以下に図面を用いて本発明の医療情報管理システム(電子カルテシステム)の実施形態を説明する。なお、本実施形態では眼科分野における医療情報管理システムを例に挙げ、説明する。図1は医療情報管理システムの概要を示す図である。本発明の実施形態である医療情報管理システムは、医療情報を電子化しサーバで一括管理するものであり、病院内の複数のクライアントとLAN等の通信回線で接続されることにより構築される。
以下に、本システムの構成を説明する。管理サーバ10は、サーバ本体11を持つ。サーバ本体11は、本体に搭載され医療情報管理システムの主要な演算処理(判定、演算)を担うCPU12と、本体に搭載され医療情報管理システムの全データが蓄積される記憶部(記憶手段)であるハードディスク13とを備える。システム内のデータはすべて管理サーバ10で一元管理される。後述する管理サーバ10に接続される各クライアント20は、各種の検査データの表示、データの入出力、患者の手術の予約等を行う。なお、ハードディスク13には、医療情報管理システムのプログラム14が記憶されている。
クライアント(端末)20は、ハブ15を介して管理サーバ10と接続されている。クライアント20には以下のようなものがある。来院した患者の受付等の手続きを行う受付用クライアント、患者の検査データ等を管理する検査用クライアント、カルテの記載、管理、閲覧、患者の手術の予約等をする診察用クライアント、診察の済んだ患者の医療費を請求、精算、次回診察等の予約等をする会計用クライアント、である。実際上は、受付用のクライアントと会計用のクライアントは共用されてもよい。
それぞれのクライアント20は、各々が管理サーバ10と接続されるパーソナルコンピュータ(以下PCと略す)を本体に持つ。このような一般的に用いられるPCを、患者情報等を管理、閲覧をする医療情報処理装置として用いることができる。クライアント20となるPC21は、後述する各種の作業画面を表示するためのモニタ(出力手段)22と、入力手段(操作手段)であるキーボード23、マウス24とを備える。また、管理サーバ10と各クライアント20は、ハブ15を介しLANケーブル25によって接続される。このようにして、管理サーバ10と各クライアント20によりネットワーク(ここでは、LAN)が形成される。また、PC21は、本システムのクライアント用プログラムの実行及び各種の処理(判定、保存、呼出等)、表示等の制御を行う制御部21aと、本システムのクライアント用プログラム、データ等が記憶されるハードディスク21bを持つ。本システムのクライアント用プログラムは、前述のプログラム14をハードディスク21bに読み出されて制御部21aにより実行される。クライアント20と管理サーバ10と連携され、ハードディスク13に記憶されている医療情報をPC21上で仮想的に管理、閲覧、変更しているかのようなサーバ・クライアントシステムが構築される。従って、プログラム14は、実行手段であるCPU12及び制御部21aにより実行される。このプログラムの実行により、医療情報管理システムが統合、制御される。
なお、検査用クライアントにおいて、PC21は1乃至複数の各種検査機器30と接続されており、各種検査機器30で得られた患者の検査データは、ハードディスク21bに保存される。検査機器30としては、例えば、眼科分野で言えば被検者眼の眼底を撮影する眼圧計、屈折力測定装置、角膜形状測定装置、超音波診断装置(眼軸長測定装置)、細隙灯顕微鏡等が挙げられる。ハードディスク21bに記憶された検査データは、PC21の制御部21aにより、管理サーバ10のハードディスク13へと送られる。このとき、PC21では、各検査機器30からに送られてくる検査結果がポート別に判別される。そして、制御部21aは、検査結果に対して該当する検査項目を識別するための識別情報(オブジェクトID)、検査日情報や検査時刻、患者識別情報(患者ID)等、を付与した状態でサーバ10側に検査データ(検査項目、検査結果等を含む)を送る。なお、検査データが検査用クライアント20(PC21)に手動入力する場合には、入力者が画面上にて患者や検査項目等を指定することによって、制御部21aが検査結果に患者識別情報、検査日情報、オブジェクトID等を付与する。
また、診察用クライアントにおいて、PC21には、出力手段であるプリンタ35と、取込手段であるスキャナ36が接続されている。プリンタ35は、後述する手術に関連する文書データを紙に印刷(出力)するために用いられる。プリンタ35は、PC21の操作によりハードディスク13内の情報又はハードディスク21b内の情報を出力する。スキャナ36は、紙に印刷された文書を取込み、電子化するために用いられる。スキャナ36で、取り込まれた情報は一旦ハードディスク21bに記憶され、制御部21aによりハードディスク13へと送られる。
