JP2011176216A - 希土類磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気特性が十分に優れ且つ複雑な工程を経ることなく製造できる新しいタイプの希土類磁石を提供すること。
【解決手段】本発明に係る希土類磁石5は、第1の希土類元素を含む希土類化合物粒子1と、第1の希土類元素とは異なる第2の希土類元素を含み、隣接する希土類化合物粒子1の間に介在して希土類化合物粒子1同士を結着している結着材2とを含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は希土類磁石に関し、より詳しくは、希土類元素を含有する結着材によって希土類化合物粒子同士が結着してなる新しいタイプの希土類磁石に関する。
希土類元素を含有する希土類磁石の一形態として、希土類ボンド磁石が知られている。ボンド磁石は、通常、以下のようにして製造される。まず、異方性を有する磁性粉末、熱硬化性樹脂及び滑剤などを含有する混合物を調製する。この混合物を磁場中で成形した後、熱硬化性樹脂の硬化処理を行う工程を経てボンド磁石が得られる(下記特許文献1参照)。
特開2005−277336号公報
上述の通り、希土類ボンド磁石は、熱硬化性樹脂の硬化物によって磁石の形状が保たれている。希土類ボンド磁石は、複雑な形状にも比較的容易に対応でき、モータなどの各種機器に使用されている。しかし、最近、各種機器は小型化・高効率化が図られており、それに伴って、磁気特性がより一層優れる希土類磁石が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁気特性が十分に優れ且つ複雑な工程を経ることなく製造できる新しいタイプの希土類磁石を提供することを目的とする。
本発明に係る希土類磁石は、第1の希土類元素を含む希土類化合物粒子と、第1の希土類元素とは異なる第2の希土類元素を含み、隣接する希土類化合物粒子の間に介在して当該粒子同士を結着している結着材とを含有する。
本発明の希土類磁石は、結着材によって希土類化合物粒子同士が結着してその形状が保たれている。すなわち、本発明の希土類磁石は、磁気の発生に寄与しない熱硬化性樹脂を使用しなくても形状を保持できるため、従来の希土類ボンド磁石と比較して優れた磁気特性を達成できる。
本発明の希土類磁石は、以下の通り、成形体を加熱処理するという簡便な方法によって製造することができる。より具体的には、希土類化合物粒子と、加熱によって結着材となる希土類化合物とを含有する混合物を磁場中成形して成形体を得る。この成形体の熱処理を所定の条件(例えば、温度600〜950℃、保持時間20〜720分)で実施することで、本発明の希土類磁石を製造できる。
上記希土類化合物粒子は、より一層優れた磁気特性を達成する観点から、結晶粒径50〜1000nmの複数の結晶を含み、異方性を有するものであることが好ましい。
本発明に係る希土類磁石は、十分に高い機械的強度を保持しながらニアネットシェープの特徴を生かすため、空隙率が15〜30体積%であることが好ましい。なお、空隙率は、例えばCEインストルメント社製のポロシメータ(商品名:PASCAL440型)を用いて測定することができる。
本発明によれば、磁気特性が十分に優れ且つ複雑な工程を経ることなく製造できる新しいタイプの希土類磁石を提供できる。
本発明に係る希土類磁石の切断面を示す模式断面図である。 表面に被覆層を備える希土類磁石を示す模式断面図である。 実施例及び比較例で作製した成形体及び希土類磁石の形状を示す斜視図である。 実施例1及び参考例1で作製した希土類磁石の磁気ヒステリシスループを示すグラフである。 (a)は実施例1で作製した希土類磁石の切断面を拡大して示すSEM画像であり、(b)は当該切断面におけるDyの分布を示すEDS画像である。
本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<希土類磁石>
図1に示す希土類磁石5は、第1の希土類元素を含む希土類化合物粒子1と、第1の希土類元素とは異なる第2の希土類元素を含み、隣接する希土類化合物粒子1の間に介在し、希土類化合物粒子1同士を部分的に結着している結着材2とを含有する。
