JP2011171696A - 電子装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低背化が容易な電子装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 上面に電子部品4を収容するための凹部2を有し、凹部2の底面から外表面にかけて配置された配線導体3を有する絶縁基体1と、板状の本体5の一方主面に電極6を有し、一方主面が下向きになって凹部2内に収容されているとともに、電極6が配線導体3に電気的に接続された電子部品4とを備えており、凹部2の内側面の高さ方向の一部が電子部品4の側面を取り囲むように張り出しているとともに、この張り出した部分1aの先端が電子部品4の側面の全周にわたって接合されて電極6が気密封止されている電子装置である。張り出した部分1aの電子部品4への接合により電極6を気密封止できるため、凹部2を浅くすることができるとともに蓋体が不要であり、低背化が容易である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子部品の板状の本体の一方主面に配置された電極が気密封止されてなる電子装置およびその製造方法に関するものであり、特に低背化が容易な電子装置およびその製造方法に関するものである。
半導体素子や容量素子,SAW(表面弾性波)フィルタ等の電子部品は、一般に、半導体材料やセラミック圧電材料等からなる板状の本体の一方主面に外部接続用の電極が配置されている。このような電子部品は、セラミック焼結体等からなる絶縁基体の上面に凹部を有し、この凹部の内側から絶縁基体の外表面にかけて配線導体が形成された電子部品収納用パッケージに気密封止されて電子装置となり、外部電気回路(コンピュータや携帯電話等の電子機器に用いられるプリント回路基板等)に実装されて使用される。
この電子装置において、電子部品は、凹部内に収容されるとともに、その電極が配線導体にはんだやボンディングワイヤ等の導電性接続材を介して電気的に接続されており、凹部を塞ぐように絶縁基体の上面に蓋体が接合されることによって気密封止されている。
すなわち、従来の電子装置の製造方法は、まず、上面に凹部を有し、凹部の内側から外表面にかけて配線導体が形成された絶縁基体を準備し、次に、電子装置を凹部内に収容するとともに電子部品の電極を配線導体と電気的に接続し、その後、絶縁基体の上面に蓋体を、接合材を介した接合法や溶接法等の方法で接合して凹部を塞いで、凹部と蓋体とで構成される容器の内部に電子部品の全体を気密封止するという方法であった。
特開2009−117495号公報 特開2009−117611号公報
しかしながら、上記従来の電子装置およびその製造方法においては、電子部品の全体を収容するだけの深さを有する凹部を絶縁基体の上面に設け、さらにその絶縁基体の上に蓋体を接合する必要があるため、低背化が難しいという問題点があった。
本発明は上記従来の技術の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、低背化が容易な電子装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の電子装置は、上面に電子部品を収容するための凹部を有し、該凹部の底面から外表面にかけて配置された配線導体を有する絶縁基体と、板状の本体の一方主面に電極を有し、前記一方主面が下向きになって前記凹部内に収容されているとともに、前記電極が前記配線導体に電気的に接続された電子部品とを備えており、前記凹部の内側面の高さ方向の一部が前記電子部品の側面を取り囲むように張り出しているとともに、この張り出した部分の先端が前記電子部品の側面の全周にわたって接合されて前記電極が気密封止されていることを特徴とするものである。
また、本発明の電子装置は、上記構成において、前記張り出した部分の上面に、該上面
の内周に接して凹状の段差部が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の電子装置は、上記構成において、前記張り出した部分の上面に、該上面の内周に接する金属層が被着されていることを特徴とするものである。
本発明の電子装置の製造方法は、上面に凹部を有し、該凹部の底面から外表面にかけて配置された配線導体を有するとともに、前記凹部の内側面の高さ方向の一部が全周において前記凹部内に張り出している絶縁基体を準備する工程と、
板状の本体の一方主面に電極を有する電子部品を準備する工程と、
前記絶縁基体の前記凹部の内側面の張り出した部分に前記配線導体の位置を基準にしてレーザ加工を施して、前記張り出した部分の内周の形状および寸法を前記電子部品の外周の形状および寸法に合わせる工程と、
