JP2011163867A - 撮像デバイス、撮像装置、スペクトル置換デバイス - Google Patents

撮像デバイス、撮像装置、スペクトル置換デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】撮像対象とする電磁波の波長にかかわらず低コストでの製造が可能な撮像デバイス、及び撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】撮像対象から入射する第1の波長の電磁波を、第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に変換するスペクトル変換手段と、第1の波長よりも第2の波長に対する感度が高く、スペクトル変換手段によって波長の変換された第2の波長の電磁波を受光する撮像素子を備えた撮像デバイス、及びこの撮像デバイスを備えた撮像装置とする。もしくは、撮像対象から入射する第1の波長の電磁波を、第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に置換するスペクトル置換手段と、第1の波長よりも第2の波長に対する感度が高く、スペクトル置換手段によって置換された第2の波長の電磁波を受光する撮像素子を備えた撮像デバイス、及びこの撮像デバイスを備えた撮像装置とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波を受光して画像データを取得する撮像デバイス及び撮像装置に関する。また、入射した電磁波を異なる波長の電磁波に置換するスペクトル置換デバイスに関する。
電磁波を受光して画像データを取得する撮像デバイスには、近年多様な形態のものが登場している。特に、受光する電磁波においては、可視光のみならず各種波長の電磁波を受光し、映像化やデータ化を行うことで、通常の視覚では捕らえられない様々な情報を取得する試みが行われてきた。
例えば、下記特許文献1では、医療現場において用いられるファイバースコープや電子スコープにおいて、テラヘルツ波を照明光に用いることが提案されている。ここでは、光源から出射された近赤外線をファイバに入射する。そして、ファイバの出射端に取り付けられた光伝導素子によって、近赤外線をテラヘルツ波に変換している。
このように、テラヘルツ波によって撮像を行うと、器官の内壁面のような可視光では確認できない部分の観察が可能であるとされている。
また、下記特許文献2では、レーザ光源から供給される光をテラヘルツ波へと変換する方法が開示されている。この方法では、フォトニック結晶等によってレーザ光源からの光のスペクトルを変形する。そして、このスペクトルの変形された光を励起光として非線形光学結晶に入力することで、テラヘルツ波を発生させている。
すなわち、励起光のスペクトルを変形することで、発生するテラヘルツ波の波長分布を制御しようとするものである。これにより、テラヘルツ波を発生させることができる。
特開2005−261826号公報 特許第4102141号公報
可視光以外の電磁波により画像を取得するものとしては、他に例えば、サーモグラフィ等が従来より知られている。これは、赤外線を検出する画素によって構成される赤外線センサによって物体を撮像し、撮像対象の物体温度を測定するものである。
このような赤外線撮像装置においては、赤外線を検出するためだけの専用の撮像素子が開発、製造されている。このため、量産効果が低く、コストを抑えることが困難であった。
この撮像素子は、マイクロボロメータと呼ばれる、VOx(酸化バナジウム)で作られた画素を一つ一つ空中で支持する中空構造となっている。
この中空構造が必要とされる理由は、熱型の赤外線センサであり、かつVOx素子の感度が低いので、回路系の自己発熱等によるノイズレベルとのS/Nが悪く、熱絶縁のために中空構造にせざるを得ないからである。
そのため、このマイクロボロメータは、生産性が非常に悪く、非常に高価なデバイスとなっていた。
VOxは、希少金属であり、さらに、中空構造を作るための製造工程数が多くなるために、製造コストがかさみ、マイクロボロメータが高価になる原因となっている。
このように、赤外線撮像素子のコストは非常に高いために値段も高く、使用用途は研究及び産業用に限られている。したがって、民生用への普及は依然として進んでいないのが現状である。
本発明は、上記課題を鑑みて行われたものである。すなわち、撮像対象とする電磁波の波長にかかわらず低コストでの製造が可能な撮像デバイス、及び撮像装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明による撮像デバイスは、撮像対象から入射する第1の波長の電磁波を、第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に変換するスペクトル変換手段を備える。そしてさらに、第1の波長よりも第2の波長に対する感度が高く、スペクトル変換手段によって波長の変換された第2の波長の電磁波を受光する撮像素子を備える。
