JP2011177767A - 圧造工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で簡易な構成で、パンチの疲労破壊を抑制し、長時間の連続使用を可能とし、多種多様な圧造工具への適用とさらなる工具寿命の向上を可能とする。
【解決手段】圧造工具1は、圧造にて成形される圧造品の成形穴10aを有するダイス10と、ダイス10に対向して配置されるパンチ30と、を備え、ダイス10の成形穴10aに圧造品の素材を配置し、パンチ30のパンチ押圧部30aにより素材を押圧して圧造品41を成形するにあたり、パンチ30の内部に、パンチ押圧部30aの弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部50を形成し、空間部50に、空間を無くすように充填材料51を挿入した。
【選択図】図2

Description

この発明は、例えばねじの頭部などを圧造する際に用いられる圧造工具及び圧造工具の設計方法に関する。
従来より、ねじ、ボルト等の締結部品のねじ切り前の部品は、パンチ(上型)とダイス(下型)と呼ばれる工具を用いて鍛造などの圧造により製造されている。このパンチには、圧縮、引張、せん断などの応力が反復作用し、時にはこれらの応力が衝撃的に加わることがある。加えて、部品の形状・寸法精度に対する要求が年々厳しくなり、また高張力鋼等の特殊素材の採用も増えていることから、リスクの高い成形条件を余儀なくされ、疲労破壊により工具寿命が低下するという問題があった。
そこで、このような問題に対処した従来技術を検討した結果、表面コーティングにより工具表面に硬質層を形成する方法(特許文献1,2)、また、特殊な熱処理により工具寿命を向上させる方法(特許文献3,4)を見出すことができた。
ところが、いずれの方法においても、工具表面硬度の向上を目的としており、通常の工具製作に加えて特殊処理を施す必要があり、工具製造コストが高騰するという不都合があった。
また、上記以外に、応力集中部を予め分割する方法(特許文献5,6)がある。しかし、これらの技術も、工具数が複数となり、工具製造コストが高騰するという不都合があった。
特開2003−112229 特開2000−054108 特開平08−300066 特開平07−173572 特開2006−26709 特開2000−627
圧造工具の工具寿命が低下すると、割れたパンチ等の部品を頻繁に交換せざるを得ず、交換部品にかかるコストの上昇を招き、また圧造機の連続運転ができなくなり、生産効率が低下する原因にもなっていた。
このため、出願人は、「鍛造工具の設計方法及び鍛造工具」(特許第4428581号)を提案して、鍛造工具のパンチに空間を空けて鍛造品を成形する際に、パンチの内部に形成した空間部によってパンチ押圧部の微小な弾性変形を積極的に促進し、たわますことで鍛造時の衝撃による応力を分散・吸収させることでパンチの疲労破壊を抑制することができ耐久性が向上するため、長時間の連続使用を可能としたが、今後、多種多様なねじ圧造用工具への展開を図り、さらなる圧造工具寿命の向上を目指すことが想定される。
この発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、安価で簡易な構成で、パンチの疲労破壊を抑制し、長時間の連続使用を可能とし、さらなる工具寿命の向上、多種多様な工具への適用を可能とする圧造工具及び圧造工具の設計方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、圧造にて成形される圧造品の成形穴を有するダイスと、
前記ダイスに対向して配置されるパンチとを備え、
前記ダイスの成形穴に圧造品の素材を配置し、
前記パンチのパンチ押圧部により前記素材を押圧して前記圧造品を成形するにあたり、 前記パンチの内部に、前記パンチ押圧部の弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部を形成し、
前記空間部に、空間を無くすように充填材料を挿入することを特徴とする圧造工具である。
請求項2に記載の発明は、前記充填材料は、単一材質あるいは複数の異なる材質の材料であり、
前記複数の異なる材質の場合は、多層構造とすることを特徴とする請求項1に記載の圧造工具である。
請求項3に記載の発明は、前記充填材料は、固形体、または0.1mm未満の粉体であることを特徴とする請求項1に記載の圧造工具である。
