JP2011171394A - 窒化物半導体薄膜および窒化物半導体規則混晶ならびにその成長方法 - Google Patents

窒化物半導体薄膜および窒化物半導体規則混晶ならびにその成長方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも原子レベルで平坦な表面を有する窒化物半導体薄膜及びその成長方法を提供すること。
【解決手段】ミスカットを有するGaN基板101のステップフロー成長(第1の成長工程)により制限領域102内に形成されたテラス202に、第1の成長工程よりも大きな供給量でTMG又はTEGを供給する。これにより、テラス202の上にGaNの2次元核301が発生するが(図3(a)参照)、発生する2次元核301の個数が1個以上100個以下発生するだけの時間だけこの第2の成長工程を行う。次に、TMG又はTEGの供給量を、第2の成長工程よりも小さくする(第3の成長工程)。これにより、複数の2次元核301が横方向成長して1分子層の厚さの連続的なGaN薄膜302となる(図3(b)参照)。第2と第3の工程を交互に繰り返すことにより、2分子層以上の厚さのGaN薄膜303を成長することも可能である(図3(c)参照)。
【選択図】図3

Description

本発明は、窒化物半導体薄膜および窒化物半導体規則混晶ならびにその成長方法に関する。
窒化物半導体は、B、Al、Ga、In等のIII族元素のうち少なくとも1つ以上の元素と、V族元素である窒素との化合物であり、一般式Al1-a-b-cBaGabIncN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1)で表される。窒化物半導体薄膜の表面や、2種類以上の窒化物半導体薄膜を積層したヘテロ構造の界面の平坦性は、物性解明や素子応用の観点から、原子レベルで平滑であることが望ましい。特に、障壁層と量子井戸層との間の界面が原子レベルで平坦であれば、量子井戸内に形成される量子準位(サブバンド)のエネルギー的な広がり(揺らぎ)が小さくなる。その結果、量子井戸の発光スペクトルが峡鋭化したり、サブバンドを利用する素子(共鳴トンネルダイオード、光スイッチ素子、カスケードレーザ等)の特性を向上したりすることができる。
ところが、窒化物半導体のエピタキシャル成長においては、半導体基板や、半導体基板とエピタキシャル成長した窒化物半導体薄膜との界面から伸びる、らせん成分を有する貫通転位が高密度に存在するため、窒化物半導体薄膜の表面やヘテロ界面の平坦性は損なわれていた。例えば、非特許文献1では、らせん成分を含む転位を起源とするスパイラル成長のため、選択成長したGaNの表面が高密度の分子層ステップとテラスから構成されていて、GaAsの場合よりも平坦性が悪いことが報告されている。
この問題に対して、我々は選択成長法を用いて、らせん成分を有する貫通転位の密度、および、選択成長用マスク材の開口部の大きさが、窒化物半導体薄膜の表面やヘテロ界面の平坦性に与える影響を詳細に検討することによって、原子レベルで平坦な表面やヘテロ界面を有する窒化物半導体構造を実現した(特許文献1参照)。
