JP2011178573A - 過レニウム酸アンモニウムの製造方法 - Google Patents

過レニウム酸アンモニウムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 硫化レニウムないし硫化レニウムを含有する輝水鉛鉱などを、酸化焙焼を経由することなく湿式で酸化溶解し、その溶解液を加熱濃縮及び冷却することなく、過レニウム酸アンモニウムの結晶を高収率で得る方法を提供する。
【解決手段】 硫化レニウムを含む粉末又はスラリーに水溶性の酸化剤を加えて浸出し、硫黄を含む残渣を分離した浸出液に、アンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムのいずれかを添加し、同時に又はその後、アンモニア塩が飽和濃度となるように硫酸アンモニウムを添加して、過レニウム酸アンモニウムの結晶を沈澱させて回収する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非鉄金属硫化鉱物の製錬処理過程で発生するレニウム含有化合物などから、レニウムを過レニウム酸アンモニウムとして回収する方法に関する。
触媒や電子材料など様々な用途に用いられるレニウムは、天然には主として輝水鉛鉱(Molybdenite;MoS)中に4価の硫化レニウム(ReS)として存在している。この輝水鉛鉱からモリブデンを製錬する際に、輝水鉛鉱を酸化焙焼してモリブデンを可溶性化する工程において、レニウムが揮発性の7価の酸化レニウム(Re)の粉末として分離され回収される。
この酸化レニウムは、水に溶解されると過レニウム酸を生成する。そのため高純度なレニウムを得ようとする場合には、酸化レニウムを過レニウム酸に変換することにより不純物を分離する方法が用いられている。しかしながら、このようにして精製した過レニウム酸の結晶は潮解性を持ち、保管やハンドリングが容易ではない。
そのため、通常の場合は、上記7価の酸化レニウムにアンモニアを加えて溶解した後、晶析させて再結晶させることにより、水に難溶性の過レニウム酸アンモニウムとすることでハンドリング性を向上させる処理が行われている。この処理により得られた過レニウム酸アンモニム(APRとも言う)の結晶は、水素などの還元ガス気流中で焙焼することによって高純度のレニウムメタルを得ることができるため、様々な用途に用いるレニウム原料として有用である。
例えば、非特許文献1には、硫化レニウムを含む輝水鉛鉱を酸化焙焼して得た煙灰に酸を加えて浸出し、浸出液に塩化カリウムを添加して過レニウム酸カリウムの沈殿を分離し、この沈殿を再結晶させた後、水素還元して粗金属レニウムを得、この粗金属レニウムを再度酸素中で酸化焙焼し、水に溶解することにより、精製された過レニウム酸アンモニウムを回収する方法が記載されている。
上記非特許文献1に記載の方法では、7価の酸化レニウムは酸化焙焼で生成する高温状態のガス及びダストとして扱われる。しかしながら、7価の酸化レニウムやそれが吸湿して生成した過レニウム酸は腐食性が強く、装置の腐食が進みやすいため、工程維持に手間と費用がかかるという問題があった。
また、上記非特許文献1の方法では、装置が腐食する反応に伴って、装置を構成する材質により7価の酸化レニウムが4価の酸化レニウム(ReO)に還元される。ところが、4価の酸化レニウムなどのいわゆる還元型酸化物はアンモニア水に溶解しにくい性質があるため、過レニウム酸アンモニウムの回収率が低下する原因となっていた。
更に、7価の酸化レニウムはレニウム酸化物の中では最高価数の酸化物であるため、焙焼時のガスの酸素分圧が低くて酸素不足であったり、還元状態となる条件で焙焼揮発したりすると、アンモニア水に溶解しにくい4価の酸化レニウムが生成しやすかった。これを防ぐには、共存するガスや温度を精密に制御する必要があり、そのための工程管理が難しいという問題もあった。