希土類化合物粒子1は、多数の結晶(図示せず)からなり、異方性を有するものが好ましい。高い異方性を有する希土類化合物粒子1を使用することで、希土類磁石5の磁気特性が優れたものとなる。希土類化合物粒子1の平均粒径は、好ましくは1〜350μmであり、より好ましくは30〜200μmである。平均粒径1μm未満の希土類化合物粒子1は、実用上製造しにくい。また希土類化合物粒子の粒径が小さい場合、酸化されやすく磁気特性の低下の原因となる。他方、平均粒径が350μmを超えると、拡散材が十分均一に分散しにくく、磁気特性が不十分となりやすい。また粒径が大きい場合、金型に希土類化合物粒子が入りづらくなり成形が難しくなる。なお、拡散材の詳細については後述する。
希土類化合物粒子1を構成する複数の結晶は、当該粒子に含まれる元素の種類にもよるが、結晶粒径(平均値)が好ましくは50〜1000nmであり、より好ましくは100〜300nmである。結晶粒径が50nm未満であると、希土類化合物粒子1の着磁性が悪くなり、一方向に配向させるために強力な磁場が必要となる。他方、1000nmを超える結晶粒径は保磁力の低下の原因となりやすい。
結着材2は、第2の希土類元素を含む組成物からなり、磁場中成形して得た成形体に対する熱処理によって生じるものである。すなわち、成形体を構成する希土類化合物粒子1及び拡散材にそれぞれ含まれる金属元素がこれらの共晶点よりも高い温度に加熱されることで、希土類化合物粒子1の表面が部分的に融解し、その後の降温で隣接する希土類化合物粒子1同士が部分的に結着する。
希土類磁石5の空隙率は、好ましくは15〜30体積%であり、より好ましくは17〜27体積%である。希土類化合物粒子1の充填率を高めることによって磁気特性向上を狙うことが考えられるが、これには極めて高い成形圧力を得るために強度の高い金型及び高出力の成形機が必要となりコストアップとなる。金型寿命を考慮した圧力で成形した成形体は空隙率が少なくとも15体積%であり、空隙率を15体積%未満にするには希土類化合物粒子1の焼結及び収縮を必要とする。この場合、後述のニアネットシェープの特徴が十分に生かされない。他方、空隙率が30体積%を超えると希土類磁石5の機械的強度が不十分となりやすい。
図1に示す通り、希土類磁石5は、結着材2が希土類化合物粒子1同士を結着してその形状が保たれている。すなわち、希土類磁石5は、磁気の発生に寄与しない熱硬化性樹脂を使用しなくても形状を保持できるため、従来の希土類ボンド磁石と比較して優れた磁気特性を達成できる。
なお、希土類磁石5は、熱硬化性樹脂を必ずしも使用しなくてもよいが、希土類磁石5の酸化による劣化(錆の発生)及び表面の希土類化合物粒子1の剥離(粉落ち)を抑制するため、希土類磁石5はその表面5aの全体に被覆層3を備えたものであってもよい(図2参照)。被覆層3の形成に使用する樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などが挙げられる。
被覆層3の厚さ(表面5aから被覆層3の外面までの距離)は、好ましくは2〜100μmであり、より好ましくは5〜50μmであり、更に好ましくは10〜30μmである。被覆層3の厚さが2μm未満であると、被覆層3のわずかな欠陥で表面5aが露出しやすく、粉落ちが生じやすくなり、他方、100μmを超えると、非磁性層(被覆層3)が占める割合が増えてフラックスが不十分となりやすい。
<希土類磁石の製造方法>
希土類磁石5の製造方法について、希土類化合物粒子1の原料として水素化分解・脱水素再結合法(HDDR法)によって得た磁性粒子(以下、「HDDR磁性粒子」と言う。)を使用する場合を例に説明する。
希土類磁石5は、以下の工程を経て製造される。すなわち、希土類磁石5の製造方法は、HDDR磁性粒子の製造工程、拡散材の製造工程、HDDR磁性粒子と拡散材を混合する混合工程、磁場中成形工程及び熱処理工程を備える。以下、各工程の詳細について説明する。
(HDDR磁性粒子の製造工程)
この工程は、原料化合物をHDDR法による処理をして第1の希土類元素を含むHDDR磁性粒子を製造する工程である。原料化合物は、通常の鋳造方法、例えばストリップキャスト法、ブックモールド法、又は遠心鋳造法によって得た化合物や合金を使用できる。また、さらに均質化熱処理を施してもよい。原料化合物は、原料金属又は原料化合物や製造工程に由来する不可避な不純物を含んでいてもよい。
第1の希土類元素としては、いずれの希土類元素を用いてもよく、好ましくは軽希土類元素を、より好ましくはNd及び/又はPrを用いる。