特願2009−070609
T. Akasaka, T. Nishida, S. Ando, and N. Kobayashi, Japanese Journal of Applied Physics vol. 37 (1998) pp. L842-844.
ところが、前述の特許出願(特許文献1)の明細書等においては、選択成長を行う際の最適な成長条件や成長方法に関しては十分検討されておらず、作製した窒化物半導体構造の結晶品質をさらに向上する余地が残されていた。例えば、窒化物半導体基板の表面が原子レベルで平坦であるとき、窒化物半導体薄膜の成長は、1分子層の段差(ステップ)も存在しないテラス上において2次元核成長モードで進行する。この場合、2次元核がテラス上に核形成するためには比較的大きな過飽和度が必要であり、例えば、III族原料の供給量を大きくする必要がある。その後、発生した2次元核は横方向成長し、テラス全面を覆う1分子層厚の薄膜となる。ところが、この横方向成長時に、III族原料の供給量が核発生時と同じで大きいままであると、形成された1分子層厚の薄膜の結晶品質が劣化するという問題があった。また、III族原料の供給量が特に大きいと、2次元核がテラス全面を覆う1分子層厚の薄膜になる前に、2次元核の上にさらに別の2次元核が発生し、表面の平坦性が損なわれることもあった。
一方、InNと他の二元窒化物半導体(AlN、BN、および、GaN)から構成される混晶はミッシビリティギャップを持ち、ある組成範囲では相分離が起こるという問題があった。そのため、例えば、InxGa1-xN混晶において、In組成xが0.2以上0.8以下の範囲、特に0.4以上0.6以下の範囲で、結晶品質が低下するという問題が存在した。この問題を解決するための1つの方法として、規則混晶(GaN)m(InN)n、(mおよびnは1以上の自然数)を作製することが考えられるが、高品質な窒化物半導体規則混晶を作製する手順や条件は今まで存在しなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、従来よりも原子レベルで平坦な表面を有する窒化物半導体薄膜及びその成長方法を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、従来よりも原子レベルで平坦なヘテロ界面を有する、InNと他の二元窒化物半導体から構成された窒化物半導体規則混晶及びその成長方法を提供することにある。
本発明の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、ミスカットを有する窒化物半導体基板の主方位面上に、表面積が30平方マイクロメートル以上1,000,000平方マイクロメートル以下である制限領域を形成する工程と、アンモニアガス雰囲気中において、III族原料を供給して、前記制限領域内で前記窒化物半導体基板の分子層ステップをステップフロー成長させ、前記制限領域内にテラスを形成する第1の成長工程と、前記III族原料の供給量を前記第1の成長工程よりも大きくして、1平方メートル当たり毎秒109個以上の核生成頻度で、前記制限領域内の前記テラス上に複数の2次元核を形成する第2の成長工程と、前記III族原料の供給量を前記第2の成長工程よりも小さくして、前記テラス上の前記複数の2次元核を横方向成長により互いにつなげ、1分子層の厚さの連続的な窒化物半導体薄膜にする第3の成長工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体薄膜の成長方法である。
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第2の成長工程および前記第3の成長工程を交互に繰り返して、2分子層以上の厚さの窒化物半導体薄膜を形成することを特徴とする。
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記第1の成長工程における前記III族原料の供給量が毎分1×10-5モル以下であり、前記第2の成長工程における前記III族原料の供給量が毎分2×10-5モル以上1×10-3モル以下であり、前記第3の成長工程における前記III族原料の供給量が毎分1×10-5モル以下であることを特徴とする。
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様において、前記第1の成長工程で形成される前記テラスの表面積は、前記制限領域の表面積の80%以上であることを特徴とする。
また、本発明の第5の態様は、 (AlN)k(BN)l(GaN)m(InN)n(k、lおよびmは0以上5以下の整数で、k、lおよびmのいずれかは0ではなく、nは1以上5以下の整数)で表される分子層の積層構造を有し、分子層間の各界面は原子レベルで平坦であることを特徴とする窒化物半導体規則混晶である。
また、本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記積層構造の分子層が、請求項1〜4のいずれかに記載の成長方法により作製されていることを特徴とする。