本発明の撮像デバイスによれば、集光された撮像対象からの電磁波を、撮像素子がより高い感度を有する波長内の電磁波に変換する。このため、撮像対象からの電磁波が、撮像素子に対する感度が低い波長の電磁波であっても、撮像を行うことができる。
また、本発明による他の撮像デバイスは、撮像対象から入射する第1の波長の電磁波を、第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に置換するスペクトル置換手段を備える。そしてさらに、第1の波長よりも第2の波長に対する感度が高く、スペクトル置換手段によって波長の置換された第2の波長の電磁波を受光する撮像素子を備える。
本発明の撮像デバイスによれば、集光された撮像対象からの電磁波を、撮像素子がより高い感度を有する波長内の電磁波に置換する。このため、撮像対象からの電磁波が、撮像素子に対する感度が低い波長の電磁波であっても、撮像を行うことができる。
また、本発明による撮像装置は、撮像対象からの第1の波長の電磁波を集光する集光部を備える。また、集光部によって集光された第1の波長の電磁波を、第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に変換するスペクトル変換手段と、第1の波長よりも第2の波長に対する感度が高く、スペクトル変換手段によって波長の変換された第2の波長の電磁波を受光する撮像素子を備えた撮像デバイスを備える。
そしてさらに、この撮像デバイスの動作を制御する制御部と、撮像デバイスからの出力信号を処理する処理信号回路を備える。
本発明の撮像装置によれば、集光された撮像対象からの電磁波を、撮像素子がより高い感度を有する波長内の電磁波に変換する。このため、撮像対象からの電磁波が、撮像素子に対する感度が低い波長の電磁波であっても撮像し、画像データを取得することができる。
また、本発明による他の撮像装置は、撮像対象からの第1の波長の電磁波を集光する集光部を備える。また、集光部によって集光された第1の波長の電磁波を、第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に変換するスペクトル変換手段と、第1の波長よりも第2の波長に対する感度が高く、スペクトル変換手段によって波長の変換された第2の波長の電磁波を受光する撮像素子を備えた撮像デバイスを備える。
そしてさらに、この撮像デバイスの動作を制御する制御部と、撮像デバイスからの出力信号を処理する処理信号回路を備える。
本発明の他の撮像装置によれば、集光された撮像対象からの電磁波を、撮像素子がより高い感度を有する波長内の電磁波に置換する。このため、撮像対象からの電磁波が、撮像素子に対する感度が低い波長の電磁波であっても撮像し、画像データを取得することができる。
また、本発明のスペクトル置換デバイスは、撮像対象からの電磁波を集光する集光部と、集光された電磁波を、異なる波長の電磁波に変換するスペクトル置換手段を備える。そしてさらに、集光部によって集光された電磁波とは異なる波長の電磁波をスペクトル置換部に照射する光源を備える。
本発明のスペクトル置換デバイスによれば、集光された撮像対象からの電磁波を、異なる波長の電磁波に置換する。このため、撮像対象からの電磁波による像を、異なった波長の電磁波による像に置換することができる。
本発明によれば、撮像対象とする電磁波の像を、異なる波長の電磁波による像に変換、または置換することができる。このため、撮像対象とする電磁波を受光するためだけの専用の撮像素子を製造する必要がない。
したがって、撮像対象とする電磁波にかかわらず、撮像素子の製造プロセスを統一することができ、量産効果を高めることができる。
また、受光するためには、従来複雑な構造を有する撮像素子を必要とする電磁波であっても、電磁波を異なる波長に変換、または置換することで、より簡易で安価な撮像素子による受光が可能となる。このため、コストダウンを図ることができる。
第1の実施の形態に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 Aの電磁波からBの電磁波へ、スペクトル変換部によって高調波変換される様子を示す説明図である。 第2の実施の形態に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 第1の変形例に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 第3の実施の形態に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 Aは、スペクトル置換部の断面を示す拡大断面図である。Bは、温度がAに示した箇所よりも高い箇所におけるスペクトル置換部の拡大断面図である。 