JP2011168775A - 熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクターおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軽量で衝撃吸収性に優れ、かつ形状の選択性が高いため、例えば、スポーツや介護、医療分野において、打撲や骨折等の低減を目的とし、かつ好適に使用し得る熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクターを提供すること。
【解決手段】 剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上である熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルからなる発泡性組成物を射出発泡して得られる熱可塑性エラストマー発泡体用いたプロテクター。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軽量で衝撃吸収性に優れる熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクターおよびその製造方法に関する。すなわち、本発明は、下着等の衣類の腰回りの適宜な部位に取り付けることにより、転倒時の骨折、とりわけ骨粗鬆症等の患者が転倒した際の骨折を未然に防止するなどの目的に用い得るプロテクターに関するものである。
熱可塑性樹脂からなる発泡体は、成形加工性に優れ、柔軟性、緩衝性などの特性を有しており、種々の用途で広く用いられている。
このような発泡体としては、例えば、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を発泡させて成形したもの(特許文献1)や、架橋された熱可塑性エラストマーを熱膨張性マイクロバルーンで発泡させたもの(特許文献2)などがある。しかし、特許文献1や特許文献2の方法で得られる発泡体は、硬い上に衝撃吸収性が低く、人体の保護を目的としたプロテクターの材料として適したものでは無かった。
また、イソブチレン系ブロック共重合体を用いた発泡体(特許文献3、4)が開発されている。しかし、これら特許文献3や特許文献4に開示された発泡体は、衝撃吸収性については改良の余地があった。
一方、衝撃吸収性に優れる発泡体を提供する目的で、特定の共役ジエン系共重合体またはその水添物を用いた発泡体組成物(特許文献5)が開発されている。しかし、特許文献5に開示される発泡体組成物は、加硫することでようやく発泡体が得られるものであり、形状の自由度が乏しい上に生産性が低く、更には加硫剤由来の臭気を有しており、靴底など使用箇所が限定されるものであった。
特開平6−218741号公報 特開平11−343362号公報 特開2002−20522号公報 WO2006/132231号公報 特開平5−345833号公報
本発明は、軽量で衝撃吸収性に優れ、かつ形状の選択性が高いため、例えば、スポーツや介護、医療分野において、打撲や骨折等の低減を目的としたプロテクターを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、特定の粘弾性特性を有する熱可塑性エラストマーを、熱膨張性マイクロカプセルを用いて射出発泡することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、以下の構成よりなる。
1). 剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上である熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルからなる発泡性組成物を射出発泡して得られる熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
2). 射出発泡がコアバック法であることを特徴とする1)記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
3). 熱可塑性エラストマーが、共役ジエンあるいはイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を構成単量体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体であることを特徴とする1)または2)記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
4). 熱可塑性エラストマーが、粘着付与樹脂を含有していることを特徴とする1)〜3)いずれかに記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
5). 剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上である熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルからなる発泡性組成物を射出発泡することを特徴とする1)〜4)いずれかに記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクターの製造方法。
6). 射出発泡がコアバック法であることを特徴とする5)記載のプロテクターの製造方法。