なお、本明細書において、希土類元素は、長周期型周期表の第3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイド元素のことをいう。ランタノイド元素には、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が含まれる。また、希土類元素は、軽希土類元素及び重希土類元素に分類することができる。本明細書における「重希土類元素」とはGd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luをいい、「軽希土類元素」とはSc,Y,La,Ce,Pr,Nd、Sm,Euをいう。
原料化合物の好適な組成としては、希土類元素としてNd及びPrの少なくとも一方を含み、Bを0.5〜4.5質量%含み、残部がFe及び不可避的不純物であるR−Fe−B系の組成を有するものが挙げられる。また、原料化合物は、必要に応じて、Co、Ni、Mn、Al、Cu、Nb、Zr、Ti、W、Mo、V、Ga、Zn、Si等の他の元素を更に含んでもよい。
上述の組成を有する原料化合物を調製した後、HDDR法による処理を行う。HDDR法とは、水素化(Hydrogenation)、不均化(Disproportionation)、脱水素化(Desorption)、及び再結合(Recombination)を順次実行するプロセスである。HDDR処理の詳細について、以下に説明する。
まず、原料化合物を、減圧雰囲気(1kPa以下)又はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気中、温度1000〜1200℃で5〜48時間保持する均質化熱処理を行う。
均質化させた原料化合物は、スタンプミル又はジョークラッシャーなどの粉砕手段を用いて粉砕した後、篩分けすることが好ましい。これによって、粒径が10mm以下の粒子状の原料化合物を調製することができる。
水素吸蔵工程では、上述の粉末状の原料化合物を、水素分圧が100〜300kPaである水素雰囲気中、100〜200℃の温度中、0.5〜2時間保持する。これによって、原料化合物の結晶格子中に水素が吸蔵される。
次に、水素を吸蔵させた原料化合物を、水素雰囲気中、所定の温度で保持することによって、水素化分解させて分解生成物を得る。水素化分解時の水素分圧は10〜100kPa、温度は700〜850℃とすることが好ましい。このような条件で水素化分解を行うことによって、磁気的な異方性を有する粒子からなる希土類化合物粒子を得ることができる。
水素化分解によって得られる分解生成物は、RHなどの水素化物、α−Fe及びFeBなどの鉄化合物を含んでいる。この段階における分解生成物は、100nmオーダーの微細なマトリックスを形成している。
続いて、水素分圧を低減させることによって、分解生成物から水素を放出させて、第1の希土類元素を含有する異方性のHDDR磁性粒子を得る。このHDDR磁性粒子は、上述の原料化合物と同等の組成を有する。HDDR磁性粒子の粒径は、好ましくは350μm以下であり、より好ましくは250μm以下であり、さらに好ましくは212μm以下である。HDDR磁性粒子の粒径の下限に特に制限はないが、実用上、例えば1μm以上とすることが好ましい。
上記のようにして得られたHDDR磁性粒子は、結晶粒の粒子径が小さく且つ異方性であるため、密度が十分に高く且つ優れた磁気特性を有する希土類磁石5を得るのに好適である。なお、HDDR磁性粒子は、後述の拡散材との混合に先立ち、例えばジェットミル、ボールミル、振動ミル、湿式アトライター等の微粉砕機を用いてさらに粉砕してもよい。
(拡散材の製造工程)
この工程は、第2の希土類元素を含む粉末状の拡散材を製造する工程である。拡散材に含まれる第2の希土類元素は、上記HDDR磁性粒子に含まれる金属元素とともに融解して合金化し、図1に示す結着材2となる。
第2の希土類元素は上述の第1の希土類元素と異なる元素であれば特に制限されない。ただし、一層高い保磁力を有する希土類磁石を得る観点から、第2の希土類元素は、好ましくは重希土類元素であり、より好ましくはDy又はTbである。拡散材としては、希土類元素の水素化物、酸化物、ハロゲン化物及び水酸化物等の一般的な希土類化合物や、希土類金属が挙げられる。これらのうち、希土類磁石の磁気特性を一層向上させる観点から、構成元素として重希土類元素を有する重希土類化合物を用いることが好ましい。