以上の説明では、サーバ10、クライアント20間をLANケーブル25により接続し、医療情報管理システムをLANで構築したが、これに限るものではなく、他の通信回線を利用することも可能である。例えば、インターネット回線により病院間を接続し、病院間の一元的医療情報管理、遠隔医療に用いてもよい。また、ネットワークの構築は、LANケーブル25の接続に限定しなくてもよい。医療機器に影響のない電波を用いた無線LAN、例えばPHS等を用いた無線LANのシステムを構築して用いてもよい。また、本実施形態では、サーバと複数のクライアントとを通信回線にて接続させネットワークを構成するものとしているが、これに限るものではなく、サーバ機能とクライアント機能が一体とされた単体のシステムにおいても適用することも可能である。
次に、前述した医療情報管理システムを用いた患者の診療の流れの概要を説明する。詳細な説明は略すが、ユーザである医師、看護師、医療事務担当者(医事)等は、予めハードディスク13に記憶しておいた認証情報を、各クライアント20のログイン画面からCPU12に通知することによって、システムにログインする。ロクインしたユーザは、クライアント20(サーバ10)を利用し、患者の受付、検査、診療、会計等の医療行為を行う。なお、認証情報には、ユーザがシステムで利用できる情報、権限等の内容が含まれる。例えば、ユーザが所属する部署が「受付」である場合、カルテの詳細な患者情報は閲覧できず、患者の氏名等の個人情報しか閲覧できない、等である。なお、ここで言う患者情報とは、患者の氏名、性別、住所、患者ID(患者識別情報)等の個人情報と、患者の病名、既往症、検査データ、カルテの記載、術眼情報等の診療情報と、を含む。
まず、部署が「受付」のユーザが受付用クライアント20で本システムにログインすると、図示なき受付ウインドウが起動される。受付ウインドウでは、受付処理の済んだ患者が順番に登録された患者リスト、患者の状態(検査、診察、処置等の診療の進行度合)を示す患者ステータス等が表示される。同様に、部署が「検査(眼科等)」、「診察(眼科等)」、「会計」のユーザであれば、それぞれのウインドウが起動される。
部署が医事(受付)のユーザがログインすると、図示なき受付ウインドウが起動される。受付では来院した患者を医療情報管理システムに登録し、検査や診察等の診療を受けるための手続きがとられる。患者は患者リストに追加登録され、患者の受ける診療行為が登録される。
次に、患者は検査へと進められる。本システムに部署が「検査」のユーザ(眼科に属する検査技師や看護師、医師)がログインすると、図示なき検査ウインドウが起動される。ユーザである検査者は検査ウインドウの患者リストから、検査する患者を選択することで患者の受ける検査項目を知る。
検査データの取り込みを精密眼圧測定を例に挙げて説明する。検査クライアント20で、前述のように眼圧計から検査データ(眼圧値)が検査ウインドウの操作により、検査クライアント20に取り込まれる。このとき、眼圧値等の検査データがハードディスク21bに記憶され、制御部21aにより、各検査データにオブジェクトIDが付与され、サーバ10のハードディスク13に保存される。さらに、検査データの保存動作をトリガとして、各検査データのカルテへの転記処理がなされ、検査データの転記されたカルテ情報はハードディスク13へと記憶される。同様に、屈折検査により取得された屈折値、角膜曲率半径計測により取得された角膜曲率、超音波診断装置により取得された眼軸長、細隙灯検査により取得された前眼部や後眼部のスリット像等が適宜医師の選択により、カルテに転記される。
次に、検査を終えた患者は診察室へと入る。診察の権限を持つユーザ(医師)が診察用クライアント20へとログインすると診察ウインドウが起動される。医師は診察する患者を図示なき患者リストから選択することでカルテが表示される。
医師がカルテを開き、カルテの記載、検査データ等に基づいて患者の病名の診断や処置等を行う。ここでは、検査データから、医師が患者の病名を「白内障」と診断し、次回来院時に「白内障手術」を実施するものとする(後述)。手術予約の構成、動作は、後述する。
以上のような手順で患者の診察を進め、最後にカルテを保存することにより、診察が終了される。診察の終了に伴い、制御部21aは、CPU12を介して請求処理とする各検査項目を会計用クライアント20に送り、さらに、患者に請求する医療費を計算する。
会計では部署が医事(会計)のユーザが会計用クライアント20にログインし、患者に請求される検査、診療行為等に基づいて計算された患者の医療費を見て、会計処理を行う。患者が医療費を支払うと、この患者の一連の診療が終了する。