本発明の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクターは、軽量で形状の選択性が高く、速い加速度での衝撃においても衝撃吸収性に優れる事から、例えば、早い加速度での衝撃の一例である、転倒の場合、打撲や骨折等の危険性を低減することができる。
本発明のプロテクターは、その素材として、剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上である熱可塑性エラストマーの発泡体を用いることが特徴で、それを身体の所定の部位に対応するように、具体的には衣類に取り付けることで転倒の場合、打撲や骨折等の危険性を低減する効果を発揮できる。また、発泡剤として熱膨張性マイクロカプセルを用いることと、発泡性組成物を射出発泡して発泡体を成形することも本発明のプロテクターと成すためには必要である。
前記損失正接とは、損失弾性率と貯蔵弾性率の比(損失弾性率/貯蔵弾性率)で算出されるものであり、衝撃などのエネルギー消費に関する減衰性を表し、その値が大きいほど減衰性は高い。即ち、損失正接(tanδ)の20℃における値が大きいということは、20℃にて効率的にエネルギーを吸収できることを意味しており、更には損失正接は0.7以上、さらには0.8以上、特には1.0以上であることが幅広い温度域で衝撃吸収性に優れるといえることから好ましい。上限の値についてはあえて例示すれば、2.0以下、さらには1.8以下、特には1.65以下が好ましい上限として例示できる。
熱可塑性エラストマーの20℃における損失正接(tanδ)とは当該熱可塑性エラストマー自体すなわち、後述する熱可塑性エラストマーとして用いることが出来る樹脂、粘着付与樹脂、可塑剤、等が配合された組成物の値であり、熱膨張性マイクロカプセルを加えて発泡性組成物となして発泡させた発泡体の値ではない。
損失正接(tanδ)は熱可塑性エラストマーを熱および/または荷重をかけてプレス等により厚さ2mmの板を作成し、その板から試料を作成して測定することができる。また、発泡性組成物を発泡させた発泡体を熱および/または荷重をかけ、場合によっては複数枚積層させてプレス等により実質的に気泡を含まない厚さ2mmの板を作成し、その板から試料を作成しても測定することができる。損失正接(tanδ)が熱可塑性エラストマーから得られる値と発泡体から得られる値の双方が0.6以上であることが好ましいが、どちらか一方、特には熱可塑性エラストマーから得られる値が0.6以上であればよい。
また20℃における損失正接が0.6以上であるためには、損失正接のピークは20℃近傍、具体的には0℃以上40℃以下の範囲にあることが好ましい。
なお、剪断モードでの動的粘弾性測定は、JIS K−6394(加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法)に従って行ったものである。このとき、周波数は100Hzとする。この様な測定を行う装置としては、例えば、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)などがある。
本発明のプロテクターに用いる熱可塑性エラストマーとして用いることが出来る樹脂としては、芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックと、脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体が好ましい。この場合、前記損失正接の室温近傍のピークは、脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックに由来するものである。
前記熱可塑性重合体ブロックの構成としては、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロック−脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロック−芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるトリブロック共重合体や、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロック−脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるジブロック共重合体、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックと脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるアームを有する星型ブロック共重合体などが挙げられる。これらは所望の物性・成形加工性を得るために1種または2種以上を組み合わせて使用可能である。
また前記芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックと脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックの重量比率は、特に制限はないが、発泡体の衝撃吸収性と成形性、常温での形状保持性の観点から、(脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロック)/(芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロック)=95/5〜60/40(重量比)が好ましく、さらに90/10〜65/35(重量比)が好ましい。
