JP2011169017A - アスファルトフィニッシャ及びアスファルト舗装の施工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成により舗装材による施工仕上がり面の高さの管理、制御を簡便に精度よく行えるアスファルトフィニッシャを提供する。
【解決手段】反射体11をレベリングアーム7に取り付け、制御装置4でオフセットデータ、及び位置の座標をアドレスとして位置における舗装材による施工仕上がり面の基準高さデータを格納し、トータルステーション22から3次元の計測座標を受信して計測座標における位置座標に基づき読み出しアドレスを生成して基準高さデータを読み出すとともに、計測座標における高さデータと基準高さデータとをオフセットデータに基づきレベル調整し比較し伸縮装置5を制御してアスファルト舗装を施工する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両本体の両側面で伸縮装置により高さ方向に移動操作される支持軸にレベリングアームを介してスクリードが支持され前記車両本体の後方に配設されるアスファルトフィニッシャ及びそのアスファルトフィニッシャを使用したアスファルト舗装の施工法に関する。
アスファルト舗装では、一般にアスファルト合材を舗装材として路面へ拡散する拡散作業や、アスファルト合材を締め固める圧縮・敷き均し作業が行われる。そのため、例えばアスファルト合材を収容するホッパ、ホッパに収容したアスファルト合材を搬送するコンベア、コンベアから搬送されてきたアスファルト合材を施工面である路面に排出しその幅員方向に拡散するスプレッダ、敷き拡げられたアスファルト合材を押圧するスクリード等を備え、自走するアスファルトフィニッシャが使用される。
従来より、舗装の施工技術に関する種々の提案がなされている。例えば複数の光波距離測定装置を使ってスクリードから地表までの距離の差を測定して舗装厚を求め、所定の舗装厚を高精度で確保できるようにしたアスファルトフィニッシャの舗装厚制御装置(例えば、特許文献1参照)、また、車体本体の走行速度、ステアリングの切れ角、スクリードの張り出し量を検出し、締め固め装置の作動量を左右で独立して増減できるようにすることにより、カーブに沿って外側と内側で走行速度に差が生じても締め固め装置の作動量を左右とも最適に調整して仕上がりのよい舗装を行えるようにした舗装機械の締め固め制御装置(例えば、特許文献2参照)、工事の3次元計画曲面データを保持し、プリズムミラー及び各種センサを設けて、トータルステーションによりプリズムミラーの3次元位置の計測、レベリングアームの傾斜角(スクリードの縦断傾斜角)、スクリードの横断傾斜角などを検出し、アスファルトフィニッシャの車両の向き、車両の左右中心位置のxy座標、スクリードの左右末端部のxyz座標などを算出してアスファルトフィニッシャの動作を自動制御する3次元位置自動制御方法(例えば、特許文献3参照)などがある。
特開2002−339314号公報 特開2009−121192号公報 特開平07−180107号公報
しかし、上記従来のアスファルトフィニッシャの舗装厚制御装置は、使用する光波距離測定装置が多くなり、作業や機器の管理、調整が煩雑になり、また、精度よく舗装厚を制御することができないなどの問題を有している。すなわち、この装置では、アスファルト合材が敷き均される終端より前方の位置とアスファルト合材が完全に敷き均されたスクリードより後方の位置にそれぞれ光波距離測定装置を設けて、鉛直な測距光を発して地表までの距離を測定し、舗装厚を求めるている。したがって、左右合わせて4つの光波距離測定装置を必要とし、片側でもその測定位置と敷き均す位置からなる2つの位置がそれぞれ異なるため、実質的には敷き均す位置での舗装厚制御を行うことはできない。しかも、敷き均す位置より先行する前方の位置の凹凸状態にならって舗装厚を制御することになるので、均一に舗装厚を制御することはできないなどの問題を有している。
また、上記従来の舗装機械の締め固め制御装置は、走行速度に差が生じても締め固め装置の作動量を左右とも最適に調整するものであるが、仕上がり面の高さを施工計画に沿って精度よく施工するように調整することができない。プリズムミラー及び各種センサを設けてアスファルトフィニッシャの3次元位置を自動制御する方法では、プリズムミラーの3次元計測と各種センサの計測に基づき各種の演算を行うため、各種センサの管理や演算が煩雑になるなどの問題を有している。