次に、患者の手術に関連するシステム上の一連の流れについて説明する。ここでは、診察における手術の確定、手術の予約、手術実施前の準備、手術の実施、を順を追って説明する。本発明の医療情報管理システムでは、サーバ10が管理する患者情報に基づき、患者の手術状況(手術予約、術前検査、手術実施等)を管理する手術管理プログラムを有する。手術管理プログラムは、前述のプログラム14に含まれる。
以下では、医療情報管理システムの画面構成を順を追って説明する。以下に説明する医療情報管理システムの操作は、各作業画面上に表示されているカーソルをマウス24等のポインティングデバイスで移動させ、画面上のボタンやアイコン等を選択(クリック)して行う。また、同様にしてカーソルを移動させ入力欄を選択し、キーボード等の文字入力装置により文字やコードを入力して操作をする。なお、文字やコードの入力にリーダデバイスを用いてもよい。例えば、カード、ICチップ、バーコード等の取得装置(リーダ)や生体認証用のバイオメトリーデバイス等が挙げられる。
まず、カルテを作成すると共に患者の術式を確定する診察画面(電子カルテ画面)の構成を説明する。図2は、診察用クライアント20に医師がログインしたときに表示される診察ウインドウ600の画面構成を示す図である。診察ウインドウ600において、ナビゲータボタン601は、医療情報管理システム上で共通して表示され、受付、検査、診察、会計といったそれぞれの画面に対応して備わる機能の変化するランチャーである。また、診察ウインドウ600の上方に表示される患者情報表示部490は、図示を略す患者リストから選択された患者の情報が表示される欄である。患者情報表示部490には、選択された患者の個人情報の一部が表示される。また、診察ウインドウ600には、患者の診療情報、検査データ等を記載したカルテ640が表示される。
前述のように、この患者は「白内障」と診断され、医師によりカルテ640に患者の病名が「白内障」と記載される(図2参照)。病名の記載は、ナビゲータボタン601の「病名登録」の選択により起動される図示なき病名登録ウインドウで、病名を選択するか入力手段を用いた文字入力により行われる。病名が登録されると、制御部21aによりこの患者の患者IDに対して病名(ここでは、白内障)の病名コードが対応された診療情報がカルテ640上で作成され、ハードディスク13に記憶される。
患者の病名が決定された後、患者を治療するための手術又は術式が決定される。前述と同様にナビゲータボタン601の手術登録(図示を略す)により手術が「白内障手術」と決定され、手術内容(ここでは、手術名等の手術情報)がカルテ640上で作成されると共に手術内容がハードディスク13に記憶される。そして、手術の決定に伴い、図3に示す手術文書セット選択ウインドウ850が起動される。詳細は後述するが、手術文書セット選択ウインドウ850では、患者に施す所定の手術に対応して必要とされる文書データが組み合わされた手術文書セットが表示されている。ここでは、複数の手術文書セットが一覧で表示されている。なお、手術文書セットの並びは、ユーザ側で使用頻度の高い順となるように設定してもよい。本実施形態においては、文書セット名がウインドウ内に表示されるものとしているが、これに限るものではなく、手術、術式、病名等の手術文書セットを選択する上で一見して手術内容として判断可能な名称が表示されていればよい。また、手術内容は、データとしてハードディスク13に記憶されているものに限るものではない。医師等のユーザが判断した情報も手術内容に含まれる。本実施形態の手術文書選択ウインドウ850には、患者の手術に応じた手術文書セットが複数表示可能されており、患者の手術内容に対応された手術文書セットが、複数の手術文書セットから1つ選択される。手術文書セットが選択されることにより選択信号が生成され、制御部21aによりウインドウ上で選択された状態の患者の患者情報と手術内容に応じて手術文書セットが対応され、ハードディスク13に記憶される。
手術文書セットとは、所定の手術(手術内容)に対応して用意された文書集であり、手術を実施するために必要とされる少なくとも2種類の文書を持つ。1種類の文書毎に手術内容の異なるパターンが用意されており、これらの文書を手術内容に応じて組み合せることで、1つの手術文書セットを得る。従って、手術内容に応じて手術文書セットは複数用意されることとなる。なお、ここでいう文書とは、電子的に記憶、管理される文書データ(ファイル)を指すものとする。手術文書セットとしては、例えば、術前記録,手術記録,説明書及び同意書の雛形データ(テンプレート)が含まれる。術前記録は、手術前に患者の状態を確認するための情報を記載する文書であり、患者の個人情報、診療情報を含む。具体的には、検査データ、術眼情報、既往症、感染症の情報等が記載される(詳細は後述する)。