JP2011176152A - 薄膜回路構造及びその製造方法並びに有機el装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路構造のスペースを小さくして画素の微細化を達成できる、薄膜回路構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材1上の面内方向Xに、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bを有する薄膜回路装置12であって、前記2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bは、共通するゲート絶縁膜3を有するとともに、ゲート絶縁膜3の下に第1の酸化物半導体膜4Aが設けられた第1の薄膜トランジスタ10Aと、ゲート絶縁膜3の上に第2の酸化物半導体膜Aが設けられた第2の薄膜トランジスタ10Bとを有するようにして、上記課題を解決した。
【選択図】図1
【解決手段】基材1上の面内方向Xに、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bを有する薄膜回路装置12であって、前記2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bは、共通するゲート絶縁膜3を有するとともに、ゲート絶縁膜3の下に第1の酸化物半導体膜4Aが設けられた第1の薄膜トランジスタ10Aと、ゲート絶縁膜3の上に第2の酸化物半導体膜Aが設けられた第2の薄膜トランジスタ10Bとを有するようにして、上記課題を解決した。
【選択図】図1
Description
本発明は、2以上の薄膜トランジスタを有する薄膜回路構造及びその製造方法並びに有機EL装置に関する。
薄膜トランジスタ(TFT)の代表的な構造は、a−SiTFTに適用されるボトムゲートタイプの逆スタガ型と、p−SiTFTに適用されるトップゲートタイプの順スタガ型とに大別される。前者の逆スタガ型の薄膜トランジスタ100Aは、図8(A)に示すように、基材101上にゲート電極102を形成し、そのゲート電極102を覆うようにゲート絶縁膜103をパターン形成し、そのゲート絶縁膜103上にa−Si半導体膜104aをパターン形成し、その半導体膜104a上にソース電極105sとドレイン電極105dをパターン形成してなるものである。一方、後者の順スタガ型の薄膜トランジスタ100Bは、図8(B)に示すように、基材101上にソース電極105s及びドレイン電極105dをパターン形成し、そのソース電極105s及びドレイン電極105dを跨ぐようにp−Si半導体膜104bをパターン形成し、その半導体膜104bを覆うようにゲート絶縁膜103を形成し、そのゲート絶縁膜103上にゲート電極102をパターン形成してなるものである。
前記のように、a−SiTFTは逆スタガ型であり、p−SiTFTは順スタガ型であるのが一般的である。その理由は、a−Siは半導体特性がやや低いものの、ゲート絶縁膜上に半導体膜を設ける逆スタガ型TFT構造とすることにより、製造プロセスを短縮化でき、大型基板も製造できるという利点があるためである。一方、p−Siはレーザーアニールで結晶化させるが、レーザーアニールした膜表面の半導体特性が良好であるため、p−Siの上にゲート絶縁膜が成膜されていることが好ましいためである。したがって、複数の薄膜トランジスタを設ける場合には、逆スタガ型のa−SiTFTとするか、順スタガ型のp−SiTFTとするかを、半導体特性と製造プロセスとを考慮して選択する必要がある。
なお、特許文献1は、複数の薄膜トランジスタを備えた表示装置の例を示すものであり、特許文献2は、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタの例を示すものである。酸化物半導体膜は、低温で成膜可能な半導体膜であるが、比較的高い移動度を示すことから近年注目されている。
液晶表示装置120を構成する画素内の回路は、図9(A)に示すように、TFT100Aが一つで形成される単純な回路であるため、ゲート電極102とソース電極105s又はドレイン電極105dとをコンタクトさせる必要ない。しかし、有機EL装置130を構成する画素内の回路やディスプレイの周辺回路(インバーター等のロジック系回路)は2つ以上のTFT100A,100Aを有する複雑な回路構成となる。そのため、図9(B)に示すように、一方のTFTのゲート電極102と他方のTFTのソース電極105s又はドレイン電極105dとを電気的に接続させる必要がある。その接続手段としては、ゲート電極102とソース電極105s又はドレイン電極105dとの間にあるゲート絶縁膜103にコンタクトホール107を形成し、両者をコンタクトさせている。こうしたコンタクトホール107の形成は、工程的な負荷の大きいドライエッチングを利用したコンタクトホール形成工程が必要となるだけでなく、コンタクトホール107のスペースや、コンタクトホール107の上下に形成するコンタクトパッドのためのスペースが必要となり、画素の微細化の妨げとなっている(図4及び図6参照)。
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、回路構造のスペースを小さくして画素の微細化を達成できる、薄膜回路構造及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記した薄膜回路構造を備えた有機EL装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る薄膜回路構造は、基材上の面内方向に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極で少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタを有する薄膜回路装置であって、前記2以上の薄膜トランジスタは、共通するゲート絶縁膜を有するとともに、該ゲート絶縁膜の下に第1の酸化物半導体膜が設けられた第1の薄膜トランジスタと、該ゲート絶縁膜の上に第2の酸化物半導体膜が設けられた第2の薄膜トランジスタとを有することを特徴とする。
本発明者は、酸化物半導体膜をTFTに適用するに際し、酸化物半導体膜をゲート絶縁膜の上に設けた逆スタガ型のTFTとした場合と、酸化物半導体膜をゲート絶縁膜の下に設けた順スタガ型のTFTとした場合のいずれであっても、そのTFT特性が回路素子として十分に機能することに着目した。本発明は、この知見を基にして成したものであって、面内方向に隣り合う2以上の薄膜トランジスタが共通するゲート絶縁膜を有し、そのゲート絶縁膜の下に第1の酸化物半導体膜が設けられた第1の薄膜トランジスタと、該ゲート絶縁膜の上に第2の酸化物半導体膜が設けられた第2の薄膜トランジスタとを隣接して設けたものである。
この発明によれば、共通するゲート絶縁膜の上と下に酸化物半導体膜を設けることにより、場所によって異なるタイプ(順スタガ型と逆スタガ型)の回路構造を形成することができるので、一方のTFTのソース電極又はドレイン電極が他方のTFTのゲート電極となる回路構造を実現できる。その結果、コンタクトホール及びコンタクトパッドを設ける必要がなくなり、回路構造のスペースを小さくでき、画素の微小化を実現可能となる。
本発明に係る薄膜回路構造において、前記第1及び第2の酸化物半導体膜がInGaZnO系半導体材料からなる。
この発明によれば、第1及び第2の酸化物半導体膜をInGaZnO系半導体材料で構成することが好ましい。
本発明に係る薄膜回路構造において、前記2以上の薄膜トランジスタのうち、一方の薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極と、他方の薄膜トランジスタのゲート電極とが、同一材料からなる連続膜として前記ゲート絶縁膜の上又は下に設けられている。
この発明によれば、一方のTFTのソース電極又はドレイン電極と、他方のTFTのゲート電極とが、ゲート絶縁膜の上又は下のいずれかに、同一材料からなる連続膜として設けられているので、同一プレーン(ゲート絶縁膜の上又は下)で直列接続することができ、製造しやすい低コストの薄膜回路構造となる。
本発明に係る薄膜回路構造において、インバータで構成されたゲート論理回路である。
この発明によれば、インバータで構成されたゲート論理回路であるので、NORやNANDを省スペースで形成することができる。その結果、より高い集積構造とすることができる。例えば有機EL装置に適用すれば、単位面積あたりの有効画素面積を大きくできるので、画素を小さくでき、より高解像度の有機EL装置とすることができる。
上記課題を解決するための本発明に係る有機EL装置は、基材上の面内方向に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極で少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタを有する薄膜トランジスタ素子部と、陽極及び陰極間に発光層を有する有機EL素子部と、を備えた有機EL装置であって、前記2以上の薄膜トランジスタは、共通するゲート絶縁膜を有するとともに、該ゲート絶縁膜の下に第1の酸化物半導体膜が設けられた第1の薄膜トランジスタと、該ゲート絶縁膜の上に第2の酸化物半導体膜が設けられた第2の薄膜トランジスタと、を有することを特徴とする。
この発明によれば、薄膜トランジスタ素子部を構成する2以上の薄膜トランジスタは、共通するゲート絶縁膜を有するとともに、ゲート絶縁膜の下に第1の酸化物半導体膜が設けられた第1の薄膜トランジスタと、ゲート絶縁膜の上に第2の酸化物半導体膜が設けられた第2の薄膜トランジスタとを有するので、場所によって異なるタイプ(順スタガ型と逆スタガ型)の回路構造を形成することができる。その結果、一方のTFTのソース電極又はドレイン電極が他方のTFTのゲート電極となる回路構造を実現できるので、コンタクトホール及びコンタクトパッドを設ける必要がなく、回路構造のスペースを小さくでき、画素の微小化を実現可能となる。こうした薄膜トランジスタ素子部を備えた有機EL装置は、単位面積あたりの有効画素面積を大きくできるので、画素を小さくでき、より高解像度の有機EL装置とすることができる。
本発明に係る有機EL装置において、前記第1及び第2の酸化物半導体膜がInGaZnO系半導体材料からなり、前記2以上の薄膜トランジスタのうち、一方の薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極と、他方の薄膜トランジスタのゲート電極とが、同一材料からなる連続膜として前記ゲート絶縁膜の上又は下に設けられており、当該ゲート絶縁膜上には、前記ソース電極又はドレイン電極と同一材料からなる連続膜として画素電極が設けられ、当該画素電極が前記有機EL素子部を構成する陽極又は陰極である。