第4の実施の形態に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 第2の変形例に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 第3の変形例に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 図9のスペクトル置換部の概略構成図である。 第4の変形例に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 Aは、図11のスペクトル置換部の概略構成図である。Bは、スペクトル置換部の1画素分の発光モデルを示す模式図である。 Aは、図11のスペクトル置換部の別の構成を示す概略構成図である。Bは、このスペクトル置換部の1画素分の発光モデルを示す模式図である。 第5の変形例に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 A〜Cは、実施の形態及び変形例の発光原理を比較して示す図である。 第5の実施の形態に係る撮像デバイスを示す概略構成図である。 Aは、スペクトル置換部の断面を示す拡大断面図である。Bは、温度がAに示した箇所よりも高い箇所におけるスペクトル置換部の拡大断面図である。 第6の実施の形態に係る撮像装置を示す概略構成図である。
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(入射した電磁波を異なる波長に変換する例)
2.第2の実施の形態(温度依存性透過膜を用いて電磁波を置換する例)
3.第1の変形例(温度依存性透過膜を用いて電磁波を置換する別の例)
4.第3の実施の形態(シャッター構造を用いて電磁波を置換する例)
5.第4の実施の形態(蛍光材料や燐光材料等の発光材料を用いて電磁波を置換する例)
6.第2の変形例(発光した光をレンズ等にて集光する例)
7.第3の変形例(発光材料に電圧を印加する例)
8.第4の変形例(抵抗値の変化により発光素子を発光させる例)
9.第5の変形例(アンテナによって電磁波を受信する例)
10.第5の実施の形態(反射膜の変形により電磁波を置換する例)
11.第6の実施の形態(撮像装置の例)
1.第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態による撮像デバイス100を示す概略構成図である。
本実施の形態による撮像デバイス100は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光し、結像させる集光部1を備える。
また、集光部1によって集光された電磁波の光路上に配置され、入射した電磁波の波長スペクトルを変換するスペクトル変換部2を備える。
またさらに、本実施の形態による撮像デバイス100は、スペクトル変換部2によって波長スペクトルが変換された電磁波を受光する撮像素子3を備える。
図示しない撮像対象からの電磁波は、集光部1によって集光され、像を形成する。集光部1のレンズの構成や材料については特に限定するものではなく、撮像したい電磁波を結像させるものであればよい。ここでは、集光部1を2枚のレンズ群によって構成する例としてあるが、1枚レンズでもよく、3枚以上のレンズ群であってもよい。
そして、集光部1によって集光された電磁波は、スペクトル変換部2に入射し、ここでより短い波長を有する電磁波に変換される。
このスペクトル変換部2には、例えば非線形光学結晶を用いることができる。図2Aに示すように、例えば赤外線は、非線形光学結晶によるスペクトル変換部2に入射することで、例えば高調波変換される。そして図2Bに示すように、より短波長の例えば可視光領域の電磁波となって出射される。
スペクトル変換部2によって可視光へと変換された電磁波は、撮像素子3上において結像し、受光される。本実施の形態においては、可視光領域の電磁波が結像する。このため、撮像素子3には、可視光用の一般的なCCD型やCMOS型の撮像素子を用いることができる。
なお、撮像素子3によって取得する画像の解像度を高めるために、スペクトル変換部2と撮像素子3の距離はなるべく小さくするのが好ましく、撮像素子3上にほぼ密接するようにスペクトル変換部2を配置してもよい。
このように、本実施の形態においては、入射する電磁波をスペクトル変換部2によって可視光領域の光に変換する。このため、入射する電磁波の波長にあわせて専用の撮像素子を用いる必要がなく、撮像素子3には一般的な可視光用のCCD型やCMOS型の撮像素子を用いることができる。
これらの撮像素子では、一般的に波長が400nm〜1000nmの波長の電磁波に対して感度を有する。したがって、撮像デバイス100に入射した電磁波が、スペクトル変換部2によって、この範囲内の光に変換されるのが好ましい。
例えば赤外線による撮像をするには、波長1.1μm〜30μmの電磁波を波長400nm〜1000nm内の電磁波に変換させることで赤外線を撮像することができるようになる。
この場合には、例えば波長を1/8〜1/64に高調波変換する非線形光学結晶等を用いることができる。こうした非線形光学結晶としては、例えばKTP、CLBO、LBO、BBO、DAST、LiNbO、MgO:LiNbO、AgGaS、LiTaO等が挙げられる。