前記絶縁基体の前記凹部内に前記電子部品を、該電子部品の前記一方主面を下向きにして、前記絶縁基体の前記張り出した部分の内周の側面が全周において前記電子部品の外周の側面に接するように収容するとともに、前記電極を前記配線導体に電気的に接続する工程と、
前記絶縁基体の前記張り出した部分の内周の側面と前記電子部品の外周の側面とを接合材で接合して前記電極を気密封止する工程と
を備えることを特徴とするものである。
本発明の電子装置によれば、電子部品が、電極が配置された本体の一方主面が下向きになって凹部内に収容されており、凹部の内側面の高さ方向の一部が電子部品の側面を取り囲むように張り出しているとともに、この張り出した部分の先端が電子部品の側面の全周にわたって接合されて電極が気密封止されていることから、凹部の深さは、電子部品の全体を収容する程度にまで深くする必要がない。また、電子部品のうち気密封止することが必要な電極の部分は、必ずしも気密封止する必要がない本体の側面の全周にわたって凹部内側面の張り出し部分の先端が接合されることによって気密封止されている。そのため、凹部を従来よりも浅くすることができ、また、蓋体が不要になる。したがって、低背化が容易な電子装置を提供することができる。
また、本発明の電子装置は、上記構成において、張り出した部分の上面に、この上面の内周に接して凹状の段差部が形成されている場合には、この段差部を、電子部品を凹部内に収容する際に電子部品の側面を挟んで保持する治具等を挿入するためのスペースとして利用することができる。そのため、凹部内への電子部品の収容がより一層容易であり、低背化が容易であるとともに生産性が高い電子装置を提供することができる。
また、本発明の電子装置は、上記構成において、張り出した部分の上面に、この上面の内周に接する金属層が被着されている場合には、張り出した部分の内周の位置の認識を金属層の認識によって行なうことができる。この場合、比較的光の反射率が高い金属層と、凹状であるために比較的暗い凹部内とのコントラストが大きいため、金属層の内周、つまり張り出した部分の内周位置の認識が容易である。したがって、この場合には、電子部品の収容時の位置決めがより容易であり、低背化が容易であるとともに生産性が高い電子装置を提供することができる。
本発明の電子装置の製造方法によれば、上記各工程を備えることから、凹部内に電子部品を、電極が配置された一方主面を下向きに収容したときに、凹部の内側面の張り出した部分の内周の側面を、全周において電子部品の外周の側面に接合材を介して接合することができ、気密封止することが必要な電極の部分は確実に気密封止された電子装置を製作することができる。
また、本発明の電子装置の製造方法において、電子部品は、電極が配置された一方主面を下向きにして凹部内に収容し、その電極を、本体の側面の外周に張り出し部分の内周の側面を接合することによって気密封止しているため、凹部を従来よりも浅くすることができ、また、蓋体の接合が不要である。さらに、レーザ加工で凹部の内側面の張り出した部分の内周の形状および寸法を電子部品の外周の形状および寸法に合わせるため、張り出した部分の電子部品に対する接合も容易かつ確実に行なうことができる。したがって、低背化が容易な電子装置の製造方法を提供することができる。
本発明の電子装置の実施の形態の一例を示す断面図である。 図1に示す電子装置において電子部品等を省略して示す平面図である。 本発明の電子装置の実施の形態の他の例において電子部品等を省略して示す平面図である。 (a)は本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図であり、(b)は(a)の電子部品等を省略して示す平面図である。 (a)および(b)はそれぞれ本発明の電子装置の実施の形態の他の例において電子部品等を省略して示す平面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の電子装置の実施の形態の他の例において電子部品等を省略して示す平面図である。 (a)〜(d)はそれぞれ本発明の電子装置の製造方法を工程順に示す断面図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明の電子装置の製造方法において絶縁基体を準備する工程を詳しく説明するための斜視図である。
本発明の電子装置を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の電子装置の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は図1に示す電子装置から電子部品を取り除いた状態を示す平面図である。図1および図2において、1は絶縁基体,2は凹部,3は配線導体,4は電子部品,5は電子部品4の本体,6は電子部品4の電極である。
