JP2010234415A - 金型及び容器製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器の製造時に、スラグの打ち抜きと破面の平滑化、インパクト成形までの3工程をポンチの1ショットで行う加工とし、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形できる金型と容器製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する金型であって、降下による衝撃でスラグ22を打ち抜きこの表面を平滑化させてインパクト成形するポンチを備えた上金型と、打ち抜きを行うスラグ抜きダイ17と、平滑化のためのしごきを行うしごき可動ダイと、しごかれたスラグ22をインパクト成形するインパクトダイ19とから構成された下金型を有し、スラグ抜きダイ17としごき可動ダイ18、インパクトダイ19がポンチ16の降下軸と同軸に加工順に一列に配置されたことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明は、金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する金型であって、降下による衝撃でスラグ22を打ち抜きこの表面を平滑化させてインパクト成形するポンチを備えた上金型と、打ち抜きを行うスラグ抜きダイ17と、平滑化のためのしごきを行うしごき可動ダイと、しごかれたスラグ22をインパクト成形するインパクトダイ19とから構成された下金型を有し、スラグ抜きダイ17としごき可動ダイ18、インパクトダイ19がポンチ16の降下軸と同軸に加工順に一列に配置されたことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、電池ケース等の容器を成形するとき、スラグの打ち抜きとその破断面の滑らかな面への成形、インパクト成形を1ショットで行うことを可能にする容器を製造する金型、及びその容器製造方法に関する。
従来、多くの電池ケースは有底の直方体状の本体形状を有しており、電池を製造するときは、鍛造や鋳造等でつくった本体内部に電池を構成する材料を収納し、この開口を蓋部材によって塞いでレーザ溶接等で接合して製造している。
中でもインパクト成形(冷間鍛造)するのが有力な成形方法で、インパクト成形するときは、まずアルミニウムのO材(被加工部材)からスラグを打ち抜き、このスラグをインパクト成形装置内に供給し、成形用のポンチで冷間鍛造して成形している。
しかし、スラグを打ち抜いた後でインパクト成形するときには次の面倒な問題が生じる。すなわち、打ち抜き加工を行ったときに形成される剪断破面の凹凸が粗いという問題である。もしバレル研磨を行わないでそのまま使用すると、成形品が粗い破断面の影響を受けて低精度の成形面になってしまう。従って、従来これを避けるため、電池ケース等の容器を製造するときには、第1の工程で打ち抜き加工を行い、第2の工程で破断面をバレル研磨して表面を滑らかにし、この成形品に対して第3の工程のインパクト成形を行うという面倒な方法を採っていた。この第2の工程の研磨を省略すると、インパクト成形したときに高精度の電池ケース等を形成することが難しくなる。
図7は以上説明した打ち抜き加工時の被加工部材の打ち抜き剪断破面の説明図である。被加工部材をダイ上に載置してポンチで上方からプレスすると、図7(a)のようにまずダレAが生じ、剪断面Bが形成され、引き続いて図7(b)のように破断面Cが形成され、2つの層に分離される。バリDも形成される。この破面の概略の様子は図7(c)のようになり、少なくとも4つのA,B,C,Dの部分を含む。この破断面Cの平滑度は粗く、凹凸があり、図示はされていないが破断面付近の板厚が減少しており、この面をそのまま冷間鍛造するのでは成形品の精度に影響する。
以上説明したように、従来技術では電池ケース等の容器をインパクト成形するときに、スラグの打ち抜きとバレル研磨工程を必要とし、インパクト成形と併せて全体で3工程を必要としていた。もし、打ち抜き加工で良好な打ち抜き剪断破面が得られるのであれば、バレル研摩工程は省くことができ、生産性を向上することができる。
しかし、単純にバレル研摩工程を省くと、精度のよい電池ケース等を成形することができない。バレル研摩工程を省きたいという課題はあるものの、高品質、高精度の電池ケース等を成形するためにはどう加工すればよいか、まったく解決策がなかった。