重希土類化合物は、重希土類金属元素以外の元素を含んでいてもよく、重希土類金属と希土類金属以外の金属との合金であってもよい。一層優れた磁気特性を有する希土類磁石を得る観点から、重希土類化合物は、好ましくは水素化物及びフッ化物であり、より好ましくは水素化物である。このような重希土類化合物を用いると、希土類磁石中に残存する不純物の量を十分に低くすることができる。また、水素化物及びフッ化物は容易に分解することから、組織が微細であるHDDR処理によって得られた希土類化合物粒子に対しても、十分に均一に第2の希土類元素を拡散させることができる。これらの要因によって、一層優れた磁気特性を有する希土類磁石を得ることができる。好ましい重希土類化合物としては、DyH、DyF及びTbHを挙げることができる。
希土類化合物や希土類金属は、通常の方法によって製造することができる。通常の方法によって製造した希土類化合物又は希土類金属を、ジェットミルを用いて乾式粉砕する方法、又は有機溶媒と混合し、ボールミル等を用いて湿式粉砕する方法によって希土類化合物粒子又は希土類金属粒子を調製することができる。
拡散材の平均粒径は、好ましくは100nm〜30μmであり、より好ましくは0.3〜10μmであり、さらに好ましくは0.5〜5μmである。拡散材の平均粒径が30μmを超えると、希土類化合物粒子中への第2の希土類元素の拡散が生じ難くなって、保磁力及び角型比の向上効果が不十分となりやすい。一方、拡散材の平均粒径が100nm未満であると、希土類元素が酸化しやすくなる傾向がある。このように、希土類酸化物が生成すると、第1の希土類元素を含む希土類化合物への第2の希土類元素の拡散量が少なくなり、拡散による保磁力の向上が小さくなる傾向にある。なお、本明細書における拡散材の平均粒径は、市販の粒度分布計を用いて測定される体積平均粒子径(d(50))である。
(混合工程)
この工程は、HDDR磁性粒子と拡散材を混合して混合粉末を調製する工程である。混合粉体は、例えば、所定の配合比で希土類化合物粒子と拡散材とを容器に投入後、スペックスミキサーを用いて、1〜30分間混合することによって得ることができる。混合は、拡散材や希土類化合物粒子の酸化を抑制する観点から、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。なお、混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、Vミキサー、ボールミル、又はライカイ機などを用いた方法であってもよい。なお、混合の際に成形助剤となるステアリン酸亜鉛などの潤滑材を添加してもよい。この場合、添加量は0.01〜0.5質量%程度でよい。
希土類化合物粒子と拡散材との配合比は、混合粉体における拡散材の含有量が、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%、さらに好ましくは1.5〜3.5質量%となるような比率とする。当該含有量が0.5質量%未満であると、第2の希土類元素の拡散量が少なくなって、十分に大きな保磁力及び角型比の向上効果が得られ難くなる傾向がある。一方、当該含有量が5質量%を超えると、第2の希土類元素が希土類化合物粒子の内部にまで拡散してしまい残留磁束密度が小さくなる傾向があると共に材料コストが上昇する傾向にある。
(磁場中成形工程)
この工程は、上述の混合粉末を磁場中成形して所望の形状を有する成形体を作製する工程である。磁場中成形は、磁場を印加しながら行い、これにより異方性を有するHDDR磁性粒子を所定方向に配向させた状態で固定する。成形は、例えば、機械プレスや油圧プレス等の圧縮成形機を用いた圧縮成形により行うことができる。具体的には、混合粉末を金型キャビティ内に充填した後、上パンチと下パンチとの間で混合粉末を挟むようにして加圧することによって、所定形状の成形体を得ることができる。
成形によって得られる成形体の形状は特に制限されず、柱状、平板状、リング状等、所望とする希土類磁石の形状に応じて決定する。磁場中成形時の加圧は、580〜1400MPaとすることが好ましい。また、配向磁界は、800〜2000kA/mとすることが好ましい。なお、成形方法としては、上述のように混合粉末をそのまま成形する乾式成形のほか、混合粉末を油等の溶媒に分散させたスラリーを成形する湿式成形を適用することもできる。
