JP2011171627A - 金属配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板に対して優れた密着性が確保された金属配線を有する金属配線板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本適用例の金属配線板の製造方法は、基板としての基材1上に絶縁層2をパターニング形成する絶縁層形成工程(ステップS1)と、基材1上に金属微粒子を含む機能液30を塗布して金属配線の前駆体3pを形成する塗布工程(ステップS2)と、該前駆体3pを加熱して焼成し金属配線3を形成する焼成工程(ステップS3)と、絶縁層2と金属配線3とを覆うレジスト層4を形成するレジスト形成工程(ステップS4)とを備え、焼成工程(ステップS3)は、一対の電極41,42間に基材1を配置して、該前駆体3pを加熱焼成しながら、基材1および該前駆体3pに対して該前駆体3pの厚み方向に電界を印加する電界印加工程を含んでいる。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属配線板の製造方法に関する。
一般的に知られている代表的な配線基板は、絶縁性を有する基材に接着層を介して積層された例えば銅などの金属箔をフォトリソグラフィ法などによりエッチングして形成された配線パターンを有している。このような配線基板の製造工程では、各種のマスク類や現像液、エッチング液などの薬品類を使用する。
これに対して、基材上の配線パターン形成領域に導電微粒子を含む機能液(インク)を塗布して乾燥・焼成することにより金属配線を形成する方法が開発されている。このような方法によれば、マスク類が不要となるだけでなく、薬品類の消費を低減できるので、環境にやさしい金属配線の形成方法として注目されている。
一方で、接着された金属箔をパターニングする方法に比べて基材上に形成された金属配線と基材との密着性を確保することが難しいという問題がある。この問題を改善する方法として、例えば、特許文献1には、基板上に下地層形成材料を含む第1液状体を塗布して加熱処理し下地層を形成する工程と、下地層上に金属微粒子を含む第2液状体を塗布して加熱処理し導電層を形成する工程とを有し、下地層が未硬化状態となる条件で第1液状体を加熱処理した後に、第2液状体を塗布する金属配線形成方法が開示されている。
上記金属配線形成方法によれば、未硬化状態の下地層に金属微粒子の一部が入り込むことによって、第2液状体の加熱処理後において下地層が基板と導電層との密着性を向上させることができるとしている。金属微粒子としてAgを用いた場合、下地層として、マンガン層を用いることが記載されている。
また、特許文献2には、特許文献1における導電層の密着性を安定的に確保する方法として、第2液状体が金属微粒子とその分散安定剤を含む場合、塗布された第2液状体中の下地層との界面近傍における分散安定剤の量に基づいて、加熱処理を開始するまでの時間を設定する金属配線形成方法が開示されている。具体的には、上記界面近傍における分散安定剤が所定の量を超える状態となる前に加熱処理を開始することによって、分散安定剤にじゃまされず下地層への金属微粒子の拡散を促す方法である。
特開2007−280987号公報 特開2007−281416号公報
上記従来の金属配線形成方法では、導電層を形成する部材だけでなく、基板と導電層との密着を図る下地層を形成するための部材が必要となるという課題がある。
また、下地層との界面近傍における分散安定剤の量を管理して、加熱処理の開始タイミングを適切に制御することは難しく、下地層における金属微粒子の拡散状態を安定化させることが実質的に困難であるという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例の金属配線板の製造方法は、金属微粒子を含む機能液を基板上に塗布して金属配線の前駆体を形成する塗布工程と、前記基板および前記前駆体に対して前記前駆体の厚み方向に電界を印加する電界印加工程と、を備えることを特徴とする。
この方法によれば、基板上に塗布された機能液中の金属微粒子の一部を電界方向に誘導して基板表面から基板内部へ拡散させることができる。その結果、前駆体の焼成後において形成された金属配線と基板との密着性を向上させることができる。
[適用例2]上記適用例の金属配線板の製造方法において、前記電界印加工程は、前記前駆体を加熱焼成しながら電界を印加することを特徴とする。
この方法によれば、金属微粒子の拡散は電界効果だけでなく温度にも依存するので、前駆体を加熱焼成しながら電界を発生させることにより、効率的に金属微粒子を基板内に拡散させることができる。