本発明は、上記の問題を解決するものであって、簡単な構成により舗装材による施工仕上がり面の高さの管理、制御を簡便に精度よく行えるようにするものである。また、本発明は、制御精度の誤差を簡便に修正できるようにするものである。
そのために本発明は、車両本体の両側面で伸縮装置により高さ方向に移動操作される支持軸にレベリングアームを介してスクリードが支持され前記車両本体の後方に配設されるアスファルトフィニッシャにおいて、前記レベリングアームに取り付けられる反射体と、オフセットデータを格納するオフセット格納手段と、位置の座標をアドレスとして前記位置における舗装材による施工仕上がり面の基準高さデータを格納する基準データ格納手段と、3次元の計測座標を受信して前記計測座標における位置座標に基づき前記基準データ格納手段の読み出しアドレスを生成して前記基準高さデータを読み出すとともに、前記計測座標における高さデータと前記基準高さデータとを前記オフセット格納手段に格納されたオフセットデータに基づきレベル調整して比較し前記伸縮装置を制御する制御手段とを備え、前記オフセット格納手段は、前記オフセットデータとして、前記反射体の計測座標の高さデータと前記基準高さデータとの差を格納し、前記制御手段は、前記反射体の3次元の計測座標を受信して前記計測座標に基づき前記読み出しアドレスを生成することを特徴とする。
さらに、前記制御手段は、前記オフセットデータの更新処理として、規定高さの反射体を施工済みの舗装材による施工仕上がり面に立てて計測された3次元の計測座標を受信し、当該計測座標における位置座標を読み出しアドレスとして前記基準高さデータを読み出すとともに、前記計測座標における高さ座標から前記規定高さを減算して計測高さデータを求め、前記基準高さデータと前記計測高さデータとの誤差により前記オフセットデータを修正して更新することを特徴とし、前記計測座標に基づき前記スクリードの下面の所定位置の座標を前記読み出しアドレスとして生成することを特徴とする。
また、アスファルト舗装の施工法として、トータルステーションにより前記アスファルトフィニッシャの反射体を計測して3次元の計測座標を前記アスファルトフィニッシャの制御手段に送信して前記レベリングアームの高さ調整しながらアスファルト舗装の施工を行い、前記施工中に適宜前記アスファルトフィニッシャのオフセットデータの更新として、施工済みの舗装材による施工仕上がり面に規定高さの反射体を立ててトータルステーションにより計測し、3次元の計測座標を前記アスファルトフィニッシャの制御手段に送信して前記施工仕上がり面の高さを求めて前記基準高さとの誤差により前記アスファルトフィニッシャのオフセットデータ修正して更新することを特徴とする。
本発明によれば、レベリングアームに反射体を取り付け、舗装材による施工仕上がり面の基準高さデータ及びスクリードの下面の所定位置における高さを基準高さデータにより設定したときの反射体の高さと基準高さデータとの差からなるオフセットデータを格納して、反射体の3次元の計測座標を受信して基準高さデータに応じレベリングアームを高さ方向に移動操作するので、簡便にかつ精度よく舗装材による施工仕上がり面を基準高さデータに制御することができる。しかも、規定高さの反射体を施工済みの舗装材による施工
仕上がり面に立てて計測された3次元の計測座標を受信し、当該計測座標における位置座標を読み出しアドレスとして基準高さデータを読み出すとともに、計測座標における高さ座標から規定高さを減算して計測高さデータを求め、基準高さデータと計測高さデータとの誤差によりオフセットデータを修正して更新することができるので、施工の進行に伴い誤差が拡大するのを防ぎ、誤差をなくすように基準高さデータに基づくスクリードの制御、オフセットデータの管理、修正を簡便に行うことができ、施工精度を向上させることができる。
本発明に係るアスファルトフィニッシャの実施形態を説明する図 制御システムの構成例を示す図 施工仕上がり面を制御する基準高さデータを説明する図 オフセットデータの設定、更新を説明する図 反射体の座標とスクリードの下面の所定位置の座標を説明する図 走行制御データの構成例を示す図 本発明に係るアスファルト舗装の施工法の実施の形態を説明する図