本実施形態では、HDDR処理を施した希土類化合物粒子を用いるとともに、拡散のための加熱処理の前に、樹脂と混合することなく、混合粉末の磁場中成形を行っている。このため、磁気的な異方性を有する希土類化合物粒子の配向を十分に揃えることが可能となる。したがって、特に残留磁束密度に優れる希土類磁石を得ることができる。すなわち、HDDR処理によって得られる異方性の高い希土類化合物粒子の磁気的な特性を十分に発揮させることが可能となる。
(熱処理工程)
この工程は、上記のようにして得られた成形体を加熱し、拡散材に含まれる第2の希土類元素をHDDR磁性粒子1の外周部に拡散させるとともに当該外周部に結着材2を生じさせてHDDR磁性粒子1同士を結着させる工程である。具体的には、成形体を減圧下又はアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下、好ましくは600〜950℃、より好ましくは700〜900℃、更に好ましくは750〜850℃で20〜720分間保持する。
上記条件で熱処理を実施することにより、熱硬化性樹脂などを使用しなくても十分な機械的強度を有する希土類磁石が得られる。また、熱処理工程の実施により、第2の希土類元素がHDDR磁性粒子の外周部に拡散し、第1の希土類元素がリッチな内層と該内層を被覆する第2の希土類元素がリッチな外層とを有する粒子が形成される。これによって、十分に高い保磁力を有する希土類磁石が得られる。なお、HDDR磁性粒子には微細なクラックが存在するが、このクラックに拡散材が侵入してクラックを埋めることができる。このため、最終的に得られる希土類磁石の耐酸化性及び強度を向上させることができる。
熱処理工程において、成形体の加熱温度を高くし過ぎたり加熱時間を長くし過ぎたりすると、第2の希土類化合物が溶融しHDDR磁性粒子の焼結が生じ、磁気特性が低下する。またHDDR磁性粒子内の結晶の粒成長が進行し、HDDR磁性粒子の相分解が生じ、高い磁気特性が損なわれる可能性がある。一方、成形体の加熱温度を低くし過ぎたり加熱時間を短くし過ぎたりすると、第2の希土類元素の拡散が十分に進行しない傾向がある。したがって、第1及び第2の希土類元素の種類や、HDDR磁性粒子の粒径に応じて、加熱温度及び加熱時間を設定することが好ましい。
この熱処理工程は、HDDR磁性粒子1を焼結するためのものではないため、結晶粒径の変化に伴うHDDR磁性粒子1のサイズ変化が小さい。従って、成形体とほぼ同じサイズの希土類磁石5を得ることができ、焼結磁石と比較して高度なニアネットシェープ化が可能である。
(表面処理工程)
この工程は、上記のようにして得た希土類磁石に対し、必要に応じて表面処理を施す工程である。具体例として、希土類磁石の表面に熱硬化性樹脂の膜を形成し、これを硬化させる処理が挙げられる。熱硬化性樹脂の成膜はスプレーやディップによって行うことができる。この工程を実施することで、希土類磁石の酸化による劣化を防止できるとともに、HDDR磁性粒子の表面からの剥離を防止できる。
上述の通り、複雑な工程を経ることなく、図1又は図2に示す希土類磁石5を製造することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態は、HDDR磁性粒子及び拡散材をそれぞれ製造する工程を備えたものであるが、予め調製した材料又は購入した材料を使用することもできる。
本発明の内容を実施例及び比較例を用いて以下に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[希土類磁石の作製]
ストリップキャスト法によって、主成分としてNdFe14Bを含有する、下記組成を有する原料化合物を調製した。
Nd:28.0質量%
B : 1.1質量%
Ga: 0.35質量%
Nb: 0.30質量%
Cu: 0.03質量%
Co: 3.8質量%
Fe及び不可避不純物:残部
この原料化合物は、微量の不可避不純物(原料化合物全体で0.5質量%以下)を含んでいた。この原料化合物を、減圧雰囲気中(1kPa以下)、1000〜1200℃の温度範囲で24時間保持した(均質化熱処理工程)。均質化熱処理で得られた生成物(NdFe14B)を、スタンプミルを用いて粉砕し、篩分けを行って、原料粉末(粒径1〜2mm)を得た。
