JP2011168521A - PEG化eMIP及びその製造方法並びにこれを用いた癌治療剤 - Google Patents

PEG化eMIP及びその製造方法並びにこれを用いた癌治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2011168521A
JP2011168521A JP2010033044A JP2010033044A JP2011168521A JP 2011168521 A JP2011168521 A JP 2011168521A JP 2010033044 A JP2010033044 A JP 2010033044A JP 2010033044 A JP2010033044 A JP 2010033044A JP 2011168521 A JP2011168521 A JP 2011168521A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emip
peg
pegylated
therapeutic agent
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010033044A
Other languages
English (en)
Inventor
Teruo Akuta
照夫 芥
Yoshiro Ishiwatari
義郎 石渡
Shoji Yokochi
祥司 横地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ECI Inc
Original Assignee
ECI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ECI Inc filed Critical ECI Inc
Priority to JP2010033044A priority Critical patent/JP2011168521A/ja
Publication of JP2011168521A publication Critical patent/JP2011168521A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

【課題】MIP-1αの変異体であるeMIPを所定のポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾して得られた、癌治療剤や免疫賦活剤として有望な新規なPEG化eMIP、及びその製造方法、並びにPEG化eMIPを有効成分とする癌治療剤を提供する。
【解決手段】MIP-1αの変異体であるeMIPを平均分子量10,000〜30,000の直鎖型又は分枝型ポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾してなるPEG化eMIPであり、また、PEG化反応剤として平均分子量10,000〜30,000のマレイミドPEGを用いて、マレイミドPEGをeMIPのアミノ基に対して反応比率1〜1.5倍の割合で、かつ、塩基性条件下で反応させ、eMIPの1分子に対して1個のPEG基が導入されたPEG化eMIPを製造するPEG化eMIPの製造方法であり、更に、PEG化eMIPを有効成分として含む癌治療剤である。
【選択図】なし

Description

この発明は、MIP-1αの変異体であるeMIPを所定のポリエチレングリコール(以下、「PEG」という。)で化学修飾して得られた新規なPEG化eMIP、及びその製造方法、並びにこのPEG化eMIPを有効成分として用いた癌治療剤に関する。
近年、癌や免疫異常疾患の有力な治療法として、治療用タンパク質を用いる化学療法や免疫療法、更にはこれらの治療法に放射線療法を組み合わせた癌治療法等が着目されており、このような癌や免疫異常疾患の治療に用いられる治療用タンパク質に関する研究についても盛んに進められている。
例えば、アミノ酸約70個からなるC-Cケモカインファミリーに属するタンパク質のMIP-1α(Macrophage Inflammatory Protein-1α)は、未熟樹状細胞において発現しているケモカインレセプターのCCR1、CCR5に対するリガンドであり、活性化リンパ球、単球等で産生され、そこから放出されて樹状細胞等の遊走を誘導することが知られており(例えば、中野英樹、細胞工学 Vol.19, No.9, pp1304-1310(2000)参照)、また、癌局所や炎症局所に樹状細胞を集積させる能力があり、更に血中に樹状細胞前駆体を数十倍のオーダーで動員する能力があることも見い出されており(Yoneyama H. et al., J. Exp. Med. Vol.193(1), pp35-49(2001), Zhang Y. et al., J. Natl. Cancer Inst., Vol.96, pp201-209(2004))、更に、免疫誘導のマウスモデルにおいて、MIP-1αを免疫局所で発現させると、樹状細胞の集積が起こり、抗原特異的な免疫が誘導されることが報告されている(McKay PF et al., Eur. J. immunol., Vol.34, pp1011-1020(2004))。