一方、7価の酸化レニウムは、アンモニア水による浸出後、過レニウム酸アンモニウムの結晶として分離される。しかし、過レニウム酸アンモニウムの溶解度が高いため、そのままでは母液への損失が大きくなり回収率が極めて低かった。そこで、従来は加熱濃縮するか液を冷却する方法が取られていたが、これらの方法ではエネルギーの消費が大きいばかりか、濃縮過程で不純物が析出ないし共沈しやすく、過レニウム酸アンモニウムの品質を損なう一因となっていた。
入木田 猛,「新金属データブック」,1987年,p.701−704
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、硫化レニウムないし硫化レニウムを含有する輝水鉛鉱などを、酸化焙焼を経由することなく湿式で酸化溶解し、その溶解液を加熱濃縮及び冷却することなく、過レニウム酸アンモニウムの結晶を高収率で得る方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する過レニウム酸アンモニウムの製造方法は、硫化レニウムを含む粉末又はスラリーに水溶性の酸化剤を加えて酸化浸出し、硫黄を含む残渣を分離した後、得られた浸出液にアンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムのいずれかを添加し、同時に又はその後、アンモニア塩が飽和濃度となるように硫酸アンモニウムを添加して、過レニウム酸アンモニウムを含有する沈澱を得ることを特徴とする。
上記本発明による過レニウム酸アンモニウムの製造方法においては、前記酸化剤が過酸化水素であり、その添加量が上記粉末又はスラリー中のレニウムに対し酸化剤に含まれる酸素が30〜60モル倍となる範囲であることが好ましい。
本発明によれば、装置の腐食や収率の低下を招く原因である酸化焙焼を経由することなく、また加熱濃縮や冷却を必要とせずに、硫化レニウムを含有する輝水鉛鉱や製錬過程で発生する硫化レニウムなどから、高純度の過レニウム酸アンモニウムの結晶を高収率で得ることできる。
本発明においては、まず、硫化レニウムを含有する輝水鉛鉱や製錬過程で発生する硫化レニウムを含む粉末やスラリーに対し、酸化剤を添加してレニウムを酸化浸出し、硫黄を含む残渣を濾過などにより分離除去する。次に、得られた浸出液にアンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムを添加し、その後又は同時にアンモニア塩が飽和濃度となるように硫酸アンモニウムを添加することによって、過レニウム酸アンモニウムを含有する結晶を析出沈澱させる。
上記した本発明方法は、7価の硫化レニウムが水溶液中においても水溶性の酸化剤により定量的に7価の過レニウム酸まで酸化される性質と、得られた7価の過レニウム酸がアンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムにより中和されて過レニウム酸アンモニウムに変化し、その際に硫酸アンモニウムの添加によるアンモニウムイオンの共通イオン効果を受けて過レニウム酸アンモニウムの溶解度が低下する性質とを利用して、高収率で高品質のレニウムを得る方法である。
出発原料となる硫化レニウムを含む粉末又はスラリーは、硫化レニウムを含有する輝水鉛鉱や、その製錬過程で発生する硫化レニウムの粉末あるいはスラリーを用いることができる。粉末やスラリーに含まれる硫化レニウムの形態としては、7価の硫化レニウムの他に、硫化される際に一部還元されて生成した4価の硫化レニウムなど、種々のレニウム硫化物が共存する可能性があるが、本発明では初期の硫化レニウムの価数は問わない。
7価の硫化レニウムの酸化反応としては、下記の化学式1と化学式2の競争反応が考えられる。
[化学式1]
Re+7(O)+HO→2HReO+7S
[化学式2]
Re+28(O)+8HO→2HReO+7HSO