この発明によれば、第1及び第2の酸化物半導体膜をInGaZnO系半導体材料で構成することが好ましく、且つ、一方のTFTのソース電極又はドレイン電極と、他方のTFTのゲート電極とが、ゲート絶縁膜の上又は下のいずれかに、同一材料からなる連続膜として設けられているので、同一プレーン(ゲート絶縁膜の上又は下)で直列接続することができ、製造しやすい低コストの有機EL装置となる。
上記課題を解決するための本発明に係る薄膜回路構造の製造方法は、基材上の面内方向に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極で少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタを有する薄膜回路構造の製造方法であって、
基材上に、前記薄膜トランジスタのうち第1の薄膜トランジスタを構成するソース電極及びドレイン電極をパターン形成すると共に、第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極をパターン形成する工程と、前記第1の薄膜トランジスタを構成する第1の酸化物半導体膜を前記ソース電極及びドレイン電極間にパターン形成する工程と、前記第1の薄膜トランジスタを構成する第1の酸化物半導体膜、前記ソース電極及びドレイン電極と、第2の薄膜トランジスタを構成する前記ゲート電極とを少なくとも覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第2の薄膜トランジスタを構成する第2の酸化物半導体膜を前記ゲート絶縁膜上にパターン形成する工程と、前記第1の薄膜トランジスタを構成するゲート電極をパターン形成するとともに、前記第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極及びドレイン電極をパターン形成する工程と、を有し、
前記第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極又はドレイン電極と、前記第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極とを、同一材料からなる連続膜として前記ゲート絶縁膜の上又は下に設けることを特徴とする。
基材上に、前記薄膜トランジスタのうち第1の薄膜トランジスタを構成するソース電極及びドレイン電極をパターン形成すると共に、第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極をパターン形成する工程と、前記第1の薄膜トランジスタを構成する第1の酸化物半導体膜を前記ソース電極及びドレイン電極間にパターン形成する工程と、前記第1の薄膜トランジスタを構成する第1の酸化物半導体膜、前記ソース電極及びドレイン電極と、第2の薄膜トランジスタを構成する前記ゲート電極とを少なくとも覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第2の薄膜トランジスタを構成する第2の酸化物半導体膜を前記ゲート絶縁膜上にパターン形成する工程と、前記第1の薄膜トランジスタを構成するゲート電極をパターン形成するとともに、前記第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極及びドレイン電極をパターン形成する工程と、を有し、
前記第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極又はドレイン電極と、前記第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極とを、同一材料からなる連続膜として前記ゲート絶縁膜の上又は下に設けることを特徴とする。
この発明によれば、上記各工程により、第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極又はドレイン電極と、第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極とを、同一材料からなる連続膜としてゲート絶縁膜の上又は下に設ける。その結果、コンタクトホールやコンタクトパッドを形成する工程が不要であり、歩留まりがよく、低コストで製造しやすい薄膜回路構造を製造することができる。
本発明に係る薄膜回路構造の製造方法において、前記第1及び第2の酸化物半導体膜がInGaZnO系半導体材料からなる。
本発明に係る薄膜回路構造によれば、場所によって異なるタイプ(順スタガ型と逆スタガ型)の回路構造を形成することができるので、一方のTFTのソース電極又はドレイン電極が他方のTFTのゲート電極となる回路構造を実現できる。その結果、コンタクトホール及びコンタクトパッドを設ける必要がなくなり、回路構造のスペースを小さくでき、画素の微小化を実現可能となる。
本発明に係る有機EL装置によれば、一方のTFTのソース電極又はドレイン電極が他方のTFTのゲート電極となる回路構造を実現できるので、コンタクトホール及びコンタクトパッドを設ける必要がなく、回路構造のスペースを小さくでき、画素の微小化を実現可能となる。こうした薄膜回路構造を備えた有機EL装置は、単位面積あたりの有効画素面積を大きくできるので、画素を小さくでき、より高解像度の有機EL装置とすることができる。
本発明に係る薄膜回路構造の製造方法によれば、各工程により、第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極又はドレイン電極と、第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極とを、同一材料からなる連続膜としてゲート絶縁膜の上又は下に設ける。その結果、コンタクトホールやコンタクトパッドを形成する工程が不要であり、歩留まりがよく、低コストで製造しやすい薄膜回路構造を製造することができる。
以下に、本発明に係る薄膜回路構造及びその製造方法並びに有機EL装置について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
[薄膜回路構造]
(基本構成)
本発明に係る薄膜回路構造12は、図1〜図3及び図5に示すように、基材1上の面内方向(X及び/又はY)に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10(10A,10B)を有する。そして、その2以上の薄膜トランジスタ(以下「TFT」という。)10A,10Bは、共通するゲート絶縁膜3を有するとともに、ゲート絶縁膜3の下に第1の酸化物半導体膜4が設けられた第1のTFT(以下「第1TFT」という。)10Aと、ゲート絶縁膜3の上に第2の酸化物半導体膜4が設けられた第2の薄膜トランジスタ(以下「第2TFT」という。)10Bとを有することに特徴がある。
(基本構成)
本発明に係る薄膜回路構造12は、図1〜図3及び図5に示すように、基材1上の面内方向(X及び/又はY)に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10(10A,10B)を有する。そして、その2以上の薄膜トランジスタ(以下「TFT」という。)10A,10Bは、共通するゲート絶縁膜3を有するとともに、ゲート絶縁膜3の下に第1の酸化物半導体膜4が設けられた第1のTFT(以下「第1TFT」という。)10Aと、ゲート絶縁膜3の上に第2の酸化物半導体膜4が設けられた第2の薄膜トランジスタ(以下「第2TFT」という。)10Bとを有することに特徴がある。
本願において、「面内方向」とは、In−plane(インプレーン:基材面上に並ぶように配列すること。)をいい、基材面の2次元方向のことであり、図1に示すX方向や図3に示すX方向及びY方向を指す。「隣り合う」とは、電気回路として隣り合っていることを意味し、平面視で現に隣り合っている場合もあれば、離れている場合もあり、いずれの場合も含む。「ゲート絶縁膜3の上」とは、図1及び図2の断面図において、厚さ方向Zの上側にあることを意味し、「ゲート絶縁膜3の下」とは、厚さ方向Zの下側にあることを意味する。ゲート絶縁膜3の下に酸化物半導体膜4がある場合は、順スタガ型TFT(図1等では第1TFT10A)を構成し、ゲート絶縁膜3の上に酸化物半導体膜4がある場合は、逆スタガ型TFT(図1等では第2TFT10B)を構成する。したがって、「2以上の薄膜トランジスタ」には、順スタガ型である第1TFT10Aと逆スタガ型である第2TFT10Bとを少なくとも必ず1つずつ含む。「共通するゲート絶縁膜3」とは、第1TFT10Aを構成するゲート絶縁膜3と、第2TFT10Bを構成するゲート絶縁膜3とが同一材料で同時に形成された同じ膜であることを意味する。「同一材料」とは、成膜時の材料が同じであることを意味する。
薄膜回路構造12には、必要に応じて、容量素子及び/又は抵抗素子を有していてもよいし、ダイオード等の能動素子や、コイル(アンテナコイルを含む)、インダクタ等の他の受動素子が設けられていてもよい。
(実施形態例)
次に、図1〜図3及び図5に示す薄膜回路構造12の形態について説明する。
次に、図1〜図3及び図5に示す薄膜回路構造12の形態について説明する。
図1に示す薄膜回路構造12Aは、基材1上の面内方向Xに、1つの順スタガ型の第1TFT10Aと1つの逆スタガ型の第2TFT10Bとが隣り合って設けられている。第1TFT10Aは、基材1と、基材2上に所定領域(チャネル領域となる部分。)を開けて離間してパターン形成されたソース電極5s及びドレイン電極5dと、ソース電極5s及びドレイン電極5dの間の所定領域を埋めると共に両電極5s,5dを跨ぐように所定のパターンで形成された酸化物半導体膜4と、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dそれぞれの上にそれらを覆うように形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上に所定のパターンで形成されたゲート電極2と、を少なくとも有している。一方、第2TFT10Bは、基材1と、基材1上に所定のパターンで形成されたゲート電極2と、ゲート電極2を覆うように形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上であってゲート電極12の直上に所定のパターンで形成された酸化物半導体膜4と、酸化物半導体膜4上の中央部を開けて離間して形成されたソース電極5s及びドレイン電極5dと、を少なくとも有している。