この原料粉末を、モリブテン製の容器に充填し、赤外線加熱方式を有する管状熱処理炉に装填し、以下の条件で水素化分解・脱水素再結合法による処理(HDDR処理)を施した。
まず、水素ガス雰囲気下、水素分圧100〜300kPa、温度100℃で原料粉末を2時間保持する水素吸蔵工程を行った。続いて、炉内の水素分圧を下げるとともに炉内温度を昇温し、水素ガスを吸蔵した原料粉末を、水素分圧40kPa、温度850℃の条件で1.5時間保持する水素化分解工程を行った。
その後、炉内850℃に維持しながら水素圧力を低減して脱水素再結合工程を行った。これによって、HDDR処理された異方性の磁性粉末を得た。得られた磁性粉末を、窒素ガス雰囲気中でスタンプミルを用いて粉砕し、篩い分けを行って、粒径が300μm以下であるNdFe14B粉末を得た。NdFe14B粉末をSEMで観察し、粒子を構成する結晶の粒径を測定したところ、50個の結晶の平均粒径は320nmであった。
次に、上記NdFe14B粉末とは別に、以下の通りにして拡散材を調製した。まず、Dy粉末を水素雰囲気下350℃で1時間吸蔵させ、これに続いてAr雰囲気下にて600℃で1時間処理することによりDy水素化物を得た。得られたDy水素化物は、X線回折測定により、DyHであることを確認した。得られたDyH粉体をエタノール溶液に入れてボールミル粉砕を行い、平均粒径[d(50)]が3μmのDyH微粉末とした。
上述の方法によって得られたNdFe14B粉末と拡散材であるDyH微粉末とを、Vミキサーを用いて混合し、混合粉末を調製した。NdFe14B粉末と拡散材との混合比率は、得られる混合粉末全体を基準として、拡散材が3質量%となるような比率とした。また、混合粉末全量に対し、ステアリン酸亜鉛を0.1質量%添加混合した。成形圧力980MPa、配向磁界1.2Tの条件で、この混合粉末の磁場中成形を行って、図3に示すような直方体形状の成形体10を得た。なお、磁場印加方向は図3のa方向とした。この成形体10の寸法及び密度は表1に示す通りであった。
この成形体を、アルゴンガス雰囲気下、900℃で30分間加熱する熱処理によって、拡散材に含まれるDyをNdFe14B粉末の外周部に拡散させるとともに、NdFe14B粉末同士を結着させた。熱処理後の成形体の空隙率は22.0%であった。
[希土類磁石の特性評価]
上述の通り製造した希土類磁石の磁気特性を、BHトレーサーにより測定した。得られた結果から、残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)、最大エネルギー積((BH)max)及び角型比(Hk/iHc)を求めた。また、磁気ヒステリシスループからHk,bHcを求め、HcJとHkとを用いて、下記式(1)によって角型比を求めた。
角型比(%)=Hk/HcJ×100 (1)
なお、角型比は磁石性能の指標となるものであり、BHトレーサーを用いて測定した磁気ヒステリシスル−プの第2象限における角張の度合いを表す。式(1)におけるHkは、磁気ヒステリシスル−プの第2象限において、残留磁束密度に対する磁化の割合が90%になるときの外部磁界強度である。
希土類磁石の抗折強度は、以下の手順で測定した。まず、希土類磁石からおよそ長さ10mm×幅10mm×高さ1.0mmの大きさの試料を作製した。この試料に対して支点間距離15mm、クロスヘッド速度0.5mm/分の条件で荷重を加え、破壊が生じた時点での荷重と試料の寸法から抗折強度を算出した。表2に評価結果を示す。
(参考例1)
実施例1で得た希土類磁石の空隙に熱硬化性樹脂を含浸させた後、希土類磁石を加熱して熱硬化性樹脂の硬化処理を行った。具体的には、実施例1で得た希土類磁石をトルエンの入った容器と共に真空ベルジャー内に入れ、希土類磁石をトルエンに浸漬して容器内の圧力を10kPa以下の状態で30分間保持する脱泡処理を行った後、常圧に戻した。
上記容器内のトルエンとは別のトルエンにエポキシ樹脂を溶解させてエポキシ樹脂溶液(エポキシ樹脂含有量:50質量%)を調製した。真空ベルジャーに、上述のエポキシ樹脂溶液と、拡散処理を施し脱泡処理した成形体とを順次投入した。真空ベルジャー内を10kPa以下に減圧して60分間保持し、希土類磁石内にエポキシ樹脂溶液を浸透させた。