絶縁基体1は、例えば直方体状であり、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミック焼結体等のセラミック材料や、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料等の絶縁材料からなる。
図1に示した例では、絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料からなる複数の絶縁層(符号なし)が積層されて形成されている。このような絶縁基体1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。すなわち、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末に適当な有機バインダおよび有機溶剤を添加混合して作製したスラリーをドクターブレード法やリップコータ法等のシート成形技術でシート状に成形することによって複数枚のセラミックグリーンシートを作製して、その後、セラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工によって適当な形状とするとともにこれを複数枚積層し、最後にこの積層したセラミックグリーンシートを還元雰囲気中において約1300〜1500℃の温度で焼成することによって製作することができる。
絶縁基体1は、上面に電子部品4を収容するための凹部2を有し、凹部2の底面から外側面(図1の例では下面)にかけて配線導体3が配置されている。
電子部品4は、例えば四角板状の半導体基板やセラミック圧電基板等からなる本体5の
一方主面に電極6を有している。このような電子部品4としては、ICやLSI等の半導体集積回路素子、およびLED(発光ダイオード)やPD(フォトダイオード),CCD(電荷結合素子)等の光半導体素子を含む半導体素子,弾性表面波素子や水晶振動子等の圧電素子,容量素子,抵抗器,半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等の種々の電子部品4が挙げられる。
凹部2は、上記の電子部品4を収容するのに適した形状であり、例えば開口が四角形状である。このような凹部2を有する絶縁基体1は、例えば、絶縁層となる複数のセラミックグリーンシートのうち所定のものに金型等で打ち抜き加工を施して枠状に加工しておいて、この枠状のセラミックグリーンシートを、打ち抜き加工を施していない平板状のセラミックグリーンシートの上面に積層し、その後、この積層体を一体焼成する方法で製作することができる。
配線導体3は、凹部2内に収容された電子部品4の電極6とはんだや導電性接着剤等の導電性接続材7を介して電気的に接続されている。この配線導体3は、電子部品4の電極6を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続するための導電路として機能する。配線導体3のうち凹部2内に配置された部分に電子部品4の電極6を電気的に接続し、絶縁基体1の下面等の外表面に配置された部分を外部電気回路にはんだ等(図示せず)を介して接続すれば、配線導体3を介して電子部品4の電極6と外部電気回路とが電気的に接続される。なお、図1において、配線導体3のうち凹部2内に配置された部分と絶縁基体1の下面に配置された部分との間を接続する部分は省略している。このような接続をする配線導体3は、例えば絶縁基体1の内部や外側面に内部配線や側面導体(いわゆるキャスタレーション導体)や貫通導体等の形態で配置されている。
配線導体3は、タングステンやモリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料からなり、メタライズ層やめっき層等の形態で絶縁基体1に被着されて配置されている。
本発明の電子装置において、電子部品4は、電極6が配置された本体5の一方主面が下向きになって凹部2内に収容されている。また、凹部2の内側面の高さ方向の一部が電子部品4の側面を取り囲むように張り出しているとともに、この張り出した部分1aの先端が電子部品4の側面の全周にわたって接合されて電極6が気密封止されている。