この薄膜回路構造12Aにおいては、ゲート絶縁膜3が、第1TFT10Aと第2TFT10Bとで共通する同一材料膜として、同一工程で同時に連続して設けられている。また、第1TFT10Aのドレイン電極5dと第2TFT10Bのゲート電極2とが、同一材料膜として、同一工程で同時に連続して設けられている。さらに、第2TFT10Bのドレイン電極5dが、画素電極6と同一材料膜として、同一工程で同時に連続して設けられている。
図2に示す薄膜回路構造12Bは、基材1上の面内方向Xに、1つの順スタガ型の第1TFT10Aと、その第1TFT10Aの左右にそれぞれ1つずつ計2つの逆スタガ型の第2TFT10B,10Bとが隣り合って設けられている。第1TFT10Aは、上記同様、基材1と、基材2上に所定領域(チャネル領域となる部分。)を開けて離間してパターン形成されたソース電極5s及びドレイン電極5dと、ソース電極5s及びドレイン電極5dの間の所定領域を埋めると共に両電極5s,5dを跨ぐように所定のパターンで形成された酸化物半導体膜4と、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dそれぞれの上にそれらを覆うように形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上に所定のパターンで形成されたゲート電極2と、を少なくとも有している。一方、2つの第2TFT10Bは、上記同様、基材1と、基材1上に所定のパターンで形成されたゲート電極2と、ゲート電極2を覆うように形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上であってゲート電極12の直上に所定のパターンで形成された酸化物半導体膜4と、酸化物半導体膜4上の中央部を開けて離間して形成されたソース電極5s及びドレイン電極5dと、を少なくとも有している。
この薄膜回路構造12Bにおいては、ゲート絶縁膜3が、1つの第1TFT10Aと2つの第2TFT10B,10Bとで共通する同一材料膜として、同一工程で同時に連続して設けられている。また、第1TFT10Aのドレイン電極5dと一方の第2TFT10Bのゲート電極2とが、同一材料膜として、同一工程で同時に連続して設けられている。さらに、第1TFT10Aのゲート電極2と他方の第2TFT10Bのドレイン電極5dとが、同一材料膜として、同一工程で同時に連続して設けられている。この場合において、図1と同様、第2TFT10Bのドレイン電極5dが、画素電極(図示しない)と同一材料膜として、同一工程で同時に連続して設けられていてもよい。
図3に示す薄膜回路構造12Cは、2段のインバータからなるバッファ回路を平面視した場合の例であり、基材1上の面内方向X,Yに、2つの順スタガ型の第1TFT10A,10Aと、2つの逆スタガ型の第2TFT10B,10Bとが隣り合って設けられている。第1TFT10Aの構成と第2TFT10Bの構成は、図1等で説明したものと同じであるのでここでは省略する。
この薄膜回路構造12は、図3に示すように、電源ラインVDDとグラウンドラインGND1層目の配線層と2層目の配線層の両方で形成されている(図3では、一層目と2層目の配線を重ねて書いている。)。この薄膜回路構造12はインバータで構成されたゲート論理回路であるが、逆スタガ型TFT100Bのみで構成された図4に示す従来の論理回路に比べ、コンタクトホール107やコンタクトパッド108を設ける必要がないので、NORやNANDを省スペースで形成することができ、その結果、より高い集積構造とすることができる。例えば、後述する有機EL装置20に適用すれば、単位面積あたりの有効画素面積を大きくできるので、画素を小さくでき、より高解像度の有機EL装置とすることができる。
図1〜図3に示す薄膜回路構造12によれば、共通するゲート絶縁膜3の上又は下に酸化物半導体膜4が設けられた異なるタイプのTFT10(順スタガ型の第1TFT10Aと逆スタガ型の第2TFT10B)を形成することができる。そして、それらのTFTは、一方のTFT(10A又は10B)のソース電極5s又はドレイン電極5dと、他方のTFT(10A又は10B)のゲート電極3とが、ゲート絶縁膜3の上又は下のいずれかに、同一材料からなる連続膜として同一工程で同時に形成された回路構造を実現できる。その結果、同一プレーン(ゲート絶縁膜の上又は下)で直列接続することができ、製造しやすい低コストの薄膜回路構造となる。そして、図4、図6及び図9(B)に示すようなコンタクトホール107及びコンタクトパッド108を設ける必要がなくなり、回路構造のスペースを小さくでき、画素の微小化を実現可能となる。
図5及び図7に示す有機EL装置20は、上記の薄膜回路構造12を備えた画素回路の例である。画素24は、通常、図5に示すように、画素を選択するデータ電極ライン21及びスキャン電極ライン22と、電流ドライブ素子に大きな電流を供給するための電源電極ライン23とで囲まれている。画素内は、図5及び図7に示すように、平面視で、電流ドライブ素子として作用する第1TFT10A及びスイッチング素子として作用する第2TFT10Bを少なくとも有するTFT部25と、有機EL素子部25とで構成されている。
この有機EL装置20を構成するTFT素子部25は、図1に示す薄膜回路構造12が設けられた部分であるので、その説明は省略する。一方、有機EL素子部26は、図1に示す薄膜回路構造12の画素電極6の形成領域に設けられ、通常、その画素電極6が陽極34(図7参照)となり、その陽極34上に少なくとも発光層31と陰極35がその順で設けられて構成されている(図7参照)。詳細は後述するが、本発明に係る有機EL装置20は、図6に示す従来の有機EL装置130に比べ、コンタクトホール107及びコンタクトパッド108を設ける必要がない分だけ開口率を向上させることができる。なお、図5では、図の理解を容易にするために、ゲート絶縁膜を省略してある。
こうした有機EL装置20によれば、一方のTFTのソース電極5s又はドレイン電極5dと他方のTFTのゲート電極2とを連続膜として形成してなる回路構造を実現できるので、コンタクトホール及びコンタクトパッドを設ける必要がなく、回路構造のスペースを小さくでき、画素の微小化を実現可能となる。こうした薄膜回路構造12を備えた有機EL装置20は、単位面積あたりの有効画素面積を大きくできるので、発光性能を増すことができ又は画素を小さくでき、より高解像度の有機EL装置とすることができる。
本発明に係る薄膜回路構造12の構成要素を以下に詳しく説明する。
(基材)
基材1の種類や構造は特に限定されるものではなく、用途に応じてフレキシブルな材質や硬質な材質等が選択される。具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。なお、金属膜や透明導電膜が形成されたガラス基材やプラスチック基材等を用いてもよい。
基材1の種類や構造は特に限定されるものではなく、用途に応じてフレキシブルな材質や硬質な材質等が選択される。具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。なお、金属膜や透明導電膜が形成されたガラス基材やプラスチック基材等を用いてもよい。
基材1の厚さは、得られる薄膜回路構造12にフレキシブル性を持たせるか否かによっても異なり、特に限定されないが、例えば液晶表示装置や有機EL装置に用いるフレキシブル性の薄膜回路構造12とする場合には、厚さ5〜300μmのプラスチック基材が好ましく用いられる。一方、特にフレキシブル性が不要の場合には、厚さ0.1〜3.0mmのガラス基材又はプラスチック基材が好ましく用いられる。また、基材1の形状も特に限定されず、用途に応じて、パネル状、チップ状、カード状、ディスク状等を挙げることができる。なお、枚葉状又は連続状の基材1上に薄膜回路構造12形成した後に個々のパネル状、チップ状、カード状、ディスク状に分断加工してもよい。
(ゲート電極)
ゲート電極2は、図1及び図2に示すように、第1TFT10Aではゲート絶縁膜3の上に所定のパターンで設けられ、第2TFT10Bでは基材1上に所定のパターンで設けられる。ゲート電極材料としては、ゲート絶縁膜3の上に設ける第1TFT10Aの場合及び基材1の上に設ける第2TFT10Bの場合のいずれにおいても、例えば、金、銀、銅、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン等の金属膜;ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO2、ZnO等の透明導電膜;を好ましく挙げることができる。なお、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような透明な導電性高分子等であってもよい。ただし、一方のTFTでゲート電極2となる膜は、他方のTFTではソース・ドレイン電極5s,5dとなるので、ソース・ドレイン電極5s,5dとしての特性を考慮する必要がある。
ゲート電極2は、図1及び図2に示すように、第1TFT10Aではゲート絶縁膜3の上に所定のパターンで設けられ、第2TFT10Bでは基材1上に所定のパターンで設けられる。ゲート電極材料としては、ゲート絶縁膜3の上に設ける第1TFT10Aの場合及び基材1の上に設ける第2TFT10Bの場合のいずれにおいても、例えば、金、銀、銅、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン等の金属膜;ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO2、ZnO等の透明導電膜;を好ましく挙げることができる。なお、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような透明な導電性高分子等であってもよい。ただし、一方のTFTでゲート電極2となる膜は、他方のTFTではソース・ドレイン電極5s,5dとなるので、ソース・ドレイン電極5s,5dとしての特性を考慮する必要がある。
ゲート電極2の形成は、ゲート電極材料の種類や基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、成膜手段としては、真空蒸着法、スパッタリング法、各種CVD法等の成膜手段を適用でき、パターニング手段としてはフォトリソグラフィを適用できる。
