JP2011173947A - 樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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牧人 横江
Kohei Miyamoto
皓平 宮本
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Abstract

【課題】本発明は、無色透明性および流動性に極めて優れた樹脂組成物および該樹脂組成物を含む成形品を提供することを課題とする。
【解決手段】厚み2mmあたりの全光線透過率85%以上である透明性樹脂(a)100重量部に対して、アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位を含有することを特徴とする多分岐ポリエステル(b)を0.01〜30重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無色透明性および流動性に極めて優れた樹脂組成物および該樹脂組成物を含む成形品に関するものである。
ポリメタクリル酸メチルやポリカーボネートなどに代表される透明性樹脂は、その透明性を活かし、光学材料、家庭電気機器、OA機器および自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されている。
近年、これらの樹脂は特に光学レンズ、プリズム、ミラー、光ディスク、光ファイバー、液晶ディスプレイ用シートまたはフィルム、導光板などの、より高性能な光学材料にも幅広く使用されるようになっており、成形品への要求が技術の進歩とともに高くなり、より複雑形状のものが要求され、そのため流動性向上が望まれるようになってきた。
そこで優れた流動性を有する液晶性ポリマーとのアロイ化により流動性を改良する手法が様々検討されてきた。特許文献1〜3には、様々な透明性樹脂と液晶性ポリマーのアロイ化技術が開示されている。これらの手法を用いることにより、流動性の改良効果は発現するものの、アロイ化によりその透明性は低下する傾向を示す。
また特許文献4および5では、ポリカーボネート樹脂に直鎖ポリエステル樹脂を少量添加することにより流動性や剛性を向上させる技術が開示されているが、流動性向上効果は限定的であり、また透明性維持との両立という点で十分でない。
一方、非特許文献1ではポリカーボネート樹脂にハイパーブランチポリエステルをブレンドする手法が報告されているが、その効果については強度向上について記載されているものの、流動性の向上や透明性などについては不明である。さらに特許文献6では、透明樹脂に液晶性の樹状ポリエステルを添加し流動性向上を図る技術が開示されているが、その効果は十分であるとは言えず、幅広い技術分野で実用に供するためにはより高い効果を発現しうる技術が求められている。
特開2000−313798号公報 特開2000−313812号公報 特開2001−106916号公報 特開2005−220343号公報 特開2006−321987号公報 特開2008―88407号公報
Macromolecules,28,3124(1995)
本発明は、無色透明性および流動性に極めて優れた樹脂組成物および該樹脂組成物を含む成形品を提供することを課題とする。
発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する多分岐ポリエステルを透明性樹脂に添加した場合、その透明性を損なうことなく溶融粘度が顕著に低下することを見いだし、本発明に到達したものである。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)厚み2mmあたりの全光線透過率85%以上である透明性樹脂(a)100重量部に対して、アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位を含有する多分岐ポリエステル(b)を0.01〜30重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、
(2)前記多分岐ポリエステル(b)のアダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位が、分子を構成する全モノマー単位に対して10〜50モル%の範囲にあることを特徴とする第1項に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(3)前記多分岐ポリエステル(b)がアダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位と、少なくとも2つ以上のカルボニル基を含む脂肪族/芳香族カルボニル単位とから構成されることを特徴とする第1項または第2項のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4)前記多分岐ポリエステル(b)がアダマンタントリオキシ単位と脂肪族/芳香族ジカルボニル単位とから構成されることを特徴とする第1項〜第3項のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(5)前記透明樹脂(a)が、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、脂環式構造を有するポリオレフィン系重合体樹脂、透明ABS樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれるいずれかであることを特徴とする第1項〜第4項のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(6)第1項〜第5項のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
本発明によれば、流動性に優れ、かつ無色透明性を具備した樹脂組成物を提供することができる。本発明の樹脂組成物は、通常の射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた透明性を有する成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などに加工することが可能である。
本発明で用いられる透明性樹脂(a)は、厚み2mmあたりの全光線透過率85%以上である樹脂であれば特に限定はされない。本発明において透明性樹脂の全光線透過率(%)は、該透明性樹脂をガラス転移温度+100〜200℃のシリンダー設定温度、金型設定温度40℃で射出成形し、得られた70mm×70mm×2mmの成形品を、東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて23℃の温度条件で測定して得ることができる。
このような透明性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などのポリ(メタ)アクリレート樹脂、脂環式構造を有するポリオレフィン系重合体樹脂、グルタル酸無水物、グルタルイミド、マレイミドから選ばれる少なくとも一種の環構造を有する重合体樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、AS樹脂、透明ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、鎖状ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、透明ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、また、一般的なテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られる芳香族ポリイミドは全光線透過率が低いため好ましくないが、無色透明に近く、有機溶剤に可溶な変性ポリイミド類、例えば脂肪族ポリイミド、フッ素化ポリイミド等が挙げられる。これらの透明性樹脂は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性、機械特性の観点から、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、透明ABS樹脂、脂環式構造を有するポリオレフィン系重合体樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、特に好ましくはポリカーボネート樹脂である。