そして、打ち抜きと、破面、とくにその破断面の平滑化、インパクト成形の3工程をポンチの1動作(1ショット)で行うことができれば、これにより各工程で必要な、供給、取り出し、加工などの多くの処理が不要となり、全体の生産性が著しく向上し、高精度の容器を簡単かつ大量に製造でき、しかも短時間、安価に製造することができる。
現在、携帯用電子機器の普及、社会への浸透が進み、電池ケース等の容器に対するニーズは飛躍的に高まっており、高精度で安価な電池ケース等の需要はきわめて大きい。また、将来の電池として期待されている燃料電池においても、高精度で安全性が高く、安価な電池ケースが提供されることが望まれている。
そこで本発明は、容器の製造時に、スラグの打ち抜きから破面の平滑化、インパクト成形までの3工程をポンチの1動作で行う加工とし、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形できる金型、及びその容器を高い生産性で製造することができる容器製造方法を提供することを目的とする。
本発明の金型は、金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する金型であって、容器の内周形状を決定する外周形状を有し降下による衝撃でスラグを打ち抜きこの表面を平滑化させてインパクト成形するポンチを備えた上金型と、ポンチの衝撃でスラグの打ち抜きを行うスラグ抜きダイと、打ち抜かれた後に平滑化のためのしごきをポンチと共に行うしごき可動ダイと、しごかれたスラグをポンチとによってインパクト成形するインパクトダイとから構成された下金型を有し、スラグ抜きダイとしごき可動ダイ、インパクトダイがポンチの降下軸と同軸に加工順に一列に配置されたことを主要な特徴とする。
本発明の容器製造方法は、金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する容器製造方法であって、ポンチの降下軸と同軸にスラグ抜きダイとしごき可動ダイ、インパクトダイを加工順に一列に配置し、ポンチの降下による衝撃でスラグ抜きダイとの間で金属材料を打ち抜き、ポンチの更なる降下によりしごき可動ダイとの間で平滑化のためのしごきを行い、更にインパクトダイとの間で容器をインパクト成形することを主要な特徴とする。
本発明の金型と容器製造方法によれば、スラグの打ち抜きと破断面の平滑化、インパクト成形までの3工程をポンチの1ショットで行う1の連続した加工とすることができ、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形でき、生産性を向上することができる。
本発明の第1の形態は、金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する金型であって、容器の内周形状を決定する外周形状を有し降下による衝撃でスラグを打ち抜きこの表面を平滑化させてインパクト成形するポンチを備えた上金型と、ポンチの衝撃でスラグの打ち抜きを行うスラグ抜きダイと、打ち抜かれた後に平滑化のためのしごきをポンチと共に行うしごき可動ダイと、しごかれたスラグをポンチとによってインパクト成形するインパクトダイとから構成された下金型を有し、スラグ抜きダイとしごき可動ダイ、インパクトダイがポンチの降下軸と同軸に加工順に一列に配置されたことを特徴とする金型である。この構成によって、スラグの打ち抜きと破断面の平滑化、インパクト成形までの3工程をポンチの1ショットで行う1の連続した加工とすることができ、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形でき、生産性を向上することができる。
本発明の第2の形態は、第1の形態に従属する形態であって、ポンチとしごき可動ダイの間の第2クリアランスが、ポンチとスラグ抜きダイの間の第1のクリアランスより小さく設定されたことを特徴とする金型である。この構成によって、金属材料が塑性変形するとき緩やかに増加する流動抵抗を実現してスラグの精密打ち抜きが可能になる。
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態に従属する形態であって、しごき可動ダイが降下軸に沿って上下に移動可能であって、しごき可動ダイがインパクトダイの位置にまで降下したとき、しごき可動ダイとポンチが、打ち抜かれたスラグを平滑化するためのしごきを開始することを特徴とする金型である。この構成によって、金属材料が塑性変形するとき緩やかに増加する流動抵抗を実現して精密打ち抜きが可能になると共に、平滑化するためのしごきが可能になる。