本発明の電子装置によれば、凹部2の深さは、電子部品4の全体を収容する程度にまで深くする必要がない。例えば、図1に示す例では、凹部2の深さは、ほぼ電子部品4の本体5の厚みに電極6および導電性接続材7の厚みを加えた程度の深さである。また、電子部品4のうち気密封止することが必要な電極6の部分は、必ずしも気密封止する必要がない本体5の側面の全周にわたって凹部2内側面の張り出した部分1aの先端が接合されることによって気密封止されている。そのため、凹部2を従来よりも浅くすることができ、また、蓋体(図示せず)が不要になる。したがって、低背化が容易な電子装置を提供することができる。
この電子装置において、凹部2の内側面の張り出した部分1aの先端と電子部品4の本体5の側面との接合は、例えば、ガラス材料や樹脂材料等からなる接合材8を介した接合方法によって行なうことができる。接合材8に用いるガラス材料としては、ホウケイ酸系ガラスやリン酸系低融点ガラス等のガラス材料を用いることができる。また、樹脂材料としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等を用いることができる。
なお、本発明の電子装置においては、凹部2の内側面の全体ではなく張り出した部分1aの先端を電子部品4の側面に接合しているため、電子部品4の外周の側面の形状および
寸法に対して、絶縁基体1のうちこの電子部品4に接合される部位の形状および寸法を合わせるのが容易である。すなわち、絶縁基体1を製作する際の焼成収縮や硬化に伴う収縮のために、凹部2の内側面の形状および寸法を電子部品4の外周の側面の形状および寸法と高い精度で合わせることは難しい。これに対し、この凹部2の内側面の張り出した部分1aのみを電子部品4に接合するようにしておけば、この張り出した部分1aをレーザ加工や機械的な研磨加工等によって電子部品4の外周の側面の形状および寸法に高い精度で合わせることができる。そのため、電子部品4の側面と絶縁基体1(張り出した部分1a)との間の距離を短く抑えて、気密封止の信頼性の高い電子装置とすることができる。
この張り出した部分1aは、例えば上記のように凹部2を有する絶縁基体1の凹部2を構成する絶縁層のうち最上層等の1層の内周部分が他の絶縁層の内周部分よりも内側に位置していることによって形成されている。すなわち、絶縁層となる枠状のセラミックグリーンシートのうち一部のものの内周の寸法を他のセラミックグリーンシートの内周の寸法よりも小さくしておくことによって、張り出した部分1aが形成されている。この場合の張り出した部分1aの厚みは絶縁層の厚みと同様であり、例えば絶縁基体1が酸化アルミニウム質焼結やガラスセラミック焼結体等のセラミック材料からなる場合であれば約50〜250μm程度である。
なお、凹部2の内側面の張り出した部分1aを凹部2の最上層に位置させておくと、この張り出した部分1aの先端を電子部品4の側面に接合材8を介して接合するときの位置合わせや、接合材8を張り出した部分1aと電子部品4との間に介在させる作業等が容易であるため、電子装置としての生産性を高くする上で有利である。また、接合材8の接合状態を外側から目視で確認することも容易であるため、外観等の検査も容易である。
なお、外部電気回路に電子部品4を実装するときの低背化について、電子部品4をプリント回路基板等の外部電気回路に直接に実装する手段もあるが、このような直接の実装に比べて、本発明の電子装置は以下の点で有利である。
すなわち、電子部品4(本体5)とプリント回路基板等との熱膨張率の違いを絶縁基体1で緩和して、外部電気回路に対する実装の信頼性を高くすることができる。また、外部電気回路として一般的なプリント回路基板における回路導体等の設計ルールでは半導体素子等の電子部品4の電極6の微細な設計ルールへの対応が難しいため、電極6と外部電気回路との接続が難しい。これに対して、本発明の電子装置の場合には、絶縁基体1の配線導体3を介して、電子部品4の電極6とプリント回路基板の回路導体等の外部電気回路との電気的に接続させることが容易である。また、電子部品4で発生した熱の外部への放熱を絶縁基体1により促進することができる。
なお、凹部2の内側面の張り出した部分1aは、電子部品4の電極6の気密封止の信頼性を高く確保する上で、その先端(端面)と電子部品4の側面との間の距離が小さいほど好ましいが、例えば図3に示すように、部分的に切り欠き1bを設けて先端と電子部品4の側面との間の距離が大きい部分を有していてもよい。このような切り欠き1bは、例えば凹部2内に電子部品4を挿入するための治具を差し入れるスペース等として利用することができる。
なお、図3は、本発明の電子装置の実施の形態の一例について図2と同様に電子部品4等を省略して示す平面図である。図3において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