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るアスファルトフィニッシャの実施形態を説明する図、図2は制御システムの構成例を示す図、図3は施工仕上がり面を制御する基準高さデータを説明する図、図4はオフセットデータの設定、更新を説明する図である。図中、1はアスファルトフィニッシャ、2は車体本体、3は運転席、4は制御システム、5は伸縮装置、6は支持軸、7はレベリングアーム、8はスクリード、9は前輪、10は後輪、11と21は反射体、20は舗装材、22はトータルステーション、23は高さ調整板、31は通信処理部、32は変換データ格納部、33は基準データ格納部、34はオフセット格納部、35は高さ変換処理部、36は座標変換処理部、37は入力・指示制御部、38はオフセット設定処理部、39は演算処理部、40はレベル調整部を示す。
図1において、アスファルトフィニッシャ1は、前輪9、後輪10を有し自走する車体本体2の前方、運転席3の前方にホッパが配設され、それらの後方にコンベアを挟んでスプレッダが配設される。伸縮装置5は、例えば油圧シリンダとピストンロッドを有し、車体本体2の略中央に位置する両側面で支持軸6を高さ方向(ウ)に移動操作するものである。スクリード8は、レベリングアーム7を介して支持軸6で支持され、スプレッダの後方に配設される。
制御システム4は、車体本体2の運転席3の近傍、或いは後方に配設され、キーやボタンスイッチ、ディスプレィ、CPUなどを装備している。また、制御システム4は、通信機能を有し、制御情報として座標データを受信して(イ)、オペレータの指示や施工情報に基づき油圧シリンダの制御信号を生成する。この制御信号に基づき油圧シリンダを制御して支持軸5を高さ方向(ウ)に移動操作することにより、伸縮装置5の伸縮の制御を行い、スクリード7の面圧を変えて舗装材20による施工仕上がり面の高さを調整する。通常、アスファルトフィニッシャ1は、運転手が運転席に搭乗して施工コース、施工単位に従い操舵、走行して、制御システム4では施工面の高さ管理のみを行うが、制御システム4により施工コース、施工単位に従い前輪9を操舵し後輪10を駆動する走行制御を行って、自動走行させるようにしてもよい。
アスファルト舗装の作業では、例えばダンプトラックからアスファルトフィニッシャ1の車体本体2の前方に配設されたホッパ内にアスファルト合材が供給される。ホッパ内に供給され貯留されたアスファルト合材は、コンベアにより後方のスプレッダへ搬送され、
スプレッダで車体本体2の進行方向とは直交する左右の幅員方向に搬送されて敷き拡げられ施工面上に排出される。そして、施工面上に排出されたアスファルト合材は、後方のスクリード8によって締め固められる。
アスファルト舗装の作業における舗装材の施工仕上がり面の高さ、舗装厚は、伸縮装置5を伸縮させて支持軸5を高さ方向(ウ)に移動操作しスクリード7の面圧を変えることにより調整される。伸縮装置5を制御して支持軸5の高さを上げると、スクリード7の面圧が低下して施工仕上がり面の高さ、舗装厚が大きくなり、支持軸5の高さを下げると、スクリード7の面圧が増大して施工仕上がり面の高さ、舗装厚が小さくなる。
反射体11は、レーザビーム(ア)による位置計測のターゲットとして例えば全方位プリズムを支持棒に固定したものであり、この支持棒がレベリングアーム7の上に取り付けられる。この反射体11の3次元の位置計測を例えばトータルステーションから行い、反射体11の高さ(レベリングアーム7の高さ)からオフセット分を差し引くことにより、スクリード7の下面の所定位置の高さ、施工仕上がり面の高さzが計測される。反射体21は、同様にレーザビーム(ア)による位置計測のターゲットとして例えば全方位プリズムを規定高さhosの支持棒に固定したものである。反射体21を舗装材20の施工仕上がり面に立ててトータルステーションから3次元の位置計測を行い、反射体21の高さから規定高さhosを差し引くことにより、施工仕上がり面の高さが計測される。
トータルステーション22は、既知の座標地点に設置され、レーザビーム(ア)を放射して反射体11、21を追尾し、その既知の座標を基準座標として反射体11、21の相対的な座標を求めるものであり、反射体11、21までの測距と測角を行い、測距・測角データに基づき反射体11、21の相対的な座標を求める。また、トータルステーション22は、通信機能を有し、測距・測角データに基づき求めた反射体11、21の相対的な座標データをアスファルトフィニッシャ1の制御システム4に送信する(イ)。