前記芳香族ビニル系化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンおよびインデンからなる群から選ばれる少なくとも1種が、その入手し易さ、および物性バランスの観点から望ましい。これらの芳香族ビニル化合物を主成分として重合することにより、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックが形成される。
前記脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックが、共役ジエンを主成分とする重合体ブロックまたはイソブチレンを主成分とする重合体ブロックであることが好ましく、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックであることが、剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の値が広範な温度域で高くなるので、得られる発泡体は広い範囲の温度において衝撃吸収性が確保でき、プロテクターとして用いた場合も広い範囲の温度で衝撃痛みが軽減できるのでより好ましい。
イソブチレンを主成分とする重合体ブロックである樹脂の場合、例えば10℃における熱可塑性エラストマーとして用いることが出来る樹脂の損失正接(tanδ)の値が0.6以上であるものが得られ易く、粘着性付与樹脂等を含有させた場合の熱可塑性オリゴマーの損失正接(tanδ)も0.35以上、あるいは0.45以上、あるいは0.5以上のエラストマーと成すことが出来易いので、良好な衝撃吸収性を示す発泡体となり、痛みの軽減効果が得られるプロテクターを得る上で好ましい。
また、脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックが、共役ジエンを主成分とする重合体ブロックを有する熱可塑性エラストマーとして用いることが出来る樹脂は、20℃における損失正接(tanδ)が高く良好な衝撃吸収性を示す発泡体となり、痛みの軽減効果が得られるプロテクターを得る上で好ましい。
なお、脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックにおいて、必要に応じて他のビニル系化合物を共重合してもよい。
脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックがイソブチレンを主成分とする重合体ブロックである場合、その製造方法については特に制限はないが、例えば、下記一般式(1)で表される化合物の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分及び芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体成分を重合させることにより製造することができる。
(CRX) (1)
[式中Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシロキシ基を示す。R、Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R、Rは同一であっても異なっていても良い。Rは多価芳香族炭化水素基または多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す。]。
上記一般式(1)で表される化合物は開始剤となるもので、ルイス酸等の存在下炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。本発明で用いられる一般式(1)の化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン。
これらの中でも特に好ましいのは、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンである。
前記重合においては、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF・OEt、SnCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl、VCl、FeCl、ZnBr、AlCl、AlBr等の金属ハロゲン化物;EtAlCl、EtAlCl等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる(Etはエチル基を表す)。中でも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl、BCl、SnClが好ましい。
ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(1)で表される化合物に対して好ましくは、0.1モル当量以上100モル当量以下使用することができ、より好ましくは1モル当量以上50モル当量以下の範囲である。