ここで、本発明の電子装置の効果について、絶縁基体1を酸化アルミニウム質焼結体で作製し、この絶縁基体1に厚みが約0.5mmで、平面視における外形の寸法が約3×3m
mである正方形板状の電子部品4(半導体素子)を搭載したときの具体例を挙げて説明する。
この具体例の電子装置は、凹部2の深さが電子部品4の厚み(0.5mm)に電極6およ
び導電性接続材7を合計した厚み(約0.1mm)、つまり約0.6mmであり、凹部2よりも下側の絶縁基体1の厚みを、配線導体3の引き回しおよび絶縁基体1の機械的な強度を確保する上で必要な約0.5mmとしたため、合計の厚みは約1.1mmであった。
また、凹部2の内側面の高さ方向の一部を約0.2mmの厚みで張り出させて、この張り
出した部分1aの先端を電子部品4の側面にホウケイ酸系のガラス材料からなる接合材8を用いて接合した。その後、この電子装置の電極6の気密封止の信頼性を、温度サイクル試験(−40℃〜+125℃、1000サイクル)およびグロスリーク試験を順次行なって確認し
た。その結果、試験した500個の電子装置においてリーク不良は検出されず、気密封止の
信頼性を確認することができた。
このような本発明の電子装置に対し、従来技術による電子装置(図示せず)の場合には、上記と同様の電子部品を気密封止したときに、凹部(図示)の深さを電子部品および導電性接続材等の厚みよりも約0.1mm深い、約0.7mm以上とし、さらに、厚みが約0.25mm以上の蓋体(図示せず)で凹部を塞ぐ必要があり、凹部よりも下側の絶縁基体の厚みが約0.5mmとして、電子装置の合計の厚みは約1.45mm(0.5+0.7+0.25(mm))以上
となった。したがって、このような従来技術の電子装置に比べて本発明の電子装置が薄型化に有効であることが確認された。
また、本発明の電子装置は、上記構成において、例えば図4に示すように、張り出した部分1aの上面に、この上面の内周に接して凹状の段差部1cが形成されている場合には、この段差部1cを、電子部品4を凹部2内に収容する際に電子部品4の側面を挟んで保持する治具等を挿入するためのスペースとして利用することができる。そのため、凹部2内への電子部品4の収容がより一層容易であり、生産性の高い電子装置を提供することができる。なお、図4(a)は、本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図であり、図4(b)は図4(a)の電子部品4等を省略して示す平面図である。図4において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
この場合、段差部1cは張り出した部分1aの下面側まで貫通していないため、張り出した部分1aの先端(端面)の全周にわたって電子部品4の本体5の側面に対する距離を短く抑えることができる。そのため、気密封止の信頼性を高く確保しながら、電子部品4の凹部2内への挿入を容易とすることができる。
図4に示す例は、円弧(半円)状の段差部1cを、張り出した部分1aの対向し合う1対の辺部分の中央部にそれぞれ形成した例である。この場合には、平面視でほぼ正方形状の電子部品4の凹部2の中央部(重心)を挟む位置に一対の段差部1cが形成されているため、電子部品4の対向し合う2つの側面を、電子部品4の重心を挟んで保持する治具の挿入を容易とすることができる。
このような段差部1cは、例えば、張り出した部分1aの上面の内周部分にレーザ加工を施す方法で形成することができる。また、張り出した部分1aを複数の枠状の絶縁層(セラミックグリーンシート)が積層されてなるものとして、その枠状のセラミックグリーンシートのうち最上層のものの内周に、段差部1cに対応した形状および寸法で打ち抜き加工を施しておくことによって形成することもできる。
段差部1cは、図4に示すような形状および位置に限らず、例えば図5に示すように、
他の形状や位置であってもよい。なお、図5(a)および(b)は、それぞれ本発明の電子装置の実施の形態の他の例において電子部品4等を省略して示す平面図である。図5において図1および図4と同様の部位には同様の符号を付している。
図5(a)は、張り出した部分1aの上面の内周の全周にわたって段差部1cを形成した例である。この場合には、種々の位置で電子部品4(本体5)の側面を挟んで保持する治具に対応して、その治具の挿入を容易とすることができる。また、電子部品4(本体5)の上面を真空吸着等の方法で吸着して保持するタイプの治具(図示せず)の場合に、その治具のうち電子部品4(本体5)の上面よりも外側にはみ出ている部分の凹部2内への挿入を容易とすることもできる。