また、MIP-1αと同様の生物活性を有するMIP-1α機能的誘導体も知られており、例えば、MIP-1αの26番目のAspがAlaに置換され、アミノ末端がSerから始まる69アミノ酸よりなるMIP-1αの変異体(以下、「eMIP」という)が知られている。このeMIPについては、著しく改善された抗凝集能を有すると共に野生型と同等の活性を有することが見い出されており、癌化学療法の副作用である血中の顆粒球減少症の改善についても検討されている(E. Marshall et al., European Journal of Cancer, Vol.34, No.7, pp1023-1029(1998))。
本発明者らは、このeMIPにおける免疫力の増強作用に着目し、このeMIPについて種々検討した結果、その放射線療法との併用効果、アブスコパル効果(abscopal effect)の増強効果、アジュバント(adjuvant)との併用効果、腫瘍転移抑制効果等を見出して一定の成果を収めると共に、このeMIPを両親媒性高分子、特に、部分ブチルエステル化スチレン-マレイン酸共重合体〔Bu-SMA;スチレンと無水マレイン酸のラジカル共重合により得られるスチレン−マレイン酸共重合体(SMA)の酸無水物をクメン等の有機溶媒に溶解させ、この溶液中に攪拌下にn-ブタノールを滴下して反応させ、部分的に無水環をブチルエステル化させて得られる共重合体〕を用いて化学修飾し、eMIPの1分子に対して2〜3個のBu-SMAが結合した部分ブチルエステル化スチレン-マレイン酸共重合体修飾eMIP(Bu-SMA-eMIP)を調製した(WO 2006/080171 A1参照)。
ここで、治療用タンパク質を両親媒性高分子で化学修飾する目的は、タンパク質を保護してその安定性を高め、投与された生体内を循環する時間(循環半減期)を長くし、また、反復投与による中和抗体の発生を抑制し、これによって治療効果を高めることにある。すなわち、タンパク質が両親媒性高分子で化学修飾されると、その化学結合によってタンパク質の骨格自体にタンパク質分解酵素が物理的に接触するのを有効に遮断することができ、その結果として、タンパク質の分解が防止され、また、特定の条件下でタンパク質の安定性と循環時間が増大し、かつ、免疫原性を減少させることが期待される。
そして、このようにタンパク質を化学修飾する両親媒性高分子として、ポリエチレングリコール(PEG)が知られており、治療用タンパク質を化学修飾する目的でよく用いられている。例えば、アダゲン(Adagen)、すなわちアデノシンデアミナーゼのPEG化製剤は、重篤な合併型免疫不全症の治療に有効であることが証明されており、また、PEG化顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)については、抗癌剤投与時における顆粒球減少症を治療するために使われている。更に、PEG化α-インターフェロンは、既に肝炎治療に使用されており、βインターフェロンは臨床試験中である。その他にも、PEGで修飾されたインターロイキンー1、インターロイキンー6等が知られている。一般に、PEGで化学修飾されたPEG化タンパク質において、PEG分子は、タンパク質に見られるリジン残基又はN末端のアミノ基等の反応性基に結合する。
しかるに、例えば、堤 康央らは、このような治療用タンパク質のPEG化に関して、以下のように述べている。すなわち、インターフェロン-α(IFN-α)をPEG化(PEGylation)して得られたPEG 化IFN-αは、C型肝炎に対する特効薬として臨床に供されているが、依然として、タンパク質の高分子バイオコンジュゲーションによって医薬品化に成功した例は少ないのが現状であり、その最大の原因は、活性発現部位への水溶性高分子の導入による致命的な比活性低下と、バイオコンジュゲート化タンパク質の分子的・機能的な不均一性にある〔「PEG化たんぱく質の現状と今後」、堤 康央、角田慎一、鎌田春彦、バイオテクノロジーフォーラム 第三回学術集会 新世代タンパク質性医薬品の開発動向と規制(H17.12.14主催バイオロジクスフォーラム)〕。
WO 2006/080171 A1
そこで、本発明者らは、先に検討したeMIPがアミノ酸の部分改変型タンパク質製剤であって、反復投与により中和抗体ができる可能性が高いので、また、eMIP自体の安定性、循環半減期の延長、及び免疫原性の減少等の効果(修飾効果)が期待できることから、このeMIPについて、それ自体の薬理学的活性をできるだけ低減させることなくPEG修飾効果を発現させることを目的に、PEGによる化学修飾を試みた。