硫化レニウムの酸化浸出に用いる酸化剤としては、過酸化水素、硝酸、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウムなどの水溶性の酸化剤を使用することができる。これらの酸化剤中で、硝酸は反応時にNOxガスを発生し、塩素は反応後半で塩素ガスの吸収率が低下するなどの欠点がある。また、ナトリウム塩類は、後述する過レニウム酸アンモニウムの結晶析出時に過レニウム酸ナトリウムを生成させ、溶解度を上昇させてしまうという欠点がある。従って、酸化剤としては過酸化水素が最も好ましい。
酸化剤の添加量は、主な反応と考えられる上記化学式1の反応のみが進行するのであれば、化学量論的にレニウムに対して酸素原子(O)換算で3.5倍モルとなる量でよい。しかし、本発明者が酸化剤の添加量とレニウムの酸化の進行との関係を精査したところ、レニウムをほぼ完全に酸化浸出するためには、レニウムに対して酸素原子(O)換算で30倍モル以上の酸素を必要とし、上記化学式2の反応も進行することが分った。
また、硫化レニウムを完全に酸化するのに必要な酸化剤の添加量は、原料となる硫化レニウムの性状によっても異なる。例えば、乾燥した粉末状であれば酸化剤との反応効率が低くなるので、酸化に必要な酸化剤の添加量も増加する。この点を考慮しても、レニウムに対して酸素原子(O)換算で最大60倍モルの酸化剤を添加すれば、レニウムをほぼ完全に浸出することが可能と考えられる。
上記酸化反応は顕著な発熱反応であるため、反応初期より外部から加熱する必要はない。ただし、酸化剤の自己分解を防止するためには、酸化剤の投入速度を制御して、液温を沸騰しない温度以下に維持することが望ましい。上記酸化反応は非常に迅速であり、酸化剤の供給速度が適切であれば、通常15分以内に酸化浸出反応が完了する。
尚、過酸化水素は弱い酸化剤であり、自己分解反応時に液の酸化還元電位が低下するなど電位変化が複雑であるため、反応終点を酸化還元電位で見極めることは難しく、目視での判断の方がむしろ確実である。即ち、上記酸化反応では硫黄が析出するため、残渣が析出した硫黄により黒褐色から淡黄色ないし淡灰色に明確に変化する。そのため、サンプリングした残渣の色を目視判断することにより、容易に終点を判断することができる。
尚、過レニウム酸アンモニウムから最も除去困難な不純物元素はカリウムであり、同時に金属レニウムを製造する場合は一般的にカリウムは10ppmの混入も許容されない基準がある。このような理由から、飽和塩化カリウム溶液を用いた酸化還元電位測定電極はカリウムの溶出リスクが高いため、これを使用せずに終点を判定することが望ましい。
上記した酸化浸出によって、レニウムを含む浸出液と共に硫黄を含む残渣が得られる。例えば過酸化水素により硫化レニウムを酸化浸出した場合、反応後の浸出液中には過レニウム酸と硫酸が存在する。一方、残渣には、上記化学式1で示される反応により生成した硫黄が含まれている。従って、酸化浸出の終了後、濾過など手段を用いて固液分離することにより、浸出液と残渣を分離することが必要である。
次に、上記酸化浸出の終了後に残渣を分離して得た浸出液に対し、アンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムを添加して中和することによって、過レニウム酸アンモニウムの結晶を沈殿させることができる。
アンモニア水溶液を使用した場合、母液(浸出液)が希釈され、結晶の収率が低下しやすい。また、中和点を知るためにpH測定する必要があり、リトマス試験紙を用いることもできるが、pH電極を使用してpHを測定すると電極から不純物のカリウムイオンが溶出して汚染される危険がある。一方、炭酸塩で中和すれば、発泡終了の時点で中和点を容易に知ることができる。しかし、炭酸アンモニウム(正塩)は不安定であるうえ、工業的に製造される一般的な化合物ではないため、炭酸水素アンモニウムの使用が最も好ましい。
上記中和反応によって過レニウム酸アンモニウムが生成するが、過レニウム酸アンモニウムはレニウムとして約33g/l(25℃)が溶解する。そのため、液中のレニウム濃度をかなり高く保って浸出及び中和を行っても、常温で直接の収率を50%以上とすることは極めて困難である。