図5(b)は、凹部2が長方形状であるときに、各長辺の2箇所にそれぞれ段差部1c(合計で4つ)を形成した例である。この例において4つの段差部1cは、長方形状の凹部2の中央部(重心)を内側に含む四角形の各頂点に対応した位置に配置されて、平面視で長方形状の電子部品4の長辺の重心を挟む4箇所(対向し合う2つの長辺の2箇所ずつ)で保持する治具の挿入を容易としている。
なお、図5(b)に示す例においては、段差部1cの幅について、中心が張り出した部分1a内に位置するような円弧状として、電子部品4を保持する治具(特に、電子部品4を保持する部分が円柱状の金属棒等からなるようなもの)を挿入しやすくしている。また、4つの段差部1cのうち1つを他と異なる形状にして、電子部品4を凹部2内に収容する際のインデックスマークとしても利用できるようにしている。
また、本発明の電子装置は、上記構成において、例えば図6(a)〜(c)に示すように、張り出した部分1aの上面に、この上面の内周に接する金属層1dが被着されている場合には、張り出した部分1aの内周の位置の認識を金属層1dの認識によって行なうことができる。この場合、比較的光の反射率が高い金属層1dと、凹状であるために比較的暗い凹部2内とのコントラストが大きいため、金属層1dの内周、つまり張り出した部分1aの位置の認識が容易である。したがって、この場合には、電子部品4の収容時の位置決めがより容易であり、生産性の高い電子装置を提供することができる。なお、図6(a)〜(c)は、それぞれ本発明の電子装置の実施の形態の他の例において電子部品4等を省略して示す平面図である。図6において図1と同様の部位には同様の符号を付している。図6は断面図ではないが、見やすくするために、金属層1dについてハッチングを施している。
図6(a)は、張り出した部分1aの上面の内周の各辺部分および角部分(コーナー)に円弧状の金属層1dを被着させた例である。各金属層1dは、円弧状に限らず、四角形状や三角形状,楕円弧状等の形状でも構わない。また、張り出した部分1aの辺部分または角部分のみに被着させてもよい。
図6(b)は、張り出した部分1aの内周の全周にわたって枠状に金属層1dを被着させた例である。この場合には、張り出した部分1aの内周の全周にわたって位置の認識を容易とすることができる。
図6(c)は、図4に示すような段差部1cを張り出した部分1aに形成しておいて、その段差部1cを形成した位置を含むように金属層1dを被着させた例である。この場合には、張り出した部分1aの内周に加えて段差部1cの位置についても認識が容易になる。そのため、治具の挿入位置への位置決めをより容易とすることができ、電子部品4の凹部2内への収容をより一層容易とすることができる。
このような金属層1dは、例えば配線導体3と同様の金属材料を用い、同様の方法で(例えばタングステンのメタライズ層の形態で)張り出した部分1aの上面に被着させることができる。この場合、金属層1dは、その光の反射率を高くして位置の認識を容易とする上で、少なくとも最表面が金やニッケル等のめっき層で形成されていることが好ましく、酸化等による変色を抑制することを考慮すれば少なくとも最表面が金めっき層で形成されていることが好ましい。
なお、金属層1dについても、段差部1cの場合と同様に、例えば図6(c)に示す例のように複数の金属層1dを被着させるとともに、そのうちの1つの形状または寸法を他と異ならせておいて、電子部品4を凹部2内に収容する際のインデックスマークとして利用するようにしてもよい。
また、後述する本発明の電子装置の製造方法において説明するように、段差部1cの内周をレーザ加工で除去する場合に、レーザ加工で除去される部分にも金属層1dを延長させて被着させておいて、レーザ加工の際に位置決め用に利用するようにしてもよい。
次に、本発明の電子装置の製造方法について、図7を参照しつつ説明する。図7(a)〜(d)は、本発明の電子装置の製造方法を工程順に示す断面図である。図7において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
まず、図7(a)に示すように、上面に凹部2を有し、凹部2の底面から外表面にかけて配置された配線導体3を有するとともに、凹部2の内側面の高さ方向の一部が全周において凹部2内に張り出している絶縁基体1を準備する。
絶縁基体1は、例えば上記のセラミック材料や樹脂材料等の絶縁材料からなり、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料からなる場合であれば、以下のようにして製作することができる。