なお、DAST結晶を用いる場合には、DAST結晶の集光部1側の面と、撮像素子3側の面に電極を配置し、電圧を印加してもよい。このように、DAST結晶に対して電圧を印加することで電界アシスト効果が得られ、入射した電磁波を異なる波長に変換する変換効率を向上させることができるので好ましい。
また、集光部1側に配置する電極としてはCrを用いることができ、撮像素子3側に配置する電極には、波長400nm〜1000nmの電磁波に対して透過性のあるITOを用いることができる。
このように本実施の形態によれば、スペクトル変換部2に入射した電磁波の波長を異なる波長の電磁波、例えば可視光領域の電磁波へと変換する。これにより、例えば赤外線であっても可視光用の一般的なCCD型やCMOS型の撮像素子によって撮像することが可能となる。
このため、マイクロボロメータの製造プロセスで行われていた、中空構造による画素を形成するための複雑なプロセスを必要とせず、従来のプロセスにより撮像素子を製造することが可能である。したがって大幅にコストダウンを図ることができる。
また、CCD型やCMOS型等の一般的な撮像素子を用いることにより、赤外線専用の撮像素子を個別に開発、製造する必要がない。このため、量産効果も格段に向上させることができる。
なお、通常のCCDセンサやCMOSセンサにおいて配置されているカラーフィルタは、撮像する電磁波に合わせて変更する。例えば、赤外線の撮像を行う場合には、スペクトル変換部2によって変換された波長の光のみを透すフィルタを用いればよい。
2.第2の実施の形態
図3は、第2の実施の形態による撮像デバイス200を示す概略構成図である。
本実施の形態による撮像デバイス200は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光し、結像させる集光部11を備える。
また、集光部11を透過した電磁波の光路上に配置されるスペクトル置換部12と、スペクトル置換部12を透過した電磁波を受光する撮像素子13を備える。
また、集光部11とスペクトル置換部12の間に配置され、波長400nm〜1000nmの電磁波を反射する波長選択膜14と、波長選択膜14に波長400nm〜1000nmの電磁波を照射する光源15を備える。
撮像対象から発せられた例えば波長1.1μm〜30μmの赤外線等の電磁波は、集光部11によって集光される。また、波長選択膜14は、例えば波長400nm〜1000nmの範囲の電磁波を反射し、他の波長の電磁波、例えば赤外線を透過する材料を用いる。こうした材料としては、例えばGe,Cr,ZnSe,ZnSを用いることができる。このため、集光部11によって集光された赤外線は、波長選択膜14を透過する。
なお、図3においては、集光部11の撮像素子13側のレンズ面に波長選択膜14を形成する例としているが、透明薄板の表面に波長選択膜14を形成したフィルタ等を集光部11とスペクトル置換部12の間に配置してもよい。
また、光源15は、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を、撮像素子13側から波長選択膜14に向かって照射する。この光源15としては、例えばLEDを用いると、コストも低いため好ましい。
そして、波長選択膜14に照射された光源15からの電磁波は反射され、スペクトル置換部12に入射する。すなわち、スペクトル置換部12には、集光部11によって集光される例えば赤外線等の電磁波と、光源15から発せられる波長400nm〜1000nmの電磁波、例えば可視光が入射する。
スペクトル置換部12には、温度の上昇によって特定の波長の電磁波の透過率が上昇する温度依存性透過膜が用いられる。
本実施の形態においては、集光部11によって集光された例えば赤外線の強度に応じて、照射された箇所の温度が上昇し、波長400nm〜1000nmの電磁波の透過率が上昇する温度依存性透過膜を、スペクトル置換部12に用いる。
このため、スペクトル置換部12上において、集光部11により赤外線が強く集光される位置では、波長選択膜14によって反射された光源15からの電磁波が多く透過することになる。そして、スペクトル置換部12を透過した光源15からの電磁波は、撮像素子13によって受光される。
このように、本実施の形態においては、集光部11によって集光される電磁波の像を熱エネルギの分布として捉え、この熱エネルギの分布を、スペクトル置換部12において、特定の波長の電磁波に対する透過率分布に変換するものである。
このため、スペクトル置換部12に対して、その特定の波長の電磁波を光源15から照射することにより、その透過率分布に応じた輝度分布による像が形成されることになる。これにより、集光部11に入射した電磁波によって形成される像を、光源15からの電磁波によって置換することが可能となる。
特に、光源15からの電磁波を波長400nm〜1000nmとすれば、スペクトル置換部12の透過後に形成される像を、一般的なCMOS型やCCD型の撮像素子によって受光することが可能になる。