例えば、白内障手術においては、術前記録には患者の感染症の有無、術眼(手術を実施する眼)、患者眼の乱視軸角度等が記載される。術中記録は、手術中の患者の情報、手術器具、手術装置の情報(設定情報、使用情報)を記載する文書である。例えば、白内障手術においては、術中記録には切開位置、白内障手術装置の設定、灌流液である生理食塩水の使用量等の情報が記載される。説明書は、患者へ手術の内容を説明するための文書である。説明書には、手術の内容について説明する図、文章がかかれている。同意書は、患者が手術の実施に同意したことを宣言するための文書である。同意書には、所定の手術の内容について同意するか否かを確認する文章と患者の署名欄とが設けられている。なお、患者の署名が記入されることで、説明書、同意書に対して内容を理解した(承認した)こととなる。
手術文書セットのうち少なくとも1つの文書は、画像、テキストデータを持つ検査データ、患者のカルテ情報等の診療情報と、患者の個人情報の少なくともどちらかを持ち、クライアント20のモニタ22上に出力(表示)された文書に対して情報(数値、文字等)をテキストデータにて入力可能な形式とされる。例えば、術前記録、術中記録等の情報を数値等のテキストデータで入力する文書は、上記の形式とされる。なお、本実施形態では、術前記録、術中記録には、カルテ情報のデータを電子的に書き込むことができる構成とされる。また、手術文書セットのうち少なくとも1つの文書は、モニタ22上に出力され、文書に対して情報の入力ができない(テキストデータの入力が不可能な)形式とされる。例えば、患者の手書きによる署名を必要とする同意書、その他の情報の入力が必要とされない説明書等の文書は、上記の形式とされる。具体的には、紙に印刷されたものに署名等の必要事項が記載される形式の文書であり、画像として保存されている文書である。
なお、これらの文書は、複数の文書が1つの手術文書セットと設定され、制御部21aによりハードディスク13に記憶される(後述)。また、手術文書セットは、カルテ情報と同様に、制御部21aにより患者ID(患者情報)と対応してハードディスク13に記憶される。このような文書は、保存によりカルテに添付されることとなる。また、印刷された文書は、スキャナ36により取り込まれる。具体的には、スキャナ36に取り込む文書をセットし、図示なき文書取り込みウインドウ等を操作することで、取り込んだ文書をモニタ22上に画像データとして出力させる。取り込まれた文書を保存する際に、患者と文書の種類(文書名等)を指定することで、制御部21aにより患者IDと取り込まれた文書とが対応されるとともに、文書の種類が指定され、ハードディスク21bに保存される。保存された文書は、制御部21aによりハードディスク13に保存される。この操作により、取り込まれた文書が患者のカルテに添付される。なお、印刷された文書の情報に基づき、スキャナにより取り込まれた画像データから、制御部21aが文書の種類を判定する構成としてもよい。例えば、文書にバーコード等の画像として識別できる識別情報を印刷し、制御部21aにこの識別情報を判定させる。
このような文書セットは、病院によって異なるものであり、各病院より各々の文書が個別に用意される。例えば、白内障手術の術前記録で必要とされる検査項目と、硝子体手術の術前記録で必要とされる検査項目とは大きく異なる。また、説明書では、手術が異なることで説明する内容が大きく異なる。さらに、病院毎で手術に用いる装置、器具が異なると、術中記録等で必要とされる情報の入力欄が異なる。このため、手術毎、病院毎に個別に文書が用意されることとなる。言い換えると、特定の文書は、手術毎に用意される必要があり、複数のパターンを持つこととなる。
手術文書セットの設定、つまり、所定の手術に応じて個別に用いられる文書の設定と共に各々の文書の組合せの設定は、診療ウインドウ600から設定画面(図示を略す)が起動される手術文書セット設定ウインドウ860にて行われる(図4参照)。手術文書セット設定ウインドウ860は、手術又は術式を選択する手術選択欄861と、選択された手術に対応する各文書を選択し、設定する文書設定欄862を有する。手術選択欄861は、プルダウンにて所定の手術を選択する。文書設定欄862には、各文書名の文書がサムネイルで表示される。文書設定欄862内で各文書が選択されることで図示なきテキストエディタが起動される。文書作成手段であるテキストエディタにより文章が作られ、文書上に入力する項目、例えば、患者の個人情報、診療情報をカルテから取り込むための欄が作成される(詳細は後述する)。また、文書に必要な図は、画像取込み、テキストエディタ上の作図ツールの利用によって作られる。このような文書を各手術毎に用意し、手術文書セット設定ウインドウ860のOKボタンを選択することで、各文書と手術文書セットの設定が、制御部21aにより確定され、その内容がハードディスク13に記憶される。また、関連する(手術名が同じ)文書を対応付けてハードディスク13に記憶することで、所定の手術文書セットが得られる。この操作を繰り返すことにより、手術内容に応じた手術文書セットがハードディスク13に記憶される。