ゲート電極2の形成工程時には、ゲート電極用の配線27(図3参照)、データ電極ライン21(図5参照)等を、ゲート電極2と同一材料で同時にパターン形成できる。ゲート電極2の厚さ、及び、ゲート電極2の形成時に同時に形成する電極や配線の厚さは、通常、0.05〜0.2μm程度である。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜3は、絶縁性が高く、誘電率が比較的高く、ゲート絶縁膜として適しているものであれば各種の材料を用いることができる。例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等を好ましく挙げることができる。また、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スカンジウム、チタン酸バリウムストロンチウムのうち少なくとも1種又は2種以上を挙げることもできる。
ゲート絶縁膜3は、絶縁性が高く、誘電率が比較的高く、ゲート絶縁膜として適しているものであれば各種の材料を用いることができる。例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等を好ましく挙げることができる。また、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スカンジウム、チタン酸バリウムストロンチウムのうち少なくとも1種又は2種以上を挙げることもできる。
ゲート絶縁膜3の形成は、ゲート絶縁膜材料の種類や基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、ケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等でゲート絶縁膜3を形成する場合には、成膜手段としてスパッタリング法や各種CVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。また、特に低温成膜が要求される場合には、成膜手段として低温成膜可能なスパッタリング法やプラズマCVD法を好ましく適用できる。このゲート絶縁膜3は、各TFTにおける共通のゲート絶縁膜として、同一工程で同時に同一材料で成膜する。ゲート絶縁膜3の厚さは、通常、0.1〜0.5μm程度である。
(酸化物半導体膜)
酸化物半導体膜4は、図1に示すように、第1TFT10Aでは、ソース電極5s及びドレイン電極5dの間を跨ぐように所定のパターンで設けられ、第2TFT10Bでは、ゲート電極2の上方にゲート絶縁膜3を間に介してそのゲート絶縁膜3上に所定のパターンで設けられる。この酸化物半導体膜4は、TFTを構成するチャネル領域として使用できる程度の移動度を有するものであれば、その種類は特に限定されず、現在知られている酸化物半導体膜であっても、今後発見される酸化物半導体膜であってもよい。
酸化物半導体膜4は、図1に示すように、第1TFT10Aでは、ソース電極5s及びドレイン電極5dの間を跨ぐように所定のパターンで設けられ、第2TFT10Bでは、ゲート電極2の上方にゲート絶縁膜3を間に介してそのゲート絶縁膜3上に所定のパターンで設けられる。この酸化物半導体膜4は、TFTを構成するチャネル領域として使用できる程度の移動度を有するものであれば、その種類は特に限定されず、現在知られている酸化物半導体膜であっても、今後発見される酸化物半導体膜であってもよい。
酸化物半導体膜を構成する酸化物としては、例えば、InMZnO(MはGa,Al,Feのうち少なくとも1種)を主たる構成元素とするアモルファス酸化物を挙げることができる。特に、MがGaであるInGaZnO系のアモルファス酸化物が好ましく、この場合、In:Ga:Znの比を1:1:m(m<6)としたものや、In:Ga:Znの比を1:2:4としたものが好ましい。また、Mgをさらに含む場合においては、In:Ga:Zn1-xMgxの比が1:1:m(m<6)で0<x≦1であることが好ましい。なお、組成割合は、蛍光X線(XRF)装置によって測定したものである。
InGaZnO系のアモルファス酸化物については、InとGaとZnの広い組成範囲でアモルファス相を示す。この三元系でアモルファス相を安定して示す組成範囲としては、InxGayZnzO(3x/2+3y/2+z)で比率x/yが0.4〜1.4の範囲であり、比率z/yが0.2〜12の範囲にあるように表すことができる。なお、ZnOに近い組成とIn2O3に近い組成で結晶質を示す。
また、アモルファス酸化物が、InxGa1-x酸化物(0≦x≦1)、InxZn1-x酸化物(0.2≦x≦1)、InxSn1-x酸化物(0.8≦x≦1)、Inx(Zn,Sn)1-x酸化物(0.15≦x≦1)から選ばれるいずれかのアモルファス酸化物であってもよい。
本発明では、後述の実施例で用いたInGaZnO系(以下「IGZO」と略す。)酸化物半導体膜を好ましく挙げることができる。また、このIGZO系酸化物半導体膜には、必要に応じて、Al、Fe、Sn等を構成元素として加えたものであってもよい。なお、このIGZO系酸化物半導体膜は、可視光を透過して透明膜となるという特徴もある。また、このIGZO系酸化物半導体膜は、室温から150℃程度の低温での成膜が可能であることから、ガラス転移温度が200℃未満の耐熱性に乏しいプラスチック基材に対しても好ましく適用できる。
酸化物半導体膜がアモルファスであるか否かは、測定対象となる酸化物半導体膜に入射角度0.5°程度の低入射角によるX線回折を行った場合に、結晶質の存在を示す明瞭な回折ピークが検出されないこと、すなわち所謂ハローパターンが見られることで確認できる。そうしたハローパターンは、微結晶状態の酸化物半導体膜でも見られるので、この酸化物半導体膜4には、そのような微結晶状態の酸化物半導体膜も含まれるものとする。
酸化物半導体膜4の形成は、半導体材料の種類や基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、成膜手段としてスパッタリング法やCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。なお、低温成膜が要求される場合には、成膜手段としてスパッタリング法やプラズマCVD法を好ましく適用できる。酸化物半導体膜4の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10〜300nmの範囲内であることが好ましく、30〜100nmの範囲内であることがより好ましい。なお、酸化物半導体膜4には、必要に応じて、成膜後に熱処理を施し、半導体特性(移動度)を向上させたり比抵抗を安定化させたりしてもよい。熱処理としては、レーザー照射や熱アニール処理を挙げることができる。
こうした酸化物半導体膜4を、順スタガ型の第1TFT10Aの半導体膜として適用した場合、及び、逆スタガ型の第2TFT10Bの半導体膜として適用した場合のいずれにおいても、1〜20cm2/Vsec程度の電荷移動度を示すことができる。なお、従来は、順スタガ型のTFTはp−SiTFTに実質的に限定され、逆スタガ型TFTはa−SiTFTに実質的に限定されていたが、本発明では、順スタガ型としても逆スタガ型としても、電荷移動度に大きな差がない酸化物半導体膜4を適用して初期の目的を達成した点に特徴がある。
(ソース電極、ドレイン電極)
ソース電極5s及びドレイン電極5dは、図1及び図2に示すように、第1TFT10Aでは基材1上に所定の間隔を隔てた所定のパターンで設けられ、第2TFT10Bでは酸化物半導体膜4上に所定の間隔を隔てた所定のパターンで設けられる。ソース電極材料及びドレイン電極材料は、酸化物半導体膜4とのエネルギー準位を合わせることができる材料であることが好ましく、チタン、金、クロム、鉄、モリブデン、タングステン、銅、ルテニウム、レニウム、ITO、IZO等を挙げることができる。特にIZO、ITO、Tiは、酸化物半導体膜4と良好なオーミックコンタクトを取ることができるため、好ましい。
ソース電極5s及びドレイン電極5dは、図1及び図2に示すように、第1TFT10Aでは基材1上に所定の間隔を隔てた所定のパターンで設けられ、第2TFT10Bでは酸化物半導体膜4上に所定の間隔を隔てた所定のパターンで設けられる。ソース電極材料及びドレイン電極材料は、酸化物半導体膜4とのエネルギー準位を合わせることができる材料であることが好ましく、チタン、金、クロム、鉄、モリブデン、タングステン、銅、ルテニウム、レニウム、ITO、IZO等を挙げることができる。特にIZO、ITO、Tiは、酸化物半導体膜4と良好なオーミックコンタクトを取ることができるため、好ましい。
ソース電極5s及びドレイン電極5dの形成は、電極材料の種類や基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。成膜手段としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、各種のCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。
ソース電極5sとドレイン電極5dの形成工程時には、例えば、隣り合うTFTのゲート電極2と同一材料で同時にパターン形成できる(図1及び図2を参照)。また、図3に示すように、ドレイン電極用の電源配線ラインVDDやグラウンド配線ラインと同一材料で同時にパターン形成でき、また、図5に示すように、データ電極ライン21、スキャン配線ライン22、電源配線ライン23と同一材料で同時にパターン形成できる。ソース電極5sとドレイン電極5dの厚さ、及び、そのソース電極5sとドレイン電極5dの形成時に同時に形成する電極や配線の厚さは、通常、0.1〜0.3μm程度である。
(その他の膜)
本発明に係る薄膜回路構造12は、上記以外の構成要素であっても、本発明の趣旨の範囲内であれば、その他の膜を含んでいてもよい。
本発明に係る薄膜回路構造12は、上記以外の構成要素であっても、本発明の趣旨の範囲内であれば、その他の膜を含んでいてもよい。
例えば、必要に応じてパッシベーション膜(図示しない)を形成してもよい。パッシベーション膜は、酸化物半導体膜4を形成した後にその酸化物半導体膜4に接続するソース電極5sとドレイン電極5dを形成する場合(すなわち、第1TFT10Aの場合)に、酸化物半導体膜4のチャネル領域を保護しつつ、ソース電極5sとの接続部及びドレイン電極5dとの接続部とを形成するために設けられる。具体的には、パッシベーション膜は、酸化物半導体膜4にソース電極5sとの接続部とドレイン電極5dとの接続部を形成する部分にコンタクトホールを形成した形態で酸化物半導体膜4を覆う。なお、パッシベーション膜は、液状にしたシリカ(SiO2の水和物)やポリイミド樹脂等のパッシベーション膜用材料を塗布法で成膜し、その後にレジストを用いたパターニングで形成することができる。また、感光性を有するパッシベーション膜用材料を塗布法で成膜し、その後に露光現像して所定パターンのパッシベーション膜を形成してもよい。こうしたパッシベーション膜の厚さは、通常、0.05〜3μm程度である。
