以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。本実施の形態では、本発明に係る生体情報処理装置を、在宅酸素療法(以下「HOT」と略記する)に用いられる在宅酸素療法管理装置(HOT管理装置)に適用した場合について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る在宅酸素療法管理システム(HOT管理システム)の構成を示すブロック図である。図1に示すHOT管理システム100は、酸素濃縮器110、パルスオキシメータ120、HOT管理装置130、ディスプレイ装置140、プリンタ装置150、および入力装置160を有する。
図1においては上記の各機器が相互に接続された状態で示されている。しかし、酸素濃縮器110は通常、患者が自宅などに設置して使用する機器であり、パルスオキシメータ120は通常、患者が携帯して使用する機器であり、HOT管理装置130は通常、医療施設などに設置されて医師などの医療従事者が使用する機器である。このため、これらの接続、特に、パルスオキシメータ120と酸素濃縮器110またはHOT管理装置130との接続は、常時通信可能な接続を意味するものではない。これらの機器間でのデータ通信が必要なときにのみ相互に通信可能に接続されることを意味している。
なお、これらの機器により取得されたデータを、リムーバブルメディアを用いて相互に授受可能な構成が採られる場合には、これらの機器間を通信可能に接続する構成は必ずしも必要ではない。また、これらの機器間でのデータ通信は、別の装置を介して行われてよい。
酸素濃縮器110は、酸素供給制御部111、器械動作ログ取得部112、時計・カレンダ機能部113およびデータ転送処理部114を有する。酸素濃縮器110は、既述のとおり、室内から取り込んだ空気を圧縮し、圧縮空気から高濃度酸素を生成し、鼻腔カニューラを介して高濃度酸素を患者体内に供給するための構成(図示せず)を有する。ただし、この構成は従来の酸素濃縮器と同様であるので、簡略化のためその詳細な説明を省略する。
なお、高濃度酸素の生成および供給のための構成は、前述のものだけに限定されない。例えば、液体酸素から高濃度酸素を生成するタイプなど、様々なタイプの酸素供給装置を使用することができる。
酸素供給制御部111は、操作者(通常は患者本人であるが、患者の家族などであってもよい)が酸素濃縮器110の操作部(図示せず)を操作することにより設定された酸素流量値(以下「設定流量値」ともいう)に従って、高濃度酸素の供給を制御する。通常、操作者は、予め医師が決定した処方、すなわち処方流量値(例えば、安静時は1.00L/min、労作時は2.00L/min、就寝時は1.50L/minなど)に従って、酸素流量値を設定する。ただし、操作者の操作によって処方外の酸素流量値を設定し、その設定流量値に従って、高濃度酸素の供給を制御することも、機能的には可能である。
また、酸素供給制御部111は、設定流量値による制御の下で実際に酸素濃縮器110から送り出される高濃度酸素の流量値を流量センサ(図示せず)により検知する。以下、検知された流量値を「実測流量値」という。
器械動作ログ取得部112は、酸素濃縮器110において発生した全ての動作および事象をその発生日時と関連付けて器械動作ログとして取得し、取得した器械動作ログを内部の記憶装置(図示せず)に格納する。例えば、酸素濃縮器110において故障または異常が発生した場合は、その事象とその発生日時とがアラーム情報として記録され、また、酸素濃縮器110の電源が投入されている期間は、その日時と各時点で設定されている設定流量値とが動作情報として記録される。なお、酸素濃縮器110の電源が投入されている期間に、各時点で検知された実測流量値を、設定流量値に加えて記録してもよい。
器械動作ログ取得部112は、日時についての情報を時計・カレンダ機能部113から取得する。
なお、「日時」の「時」は時刻であり「日」は日付であるが、日付の情報として年月日のほかに曜日を含むこともできる。
データ転送処理部114は、酸素濃縮器110とパルスオキシメータ120とを通信可能に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。このコネクタを介してパルスオキシメータ120が酸素濃縮器110に接続されたときに、データ転送処理部114は、格納された器械動作ログの少なくとも一部、特に酸素濃縮器110の動作情報をパルスオキシメータ120に転送することができる。
パルスオキシメータ120は、酸素飽和度センサ(図示せず)と酸素飽和度計測回路(図示せず)とを有する酸素飽和度計測部121、データ統合部122、時計・カレンダ機能部123およびデータ転送処理部124を有する。酸素飽和度計測部121は、酸素飽和度センサにより、赤色光および赤外光を発光して患者の特定部位(例えば、指先、つま先など)に照射し、その透過光または反射光を検出することにより、検出信号を得る。酸素飽和度計測部121は、酸素飽和度計測回路により、検出信号を用いて、動脈血の総ヘモグロビンに対する酸化ヘモグロビンの割合を求め、動脈血の脈拍に同期する吸光度の変化を検出することにより、酸素飽和度および脈拍数(つまり脈波測定値)を計測する。さらに、酸素飽和度計測部121は、この計測結果をディジタルデータに変換することにより、酸素飽和度測定値および脈拍測定値を取得する。