このように本実施形態のアスファルトフィニッシャ1では、反射体11をレベリングアーム7に取り付け、オフセットデータ、及び位置の座標をアドレスとして位置における舗装材による施工仕上がり面の基準高さデータを制御装置4に格納する。そして、トータルステーション22から3次元の計測座標を受信して計測座標における位置座標に基づき読み出しアドレスを生成して基準高さデータを読み出すとともに、計測座標における高さ座標からオフセットデータを減算して計測高さデータを求め、基準高さデータと計測高さデータとの差に基づき伸縮装置5を制御してアスファルト舗装を施工する。オフセットデータとしては、スクリード8の下面の所定位置における高さを基準高さデータにより設定したときの反射体11の高さと基準高さデータとの差を格納し、反射体の3次元の計測座標からスクリード8の下面の所定位置の座標を読み出しアドレスとして生成する。
また、規定高さの反射体21を施工済みの舗装材による施工仕上がり面に立ててトータルステーション22から3次元の計測座標を計測することにより、制御装置4は、オフセットデータの更新処理として、計測座標における高さ座標から規定高さを減算して計測高さデータを求め、基準高さデータと計測高さデータとの誤差によりオフセットデータを修正して更新する。
制御システム4の機能ブロックによる構成例を示したのが図2である。図2において、通信処理部31は、トータルステーション22と通信を行い、反射体11、21を計測した3次元の座標データ(xp ,yp ,zp )を取得するものである。変換データ格納部32は、反射体11の座標(xp ,yp )をスクリード8の下面の所定位置の座標(xs ,ys )に変換するデータを格納するものである。基準データ格納部33は、アスファルト舗装の施工仕上面の基準高さデータzc を格納するものであり、例えば図3に示すように
位置の座標(xs ,ys )をアドレスとして、その位置における舗装面の高さデータzc を格納している。オフセット格納部34は、反射体11の高さの座標zp をスクリード8の下面の所定位置の高さの座標zs に変換するオフセットデータhof及び反射体21の規定高さhosを格納するものである。
高さ変換処理部35は、通信処理部31で受信した3次元の座標データ(xp ,yp ,zp )のうち、高さの座標データ(zp )をオフセット格納部34に格納されたオフセットデータhof又は反射体21の規定高さhosに基づき、スクリード8の下面の所定位置の高さの座標zs 又は施工仕上がり面の高さze に変換するものである。座標変換処理部36は、通信処理部31で受信した3次元の座標データ(xp ,yp ,zp )のうち、平面の座標データ(xp ,yp )を変換データ格納部32に格納した変換データに基づきスクリード8の下面の所定位置の座標(xs ,ys )に変換して出力し、また、オフセットデータの更新モードでは、通信処理部31で受信した3次元の座標データのうち、平面の座標データをそのまま出力するものである。
演算処理部39は、施工仕上がり面の基準高さデータzc と、高さ変換処理部35で変換したスクリード8の下面の所定位置の高さの計測データzs とを比較演算するものである。基準高さデータzc は、座標変換処理部36で変換したスクリード8の下面の所定位置の座標データ(xs ,ys )を図3に示すように基準データ格納部33のアドレスとして、基準データ格納部33から読み出される。レベル調整部40は、演算処理部39で比較演算した誤差出力に基づき伸縮装置5の伸縮を制御するものである。例えばスクリード8の下面の所定位置の高さの座標データzs が施工仕上がり面の高さデータzc より大きい場合にはスクリード8の下面を下げ、逆に施工仕上がり面の高さデータzc より小さい場合にはスクリード8の下面を上げるように伸縮装置5の伸縮を制御する。
入力・指示制御部37は、キーやボタンスイッチなどから入力、指示を行うものであり、その内容をディスプレイの画面に表示して確認を行いながら、オフセットデータの設定入力、更新の指示を行う。オフセット設定処理部38は、入力・指示制御部37からの入力、指示に基づきオフセット格納部34に格納するオフセットデータの設定、更新を行うものである。