コンタクトホールを有するパッシベーション膜を設けた後は、活性化処理を行う。この活性化処理により、コンタクトホール部で露出した酸化物半導体膜4の導電性を高めてソース電極5sの接続部及びドレイン電極5dの接続部とすることができる。導電性を高めたソース電極5sの接続部及びドレイン電極5dの接続部に後述するソース電極5s及びドレイン電極5dをパターン成膜すると、ソース電極5sの接続部及びドレイン電極5dの接続部それぞれに対するソース電極5s及びドレイン電極5dのオーミック抵抗を低減することができる。なお、活性化処理としては、プラズマ処理を好ましく適用するが、このプラズマ処理は、酸化物半導体膜4に酸素欠損を生じさせることができる。
また、例えば、基材1の表面に必要に応じて下地膜(図示しない)を任意の厚さで設けてもよい。下地膜としては、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び酸窒化ケイ素の群から選択されるいずれかの材料で形成することができる。例えば密着膜として用いる場合には、クロム、チタン、アルミニウム、又はケイ素等からなる金属系の無機膜が好ましく用いられ、応力緩和膜やバッファ膜(熱緩衝膜)として用いる場合には、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられ、バリア膜として用いる場合には、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられる。これらの膜は、その機能や目的に応じて、単層で設けてもよいし、2層以上を積層してもよい。
また、例えば、第2TFT10Bを構成するソース電極5sとドレイン電極5dを形成した後に、全体を覆う透明な保護膜(図示しない)を設けてもよい。透明な保護膜としては、厚さ500〜1000nm程度のPVP(ポリビニルピロリドン)膜等の有機保護膜や、厚さ100〜500nm程度の酸化ケイ素や酸窒化ケイ素等からなるガスバリア性の無機保護膜を好ましく挙げることができる。
また、例えば、ゲート絶縁膜3を厚さ方向Zの上下に挟むようにして電極を設けることにより、そのゲート絶縁膜3を誘電体膜として利用した容量素子(図示しない)とすることもできる。この場合において、ゲート絶縁膜3の厚さ方向Zの上下に設ける電極は、図1や図2に示すようなゲート電極2及びソース電極5sとドレイン電極5dと同一材料で同時に形成することができる。
また、例えば、酸化物半導体膜4を厚さ方向Zの上下に挟むようにして電極を設けることにより、その酸化物半導体膜4を抵抗体膜として利用した抵抗素子(図示しない)とすることもできる。この場合において、酸化物半導体膜4にプラズマ処理を施して導体化し、任意の抵抗値を持たせることができる。プラズマ処理は、酸化物半導体膜4に酸素欠損を生じさせることができるので、酸化物半導体膜4の半導体特性を導電体特性に変化させることができる。導電体特性に変化した酸化物半導体膜4は、その有する抵抗に応じた面積にパターニングすることにより、所望のシート抵抗を有する抵抗体膜とすることができる。
また、必要に応じて、各種の配線を設けてもよい。配線は、その回路設計によって任意に設計されるが、例えば図3に示す薄膜回路構造12や図5に示す有機EL装置20で見られる配線を設けることができる。これらの配線は、第1TFT10Aや第2TFT10Bを構成するゲート電極2、ソース電極5s及びドレイン電極5dの形成工程で、それらの電極と同一材料で同時に所定のパターンで同じ厚さで設けることができる。その結果、別個独立の工程を要さず、製造上極めて有利である。
[有機EL装置]
本発明に係る有機EL装置20は、図5及び図7に示すように、基材1上の面内方向(X,Y)に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bを有するTFT素子部25と、陽極34及び陰極35間に発光層31を有する有機EL素子部26と、を備えている。そして、2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bは、共通するゲート絶縁膜3を有するとともに、そのゲート絶縁膜3の下に第1の酸化物半導体膜4が設けられた第1TFT10Aと、そのゲート絶縁膜3の上に第2の酸化物半導体膜4が設けられた第2TFT10Bと、を有する。なお、TFT素子部25は、上記した薄膜回路構造12からなるので、ここではその説明を省略する。
本発明に係る有機EL装置20は、図5及び図7に示すように、基材1上の面内方向(X,Y)に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bを有するTFT素子部25と、陽極34及び陰極35間に発光層31を有する有機EL素子部26と、を備えている。そして、2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bは、共通するゲート絶縁膜3を有するとともに、そのゲート絶縁膜3の下に第1の酸化物半導体膜4が設けられた第1TFT10Aと、そのゲート絶縁膜3の上に第2の酸化物半導体膜4が設けられた第2TFT10Bと、を有する。なお、TFT素子部25は、上記した薄膜回路構造12からなるので、ここではその説明を省略する。
有機EL素子部26は、図7に示すように、陽極34及び陰極35間に発光層31を有している。画素電極6は陽極34でも陰極35でもよいが、通常、陽極34として設けられている。また、図7に示すように、陽極34と発光層31との間に、正孔注入輸送層32を設けてもよいし、発光層31と陰極35との間に電子注入輸送層33を設けてもよい。また、正孔注入輸送層32の代わりに、正孔注入層と正孔輸送層をその順で設けてもよいし、発光層31と陰極35との間に電子輸送層と電子注入層をその順で設けてもよい。
正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送機能を付与することにより、正孔注入層と一体化して正孔注入輸送層と表される場合が多い。また、電子輸送層も、電子注入層に電子輸送機能を付与することにより、電子注入層と一体化して電子注入輸送層として表される場合が多い。そのため、以下では、代表的な構成として、図7に示すように、陽極34側から、正孔注入輸送層32、発光層31、電子注入輸送層33で構成されてなる層を例にして具体的に説明する。また、必要に応じて、正孔ブロック層又は電子ブロック層等のように、正孔又は電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めて再結合効率を高めるための層等を加えてもよい。
(陽極)
図7に示す画素電極6は陽極34として用いられ、その陽極34は、その後に形成される発光物質を含む発光層31に正孔を供給するための電極である。陽極34が、発光層31からの光の取り出し側にある場合は透明電極であることが好ましいが、光の取り出し側ではない場合は必ずしも透明電極でなくてもよい。陽極34は、第2TFT10Bのドレイン電極5dと同一材料で同時に設けられるので、ここでの説明を省略する。
図7に示す画素電極6は陽極34として用いられ、その陽極34は、その後に形成される発光物質を含む発光層31に正孔を供給するための電極である。陽極34が、発光層31からの光の取り出し側にある場合は透明電極であることが好ましいが、光の取り出し側ではない場合は必ずしも透明電極でなくてもよい。陽極34は、第2TFT10Bのドレイン電極5dと同一材料で同時に設けられるので、ここでの説明を省略する。
(発光層)
発光層31は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を有するものであり、例えば図7に示すように、正孔注入輸送層32と電子注入輸送層33との間に挟まれて構成されている。発光層31の構成材料としては、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料を挙げることができる。
発光層31は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を有するものであり、例えば図7に示すように、正孔注入輸送層32と電子注入輸送層33との間に挟まれて構成されている。発光層31の構成材料としては、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料を挙げることができる。
色素系発光材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系発光材料としては、中心金属にAl、Zn、Be、Ir、Pt等、又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。そうした金属錯体としては、例えば、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体、イリジウム金属錯体、プラチナ金属錯体等が挙げられる。具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)を用いることができる。
高分子系発光材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体、及びそれらの共重合体等を挙げることができる。また、上記の色素系発光材料及び金属錯体系発光材料を高分子化したものも挙げられる。
発光層31の厚さは、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる程度の厚さであれば特に限定されるものではなく、1nm〜200nm程度とすることができる。発光層の形成方法としては、有機EL素子に要求される微細なパターンの形成が可能な方法であれば特に限定されない。例えば、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等を挙げることができる。中でも、蒸着法、スピンコート法、インクジェット法が好ましい。
(正孔注入輸送層)
正孔注入輸送層32は、陽極34に接する態様で設けられ、発光層31への正孔の注入を安定化させるように作用するとともに、発光効率を高めるように作用する。正孔注入輸送層32は、陽極34と発光層31との間に設けられるので、陽極34から注入された正孔を発光層31内へ輸送するように作用する層であれば特に限定されない。正孔注入輸送層32は、正孔注入機能と正孔輸送機能を有するものであれば、正孔注入層と呼ばれる単一層であっても正孔輸送層と呼ばれる単一層であってもよく、また、正孔注入層と呼ばれる層と正孔輸送層と呼ばれる層からなる2層構造であってもよく、また、発光層31が正孔注入機能と正孔輸送機能の両機能を有する場合には正孔注入輸送層として設けられていなくてもよい。