データ統合部122は、酸素飽和度計測部121により取得された酸素飽和度測定値および脈拍測定値を酸素飽和度計測部121から取得する。データ統合部122は、取得した測定情報をその測定日時と関連付けてパルスオキシメータ120の測定情報として内部の記憶装置(図示せず)に格納する。データ統合部122は、日時についての情報を時計・カレンダ機能部123から取得する。
また、データ統合部122は、データ転送処理部124が酸素濃縮器110から受信した酸素濃縮器110の動作情報を取得する。そして、データ統合部122は、取得した動作情報を、既に格納されている測定情報と統合することにより、HOTについての情報を一元管理し得る在宅酸素療法管理情報(HOT管理情報)を生成し、生成したHOT管理情報を、内部の記憶装置(図示せず)に格納する。
なお、本実施の形態では、測定情報およびHOT管理情報が格納される記憶装置は、パルスオキシメータ120に内蔵されたものであるが、この記憶装置はリムーバブルメディアであってもよい。
データ転送処理部124は、パルスオキシメータ120と酸素濃縮器110とを通信可能に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。このコネクタを介してパルスオキシメータ120が酸素濃縮器110に通信可能に接続されたときに、データ転送処理部124は、器械動作ログの少なくとも一部、特に酸素濃縮器110の動作情報を、酸素濃縮器110から受信することができる。
また、データ転送処理部124は、パルスオキシメータ120がHOT管理装置130に接続されたときに、データ統合部122に格納されたHOT管理情報をHOT管理装置130に転送することができる。
HOT管理装置130は、典型的にはパソコンにおいて実現される装置であり、データ転送処理部131、記憶部132およびデータ解析部133を有する。
データ転送処理部131は、パルスオキシメータ120とHOT管理装置130とを通信可能に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。このコネクタを介してパルスオキシメータ120がHOT管理装置130に接続されたときに、データ転送処理部131は、HOT管理情報をパルスオキシメータ120から受信し、このHOT管理情報を記憶部132に格納することができる。
なお、データ転送処理部131は、リムーバブルメディアを接続するためのコネクタを有する構成であってもよい。この場合、データ転送処理部131は、このコネクタに接続されたリムーバブルメディアからHOT管理情報を読み取り、読み取ったHOT管理情報を記憶部132に格納することができる。
データ解析部133は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置(図示せず)を有する。この演算装置で生体情報処理プログラムが実行されると、処方の実施に伴う経過観察用レポートである在宅酸素状況レポート(以下、単に「レポート」という)の出力処理に必要な種々の機能が実現される。このレポート出力処理により作成されるレポートは、ディスプレイ装置140の画面に表示されることにより、あるいは、プリンタ装置150によって用紙に印刷されることにより、出力される。レポート出力処理については後で具体的に説明する。
また、データ解析部133は、医師が例えばマウスまたはキーボードなどの入力装置160を操作することにより何らかの情報が手入力された場合に、その情報を記憶部132に格納することができる。患者の氏名、生年月日および体重などのような個人情報である患者情報、ならびに、医師が処方として決定した内容(例えば処方流量値など)を示す処方内容情報などは、入力装置160の操作によって手入力されてもよいし、他の方法によって入力されてもよい。
記憶部132は、HOT管理情報、患者情報および処方内容情報などを記憶する。HOT管理装置130が利用される病院名などの病院情報も、記憶することができる。さらに、記憶部132は、HOT管理情報に対する解析処理およびレポートの出力処理など、様々な処理を行うための生体情報処理プログラムを記憶する。
次いで、上記構成を有するHOT管理システムを用いてHOTを管理する手順の一例について、簡単に説明する。
医師は、HOTの対象者である患者について酸素の処方を決定すると、その内容を患者に通知してHOTについての指導を行う。また、医師は、その決定事項を、入力装置160を操作してHOT管理装置130に入力する。入力された情報は、処方内容情報として記憶部132に記憶される。HOT管理装置130には、予め患者情報が入力されて記憶部132に格納されており、処方内容情報は、患者情報と関連付けられて記憶部132に格納される。
患者は、医師からHOTについての指導を受けた後、次回の受診日まで、処方に従って酸素濃縮器110を動作させて酸素吸入を行いながら、通常の日常生活を送る。なお、以下の説明においては、患者が日常生活を送りつつ医師の処方に基づいてHOTとしての酸素吸入を適宜行うことを、「処方を実施する」という。処方実施中、前述の動作情報(つまり、酸素濃縮器110の動作日時および各時点での設定流量値)が、器械動作ログ取得部112内に格納される。