この結果、本発明者らは、eMIPの1分子に対して1個又は2個のPEG基が導入されたPEG化eMIPの調製に成功すると共に、意外なことには、PEG化学修飾によりeMIPの生物活性(例えば、走化性)が低下するにもかかわらず、in vitroでの抗腫瘍活性がむしろ増大することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、MIP-1αの変異体であるeMIPを所定のポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾して得られた、癌治療剤や免疫賦活剤として有望な新規なPEG化eMIPを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このような癌治療剤や免疫賦活剤として有望なPEG化eMIPを製造するための製造方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、このようなPEG化eMIPを有効成分として含む癌治療剤を提供することにある。
すなわち、本発明は、MIP-1αの変異体であるeMIPを平均分子量10,000〜30,000の直鎖型又は分枝型ポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾してなるPEG化eMIPである。
また、本発明は、eMIPをPEGで化学修飾するためのPEG化反応剤として、平均分子量が10,000〜30,000であって、かつ、その反応基がマレイミド基で置換されたマレイミドPEGを用いると共に、このマレイミドPEGをeMIPのアミノ基に対して反応比率1〜1.5倍の割合で、かつ、塩基性条件下で反応させ、eMIPの1分子に対して1個のPEG基が導入されたPEG化eMIPを製造することを特徴とするPEG化eMIPの製造方法である。
更に、本発明は、このようなPEG化eMIPを有効成分として含むことを特徴とする癌治療剤である。
本発明において、eMIPを化学修飾する直鎖型又は分枝型のPEGは、その平均分子量が10,000以上30,000以下であるのがよく、平均分子量が10,000未満であるとeMIPそれ自体の薬理学的活性(特に、抗腫瘍活性)よりその活性が低下する傾向にあり、また、平均分子量が30,000を超えても同様にeMIPそれ自体の薬理学的活性よりその活性が低下する傾向が認められる。
また、eMIPに化学修飾させるPEG基の数については、特に制限されるものではないが、eMIPそれ自体の薬理学的活性を可及的に低下させることなく効果的に発現させる上で、好ましくは1個又は2個であり、より好ましくは1個であるのがよい。
本発明において、PEG化eMIPの調製に用いるeMIPについては、例えば、ヒトMIP-1αcDNAの部位特異的変異によりeMIPのcDNAを調製し、このeMIPのcDNAを用いてShizosaccharamyces pombeを形質転換させることによりeMIP発現株を取得し、次いで、このeMIP発現株を培養して培地中にeMIPを分泌させ、得られた培地上清を精製して調製することができる。
この目的で用いるヒトMIP-1αについては、70個のアミノ酸からなる70アミノ酸型のヒト成熟型MIP-1αや、CD8+T細胞又はHTLV-1感染細胞のMT4培養液上清から得られて66個のアミノ酸からなる66アミノ酸型MIP-1αを始めとして、70アミノ酸型MIP-1αとは配列が3残基異なって遺伝子コピー数の異なる非対立遺伝子LD78β等のこれまでに知られているものを使用することができる。
また、本発明のPEG化eMIPの調製に用いるPEG化反応剤については、その平均分子量が10,000以上30,000以下の直鎖型又は分枝型であって、かつ、その反応基がeMIPのアミノ基と反応する−NHS基、−CHO基、−マレイミド基(Maleimide group)等であるものを挙げることができ、特にeMIPの1分子に1個のPEG基を導入する上で、より好ましくはマレイミド基を有するマレイミドPEG(Maleimide-PEG)である。このようなPEG化反応剤としては、例えば日本油脂社製のポリエチレングリコール(PEG)誘導体「商品名:SUNBRIGHTシリーズ」中のCSシリーズ(−CO-CH2CH2-COO-NHS)、GSシリーズ(−CO-CH2CH2CH2-COO-NHS)、ASシリーズ(−CH2-COO-NHS)、HSシリーズ(−CH2CH2CH2CH2CH2-COO-NHS)、NPシリーズ(−CO2-phenyl-NO2)、ALシリーズ(−CH2CH2-CHO)、DEシリーズ(−CH2CH2CH(OC2H5
)2)、MAシリーズ(−CH2CH2CH2NHCOCH2CH2-Maleimide)等がある。
本発明において、eMIPにPEG化反応剤を反応させてPEG化eMIPを調製する際の反応条件については、これまでにタンパク質のPRG化学修飾の際に採用されている反応条件を採用できるものではあるが、特にeMIPの1分子に1個のPEG基を導入する上で、好ましくはPEG化反応剤としてマレイミドPEGを用いると共に、このマレイミドPEGをeMIPのアミノ基に対して反応比率1〜1.5倍の割合で、かつ、塩基性条件下、好ましくはpH7.5〜8.5の条件下、より好ましくはpH8.0〜8.4の条件下で反応させるのがよい。このeMIPのアミノ基に対するマレイミドPEGの反応比率が1倍より少ないと、未反応eMIP量が増して不経済であり、反対に、1.5倍より多くなると、多分子PEG修飾化(polyPEGylation)の問題が生じ、また、反応条件が酸性条件下になるとeMIPの―S-S―結合が開裂し、eMIPの薬理学的活性が変化し、また、低減する虞がある。