本発明の第4の形態は、第2又は第3の形態に従属する形態であって、第2のクリアランスが第1のクリアランスの0.3倍〜0.8倍の間隙であることを特徴とする金型である。この構成によって、金属材料が塑性変形するとき緩やかに増加する流動抵抗を実現して精密打ち抜きが可能になると共に、平滑化するためのしごきが可能になり、高い精度の容器を形成することができる。
本発明の第5の形態は、第1〜第4の形態に従属する形態であって、スラグ抜きダイの上面には、スラグの打ち抜き時のガイドを行う皿穴が設けられていることを特徴とすることを特徴とする金型である。この構成によって、金属材料が打ち抜くとき流動を促してスラグの精密打ち抜きが可能になる。
本発明の第6の形態は、金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する容器製造方法であって、ポンチの降下軸と同軸にスラグ抜きダイとしごき可動ダイ、インパクトダイを加工順に一列に配置し、ポンチの降下による衝撃でスラグ抜きダイとの間で金属材料を打ち抜き、ポンチの更なる降下によりしごき可動ダイとの間で平滑化のためのしごきを行い、更にインパクトダイとの間で容器をインパクト成形することを特徴とする容器製造方法である。この構成によって、スラグの打ち抜きと破断面の平滑化、インパクト成形までの3工程をポンチの1ショットで行う1の連続した加工とすることができ、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形でき、生産性を向上することができる。
本発明の第7の形態は、第6の形態に従属する形態であって、ポンチとしごき可動ダイの間の第2クリアランスを、ポンチとスラグ抜きダイの間の第1のクリアランスより小さく設定することを特徴とする容器製造方法である。この構成によって、金属材料が塑性変形するとき緩やかに増加する流動抵抗を実現してスラグの精密打ち抜きを可能にし、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形でき、生産性を向上することができる。
本発明の第8の形態は、第6又は第7の形態に従属する形態であって、しごき可動ダイを降下させ、インパクトダイの位置にまで降下したとき、しごき可動ダイとポンチが、打ち抜かれたスラグを平滑化するためのしごきを開始することを特徴とする容器製造方法である。この構成によって、金属材料が塑性変形するとき緩やかに増加する流動抵抗を実現して精密打ち抜きが可能になると共に、バレル研磨に代わって破面をしごきで平滑化することができ、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形でき、生産性を向上することができる。
以下、本発明の実施例1における容器を成形する金型とその容器製造方法について説明する。
図1は本発明の実施例1における金型で製造した容器の斜視図、図2は本発明の実施例1における金型を備えた鍛造プレス装置の一部破砕構成図である。図1において、実施例1の容器1(本発明の実施例1における容器)は有底直方体状の形状を有する電池ケースであって、電池ケースとしては上部の開口を蓋部材2で閉止して開口の縁を接合して使用される。容器1の内部には図示はしないが、電極やその他の電池の構成部材が収納される。容器1は有底直方体状の形状に限られないし、電池ケースに限られるものでもない。なお、容器1の外周面は後で詳述するインパクトダイ19(図2参照)の型に従って成形され、内周面はポンチ16(図2参照)の外形に従って成形される。
図1に示す実施例1の容器1は、筒状で横断面が平行2直線とこれを両端で連絡する2つの円弧から構成される小判形の形状が選ばれている。その具体的な寸法は、外周の直線部分を含んだ長手方向長さlが61.0±0.2mm、円弧からなる短手方向長さsが32.0±0.2mmであり、高さhは52.5±0.15mmである。円弧の内周側の半径r1は15.3mm、外周側の半径r2は16.0mmで、肉厚Δtは側壁が0.7mm±0.015mm、底面が0.9mm±0.01mmである。従って、容器体積vは7203.7mm3である。
ところで、従来容器1はA1070P(JIS H 4000)などのO材であるアルミニウム合金の板状の被加工部材からスラグを打ち抜き、このスラグをポンチで有底筒形の容器の形状にインパクト成形していた。このスラグを打ち抜くとき、切断した破面に破断面が形成され、凹凸を生じると共にダレを生じ、破面近傍の板厚が減少する現象が起こり、このままスラグを成形すると、この欠陥が成形品に影響し、その精度を下げてしまうことになる。従って、従来はこれを避けるために打ち抜いたスラグをバレル研磨し、研磨後にインパクト成形していた。