本発明で好ましく用いられるポリカーボネート樹脂とは、カーボネート結合を有する樹脂であり、例えば芳香族二価フェノール系化合物とホスゲン、または炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる熱可塑性樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、メチレンクロライド中1.0g/dlの濃度、20℃で測定した対数粘度が0.2〜3.0dl/g、特に0.3〜1.5dl/gの範囲ものが好ましく用いられる。ここで二価フェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用でき、これら単独あるいは混合物として使用することができる。
ポリカーボネートの末端基量については特に規定されないが、本発明の効果をより発現させるためには、フェノール性末端基(E)と非フェノール性末端基(E)の当量比(E)/(E)が1/19以下であるポリカーボネート樹脂を用いることが好ましく、より好ましくは1/40以下であり、さらに好ましくは1/70以下である。ポリカーボネート樹脂の末端基の測定は、例えば、ポリカーボネート樹脂を酢酸酸性塩化メチレンに溶解し、四塩化チタンを加え、生成した赤色錯体を546nmで測光定量して行える。
また本発明で好ましく用いられるポリ(メタ)アクリレート樹脂とは、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種の単量体を構成単位とするものであり、2種以上の単量体を共重合して用いても構わない。ポリ(メタ)アクリレートを構成するに使用されるアクリレートおよびメタクリレートとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、トリフルオロエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸が挙げられ、これらは1種または2種以上を併用してもよく、より高い高温剛性を付与するには、メタクリル酸メチルが好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートとしてポリメタクリル酸メチルを用いる場合、樹脂の分子量に特に制限はないが、良好な機械特性を得るために好ましくは5千以上、さらに1万以上であることがより好ましく、成形時の良好な流動性を得るためには上限としては50万以下であることが好ましい。ここでいう分子量とは、公知の分子量測定方法、例えばGPCで測定して求めた数平均分子量をいう。
本発明で好ましく用いられる透明ABS樹脂とは、ゴム質重合体により耐衝撃性が付与されたスチレン系共重合体を含有する樹脂であり、なかでも、ゴム質重合体に、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体;及び、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物の共重合体を用いることが好ましい。
特に、(1)ビニル系単量体混合物を共重合してなる共重合体10〜95重量部、および、(2)ゴム質重合体の存在下に(3)ビニル系単量体混合物をグラフト重合してなるゴム質含有グラフト共重合体90〜5重量部からなるゴム強化スチレン系樹脂が好ましく、ここで、(1)ビニル系単量体混合物は、芳香族ビニル系単量体5〜70重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体30〜95重量%、シアン化ビニル系単量体0〜50重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜50重量%からなる単量体組成を有し、かつ、不飽和カルボン酸系単量体(但し不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を除く)を実質的に含有しない単量体混合物であることが好ましい。
芳香族ビニル系単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレン等が挙げられるが、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
シアン化ビニル系単量体の例として、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタクリロニトリル等が挙げられるが特にアクリロニトリルが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
また、これらと共重合可能な他の単量体の例としては、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、アクリルアミド等の不飽和アミドなどが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
また(2)ゴム質重合体としては特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが例示され、具体的には、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレンージエンラバー、ポリ(エチレン−イソブチレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−アクリル酸エチル)などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用される。なかでもポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴムが耐衝撃性改善効果の点から特に好ましく用いられる。
このゴム質重合体(b)の重量平均粒子径は、得られる透明ABS樹脂の耐衝撃性、成形加工性、外観の点から0.1〜1.5μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.15〜1.2μmである。
ゴム質含有グラフト共重合体のグラフト成分の重合原料となる(3)ビニル系単量体混合物の組成は特に制限は無いが、得られる透明ABS樹脂の透明性および耐衝撃性と剛性との物性バランスの点から、芳香族ビニル系単量体5〜70重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体30〜95重量%、シアン化ビニル系単量体0〜50重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜50重量%を含有してなることが好ましい。この(3)ビニル系単量体混合物を構成する単量体組成は、前記した(1)ビニル系単量体混合物と同一であっても異なっていてもよい。
ゴム質含有グラフト共重合体の極限粘度は特に制限はないが、0.05〜1.2dl/gが耐衝撃性および成形性のバランスの点から好ましく、さらには0.1〜0.7dl/gがより好ましい。
このゴム質含有グラフト共重合体は、(2)ゴム質重合体の存在下に、(3)ビニル系単量体混合物をグラフト重合してなるものであるが、(3)ビニル系単量体混合物全量がグラフトしている必要はなく、通常はグラフトしていない共重合体との混合物として得られたものを使用する。この混合物は、本来は組成物であるが、本発明においては便宜上まとめてゴム質含有グラフト共重合体という。ゴム質含有グラフト共重合体のグラフト率に制限はないが、耐衝撃性の点から好ましくは5〜150重量%、より好ましくは10〜100重量%のものが使用される。