なお、以上の説明では、手術内容を決定した後に、手術文書セットを選択する構成としたが、これに限るものではない。手術内容の決定に伴って、手術文書セットが患者情報と対応される構成であってもよい。例えば、カルテへの患者の手術名の設定を、患者に施す手術を認識させるための手術情報を選択した患者情報に設定する手術情報設定動作とする。そして、手術文書セットは手術情報と対応してハードディスク13に記憶させる。このときの設定のための信号を、前述の複数の手術文書セットから1つを選択する選択信号として用いればよい。具体的には、カルテに「白内障」、「白内障手術」等を入力し、設定した信号を用いる。この場合、手術文書セットを選択するウインドウを用いる構成に限らない。また、手術文書セットの選択により、患者の手術が確定される構成とされてもよい。
患者の手術又は術式が決定されると、手術の予約が行われる。ナビゲータボタン601の手術予約を選択すると、手術予約ウインドウ900が別ウインドウとして起動される。図5は、手術予約ウインドウ(予約画面)900の画面構成を示す図である。本実施形態では、手術予約ウインドウ900は、診察用クライアント20のモニタ22に表示されるものとし、患者の手術の予約は医師が行うものとする。なお、手術の予約は、会計用クライアント20にて、医療事務等が行ってもよい。
手術予約ウインドウ900は、手術の予約日を所定の期間で一覧表示表示するカレンダー910と、特定の手術日の仮予約状況を表示する仮予約リスト(未確定予約リスト)920、特定の手術日の本予約状況を表示する本予約リスト(確定予約リスト)930を含む。ここでは、予約リスト920、930には、同一手術日の患者の一覧がそれぞれ表示される。また、予約リスト920、930は、予約状況が分かり易くなるように手術予約ウインドウ900上に並べて表示される。カレンダー910の特定の手術日が選択されると、選択された手術日の状況が予約リスト920、930に表示される。予約リスト920、930には、患者ID,患者名、手術名、術眼等の患者情報が表示される。
カレンダー910では、予約状況を分かり易くするように各手術日における予約患者数の目安が色分けして表示される。例えば、患者の予約がない場合は白色、少数(2、3人)である場合は緑色、中程度の人数の場合は黄色、多数(手術許容数限界)の場合は赤色、として背景が色分けられる。このような表示は、制御部21aがハードディスク13内の予約情報を参照することにより行われる。なお、色分けの基準は、各病院によって異なるため図示なき設定ウインドウで人数、色等を設定する。また、予約患者数と特定の手術日の許容量との比によって、特定の手術日の予約状況をユーザに知らせる構成としてもよい。
仮予約リスト920への患者の追加(入力)は、前述の手術の決定により行われる。ここでは、手術日だけが決定された状態(未確定状態)である。本予約リスト930への追加(入力)は、仮予約ウインドウ920上で選択された患者(少なくとも1人の患者を指す)をドラッグして、本予約リスト930上にドロップすることにより行われる。この動作により、患者の手術日と共に手術時間が確定される。なお、本予約リスト930上の一覧表示において、患者は手術順(時系列順)に並べられている。また、本予約リスト930上に一覧表示されている患者は、所定の振分けルール(予約確定基準情報)に基づいて並べ替えられて表示される。なお、本実施形態では、本予約リスト930の患者を仮予約リスト920には、ドラッグアンドドロップできない構成とされる。本予約リスト930の患者を仮予約とする場合には、ウインドウ上の削除ボタンで患者を本予約リスト930から削除し、再度仮予約リスト920に追加する。このような手続きを経ることで、患者の予約で間違いが起こりにくくなる。なお、このような設定は図示なき設定ウインドウにより変更できる。