エポキシ樹脂溶液から希土類磁石を取り出し、遠心分離機によって希土類磁石表面に付着したエポキシ樹脂溶液を除去した。その後、エポキシ樹脂溶液を含浸させた希土類磁石を、温度150℃の恒温槽中(雰囲気:窒素ガス)に5時間保持し、希土類磁石中のエポキシ樹脂を硬化させ、希土類磁石を得た。実施例1と同様にして希土類磁石の評価を行った。表2に評価結果を示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして、NdFe14B粉末と拡散材(DyH微粉末)との混合粉末を得た。この混合粉末を、アルゴンガス雰囲気下、900℃で30分間加熱する熱処理によって、拡散材に含まれるDyをNdFe14B粉末中に拡散させる拡散処理を行った。
拡散処理を施した混合粉末と、参考例1と同様にして調製したエポキシ樹脂溶液とを混合した後、トルエンを蒸発させ磁性粉末と樹脂からなるボンド磁石用コンパウンドを調製した。このコンパウンドを成形圧力980MPa、配向磁界1.2Tの条件で磁場中成形を行って成形体を得た。エポキシ樹脂の含有量は、成形体の全質量を基準でおよそ3質量%であった。
この成形体を温度150℃の恒温槽中に5時間保持し、成形体中のエポキシ樹脂を硬化させ、希土類ボンド磁石を得た。そして、実施例1と同様にして希土類ボンド磁石の評価を行った。表2に評価結果を示す。
図4は、実施例1及び参考例1に係る磁石のBHトレーサーを用いて測定した磁気ヒステリシスル−プである。実施例1の希土類磁石の方が、参考例1のものよりも角型性に優れていることが確認された。図5(a)は実施例1で作製した希土類磁石の切断面を拡大して示すSEM画像であり、図5(b)は当該切断面における元素Dyの分布を示すEDS画像である。図5(a)の破線で囲った領域に結着材が形成されており、結着材は希土類元素がリッチな組成物からなるものであった。
(実施例2)
拡散材の添加量を3質量%とする代わりに、1質量%としたことの他は、実施例1と同様にして希土類磁石を製造し、その磁気特性の評価を行った。表3に結果を示す。
(実施例3)
拡散材の添加量を3質量%とする代わりに、5質量%としたことの他は、実施例1と同様にして希土類磁石を製造し、その磁気特性の評価を行った。表3に結果を示す。
(実施例4)
拡散材として、DyH微粉末(平均粒径:3μm)を使用する代わりに、TbH微粉末(平均粒径:3μm)を使用したことの他は、実施例1と同様にして希土類磁石を製造し、その磁気特性の評価を行った。表3に結果を示す。
(実施例5)
拡散材として、以下の組成の合金の微粉末(平均粒径:3μm)を準備した。
合金の組成
Dy:80質量%
Co:10質量%
Cu:10質量%
上記合金の微粉末は、次のようにして製造した。まず、所望組成に各原料を秤量後、アーク溶解法にて溶解し合金インゴットを作製した。スタンプミルを使用し、この合金インゴットをAr雰囲気中で500μm以下まで粉砕した。更にボールミルを使用し、粒径が3μmとなるまで粉砕した(溶媒:エタノール、メディア:直径3mmのSUSボール、回転数:120rpm、粉砕時間:96時間)。
DyH微粉末を使用する代わりに上記合金の微粉末を使用するとともに、熱処理の条件を900℃で30分とする代わりに850℃で6時間としたことの他は、実施例1と同様にして希土類磁石を製造し、その磁気特性の評価を行った。表3に評価結果を示す。
(参考例2〜9)
成形体に対する熱処理の条件が希土類磁石の磁気特性に与える影響を確認するため、実施例1と同様にして複数の成形体を作製し、それぞれの成形体に対して異なる条件で熱処理を行った。表4に実施例1及び参考例2〜9に係る磁石の磁気特性を示す。
1…HDDR磁性粒子(希土類化合物粒子)、2…結着材、3…被覆層、5…希土類磁石、5a…希土類磁石の表面。

Claims (3)

  1. 第1の希土類元素を含む希土類化合物粒子と、
    前記第1の希土類元素とは異なる第2の希土類元素を含み、隣接する前記希土類化合物粒子の間に介在して当該粉末同士を結着している結着材と、
    を含有する希土類磁石。
  2. 前記希土類化合物粒子は、結晶粒径50〜1000nmの複数の結晶を含み、異方性を有するものである、請求項1に記載の希土類磁石。
  3. 空隙率が15〜30体積%である、請求項1又は2に記載の希土類磁石。
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