この問題に対して、本発明方法では、過レニウム酸アンモニウム酸アンモニウムの結晶を生成沈殿させる際に、硫酸アンモニウムを飽和濃度まで溶解させる。これにより、過レニウム酸アンモニウムがアンモニウムイオンの共通イオン効果を受けて溶解度が低下するので、高い収率で過レニウム酸アンモニウムの結晶を回収することができる。
一般的に、アンモニウムイオンの共通イオン効果を得るためには、アンモニウム塩を添加すればよい。しかし、塩化アンモニウムや還元性イオンを陰イオンとするアンモニウム塩の場合、液を循環使用する過程において7価のレニウムが還元され、過レニウム酸アンモニウムを生成しないレニウムの陽イオンに変化する可能性がある。また、硝酸アンモニウムや酸化性のイオンを陰イオンとするアンモニウム塩の場合、やはり液の循環使用過程において、酸性で分解してNOxや酸化性ガスを発生する危険がある。
このような理由から、アンモニウムイオンの共通イオン効果を得るためには、硫酸アンモニウムの使用が最も適している。また、硫酸アンモニウムは、硫酸イオンが7価のレニウムイオンと錯形成せず、硫酸イオンが高濃度であっても過レニウム酸アンモニウムの溶解度が上昇するリスクを確実に回避できる点においても好ましい。
また、共存するアンモニウムイオンの濃度が高いほど過レニウム酸アンモニウムの溶解度が低下するため、添加時の液の温度におけるアンモニウム塩の飽和温度となるまで硫酸アンモニウムを添加することが好ましい。ただし、浸出液中には既に硫酸アンモニウムが溶存しているため、液量に対して水への溶解度見合いの添加量は必要がない。具体的には、硫酸アンモニウムは結晶が粗大で、過レニウム酸アンモニウムは微細な粉状の結晶であるため、サンプリングして目視観察すればアンモニウム塩の飽和濃度を確認することは容易である。
上記硫酸アンモニウムの添加時期は、アンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムを添加した後に添加することが好ましいが、アンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムの添加と同時に添加してもよい。ただし、アンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムと同時に硫酸アンモニウム添加する方法は、アンモニウム塩を飽和濃度に調整する操作が難しいため実用性に劣っている。
尚、過レニウム酸アンモニウムを含有する沈殿を分離回収した後、残った液には過レニウム酸アンモニウムが含まれているため、この液を次回以降の硫化レニウムの酸化浸出に繰り返して使用すれば、過レニウム酸アンモニウムの収率をより高くすることが可能である。
[実施例1]
Reを9.3重量%の品位で含有する硫化レニウム(VI)10.0g(Re含有量:0.00501モル)のスラリーに、濃度11.7モル/lの過酸化水素を混合しながら添加してレニウムの酸化浸出を行い、沈殿物を含む残渣が黒褐色から淡灰色になった時点で過酸化水素の添加を終了した。過酸化水素の添加量は、合計で16ml(0.187モル、Reに対して37倍モルに相当)であった。
スラリーを濾過して残渣を分離し、濾液(浸出液)20mlを回収した。残渣は水10mlを加えて洗浄した。回収した浸出液と洗浄液の混合物に、炭酸水素アンモニウムを添加し、発泡が終了した時点で添加を終了した。炭酸水素アンモニウムの添加量は5.6gであった。
炭酸水素アンモニウムの添加により中和した時点で過レニウム酸アンモニウムの沈殿が析出したが、その後更に硫酸アンモニウムの結晶を1gずつ添加して過レニウム酸アンモニウムを析出させ、合計3gを添加した時点で炭酸水素アンモニウムの結晶が残留して飽和に達した。残留した硫酸アンモニムの結晶を溶解に必要な最少量の水を加えて溶解した後、濾過して粉末状の過レニウム酸アンモニウムの結晶を回収した。
回収した結晶は、大気中で風乾した後秤量した結果、1.14gの物量であり、Re品位は69.5重量%及びRe量は0.792gとなり、結晶として回収できた回収率は85.0%であった。一方、濾液の容量は30mlでであり、Re濃度は4.65g/l、Re含有量は0.14gであった。