ここで、振分けルールについて説明する。振分けルールは、同一手術日における複数の患者の手術順序を確定するために用いられる情報であり、患者情報の要素を基準要素として持つ。患者情報の要素としては、例えば、手術(又は術式)、術眼情報(例えば、左右眼情報、術眼の乱視軸角度情報)、感染症の有無、手術時間(手術の困難さ)等である。振分けルール、これらの要素の少なくとも1つを持つと共に、各要素間の優先度を設定するための優先順位情報を持つ。これらの要素により患者を振分けることにより、以下のような利点がある。例えば、手術(術式)順とすることで、手術される患者が変わる毎に手術を確認する必要がなく作業効率を向上できる。また、術眼の場合も、患者毎に術者が移動する必要がなく作業効率を向上できる。また、患者の乱視軸角度の場合も、患者毎に切開する位置を変える必要がなく作業効率が向上する。角膜周辺を切開する場合、術後の乱視を惹起しないように乱視軸に応じて切開創が形成される。具体的には、乱視の曲率が高い箇所に手術ナイフ等で切開創を形成することを言い、乱視軸に対して直交する位置の角膜輪舞に切開創を形成する。このため、術眼の乱視軸角度が手術毎に異なると、切開位置を変える必要があり、術者が手術毎の移動する必要が生じる。これに対して、前述のように術眼の乱視軸角度に応じて手術順を並べ替えることで作業効率が向上する。また、感染症がある患者を同一手術日の最後にすることにより、他の患者への感染のリスクが低減できる。また、手術時間毎に並べ替えることにより、困難な手術を後にして、手術の流れをスムーズとし作業効率を向上できる。
図6は、振分けルール設定ウインドウ940を示す図である。振分けルール設定ウインドウ940は、要素リスト941と、基準リスト942と、編集ボタン943とを備える。ここで、要素とは、患者情報に対応する項目を指し、例えば、手術又は術式、術眼、乱視軸角度等を指す。要素リスト941は、患者情報の要素と対応した要素が用意されている。基準リスト942には、編集ボタン943又はドラッグアンドドロップにより追加された要素リスト941の要素が表示される。基準リスト942内に表示される要素は、上から順に優先順位が高いものとされる。基準リスト942に表示される要素は、編集ボタン943等で並べ替えられて、その優先順位が変えられる。また、編集ボタン943により要素が削除される。また、基準リスト942に表示される各項目毎の並べ替え順は、要素リスト942のプルダウンにより昇順、降順が設定される。なお、昇順、降順は数値等に限るものではない。例えば、術眼であれば、「右」、「左」という順番を昇順とし、感染症であれば、「なし」、「あり」を昇順とする。
振分けルール設定ウインドウ940のOKボタンが選択されることで、振分けルール情報が確定(更新)され、制御部21aによりハードディスク13に記憶される。このとき、基準リスト942内の要素が振分けルールに用いられる情報とされ、さらに、要素の並び順(昇順)により、各要素間の優先順位情報が確定される。
次に、振分けルール情報に基づく患者の振分けについて説明する。図5の仮予約リスト920で選択された少なくとも1人の患者が本予約リスト930に追加されると、本予約が確定される。なお、本予約は、手術時間の確定を指すものであり、別の患者が本予約に追加されると、先に確定していた患者の手術時間は変更される場合がある。クライアント20の制御部21aは、本予約の確定信号に基づきハードディスク13内の振分けルール情報を読み出すと共に、本予約リスト920内の患者の患者情報を読み出す。制御部21aは、振分けルール情報の各要素と各患者の患者情報とを比較し、各患者の手術順を並べ替える。また、振分けルール情報の項目の優先順位を比較し、優先順位の高い要素に応じて各患者の手術順を並べ替える。このようにして、制御部21aは各患者の手術順を並べ替えた結果を予約の確定情報として、ハードディスク13に保存する。また、患者の手術順を本予約リスト930に表示させる。このとき、制御部21aは、各患者の手術時間が重ならないように、各手術時間を確定させる。具体的には、制御部21aが、患者情報の手術又は術式の要素を呼び出すと共に、予め定められた目安の手術時間情報を呼び出し、これらに基づいて、患者の手術時間を確定させる。このようにして、同一手術内で各患者の手術順を振分けられると共に、手術予約ウインドウ900に表示される。
患者の手術日、手術時間が確定すると、術前記録の記入(術前検査)、患者への手術内容の説明、患者の手術同意の署名取得が行われる。ここでは、術前検査はなく、カルテ情報から術前記録を作成するものとする。
前述したように、手術内容の説明には、クライアント20のプリンタ35で印刷された説明書が用いられる。このとき、診察用クライアント20のナビゲータボタン601により選択されて起動された手術文書選択リスト950(後述)から選択されている患者情報に対応する説明書を選択する。クライアント20で説明書をプリンタ35から印刷すると、制御部21aが出力選択信号に基づき、ハードディスク13から患者の患者情報の手術名を呼び出し、この手術命に対応する手術文章セットから選択された手術文書(説明書)を呼び出す。呼び出された説明書に、患者情報の要素と対応する情報を出力する。ここでは、患者の個人情報である患者ID等が説明書に出力される。また、日付等の管理に必要な情報も出力される。そして、制御部21aは、患者の情報が出力された説明書をプリンタ35から印刷する。書名等の必要事項が記載された説明書は、前述のようにスキャナ36にて取り込まれ、患者情報(患者ID)と対応されてハードディスク13に保存される。なお、同意書も同様に処理される。