したがって、例えば赤外線による像であっても、一般的な撮像素子によって撮像することが可能になり、従来のように中空構造の画素を有する特殊な撮像素子を必要としない。このため、より簡易なプロセスによる製造が可能になるとともに、量産効果を向上させることができるので、コストを大幅に低減することが可能となる。
スペクトル置換部12を形成する温度依存性透過膜としては、例えば銀粒子薄膜や、二酸化バナジウム系サーモクロミック材料、酸化チタン系光触媒薄膜の多層構造による薄膜を用いることができる。
また、より鮮明な画像を得るには、画素サイズにもよるが、スペクトル置換部12と撮像素子13の距離が短い程好ましく、上述の薄膜を撮像素子13表面に形成、または配置してあってもよい。
特にこの場合には、集光部11による結像面を上述の薄膜と一致させると、薄膜上に結像された像を、撮像素子13に解像度良く転写できる。
また、スペクトル置換部12に照射される光源15からの電磁波は、スペクトル置換部12上において均一な強度分布となっていることが好ましく、例えば拡散板16等によって光源15からの電磁波を均一に拡散するようにしてもよい。
またさらには、IRカットフィルタを配置して、光源15の電磁波から赤外線を除いておくのも好ましい。
3.第1の変形例
図4は第1の変形例による撮像デバイス300を示す概略構成図である。
本変形例による撮像デバイス300は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光する集光部21と、集光部21によって集光された撮像対象からの電磁波を、波長の異なる電磁波に置換するスペクトル置換部22を備える。
また、集光部21によって集光される電磁波とは波長の異なる電磁波をスペクトル置換部22に供給する光源25と、スペクトル置換部22によって置換された電磁波を受光する撮像素子23を備える。
集光部21は、撮像対象からの電磁波を集光し、像を形成するものであればよい。また、1枚レンズであってもよく、2枚以上の複数のレンズ群により構成しても構わない。
集光部21によって集光された電磁波は、集光され、スペクトル置換部22に入射する。このスペクトル置換部22は、温度の上昇によって特定の波長の電磁波に対する透過率が上昇する温度依存性透過膜によって構成される。
したがって、例えば撮像対象からの例えば波長1.1μm〜30μmの赤外線が集光部21によって集光され、スペクトル置換部22に入射すると、入射した赤外線の強度に応じてスペクトル置換部22の特定の波長に対する透過率が上昇する。
これにより、赤外線の強度分布が、スペクトル置換部22において特定の波長の電磁波に対する透過率分布に変換される。
なお、ここでは、温度の上昇により、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波に対する透過率が上昇する温度依存性透過膜を用いるものとする。この温度依存性透過膜には、第2の実施の形態(図3)において示した薄膜を用いることができる。
また、本変形例においては、光源25からの電磁波は、直接スペクトル置換部22に照射される。光源25には、例えば、波長400nm〜1000nmの電磁波を発するLED等を用いることができる。
照射された光源25からの電磁波は、スペクトル置換部22に形成された透過率分布に応じた光量が透過し、撮像素子23によって受光される。
また、光源25からの電磁波を均一に照射するために、拡散板26を配置してもよい
またさらに、IRカットフィルタを配置して、光源25の電磁波から赤外線をカットするのが好ましい。
このように、本変形例においても、集光部21によって集光される電磁波の強度分布をスペクトル置換部22によって、特定の電磁波に対する透過率分布に変換する。
これにより、光源25からその特定の波長を有する電磁波をスペクトル置換部22に照射すると、透過率分布に応じた輝度分布が撮像素子23上に形成される。そしてこの輝度分布を、集光部21に入射した電磁波による像として取得することができる。
また、このスペクトル置換部22によって、例えば集光部21によって集光される赤外線を波長400nm〜1000nmの電磁波に置換することができるので、一般的なCMOS型やCCD型の撮像素子による受光が可能となる。
このため、従来の赤外線撮像素子のように複雑な製造プロセスを必要とせず、一般的なプロセスによって製造することができ、コストダウンを図ることができる。
なお、より鮮明な画像を得るには、画素サイズにもよるが、スペクトル置換部22と撮像素子23の距離が短い程好ましく、温度依存性透過膜を撮像素子23表面に形成、または配置してもよい。
またこの場合には、集光部21の結像面を上述の薄膜と一致させると、薄膜上に結像された像を、撮像素子13に解像度良く転写できる。
4.第3の実施の形態
第2の実施の形態においては、温度によって電磁波の透過率が変化する温度依存性透過膜をスペクトル置換部として用いる例であった。