本発明の成長方法によれば、複数の窒化物半導体2次元核を生成した後、III族原料の供給量を小さくし、ゆっくりと2次元核を横方向成長させて薄膜を形成させるため、従来の成長方法よりも高品質な、原子レベルで平坦な表面を有する窒化物半導体薄膜を得ることが出来る。また、本発明によれば、上記成長方法を適宜III族原料を変更して繰り返すことにより、原子レベルで平坦な界面を有する(AlN)k(BN)l(GaN)m(InN)n規則混晶を得ることが出来る。
実施例1に係る窒化物半導体基板の主方位面上に形成した制限領域を示す図である。(a)はマスク材を用いた時の平面図、(b)は(a)の破線AA’に沿った断面図、(c)はメサを形成した時の平面図、(d)は(c)の破線AA’に沿った断面図を示す図である。 実施例1に係る成長工程を示す図である。(a)はGaN薄膜を成長する前の断面図、(b)はミスカットによるGaNの分子層ステップがステップフロー成長している状態を示す断面図、(c)は最も広いテラスが制限領域のほぼ全面を覆った状態を示す断面図である。 実施例1の成長工程に係る図である。(a)はテラス上にGaNの2次元核が形成した状態を表す断面図、(b)はGaNの2次元核が合体して1分子層の厚さのGaN薄膜となった状態を表す断面図、(c)は2分子層以上のGaN薄膜を成長した状態を表す断面図である。 実施例2の成長工程に係る図である。(a)は最も広いテラスが制限領域のほぼ全面を覆った状態を示す断面図、(b)は2分子層のGaN薄膜をテラス上に形成した状態を表す断面図、(c)は3分子層のInN薄膜をGaN薄膜の上に形成した状態を表す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る窒化物半導体薄膜の成長方法は、ミスカットを有する窒化物半導体基板の主方位面上に、表面積が30平方マイクロメートル以上1,000,000平方マイクロメートル以下である制限領域を形成する工程と、第1から第3の成長工程とを含む。第1の成長工程は、アンモニアガス雰囲気中において、III族原料を供給して、制限領域内で窒化物半導体基板の分子層ステップをステップフロー成長させ、制限領域内にテラスを形成する工程である。第2の成長工程は、III族原料の供給量を第1の成長工程よりも大きくして、1平方メートル当たり毎秒109個以上の核生成頻度で、制限領域内のテラス上に複数の2次元核を形成する工程である。第3の成長工程は、III族原料の供給量を第2の成長工程よりも小さくして、テラス上の複数の2次元核を横方向成長により互いにつなげ、1分子層の厚さの連続的な窒化物半導体薄膜にする工程である。
ここで、第1の成長工程は、III族原料の供給量が毎分1×10-5モル以下であることが望ましく、テラスの面積が、制限領域の表面積の80%以上の大きさとなるまで行うことが望ましい。第2の成長工程は、III族原料の供給量が毎分2×10-5モル以上1×10-3モル以下であることが望ましい。第3の成長工程は、III族原料の供給量が毎分1x10-5以下であることが望ましい。
本実施形態の成長方法では、複数の窒化物半導体2次元核を生成した後、III族原料の供給量を小さくし、ゆっくりと2次元核を横方向成長させて薄膜を形成させるため、従来の成長方法、すなわち、III族原料の供給量を変化させない成長方法に比べて、高品質な窒化物半導体薄膜を得ることが出来る。さらに、本成長方法は、一種の原子層エピタキシであるために、窒化物半導体薄膜の膜厚を分子層レベルで厳密に制御することも可能である。
以下、実施例を具体的な数値等に言及しつつ説明するが、本発明はこれらの数値等にのみ制限されるものではないことに留意されたい。
まず、窒化物半導体基板の一種である、(0001) Ga面を主方位面とするGaN基板101の主方位面に、制限領域102を形成した(図1(a)及び(b)参照)。具体的には、(0001) Ga面を主方位面とするGaN基板101の主方位面に、スパッタリング法により二酸化シリコン薄膜をマスク材103として形成した後、フォトリソグラフィによりマスク開口部を設け、制限領域102とした。制限領域102は、(0001) Ga面を主方位面とするGaN基板の一部をドライエッチング装置でエッチングして、メサ104を残すことにより形成することもできる(図1(c)及び(d)参照)。これらの制限領域102は、形状が円形または多角形であり、表面積は30平方マイクロメートル以上1,000,000平方マイクロメートル以下であることが望ましい。表面積が大きすぎると、第3の成長工程において2次元核が横方向成長して1分子層の膜を完成する前に、横方向成長している2次元核の上にさらに2次元核が発生してしまう確率が高くなってしまい、小さすぎると、原子レベルで平坦な表面を得るという本発明の効果が十分に得られない。また、制限領域102にはらせん成分を有する貫通転位は全くなかった。
次に、制限領域102を形成したGaN基板101を有機金属気相成長装置(MOCVD)に導入し、アンモニアガスを毎分0.1リットル以上20リットル以下の流量で流しながら基板温度を設定値になるまで上昇させる。基板温度の設定値としては、600〜1100℃の範囲で設定できる。