そこで、本発明はこの研磨を省き、研磨に代わる工程を採用して、1動作(1ショット)だけでスラグの打ち抜きから成形までを行うものである。研磨相当の工程としては、打ち抜いてインパクト成形する前に、スラグ表面を滑らかにするしごきの工程を加えている。この平滑化用のしごきは大きな成形を行うようなしごきではなく、バレル研磨に代わって表面を平滑化するものである。この平滑化用のしごきを行ったスラグをインパクト成形することにより、精度の高い容器1に成形することができる。
以下本発明の実施例1の容器1を成形する金型と、その金型を使った容器製造方法について説明する。図2はスラグを打ち抜き、容器1をインパクト成形する鍛造プレス装置10の概略図である。図2は成形後の状態を示す。なお、図2における容器1の断面形状は摸式的な形状にすぎない。この鍛造プレス装置10はシリンダやクランク等の駆動装置11により機械駆動される。
駆動装置11を駆動すると、鍛造プレス装置10に上下動可能に取り付けられたラム12が上下動する。ラム12の下方側には鍛造プレス装置10のベッド13が設置されている。実施例1におけるラム12とベッド13にはそれぞれパンチパッキング14、ダイパッキング15が取り付けられ、パンチパッキング14にはポンチ16が、ダイパッキング15にはインパクトダイ19が取り付けられる。
この鍛造プレス装置10の上金型はポンチ16であり、下金型は、被加工部材9(本発明の実施例1における金属材料)の打ち抜き加工で使用するガイドプレート17a付きのスラグ抜きダイ17と、この打ち抜き加工に引き続いて使用する平滑化用しごき用のしごき可動ダイ18と、平滑化処理されたスラグ22をインパクト成形するインパクトダイ19とから構成される。スラグ抜きダイ17としごき可動ダイ18、インパクトダイ19はポンチ16による加工順に上下方向一列(降下軸と同軸)に配置され、精密打ち抜きするためにガイドプレート17aがスラグ抜きダイ17に取り付けられる。ガイドプレート17aにはポンチ16を挿通可能な皿穴が形成されており、ポンチ16と反対面から打ち抜き部分の周りを押さえる突起が設けられ、この突起でO材を押えて皺のできないように打ち抜く。ガイドプレート17aとスラグ抜きダイ17とで全体としてのスラグ抜きダイが構成される。
このスラグ抜きダイ17とインパクトダイ19の間には、図2のような所定高さのスペーサが設けられ、このスペーサの形成する内部空間内にしごき可動ダイ18が上下移動可能に設けられている。そして、このしごき可動ダイ18は付勢スプリング24によってスラグ抜きダイ17側に付勢され、ポンチ16が降下していない状態では付勢力によりその下面に当接される。ポンチ16の降下でインパクト成形が終了すると、付勢スプリング24はしごき可動ダイ18をインパクトダイ19の位置から初期の位置に復帰させる。
図4(a)は実施例1における金型のポンチを被加工部材9まで降下させたときの状態を示し、図4(b)は(a)の状態からさらにポンチを降下させて打ち抜いたときの状態、図4(c)はさらにポンチを降下軸に沿って降下させてスラグ22をしごき可動ダイでしごいた後、このしごき可動ダイ18が破線の位置から再び上昇して初期位置(実線の位置)に戻り、さらにスラグ22を容器形状にインパクト成形した状態を示す。ポンチ16とスラグ抜きダイ17の間には、精密打ち抜きと、平滑化のためのしごきを行うため、クリアランスδ1(本発明の実施例1における第1のクリアランス)が0.01mm程度に設定されると共に、しごき可動ダイ18とポンチ16の間に、クリアランスδ2(本発明の実施例1における第2のクリアランス)が0.005mm程度設けられる。このクリアランスδ1とクリアランスδ2、さらには皿穴によるガイドにより、塑性変形させる際の適度に増加する抵抗配分(分布)を実現することができ、これによって、O材のしごき可動ダイ18への急な流れ込みが抑制され、ダレの生成が低減され、破断面の大きさが抑制され、精密な打ち抜きが可能になる。また、その後のしごきが負担の大きな加工になることなく実行できる。
次に図2に示すように、ラム12とベッド13には、横揺れを起こさないで上下動できるように動きをガイドする支持機構21が設けられている。この支持機構21は、ベッド13に設けられたガイド棒と、このガイド棒を挿通するラム12に設けられたブッシュ、ガイド棒の周囲に配置されかつブッシュの下端を垂直方向上方に付勢する弾発スプリングとから構成される。