ゴム質含有グラフト共重合体中の(2)ゴム質重合体の割合は、得られる樹脂組成物の機械的強度および成形性の観点から好ましくは5〜80重量部であり、より好ましくは20〜70重量部である。
ゴム質含有グラフト共重合体製造時のグラフト重合の方法としては制限ないが、公知の乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法等の任意の方法により製造でき、好ましくは乳化重合法または塊状重合法で製造される。なかでも、過度の熱履歴によるゴム成分の劣化および着色を抑制するため、乳化重合法で製造されることが最も好ましい。
本発明で好ましく用いられる脂環式構造を有するポリオレフィン系重合体樹脂とは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂などが挙げられる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン系単量体、または、ノルボルネン系単量体と、ノルボルネン系単量体と共重合可能な単量体との開環重合体、付加重合体、または、これらの重合体の変性体などの水素添加重合体が挙げられる。
ノルボルネン系単量体とは、1つ以上のシクロペンタジエンとオレフィンの付加体であり、その水素をアルキル基、アルキリデン基、芳香族基、ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基などで置換されていてもよい。具体的にはノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン)、トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセンおよびそれらの置換体が挙げられ、具体例として、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン)、5−メチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、6−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−シアノビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどを挙げることができる。これらのノルボルネン系単量体は1種または2種以上の共重合体として用いることができる。
また、ノルボルネン系単量体と共重合可能な単量体としては、各種のオレフィンを挙げることができる。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、スチレン、ブタジエン、ペンタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリロニトリル、クロロプレン、アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、無水マレイン酸、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられる。これらの単量体は1種または2種以上を共重合可能な単量体として用いることができる。ノルボルネン系単量体、またはノルボルネン系単量体とノルボルネン系単量体と共重合可能な単量体との開環重合、付加重合は公知の方法を使用できる。
開環重合触媒としては、ノルボルネン系単量体を開環重合せしめる触媒であれば特に制限はないが、通常IVB族〜VIII族の遷移金属を中心金属とする遷移金属触媒とIA〜IVA族の有機金属化合物の組み合わせを使用することができる。通常IVB族〜VIII族の遷移金属としては、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウムを用いることができるが、好ましくは塩化タングステン、塩化モリブデンが挙げられる。また、IA〜IVA族の有機金属化合物を用いることができ、好ましくはトリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、テトラメチルスズ、テトラフェニルスズ、n−ブチルリチウムなどが挙げられる。
具体的には、開環重合としては、例えば、塩化タングステン、塩化モリブデンなどの触媒とn−ブチルリチウム、ジエチルアルミニウムクロライドなどの有機金属化合物の存在下、あるいはルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などの白金族触媒の存在下に行うことができる。開環重合の場合、共重合できる単量体としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィンが挙げられる。
ノルボルネン系単量体、またはノルボルネン系単量体と共重合可能な単量体との開環重合体は、耐酸化安定性を向上するために水素添加体とすることが望ましい。水素添加する方法は公知の方法を使用することができ、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、ニッケルなどの不均一系触媒存在下、常圧〜200気圧の水素ガス雰囲気下、室温〜200℃で行うことができる。
付加重合触媒としては、オレフィンの付加重合をせしめる触媒であれば特に制限はないが、通常IVB族〜VIII族の遷移金属を中心金属とする遷移金属触媒とIA〜IVA族の有機金属化合物の組み合わせを使用することができる。IVB族〜VIII族の遷移金属としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムを中心とする遷移金属触媒を用いることができるが、好ましくは、三塩化チタン、四塩化チタン、あるいはチタン、ジルコニウム、ハフニウムを中心金属とするメタロセン触媒を用いることができる。IA〜IVA族の有機金属化合物としては、リチウム、アルミニウム、スズを中心金属とする有機金属化合物などが挙げられるが、好ましくはトリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、テトラメチルスズ、テトラフェニルスズ、n−ブチルリチウム、メチルアルミノキサンなどが挙げられる。
具体的には、付加重合としては、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属錯体触媒とトリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、n−ブチルリチウムなどの有機金属化合物の存在下に行うことができる。付加重合の場合、共重合できる単量体としては、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンが挙げられる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、重量平均分子量が2万〜40万が好ましく、5万〜30万がより好ましい。重量平均分子量は、例えば、トルエン溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
本発明で好ましく用いられるアクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸から選ばれる重合体またはそれらの共重合体などを挙げることができる。
本発明で好ましく用いられるポリエステル樹脂とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ−L−乳酸、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−4,4’−ジカルボキシレート/テレフタレートなどが挙げられ、特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレートである。