本発明のPEG化eMIPは、その走化性に関する生物活性をみると、PEG化されていないeMIP
それ自体と比較して、その生物活性を示す濃度が10〜100倍の範囲で必要になって生物活性が低下しているにもかかわらず、例えば放射線照射後投与のin vitro抗腫瘍効果確認試験において、抗腫瘍効果がむしろ増大するという意外な効果を発現した。
本発明のPEG化eMIPは、eMIPそれ自体と同様に、いわゆるEPR(electron paramagnetic resonance)効果により固形腫瘍等の標的患部へと選択的に集積することが期待され、癌治療剤として有用であるほか、免疫賦活剤としても期待される。すなわち、PEG化eMIPが直接・間接に関与する癌の発症予防剤又は治療剤として提供されるほか、炎症性疾患や臓器障害の発症予防剤又は治療剤としても期待される。また、一般的に使用されている抗がん剤と併用することも可能である。
また、本発明のPEG化eMIPは、eMIPそれ自体と同様に、非経口的に投与するのが好ましく、例えば、水、若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液体との無菌性溶液又は懸濁液などの注射剤として用いられることが好ましいが、注射剤以外の剤形、例えば、座剤、鼻腔製剤の形で利用することもできる。
このようにして得られるPEG化eMIPの製剤は、例えば、ヒト又は哺乳動物対して投与することができる。本発明の有効成分の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、非経口的に投与する場合の該有効成分の1回投与量は、例えば、成人(体重60kgとして)に投与する場合、一回につき約0.01〜20mg程度、好ましくは約0.1〜10mg程度である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。本発明に関わる免疫増強剤は、注射剤以外の剤形として、例えば、座剤、鼻腔製剤の形で利用することもできる。
本発明は、MIP-1αの変異体であるeMIPを所定のポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾して得られる癌治療剤や免疫賦活剤として有望な新規なPEG化eMIPを提供するほか、特に、種々のPEG修飾効果が期待されるだけでなく、抗腫瘍活性に優れた癌治療剤を提供するものである。
図1は、実施例1の反応液をSDS-ポリアクリル電気泳動で確認した結果を示すSDS-PAGE図である。
図2は、実施例2の反応液をSDS-ポリアクリル電気泳動で確認した結果を示すSDS-PAGE図である。
図3は、実施例2の反応液から未反応eMIPを除去した後にSDS-ポリアクリル電気泳動で確認した結果を示すSDS-PAGE図である。
図4は、試験例1の生物活性測定の結果を示すグラフ図である。
図5は、試験例2における照射固形腫瘍増殖抑制効果(右側のグラフ図)及び非照射固形腫瘍における増殖抑制効果(abscopal effect)(左側のグラフ図)の測定結果を示すグラフ図である。
図6は、試験例2における腫瘍増殖抑制効果の測定結果を示すグラフ図である。
以下、参考例、実施例、及び試験例に基づいて、本発明の好適な実施の形態をより具体的に説明する。
[参考例1:MIP-1α変異体eMIPの製造]
eMIPのcDNAは、ヒトMIP-1αcDNAをテンプレートとし、Quick Change Kit (Stratagene社)を用いて、gac(Asp26)からgcc(Ala26)への部位特異的変異により調製した。
すなわち、下記表1に示す塩基配列(配列番号1)を有する125ngの変異プライマーRQ1、テンプレートプラスミドDNA(pBlue-RQ1)10ng、及び50μMdNTPを含む50μlの反応系にPfu-turbo(2.5U/μl)1μlを添加し、95℃30秒の変性に続き、95℃30秒、55℃1分及び68度7分を1サイクルとする変性を12サイクル行った後、反応系に1μlの制限酵素DpnIを添加し、37℃で1時間反応させることによりテンプレートDNAを切断し、変異プラスミドpBlue-eMIPのみを回収した。
次に、変異部位が正しく置換されたことをDNA配列解析により確認した後、・プラスミドpBlue-eMIPを鋳型とし、下記表1に示す塩基配列(配列番号3及び4)を有するprimer(EMIP-FW1, EMIP-RV1)を用いてKOD polymerase PCRを94℃240秒の変性に続き、94℃30秒、50℃30秒及び72℃1分を1サイクルとする変性を20サイクル行った。得られたPCR産物を制限酵素Afl IIとKpn Iでトリミングした後、Afl IIとKpn Iで処理したpSL2P3M5ベクターにサブクローニングした。S. pombeの染色体にeMIP遺伝子を組込むために、まず染色体外複製型ベクターpTL2P3eMIPから発現カセット(hCMV promoter - P3 signal - eMIP ORF - terminator)をSpe IとBst1107 Iで切り出し、1.4kbpのフラグメントを回収した。