[適用例3]上記適用例の金属配線板の製造方法において、前記電界印加工程は、塗布された前記機能液から溶媒が蒸発して、少なくとも前記前駆体が導電性を示す状態となってから電界を印加することが好ましい。
この方法によれば、前駆体が導電性を示すようになってから電界が印加されることにより、金属微粒子に対する電界効果をより効率的に発現させ、金属微粒子を基板内に拡散させることができる。
[適用例4]上記適用例の金属配線板の製造方法において、前記電界印加工程は、一対の電極間に前記基板を配置し、前記一対の電極間に電圧を印加して電界を発生させることを特徴とする。
この方法によれば、一対の電極間の距離を調整することで、基板に印加される電界強度を容易に調整することができる。すなわち、金属微粒子の基板内への拡散状態を一対の電極間の距離を調整することで制御できる。
[適用例5]上記適用例の金属配線板の製造方法において、前記電界印加工程は、加熱焼成中の前記前駆体を前記一対の電極のうちの一方の電極として、他方の電極との間に電圧を印加して電界を発生させることが好ましい。
この方法によれば、一対の電極間の距離を接近させ、より少ない電力で電界を発生させ金属微粒子を基板内へ誘導することができる。
[適用例6]上記適用例の金属配線板の製造方法において、前記電界印加工程は、常温常湿に対して高温高湿であって結露が生じない環境下で電界を発生させるとしてもよい。
この方法によれば、高温高湿の環境下で電界を発生させることで、金属微粒子の基板内への拡散が促進される。すなわち、焼成後に金属配線と基板との高い密着性が得られる。
[適用例7]上記適用例の金属配線板の製造方法において、前記機能液は、前記金属微粒子としてのAgまたはCuの導電微粒子を含んだナノコロイド溶液であることを特徴とする。
この方法によれば、ナノコロイド溶液中においてAgまたはCuの導電微粒子は安定的に分散しているので、導電微粒子をむらなく基板内へ拡散させ、金属配線の密着性を確保すると共に、電気抵抗が小さい金属配線を有する金属配線板を製造することができる。
[適用例8]上記適用例の金属配線板の製造方法において、前記塗布工程は、前記機能液を液滴として前記基板上に吐出し前記前駆体を形成することが好ましい。
この方法によれば、機能液を液滴として吐出するので、機能液の塗布量や塗布位置を正確に制御可能であり、機能液の無駄を省いて所望の電気特性を有する金属配線板を製造することができる。
(a)は金属配線板の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のA−A’線で切った金属配線板の構造を示す概略断面図。 金属配線板の製造方法を示すフローチャート。 (a)〜(g)は金属配線板の製造方法を示す概略断面図。 (a)は金属微粒子を示す概略図、(b)は金属微粒子を含む機能液を示す概略図。 (a)〜(c)は変形例の金属配線板の製造方法を示す概略断面図。 変形例の基材の構成を示す概略断面図。 変形例の前駆体の形成方法を示す概略断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
<金属配線板>
まず、本実施形態の金属配線板の一例について、図1を参照して説明する。図1(a)は金属配線板の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のA−A’線で切った金属配線板の構造を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態の金属配線板50は、金属配線3を有する矩形状の単位金属配線板10が短手方向に並列して複数(6つ)面付けされたものである。単位金属配線板10における金属配線3は、長手方向に延在する直線部3aと、直線部3aの一方の端部に接続して折り返された蛇行部3bとを有している。このような金属配線3は、抵抗膜であって、例えば通電によりヒーター(発熱部)の機能を示す。
複数の単位金属配線板10は、それぞれの金属配線3における一対の端部3c,3dが、単位金属配線板10の短手方向に沿って延在する配線部3eに接続されている。つまり、複数の単位金属配線板10は外形線10aの外側に設けられた配線部3eによって電気的に接続されている。配線部3eのほほ中央部分には、これに接続する略円形の接続部3fが設けられている。
破線で示した外形線10aに沿って金属配線板50を切断することにより、1つ1つの単位金属配線板10を取り出すことができる。切断方法としては、シャーリング、金型によるプレス加工、レーザーカットなどの方法が挙げられる。
なお、単位金属配線板10における金属配線3のパターンは、直線部3aと蛇行部3bとを有する閉じた配線パターンに限定されない。例えば、金属配線3の途中に電子部品との接続を図るための端子部や孔(ホール)などを有していてもよい。