より好ましいものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが挙げられ、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートであるが、これらのポリエステル樹脂は成形性、耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
本発明で用いられる多分岐ポリエステルは、アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位を含有することを特徴とする。ここでいう多分岐ポリエステルとは、繰り返し単位に枝分かれ構造を有するポリエステルのことを指す。枝分かれ構造が規則正しくかつ等方的である場合、その多分岐ポリマーは特にデンドリマーと定義され、枝分かれ構造が不規則あるいは異方的である場合はハイパーブランチポリマーと定義される。本発明における多分岐ポリエステルは、繰り返し単位間がエステル結合で連結されたデンドリマーおよびハイパーブランチポリマーを含有する。また本発明におけるアダマンタン構造とは、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン構造を意味し、アダマンタンジオキシ単位とは、アダマンタン構造において環を構成する炭素原子に結合している水素原子のいずれか2つが酸素原子で置換された構造単位である。同様にアダマンタントリオキシ単位とは水素原子のいずれか3つが酸素原子で置換された構造単位を意味する。前記構造単位において、置換された酸素原子は環を構成するどの炭素原子に結合していても良く、アダマンタンジオキシ単位としては、例えば1,2−アダマンタンジオキシ、1,3−アダマンタンジオキシ、1,4−アダマンタンジオキシ、2,2−アダマンタンジオキシ単位が挙げられ、その中でも1,3−アダマンタンジオキシ単位が望ましい。アダマンタントリオキシ単位としては、例えば1,2,3−アダマンタントリオキシ、1,2,4−アダマンタントリオキシ、1,3,5−アダマンタントリオキシなどが挙げられ、その中でも1,3,5−アダマンタントリオキシ単位が好ましい。
また前記構造単位において、アダマンタン環を構成する炭素原子は置換基を有していても良く、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基などの分岐または直鎖アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などの環状アルキル基、フェニル、ナフチル基などの芳香族基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ基などのアルコキシ基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基などのアシル基、トリメチルシロキシ、tert-ブチルジメチルシロキシ基などのシロキシ基、トリメチルシリル基などのシリル基、ニトロ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
本発明の多分岐ポリエステルにおいて、アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位は、カルボニル基を含む他の多分岐ポリエステル構成単位とエステル結合を形成しており、アダマンタンジオキシ単位およびアダマンタントリオキシ単位は、多分岐ポリエステルを構成する全モノマー単位に対して10〜50モル%の範囲にあることが望ましい。さらに好ましくは20〜50モル%である。この時、多分岐ポリエステルの分子形態は球状となりやすく、熱可塑性樹脂に添加した場合の流動性向上効果が得られやすい。分子形態の評価は、例えば高分子の固有粘度と分子量との関係を示すMark−Houwink−Sakurada式([η]=KMα、[η]:固有粘度、K、α:高分子の種類・溶媒などにより決定する定数、M、平均分子量を表す)における定数αの値を求めることにより可能である。αの値は例えば示差屈折検出器、光散乱検出器および差圧粘度検出器を備えたGPCにおいて、分子量と固有粘度との関係を求めることにより算出することが可能であり、最大値は通常1であり、最小値は0である。αの値が小さいほど分子形態は剛体球状に近いと見なすことができ、直鎖高分子化合物においては、通常0.5〜1.0の範囲にある。
ここで、多分岐ポリエステルを構成するモノマー単位とは、多分岐ポリエステル中に含まれる主鎖を構成するエステル結合をカルボニル炭素と酸素原子間で切断した場合に生成する分子構造のことを指し、多分岐ポリエステルを構成する全モノマー単位に対するアダマンタンジオキシ単位およびアダマンタントリオキシ単位含有量の下限値は0モル%、上限値は50モル%である。
本発明の多分岐ポリエステルにおいて、アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位とエステル結合を形成しうるカルボニル単位を含む多分岐ポリエステル構成単位は、少なくとも2つ以上のカルボニル基を含む脂肪族/芳香族カルボニル単位である。2つのカルボニル基を有する単位(以下ジカルボニル単位と称する)としては、1,2−エチレンジカルボニル単位、1,3−プロピレンジカルボニル単位、1,4−ブチレンジカルボニル単位、1,6−ヘキサメチレンジカルボニル単位、1,8−オクタメチレンジカルボニル単位、1,10−デカメチレンジカルボニル単位などのアルキレンジカルボニル単位や1,2−シクロペンタンジカルボニル単位、1,3−シクロペンタンジカルボニル単位、1,2−シクロヘキサンジカルボニル単位、1,3−シクロヘキサンジカルボニル単位、1,4−シクロヘキサンジカルボニル単位、1,2−ノルボルナンジカルボニル単位、1,3−アダマンタンジカルボニル単位などの脂環式ジカルボニル単位、1,2−ベンゼンジカルボニル単位、1,3−ベンゼンジカルボニル単位、1,4−ベンゼンジカルボニル単位、1,2−ナフタレンジカルボニル単位、1,3−ナフタレンジカルボニル単位、1,4−ナフタレンジカルボニル単位、1,5−ナフタレンジカルボニル単位、1,8−ナフタレンジカルボニル単位、2,3−ナフタレンジカルボニル単位、2,6−ナフタレンジカルボニル単位などの芳香族ジカルボニル単位が例示される。この中で、好ましくは1,2−エチレンジカルボニル単位、1,2−シクロヘキサンジカルボニル単位、1,2−ベンゼンジカルボニル単位、1,2−ナフタレンジカルボニル単位が用いられる。また、3つのカルボニル基を有する単位(以下トリカルボニル単位と称する)としては、1,2,4−ブタントリカルボニル単位、1,3,5−ペンタントリカルボニル単位などの脂肪族トリカルボニル単位、1,2,4−シクロペンタンジカルボニル単位、1,2,4−シクロヘキサントリカルボニル単位、1,3,5−シクロヘキサントリカルボニル単位、1,3,5−アダマンタントリカルボニル単位などの脂環式トリカルボニル単位、1,2,4−ベンゼントリカルボニル単位、1,3,5−ベンゼントリカルボニル単位、1,2,4−ナフタレントリカルボニル単位、1,2,6−ナフタレントリカルボニル単位、2,3,6−ナフタレントリカルボニル単位、1,4,5−ナフタレントリカルボニル単位などの芳香族トリカルボニル単位が挙げられ、好ましくは1,2,4−シクロヘキサントリカルボニル単位、1,2,4−ベンゼントリカルボニル単位が好ましい。
本発明の多分岐ポリエステルがアダマンタンジオキシ単位のみと、カルボニル基を含む脂肪族/芳香族カルボニル単位から構成される場合、脂肪族/芳香族カルボニル単位中に、トリカルボニル単位が含まれている必要があり、脂肪族/芳香族カルボニル単位はトリカルボニル単位単独で構成されてもジカルボニル単位との混合により構成されていても良い。脂肪族/芳香族カルボニル単位がジカルボニル単位とトリカルボニル単位との混合により構成される場合、ジカルボニル単位が全カルボニル単位に占める割合は1〜95モル%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは10〜80モル%である。多分岐ポリエステルがアダマンタントリオキシ単位のみと、脂肪族/芳香族カルボニル単位とから構成される場合、脂肪族/芳香族カルボニル単位は限定されず2つ以上カルボニル基を有するカルボニル単位で構成され、好ましくは脂肪族/芳香族ジカルボニル単位とから構成される。