また前記重合においては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって分子量分布の狭い構造が制御された重合体を生成することができる。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
前記重合は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフィン油等を挙げることができる。
これらの溶媒は、ブロック共重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して単独又は2種以上を組み合わせて使用される。
前記溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が好ましくは1重量%以上50重量%以下、より好ましくは5重量%以上35重量%以下となるように決定することができる。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合することが好ましい。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃以上−30℃以下である。
本発明で使用し得る市販の熱可塑性エラストマーとしては、脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックが、共役ジエンを主成分とする重合体ブロックである熱可塑性エラストマーとして、イソプレンを主成分とする(株)クラレのHYBRARが例示でき、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックである熱可塑性エラストマーとして、(株)カネカのSIBSTARが例示される。
また、本発明に用いる熱可塑性エラストマーには、粘着付与樹脂を含有させてもよい。本発明で用いることができる粘着付与樹脂は、数平均分子量300以上3000以下、JIS K−2207に定められた環球法に基づく軟化点が60℃以上160℃以下、更に好ましくは90℃以上150℃以下である低分子量の樹脂が好ましい。前記粘着付与樹脂を熱可塑性エラストマーに含有させることにより、熱可塑性エラストマーの損失正接のピーク温度が高温側に移動する効果があり、更には前記損失正接のピーク自体が高くなる傾向にあることから、本発明の目的である損失正接の20℃における値を0.6以上にすることが容易となるので、熱可塑性エラストマーに粘着付与樹脂を含有させることが好ましい。
本発明において粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂およびそれらの水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、芳香族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂およびその水素化物、ジシクロペンタジエン系石油樹脂およびその水素化物、スチレンまたは置換スチレンの低分子量重合体などがあげられる。
これらの内、熱可塑性エラストマーの脂肪族炭化水素系化合物を主成分とする重合体ブロックとの相溶性が高いことから、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂の水素化物、ポリテルペン樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジンなどが特に好ましい。
前記粘着付与樹脂の配合量は、熱可塑性エラストマーに用いることができる樹脂100重量部に対して、0重量部以上100重量部以下であることが好ましく、更には10重量部以上70重量部以下であることが好ましく、特には10重量部以上40重量部以下が好ましい。多すぎると混練時の粘度が低下しすぎるため、十分な混練状態が得られず、良好な発泡体を得ることが困難となる場合があり、少ないと添加効果が現れがたい。
更に本発明では、必要に応じて熱可塑性エラストマーに可塑剤を含有させても良い。前記可塑剤としては、特に制限は無く限定されないが、通常、室温で液体又は液状の材料が好適に用いられる。また親水性及び疎水性のいずれの可塑剤も使用できる。このような可塑剤としては鉱物油系、植物油系、合成系等の各種ゴム用又は樹脂用可塑剤が挙げられる。
鉱物油系としては、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル等が、植物油系としては、ひまし油、綿実油、あまみ油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が、合成系としてはポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が例示できる。これらの中でも、熱可塑性エラストマーとの相溶性の観点から、パラフィン系プロセスオイル又はポリブテンが好ましく用いられる。これら可塑剤は所望の粘度及び物性を得るために、2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
また本発明では、必要に応じて熱可塑性エラストマーに、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、架橋剤、架橋助剤等の各種添加剤を含有させても良く、これらは単独、又は2種以上を組み合わせて使用可能である。さらに本発明の熱可塑性エラストマーの性能を損なわない範囲であれば、その他の各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等、前記した熱可塑性エラストマーに用いることが出来る樹脂以外の樹脂等を含有させても良い。