請求項4に記載の発明は、前記固形体のヤング率が、前記パンチのヤング率より低いことを特徴とする請求項3に記載の圧造工具である。
請求項5に記載の発明は、前記多層構造は、パンチ押圧部側からヤング率の低い順に積層した構造であり、
最も低いヤング率の層は、前記パンチのヤング率よりも低いことを特徴とする請求項2に記載の圧造工具である。
請求項6に記載の発明は、前記粉体のヤング率が、前記パンチのヤング率と異なることを特徴とする請求項3に記載の圧造工具である。
請求項7に記載の発明は、前記固形体の種類と前記空間部の形状を変化させて前記パンチ押圧部のたわみ量を制御することを特徴とする請求項3に記載の圧造工具である。
請求項8に記載の発明は、前記充填材料の熱伝導率は、前記パンチの熱伝導率と同等あるいはそれ以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の圧造工具である。
請求項9に記載の発明は、圧造にて成形される圧造品の成形穴を有するダイスと、
前記ダイスに対向して配置されるパンチと、
を備え、
前記ダイスの成形穴に圧造品の素材を配置し、
前記パンチのパンチ押圧部により前記素材を押圧して前記圧造品を成形する圧造工具の設計方法であり、
前記パンチの内部に、前記パンチ押圧部の弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部を形成し、
前記空間部に、空間を無くすように充填材料を挿入し、
圧造後の除荷時のパンチ疲労破壊点の応力値を、最大主応力値で評価し、
圧造後の除荷時の前記パンチ疲労破壊点での前記最大主応力値を、前記空間部を設けない圧造工具のパンチ疲労破壊点の最大主応力値より小さく設定することを特徴とする圧造工具の設計方法である。
請求項10に記載の発明は、前記充填材料は、請求項2乃至請求項8に記載された充填材料であることを特徴とする請求項9に記載の圧造工具の設計方法である。
請求項11に記載の発明は、前記最大主応力値で評価する応力値は、数値解析あるいは塑性加工用のモデル材料を用いたモデル実験により定量化することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の圧造工具の設計方法である。
請求項12に記載の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の設計方法により製造されたことを特徴とする圧造工具である。
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
この発明では、パンチのパンチ押圧部により素材を押圧して圧造品を成形するにあたり、パンチの内部に、パンチ押圧部の微小な弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部を形成し、空間部に、空間を無くすように充填材料を挿入したことで、加工回数が増大しても充填材料によって空間部の内部が断熱層となることがなく放熱し易くなり、パンチ押圧部の熱軟化により圧造品の寸法にバラツキがなくなり、不良品を発生させる可能性が低下し、加工精度が向上する。
また、パンチ押圧部の内部に空けた空間内径が大きすぎると、パンチは空間があることで剛性が低下し、パンチ全体が半径方向にたわみ、先端が偏芯する可能性があり、このことで偏荷重が作用し、工具寿命が極端に低下する可能性があるが、充填材料を挿入したことで、パンチ剛性を向上させ、剛性低下と先端の偏芯を回避できる。このように、安価で簡易な構成で、パンチの疲労破壊を抑制し、長時間の連続使用を可能とし、さらなる工具寿命の向上、多種多様な圧造工具への適用が可能となる。
圧造の予備成形に用いる冷間圧造工具の組図を示す図である。 圧造の主成形に用いる冷間圧造工具の組図を示す図である。 圧造品を示し、図3(a)は平面図、図3(b)は正面図である。 冷間圧造による予備成形時の有限要素法解析モデルを示す図である。 冷間圧造による主成形時の有限要素法解析モデルを示す図である。 冷間圧造後の除荷時の有限要素法解析モデルを示す図である。 この発明の解析結果(効果)を説明する図である。 固形体充填材料の充填構造を説明する図である。 粉体充填材料の他の充填構造を説明する図である。
以下、この発明の圧造工具及び圧造工具の設計方法の実施の形態について説明する。この実施の形態はねじの冷間圧造工具であり、この発明の好ましい形態を示すものであるが、この発明はこれに限定されない。