しごき可動ダイ18の下面からは、付勢スプリング24と共に下方に向かってガイドピン20が突設され、インパクトダイ19のブッシュに挿入されてしごき可動ダイ18を案内し、スラグ22をインパクトダイ19の容器形状の型25内で正確に鍛造できるようになっている。同様にラム12とベッド13にも図示はしないがロケーションピンが設けられる。インパクトダイ19はダイパッキング15上で、ダイプレート23内に保持、固定される。
そこで、実施例1のポンチ16とガイドプレート17a付きのスラグ抜きダイ17、しごき可動ダイ18、インパクトダイ19から構成される金型を使った容器製造方法について、工程順(加工順)にその内容を詳しく説明する。
最初の工程は被加工部材9から所定の大きさのスラグ22を切り出すスラグカット工程である。図3(a)はスラグ22の正面図であり、図3(b)はスラグ22の側面図である。また、図5はスラグカット工程を行うときのポンチ16と下金型(スラグ抜きダイ17、しごき可動ダイ18、インパクトダイ19)の状態を示す概略説明図である。
スラグカット工程では、ポンチ16とスラグ抜きダイ17の間に板状の被加工部材9をセットし、駆動装置11のハンマを駆動し、容器1の容積とほぼ等容積の図3(a)(b)に示す形状のスラグ22を切り出す。鍛造であるためこのスラグ22の金属材料の容積が容器1の肉の容積を実質的に決定する。実施例1のスラグ22の具体的な寸法は、外周の直線部分を含んだ長手方向長さl0が59.70mm、短手方向長さs0が30.70mm、円弧の半径r0が15.35mmであり、高さnは5mmである。
このスラグ22の形状、言い換えれば容器1の形状は、鍛造によってスラグ22が塑性変形するときにメタルフローの流動抵抗が小さく、上下金型間で円滑なメタルフローが形成され、欠点のない成形品が得られるように平行2平面(図3(a)では直線)とこれを両端で連絡する2つの円弧面(図3(a)では円弧)から構成された小判形の形状となっている。そして、本発明の実施例1においては、打ち抜きと剪断破面の平滑化、インパクト成形を、1個のポンチ16の1ショットで行うため、ポンチ16の大きさ、形状は、打ち抜き工程だけ用の大きさ、形状ではなく、平滑化、インパクト成形の工程においても同一の大きさ、形状である。
そして、ガイドプレート17aの皿穴の形状と、スラグ抜きダイ17のクリアランスδ1、しごき可動ダイ18のクリアランスδ2を上述したように設定することで、上下金型が緩やかに増加する流動抵抗を実現して精密打ち抜きが可能になる(図4(a)(b)(c)参照)。クリアランスδ1には0.008mm〜0.012mm程度が選ばれ、好適には実施例1のように0.01mmが設けられている。従って、ポンチ16とスラグ抜きダイ17の間には全体で0.02mmの間隙が設けられる。また、しごき可動ダイ18で僅かに流動抵抗を増加して平滑化用のしごきが行えるようにするため、スラグ抜きダイ17のクリアランスδ2もクリアランスδ1との関係で選択される必要がある。なお、ガイドプレート17aの皿穴は精密打ち抜き加工を円滑化する。
次に、平滑化用しごき工程におけるポンチ16と共に使用されるしごき可動ダイ18について説明する。図5はスラグカット工程を行うときのポンチ16とスラグ抜きダイ17、しごき可動ダイ18の状態の概略を示し、しごき可動ダイ18はスラグ抜きダイ17の下面に付勢された状態に置かれている。そして、しごき可動ダイ18には、ポンチ16の降下(衝撃)でスラグ22がここで僅かに流動抵抗を増加してしごけるように、ポンチ16との間に0.004mm〜0.006mm程度のクリアランスδ2、好適には0.005mm程度のクリアランスが設けられている。
クリアランスδ2が0.004mm〜0.006mmより大きいスラグ22の場合、破断面の平滑化ができず、成形品の精度等に影響する。これに対し、これより小さいと負荷が大きく、インパクト成形が難しくなる。このようにスラグ抜きダイ17のクリアランスδ1としごき可動ダイ18のクリアランスδ2は、成形する容器1の形状と容積等に応じてこれらとの関連で選択される必要がある。
要するにクリアランスδ2は、金属材料がしごき可動ダイ18に到達すると塑性変形の流動抵抗が少し増加してその表面を成形できるように、クリアランスδ1より小さい値が設定されればよい。そして、クリアランスδ2、クリアランスδ1はスラグ22の精密打ち抜きと平滑化のためのしごきが可能な範囲の値であって、これを実行するにはクリアランスδ2がクリアランスδ1の0.3倍〜0.8倍程度がよく、中でも好適なのが0.5倍の場合である。