患者は、処方実施中、指導に従って定期的にまたは不定期に、パルスオキシメータ120を用いて酸素飽和度の計測を行う。一般に、一回の計測は数秒から数十秒で行うことができる。計測結果は、前述の測定情報としてデータ統合部122内に格納される。
さらに、患者は、処方実施中、指導に従って定期的にまたは不定期に、パルスオキシメータ120を酸素濃縮器110に通信可能に接続する。これらが接続されると、酸素濃縮器110からパルスオキシメータ120に動作情報が取り込まれ、この動作情報が測定情報と統合されてHOT管理情報としてデータ統合部122内に格納される。したがって、処方実施中、様々な情報がHOT管理情報としてパルスオキシメータ120に収集される。
なお、動作情報に示される動作日時と測定情報に示される測定日時とは、互いに矛盾せず且つ正確であることが、適切なHOT管理を行ううえで望ましい。しかし実際には、各機器の継続使用に伴ってある程度の誤差が生じる可能性があるほか、初期設定の時点で誤差が生じている可能性もある。したがって、これらの日時を互いに矛盾なく且つ正確なものにするために何らかの方策(時計合わせ)を採り入れる必要がある。時計合わせの手法としては様々なものが考えられるが、その具体的内容は本発明の範囲外であるので、本実施の形態では、その詳細な説明を省略するとともに、これらの日時がいずれも正確であることを前提とする。
次の受診日が来ると、患者は、パルスオキシメータ120を携帯して病院に行き、これを医師に手渡す。医師は、パルスオキシメータ120をHOT管理装置130に通信可能に接続する。これらが接続されると、パルスオキシメータ120からHOT管理装置130にHOT管理情報が取り込まれる。このHOT管理情報は、患者情報および処方内容情報と関連付けられて記憶部132に格納される。
HOT管理情報がHOT管理装置130にインポートされると、医師は、HOT管理装置130にレポート出力処理を実行させレポートを表示または印刷させることができる。
医師は、表示または印刷されたレポートを見て処方実施の状況および容態改善の状況などを把握する。また、医師は、レポートを患者に見せてその内容を患者に説明しながら患者に理解させる。そして、医師は、処方実施の結果を踏まえ、これまで実施した処方が的確であったかどうかなどを判断し、必要に応じて処方の変更などを検討し、患者に対してあらためて処方についての説明および指導を行う。患者は、さらに次回の受診日まで引き続き処方を実施する。
上記のレポート出力処理は、HOT管理装置130のデータ解析部133により実行される。
図2は、このレポート出力処理を説明するためのフロー図である。なお、以下説明するレポート出力処理は、レポートの印刷を行うためのものであるが、同様の手順によりレポートの画面表示を行うこともできる。
〔ステップS100:出力コンテンツ選択処理〕
まず、レポートの出力コンテンツが決定される(ステップS100)。
医師が入力装置160を用いて所定の操作を行うと、その操作に応じた入力信号がデータ解析部133に入力される。データ解析部133は、入力信号が出力コンテンツの選択要求コマンドであると解釈すると、出力コンテンツのユーザ指定を可能にするために例えば図3に示すようなレポート印刷設定用のウィンドウ170を、ディスプレイ装置140の画面に表示させる。
図3に示すように、レポート印刷設定用のウィンドウ170においては、レイアウト表示部170aに、それぞれ予め設定された複数のレイアウト(以下「設定レイアウト」という)が並べて表示される。
例えば、ウィンドウ内の一番左に表示されたレポート「表紙1」に関しては、設定レイアウトが、内部にコンテンツを描画可能な領域(以下「コンテンツ描画領域」という)を複数有しており、それらが所定の位置に配置されていることが、示されている。そして、レポートの中段右側のコンテンツ描画領域における出力コンテンツとして何らかの図表を指定し得ることが示されている。また、レポートの下段のコンテンツ描画領域における出力コンテンツとして何らかのグラフを指定し得ることが示されている。
レイアウト表示部170aの下部にはプルダウンメニュー表示部170bがあり、種々の情報を含むレポート用データに基づいて生成し得るものとして予め設定されたコンテンツ(以下「設定コンテンツ」という)の一覧(プルダウンメニュー)が表示される。
図表のプルダウンメニューに含まれる設定コンテンツとしては、酸素吸入時間、時間帯平均および曜日別平均などがある。また、グラフのプルダウンメニューに含まれる設定コンテンツとしては、流量別平均、SpO2トレンドおよび安静時脈拍数などがある。医師は、入力装置160を操作することによりプルダウンメニューから複数の設定コンテンツのうちの任意の一つを出力コンテンツとして選択することができる。
例えば、ウィンドウ内の一番左に表示されたレポート「表紙1」に関しては、酸素吸入時間に関する図表および流量別平均に関するグラフが出力コンテンツとして選択されていることが、示されている。なお、レポート「表紙1」におけるその他のコンテンツ描画領域については、プルダウンメニューが表示されず、出力コンテンツのユーザ指定ができないようになっている。