同じくpXL1ベクターをSpe IとBst1107 Iで処理し、7.3kbpのフラグメントを回収した。得られた2つのフラグメントを連結し、染色体組込み型ベクターpTL2P3eMIP-XL(8.7 kbp)を作製した。eMIP遺伝子を最終的に4個組み込んだeMIP発現ベクターpTL2P3eMIP-4XL得た。これをBstW I消化により線状化した後、S. pombe [leu1-32 h- ] (ATCC 23848)を酢酸リチウム法(Okazaki et al, Nucleic Acids Research 18: 6485-6489)により形質転換した。形質転換された酵母を、ロイシン欠如最小栄養培地プレート(MMA#プレート)上において、30℃で静置培養した。得られたコロニーを、SDC-Leu##液体培地に接種し30℃で24時間培養することにより、組換え酵母ASP1973(Leu+)を取得した。
Figure 2011168521
アミノ酸(L-アラニン、L(+)-アルギニン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L(+)-イソロイシン、L-ロイシン、L(+)-リシン、L-メチオニン、L(-)-フェニルアラニン、L(-)-プロリン、L-セリン、L(-)-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン)、追加ビタミン(塩化コリン、葉酸、ピリドキシン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チミジン、リボフラビンリン酸、ナトリウム二水和物)、及びグルコースを補填したSMF23培地を用い、200リットル(L)ジャーファンメンター(Jar fermentor)培養槽にて30℃48時間培養することにより、培地中にeMIPを分泌させた。
この培地上清を0.22μmのフィルターにてろ過除菌し、得られたろ過除菌したものを出発材料とし、AKTA-primeシステム(GEヘルスケア社製)を用いて組換えeMIPの精製を行った。
すなわち、培地上清に10倍濃度のギ酸緩衝液〔0.5M-Formic acid(pH4.0)〕を1/10量添加し、次いで最終的にpH4.0及び濃度0.01%となるようにTween20を添加してサンプルを調製した。
次に、AKTA-primeシステム(GEヘルスケア社)を用いて、上で得られたサンプルを、予め50mMのFormic acid(pH4.0)で平衡化させた陽イオン交換クロマトグラフィ(GEヘルスケア社製SP-FFカラム;5mLサイズ)に5mL/minの速度で送液し、このカラムにeMIPを吸着させた。
eMIPの50mMギ酸濃度で平衡化されているSP-FFカラムからの溶出は、1M-塩化ナトリウムを含むギ酸緩衝液(pH4.0)をグラジエント(gradient)で添加して行った。高濃度のギ酸で溶出したeMIP SP-FFカラム溶出画分は、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動にて確認した。
ピーク画分は、ギ酸を除去するため50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析した。
続いて、上記のeMIP SP-FFカラム溶出画分を疎水クロマトグラフィ(GEヘルスケア社製HIC Phenyl-FFカラム;1mlサイズ)に1mL/minの速度で送液し、このカラムにeMIPを吸着させた。HIC Phenyl-FFカラムからのeMIPの溶出は、1M-硫酸アンモニウムを含むリン酸緩衝液(pH7.0)をグラジエントで添加して行った。HIC Phenyl-FFカラムからのeMIPの溶出画分は、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)にて確認した。ピーク画分は、硫酸アンモニウムを除去するために10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析した。
更に引き続いて、上記のeMIPのHIC Phenyl-FFカラム溶出画分をアフィニティクロマトグラフィ(チッソ社製Heparin Affinityカラム;5mlサイズ)に1mL/minの速度で送液し、このカラムにeMIPを吸着させた。eMIPの溶出は、1M-塩化ナトリウムを含むリン酸緩衝液(pH7.0)をグラジエントで添加して行った。eMIPのHeparin Affinityカラム溶出画分は、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動にて確認した。ピーク画分を回収した後、超純水(MiliQ水)に透析した後、PEG修飾用のeMIP試料溶液として用いた。
[実施例1:PEG化eMIPの調製]
先に調製した10mg/mlのeMIP試料溶液中に1mM-EDTAを含む0.1M-Bicine(pH8.0)を等量加え、そこにDMFに溶解した平均分子量5kDaの直鎖型のα-Succinimidyloxysuccinyl-ω-methoxy(NHS)-PEGsを、eMIPのアミノ基1モルに対してPEG基が1.5倍モルとなるように過剰量添加し、4℃で軽く攪拌しながら2日間反応させた。