本発明の発泡性組成物は、熱膨張性マイクロカプセルを含んでなる。熱膨張性マイクロカプセルとは、揮発性の液体膨張剤を重合体によりマイクロカプセル化したものである。一般に、水系媒体中で、少なくとも膨張剤と重合性単量体とを含有する重合性混合物を懸濁重合する方法により製造することができる。重合反応が進むにつれて、生成する重合体により外殻が形成され、その外殻内に膨張剤が包み込まれるようにして封入された構造をもつ熱膨張性マイクロカプセルが得られる。
外殻を形成する重合体としては、一般に、ガスバリア性が良好な熱可塑性樹脂が用いられていればよい。外殻を形成する重合体は、加熱すると軟化する。外殻樹脂に内包される液体膨張剤としては、重合体の軟化点以下の温度でガス状になるものが選択されていればよい。
本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルの使用割合は、熱可塑性エラストマー(必要に応じ配合される粘着付与樹脂、可塑剤、その他の樹脂、等からなる組成物)100重量部に対して、0.5重量部以上10重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは1重量部以上5重量部以下である。
使用割合が少ないと、射出発泡成形体の密度が700kg/m以下、好ましくは600kg/m以下、特には500kg/m以下の軽量性に優れた射出発泡成形体が得られ難い傾向にあり、逆に多く配合しても密度は300kg/mあるいは350kg/m程度で飽和して更なる低密度化に繋がりにくい。また前記熱膨張性マイクロカプセルは微細な粉末状であるため、均一に配合することが困難な場合が多く、かつ粉塵爆発等の危険性もあることから、比較的低温で加工し得る樹脂中に高濃度に分散せしめたマスターバッチの状態で配合することが好ましい。この場合、マスターバッチの配合量に、マスターバッチ中の熱膨張性マイクロカプセルの含有割合を乗じた値が、熱膨張性マイクロカプセルの配合量となる。
次に、発泡性組成物を射出発泡する方法について具体的に説明する。射出発泡成形方法自体は公知の方法が適用でき、発泡性組成物の流動性、成形機の種類あるいは金型の形状によって適宜成形条件を調整すればよい。本発明の場合、樹脂温度170〜250℃、金型温度10〜100℃、成形サイクル1〜120分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧10〜200MPa等の条件で行うことが好ましい。
また、金型内で発泡させる方法としては種々あるが、なかでも固定型と任意の位置に前進および後退が可能な可動型とから構成される金型を使用し、射出完了後、可動型を後退させることによりキャビティー内容積を増加させて発泡成型体を得る、いわゆるコアバック法(Moving Cavity法)が、表面に適度な厚みの非発泡層が形成され、内部の発泡層が均一微細気泡になりやすかったり、内部が十分に発泡して軽量性に優れた射出発泡成形体が得られやすいことから好ましい。
本発明では損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上の熱可塑性エラストマーを用いることが特徴の一つであるが、コアバック法を用いることでさらに衝撃吸収性の優れた成形体が得られ、該成形体をプロテクターとして用いた場合に衝撃時の痛みがより軽減できるものとなるので好ましい。コアバック法では、損失正接(tanδ)の20℃における値が0.7以上、0.8以上、さらには1.0以上と高い熱可塑性エラストマーを用いるとコアバック法ではない成型法で得られた成形体の襲撃吸収性あるいはプロテクターの衝撃時の痛みの軽減効果がより高くなるので好ましい。
射出成形で射出後の保持時間が短すぎると表面の非発泡層が薄く形成され、また発泡が不十分となるため衝撃吸収性に不十分となり、一方保持時間が長すぎると発泡は十分に起こるものの、表面の非発泡層が厚く形成されてしまうため、かえって衝撃吸収性が低下したり、軽量化ができなくなる。コアバック法にて射出成形することで、これらをより好ましい範囲に両立させることができ、衝撃吸収性に優れ、かつ軽量性に優れたより好ましい射出発泡成形体が得られる。厚みの好ましい範囲は、発泡体厚みが3〜8mmで、このうち表面の非発泡層(片側)が、0.1〜1mmである。
また本発明の熱可塑性エラストマー発泡体は、射出発泡成形により製造し、また膨張性マイクロカプセルを発泡剤としているため、独立気泡率が高いことが特徴であり、プロテクターとして用いた場合、衝撃を加えた際に底付きしにくく、衝撃による荷重が大きく上昇し難いため、優れた衝撃吸収性を示すプロテクターとして用いることが出来る。本発明における射出発泡成形体の独立気泡率が80%以上、さらには90%以上の発泡体を得ることも可能である。
本発明のプロテクターは上記した発泡体を用いたものである。上記した熱可塑性エラストマー発泡体は、衝撃吸収性がプロテクターとして特に有用である。すなわち、断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上である熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルからなる発泡性組成物を射出発泡して得られる熱可塑性エラストマー発泡体がプロテクター用として特に有用であり、該発泡体を用いたプロテクターが衝撃吸収性が良好で特に有用である。