図3に示すレポート印刷設定用のウィンドウ170には、五種類のレイアウトのレポートが表示されているため、異なるレイアウトを有する複数のレポートについて、一括で出力コンテンツを指定することができる。
医師がそれぞれのレポートについて出力コンテンツの選択を行い、OKボタンをクリックすると、選択結果がコンテンツ指定情報としてデータ解析部133に入力される。データ解析部133はそのコンテンツ指定情報を受け付けて、それぞれのレイアウトを有するレポートにおける出力コンテンツを確定させる。
なお、上記の出力コンテンツ選択処理は、任意のときに行うことができ、HOT管理情報がパルスオキシメータ120からHOT管理装置130にインポートされた後でなくてもよい。
このように、本実施の形態では、レポートの出力レイアウトおよび出力コンテンツに関して多数の選択肢がユーザに対して与えられており、レポートのフォーマットに豊富なバリエーションを持たせることができる。
その一方で、コンテンツ描画領域のそれぞれにおいて描画可能なコンテンツの種類が、コンテンツ描画領域毎に制限されている。
このため、例えば患者情報を上段左側に配置してグラフなどの情報を比較的下段側に配置するなど、定型化されているレイアウトについては、変えられないようにすることができる。これにより、基本的レイアウトをテンプレート化することができ、ユーザのレポート作成作業の効率を向上させることができる。
〔ステップS200:出力レイアウト選択処理〕
次いで、レポートの出力レイアウトが決定される(ステップS200)。
医師が入力装置160を用いて所定の操作を行うと、その操作に応じた入力信号がデータ解析部133に入力される。データ解析部133は、入力信号がレポートの印刷要求コマンドであると解釈すると、印刷用のウィンドウを、ディスプレイ装置140の画面に表示させる。図4に示すように、印刷用のウィンドウ171においては、印刷種別として出力レイアウトのユーザ指定が可能となっている。図示された例では、最大で六種類のレポートの印刷を要求することができ、印刷を要求するそれぞれのレポートについて、出力レイアウトを選択することができるようになっている。医師が出力レイアウトの選択を行うと、選択結果がレイアウト指定情報としてデータ解析部133に入力される。データ解析部133は、そのレイアウト指定情報を受け付けて、レポートの出力レイアウトを確定させる。
そして、印刷用のウィンドウ171内の印刷ボタンをクリックする操作が行われると、後述するステップS300以降の処理が行われる。
ところで、図3を用いて説明したレポート印刷設定用のウィンドウ170においては、出力コンテンツのユーザ指定が可能なレポートが五種類に限定されていたが、実際に出力可能なレポートの種類はそれよりも多く設定することができる。出力可能なレポートの種類は、図5に示すレポート種別管理テーブル172により管理されている。このレポート種別管理テーブル172は、記憶部132に記憶されている。
レポート種別管理テーブル172においては、n種類(nは2以上の整数)のレポートがそれぞれ、シリアル番号1〜nを付与されて定義されている。例えば、レポート種別1として、図3において名称「表紙1」を付与されているレポートを定義することができる。また、レポート種別2として、図3において名称「表紙2」を付与されているレポートを定義することができる。また、レポート種別3として、図3において名称「表紙3」を付与されているレポートを定義することができる。また、レポート種別4として、図3において名称「詳細1」を付与されているレポートを定義することができる。また、レポート種別5として、図3において名称「詳細2」を付与されているレポートを定義することができる。また、レポート種別6として、図3には図示されていない別のレポート(例えば、タイムチャート)を定義することができる。
これにより、レポート種別管理テーブル172に列挙されているレポートの設定レイアウトを、レポート毎に個別に設定することができる。
図6は、図3において名称「表紙1」を付与されているレポートについての設定レイアウトを示す図である。
レポート領域173内には、複数のコンテンツ描画領域173a〜173kが配置されている。各コンテンツ描画領域173a〜173kについて座標情報が予め設定されており、その座標情報に基づいて各コンテンツ描画領域173a〜173kの位置、サイズおよび形状などが特定されるようになっている。なお、図6において各コンテンツ描画領域173a〜173k内に示す括弧付きの数字は、各コンテンツ描画領域173a〜173kに割り当てられた固有の座標情報を表している。また、ここに例示した各コンテンツ描画領域173a〜173kの形状はいずれも矩形であるが、別の形状も可能である。
このような設定レイアウトは、レポート種別毎に指定可能な出力レイアウトとともに、書式情報として、図7に示す書式情報管理テーブル174により管理されている。この書式情報管理テーブル174は、記憶部132に記憶されている。