また、実施例1のように、容器1の容積が1000mm3〜10000mm3程度のインパクト成形であれば、クリアランスδ1は通常0.008mm〜0.012mm、クリアランスδ2は0.004mm〜0.006mm程度におさまり、クリアランスδ2はクリアランスδ1の0.3倍〜0.8倍程度におさまる。これによって材料金属のしごき可動ダイ18への急な流れ込みが抑制される。
さて、平滑化のしごきについて説明すると、しごき可動ダイ18が、スラグ22をポンチ16と共に狭持した状態で降下し、図6のような降下中の状態を経てインパクトダイ19に衝撃を加えたときに、しごきが開始される。しかし、打ち抜き終了時のしごき可動ダイ18への衝撃により、スラグ22には、既に、しごき可動ダイ18との間で馴染みのある形状が形成されており、インパクトダイ19による2度目の衝撃によりこの馴染みのある形状から良好な塑性変形が開始され、平滑化のためのしごきは円滑に進行する。そして、クリアランスδ2が形成されたしごき可動ダイ18とポンチ16とによるしごきでスラグ22の表面を滑らかにすることできる。このようにインパクトダイ19の位置に降下したとき、しごきを開始することで、金属材料が塑性変形するとき緩やかに適度に増加する流動抵抗が実現され、バレル研磨に代わってしごきで平滑化することができ、容器1を高い精度で簡単かつ安価に成形でき、生産性を向上することができる。なお、付勢力を大きくすれば、しごき可動ダイ18がインパクトダイ19の位置に到達する前にしごきを終えることも可能である。
この後、ポンチ16がインパクトダイ19の型25にスラグ22を押し込んで容器形状に成形するインパクト成形が行われる。図4(a)(b)に示す長手方向長さl0が59.70mm、短手方向長さs0が30.70mm、円弧の半径r0が15.35mm、高さnが5mmのスラグ22は、図1に示すような、長手方向長さlが61.0±0.2mm、短手方向長さsが32.0±0.2mm、高さh52.5±0.15mm、内径の半径r1が15.3mm、外径r2が16.0mm、側壁の肉厚Δtが0.7mm±0.015mm、底面の肉厚Δtが0.9mm±0.01mmの容器1に形成される。ポンチ1は容器1の内周面と同一の外周面を備えている。
ポンチ16がインパクトダイ19内を進行するにつれて、平滑化された表面のスラグ22がポンチ16とインパクトダイ19の型25で構成された空間に押し出され、流動性の高い円滑なメタルフローを形成し、容器1の形状に一挙に塑性変形される。この加工によりポンチ16の動作に伴う一連の工程が終了する。ポンチ16を型抜きすると、しごき可動ダイ18は付勢スプリング24の作用でスラグ抜きダイ17と接する初期の位置に復帰し、次の容器1の鍛造を待つ待機状態となる。
再びO材をガイドプレート17aとスラグ抜きダイ17上に載置し、スラグ22を打ち抜き、平滑化のためのしごき、インパクト成形の手順を繰り返えすことにより、精度の高い同じ形状の容器1をそれぞれ1ショット(衝撃)の加工をするだけで幾つでも、かつ簡単、安価に製造することができる。
このように本発明の金型と容器製造方法によれば、スラグの打ち抜きと破断面の平滑化、インパクト成形までの3工程をポンチの1動作で行う1の連続した加工とすることができ、容器を高い精度で簡単かつ安価に成形でき、生産性を向上することができる。
本発明は電池ケース等の容器を製造に適用できる。
1 容器
2 蓋部材
9 被加工部材
10 鍛造プレス装置
11 駆動装置
12 ラム
13 ベッド
14 パンチパッキング
15 ダイパッキング
16 ポンチ
17 スラグ抜きダイ
17a ガイドプレート
18 しごき可動ダイ
19 インパクトダイ
20 ガイドピン
21 支持機構
22 スラグ
23 ダイプレート
24 付勢スプリング
25 型
δ1 クリアランス
δ2 クリアランス
l0 長手方向長さ
s0 短手方向長さ
r0 半径
n 高さ
l 長手方向長さ
s 短手方向長さ
r1 半径
r2 半径
Δt 肉厚
v 容器体積
A ダレ
B 剪断面
C 破断面
D バリ
2 蓋部材
9 被加工部材
10 鍛造プレス装置
11 駆動装置
12 ラム
13 ベッド
14 パンチパッキング
15 ダイパッキング
16 ポンチ
17 スラグ抜きダイ
17a ガイドプレート
18 しごき可動ダイ
19 インパクトダイ
20 ガイドピン
21 支持機構
22 スラグ
23 ダイプレート