本発明の多分岐ポリエステルは、重量平均分子量1,000〜300,000の範囲にあり、1,000未満の場合はアダマンタン構造の分子形態に起因する効果が小さくなり、また300,000を超えると分子サイズが大きくなり熱可塑性樹脂に添加した場合の良流動化効果が低下する。好ましくは1,500〜150,000の範囲であり、更に好ましくは2,000〜100,000の範囲である。ここで、多分岐ポリエステルの重量平均分子量は多分岐ポリエステルが溶解する溶媒、例えば1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトンなどを溶離液として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定でき、分子量既知の標準高分子化合物(通常、ポリスチレンやポリメタクリル酸メチルが用いられる)を測定した際の分子量と溶出時間とから算出した関係式を用い分子量を決定することができる。また、光散乱検出器を用いて絶対分子量を測定することもできる。
本発明における上記多分岐ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位に対応するヒドロキシル化合物と、脂肪族/芳香族カルボニル単位に対応するカルボン酸または環状カルボン酸無水物とを塊状あるいは溶媒中で加熱し反応せしめる方法が好ましく採用される。例えば、1,3,5−アダマンタントリオールと1,2−シクロヘキサンカルボン酸無水物とを無溶媒で混合し、加熱溶融して反応を行う方法が挙げられる。
重縮合反応の際、反応を促進する目的で、全モノマー単位に対し0.001〜2モル%の範囲、好ましくは0.05〜1.0モル%の範囲で遷移金属化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類金属化合物などの金属化合物触媒や、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸および有機スルホン酸化合物や有機リン酸化合物などのプロトン酸触媒を用いることができる。金属化合物触媒としてはチタン、亜鉛、スズ、鉛、アンチモン、ハフニウム、スカンジウム、サマリウム、イッテルビウムなどの酸化物、アルコキシド、酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩などが好ましく用いられ、無機酸としては硫酸、リン酸が好ましく、有機プロトン酸としてはp−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸などが好適であり、これらの中でも特にp−トルエンスルホン酸が好ましい。
アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位に対応するヒドロキシル化合物と、脂肪族/芳香族カルボニル単位に対応するカルボン酸または環状カルボン酸無水物との重縮合反応において、ヒドロキシル化合物とカルボン酸または環状カルボン酸無水物は等モル量用いられるが、重合反応や多分岐ポリエステル末端の制御のため1:2〜2:1の範囲で一方を過剰に用いても良い。
溶融重縮合法により重合を行う場合、重合温度は100〜250℃の範囲であり、好ましくは120〜200℃である。重縮合させるときは常圧窒素下でも問題ないが、減圧すると反応が早く進むため好ましい。減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜300mmHg(40.1kPa)であり、好ましくは5mmHg(668Pa)〜150mmHg(20.1kPa)である。
本発明の樹脂組成物における多分岐ポリエステル(b)の添加量は透明性樹脂(a)100重量部に対して、0.01〜30重量部である。好ましくは0.1〜20重量部であり、特に好ましくは0.3〜10重量部である。添加量が上記範囲においては、本発明の効果が顕著に得られるために好ましい。
本発明の樹脂組成物における多分岐ポリエステル(b)の分散粒径は1〜200nmであることが好ましく、特に好ましくは1〜100nmである。分散粒径が200nmを越える場合には本発明の特徴である優れた透明性を発現することが困難となるため好ましくなく、1nm未満の場合には流動性の向上効果が小さくなるため好ましくない。
本発明の樹脂組成物において多分岐ポリエステル(b)の分散粒径は以下の要領で測定することができる。透明性樹脂(a)のガラス転移温度+100℃〜200℃のシリンダー設定温度で射出成形し、得られた成形品の成形表面より500nm内部から80nmの薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で倍率10000倍にて観察して得られた写真中から無作為に分散粒子100ヶを選択して画像処理ソフト「Scion Image」(Scion Corporation社製)を用いて、各々の粒子の最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それら100ヶの数平均として求めることができる。
本発明の樹脂組成物においては、機械強度その他の特性を付与するために、透明性を損なわない程度に充填材を配合することが可能である。充填材は特に限定されるものでないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などのいずれの充填剤も使用することができる。充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、ワラステナイトウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、セラミックビ−ズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスフレーク、ガラス粉、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材、およびモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性雲母に代表される層状珪酸塩が用いられる。層状珪酸塩は層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩であってもよく、有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好んで用いられる。アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。1級アンモニウムイオンとしてはデシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。これらのアンモニウムイオンの中でも、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、12−アミノドデカン酸から誘導されるアンモニウムイオンなどが好ましい。層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩は、交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩と有機オニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。これら充填剤の中で好ましくはガラス繊維、タルク、ワラステナイト、およびモンモリロナイト、合成雲母などの層状珪酸塩であり、特に好ましくはガラス繊維である。また、上記の充填剤は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。本発明で用いられるガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。またガラス繊維は弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。充填材の配合量は、樹脂組成物100重量部に対し、通常0.1〜100重量部であり、好ましくは1〜50重量部である。