本発明で得られる熱可塑性エラストマー発泡体の衝撃吸収性についてあえて言及すれば、その値としては900G・m以下、さらには650G・m以下、特には450G・m以下のものを得ることができる。下限については小さいほど好ましいが、あえて例示するとすれば実用的には150G・m以上、さらには200G・m以上が例示できる。
前記で得られた熱可塑性エラストマー発泡体を用いて、たとえば、以下のようにしてプロテクターを得ることができる。まず、得られた発泡体は、そのまま、あるいは発泡成形時に形成される表皮層を切除したり、適当な形状に切り出したりしたものをプロテクターとして使用することができる。蒸れを防止するために、衝撃吸収性に対する影響を考慮しつつ貫通孔を設けても構わない。
成形時の発泡体の形態としては、特に限定するものではないが、たとえば板状、シート状、不定形塊状、ビーズ状、あるいは袋状や衣服の形態に成形したものなどが挙げられる。また、発泡体は単独で用いても良く、未発泡体であるプラスチック、発泡倍率の異なる発泡体、フィルム、布、不織布、紙等の素材と一体成形して用いても良い。
またさらには、本発明の熱可塑性エラストマー発泡体に関しては、発泡体の表面に綿、アクリル繊維、毛、ポリエステル繊維等でできた布や不織布を、貼り合わせたり、これらのもので包むことでプロテクターとして用いても良い。この様に貼り合わせたり包むことで、発泡体の感触を良好にし、さらに、運動時や高温・多湿時の発汗時に布あるいは不織布によって吸汗作用を施すことができる。また、張り合わせた布あるいは不織布を着脱できるようにしておいたり、包んだ場合、布あるいは不織布を洗濯あるいは取り替えることで熱可塑性エラストマー発泡体からなるプロテクター自体の汚れを防止することができるので、プロテクターを直接身体に取り付ける場合、あるいは直接身体にあたるように用いる場合には特に好ましい。
本発明のプロテクターは、衣類へ取り付けることで好適に用いられる。該プロテクターを取り付ける衣類は特に限定されるものではないが、下半身の一部または全部を覆う衣類が好ましく、例えば、スラックス、ジーンズ、トレーニングパンツ、サブリナパンツ、ニッカポッカ、ハーフパンツ、半ズボン、ホットパンツなどのスボン類、スカート類、袴類などの、下半身に着用するアウターウェアとしてのボトムス類、ショーツ、トランクス、ボクサーブリーフ、ブリーフなどのパンツ類、ガードル類、ふんどしなどの下半身用インナーウェア類、靴下類、足袋、タイツ、レッグウォーマー、脚絆などの足につける衣類、ワンピース、ドレス、合羽、つなぎ、着ぐるみ、全身タイツなどの全身を覆う衣類、エプロン、割烹着、白衣、外装用プロテクターなどの防護用衣類などが挙げられる。このうち、骨折しやすい部位での衝撃を吸収する目的から、ボトムス類、インナーウェア類が好ましく、さらにはスボン類もしくはパンツ類が好ましく、特にパンツ類が好ましい。
衣類へのプロテクターの取り付け方法も特に限定しないが、該プロテクターが着用時あるいは洗濯時にずれないように、例えば、生地に縫い付けたり、粘着テープ等で取り付けたり、ポケットを作りその中で着脱自在に取り付ける方法も挙げられる。また、キルト状に該プロテクターを生地に縫い付けることにより、身体へのフィット性の向上、運動のしやすさが改善できる。該プロテクターは、身体に触れるようにしても良いし、あるいは、生地を介しても良い。
プロテクターを衣類に取り付ける位置としては、腰回りにおける前身頃、脇部、後身頃、臀部の対応する部位の任意の箇所に取り付けることができる。大腿骨頚部外側部の大転子部を保護できる位置に、熱可塑性エラストマー発泡体からなるプロテクターを取り付けてなる衣類を着用することで大腿骨骨折を防止することが可能となるのである。
また、身体へ直接粘着テープ等により取り付けることで、プロテクターの位置ずれを防止することができる。また、その際にはプロテクターは通気性確保のため穴を開けたり、布あるいは不織布を張り合わせたり、包んで用いることが好ましい。
また、本来転倒等によって受ける衝撃を緩和する皮下脂肪が比較的薄く骨に対し衝撃が強くかかるところには、衝撃吸収性を重視し、厚手の発泡体を用いたプロテクターを、また皮下組織は厚く、本来の衝撃吸収能力は多少あるが、尻もち等によっての衝撃を受けやすい臀部等には着用性を重視して薄手のプロテクターを用いる等、2種類以上のプロテクターを組み合わせて使用しても良い。また、着用性等の点で必要であれば衝撃を強く受ける場所には、本発明の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクターを用い、さらに、衝撃の比較的緩和されるようなところには、他のプロテクターを用いてもかまわない。他のプロテクターとしては、例えば、ウレタン発泡体やポリエチレン発泡体、アクリル発泡体、シリコン系重合体を基材樹脂とする発泡体、不織布、立体織物等が挙げられる。
本発明のプロテクターの形状としては、特に限定されるものではないが、長方形、正方形、円形、楕円形、ひし形などの多角形や、短冊状や、ドーナツ型、表面に任意の凹凸を付けたもの等が挙げられる。また、通気性を持たせたり、装着感の向上にため、適宜貫通孔をあけても良い。プロテクターの大きさは特に限定されるものではないが、1cm〜1000cmが好ましく、50cm〜500cmがより好ましい。