この発明の実施の形態を、図1から図3に基づいて説明する。ねじの冷間圧造は、円柱素材から中間形状を成形する予備成形と、十字穴を持つ頭部を成形する主成形の2工程からなる。
図1において、予備成形に用いる冷間圧造工具100は、予備成形にて成形される予備成形品40の成形穴110aを有するダイス110と、このダイス110に対向して配置されるホルダ120と、このホルダ120に摺動可能に設けられた予備成形パンチ121を備えている。ダイス110の成形穴110aには、予備成形品40となる円柱素材が配置され、成形穴110aは、予備成形品40の頭部を成形する形状である。ダイス110の成形穴110aの下方には、ノックアウトピン111が摺動可能に設けられている。
圧造の予備成形は、ダイス110の成形穴110aに予備成形品40となる円柱素材を配置し、ダイス110の上にホルダ120を位置させ、予備成形パンチ121を下方へ摺動して予備成形パンチ121の押圧部121aにより円柱素材を押圧して予備成形品40を成形する。この圧造の予備成形後に、ホルダ120をダイス110の上から離すように移動させ、さらにノックアウトピン111を上方へ摺動して成形穴110aから予備成形品40を取り出す。
図2において、主成形に用いる冷間圧造工具1は、主成形にて成形される圧造品60の成形穴10aを有するダイス10と、このダイス10に対向して配置されるパンチ30とを備えている。ダイス10の成形穴10aには、図1において予備成形された予備成形品が配置され、成形穴10aは、圧造品41の頭部を成形する形状である。ダイス10の成形穴10aの下方には、ノックアウトピン11が摺動可能に設けられている。パンチ30のパンチ押圧部30aにより予備成形品を押圧して圧造品41を成形し、この実施の形態では、先端面30a1を十字状に突出させ、十字穴付ねじの十字穴を成形する。
圧造の主成形は、ダイス10の成形穴10aに予備成形品40を配置し、ダイス10の上に対向してパンチ30を配置し、パンチ30を作動してパンチ押圧部30aにより予備成形品40を押圧して圧造品41を成形する。この圧造の主成形後に、パンチ30をダイス10の上から離すように移動させ、さらにノックアウトピン11を上方へ摺動して成形穴10aから圧造品41を取り出す。
圧造品41は、図3に示すように、ねじ転造される前のねじ部品であり、ねじ転造される軸部41aと、頭部41bとを有する。パンチ押圧部30aの先端面30a1を、軸心で十字状に突出する形状にすることで、頭部41bに十字穴41b1が形成される。
パンチ30の内部には、冷間圧造の際に、パンチ押圧部30aの微小な弾性変形を積極的に促進し、たわますことで鍛造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部50が形成されている。空間部50は、円柱型の穴であり、押圧方向において、穴の底の位置が鍛造時の衝撃による応力が到達する領域内であり、鍛造時に圧壊しない位置に形成されている。また、空間部50の押圧方向に対して直交方向の断面積S1は、圧造品41の押圧方向に対して直交方向の断面積S2より大きく形成されている。この空間部50を形成する円柱型の穴は、底の形状が、穴の軸心に対して直交する平面で、隅が角である。
この空間部50には、空間部50に形成される空間を無くすように充填材料51を挿入した構成である。
この主成形に用いる冷間圧造工具1では、図2に示すように、パンチ30を摺動してパンチ押圧部30aにより予備成形品40を押圧し塑性加工し、十字穴41b1を有する圧造品41を冷間圧造する。この圧造品41を成形する際に、パンチ押圧部30aの内部に形成した空間部50によってパンチ押圧部30aの弾性変形を積極的に促進し、たわますことで、パンチ押圧部30aにかかる鍛造時の衝撃による応力を分散・吸収させることができる。
また、空間部50に、空間を無くすように充填材料51を挿入したことで、加工回数が増大しても充填材料51によって空間部50の内部が断熱層となることがなく放熱し易くなり、パンチ押圧部30aの熱軟化により圧造品41の寸法にバラツキがなくなり、不良品を発生させる可能性が低下し、加工精度が向上する。