更に本発明においては、熱安定性を保持するために、フェノール系、リン系化合物の中から選ばれた1種以上の耐熱剤を、透明性を損なわない程度に含有せしめることができる。かかる耐熱剤の配合量は、耐熱改良効果の点から本発明の樹脂組成物100重量部に対して、0.01重量部以上、特に0.02重量部以上であることが好ましく、成形時に発生するガス成分の観点からは、5重量部以下、特に1重量部以下であることが好ましい。また、フェノール系及びリン系化合物を併用して使用することは、特に耐熱性、熱安定性、流動性保持効果が大きく好ましい。
フェノール系化合物としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましく用いられ、具体例としては、トリエチレングリコール−ビス[3−t−ブチル−(5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。
中でも、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが好ましく用いられる。
次にリン系化合物としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビスフェニレンホスファイト、ジ−ステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、3,5−ジーブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネートジエチルエステルなどが挙げられる。中でも、樹脂のコンパウンド中に耐熱材の揮発や分解を少なくするために、融点が高いものが好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物には、更に紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(ステアリン酸、モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、本発明に用いられる樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、樹脂の溶融温度以上で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましい。混練方法としては、1)透明性樹脂、樹状ポリエステル樹脂を一括混練する方法、2)透明性樹脂に多分岐ポリエステルを高濃度に含む樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように該樹脂組成物、透明性樹脂を添加し溶融混練する方法(マスターペレット法)などを例示することができ、どのような混練方法を用いてもかまわない。
本発明の樹脂組成物は、優れた流動性を有するため加工性が高く、通常公知の射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、シート、繊維などとして利用でき、フィルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用することができる。特に、本発明においては流動性に優れる点を活かして、自動車部品等の大型射出成形品や厚み0.01〜1.0mmの薄肉部位を有する射出成形品に加工することが可能である。
かくして本発明の樹脂組成物を加工して得られる成形品は、その優れた透明性を活かして、電気電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、一般雑貨など種々の用途に用いることができる。
本発明の成形品は、特に透明性に優れている点から、映像機器関連部品としてカメラ、VTR、プロジェクションTV等の撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ等、光記録または光通信関連部品として各種光ディスク基板、各種ディスク基板保護フィルム、光ディスクプレイヤーピックアップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクター等、情報機器関連部品として、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの導光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、ピックアップレンズ、タッチパネル用導電フィルム、カバー等、自動車等の輸送機器関連部品として、テールランプレンズ、ヘッドランプレンズ、インナーレンズ、アンバーキャップ、リフレクター、エクステンション、サイドミラー、ルームミラー、サイドバイザー、計器針、計器カバー、窓ガラスに代表されるグレージング等、医療機器関連部品として、眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、コンタクトレンズ、内視鏡、分析用光学セル等、建材関連部品として、採光窓、道路透光板、照明カバー、看板、透光性遮音壁、バスタブ用材料等、の用途にとって極めて有用である。
本発明の樹脂組成物およびそれからなる成形品は、リサイクルすることが可能である。例えば、樹脂組成物およびそれからなる成形品を粉砕し、好ましくは粉末状とした後、必要に応じて添加剤を配合して得られる樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物と同じように使用でき、成形品とすることも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(参考例1)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3,5−アダマンタントリオール2.76g(15.0mmol)、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物2.31g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら180℃で2時間反応させた。その後、重合温度を180℃に保持したまま30分で200mmHg(26.7kPa)に、さらに30分かけて100mmHg(13.4kPa)に減圧した。その後1時間で40mmHg(5.35kPa)に減圧し、さらに1時間かけて5mmHg(668Pa)まで減圧した後、窒素パージと加熱停止により重合反応を停止した。内容物を少量のクロロホルムに溶解し、エタノール中に滴下することにより生成した沈殿物を吸引ろ過により回収し、エタノールおよび水で洗浄した。その後、真空加熱乾燥機を用いて50℃で16時間乾燥し多分岐ポリエステルA−1を収率94%で得た。