熱可塑性エラストマーを発泡させたプロテクターの密度は特に限定されるものではないが、着用感の観点からはできるだけ密度が小さいものが好適に使用されるが、極端に密度が小さい場合は衝撃吸収性が不十分となる可能性がある。この観点から、密度は300kg/m〜700kg/mが好ましくさらには350kg/m〜600kg/m(変更)が好ましく、特には350kg/m〜500kg/mが好ましい。
また、衣類に用いられる生地も、素材、編繊方法など、特に限定されるもではないが、例えば、通気性、衝撃吸収性を向上させるために、生地の表面に凹凸を付けたものを用いることができ、表面に凹凸の形状が現れる編み組織、パイル編み等が好ましい。特に、これらの生地の衣類を用いることにより、本発明のプロテクターを用いた際の衝撃吸収効果を高めることができる。
以下に実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
(1)熱可塑性エラストマーの損失正接(tanδ)測定:動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)を用い、JIS K−6394に準じて、5mm×6mm、厚み2mmの試験片を2枚用い、周波数100Hz、剪断歪み0.05%、測定温度範囲−50℃〜100℃で測定を行い、20℃での値に加えて、10℃での値とピーク温度を読み取った。
(2)発泡体の密度測定:箱形状の射出発泡成形体の底部から20mm×30mmの試験片を切り出し、JIS−K6767に準拠して測定した。
(3)発泡体の独立気泡率測定:箱形状の射出発泡成形体の底部から20mm×30mmの試験片を切り出し、ASTM D2856に記載の方法に準拠し、エアピクノメータを用いて測定した。
(4)発泡体の衝撃吸収性測定:20℃の環境下、衝撃試験機(吉田精機株式会社製、ACST−200)を用い、箱形状の射出発泡成形体の底部から切り出した試験片(φ30mm、厚さは各実施例、比較例で得た発泡体厚さ)に対し、重量8kgの錘を高さ100mmの位置から落下させた際の最大加速度を加速度変換器AS−500A(株式会社共和電業製)とデータ集録装置F99−6618(株式会社共和電業製)を用いて計測した。得られた最大加速度と試験片の厚みを乗じ、数値が小さいほど、薄くても最大加速度の低減効果が高い、即ち衝撃吸収性が高いとした。
(5)プロテクターの衝撃時の痛み(官能評価)
箱形状の射出発泡成形体の底部から150mm×200mmの試験片(プロテクター)を切り出し、試験片を腰部側面に大腿骨を覆う形でインナーウエアの上から両面テープで貼り付け被験者自ら試験片を拳で叩いてプロテクターを取り付けなかった場合と比べた場合の痛みの軽減度合いを次の基準で評価した結果の被験者30人の平均である。
◎:痛み軽減効果が大きい。
○:痛みが軽減できる。
△:概ね痛みが軽減できる。
×:痛みの軽減が少ない。
(実施例1)
熱可塑性エラストマーとしてポリスチレンブロック−ポリイソブチレンブロック−ポリスチレンブロックを有するSIBSTAR072T(株式会社カネカ製、損失正接の値:0.76(20℃)、0.88(10℃)、損失正接のピーク:5.2℃)100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセルマスターバッチ、ファインセルマスターMS405K(大日精化株式会社製、熱膨張性マイクロカプセル含有率40wt%)を10重量部配合(熱膨張性カプセル配合量4重量部)して発泡性組成物とした。
これを宇部興産機械(株)製「MD350S−IIIDP型」(シャットオフノズル仕様)の射出成形機で、樹脂温度200℃、背圧15MPaで溶融混練した後、60℃に設定された、φ2mmのピンゲートを有し、固定型と前進および後退が可能な可動型とから構成される、縦330mm×横230mm×高さ100mmの箱形状のキャビティ(立壁部:傾斜10度、クリアランス3mm、底面部:クリアランスt=3.0mm)を有する金型中に、射出速度100mm/秒で射出充填した。射出充填完了後に、底面部のクリアランスが6.5mmになるように可動型を後退させて、発泡成形体を得た。
発泡完了後金型に略室温の冷却水を通すことで60秒間冷却してから熱可塑性エラストマー発泡体を取り出した。得られた熱可塑性エラストマー発泡体は、若干の収縮により厚みが5.5mmであり、密度は520kg/m、独立気泡率98%、最大加速度と試験片厚みの積は603G・mmだった(いずれも発泡体の底部部分を用いた測定値)。
(実施例2)