図1(b)に示すように、単位金属配線板10は、基板としての基材1と、基材1上に設けられた絶縁層2および金属配線3(配線層3と呼ぶこともある)と、これらを覆うレジスト層4とを有する。
基材1は、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂あるいはポリイミド樹脂などの有機絶縁材料からなり、その厚みはおよそ50μm〜100μmである。つまり適度な可撓性を有するものである。なお、例えばグラス・ファイバーで織った布を支持体として、これを上記有機絶縁材料で固めたものでもよい。つまり、無機材料を支持体として用いたリジットな基板でもよい。
基材1上に設けられた絶縁層2は、例えばポリイミド樹脂からなり、基材1上においてパターニング形成されたものである。絶縁層2の厚みは、およそ5μm〜20μmである。
基材1上に設けられた金属配線3は、金属微粒子を含有する機能液をパターニングされた絶縁層2の隙間に充填し、加熱して焼成することによってパターニング形成されている。金属微粒子は、例えば銀(Ag)や銅(Cu)の導電微粒子であって、その径はおよそ数nm〜数十nmである。金属配線3(配線層3)の厚みは、およそ1μm〜5μmである。
絶縁層2や配線層3を覆うレジスト層4は、例えば高い絶縁性を示すポリイミド樹脂などからなり、配線層3が損傷したり、周囲の環境変化の影響を受けたりして電気特性が変化しないように保護する役目を果たしている。レジスト層4の厚みはおよそ5μm〜20μmである。レジスト層4は、有機絶縁材料を塗布したものに限らず、絶縁フィルムを接着あるいはラミネートした構造としてもよい。
このような金属配線板50は、基材1と金属配線3(配線層3)との密着を確保する処理が施されているため、金属配線板50を折り曲げたりする応力や単位金属配線板10に設けられた端子部や孔(ホール)に電子部品を実装する際の熱などによる応力が加わったとしても金属配線3(配線層3)にクラックが生じたり、基材1から剥離したりする不具合が低減されている。詳しくは、次の金属配線板の製造方法において説明する。
<金属配線板の製造方法>
次に、本実施形態の金属配線板の製造方法について、図2〜図4を参照して説明する。図2は金属配線板の製造方法を示すフローチャート、図3(a)〜(g)は金属配線板の製造方法を示す概略断面図、図4(a)は金属微粒子を示す概略図、同図(b)は金属微粒子を含む機能液を示す概略図である。
図2に示すように、本実施形態の金属配線板50の製造方法は、基材1上に絶縁層2をパターニング形成する絶縁層形成工程(ステップS1)と、基材1上に金属微粒子を含む機能液を塗布して金属配線3の前駆体を形成する塗布工程(ステップS2)と、該前駆体を加熱して焼成し金属配線3を形成する焼成工程(ステップS3)と、絶縁層2と金属配線3とを覆うレジスト層4を形成するレジスト形成工程(ステップS4)と、を備えている。ステップS3の焼成工程は、基材1および前駆体に対して前駆体の厚み方向に電界を印加する電界印加工程を含むものである。
ステップS1では、図3(a)に示すように、基材1上に例えば感光性のポリイミド樹脂を含む溶液を一定の膜厚となるように塗布する。塗布方法としてはロールコート法や転写法などが挙げられる。そして、図3(b)に示すように、乾燥させて得た塗布膜2aをフォトリソグラフィ法を用いてパターニング(露光・現像)し、次のステップS2で機能液が充填される凹部2bを形成する。なお、絶縁層2をパターニグ形成する方法は、フォトリソグラフィ法に限らず、スクリーンマスクを用いて有機絶縁材料を基材1上に印刷する印刷法を用いてもよい。そして、ステップS2へ進む。
ステップS2では、図3(c)に示すように、絶縁層2の凹部2bに金属微粒子を含む機能液30を塗布する。本実施形態では、機能液30を塗布する方法として吐出ヘッド70を用いる。吐出ヘッド70は、例えば機能液30が充填されるキャビティと、キャビティに連通するノズル72と、キャビティに取り付けられたアクチュエーターとしての圧電素子とを備えたインクジェットヘッドと呼ばれるものである。圧電素子に駆動電圧を印加してキャビティを変形させ、キャビティに充填された機能液30を加圧することにより、キャビティに連通したノズル72から所定量の機能液30を液滴として量的に精度よく吐出することができる。吐出ヘッド70は、このようなノズル72を複数有しており、吐出ヘッド70と絶縁層2が設けられた基材1とを相対的に走査する間に機能液30を所望の位置に吐出させる。このような走査によれば、機能液30の無駄を省いて、図3(d)に示すように金属配線3の前駆体3pを高精度に形成することができる。