得られた多分岐ポリエステルについて、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(5mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有)を移動層としたGPC−MALS(ゲル浸透クロマトグラフィー−多角度光散乱)により分子量を測定したところ、重量平均分子量は34,200であった。またアダマンタン単位の含有量を共鳴周波数400MHzのプロトン核磁気共鳴(H−NMR、Jasco製)により測定したところ、48モル%であった。H−NMR測定は、多分岐ポリエステルが溶解する重水素か溶媒(例えば、化学シフト標準物質としてトリメチルシランを0.03重量%含有した重水素化クロロホルムまたは重水素化アセトン溶媒)を用いて25℃で行い、アダマンタン構造に由来するピーク面積の、全モノマー単位のピーク面積に対する比率から全モノマー単位に対するアダマンタン単位のモル比率を百分率で算出し、小数点以下を四捨五入しアダマンタン単位含有量とした。また、Mark−Houwink−Sakurada式におけるαの値は、アセトンを移動層として、差圧粘度検出器(Wyatt製Viscostar)、多角度光散乱検出器(Wyatt製DAWN HELEOS)および示差屈折検出器(Wyatt製Optilab rEX)を備えたGPCにより25℃における固有粘度と重量平均分子量との関係を求め、Mark−Houwink−Sakurada式により決定し、その値は0.19であった。
(参考例2)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3,5−アダマンタントリオール1.38g(7.49mmol)、1,3−アダマンタンジオール1.26g(7.49mmol)、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物2.31g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、実施例1と同様の方法で重縮合反応を行い、多分岐ポリエステルA−2を収率90%で得た。重量平均分子量22,500、アダマンタン含有量は27%、αの値は0.22であった。
(参考例3)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3,5−アダマンタントリオール1.38g(7.49mmol)、グリセロール0.69g(7.49mmol)、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物2.31g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、実施例1と同様の方法で重縮合反応を行い、多分岐ポリエステルA−3を収率91%で得た。重量平均分子量30,100、アダマンタン含有量は26%、αの値は0.25であった。
(参考例4)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3,5−アダマンタントリオール0.83g(4.51mmol)、グリセロール0.97g(10.5mmol)、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物2.31g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、実施例1と同様の方法で重縮合反応を行い、多分岐ポリエステルA−4を収率88%で得た。重量平均分子量18,500、アダマンタン含有量は11%、αの値は0.28であった。
(参考例5)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3,5−アダマンタントリオール2.76g(15.0mmol)、無水フタル酸2.22g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、実施例1と同様の方法で重縮合反応を行い、多分岐ポリエステルA−5を収率95%で得た。重量平均分子量38,900、アダマンタン含有量は49%、αの値は0.21であった。
(参考例6)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3−アダマンタンジオール2.52g(15.0mmol)、無水トリメリット酸2.88g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら180℃で2時間反応させた。その後、重合温度を180℃に保持したまま30分で200mmHg(26.7kPa)に、さらに30分かけて100mmHg(13.4kPa)に減圧した。その後1時間で40mmHg(5.35kPa)に減圧した後、窒素パージと加熱停止により重合反応を停止した。内容物を少量のアセトンに溶解し、水中に滴下することにより生成した沈殿物を吸引ろ過により回収し、水で洗浄した。その後、真空加熱乾燥機を用いて50℃で16時間乾燥し多分岐ポリエステルA−6を収率88%で得た。重量平均分子量40,500、アダマンタン含有量は47%、αの値は0.29であった。
(参考例7)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3−アダマンタンジオール1.26g(7.49mmol)、エチレングリコール0.47g(7.51mmol)、無水トリメリット酸2.88g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、実施例6と同様の方法で重縮合反応を行い、多分岐ポリエステルA−7を収率85%で得た。重量平均分子量32,100、アダマンタン含有量は22%、αの値は0.31であった。
(参考例8)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3−アダマンタンジオール0.76g(4.52mmol)、エチレングリコール0.652g(10.5mmol)、無水トリメリット酸2.88g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、実施例6と同様の方法で重縮合反応を行い、多分岐ポリエステルA−8を収率81%で得た。重量平均分子量26,700、アダマンタン含有量は12%、αの値は0.35であった。
(参考例9)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器にエチレングリコール0.93g(15.0mmol)、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物2.31g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら180℃で2時間反応させた。その後、重合温度を180℃に保持したまま1時間で200mmHg(26.7kPa)に、さらに1時間かけて100mmHg(13.4kPa)に減圧した。その後30分で40mmHg(5.35kPa)に減圧し、さらに1時間かけて5mmHg(668Pa)まで減圧した後、窒素パージと加熱停止により重合反応を停止した。内容物を少量のクロロホルムに溶解し、エタノール中に滴下することにより生成した沈殿物を吸引ろ過により回収し、エタノールおよび水で洗浄した。その後、真空加熱乾燥機を用いて50℃で16時間乾燥しポリエステルB−1を収率81%で得た。重量平均分子量18,300、アダマンタン含有量は0%、αの値は0.69であった。
(参考例10)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器にグリセロール1.38g(15.0mmol)、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物2.31g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、比較例1と同様の方法で重縮合を行い、多分岐ポリエステルB−2を収率84%で得た。重量平均分子量28,000、アダマンタン含有量は0%、αの値は0.48であった。
(参考例11)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器に1,3−アダマンタンジオール2.52g(15.0mmol)、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物2.31g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、比較例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステルB−3を収率85%で得た。重量平均分子量19,300、アダマンタン含有量は0%、αの値は0.71であった。