SIBSTAR072T 100重量部と粘着付与樹脂である水添石油樹脂 アルコンP140(荒川化学工業株式会社製、ガラス転移温度140℃)18重量部を混合した熱可塑性エラストマー(損失正接の値:0.83(20℃)、0.56(10℃)、損失正接のピーク:24.0℃)118重量部に熱膨張性マイクロカプセルとして実施例1と同様にファインセルマスターMS405Kを10重量部配合して発泡性組成物とし、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー発泡体を得た。得られた熱可塑性エラストマー発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1のSIBSTAR072Tの代わりに、ポリスチレンブロック−水素添加したポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロックを有するHYBRAR7125(株式会社クラレ製、損失正接の値:1.50(20℃)、0.27(10℃)、損失正接のピーク:23.0℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして発泡性組成物とし、熱可塑性エラストマー発泡体を得た。得られた熱可塑性エラストマー発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
金型の可動型を動かさず、クリアランスを6.5mmの一定にして射出発泡成形した以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー発泡体を得た。得られた熱可塑性エラストマー発泡体は、厚み5.7mm、密度690kg/m、独立気泡率99%、であった。得られた熱可塑性エラストマー発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
金型の可動型を動かさず、クリアランスを6.5mmの一定にして射出発泡成形した以外は実施例3と同様にして熱可塑性エラストマー発泡体を得た。得られた熱可塑性エラストマー発泡体の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリスチレンブロック−水素添加したポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロックを有するSEPTON2007(株式会社クラレ製、損失正接の値:0.10(20℃)、0.15(10℃)、損失正接のピーク:−21.3℃)とした以外は、実施例1と同様にして発泡性組成物とし、熱可塑性エラストマー発泡体を得た。得られた熱可塑性エラストマー発泡体の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の熱膨張性マイクロカプセルマスターバッチを、重曹系化学発泡剤マスターバッチ、ポリスレンEE275F(永和化成工業株式会社製)10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性組成物とし、熱可塑性エラストマー発泡体を得た。得られた熱可塑性エラストマー発泡体の評価結果を表1に示す。
Figure 2011168775
20℃での損失正接の値が高い熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルを用いた実施例における熱可塑性エラストマー発泡体は、衝撃吸収性が高く、優れた緩衝性能を有しているのに対し、20℃での損失正接の値の低い熱可塑性エラストマーを用いた比較例1の熱可塑性エラストマー発泡体は衝撃吸収性が低いことが判る。また、熱可塑性エラストマーの20℃での損失正接の値が高くても、発泡剤に熱膨張性マイクロカプセルを使用せずに通常の化学発泡剤で得た熱可塑性エラストマー発泡体は、独立気泡率が低く、衝撃吸収性に劣ることが判る。
また、ポリイソブチレンブロックを有する熱可塑性エラストマーは、20℃と10℃における損失正接が何れも高く、また10℃における損失正接の低下度合いも小さいことから、幅広い温度域において優れた緩衝性能が発現することが期待できる。

Claims (6)

  1. 剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上である熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルからなる発泡性組成物を射出発泡して得られる熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
  2. 射出発泡がコアバック法であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
  3. 熱可塑性エラストマーが、共役ジエンあるいはイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を構成単量体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
  4. 熱可塑性エラストマーが、粘着付与樹脂を含有していることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクター。
  5. 剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の20℃における値が0.6以上である熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルからなる発泡性組成物を射出発泡することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の熱可塑性エラストマー発泡体を用いたプロテクターの製造方法。
  6. 射出発泡がコアバック法であることを特徴とする請求項5記載のプロテクターの製造方法。
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