オフセット設定処理部38は、例えば入力・指示制御部37によりオフセットデータの設定モードにすると、オフセット格納部34のオフセットデータを0にクリアした後、演算処理部39の出力値をオフセットデータとして格納する。これに対し、入力・指示制御部37によりオフセットデータの更新モードにすると、オフセット格納部34から反射体21の規定高さのデータをオフセットデータとして出力し、座標変換処理部36は、通信処理部31で受信した計測位置の座標データをそのまま基準データ格納部33の読み出しアドレスとして出力した後、オフセット設定処理部38は、オフセット格納部34のオフセットデータに演算処理部39の出力値を加減して更新する。
オフセットデータの設定モードは、例えば次のように行われる。まず、入力・指示制御部37の指示制御によりオフセット設定処理部38を介してオフセット格納部34のオフセットデータをクリアして0にする。そして、図4(a)に示すように基準データ格納部33に格納された基準高さデータzc に対応してスクリード8の下面に高さ調整板23を設置した後、トータルステーション22より反射体11の計測データを通信処理部31で受信する。受信した計測データは、高さ変換処理部35と座標変換処理部36に入力される。高さ変換処理部35では、オフセット格納部34のオフセットデータがクリアされ0になっているので、受信した反射体11の高さデータzpaが出力される。また、座標変換処理部36では、受信した反射体11の位置データを座標変換して基準データ格納部33のアドレスが生成されるので、スクリード8の下面の位置における基準データ格納部33
に格納された基準の高さzc が読み出される。
演算処理部39では、この反射体11の高さデータzpaと基準の高さzc が比較演算され、それらの差hof(=zpa−zc )が出力される。入力・指示制御部37の指示制御のもと、オフセット設定処理部38は、演算処理部39の出力する差hofをオフセットデータhofとし、オフセット格納部34に格納する。この間、レベル調整部40による伸縮装置5の制御は禁止され、画面にオフセットデータの設定に関する情報が表示されることで、表示内容を確認しながらキーやボタンスイッチにより指示ができる。
オフセットデータの更新モードでは、図4(b)に示すように規定高さhocの支持棒に取り付けた反射体21をアスファルト舗装の作業が終了した舗装材20の施工仕上がり面に立てる。その後、トータルステーション22より反射体21の計測データを通信処理部31で受信する。オフセット格納部34には、オフセットデータhofのほか反射体21の規定高さhosが格納されているので、高さ変換処理部35では、受信した反射体21の高さzpcから反射体21の規定高さhosを引いた舗装材20の施工仕上がり面の高さze を求める。また、座標変換処理部36では、受信した反射体21の位置データを基準データ格納部33のアドレスとして出力する。
演算処理部39では、それら施工仕上がり面の高さze と基準の高さzc が比較演算され、それらの誤差Δ(=zc −ze )が出力される。舗装材20の施工仕上がり面の高さze が基準高さデータの高さzc に施工されていれば、誤差Δは0で、オフセットデータhofが適正な値に設定されていることになる。しかし、施工仕上がり面の高さze と基準高さデータの高さzc とのズレが徐々に拡大して誤差Δの値が大きくなると、もはやオフセットデータhofが適正な値ではなくなる。そこで、オフセット設定処理部38は、入力・指示制御部37の指示制御のもと、演算処理部39の出力する誤差Δでオフセット格納部34に格納されているオフセットデータhofを修正して更新する。この間も、レベル調整部40による伸縮装置5の制御は禁止され、画面にオフセットデータの更新に関する情報が表示されることで、表示内容を確認しながらキーやボタンスイッチにより指示ができる。
図5は反射体の座標とスクリードの下面の所定位置の座標を説明する図、図6は走行制御データの構成例を示す図である。本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ1は、車体本体2の左右両側のレベリングアーム7にそれぞれ反射体11を取り付けて、トータルステーション22よりそれぞれの座標を計測している。スクリード7の下面の所定位置は、アスファルトフィニッシャ1による舗装材の仕上がり面の高さを管理する位置であり、図5に示すように左右のレベリングアーム7に取り付けられた反射体11の位置に基づく相対的な位置として定義される。