(参考例12)
攪拌翼および留出管を備えた100mLの反応容器にエチレングリコール0.93g(15.0mmol)、トリメリット酸無水物2.88g(15.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.017g(0.09mmol)を仕込み、比較例1と同様の方法で重縮合を行い、多分岐ポリエステルB−4を収率80%で得た。重量平均分子量16,800、アダマンタン含有量は0%、αの値は0.47であった。
Figure 2011173947
(実施例1〜13、比較例1〜5)
下に示す各成分を表2に記載の各割合でドライブレンドした後、押出機メインフィーダーより供給し、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機で、シリンダー設定温度300℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行い、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットは120℃で4時間熱風乾燥したペレットを用い、シリンダー温度300℃、金型温度70℃に設定して射出成形(住友重機社製SG75H−MIV)により試験片を調製した。得られたペレットおよび試験片は下記(1)〜(3)の評価を行い、その結果を表2に示した。
(1)多分岐ポリエステルの分散粒径
多分岐ポリエステルの分散粒径は以下の要領で測定した。住友重機社製SG75H−MIVを使用し、透明性樹脂(a)のガラス転移温度+100℃〜200℃のシリンダー設定温度、金型設定温度40℃で射出成形し、得られた70mm×70mm×2mm成形品の成形表面より500nm内部から80nmの薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で倍率10000倍にて観察して得られた写真中から無作為に選ばれた分散粒子100ヶについて画像処理ソフト「Scion Image」(Scion Corporation社製)を用いて、各々の粒子の最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それら100ヶの数平均として求めた。
(2)透明性
得られた熱可塑性樹脂を透明性樹脂(a)のガラス転移温度+100℃〜200℃のシリンダー設定温度、金型設定温度40℃で住友重機社製SG75H−MIVを用いて射出成形し、得られた70mm×70mm×2mmの成形品を東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて、23℃の温度条件で測定した。透過率が大きいほど透明性に優れることを示している。
(3)溶融粘度
キャピログラフ(東洋精機製)により、用いた透明性樹脂(a)のガラス転移温度+100℃〜200℃の測定温度において、L10mm×D1mmのキャピラリーを用いて測定し、せん断速度100/sの値である。溶融粘度が小さいほど流動性に優れることを示している。
Figure 2011173947
表2から明らかなように、本発明の要件を満たさない比較例においては、透明性が低下し、また溶融粘度低下による流動性の向上が発現しないのに対して、本発明の要件を満たす実施例においては透明性の低下を抑制しつつ流動性が向上していることが分かる。
(実施例14〜17、比較例6〜13)
下に示す各成分を表3に記載の各割合でドライブレンドした後、押出機メインフィーダーより供給し、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機で、表3に示すシリンダー設定温度、スクリュー回転数200rpmに設定して溶融混練を行い、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットは80℃で12時間減圧乾燥したペレットを用い、射出成形(住友重機社製SG75H−MIV、表3に示すシリンダー温度、金型温度40℃)により試験片を調製し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果は表3に示すとおりである。比較例と比較して本実施例は透明性の低下を抑制しながら、大幅に溶融粘度を低下し流動性が向上していることがわかる。
Figure 2011173947
本発明の実施例および比較例に用いた透明性樹脂(a)は以下の通りである。
A−1:ガラス転移温度145℃、全光線透過率89%のポリカーボネート樹脂(“タフロン”A2600;出光興産製)
A−2:ガラス転移温度118℃、全光線透過率92%のアクリル樹脂(“スミペックス”MHF;住友化学製)
A−3:ガラス転移温度103℃、全光線透過率87%の透明ABS樹脂(“トヨラック”透明グレード920:東レ製)(透明ABS樹脂は、ゴム質重合体とスチレン系共重合体からなる樹脂であるため複数のガラス転移温度を有するが、マトリックスであるスチレン系共重合体のガラス転移温度103℃により透明ABS樹脂の溶融加工温度を決定した。)
A−4:ガラス転移温度163℃、全光線透過率92%の環状ポリオレフィン樹脂(“ゼオノア”1600R;日本ゼオン製)
A−5:ガラス転移温度70℃、全光線透過率87%、固有粘度1.27、カルボキシル末端基量14eq/tのポリエチレンテレフタレート樹脂。
同様に、多分岐ポリエステル(b)は以下の通りである。
B−1:参考例1
B−2:参考例2
B−3:参考例3
B−4:参考例4
B−5:参考例5
B−6:参考例6
B−7:参考例7
B−8:参考例8
B−9:参考例9
B−10:参考例10
B−11:参考例11
B−12:参考例12
また実施例および比較例で使用した添加剤は以下の通りである。
C−1:アデカ製“アデカスタブ”AX−71

Claims (6)

  1. 厚み2mmあたりの全光線透過率85%以上である透明性樹脂(a)100重量部に対して、アダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位を含有する多分岐ポリエステル(b)を0.01〜30重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記多分岐ポリエステル(b)のアダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位が、分子を構成する全モノマー単位に対して10〜50モル%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記多分岐ポリエステル(b)がアダマンタンジオキシ単位またはアダマンタントリオキシ単位と、少なくとも2つ以上のカルボニル基を含む脂肪族/芳香族カルボニル単位とから構成されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記多分岐ポリエステル(b)がアダマンタントリオキシ単位と脂肪族/芳香族ジカルボニル単位とから構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記透明樹脂(a)が、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、脂環式構造を有するポリオレフィン系重合体樹脂、透明ABS樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013147537A (ja) * 2012-01-17 2013-08-01 Sumitomo Bakelite Co Ltd 重合体、膜形成用組成物、絶縁膜、半導体装置および重合体の製造方法

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