正孔注入輸送層32は、陽極34に接する態様で設けられ、発光層31への正孔の注入を安定化させるように作用するとともに、発光効率を高めるように作用する。正孔注入輸送層32は、陽極34と発光層31との間に設けられるので、陽極34から注入された正孔を発光層31内へ輸送するように作用する層であれば特に限定されない。正孔注入輸送層32は、正孔注入機能と正孔輸送機能を有するものであれば、正孔注入層と呼ばれる単一層であっても正孔輸送層と呼ばれる単一層であってもよく、また、正孔注入層と呼ばれる層と正孔輸送層と呼ばれる層からなる2層構造であってもよく、また、発光層31が正孔注入機能と正孔輸送機能の両機能を有する場合には正孔注入輸送層として設けられていなくてもよい。
正孔注入輸送層32の構成材料は、陽極34から注入された正孔を発光層31内に安定して輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、前述した発光層31の発光材料(色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料)として例示した化合物の他、アリールアミン類、スターバースト型アミン類、フタロシアニン類、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子及びそれらの誘導体を用いることができる。ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子及びそれらの誘導体は、酸がドープされていてもよい。具体的には、N,N´−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N´−ビス(フェニル)−ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
正孔注入輸送層32の成膜方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等の乾式法、あるいは、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の湿式法等を挙げることができる。正孔注入輸送層32の厚さは、陽極から正孔が注入され、発光層に正孔を輸送することができる機能を十分に発揮する厚さであれば特に限定されるものではないが、具体的には0.5nm〜1000nm程度で設定することができ、中でも5nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
(電子注入輸送層)
電子注入輸送層33は、は、発光層33と陰極35との間に設けられるので、陰極35から注入された電子を発光層33に安定して輸送するように作用する層であれば特に限定されない。電子注入輸送層33は、電子注入機能と電子輸送機能を有するものであれば、電子注入層と呼ばれる単一層であっても電子輸送層と呼ばれる単一層であってもよく、また、電子注入層と呼ばれる層と電子輸送層と呼ばれる層からなる2層構造であってもよく、また、発光層31が電子注入機能と電子輸送機能の両機能を有する場合には電子注入輸送層として設けられていなくてもよい。
電子注入輸送層33は、は、発光層33と陰極35との間に設けられるので、陰極35から注入された電子を発光層33に安定して輸送するように作用する層であれば特に限定されない。電子注入輸送層33は、電子注入機能と電子輸送機能を有するものであれば、電子注入層と呼ばれる単一層であっても電子輸送層と呼ばれる単一層であってもよく、また、電子注入層と呼ばれる層と電子輸送層と呼ばれる層からなる2層構造であってもよく、また、発光層31が電子注入機能と電子輸送機能の両機能を有する場合には電子注入輸送層として設けられていなくてもよい。
電子注入機能を有する構成材料としては、発光層31内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層31の発光材料(色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料)として例示した化合物の他、Ba、Ca、Li、Cs、Mg、Sr等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の単体、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のフッ化物、アルミリチウム合金等のアルカリ金属の合金、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属の有機錯体等を挙げることができる。
また、電子輸送機能を有する構成材料としては、陰極35から注入された電子を発光層33内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(Bpehn)等のフェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq3)等のアルミキノリノール錯体等を挙げることができる。
電子注入輸送層33の成膜方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等の乾式法、あるいは、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の湿式法等を挙げることができる。電子注入輸送層33の厚さは、電子注入機能と電子輸送機能とが十分に発揮される厚さであれば特に限定されるものではなく、0.1nm〜300nmの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜200nmの範囲内である。
(陰極)
陰極35は、発光層31に電子を供給するための電極である。陰極35側から光を取り出す場合には、この陰極35は透明性を有している必要がある。
陰極35は、発光層31に電子を供給するための電極である。陰極35側から光を取り出す場合には、この陰極35は透明性を有している必要がある。
陰極35の構成材料としては、透明性のある導電性材料からなるものであれば特に制限はなく、例えば、In−Sn−O(ITO)、In−Zn−O(IZO)、Zn−O、Zn−O−Al、Zn−Sn−O等の透明導電性酸化物を挙げることができる。これらの中で、ITO又はIZOからなる透明導電膜が特に好ましく用いられる。ITO又はIZOからなる透明導電膜は、導電性と光透過性に優れ、電気抵抗率が低いことから、光の取り出し効率を向上させるとともに、発光層31の駆動電圧を低電圧化することができる。
陰極35の厚さは特に限定されるものではないが、上記透明導電膜を用いた場合の厚さは、通常、10nm〜500nmの範囲であり、特に50nm〜300nmの範囲であることが好ましい。また、その厚さの設定にあたっては光透過率を考慮する必要があり、可視領域380nm〜780nmにおける光透過率が50%以上になるように、好ましくは80%以上になるように厚さを設定することが望ましい。
陰極35の形成方法としては、例えば化学的気相成長法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法が挙げられるが、特に融点の高い材料からなる緻密な膜を成膜できる高エネルギーでの成膜手段であるスパッタリング法又はイオンプレーティング法が好ましい。
(その他の構成)
陰極35を形成した後においては、必要に応じて、例えば封止材を介して透明基材を設けてもよい。その場合の封止材としては、ガラス、フィルム材料を挙げることができる。また、透明基材としては、上記した基材1のうち、特に透明性の高いガラス、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
陰極35を形成した後においては、必要に応じて、例えば封止材を介して透明基材を設けてもよい。その場合の封止材としては、ガラス、フィルム材料を挙げることができる。また、透明基材としては、上記した基材1のうち、特に透明性の高いガラス、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
以上、本発明の有機EL装置20によれば、薄膜回路構造12を構成する2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bは、共通するゲート絶縁膜3を有するとともに、ゲート絶縁膜3の下に第1の酸化物半導体膜4が設けられた第1TFT10Aと、ゲート絶縁膜3の上に第2の酸化物半導体膜4が設けられた第2TFT10Bとを有するので、場所によって異なるタイプ(順スタガ型と逆スタガ型)の回路構造を形成することができる。その結果、一方のTFTのソース電極5s又はドレイン電極5dが他方のTFTのゲート電極2となる回路構造を実現できるので、コンタクトホール及びコンタクトパッドを設ける必要がなく、回路構造のスペースを小さくでき、画素の微小化を実現可能となる。こうした薄膜回路構造12を備えた有機EL装置20は、単位面積あたりの有効画素面積を大きくできるので、画素を小さくでき、より高解像度の有機EL装置とすることができる。
[薄膜回路構造の製造方法]
本発明に係る薄膜回路構造12の製造方法は、基材1上の面内方向X,Yに、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bを有する薄膜回路構造12の製造方法である。そして、以下の(1)〜(5)の各工程をその順で少なくとも有する。
本発明に係る薄膜回路構造12の製造方法は、基材1上の面内方向X,Yに、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dで少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタ10A,10Bを有する薄膜回路構造12の製造方法である。そして、以下の(1)〜(5)の各工程をその順で少なくとも有する。
(1)基材1上に、TFT(10A,10B)のうち第1TFT10Aを構成するソース電極5s及びドレイン電極5dをパターン形成すると共に、第2TFT10Bを構成するゲート電極2をパターン形成する工程;
(2)第1TFT10Aを構成する第1の酸化物半導体膜4をソース電極5s及びドレイン電極5d間にパターン形成する工程;
(3)第1TFT10Aを構成する第1の酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dと、第2TFT10Bを構成するゲート電極2とを少なくとも覆うゲート絶縁膜3を形成する工程;
(4)第2TFT10Bを構成する第2の酸化物半導体膜4をゲート絶縁膜3上にパターン形成する工程;
(5)第1TFT10Aを構成するゲート電極2をパターン形成するとともに、第2TFT10Bを構成するソース電極5s及びドレイン電極5dをパターン形成する工程;