図5において、Ppr(xpr,ypr)は右側のレベリングアーム7に取り付けられた反射体11の位置の座標を示し、Ppl(xpl,ypl)は左側のレベリングアーム7に取り付けられた反射体11の位置の座標、Psr(xsr,ysr)はスクリード7の下面の右側の所定位置の座標、Psl(xsl,ysl)は同じくスクリード7の下面の左側の所定位置の座標、Pk (xk ,yk )はPslとPsrとを結ぶ線分の中点の座標を示している。スクリード7の下面の左右の所定位置Psl、Psrは、左右両側のレベリングアーム7にそれぞれ取り付けられた反射体11の位置Ppl、Pprを含む頂点とする三角形、四角形を形成する。この三角形、四角形は、構造上各辺の長さ、頂角が固定値になるので、2点の位置Ppl、Pprを計測することにより、スクリード7の下面の左右の所定位置Psl、Psrの座標は、三角形、四角形の他の頂点の位置として求めることができる。
舗装材の施工仕上がり面の高さを制御する基準高さデータzc は、このようにして求め
たスクリード7の下面の左右の所定位置Psl、Psrの座標をアドレスとして、基準データ格納部33から左右それぞれの位置に対応して読み出される。舗装材の施工仕上がり面が幅員方向に水平である場合には、左右同一の値の基準高さデータが読み出され、傾斜する場合には、左右高さが異なる値の基準高さデータが読み出される。このように左右のレベリングアーム7の高さをそれぞれの伸縮装置5により制御することにより、舗装材の施工仕上がり面を基準高さデータに基づき水平面にも傾斜面にも形成することができる。
また、先に述べたように通常は作業員が運転席に搭乗してアスファルトフィニッシャ1を運転するが、例えば図6に示すようなノード列nk (xk ,yk )、……のデータを格納して順次読み出すことで、自走するアスファルトフィニッシャ1の自動操舵を実現することもできる。その場合の前輪9の操舵は、ノード列nk (xk ,yk )、……の位置をスクリード7の下面の左右の所定位置Psl(xsl,ysl)とPsr(xsr,ysr)の中点、つまり、図5に示すPslとPsrとを結ぶ線分の中点Pk (xk ,yk )と対応させて行う。アスファルトフィニッシャ1による舗装材の施工仕上げ高さの制御だけでなく、操舵の制御も併せて行う場合には、中点の座標を求めてノード列の座標と比較し、中点の座標がノード列の座標より右側に寄っているときは左方向に操舵を制御し、反対に左側に寄ってきたときには右方向に操舵を制御する。
図7は本発明に係るアスファルト舗装の施工法の実施の形態を説明する図である。上記本実施形態のアスファルトフィニッシャ1を自走させアスファルト舗装を施工すると、図4(a)で説明したように作業開始前にオフセットを設定しても、施工距離が延びるにしたがい機械的な振動や撓み、機構的なズレなども複合して誤差が生じてくる。そのため、施工距離が長くなると、適宜図4(b)で説明した反射体21を使い、オフセットの更新を行わないと、施工制度が悪くなるという問題が生じる。
このような問題を解消するアスファルト舗装の施工法としては、例えば図7に示すようにまず、施工開始前の作業としてオフセットの初期設定(ステップS11〜S13)を行うだけでなく、施工の進行に伴い適宜オフセットの更新処理(ステップS20〜S22)を行うことが必要になる。
初期設定では、図4(a)に示すように、スクリード8の下面に基準高さデータに相当する高さ調整板23をセットする(ステップS11)。高さ調整板23は、基準高さデータの高さzc となるように調整される。しかる後、トータルステーション22よりレベリングアーム7に取り付けた反射体11の計測を行い(ステップS12)、計測した反射体11の高さzpaと基準高さデータの高さzc との差(zpa−zc )をオフセット値hofとして求め、メモリ(オフセット格納部34)に格納する(ステップS13)。なお、変換データ格納部32には、アスファルトフィニッシャ1の構造に特有の情報に基づき、また、基準データ格納部33には、アスファルト舗装を行う施工情報に基づき所定のデータが格納されている。
アスファルトフィニッシャ1がアスファルト舗装を行う所定の位置に導かれると、施工開始を待ち(ステップS14)、トータルステーション22によりレベリングアーム7に取り付けた反射体11の計測を行う(ステップS15)。計測した反射体11の高さzpaからオフセットデータhofを減算してスクリード7の下面の左側の所定位置の高さze を求め、基準データ格納部33に格納された基準高さデータzc と比較演算を行って誤差Δを求める(ステップS16)。求めた誤差Δに基づき収縮装置5の伸縮(ウ)を制御してレベリングアーム7の高さを調整する(ステップS17)。
