14に記載の遺失情報通知方法。
(付記16)
前記携帯端末が前記施設に入場してから退場するまでの間の所定の途中時点で、前記ICタグの情報を読み取る途中時読み取りステップと、
前記途中時読み取りステップで前記途中時点に前記ICタグから読み取られた途中情報と、前記記憶ステップで記憶された前記入場時の情報とを比較する途中時比較ステップと、
前記途中時比較ステップで、前記入場時の情報のうち、前記途中情報に含まれない差分情報が抽出された場合に、該差分情報があることを示す遺失情報を、前記携帯端末を用いて通知する途中時通知ステップと、をさらに備えることを特徴とする付記14又は15に記載の遺失情報通知方法。
(付記17)
コンピュータに、
役務が提供される施設に携帯端末が入場することを検知する入場検知ステップと、
前記施設から前記携帯端末が退場することを検知する退場検知ステップと、
前記入場検知ステップで前記施設に前記携帯端末が入場することを検知されたとき、および、前記退場検知ステップで前記施設から前記携帯端末が退場することを検知されたときに、ICタグの情報を読み取る入退時読み取りステップと、
前記入場時検知ステップで前記施設に前記携帯端末が入場したことを検知されたときに、前記入退場時読み取りステップで前記ICタグから読み取られた入場時の情報を記憶する記憶ステップと、
前記退場検知ステップで前記施設から前記携帯端末が退場することを検知されたときに、前記入退場時読み取りステップで前記ICタグから読み取られた退場時の情報と、前記記憶ステップで記憶された前記入場時の情報とを比較する退場時比較ステップと、
前記退場時比較ステップで、前記入場時の情報のうち、前記退場時の情報に含まれない差分情報が抽出された場合に、該差分情報があることを示す遺失情報を、前記携帯端末を用いて通知する退場時通知ステップと、を実行させることを特徴とするプログラム。