(2)第1TFT10Aを構成する第1の酸化物半導体膜4をソース電極5s及びドレイン電極5d間にパターン形成する工程;
(3)第1TFT10Aを構成する第1の酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dと、第2TFT10Bを構成するゲート電極2とを少なくとも覆うゲート絶縁膜3を形成する工程;
(4)第2TFT10Bを構成する第2の酸化物半導体膜4をゲート絶縁膜3上にパターン形成する工程;
(5)第1TFT10Aを構成するゲート電極2をパターン形成するとともに、第2TFT10Bを構成するソース電極5s及びドレイン電極5dをパターン形成する工程;
そして、本発明の製造方法は、第1又は第2のTFT10A,10Bを構成するソース電極5s又はドレイン電極5dと、第1又は第2のTFT10A,10Bを構成するゲート電極2とを、同一材料からなる連続膜としてゲート絶縁膜3の上又は下に設けることに特徴がある。
この製造方法でパターン形成されるゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dについては、既述した各構成要素の説明欄で詳しく説明したのでここではその説明を省略する。
本発明の製造方法によれば、上記各工程により、第1又は第2のTFT10A,10Bを構成するソース電極5s又はドレイン電極5dと、第1又は第2のTFT10A,10Bを構成するゲート電極2とを、同一材料からなる連続膜としてゲート絶縁膜3の上又は下に設けるので、コンタクトホールやコンタクトパッドを形成する工程が不要であり、歩留まりがよく、低コストで製造しやすい薄膜回路構造を製造することができる。
代表的な例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の例に限定解釈されることはない。
[実施例1]
図1に示す薄膜回路構造12を作製した。先ず、厚さ100μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を基材1として準備し、その基材1上の全面に厚さ5nmのクロム膜を第1の下地膜(密着膜)としてスパッタ法で形成し、さらにそのクロム膜上の全面に厚さ300nmの酸化ケイ素膜を第2の下地膜(バッファ膜)としてスパッタ法で形成した。
図1に示す薄膜回路構造12を作製した。先ず、厚さ100μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を基材1として準備し、その基材1上の全面に厚さ5nmのクロム膜を第1の下地膜(密着膜)としてスパッタ法で形成し、さらにそのクロム膜上の全面に厚さ300nmの酸化ケイ素膜を第2の下地膜(バッファ膜)としてスパッタ法で形成した。
次に、下地膜である酸化ケイ素膜上の全面に厚さ200nmのアルミニウム膜を、第1TFT10Aではソース電極膜及びドレイン電極膜として、また第2TFT10Bではゲート電極膜として蒸着した。その後、レジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜を、第1TFT10Aではソース電極5s及びドレイン電極5dとなるように所定のパターンでパターニングし、一方、第2TFT10Bではゲート電極2となるように所定のパターンでパターニングした。なお、第1TFT10Aのドレイン電極5dと第2TFT10Bのゲート電極2とは一体のものとして連続する電極膜としてパターニングした(図1を参照)。
次に、第1TFT10Aのソース電極5s及びドレイン電極5dと第2TFT10Bのゲート電極2とを覆うように、全面に、In:Ga:Znが1:1:1のInGaZnO系酸化物半導体膜3(InGaZnO4)を厚さ100nmとなるように形成した。酸化物半導体膜4は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、室温(25℃)、Ar:O2を30:50とした条件下で、8インチのInGaZnO(In:Ga:Zn=1:1:1)ターゲットを用いて形成した。次に、この酸化物半導体膜4の上方からパルスレーザー照射を行った。パルスレーザー照射は、波長308nmのXeClエキシマレーザーを用い、パルス幅:30nsec(FWHM)、発振周波数:300Hz、照射密度:200mJ/cm2、室温の条件下で、酸化物半導体膜4の全面について行った。その後の酸化物半導体膜4上にレジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後、シュウ酸溶液でウェットエッチングし、その酸化物半導体膜4をパターニングし、所定パターンからなる酸化物半導体膜4を形成した。こうして得られた酸化物半導体膜4はアモルファス相であり、ソース電極5s及びドレイン電極5d間を埋めると共に、ソース電極5sとドレイン電極5dの両側に接触するとともに該ソース電極5s及びドレイン電極5dを跨ぐように形成されている。
次に、第1TFT10Aの酸化物半導体膜4、ソース電極5s及びドレイン電極5dと、第2TFT10Bのゲート電極2とを覆うように厚さ100nmの酸化ケイ素をゲート絶縁膜3として全面に形成した。このゲート絶縁膜3は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、8インチのSiO2ターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm2)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O2(50%)の成膜条件で形成した。
次に、ゲート絶縁膜3上の全面に、前記した酸化物半導体膜4を前記と同じ条件で成膜し、その後、前記と同じ条件でパルスレーザー照射を行い。その後、前記と同じ条件でパターニングして、ゲート絶縁膜3上の所定の領域に、第2TFT10Bを構成する酸化物半導体膜4を所定のパターンで形成した。
次に、第2TFT10Bの酸化物半導体膜4を覆うと共に、その酸化物半導体膜4が設けられていないゲート絶縁膜3上の全面に、厚さ200nmのアルミニウム膜を蒸着し、その後、レジストパターンをフォトリソグラフィで形成し、その後、燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜を所定パターンにパターニングした。こうして、第1TFT10Aでは、所定のパターンからなるゲート電極2を形成し、第2TFT10Bでは、所定のパターンからなるソース電極5s及びドレイン電極5dを形成した。このとき、ソース電極5s及びドレイン電極5dは、ゲート絶縁膜3上であってゲート電極2の中央部直上以外に離間したパターンとなるように形成した(図1を参照)。なお、このとき、有機EL素子部を構成する画素電極6を併せてパターン形成した。この画素電極6は、第1TFT10Aのゲート電極2や第2TFT10Bでのソース電極5sとドレイン電極5dと同一材料で同時に形成したものであり、第2TFT10Bのドレイン電極5dと連続する膜として形成したものである。
最後に、全体を覆うように、厚さ20nmの酸化ケイ素を保護膜としてRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。こうして実施例1に係る薄膜回路構造12を作製した。
[実施例2]
実施例1において、図1に示すように、第1TFT10Aのソース電極5s及びドレイン電極5dと第2TFT10Bのゲート電極2とを、所定のパターンのITO膜で形成し、さらに、ゲート絶縁膜3と酸化物半導体膜4を形成した後における第1TFT10Aのゲート電極2と第2TFT10Bのソース電極5s及びドレイン電極5d及び画素電極6とを、所定のパターンのITO膜で形成した。なお、ITO膜は厚さ1μmとなるようにスパッタリング法で成膜し、そのパターニングはシュウ酸をエッチング液として用いたウェットエッチングで行った。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る薄膜回路構造12を作製した。
実施例1において、図1に示すように、第1TFT10Aのソース電極5s及びドレイン電極5dと第2TFT10Bのゲート電極2とを、所定のパターンのITO膜で形成し、さらに、ゲート絶縁膜3と酸化物半導体膜4を形成した後における第1TFT10Aのゲート電極2と第2TFT10Bのソース電極5s及びドレイン電極5d及び画素電極6とを、所定のパターンのITO膜で形成した。なお、ITO膜は厚さ1μmとなるようにスパッタリング法で成膜し、そのパターニングはシュウ酸をエッチング液として用いたウェットエッチングで行った。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る薄膜回路構造12を作製した。
[実施例3]
実施例1において、図1に示す第1TFT10A及び第2TFT10Bを構成する酸化物半導体膜4,4の成膜用ターゲットとしてIn:Ga:Zn=1:2:4の材料を用い、In:Ga:Znが1:2:4となるInGaZnO系酸化物半導体膜を厚さ100nmで形成した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る薄膜回路構造12を作製した。
実施例1において、図1に示す第1TFT10A及び第2TFT10Bを構成する酸化物半導体膜4,4の成膜用ターゲットとしてIn:Ga:Zn=1:2:4の材料を用い、In:Ga:Znが1:2:4となるInGaZnO系酸化物半導体膜を厚さ100nmで形成した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る薄膜回路構造12を作製した。
[比較例1]
実施例1において、図1に示す第1TFT10A及び第2TFT10Bを構成する酸化物半導体膜4,4の代わりに、レーザー結晶化した厚さ50nmのポリシリコン膜を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の薄膜回路構造12を作製した。
実施例1において、図1に示す第1TFT10A及び第2TFT10Bを構成する酸化物半導体膜4,4の代わりに、レーザー結晶化した厚さ50nmのポリシリコン膜を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の薄膜回路構造12を作製した。