図7は、手術文書セットから所定の文書を呼び出すための手術文書選択リスト950の選択により表示された術前記録(手術準備・指示書)を示す図である。術船記録960は、手術の前に必要な検査の指示、手術時に必要となる器具の指定、注意事項等を記録する文書である。手術文書選択リスト950は、患者の患者情報に対応させた手術文書セットから所定の文書を呼び出すための信号を生成するためのウインドウである。手術文書選択リスト950上での文書選択信号に基づいて制御部21aが、現在選択されている患者情報に対応する文書(術前記録)をハードディスク13から呼び出しモニタ22に表示させる。
ここでは、白内障手術にに必要となる眼内レンズの指定について説明する。術前記録960は、患者名、術眼等の患者情報表示欄961、眼内レンズの度数等を決定するためのIOL処方欄962、手術に用いる器具、術前のチェック事項を表示するチェック欄963を含む。これらの欄は、前述のテキストエディタにより編集される。クライアント20の画面上には、術前記録960と患者のカルテ640が表示される。術前記録960が表示された状態で、カルテ640に表示された検査データ640a等を選択し、術前記録960にドラッグアンドドロップすると、選択された検査データが術前記録960に入力される。ここでは、カルテ640に記載された患者の眼軸長、ケラト値等のIOLの処方に必要な検査データが用いられる。手術管理プログラムには、IOL計算式が組み込まれており、検査データ640aの検査データが術前記録960に入力されると、制御部21aは、検査データから患者に適したIOLの度数を算出し、IOL処方欄962にその度数を表示する。このようにして、患者の手術に必要なIOLの処方が行われる。
なお、カルテ640に表示された記載は、編集、削除ができないように電子的に保護されている。従って、カルテ640の記載は閲覧(参照)するのみとされる。ここで、選択された検査データ640aは、術前記録960にドラッグアンドドロップされることで、テキストデータ化され、検査データの数値を編集することができる構成とされる。具体的には、ドラッグアンドドロップの操作により、制御部21aがハードディスク13内の患者のカルテ情報を術前記録960にコピーし、コピーした情報に関しては保護を解除する。また、制御部21aは術前記録960の情報を個別の患者情報としてハードディスク13に保存する。このような処理をすることにより、術前記録の入力の自由度を向上できる。例えば、術前に検査して得たデータのうち、好ましくないものがある場合、医師の判断により一部のデータを除外することができる。なお、以上の説明では、IOL処方をカルテ情報のドラッグアンドドロップをトリガとして算出する構成としたが、これに限るものではない。術前記録にカルテ情報をドラッグアンドドロップした後、IOL処方に必要な情報を編集してからIOL処方を決定する構成としてもよい。例えば、IOL処方の欄に、IOL算出ボタンを設け、算出ボタンの選択によりIOL処方が決められるようにする。
このようにして、術前記録が作成される。術前記録960がOKボタンで保存されることで、制御部21aは、術前記録960に表示された情報と患者情報とを対応させてハードディスク13に保存する。また、術中記録も同様に作成、保存される。なお、術中記録が保存されることにより、この患者の手術が実施されたとして、本予約リスト830に表示される患者の情報が実施済みとされる。
以上のようにして、一連の手術おける手術文書がセットとして管理できる。患者情報(カルテ情報)からのデータの入力ができる。これにより、手術毎に用意していた文書の管理が簡略化される。また、各文書への患者情報の入力(記入)の手間が軽減され、手術等の作業効率が向上する。同日に複数の手術を行う際の手術計画を効率よく立てることができる。
なお、患者の本予約において同一手術日における患者の手術の順が患者情報に基づき振分けられているため、手術の効率が向上できる。一例として、術眼を右眼の患者を先に手術した後、左眼の患者を手術する振分けにすると、同日の手術において、医師は患者に対する立ち位置を変更する必要が1度しかなく、立ち位置を変えることによる作業効率の低下が抑制できる。これは、乱視軸角度でも同様である。