得られた反応液を、SDS-ポリアクリル電気泳動(SDS-PAGE)にて確認した。結果を図1に示す。
図1に示す結果から明らかなように、直鎖型5kD-PEG基が2個(18kD付近)、4個(28kD付近)、あるいは8個(48kD付近)結合したPEG化eMIP(PEG-eMIP)が合成されていることが確認された。
[実施例2:PEG化eMIPの調製]
先に調製したeMIP試料溶液を用い、また、平均分子量40kDa及び20kDaの分岐型のマレイミドPEG(Maleimide-PEGs)と平均分子量20kDa、12kDa、及び5kDaの直鎖型のマレイミドPEG(Maleimide-PEGs)とを用い、上記実施例1と同様に、10mg/mlのeMIP試料溶液中に1mM-EDTAを含む0.1M-Bicine(pH8.0)を等量添加し、次いで、得られた溶液中に各マレイミドPEGのDMSO溶液を、eMIPのアミノ基1モルに対してPEG基が1.5倍モルとなるように添加し、4℃で軽く攪拌しながら2日間反応させた。
得られた反応液を、SDS-ポリアクリル電気泳動(SDS-PAGE)にて確認した。結果を図2に示す。
この図2に示す結果から明らかなように、この実施例2においては、いずれの分子量タイプのPEGにおいても、1分子のeMIPに1個のPEG基が導入されたPEG-eMIPが合成されていることが確認された。
ここで、上記SDS-ポリアクリル電気泳動(SDS-PAGE)において、同時に未反応のeMIPも確認されたため、それを除去するために以下のゲルろ過による精製処理を行った。このゲルろ過の操作は全て4℃のクロマトチャンバー内にて行った。すなわち、5カラム体積以上のダルベッコ(Dulbecco)リン酸緩衝塩類溶液(D-PBS)を用いて平衡化したHiload 16/60 Superdex 75pg(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に反応溶液を添加し、1ml/minの流速にて2ml/Fractionで回収した。SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)にてeMIP溶出画分を確認した後、PEG-eMIP画分のみを回収した。
PEG-eMIP画分を、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)にて確認した。結果を図3に示す。
PEG-eMIP画分を回収した後、D-PBSにて透析し、A280を測定して、eMIP濃度を以下の式により求めた。
eMIP濃度(mg/mL)=(吸光度÷12.0)×10(12.0:eMIP原薬の比吸光度)
[試験例1:PEG-eMIPの生物活性測定]
上記実施例2で各マレイミドPEGを用いて得られた平均分子量の異なる分岐形又は直鎖型の各PEG-eMIP(分岐型40kDa、分岐型20kDa、直鎖型20kDa、直鎖型12kDa、及び直鎖型5kDa)について、細胞遊走活性測定装置(NEURO PROBE社製ChemoTx #101-5)を用い、その生物活性(走化性)をBoyden法により測定した。測定方法は、付属の取り扱い説明書に従って実施した。
すなわち、先ず、細胞遊走活性測定装置の下部ウェルに、eMIP及び各PEG-eMIPの希釈溶液をそれぞれ29.5μl/wellずつ入れ、付属の遊走膜を取り付け、その上に1×107cells/mlに調整したJurkat/CCR1細胞を25μl添加した。次に、37℃で2時間反応させた後、サンプル試料を除去し、遊走膜を取り外して、ウェル内の細胞溶液をファンネルプレート(NEURO PROBE社製)に移した。予め希釈調整しておいたCell Counting Kit-F(Dojindo社製)を110μl/wellとなるように添加し、遮光条件下37℃30分間の条件で反応させた後、プレートリーダー(BERTHOLD社製)にて吸光度(Excitation:485nm; Emission:535nm)の測定を行った。
この生物活性測定の結果を図4に示す。
この図4に示す結果から明らかなように、eMIPは0.68×10-8Mで最大活性が認められたのに対して、40kDa-分岐型及び20kDa-分岐型のPEG-eMIPは0.68×10-7Mで、20kDa-直鎖型及び5kDa-直鎖型のPEG-eMIPは0.68×10-8Mで、また、12kDa-直鎖型のPEG-eMIPは0.68×10-6Mでそれぞれ最大活性が認められた。いずれのPEG-eMIPについてもこのin vitro試験において活性を有することが示され、また、各PEG-eMIPのPEG分子量間における活性の差は、全てのPEG-eMIPにおいて、遊走のピークになる濃度はeMIPのそれの10倍から100倍の範囲内で認められたものの、ピーク濃度における遊走活性の強さはeMIPと同程度の生物活性が認められた。
[試験例2:PEG-eMIPの抗腫瘍効果確認試験]
上記実施例2で得られた各PEG-eMIPの抗腫瘍効果確認試験を実施した。