書式情報管理テーブル174において、「レポート種別」カラムは、対象のレポートの種類を特定するものである。「表紙1」のレポートについて設定されたデータは全て、「レポート種別」カラムが「表紙1」となっている。
「コンテンツ種別」カラムは、「レポート種別」により特定されたレポートにおいて出力可能なコンテンツの種類を特定するものである。この例では、「表紙1」のレポートにおいて出力可能なコンテンツが「ヘッダー情報」、「マーク情報」および「処方コメント」などであることが、示されている。
「名称」カラムは、「コンテンツ種別」により特定されたコンテンツの名称を特定するものである。付与された名称は、レポートなどにおいてタイトルとして使用される。この例では、「表紙1」のレポートについて、「レポート書式名」というコンテンツは名称「表紙1」を付与されており、「患者情報」というコンテンツは名称「患者情報」を付与されていることが、示されている。
「座標」カラムは、各コンテンツが出力されるコンテンツ描画領域の座標を特定するものである。例えば、「レポート表題」というコンテンツは座標(1)のコンテンツ描画領域173a(図6参照)に割り当てられることが、示されている。
ここで、座標(7)のコンテンツ描画領域173g(図6参照)および座標(8)のコンテンツ描画領域173hについてはそれぞれ、「コンテンツ種別」として、種類のユーザ指定が可能なコンテンツである「図表1」および「グラフ1」が設定されている。そして、これらの詳細については、「レポート種別」に「図表1」および「グラフ1」が付与された個所において特定されている。
すなわち、書式情報管理テーブル174において、「レポート種別」が「表紙1」となっているデータを参照すると、例えば座標(7)には「図表1」が出力可能であることが、示されている。そして、「レポート種別」が「図表1」となっているデータを参照すると、「図表1」として「酸素吸入時間」という名称を付与されている図表が出力されるように設定されていることが、示されている。
なお、各レポートの設定レイアウトについては、図7に示すような書式情報管理テーブル174により出力可能なコンテンツなどが管理されているが、テキストのフォントおよびグラフのデザインなど、様々な書式設定も別途管理されている。
このように、本実施の形態では、出力コンテンツに関する指定を行うことができるだけでなく、出力レイアウトに関する指定も別途行うことができる。このため、ユーザは選択肢の中から所望のレイアウトを選択するだけでレポートのレイアウトを自由に決めることができる。しかも、自らレイアウトを設計する必要がないため、レポート作成の手間の増大も抑制することができる。
〔ステップS300:レポート用データ読み出し処理〕
次いで、レポート用データが読み出される(ステップS300)。
データ解析部133は、レポート作成に必要なデータ、具体的には、患者情報、処方内容情報およびHOT管理情報などを、レポート用データとして、記憶部132から読み出す。
〔ステップS400:出力コンテンツ生成処理〕
次いで、読み出されたレポート用データに基づいて、出力コンテンツが生成される(ステップS400)。
レポート用データが読み出されると自動的に出力コンテンツの生成が行われる。生成される出力コンテンツは、ステップS200において選択された出力レイアウトを有するレポートにおける各コンテンツ描画領域に割り当てられたコンテンツである。
したがって、例えば図6および図7を参照すると、座標(1)のコンテンツ描画領域173aには、レポート表題を出力することが設定されており、レポート表題として名称「在宅酸素状況レポート」が付与されている。よって、データ解析部133は、コンテンツ描画領域173aに「在宅酸素状況レポート」というテキストが所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。
座標(2)のコンテンツ描画領域173bには、ヘッダー情報を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、例えば患者情報などを利用して、例えば患者IDおよびレポート作成日などを含むテキストが所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。
座標(3)のコンテンツ描画領域173cには、マーク情報を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、患者情報、処方内容情報およびHOT管理情報などに所定の解析アルゴリズムを適用して患者の容態についての総合評価を行う。データ解析部133は、その結果がイラストとともに所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。なお、イラストの種類は、図4に示す印刷用のウィンドウ171においてユーザ指定可能である。
座標(4)のコンテンツ描画領域173dには、処方コメントを出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、上記の解析アルゴリズムの評価結果に応じて所定の文章がテキストとして所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。なお、解析アルゴリズムの評価結果に基づいて自動的に処方コメントを決定する代わりに、医師が入力装置160を操作して処方コメントを手入力してもよい。例えば、図4に示す印刷用のウィンドウ171において入力可能である。