この場合において、ポリシリコン膜の成膜は、まず、厚さ50nmのアモルファスシリコン膜をRFマグネトロンスパッタリング法(成膜温度:室温、成膜圧力:1.0Pa、アルゴン雰囲気)で成膜し、その後、レーザー照射を行ってポリシリコン膜に変化させた。レーザー照射は、波長308nmのXeClエキシマレーザー(パルス幅:30nsec(FWHM)、エネルギー密度:325mJ/cm2)を室温の条件下で行った。ポリシリコン膜のパターニングはフォトリソグラフィにより行い、リン(P)を注入電圧:10keV、室温下で、5×1014イオン/cm2のドーズ量となるようにイオン注入し、その後、レーザーアニールを行ってイオン注入によりアモルファス相に変化した箇所を再結晶化させてポリシリコン相に変化させた。
[比較例2]
実施例1において、図1に示す第1TFT10Aを構成する酸化物半導体膜4の代わりにポリシリコン膜を設け、第2TFT10Bを構成する酸化物半導体4の代わりにアモルファスシリコン膜を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、比較例2の薄膜回路構造12を作製した。
実施例1において、図1に示す第1TFT10Aを構成する酸化物半導体膜4の代わりにポリシリコン膜を設け、第2TFT10Bを構成する酸化物半導体4の代わりにアモルファスシリコン膜を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、比較例2の薄膜回路構造12を作製した。
この場合において、ポリシリコン膜の成膜は比較例1と同様にして行った。一方、アモルファスシリコン膜の成膜は、SiH4ガスと水素ガスを原料としたプラズマCVD法を用いて、250℃で行った。
[比較例3]
実施例1において、第1TFT10Aと第2TFT10Bのいずれも図9(B)に示す態様の逆スタガ型TFT構造とした。各TFTは、実施例1の逆スタガ型の第2TFT10Bの形成と同じ手段で行った。なお、図9(B)に示すソース・ドレイン電極105s,105dの形成は、ゲート絶縁層103にコンタクトホール107をフォトリソ法で設けた後に行って、第1TFTのドレイン電極105dと第2TFTのゲート電極102とを直列接続した。こうして比較例3の薄膜回路構造130を作製した。
実施例1において、第1TFT10Aと第2TFT10Bのいずれも図9(B)に示す態様の逆スタガ型TFT構造とした。各TFTは、実施例1の逆スタガ型の第2TFT10Bの形成と同じ手段で行った。なお、図9(B)に示すソース・ドレイン電極105s,105dの形成は、ゲート絶縁層103にコンタクトホール107をフォトリソ法で設けた後に行って、第1TFTのドレイン電極105dと第2TFTのゲート電極102とを直列接続した。こうして比較例3の薄膜回路構造130を作製した。
[特性評価]
実施例1では、いずれのTFTも移動度が10±2(cm2/Vsec)となり、さらに、2つのTFT10A,10Bを組み合わせた薄膜回路は立ち上がりと立ち下がりの特性バランスの良い回路になっていることを確認した。実施例2では、実施例1と同等の移動度が得られたが、実施例1の場合よりもコンタクト抵抗がより小さくなったので、薄膜回路のバランスがさらに向上した。実施例3では、いずれのTFTも移動度が15±2(cm2/Vsec)となり、実施例1よりも高い結果が得られた。
実施例1では、いずれのTFTも移動度が10±2(cm2/Vsec)となり、さらに、2つのTFT10A,10Bを組み合わせた薄膜回路は立ち上がりと立ち下がりの特性バランスの良い回路になっていることを確認した。実施例2では、実施例1と同等の移動度が得られたが、実施例1の場合よりもコンタクト抵抗がより小さくなったので、薄膜回路のバランスがさらに向上した。実施例3では、いずれのTFTも移動度が15±2(cm2/Vsec)となり、実施例1よりも高い結果が得られた。
一方、比較例1では、アモルファスシリコン膜を成膜した逆スタガ型の第2TFT10Bで特性が得られず、薄膜回路を形成することができなかった。比較例2では、いずれのTFT10A,10Bも動作したが、第1TFT10A(ポリシリコン膜)の移動度が第2TFT10B(アモルファスシリコン膜)の移動度の100倍以上高く、バランスの悪い回路動作になった。比較例3では、薄膜回路を形成した場合にバランスの良い動作をしたが、コンタクトホールを形成するスペースが必要となり、専有面積が増大した。
1 基材
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4,4A,4B 酸化物半導体膜
5s ソース電極
5d ドレイン電極
6 画素電極
10 薄膜トランジスタ
10A 順スタガ型TFT
10B 逆スタガ型TFT
12 薄膜回路構造
14 有機EL装置
21 データ電極ライン
22 スキャン電極ライン
23 電源電極ライン
24 画素
25 TFT部
26 有機EL素子部
27 配線
28 配線
31 発光層
32 正孔注入輸送層
33 電子注入輸送層
34 陽極
35 陰極
VDD 電源配線ライン
GND グラウンド配線ライン
X,Y 面内方向
Z 積層方向
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4,4A,4B 酸化物半導体膜
5s ソース電極
5d ドレイン電極
6 画素電極
10 薄膜トランジスタ
10A 順スタガ型TFT
10B 逆スタガ型TFT
12 薄膜回路構造
14 有機EL装置
21 データ電極ライン
22 スキャン電極ライン
23 電源電極ライン
24 画素
25 TFT部
26 有機EL素子部
27 配線
28 配線
31 発光層
32 正孔注入輸送層
33 電子注入輸送層
34 陽極
35 陰極
VDD 電源配線ライン
GND グラウンド配線ライン
X,Y 面内方向
Z 積層方向
100A 逆スタガ型TFT
100B 順スタガ型TFT
101 基材
102 ゲート電極
103 ゲート絶縁膜
104 半導体膜
105s ソース電極
105d ドレイン電極
106 画素電極
107 コンタクトホール
108 コンタクトパッド
120 薄膜回路構造
130 有機EL装置
100B 順スタガ型TFT
101 基材
102 ゲート電極
103 ゲート絶縁膜
104 半導体膜
105s ソース電極
105d ドレイン電極
106 画素電極
107 コンタクトホール
108 コンタクトパッド
120 薄膜回路構造
130 有機EL装置
Claims (8)
- 基材上の面内方向に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極で少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタを有する薄膜回路装置であって、
前記2以上の薄膜トランジスタは、共通するゲート絶縁膜を有するとともに、該ゲート絶縁膜の下に第1の酸化物半導体膜が設けられた第1の薄膜トランジスタと、該ゲート絶縁膜の上に第2の酸化物半導体膜が設けられた第2の薄膜トランジスタとを有することを特徴とする薄膜回路構造。 - 前記第1及び第2の酸化物半導体膜がInGaZnO系半導体材料からなる、請求項1に記載の薄膜回路構造。
- 前記2以上の薄膜トランジスタのうち、一方の薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極と、他方の薄膜トランジスタのゲート電極とが、同一材料からなる連続膜として前記ゲート絶縁膜の上又は下に設けられている、請求項1又は2に記載の薄膜回路構造。
- インバータで構成されたゲート論理回路である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜回路構造。
- 基材上の面内方向に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極で少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタを有する薄膜トランジスタ素子部と、陽極及び陰極間に発光層を有する有機EL素子部と、を備えた有機EL装置であって、
前記2以上の薄膜トランジスタは、共通するゲート絶縁膜を有するとともに、該ゲート絶縁膜の下に第1の酸化物半導体膜が設けられた第1の薄膜トランジスタと、該ゲート絶縁膜の上に第2の酸化物半導体膜が設けられた第2の薄膜トランジスタとを有することを特徴とする有機EL装置。 - 前記第1及び第2の酸化物半導体膜がInGaZnO系半導体材料からなり、
前記2以上の薄膜トランジスタのうち、一方の薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極と、他方の薄膜トランジスタのゲート電極とが、同一材料からなる連続膜として前記ゲート絶縁膜の上又は下に設けられており、
当該ゲート絶縁膜上には、前記ソース電極又はドレイン電極と同一材料からなる連続膜として画素電極が設けられ、当該画素電極が前記有機EL素子部を構成する陽極又は陰極である、請求項5に記載の有機EL装置。 - 基材上の面内方向に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極で少なくとも構成された隣り合う2以上の薄膜トランジスタを有する薄膜回路構造の製造方法であって、
基材上に、前記薄膜トランジスタのうち第1の薄膜トランジスタを構成するソース電極及びドレイン電極をパターン形成すると共に、第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極をパターン形成する工程と、
前記第1の薄膜トランジスタを構成する第1の酸化物半導体膜を前記ソース電極及びドレイン電極間にパターン形成する工程と、
前記第1の薄膜トランジスタを構成する第1の酸化物半導体膜、前記ソース電極及びドレイン電極と、第2の薄膜トランジスタを構成する前記ゲート電極とを少なくとも覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の薄膜トランジスタを構成する第2の酸化物半導体膜を前記ゲート絶縁膜上にパターン形成する工程と、
前記第1の薄膜トランジスタを構成するゲート電極をパターン形成するとともに、前記第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極及びドレイン電極をパターン形成する工程と、を有し、
前記第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するソース電極又はドレイン電極と、前記第1又は第2の薄膜トランジスタを構成するゲート電極とを、同一材料からなる連続膜として前記ゲート絶縁膜の上又は下に設ける、ことを特徴とする薄膜回路構造の製造方法。 - 前記第1及び第2の酸化物半導体膜がInGaZnO系半導体材料からなる、請求項7に記載の薄膜回路構造の製造方法。
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