試験方法は、1週間飼育した後のBALB/cマウス(6週齢、雄性:日本SLC株式会社)を実験動物として使用し、また、マウス大腸癌細胞株のColon26についてはin vitroで継代培養したものを使用し、Colon26をマウス背部皮下に2×105cellsずつ左右2箇所に移植し、固形腫瘍を作成した。
腫瘍径が10mm程度に増殖した18日目に、右側の腫瘍に6Gyの放射線を照射し、その翌日、eMIP又は各PEG-eMIP(分岐型20kDa:B20kD、直鎖型20kDa:D20kD)の投与量が1μg/mouseとなるように、29ゲージ針(NIPRO)を用いてマウスに静脈内投与した。ネガティブコントロール群にはD-PBSを投与した。2〜3日毎に腫瘍径とマウス体重を測定し、投与開始から15日目まで経過観察した
図5に、右側の照射固形腫瘍増殖抑制効果の観察結果〔図5(a)〕と左側の非照射固形腫瘍の増殖抑制効果(abscopal effect;遠達効果)の観察結果〔図5(b)〕とを示す。なお、図5中、「Cont」はネガティブコントロールを示し、「Rad」は放射線照射のみの場合を示し、「Rad/eMIP」は放射線照射とeMIP投与の場合を示し、「Rad/PEG-eMIP D20kD」は放射線照射とPEG-eMIP D20kD投与の場合を示し、また、「Rad/PEG-eMIP D20kD」は放射線照射とPEG-eMIP B20kD投与の場合を示す。
この図5に示された結果から明らかなように、eMIPは放射線照射した右側の腫瘍増殖抑制効果を有意に増強し、50%以上の抑制効果を示し、また、非照射固形腫瘍の増殖抑制効果(abscopal effect;遠達効果)も示したが、その効果は比較的弱かった。
一方、この抗腫瘍効果確認試験に用いた平均分子量20kDaの分岐型及び直鎖型のPEG−eMIPは、共にその照射固形腫瘍増殖抑制効果がeMIP単回投与のそれよりもより有効であった。また、非照射固形腫瘍における増殖抑制効果(abscopal effect)は、直鎖型20kDのPEG-eMIPがeMIPの効果を顕著に上回った。
次に、マウス背部皮下に2×105cellsのColon26を右1箇所に移植し、固型腫瘍を作成した。腫瘍径が10mm程度に増殖した18日目に、右側の腫瘍に6Gyの放射線を照射し、その翌日、eMIP又は各PEG-eMIP(分岐型40kDa、分岐型20kDa、直鎖型20kDa、直鎖型12kDa、及び直鎖型5kDa)の投与量が1μg/mouseとなるように、29ゲージ針(NIPRO)を用いてマウスに静脈内投与した。ネガティブコントロール群にはD-PBSを投与した。2〜3日毎に腫瘍径及び体重の測定を行い、投与開始から15日目までの腫瘍増殖抑制効果を経過観察した。
観察結果を図6に示す。なお、図6中、「Cont」はネガティブコントロールを示し、また、「Rad」は放射線照射のみの場合を示す。
この図6に示す結果から明らかなように、eMIPは放射線照射の効果を有意に増強し、腫瘍増殖を50%以上抑制した。一方、5種類のPEG-eMIPのうち、平均分子量20kDaの分岐型及び直鎖型と平均分子量12kDaの直鎖型のものがeMIP単回投与の場合に比べてより有効であり、PEG-eMIPは、そのPEG平均分子量が10,000以上30,000以下の場合にeMIPの抗腫瘍効果を著しく強化することが判明した。

Claims (6)

  1. MIP-1αの変異体であるeMIPを平均分子量10,000〜30,000の直鎖型又は分枝型ポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾してなるPEG化eMIP。
  2. eMIPにはその1分子に対して1個又は2個のPEG基が導入されている請求項1に記載のPEG化eMIP。
  3. eMIPにはその1分子に対して1個のPEG基が導入されている請求項2に記載のPEG化eMIP。
  4. eMIPをPEGで化学修飾するためのPEG化反応剤として、平均分子量が10,000〜30,000であって、かつ、その反応基がマレイミド基で置換されたマレイミドPEGを用いると共に、このマレイミドPEGをeMIPのアミノ基に対して反応比率1〜1.5倍の割合で、かつ、塩基性条件下で反応させ、eMIPの1分子に対して1個のPEG基が導入されたPEG化eMIPを製造することを特徴とするPEG化eMIPの製造方法。
  5. 有効成分として請求項1〜3の何れかに記載のPEG化eMIPを含むことを特徴とする癌治療剤。
  6. PEG化eMIPが、eMIPの1分子に対して1個のPEG基が導入されたPEG化eMIPである請求項5に記載の癌治療剤。
JP2010033044A 2010-02-18 2010-02-18 PEG化eMIP及びその製造方法並びにこれを用いた癌治療剤 Pending JP2011168521A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010033044A JP2011168521A (ja) 2010-02-18 2010-02-18 PEG化eMIP及びその製造方法並びにこれを用いた癌治療剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010033044A JP2011168521A (ja) 2010-02-18 2010-02-18 PEG化eMIP及びその製造方法並びにこれを用いた癌治療剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011168521A true JP2011168521A (ja) 2011-09-01