座標(5)のコンテンツ描画領域173eには、患者情報を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、患者情報を利用して、患者の氏名などを含むテキストが所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。
座標(6)のコンテンツ描画領域173fには、処方流量を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、処方内容情報を利用して、処方流量の説明がテキストとして所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。
座標(7)のコンテンツ描画領域173gには、酸素吸入時間を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、HOT管理情報を利用して、酸素吸入時間の説明が図表として所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。
座標(8)のコンテンツ描画領域173hには、流量別平均を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、HOT管理情報を利用して、流量別平均の説明がグラフとして所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。
座標(9)のコンテンツ描画領域173iには、処方外流量を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、HOT管理情報を利用して、処方外流量の説明がテキストとして所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテントを生成する。
座標(10)のコンテンツ描画領域173jには、表示期間を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、表示期間の説明がテキストとして所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。表示期間情報は、医師が入力装置160を操作することにより入力可能である。
座標(11)のコンテンツ描画領域173kには、病院情報を出力することが設定されている。よって、データ解析部133は、病院情報を利用して、病院名などの説明がテキストとして所定の書式設定に従って出力されるように、出力コンテンツを生成する。病院情報は、例えば図4に示す印刷用のウィンドウ171において入力可能である。
〔ステップS500:出力コンテンツ配置処理〕
次いで、ステップS400において生成された各出力コンテンツが、ステップS200において決定された出力レイアウトに従って配置される(ステップS500)。例えば、「レポート表題」は、図7に示す書式情報管理テーブル174において座標(1)に関連付けられているため、図6に示すレポート描画領域173において上段中央に位置する座標(1)に配置される。
〔ステップS600:レポート印刷処理〕
最後に、レポートが、プリンタ装置150によって用紙に印刷される(ステップS600)。
以下、出力可能なレポートについて、幾つかの例を挙げて説明する。
図8は、レポートの第一の例を示す。このレポート181は、図3において名称「表紙1」を付与されているレポートの出力例である。
コンテンツ描画領域(以下、単に「描画領域」という)181aにはレポート表題が描画され、描画領域181bにはヘッダー情報として患者のIDおよびレポートの作成日が描画されている。描画領域181cには、容態の経過が良好であることを意味するマーク情報が描画されている。描画領域181dには、処方コメントを描画することができるが、この例ではブランクとなっている。描画領域181eには、患者の氏名などの患者情報が描画されている。
描画領域181fには、処方流量が描画されている。図8の例では、処方内容情報に基づいて、安静時の処方流量値が1.00L/minであり、労作時の処方流量値が2.00L/minであり、就寝時の処方流量値が0.50L/minであることが、描画されている。また、処方内容情報に基づいて、1.00L/minでの所要酸素吸入時間が8時間/日であること、2.00L/minでの所要酸素吸入時間が1時間/日であること、および0.50L/minでの所要酸素吸入時間が5時間/日であることが、描画されている。
描画領域181gには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な酸素吸入時間が示されている。ここでは、実際に酸素吸入を行った時間が示されるため、表示期間情報とHOT管理情報における動作情報とが参照される。図8の例では、安静時の処方流量値すなわち1.00L/minを設定流量値として酸素吸入を行った合計時間(363時間33分)などが算出され、図表化されて描画されている。