なお、前駆体3pは、平面的に金属配線3のパターン形状(直線部3aや蛇行部3b)に対応して塗布されると共に、図1(a)に示したように、各金属配線3を繋ぐ配線部3eや接続部3fのパターン形状に対応して塗布される。
また、機能液30を吐出する吐出ヘッド70は、圧電素子を有するものに限定されず、静電気により振動板を可動させて機能液30を加圧する電気機械変換方式や、熱により機能液30を加圧する電気熱変換方式のアクチュエーターを採用したものでもよい。
ここで、機能液30について、図4を参照して詳しく説明する。図4(a)に示すように、金属微粒子20は、前述したように数nm〜数十nmの粒径を有する例えばAgやCuの導電微粒子21の表面を有機保護膜22で覆ったものである。図4(b)に示すように、機能液30は、このような金属微粒子20と分散媒とを有するナノコロイド溶液と呼ばれるものである。分散媒中には分散安定剤31が含まれており、金属微粒子20は分散安定剤31によって取り囲まれ、互いに凝集して大きな粒子とならないように分散されている。
分散安定剤31としては、導電微粒子21の表面から離脱した後に、分散媒とともに蒸散することが可能であることが必要であり、例えばアルキルアミンなどのアミン化合物が用いられている。
分散媒としては、金属微粒子20を分散可能であって凝集を起こさないものであればよく、例えば、水や、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物、またはエチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系化合物、さらにはプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノンなどの極性化合物が挙げられる。特に、金属微粒子20の分散性と分散安定性、また吐出ヘッド70を用いた液滴吐出法への適合性を考慮すると、水、炭化水素系化合物が好ましい。
このような機能液30において、吐出安定性を確保するため、表面張力を例えば0.02N/m以上0.07N/m以下とすることが望ましく、必要に応じてアルコール、エーテル、ケトンなどの有機化合物を表面張力調整剤として添加してもよい。また、粘度を例えば1mPa・s以上50mPa・s以下とすることが望ましく、金属微粒子20の含有割合を調整したり、適度な粘度を有する分散媒を選択したりする。
次に、ステップS3では、塗布形成された前駆体3pを加熱焼成しながら、前駆体30pの厚み方向に電界を印加する。具体的には、図3(e)に示すように、一対の電極41,42間に前駆体3pが形成された基材1を配置する。そして、一対の電極41,42に直流電圧(DC)を印加して電界を発生させる。電界は、基材1および前駆体3pに対して前駆体3pの厚み方向に発生する。電界の印加は、加熱焼成により前駆体3pから分散媒が蒸発して、前駆体3pが導電性を示す状態となってから行う。すると、前駆体3pに対して電界効果が作用して、金属微粒子20の一部が電界方向に誘導され、基材1の内部に入り込んで拡散する。以降、DC印加の関係で、電極41を陰極41と呼び、電極42を陽極42と呼ぶこともある。
例えば、導電微粒子21としてAgを採用した場合の挙動について説明する。
Agは、分散媒または周囲の雰囲気中から取り込まれた水の存在により、以下の反応式(1)に示すように電離する。
Ag+H2O→Ag++H++OH- ・・・・(1)
Ag++OH-→AgOH ・・・・・(2)
反応式(2)に示すように、電離したAgイオンは水酸イオン(OH-)と結合して、陽極42側でAgOH(水酸化銀)となって析出する。
2AgOH⇔Ag2O+H2O ・・・・(3)
AgOH(水酸化銀)は反応式(3)に示すように、Ag2O(酸化銀)となってコロイド状に分散する。
反応式(2)および反応式(3)の反応は可逆的であって、反応がAgイオンを生成する方向に進むと電界の影響を受けて、Agイオンは陰極41側に誘導され、陰極41側の基材1内部に拡散するとともに、デントライト状の析出が進む。
Agイオンの基材1内部への拡散は、Agイオンのマイグレーションと呼ばれる上記挙動に基づくものである。なお、導電微粒子21としてCuを採用した場合にも同様な反応が進むと考えられ、Cuイオンのマイグレーションにより基材1内部にCuイオンが拡散して析出する。このような金属イオンのマイグレーションにより金属イオンを基材1に拡散させるためには、所定の電界強度が必要となる。
電界強度は、一対の電極41,42間に印加される電圧の大きさと電極間距離で表すことができる。導電微粒子21としてAgを採用した場合の電界強度は、例えば3V/μm以上である。すなわち、前駆体3pを含めた基材1の厚みが例えば100μmであって、一対の電極41,42間の距離がほぼそれに等しいとすれば、一対の電極41,42間に印加される電圧は、およそ300Vとなる。言い換えれば、電圧の大きさと電極間距離とによって、金属イオンの基材1への拡散の程度を制御可能である。