また、パンチ押圧部30aの内部に空けた空間内径が大きすぎると、パンチ30は空間があることで剛性が低下し、充填材料を挿入しないで冷間圧造工具1へパンチを挿入した時に、ねじによる1点押圧のためパンチ全体が半径方向にたわみ、先端が偏芯する可能性があり、このことで偏荷重が作用し、工具寿命が極端に低下する可能性があるが、充填材料51を挿入したことで、パンチ剛性を向上させ、剛性低下と先端の偏芯を回避できる。このように、安価で簡易な構成で、パンチ押圧部30aに生じる破壊を抑制することができ耐久性が向上するため、パンチ30、ダイス10の長時間の連続使用が可能となり、さらなる工具寿命の向上、多種多様な工具への適用を可能となる。
次に、パンチ内部の空間部50に充填材料51を挿入した効果について、図4乃至図7の有限要素法による数値解析例に基づいて説明する。有限要素法による圧造の解析は、図4の予備成形の解析モデルと、図5の主成形の解析モデルとの連続工程とし、予備成形解析で得られた結果を主成形解析の素材データとすることで、精度の高い解析を行った。
図4は冷間圧造による予備成形時の有限要素法解析モデルを示し、ダイスに素材を配置し、ホルダ内を摺動するパンチで素材を押圧する解析を実施した。予備成形前の円柱素材を予備成形後は、頭部の予備つぶしの円柱素材とした。
図5は冷間圧造による主成形時の有限要素法解析モデルを示し、パンチは、弾性体とし、解析のために30,000要素に分割した。このパンチは、超硬合金であり、ヤング率540000MPa、ポアソン比0.22である。素材は、剛塑性体とし、解析のために20,000要素に分割した。主成形前の頭部の予備つぶしの円柱素材を主成形後は、十字穴付頭部のつぶしの円柱素材とした。
図6は冷間圧造後の除荷時の有限要素法解析モデルを示し、ラムによってパンチを押し、パンチによって図5の圧造品である素材を押圧し、加工後、ダイスを固定し、パンチを上に引き抜くときにパンチの疲労破壊の要因となる引っ張り応力が発生し、この現象をモデル化した。この主成形を対象とした圧造解析では、図4の予備成形の解析における素材の加工硬化の影響を考慮している。パンチは解析のために30,000要素に分割した。図6(a)のパンチは、空間を設けない従来型のものを用い、高速度鋼である。図6(b)のパンチは、空間部を有する高速度鋼であり、この空間部に充填材料として銅を挿入した実施の形態を用い、高速度鋼と銅とはヤング率が異なる。この実施の形態では、パンチの空間部が、内径6mm、底厚8mmで形成される空間を有し、この空間部に銅を挿入した。
図7は主成形の解析結果(効果)を示し、図7(a)は図6(a)の空間を設けない従来型のパンチ押圧部の先端部分の最大主応力分布を示す縦断面図であり、図7(b)は図6(b)のパンチの空間部が、内径6mm、底厚8mmで形成される空間を有し、この空間部に銅を挿入した実施の形態のパンチ押圧部の先端部分の最大主応力分布を示す縦断面図である。
パンチ押圧部の周縁よりも軸心で十字状に突出する先端面によって圧造品に十字穴が成形され、解析によるパンチの応力は、図7(c)に示すように、応力レンジ−300〜1200(MPa)とし、図に示す6段階に分け表示している。すなわち、パンチ押圧部の応力は、十字状に突出する先端面に対応する部分から円弧状に応力が分布し、十字状に突出する先端面に対応する部分が、6段階目の950〜1200(MPa)であり、応力が最も大きくなっている。この応力が最も大きくなっている部分において、パンチ押圧部に非常に大きな面圧が生じ、パンチ押圧部における疲労破壊の要因となる。
図7(a)の空間を設けない従来型のパンチ押圧部の先端部分の最大主応力分布では、6段階目の950〜1200(MPa)の領域が大きいが、図7(b)のパンチの空間部が、内径6mm、底厚8mmで形成される空間を有し、この空間部に銅を挿入した実施の形態のパンチ押圧部の先端部分の最大主応力分布では、6段階目の950〜1200(MPa)の領域が極端に小さくなっている。
この発明の実施例では、パンチ押圧部の先端面を、周縁よりも軸心で突出する形状にし、この実施の形態で、パンチを摺動してパンチ押圧部により素材を押圧して圧造品を成形する際に、図7(b)に示すように、パンチの内部に空間部を設け、この空間部に銅を挿入したことで衝撃による応力を分散・吸収することができた。
このように、パンチのパンチ押圧部により素材を押圧して圧造品を成形するにあたり、パンチの内部に、パンチ押圧部の弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部を形成し、空間部に、空間を無くすように充填材料を挿入したことで、加工回数が増大しても充填材料によって空間部の内部が断熱層となることがなく放熱し易くなり、パンチ押圧部の熱軟化により圧造品の寸法にバラツキがなくなり、不良品を発生させる可能性が低下し、加工精度が向上する。