描画領域181hには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な流量別平均が描画されている。ここでは、流量別の酸素飽和度の平均値、最大値および最小値が描画されるため、表示期間情報ならびにHOT管理情報における動作情報および測定情報が参照される。図8の例では、安静時の処方流量値すなわち1.00L/minを設定流量値として酸素吸入を行ったときの酸素飽和度の平均値(92.2%)などが算出され、グラフ化されて描画されている。なお、描画領域181gに示される流量別平均の図表に対してハッチング(または色)の整合をとることにより、コンテンツ同士の対応関係を理解しやすくすることができる。
描画領域181iには処方外流量が描画され、描画領域181jには表示期間が描画され、描画領域181kには病院情報が描画されている。
図9は、レポートの第二の例を示す。このレポート182は、図3において名称「表紙2」を付与されているレポートの出力例である。
描画領域182aにはレポート表題が描画され、描画領域182bにはヘッダー情報が描画されている。描画領域182cには、容態の経過が良好であることを意味するマーク情報が描画されている。描画領域182dには、処方コメントを描画することができるが、この例ではブランクとなっている。描画領域182eには、患者の氏名などの患者情報が描画されている。描画領域182fには、図8の描画領域181fと同様に処方流量が描画されている。
描画領域182gには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な時間帯平均が描画されている。ここでは、時間帯別の酸素飽和度の平均値、最大値および最小値が描画されるため、表示期間情報およびHOT管理情報における測定情報が参照される。図9の例では、朝の時間帯における酸素飽和度の平均値(93.9%)などが算出され、図表化されて描画されている。
描画領域182hには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な曜日別平均が描画されている。ここでは、曜日別の酸素飽和度および脈拍数の各平均値が描画されるため、表示期間情報およびHOT管理情報における測定情報が参照される。図9の例では、曜日別且つ時間帯別の算出結果が算出され、図表化されて描画されている。
描画領域182iには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能なSpO2トレンドが描画されている。ここでは、HOT管理情報における測定情報が参照され、過去一年間の酸素飽和度の平均を月別且つ時間帯別に算出され、グラフ化されて描画されている。
描画領域182jには処方外流量が描画され、描画領域182kには表示期間が描画され、描画領域182lには病院情報が描画されている。
図10は、レポートの第三の例を示す。このレポート183は、図3において名称「表紙3」を付与されているレポートの出力例である。
描画領域183aにはレポート表題が描画され、描画領域183bにはヘッダー情報が描画され、描画領域183cには容態の経過が良好であることを意味するマーク情報が描画されている。描画領域183dには、処方コメントを描画することができるが、この例ではブランクとなっている。描画領域183eには患者の氏名などの患者情報が描画され、描画領域183fには表示期間が描画されている。
描画領域183gには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な酸素利用状況が描画されている。ここでは、処方流量値、ならびに処方流量値毎の使用時間、酸素飽和度平均値および脈拍数平均値が算出され、表として描画される。このため、表示期間情報、処方内容情報ならびにHOT管理情報における測定情報および動作情報が参照される。描画領域183hには処方外流量が描画される。
描画領域183iには、図9における描画領域182iと同様に、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能なSpO2トレンドが描画されている。描画領域183jには病院情報が描画されている。
図11は、レポートの第四の例を示す。このレポート184は、図3において名称「詳細1」を付与されているレポートの出力例である。
描画領域184aにはヘッダー情報が描画され、描画領域184bには患者情報が描画され、描画領域184cには処方流量が描画されている。
描画領域184dには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な脈拍数分布が描画されている。ここでは、横軸に脈拍数をとり縦軸に酸素飽和度をとり、表示期間における測定結果が図表化され描画されている。プロットされる点の形状を描画領域184cの処方流量に付記したマークと一致させることにより、各測定結果の測定日時における設定流量値を一目瞭然とすることができる。