すなわち、まず、図8(a)に示すように、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末に適当な有機バインダおよび有機溶剤を添加混合して作製したスラリーをドクターブレード法やリップコータ法等のシート成形技術でシート状に成形することによって複数枚のセラミックグリーンシート11を作製する。次に、図8(b)に示すように、一部のセラミックグリーンシートに金型等による打ち抜き加工を施して枠状のシート11aに加工する。この際、枠状のシート11aは複数作製し、少なくとも1つの枠状のシート11aについては、その内周の寸法を他のものよりも小さくしておく。そして、図8(c)に示すように、打ち抜き加工を施していない平板状のセラミックグリーンシート11の上に複数の枠状のシート11aを、内周の寸法が他よりも小さいものが最上層になるように積層した後、この積層体(図示せず)を還元雰囲気中において約1300〜1500℃の温度で焼成すれば、上面に凹部2を有し、凹部2の内側面の高さ方向の一部が全周において凹部2内に張り出している絶縁基体1を作製することができる。なお、図8(a)〜(c)は、それぞれ本発明の電子装置の製造方法において絶縁基体1を準備する工程を詳しく説明するための斜視図である。図8において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
なお、内周の寸法が他よりも小さい枠状のセラミックグリーンシート11aを最上層以外の層(例えば上から2層目)に積層すれば、最上層以外の部分で高さ方向の一部が全周において凹部2内に張り出している絶縁基体1を製作することができる。また、内周の寸法が他よりも小さい枠状のセラミックグリーンシート11aを複数作製して積層するようにしてもよい。
また、配線導体3は、タングステンやモリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白
金,金等の金属材料からなる。配線導体3は、例えばタングステンのメタライズ層からなる場合であれば、上記のように絶縁基体1を作製する際に、セラミックグリーンシート11の表面や,セラミックグリーンシート11にあらかじめ機械的な打ち抜き加工等の方法で形成しておいた貫通孔(図示せず)の内部に、タングステン等の金属ペースト(図示せず)を印刷または充填しておき、上記の積層体と同時焼成することによって、絶縁基体1に配置することができる。
次に、図7(b)に示すように、板状の本体5の一方主面に電極6を有する電子部品4を準備する。電子部品4は、ICやLSI等の半導体集積回路素子、およびLED(発光ダイオード)やPD(フォトダイオード),CCD(電荷結合素子)等の光半導体素子を含む半導体素子,弾性表面波素子や水晶振動子等の圧電素子,容量素子,抵抗器,半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等である。例えば、電子部品4が半導体集積回路素子の場合であれば、四角板状のシリコン基板等の半導体基板からなる本体5の一方主面に蒸着法による薄膜形成やエッチング加工等の加工を施して所定パターンに電極6となる導体膜を被着させることによって製作することができる。
次に、図7(c)に示すように、絶縁基体1の凹部2の内側面の張り出した部分1aに配線導体3の位置を基準にしてレーザ加工を施して、張り出した部分1aの内周の形状および寸法を電子部品4の外周の形状および寸法に合わせる。例えば、図7(a)における張り出した部分1aの破線部分よりも内側が、この工程で除去される。
この場合、レーザ加工について、電子部品4の電極6と接続される配線導体3を基準にして行なうので、その電極6に対して一定の位置関係にある電子部品4の本体5の外周の形状および寸法に対して、張り出した部分1aの内周の形状および寸法を合わせることが容易である。
この場合のレーザ加工は、例えば、絶縁基体1が酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミック焼結体等のセラミック材料からなる場合であれば、YAGレーザ等を用いて行なうようにすればよい。この場合、張り出した部分1aの厚みが、例えば前述したように50〜250μm程度であり、レーザ加工による不要な部分の除去は容易である。
また、レーザ加工時の配線導体3を基準にした位置決めは、配線導体3の位置を画像認識装置に認識させて、その位置を基準位置としてレーザ加工装置をセットすればよい。この場合、配線導体3は、その表面に金めっき層が被着されていると、背景である絶縁基体1と配線導体3とのコントラストが大きくなって位置決めが容易になる。そのため、配線導体3は、少なくとも最表層が金めっき層であるめっき層が被着されていることが好ましい。