また、パンチ押圧部の内部に空けた空間内径が大きすぎると、パンチは空間があることで剛性が低下し、充填材料を挿入しないで圧造機械へパンチを挿入した時に、ねじによる1点押圧のためパンチ全体が半径方向にたわみ、先端が偏芯する可能性があり、このことで偏荷重が作用し、工具寿命が極端に低下する可能性があるが、充填材料を挿入したことで、パンチ剛性を向上させ、剛性低下と先端の偏芯を回避できる。このように、安価で簡易な構成で、パンチの疲労破壊を抑制し、長時間の連続使用を可能とし、さらなる工具寿命の向上、多種多様な工具への適用を可能となる。
充填材料は、単一材質あるいは複数の異なる材質の材料であり、複数の異なる材質の場合は、多層構造とすることができる。充填材料としては、銅を用いたが、金属材料でも非金属材料として、例えば樹脂、ゴム、液体などでも良い。金属材料では、具体的な材料としては、入手しやすく、安価なものとして、炭素鋼、銅、真鍮、アルミニウム、マグネシウム合金などを用いることができ、銅の場合、特に、伝熱性に優れ、放熱効果があり好ましい。
図8(a)は、充填材料が単一材質からなる材料である場合を示し、図8(b)は、充填材料が複数の異なる材質の材料であり、複数の異なる材質の場合は、多層構造とすることを示す。多層構造とする場合は、複数の異なる材料を積層する。図8(a)の構造では、パンチ材料よりヤング率の低い材料を用いることでパンチ押圧部の微小なたわみを生じさせることは可能であり、図8(b)の構造では、材料の伝熱性などを考慮してパンチ材料と同等かそれより良い熱伝導性の良い材料を任意に組み合わせて用いることができる。
充填材料は、固形体、または粉体でもよい。固形体としては、空間部に挿入可能な連続体の棒状物であり、粉体としては、銅粉末、アルミニウム粉末、超硬を焼き固める前の粉末などを用いることができる。粉末としては、例えば直径が数〜数十ミクロン程度のいわゆる粉体であり、粉体であれば異種材料の粉体でもよい。粉体の場合、図9に示すように、見た目に空間を完全に充満したとしても、隣接する粉体同士は密着しているのみで,一体ではなく、必ず微小な空間が存在し、その空間があればこそ,粉体がわずかに移動可能となり、微小なたわみを生じさせることが可能となる。
充填材料が固形体である場合は、固形体のヤング率が、パンチのヤング率より低いことが好ましい。すなわち、パンチの工具寿命を伸長させるためには、パンチ押圧部に微小なたわみを生じることで衝撃応力を吸収・分散させる必要があるからである。充填材料が固形体である場合は、ヤング率は、銅(120GPa)、黄銅(110GPa)、アルミニウム合金(70GPa)、炭素鋼(210GPa)、超硬(600GPa)、ゴム(0.1GPa)、樹脂(3GPa)、木材(8GPa)などである。充填材料は、挿入可能な材料であればよく、ヤング率の数値としては、0.1〜600GPaの範囲が好ましく、パンチの材料のヤング率は、例えば230GPaなどを用いることができる。
充填材料が固形体である場合は、固形体の種類と空間部の形状を変化させてパンチ押圧部のたわみ量を制御することができる。空間部の空間に粉体の材料を挿入する場合、ヤング率の大小は問わない。すなわち、粉体であるため粒子同士が移動することでたわみを吸収できるからである。
充填材料の熱伝導率は、パンチの熱伝導率と同等あるいはそれ以上であることが好ましい。すなわち、パンチの熱軟化による加工品寸法のバラツキが少ない安定的生産を達成できる。また、パンチの空間部に充填材料を挿入する際、空間のみの場合の断熱層を排除しパンチの剛性を向上させる観点から、空間を完全に無くすように挿入する。こうすることで、パンチの圧造工具を圧造装置にチャック(ねじ締めによる1点押圧)時の工具剛性低下と工具先端の偏芯を回避できる。
このように、圧造工具の設計は、圧造にて成形される圧造品の成形穴を有するダイスと、ダイスに対向して配置されるパンチとを備え、ダイスの成形穴に圧造品の素材を配置し、パンチのパンチ押圧部により素材を押圧して圧造品を成形する圧造工具の設計し、パンチの内部に、パンチ押圧部の微小な弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部を形成し、空間部に、空間を無くすように充填材料を挿入し、圧造後の除荷時のパンチ疲労破壊点の応力値を、最大主応力値で評価し、圧造後の除荷時のパンチ疲労破壊点での最大主応力値を、空間部を設けない圧造工具のパンチ疲労破壊点の最大主応力値より小さく設定する。そして、最大主応力値で評価する応力値は、数値解析あるいは塑性加工用のモデル材料を用いたモデル実験により定量化する。