アスファルト舗装の施工終了を判定し(ステップS18)、施工終了まで、オフセットデータ更新をするか否かを判定して(ステップS19)、適宜オフセットデータ更新しな
がらステップS15の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。オフセットデータ更新は、所定距離を施工する毎に、例えば図6で説明したノード数をカウントして所定ノード数施工する毎に行ったり、特定のノードを予め設定してそのノードの施工後に行ったり、あるいは作業員の判断によりアスファルトフィニッシャ1の走行を停止させて行うなど、適宜設定された条件を判定して行う。
オフセットデータ更新をする場合には、図4(b)に示すように舗装材20の施工仕上がり面に規定高さhocの支持棒に取り付けた反射体21を立てて、トータルステーション22により反射体21の高さzpcを計測する(ステップS20)。計測した反射体21の高さzpcを規定高さhocでスクリード7の下面の左側の所定位置の高さze に変換し、計測した反射体21の位置座標データPpcを基準データ格納部33の読み出しアドレスとして基準高さデータzc を読み出し、所定位置の高さze と基準高さデータzc との比較演算を行って誤差Δを求める(ステップS21)。求めた誤差Δによりオフセットデータhofを調整(修正)して更新し(ステップS22)、ステップS15の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
このように本実施形態では、アスファルト舗装の施工をしながら、舗装材20の施工仕上がり面に規定高さhocの支持棒に取り付けた反射体21を立てて、トータルステーション22により反射体21の高さzpcを計測し、逐次オフセットデータhofの更新を簡便に行うことができ、施工開始時に施工誤差があっても、施工をしながらオフセットデータの更新によりその施工誤差を低減させることができる。また、施工中に、アスファルトフィニッシャ1に構造的な変形、変化が生じても、オフセットデータhofの更新により、現況に追随して所望の施工精度を確保することができ、柔軟に施工環境に順応させたアスファルトフィニッシャのスクリードのレベルを制御することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、左右のレベリングアームの上に支持棒を立てて全方位プリズムを取り付け、施工仕上がり面の高さを計測し調整を行うようにしたが、スクリード上の左右両側に支持棒を立てて全方位プリズムを取り付けて同様の調整を行うようにしてもよい。また、全方位プリズムの平面位置の座標(xp ,yp )からスクリード7の下面の右側の所定位置の座標(xs ,ys )を求めてアドレスとし、その位置における基準データ格納部33に格納された基準の高さzc が読み出すようにしたが、全方位プリズムの平面位置の座標(xp ,yp )をアドレスとして基準データ格納部33に格納された基準の高さzc が読み出すようにしてもよい。この場合には、図2における変換データ格納部32、座標変換処理部36を省くことができ、L字状その他曲がった支持棒をレベリングアームの上に立てて反射体11を取り付け、施工環境や状況に応じて反射体11の位置を自由に変えて設定することができる。
また、制御装置は、計測高さデータと基準高さデータとをオフセットデータでレベル調整(オフセットデータを加減)して比較し、それらが同じになるように伸縮装置の伸縮を制御するものであり、さらに、そのオフセットデータを舗装材の施工仕上がり面に基づき随時修正しながら更新することにより、施工精度を高めている。したがって、実施形態では、計測高さデータからオフセットデータを減算したが、基準高さデータにオフセットデータを加算してもよいし、図2に示す構成に限定されるものではなく、適宜変形することが可能であることをいうまでもない。
図1においては、反射体11の計測及び反射体21の計測に1台のトータルステーション22を共用したが、それぞれに別個のトータルステーションを用いて計測してもよい。さらに、レベリングアーム、或いはスクリードから横方向にアームを延ばして、例えば光波測距装置など(例えば、特許文献1の19参照)の距離センサを取り付け、側方の路面