そして、図7(d)に示すように、絶縁基体1の凹部2内に電子部品4を、電子部品4の一方主面を下向きにして、絶縁基体1の張り出した部分1aの内周の側面が全周において電子部品4の外周の側面に接するように収容するとともに、電極6を配線導体3に電気的に接続した後、絶縁基体1の張り出した部分1aの内周の側面と電子部品4の外周の側面とを接合材8で接合して電極6を気密封止すれば、電子装置が製作される。
電子部品4の電極6の配線導体3に対する電気的な接続は、例えば、配線導体3の位置を電極6と対向する位置に設定しておいて、はんだや導電性接着剤等の導電性接続材7を介して電極6と配線導体3とを接合するようにすればよい。
このような電子装置の製造方法によれば、上記各工程を備えることから、凹部2内に電
子部品4を、電極6が配置された一方主面を下向きに収容したときに、凹部2の内側面の張り出した部分1aの内周の側面を、全周において電子部品4の外周の側面に接合材8を介して接合することができ、気密封止することが必要な電極6の部分は確実に気密封止された電子装置を製作することができる。
また、本発明の電子装置の製造方法において、電子部品4は、電極6が配置された一方主面を下向きにして凹部2内に収容し、その電極6を、本体5の側面の外周に張り出し部分1aの内周の側面を接合することによって気密封止しているため、凹部2を従来よりも浅くすることができ、また、蓋体(図示せず)の接合が不要である。さらに、レーザ加工で凹部2の内側面の張り出した部分1aの内周の形状および寸法を電子部品4の外周の形状および寸法に合わせるため、張り出した部分1aの電子部品4に対する接合も容易かつ確実に行なうことができる。したがって、低背化が容易な電子装置の製造方法を提供することができる。
なお、凹部2の内側面の張り出した部分1aの先端を電子部品4の外周の側面に接合する接合材8としては、前述したようなガラス材料や樹脂材料等を用いることができる。例えば、接合材8としてガラス材料を用いる場合であれば、ホウケイ酸系ガラス等のペーストを間に挟んで張り出した部分1aの先端を電子部品4の本体5の外周の側面に位置決めして押し当て、これらを治具等で仮に固定しながら電気炉等で加熱してガラスペーストを溶融させ、その後冷却する方法で上記の接合を行なうことができる。
1・・・絶縁基体
1a・・張り出した部分
1b・・切り欠き
1c・・段差部
1d・・金属層
2・・・凹部
3・・・配線導体
4・・・電子部品
5・・・電子部品の本体
6・・・電子部品の電極
7・・・導電性接続材
8・・・接合材

Claims (4)

  1. 上面に電子部品を収容するための凹部を有し、該凹部の底面から外表面にかけて配置された配線導体を有する絶縁基体と、板状の本体の一方主面に電極を有し、前記一方主面が下向きになって前記凹部内に収容されているとともに、前記電極が前記配線導体に電気的に接続された電子部品とを備えており、前記凹部の内側面の高さ方向の一部が前記電子部品の側面を取り囲むように張り出しているとともに、この張り出した部分の先端が前記電子部品の側面の全周にわたって接合されて前記電極が気密封止されていることを特徴とする電子装置。
  2. 前記張り出した部分の上面に、該上面の内周に接して凹状の段差部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
  3. 前記張り出した部分の上面に、該上面の内周に接する金属層が被着されていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
  4. 上面に凹部を有し、該凹部の底面から外表面にかけて配置された配線導体を有するとともに、前記凹部の内側面の高さ方向の一部が全周において前記凹部内に張り出している絶縁基体を準備する工程と、
    板状の本体の一方主面に電極を有する電子部品を準備する工程と、
    前記絶縁基体の前記凹部の内側面の張り出した部分に前記配線導体の位置を基準にしてレーザ加工を施して、前記張り出した部分の内周の形状および寸法を前記電子部品の外周の形状および寸法に合わせる工程と、
    前記絶縁基体の前記凹部内に前記電子部品を、該電子部品の前記一方主面を下向きにして、前記絶縁基体の前記張り出した部分の内周の側面が全周において前記電子部品の外周の側面に接するように収容するとともに、前記電極を前記配線導体に電気的に接続する工程と、
    前記絶縁基体の前記張り出した部分の内周の側面と前記電子部品の外周の側面とを接合材で接合して前記電極を気密封止する工程と
    を備えることを特徴とする電子装置の製造方法。
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