描画領域184eには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な時間帯分布が描画されている。ここでは、横軸に時刻をとり縦軸に酸素飽和度をとり、表示期間における測定結果が図表化され描画されている。上記の脈拍数分布と同様に、プロットされる点の形状を処方流量に付記したマークと一致させている。
描画領域184fには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能なバイタルトレンドが描画されている。ここでは、体重、最高血圧および最低血圧の毎月の測定値が、図表化されて描画されている。
描画領域184gには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な酸素飽和度が描画されている。ここでは、設定流量値毎の測定回数および酸素飽和度平均などが算出され、図表化されて描画されている。
描画領域184hには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な安静時脈拍数が描画されている。ここでは、過去約120日間の安静時(つまり設定流量値1.00L/min)に測定された脈拍数の変動がグラフ化されて描画されている。
描画領域184iには処方外流量が描画され、描画領域184jには表示期間が描画されている。
図12は、レポートの第五の例を示す。このレポート185は、図3において名称「詳細2」を付与されているレポートの出力例である。
描画領域185aにはヘッダー情報が描画され、描画領域185bには患者情報が描画され、描画領域185cには処方流量が描画されている。
描画領域185d、185eにはそれぞれ、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な安静時および労作時の情報が、処方内容情報ならびにHOT管理情報における動作情報および測定情報に基づいて纏めて図表化されて描画されている。
描画領域185f、185g、185hにはそれぞれ、図11における描画領域184d、184e、184fと同様に、脈拍数分布、時間帯分布およびバイタルトレンドが描画されている。
描画領域185iには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能な酸素利用状況が描画されている。ここでは、同じく酸素利用状況が描画されている図10の描画領域183gとは異なり、前回受診日から今回受診日までの30日間の利用状況が、前々回受診日から前回受診日までの30日間の利用状況と比較可能な形式で図表化され、描画されている。このように、本実施の形態では、同じ名称のコンテンツであっても、必要に応じて異なる解析を行うことにより、異なる態様のコンテンツとして出力することができる。
描画領域185jには処方外流量が描画され、描画領域185kには表示期間が描画されている。
図13は、レポートの第六の例を示す。このレポート186は、図3において例示されていないレポート種別であるタイムチャートの出力例である。すなわち、このタイムチャートには、前述の出力コンテンツ選択処理によってユーザ指定可能なコンテンツが存在しない。
描画領域186aにはヘッダー情報が描画され、描画領域186bには患者情報が描画され、描画領域186cには処方流量が描画されている。
描画領域186dには、過去1ヶ月における酸素吸入の状況が、HOT管理情報における動作情報に基づくタイムチャートの形式で描画されている。
以上のように、本実施の形態によれば、出力レイアウトについての選択肢と出力コンテンツについての選択肢とがそれぞれユーザに与えられ、ユーザはそれらのうち所望のものを個別に選択するだけでレポートのフォーマットを決定することができる。このため、非常に多様なフォーマットのレポートを自由に且つ簡単に作成することができる。
経過観察のためのレポートにあっては、観察する内容が異なる場合はもちろんのこと、観察する内容が同じであっても観察する期間の長さが異なる場合も、ユーザが出力したいと考えるコンテンツが異なり、それに応じて望ましいレイアウトも異なる。さらに、経過観察の途中で処方の変更があれば、その変更前後での比較が可能なレイアウトおよびコンテンツが望ましい場合もある。さらに、長期間にわたって生体情報などのデータを収集すれば、様々な観点での統計的解析が可能となるため、ユーザが出力したいと考えるコンテンツのバリエーションが一段と増大する。したがって、本実施の形態において例示したように、本発明は、長期間にわたる経過観察のためのレポート作成の用途に、特に適している。
なお、本実施の形態では、酸素の処方の実施に伴う経過観察を対象としたが、薬の処方の実施に伴う経過観察を対象とすることもできる。また、言うまでもなく、測定対象の生体情報は、酸素飽和度および脈拍数に限定されない。
また、本実施の形態では、医師の処方の実施に伴う経過観察を対象としたが、フィットネスメニューあるいはトレーニングメニューのような運動メニューの実施に伴う経過観察を対象とすることもできる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されず、上記実施の形態は種々変更して実施することができる。