本実施形態では、平面的に基材1の大きさとほぼ同じ大きさを有する一対の電極41,42間に前駆体3pが形成された基材1を配置したが、例えば、基材1の大きさよりも小さい一対の電極間に基材1を配置して、基材1に対して相対的に該一対の電極を移動させる走査を行って、少なくとも前駆体3pが形成された部分に電界を印加してもよい。
また、金属イオンのマイグレーションは、前述したように水の存在が必要であると共に、金属イオンの移動度は温度に依存する。したがって、電界印加工程は、前駆体3pが導電性を示す状態となってから行うと共に、常温常湿に対して結露が生じない状態の高温高湿下で行うことが望ましい。高温高湿とは、例えば60℃/90%RHあるいは85℃/85%RHである。
さらにマイグレーションを加速させる方法としては、周囲の圧力を高く設定する、つまり加圧下で行うとしてもよい。
前駆体3pが形成された基材1を電界中に放置する時間は、金属イオンのマイグレーションにより金属イオンがどの程度基材1中に拡散するかに寄る。例えば、同一の電界印加条件でAgイオンとCuイオンとを比較した場合には、Agイオンの方が早く拡散し、高温高湿下では数秒程度の電圧印加時間でもマイグレーションを確認できる。
前駆体3pを加熱焼成する加熱条件は、基材1の耐熱性や分散媒にも寄るが例えば水を用いた場合には、200℃以下で30分〜1時間程度である。加熱方法としては、所定の温度に設定した乾燥炉内に基材1を放置する方法やランプヒーターにより赤外線を照射して加熱する方法などが挙げられる。これにより、図3(f)に示すように金属配線3を形成する。そして、ステップS4へ進む。
ステップS4では、図3(g)に示すように、基材1上において絶縁層2と金属配線3(配線層3)とを覆うレジスト層4を形成する。形成方法としては、例えばポリイミド樹脂を含む溶液を一定の膜厚となるようにロールコート法や転写法などを用いて塗布する方法が挙げられる。塗布後に200℃以下の温度で加熱乾燥させて、レジスト層4を形成する。これにより、単位金属配線板10(すなわち金属配線板50)が完成する。
このような金属配線板50の製造方法によれば、焼成工程(ステップS3)において、金属配線3の前駆体3pを加熱焼成しながら電界を印加するので、焼成中に金属微粒子20の一部が基材1内部に拡散する。そして、前駆体3pの加熱焼成後には、基材1と金属配線3との密着性が高まる。例えば、金属配線板50を曲げる応力を加えたとしても、金属配線3にクラックが生じたり、基材1との界面で剥離したりする不具合を低減できる。すなわち、基材1との密着性が確保された金属配線3を有する金属配線板50(単位金属配線板10)を製造することができる。
なお、本実施形態では、焼成工程(ステップS3)において、基材1および前駆体3pを加熱焼成しながら電界を印加するとしたが、これに限定されない。例えば、前駆体3pが導電性を示す程度に分散媒を蒸発させる仮乾燥工程もしくは仮焼成工程を設ける。その後に電界を印加する電界印加工程を施してから、本焼成工程を実施してもよい。前述したように、電界印加工程における基材1への金属イオンの拡散は、温度だけでなく湿度や圧力にも依存するので、加熱だけの焼成工程と分けることにより、最適な条件設定が可能となる。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記実施形態において電界印加の方法は、これに限定されない。図5(a)〜(c)は変形例の金属配線板の製造方法を示す概略断面図である。例えば、図5(a)に示すように、基材1上に機能液30を塗布して前駆体3pを形成した後に、図5(b)に示すように、前駆体3pを加熱焼成しながら、前駆体3pを一対の電極のうちの一方の電極として電圧を印加する。加熱焼成された前駆体3pは徐々に導電性を示すので、これを一対の電極の一方で電極とすることができる。具体的な電圧印加の方法としては、図1(a)に示したように、単位金属配線板10の金属配線3はそれぞれ配線部3eに繋がっている。したがって、図5(c)に示すように配線部3eに設けられた接続部3fと他方の電極41との間に直流電圧を印加すればよい。このような変形例の金属配線50の製造方法によれば、一対の電極間の距離を縮めることができ、金属微粒子20の一部を効率的に基材1の内部に拡散させることができる。