24 付勢スプリング
25 型
δ1 クリアランス
δ2 クリアランス
l0 長手方向長さ
s0 短手方向長さ
r0 半径
n 高さ
l 長手方向長さ
s 短手方向長さ
r1 半径
r2 半径
Δt 肉厚
v 容器体積
A ダレ
B 剪断面
C 破断面
D バリ
Claims (8)
- 金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する金型であって、前記容器の内周形状を決定する外周形状を有し降下による衝撃でスラグを打ち抜きこの表面を平滑化させてインパクト成形するポンチを備えた上金型と、前記ポンチの衝撃で前記スラグの打ち抜きを行うスラグ抜きダイと、打ち抜かれた後に平滑化のためのしごきを前記ポンチと共に行うしごき可動ダイと、しごかれたスラグを前記ポンチとによってインパクト成形するインパクトダイとから構成された下金型を有し、前記スラグ抜きダイと前記しごき可動ダイ、前記インパクトダイが前記ポンチの降下軸と同軸に加工順に一列に配置されたことを特徴とする金型。
- 前記ポンチと前記しごき可動ダイの間の第2クリアランスが、前記ポンチと前記スラグ抜きダイの間の第1のクリアランスより小さく設定されたことを特徴とする請求項1記載の金型。
- 前記しごき可動ダイが前記降下軸に沿って上下に移動可能であって、前記しごき可動ダイが前記インパクトダイの位置にまで降下したとき、前記しごき可動ダイと前記ポンチが、打ち抜かれたスラグを平滑化するためのしごきを開始することを特徴とする請求項1又は2記載の金型。
- 前記第2のクリアランスが前記第1のクリアランスの0.3倍〜0.8倍の間隙であることを特徴とする請求項2又は3記載の金型。
- 前記スラグ抜きダイの上面には、前記スラグの打ち抜き時のガイドを行う皿穴が設けられていることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載された金型。
- 金属材料からスラグを打ち抜き、打ち抜いたスラグの破面を平滑化して容器をインパクト成形する容器製造方法であって、ポンチの降下軸と同軸にスラグ抜きダイとしごき可動ダイ、インパクトダイを加工順に一列に配置し、前記ポンチの降下による衝撃で前記スラグ抜きダイとの間で前記金属材料を打ち抜き、前記ポンチの更なる降下により前記しごき可動ダイとの間で平滑化のためのしごきを行い、更に前記インパクトダイとの間で容器をインパクト成形することを特徴とする容器製造方法。
- 前記ポンチと前記しごき可動ダイの間の第2クリアランスを、前記ポンチと前記スラグ抜きダイの間の第1のクリアランスより小さく設定することを特徴とする請求項6記載の容器製造方法。
- 前記しごき可動ダイを降下させ、前記インパクトダイの位置にまで降下したとき、前記しごき可動ダイと前記ポンチが、打ち抜かれたスラグを平滑化するためのしごきを開始することを特徴とする請求項6又は7記載の容器製造方法。
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JP2009085893A JP2010234415A (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 金型及び容器製造方法 |
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JP2017037327A (ja) * | 2016-10-04 | 2017-02-16 | 富士ゼロックス株式会社 | 電子写真感光体用基材の製造方法、電子写真感光体の製造方法、インパクトプレス加工による電子写真感光体用基材の製造に用いる金属塊、及び筒状体の製造方法 |
JP2018018114A (ja) * | 2017-11-07 | 2018-02-01 | 富士ゼロックス株式会社 | 電子写真感光体用基材の製造方法、及び電子写真感光体の製造方法 |
CN110935789A (zh) * | 2019-12-12 | 2020-03-31 | 武汉市杰精精密电子有限公司 | 一种锂铔电池外壳拉伸和冲制翻边孔工艺、及其冲压装置 |
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2009
- 2009-03-31 JP JP2009085893A patent/JP2010234415A/ja active Pending
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