までの高さを計測するようにしてもよい。右又は左の側方の路面が既に施工済みである場合に、その側方の路面までの高さを計測すると、反射体11により計測したデータを用いるより側方の路面との施工面での段差が生じないように伸縮装置5の伸縮の制御を行うことができる。したがって、この場合には、片側について、反射体11により計測したデータを用いる制御から光波測距装置により計測したデータを用いる制御に切り換えて伸縮装置5の伸縮の制御を行うことになる。
また、前輪と後輪を有するホィール式のアスファルトフィニッシャで説明したが、受動スプロケットと駆動スプロケットとの間にクローラが巻装されたクローラ式のアスファルトフィニッシャであってもよい。
1…アスファルトフィニッシャ、2…車体本体、3…運転席、4…制御システム、5…伸縮装置、6…支持軸、7…レベリングアーム、8…スクリード、9…前輪、10…後輪、11と21…反射体、20…舗装材、22…トータルステーション、23…高さ調整板、31…通信処理部、32…変換データ格納部、33…基準データ格納部、34…オフセット格納部、35…高さ変換処理部、36…座標変換処理部、37…入力・指示制御部、38…オフセット設定処理部、39…演算処理部、40…レベル調整部

Claims (4)

  1. 車体本体の両側面で伸縮装置により高さ方向に移動操作される支持軸にレベリングアームを介してスクリードが支持され前記車体本体の後方に配設されるアスファルトフィニッシャにおいて、
    前記レベリングアームに取り付けられる反射体と、
    少なくともオフセットデータを格納するオフセット格納手段と、
    位置の座標をアドレスとして前記位置における舗装材による施工仕上がり面の基準高さデータを格納する基準データ格納手段と、
    3次元の計測座標を受信して前記計測座標における位置座標に基づき前記基準データ格納手段の読み出しアドレスを生成して前記基準高さデータを読み出すとともに、前記計測座標における高さデータと前記基準高さデータとを前記オフセット格納手段に格納されたオフセットデータに基づきレベル調整して比較し前記伸縮装置を制御する制御手段と
    を備え、前記オフセット格納手段は、前記オフセットデータとして、前記反射体の計測座標の高さデータと前記基準高さデータとの差を格納し、前記制御手段は、前記反射体の3次元の計測座標を受信して前記計測座標に基づき前記読み出しアドレスを生成することを特徴とするアスファルトフィニッシャ。
  2. 前記制御手段は、前記オフセットデータの更新処理として、規定高さの反射体を施工済みの舗装材による施工仕上がり面に立てて計測された3次元の計測座標を受信し、当該計測座標における位置座標を読み出しアドレスとして前記基準高さデータを読み出すとともに、前記計測座標における高さ座標から前記規定高さを減算して計測高さデータを求め、前記基準高さデータと前記計測高さデータとの誤差により前記オフセットデータを修正して更新することを特徴とする請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
  3. 前記制御手段は、前記計測座標に基づき前記スクリードの下面の所定位置の座標を前記読み出しアドレスとして生成することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のアスファルトフィニッシャ。
  4. トータルステーションにより請求項1乃至3のいずれかに記載のアスファルトフィニッシャの反射体を計測して3次元の計測座標を前記アスファルトフィニッシャの制御手段に送信して前記レベリングアームの高さ調整しながらアスファルト舗装の施工を行い、前記施工中に適宜前記アスファルトフィニッシャのオフセットデータの更新として、施工済みの舗装材による施工仕上がり面に規定高さの反射体を立ててトータルステーションにより計測し、3次元の計測座標を前記アスファルトフィニッシャの制御手段に送信して前記施工仕上がり面の高さを求めて前記基準高さとの誤差により前記アスファルトフィニッシャのオフセットデータ修正して更新することを特徴とするアスファルト舗装の施工法。
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