[実施例2]
乾燥した硫化レニウム粉末14g(Re含有量8.7g、Re:0.047モル)に、濃度11.7モル/lの過酸化水素を混合しながら添加してレニウムの酸化浸出を行い、沈殿物を含む残渣が黒褐色から淡黒褐色に変化した時点で過酸化水素の添加を終了した。過酸化水素の添加量は、合計で200ml(2.34モル、Reに対して50倍モルに相当)であり、乾燥物であることから反応効率が悪く、上記実施例1の場合よりも酸化剤の消費が大きかった。
得られたスラリーを濾過して残渣を分離し、濾液(浸出液)180ml(一部蒸発)を回収した。回収した浸出液に濃度25%のアンモニア水溶液を添加し、リトマス試験紙を用いてpH7前後になるように調整した。pH7前後になった時点で、アンモニア水溶液の添加量は55mlであったが、このとき結晶の析出は観察されなかった。
その後、硫酸アンモニウムの結晶を1gずつ添加し、合計18gを添加した時点で硫酸アンモニウムの結晶が残留して飽和に達し、過レニウム酸アンモニウムの結晶の析出が確認された。残留した硫酸アンモニムの結晶を溶解に必要な最少量の水を加えて溶解した後、スラリーを濾過して粉末状の過レニウム酸アンモニウムを回収した。
回収した結晶は、大気中で風乾した後秤量した結果、9.3gの物量であり、Re量は6.5gであって、回収率は74.5%であった。アンモニア水溶液を使用した場合でも、中和後に硫酸アンモニウムを添加することにより、最終的に過レニウム酸アンモニウムの結晶を回収することが可能であった。
[実施例3]
乾燥した硫化レニウム粉末7gに、濃度11.7モル/lの過酸化水素を混合しながら添加してレニウムの酸化浸出を行い、Reに対して50倍モルに相当する100mlを添加した時点で、沈殿物を含む残渣が黒褐色から淡黒褐色に変化したので過酸化水素の添加を終了した。
得られたスラリーを濾過して残渣を分離し、得られた濾液(浸出液)90mlに濃度25%のアンモニア水溶液を添加し、リトマス試験紙を用いて概ねpH7前後になるように調整しながら、同時に硫酸アンモニウムを少量づつ添加して、過レニウム酸アンモニウムの結晶の析出を観察した。
硫酸アンモニウムを合計9gを添加した時点で過レニウム酸アンモニウムの結晶の析出が観察されたが、更に硫酸アンモニウムの添加を続け、硫酸アンモニウムの結晶が残留して飽和に達した時点で添加を終了した。残留した硫酸アンモニムの結晶を溶解に必要な最少量の水を加えて溶解した後、スラリーを濾過して粉末状の過レニウム酸アンモニウムの結晶を回収した。
回収した結晶は、大気中で風乾した後秤量した結果、3.5gの物量であり、Reの回収率は56%であった。また、アンモニア水溶液の代わりに炭酸水素アンモニウムを使用した場合も、ほぼ同様の結果を得ることができた。
以上の結果から、アンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムの添加後又は添加と同時に硫酸アンモニウムを添加することによって、過レニウム酸アンモニウムの結晶の回収が可能であることが分った。

Claims (2)

  1. 硫化レニウムを含む粉末又はスラリーに水溶性の酸化剤を加えて浸出し、硫黄を含む残渣を分離した後、得られた浸出液にアンモニア水溶液又は炭酸水素アンモニウムのいずれかを添加し、同時に又はその後、アンモニア塩が飽和濃度となるように硫酸アンモニウムを添加して、過レニウム酸アンモニウムを含有する沈澱を得ることを特徴とする過レニウム酸アンモニウムの製造方法。
  2. 前記酸化剤が過酸化水素であり、その添加量が前記粉末又はスラリー中のレニウムに対し酸化剤に含まれる酸素が30〜60モル倍となる範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の過レニウム酸アンモニウムの製造方法。
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