Family

ID=44683021

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010033044A Pending JP2011168521A (ja) 2010-02-18 2010-02-18 PEG化eMIP及びその製造方法並びにこれを用いた癌治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011168521A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018511595A (ja) * 2015-03-17 2018-04-26 オムニオクス, インコーポレイテッド タンパク質媒介性o2送達による腫瘍免疫のモジュレーション

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018511595A (ja) * 2015-03-17 2018-04-26 オムニオクス, インコーポレイテッド タンパク質媒介性o2送達による腫瘍免疫のモジュレーション
US20180243364A1 (en) * 2015-03-17 2018-08-30 Omniox, Inc. Modulation of tumor immunity by protein-mediated 02 delivery
JP2020183450A (ja) * 2015-03-17 2020-11-12 オムニオクス, インコーポレイテッド タンパク質媒介性o2送達による腫瘍免疫のモジュレーション
JP7049832B2 (ja) 2015-03-17 2022-04-07 オムニオクス, インコーポレイテッド タンパク質媒介性o2送達による腫瘍免疫のモジュレーション

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3093295B1 (en) Il-15 heterogeneous dimer protein and uses thereof
TW414799B (en) Compositions and methods for stimulating megakaryocyte growth and differentiation
JP5336372B2 (ja) G−csf部位特異的モノコンジュゲート
AU601675B2 (en) Purification, production and use of tumor necrosis factors
US8901277B2 (en) Interferon alpha mutant and its polyethylene glycol derivative
CN102145178B (zh) Peg化白介素15
WO2022100741A1 (zh) 人血清白蛋白与白介素2的融合蛋白及其用途
JP2000506865A (ja) インターフェロンをコードする遺伝子の標的を定めた送達
JP2003533186A (ja) アルギニンデイミナーゼの新規突然変異体
JP2011507913A (ja) Y型ポリエチレングリコール修飾したg−csfならびにその製造方法および使用
JP7432851B2 (ja) ヒトキヌレニナーゼ酵素及びその使用
WO2022057904A1 (zh) 溶瘤病毒与经改造的免疫细胞联合治疗肿瘤
JP2014525939A (ja) ペグインターフェロンλ1複合体
CN1845932A (zh) 转染剂
AU2008286742B2 (en) Protein-polymer conjugates
JP2011168521A (ja) PEG化eMIP及びその製造方法並びにこれを用いた癌治療剤
CN101061136A (zh) 具有白介素-2中和能力的免疫治疗制剂
CN109467597B (zh) 一种新型干扰素及其制备方法、组合物和用途
US20200405763A1 (en) Irf-4 engineered t cells and uses thereof in treating cancer
CN101119743B (zh) 免疫增强剂
CN102724980B (zh) 蛋白-聚合物偶联物的治疗用途
WO2024046280A1 (zh) 一种聚乙二醇修饰的il-21衍生物及其应用
CN100335499C (zh) C端氨基酸内酯修饰型胸腺素α1及其应用
CN101074266A (zh) 转导肽-人源粒细胞集落刺激因子融合蛋白及其药物组合物
JP3056758B2 (ja) グリコシル化インターロイキン‐2含有医薬