基板温度が設定温度±20℃以内で安定したら、III族原料である、トリメチルガリウム(TMG)又はトリエチルガリウム(TEG)を供給する。TMGまたはTEGの供給量としては、毎分1×10-5モル以下であることが望ましい。ステップフロー成長をゆっくりと起こし、結晶品質を向上させるためである。さらに、テラス202の上に2次元核が発生することを抑えることで、テラス202の表面積を80%以上にすることができる。
ここで、GaN基板には一般に、ミスカット(ミスオリエンテーション)が存在するが、このミスカットの傾斜角(θ)は0.1度以上5度以下であることが望ましい(図2(a)参照)。TMGまたはTEGを供給することによって、ミスカットに起因するGaN基板101の分子層ステップ201が、制限領域102の内部でステップフロー成長を起こす。ステップフロー成長が進行するに伴い、ステップの一番上流側にあった(0001)面のテラス202の面積が拡大していき(図2(b)参照)、最終的に、このテラス202が制限領域の表面積のほとんどを占める(図2(c)参照)。この時、この一番広い(0001)面テラス202の表面積が制限領域102の表面積の80%以上の大きさであることが望ましい。制限領域102全体(表面積の100%)にわたりテラス202を形成することが好ましいが技術的に困難であるためである。この工程を第1の成長工程とする。
次に、TMGまたはTEGの供給量を、第1の成長工程よりも大きくする。具体的には、毎分2×10-5モル以上1×10-3モル以下であることが望ましい。この時、第1の成長工程で形成された(0001)面テラス202の上にGaNの2次元核301が、1平方メートル当たり毎秒109個以上の頻度(2次元核生成頻度)で発生する(図3(a)参照)。III族供給量が毎分2x10-5 モルの時、核生成頻度が1平方メートル当たり毎秒109個の頻度となり、III族供給量を増やすと核生成頻度も大きくなるが、毎分1x10-3 モルを超えると頻度が高くなりすぎて2次元核の上にさらに成長が起こって(つまり、2次元核が3次元核になってしまうため)広いテラスが形成できなくなってしまう。この工程で、テラス202の上に発生する2次元核301の個数は、2次元核生成頻度とテラス202の面積から求められるが、テラス202の上に2次元核301が1個以上100個以下発生するだけの時間だけ、この工程を行う。テラス202上に2次元核301を発生させる本工程を第2の成長工程とする。
さらに、TMGまたはTEGの供給量を、第2の成長工程よりも小さくする。具体的には、毎分1x10-5モル以下であることが望ましい。この工程では、第2の成長工程で発生したGaNの2次元核301を横方向成長させる。横方向成長することによって、2次元核がテラスの端まで大きくなったり、2次元核同士が合体したりすることによって、1分子層の厚さの連続的なGaN薄膜302となった(図3(b)参照)。この後にさらにIII族原料を供給し続けても、その供給量が毎分1×10-5モル以下と小さいため、新たに2次元核が生成することはなく、成長は自己停止する。そのため、本成長方法は、窒化物半導体の原子層エピタキシとして機能する。本工程を第3の成長工程とする。
さらに、第2の成長工程と第3の成長工程を交互に繰り返すことにより、2分子層以上の厚さのGaN薄膜303を成長することも可能であった(図3(c)参照)。
上記の実施例では、窒化物半導体基板の主方位面に単一の制限領域を設けた場合について記述したが、制限領域が複数存在しても構わない。この点は、以降の実施形態2及び3に関しても同様である。
また、本実施例では、GaN薄膜を成長する場合の例を示したが、本発明に係る成長方法は2次元核の生成過程と2次元核の横方向成長過程を分離し、さらに横方向成長をゆっくりと行うため、III族原料として、Ga、Al、B、および、Inを含む有機金属を適宜用いることにより、AlN、BN、および、InNの2元窒化物半導体薄膜や、Al1-a-b-cBaGabIncN(0≦a≦1,0≦b≦1,0≦c≦1)混晶半導体薄膜を従来よりも高品質に成長することができた。
(実施形態2)
実施形態2に係る窒化物半導体規則混晶の成長方法は、実施形態1の係る窒化物半導体薄膜の成長方法を、適宜III族原料を変更して繰り返すことにより、(AlN)k(BN)l(GaN)m(InN)n規則混晶を成長するものである。ここで、k、lおよびmは0以上5以下の整数で、k、lおよびmのいずれかは0ではなく、nは1以上5以下の整数である。以下、実施例を具体的な数値等に言及しつつ説明するが、本発明はこれらの数値等にのみ制限されるものではないことに留意されたい。
まず、実施形態1の例と同様に、制限領域102の表面積の80%以上の大きさを占める、GaN(0001)面のテラス202を作製した(工程2−1、図4(a)参照)。
次に、TMGまたはTEGを、工程2−1よりも大きい毎分2x10-5モル以上1x10-3モル以下の供給量で、テラス上にGaNの2次元核を1個以上100個以下発生するだけの時間だけ供給した(工程2−2)。