(変形例2)上記実施形態における基材1の構成は、これに限定されない。図6は変形例の基材の構成を示す概略断面図である。例えば、図6に示すように一対の電極のうち陰極41に面する側に金属イオンのマイグレーションを阻止する絶縁膜1aを備えていてもよい。絶縁膜1aとしては、酸化シリコンなどの無機絶縁膜が好適である。このような構成によれば、金属イオンがマイグレーションによって基材1を透過してしまい。金属配線3が設けられた面に対して反対側の面に析出することを防止することができる。つまり、基材1の裏面側の絶縁性を確保できる。
(変形例3)上記実施形態において、基材1上に直に機能液30を塗布して前駆体3pを形成することに限定されない。図7は変形例の前駆体の形成方法を示す概略断面図である。例えば、パターニング形成された絶縁層2の凹部2bの底面、すなわち基材1の表面に金属イオンが拡散可能な拡散層5を設け、拡散層5上に前駆体3pを形成してもよい。
拡散層5は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機絶縁材料を用いる。言い換えれば、絶縁層2の一部を底面に残すように凹部2bを形成して、そこに機能液30を塗布し前駆体3pを形成してもよい。そもそも、絶縁層2と基材1とを同種の有機絶縁材料を用いて形成すれば、相互の密着力は確保される。
(変形例4)上記実施形態において、金属配線板50(単位金属配線板10)は、基材1上に絶縁層2を有することに限定されない。例えば、前駆体3pを形成する形成領域以外の部分を撥液処理し、形成領域に機能液30を塗布して前駆体3pを形成する。前駆体3pを加熱焼成して金属配線3を形成した後に、金属配線3を覆うようにレジスト層4を形成してもよい。これによれば、金属配線板50(単位金属配線板10)の構成をより簡略化できる。
(変形例5)上記実施形態において、金属配線板50(単位金属配線板10)は、単層の金属配線3(配線層3)を有しているが、これに限定されない。例えば、金属配線3(配線層3)を覆うレジスト層4上にさらに金属配線3(配線層3)を形成して、多層構造の金属配線板としてもよい。
さらには、金属配線3(配線層3)上に他の導電材料からなる導電層を備える構成としてもよい。例えば、導電微粒子21としてCuを採用し金属配線3を形成した後に、電解メッキ法や無電解メッキ法によって、NiやAuなどの導電層を積層してもよい。
これらの製造方法によれば、用途に応じた種々の金属配線板を提供できる。
1…基板としての基材、2…絶縁層、3…金属配線、3p…前駆体、4…レジスト層、10…単位金属配線板、20…金属微粒子、21…導電微粒子、30…機能液、41,42…一対の電極、50…金属配線板。

Claims (8)

  1. 金属微粒子を含む機能液を基板上に塗布して金属配線の前駆体を形成する塗布工程と、
    前記基板および前記前駆体に対して前記前駆体の厚み方向に電界を印加する電界印加工程と、を備えることを特徴とする金属配線板の製造方法。
  2. 前記電界印加工程は、前記前駆体を加熱焼成しながら電界を印加することを特徴とする請求項1に記載の金属配線板の製造方法。
  3. 前記電界印加工程は、塗布された前記機能液から溶媒が蒸発して、少なくとも前記前駆体が導電性を示す状態となってから電界を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の金属配線板の製造方法。
  4. 前記電界印加工程は、一対の電極間に前記基板を配置し、前記一対の電極間に電圧を印加して電界を発生させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属配線板の製造方法。
  5. 前記電界印加工程は、加熱焼成中の前記前駆体を前記一対の電極のうちの一方の電極として、他方の電極との間に電圧を印加して電界を発生させることを特徴とする請求項4に記載の金属配線板の製造方法。
  6. 前記電界印加工程は、常温常湿に対して高温高湿であって結露が生じない環境下で電界を発生させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属配線板の製造方法。
  7. 前記機能液は、前記金属微粒子としてのAgまたはCuの導電微粒子を含んだナノコロイド溶液であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属配線板の製造方法。
  8. 前記塗布工程は、前記機能液を液滴として前記基板上に吐出し前記前駆体を形成することを特徴とする請求項7に記載の金属配線板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105990299A (zh) * 2015-02-06 2016-10-05 展讯通信(上海)有限公司 一种球栅阵列封装结构及其制备方法

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