ここで、振分けルールに基づく、患者の並べ替えについて例示する。図8は、患者の並び替えのフローチャートである。ここでは、振分けルールの要素を、手術、感染症の有無、術眼、の3つとし、各要素間の優先順位を、手術、感染症の有無、術眼とする。ここで、手術では、白内障手術の手術を優先し、感染症の有無では感染症なしを優先し、術眼では右眼を優先する。フローチャートにおいて、各要素の判定基準がY/Nで定められ、優先順位に対応して配置される。ここでは、手術の要素で判定された後、感染症の有無、術眼が判定され、各要素の判定がツリー(ここでは、二分木)状に接続されている。こららの3つの要素、予約リスト930の追加された患者の患者情報を順番に呼び出し、各患者の手術の順番を振分ける。
以下に、CPU12が患者の順番を振分けるためのステップを示す。スタートからステップ11(以下、ステップをSと略す)では、患者の手術が判定される。ここでは、患者の患者情報に基づいて手術が白内障手術か否かが判定される。S11で、白内障手術(Y)と判定されれば、感染症の有無を判定するS21へと振分けられる。白内障手術でない(N)と判定されれば、S21と異なる感染症の有無を判定するステップ(図示を略す)へと振分けられる。次に、S21では、患者の患者情報に基づいて感染症の有無が判定される。S21で、感染症なし(Y)と判定されば術眼を判定するS31へ、感染症あり(N)と判定されれば術眼を判定するS32(S31とは異なる)へと振分けられる。そして、S31、S32では、患者情報から患者の術眼が右眼であるか否か判定される。S31で術眼が右眼(Y)と判定されれば順番1、左眼(N)と判定されれば順番2とされ、S32で術眼が右眼(Y)と判定されば順番3、左眼(N)と判定されれば順番4とされる。S11で白内障手術でないと判定された患者の場合も、上記と同様に感染症の有無、術眼が判定され、順番5〜8が振分けられる。
以上のようなステップに基づいて、各患者の順番が振分けられる。なお、複数の患者が同じ順番に振分けられた場合は、患者に順番1A、1B、…、1Zと振分ける。制御部21aは患者に順番を振分けた後、患者に順番を対応つけてハードディスク13に記憶する。そして、制御部21aは振分けた順番に基づいて患者を並べ替え、本予約リスト930に並べて表示させる。このとき、前述のように各患者の手術時間が重ならないように手術時間を振分ける。また、制御部21aは、予約リスト930に表示させる情報をハードディスク13に記憶する。このようにして、制御部21a、ハードディスク13の振分けルールにより、予約時間が確定される。以上のようにして、予め定めた振分けルールに基づいて、患者の手術順が振分けられる。
なお、以上説明した本実施形態では、仮予約リストと本予約リストが並べて表示される構成としたが、これに限るものではない。仮予約リストと本予約リストとを切換え表示させる構成としてもよい。この場合の患者の入力は、仮予約リストに表示された患者を選択し、本予約ボタン等で本予約リストに送る構成とする。また、本実施形態では、仮予約リストで複数の患者を選択し、本予約リストに入力する構成としたが、これに限るものではなに。仮予約リストの患者を1人ずつ本予約リストに入力してもよい。この場合、本予約リストに患者が追加(入力)される毎に、手術順の振分けがされる。また、本予約への患者の追加は、ドラッグアンドドロップに限るものではなく、本予約ボタン等の選択により、仮予約リスト内で選択された患者又は仮予約リストのすべての患者を本予約リストに追加する構成でもよい。また、本予約に患者が追加される入力操作により、手術予約の振分けが行われる構成としたが、これに限るものではない。本予約リストに患者を追加した後に、振分けボタンを選択することにより、制御部が振分けを行う構成でもよい。この場合、振分けルールに依存せず、医師が患者の手術順を決めることもできる。
なお、以上説明した本実施形態では、所定の手術(手術内容)に対して、対応するそれぞれの文書を予め用意し、それぞれの文書をセットとする構成としたが、これに限るものではない。異なる手術内容に対して、文書の雛形を用意する、言い換えると、文書を共通化する構成としてもよい。例えば、手術が異なる文書であっても文書の内容が手術毎でそれほど変わらない同意書等は、文書に出力させる患者の手術名等だけ異なるように構成する。これにより、手術が異なる場合でも文書を共通化して利用でき、システムの記憶容量が抑えられる。
なお、以上説明した本実施形態では、手術文書セットの文書(データ)は、文書セットがサーバのハードディスクに記憶される際に、テキストデータ入力可能、入力不可能が確定される構成としたが、これに限るものではない。文書をモニタに呼び出す際に、クライアントの制御部により、文書にテキストデータを入力可能とするか不可能とするを選択する構成としてもよい。この場合、文書の形式情報をサーバのハードディスクに記憶させておき、文書をモニタに表示させる際に、クライアントの制御部が形式情報を参照することで、文書の形式を選択する構成とする。