次に、TMGまたはTEGの供給量を工程2−2よりも小さい毎分1x10-5モル以下にし、複数のGaN2次元核を横方向成長させ、1分子層の厚さの連続的なGaN薄膜を形成した(工程2−3)。
ついで、工程2−2及び2−3を繰返し、合計2分子層の厚さのGaN薄膜401を成長した(工程2−4、図4(b)参照)。
その後、TMGまたはTEGの供給を止め、数秒から数十秒の間パージを行った(工程2−5)。
次に、新たなIII族原料であるトリメチルインジウム(TMI)を、毎分2×10-5モル以上1×10-3モル以下の供給量で、GaNの(0001)面テラスの上に、InNの2次元核を1個以上100個以下発生するだけの時間だけ供給した(工程2−6)。
さらに、TMIの供給量を毎分1×10-5モル以下にし、工程2−6で発生したInNの2次元核を横方向成長させ、1分子層の厚さの連続的なInN薄膜を形成した(工程2−7)。なお、この後にさらにTMIを供給し続けても、その供給量が毎分1×10-5モル以下と小さいため、新たにInNの2次元核が生成することはなく、成長は自己停止した。
もう2回、工程2−6及び2−7を繰返し、合計3分子層の厚さのInN薄膜402を成長した(工程2−8、図4(c)参照)。
次に、TMIの供給を止め、数秒から数十秒の間パージを行った(工程2−9)。
この後、工程2−2〜2−9をこの順序で99回繰り返すことにより、100周期の窒化物半導体規則混晶(GaN)2(InN)3を成長した。
上記実施例において、III族原料として、GaやInを含む有機金属だけに限定せず、AlやBを含む有機金属を適宜使用し、また、工程2−4や工程2−8における繰返し回数を適宜設定することにより、InNを含む窒化物半導体の規則混晶である(AlN)k(BN)l(GaN)m(InN)nを作製することができた。ここで、k、lおよびmは0以上5以下の整数である。ただし、k、lおよびmのいずれかは0ではない。また、nは1以上5以下の整数である。各二元窒化物半導体の分子層数の最大値が5を超えると、当該規則混晶内の歪が大きくなりすぎて転位が発生する。転位があると原子レベルで平坦な界面を形成できなくなってしまうため、5以下にする必要がある。
101 窒化物半導体基板
102 制限領域
103 マスク材
104 メサ
201 GaNの分子層ステップ
202 ステップの一番上流側の(0001)面のテラス
301 GaNの2次元核
302 1分子層の厚さの連続的なGaN薄膜
303 2分子層以上の厚さのGaN薄膜
401 2分子層の厚さのGaN薄膜
402 3分子層の厚さのInN薄膜

Claims (6)

  1. ミスカットを有する窒化物半導体基板の主方位面上に、表面積が30平方マイクロメートル以上1,000,000平方マイクロメートル以下である制限領域を形成する工程と、
    アンモニアガス雰囲気中において、III族原料を供給して、前記制限領域内で前記窒化物半導体基板の分子層ステップをステップフロー成長させ、前記制限領域内にテラスを形成する第1の成長工程と、
    前記III族原料の供給量を前記第1の成長工程よりも大きくして、1平方メートル当たり毎秒109個以上の核生成頻度で、前記制限領域内の前記テラス上に複数の2次元核を形成する第2の成長工程と、
    前記III族原料の供給量を前記第2の成長工程よりも小さくして、前記テラス上の前記複数の2次元核を横方向成長により互いにつなげ、1分子層の厚さの連続的な窒化物半導体薄膜にする第3の成長工程と
    を含むことを特徴とする窒化物半導体薄膜の成長方法。
  2. 前記第2の成長工程および前記第3の成長工程を交互に繰り返して、2分子層以上の厚さの窒化物半導体薄膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の成長方法。
  3. 前記第1の成長工程における前記III族原料の供給量が毎分1×10-5モル以下であり、
    前記第2の成長工程における前記III族原料の供給量が毎分2×10-5モル以上1×10-3モル以下であり、
    前記第3の成長工程における前記III族原料の供給量が毎分1×10-5モル以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成長方法。
  4. 前記第1の成長工程で形成される前記テラスの表面積は、前記制限領域の表面積の80%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の成長方法。
  5. (AlN)k(BN)l(GaN)m(InN)n(k、lおよびmは0以上5以下の整数で、k、lおよびmのいずれかは0ではなく、nは1以上5以下の整数)で表される分子層の積層構造を有し、分子層間の各界面は原子レベルで平坦であることを特徴とする窒化物半導体規則混晶。
  6. 前記積層構造の分子層は、請求項1〜4のいずれかに記載の成長方法により作製されていることを特徴とする請求項5に記載の窒化物半導体規則混晶。
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