また、特に、十字穴付ねじの十字穴を成形する際に、パンチ押圧部の先端面に集中する衝撃による応力を分散させて低下することができる。この解析では、圧造品を成形後、除荷する例として、十字穴付ねじの十字穴を成形する場合について説明したが、これに限定されず種々の圧造品を成形する例についても同様な解析で証明することができる。
この発明は、鍛造などの圧造する際に用いられる圧造工具及び圧造工具の設計方法に適用可能であり、安価で簡易な構成で、パンチの疲労破壊を抑制し、長時間の連続使用を可能とし、さらなる工具寿命の向上、多種多様な工具への適用を可能とする。
1 冷間圧造工具
10 ダイス
10a 成形穴
30 パンチ
30a パンチ押圧部
30a1 パンチ押圧部30aの先端面
40 予備成形品
41 圧造品

Claims (12)

  1. 圧造にて成形される圧造品の成形穴を有するダイスと、
    前記ダイスに対向して配置されるパンチとを備え、
    前記ダイスの成形穴に圧造品の素材を配置し、
    前記パンチのパンチ押圧部により前記素材を押圧して前記圧造品を成形するにあたり、 前記パンチの内部に、前記パンチ押圧部の弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部を形成し、
    前記空間部に、空間を無くすように充填材料を挿入することを特徴とする圧造工具。
  2. 前記充填材料は、単一材質あるいは複数の異なる材質の材料であり、
    前記複数の異なる材質の場合は、多層構造とすることを特徴とする請求項1に記載の圧造工具。
  3. 前記充填材料は、固形体、または0.1mm未満の粉体であることを特徴とする請求項1に記載の圧造工具。
  4. 前記固形体のヤング率が、前記パンチのヤング率より低いことを特徴とする請求項3に記載の圧造工具。
  5. 前記多層構造は、パンチ押圧部側からヤング率の低い順に積層した構造であり、
    最も低いヤング率の層は、前記パンチのヤング率よりも低いことを特徴とする請求項2に記載の圧造工具。
  6. 前記粉体のヤング率が、前記パンチのヤング率と異なることを特徴とする請求項3に記載の圧造工具。
  7. 前記固形体の種類と前記空間部の形状を変化させて前記パンチ押圧部のたわみ量を制御することを特徴とする請求項3に記載の圧造工具。
  8. 前記充填材料の熱伝導率は、前記パンチの熱伝導率と同等あるいはそれ以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の圧造工具。
  9. 圧造にて成形される圧造品の成形穴を有するダイスと、
    前記ダイスに対向して配置されるパンチと、
    を備え、
    前記ダイスの成形穴に圧造品の素材を配置し、
    前記パンチのパンチ押圧部により前記素材を押圧して前記圧造品を成形する圧造工具の設計方法であり、
    前記パンチの内部に、前記パンチ押圧部の弾性変形を積極的に促進し、たわみにより圧造時の衝撃による応力を分散・吸収させる空間部を形成し、
    前記空間部に、空間を無くすように充填材料を挿入し、
    圧造後の除荷時のパンチ疲労破壊点の応力値を、最大主応力値で評価し、
    圧造後の除荷時の前記パンチ疲労破壊点での前記最大主応力値を、前記空間部を設けない圧造工具のパンチ疲労破壊点の最大主応力値より小さく設定することを特徴とする圧造工具の設計方法。
  10. 前記充填材料は、請求項2乃至請求項8に記載された充填材料であることを特徴とする請求項9に記載の圧造工具の設計方法。
  11. 前記最大主応力値で評価する応力値は、数値解析あるいは塑性加工用のモデル材料を用いたモデル実験により定量化することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の圧造工具の設計方法。
  12. 請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の設計方法により製造されたことを特徴とする圧造工具。
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