ここでは、温度によって電磁波の透過率を変化させる別の手段を用いる例について説明する。
図5は、第3の実施の形態による撮像デバイス400を示す概略構成図である。
本実施の形態による撮像デバイス400は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光し、結像させる集光部31と、集光部31によって集光された電磁波の光路上に配置されるスペクトル置換部32を備える。
また、集光部31とスペクトル置換部32の間に配置される波長選択膜34と、波長選択膜34に電磁波を照射する光源35を備える。
またさらに、スペクトル置換部32を透過した電磁波を受光する撮像素子33を備える。
集光部31は、撮像対象からの例えば波長1.1μm〜30μmの赤外線等の電磁波を集光し、結像させる。集光部31は、撮像する電磁波を集光し、結像させるものであれば特に限定はしない。例えば1枚レンズであってもよいし、2枚以上のレンズ群によって構成しても構わない。
波長選択膜34は、ここでは例えば波長400nm〜1000nmの範囲の電磁波を反射し、他の波長の電磁波、例えば赤外線を透過する材料を用いる。
なお、図5においては、集光部31の撮像素子33側のレンズ面に波長選択膜34を形成する例としているが、透明薄板の表面に波長選択膜34を形成したフィルタ等を集光部31とスペクトル置換部32の間に配置してもよい。
したがって、集光部31によって集光された赤外線は、波長選択膜34を透過してスペクトル置換部32に入射する。これにより、スペクトル置換部32上の各位置では、受光した赤外線の強度に応じて温度が上昇し、温度分布が形成される。
本実施の形態において、スペクトル置換部32は、温度依存性透過膜の疑似シャッター機構によって構成される。これは、例えば異なる熱膨張係数を有する2種類の材料による薄膜をアレイ状に配置することで構成できる。
図6Aは、図5におけるスペクトル置換部32の断面領域T1を拡大した拡大断面図である。図6Aに示すように、本実施の形態でのスペクトル置換部32は、所定の線膨張係数を有する薄膜37と、薄膜37上に形成され、薄膜37よりも線膨張係数が小さい薄膜38による多層膜によって構成される。
集光部31によって集光された赤外線がスペクトル置換部32に入射し、温度が上昇すると、薄膜37と薄膜38の線膨張係数の差によるバイメタル効果のために変形が生じる。この変形により、図6Aに示すように、アレイ状に配置されて隣り合う個々の薄膜間に隙間が生じ、シャッターとして動作する。これにより、電磁波の一部がスペクトル置換部32を透過するようになる。
また、スペクトル置換部32上において、集光された赤外線の強度が大きく、温度上昇がより大きい箇所では、図6Bに示すようにより大きく変形が生じるので、電磁波の透過率も大きくなる。すなわち、スペクトル置換部32上の温度分布が、電磁波の透過率分布に変換される。
この薄膜37には、線膨張率の大きい材料としてPOMやABSを用いることができる。また、薄膜38には、線膨張率の小さい材料としてタングステンやモリブデン、シリコンを用いるのが好ましい。
なお、本実施の形態においては、これらの材料のみに限定するものではなく、薄膜37と薄膜38の間に線膨張係数の差を生じさせ、バイメタル効果による変形を生じるものであれば適宜その他の材料を用いてよい。
例えば、他にもアルミや鉄といった金属材料による薄膜と、PCやPET等の樹脂材料による薄膜との組み合わせであってもよい。
一方、光源35には、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を発するLED等を用いる。この光源35から照射された電磁波は、波長選択膜34によって反射され、スペクトル置換部32に入射する。
また、波長選択膜34を配置せずに、光源35からの電磁波を直接スペクトル置換部32に照射してもよい。
また、拡散板を配置し、光源35からの電磁波が均一にスペクトル置換部32に照射されるようにしてもよい。またさらに、IRカットフィルタを配置して光源35の電磁波から赤外線を除去し、スペクトル置換部32上に形成されている温度分布になるべく影響を及ぼさないようにするのが好ましい。
スペクトル置換部32に入射した光源35からの電磁波は、スペクトル置換部32を透過することで、スペクトル置換部32上に形成された上述の透過率分布に応じた輝度分布を付される。
そして、撮像素子33では、この電磁波を受光することで、輝度分布による画像を取得することができる。
なお、鮮明な画像を得るには、画素サイズにもよるが、スペクトル置換部32と撮像素子33の距離をできるだけ短くするのが好ましい。
このように、本実施の形態では、集光部31によって集光される撮像対象からの電磁波を、スペクトル置換部32上の温度分布に変換する。そしてスペクトル置換部32のシャッター機構によって、この温度分布を電磁波に対する透過率分布に変換する。
このため、スペクトル置換部32に光源35からの電磁波を照射すると、透過率分布に応じた輝度分布が形成され、集光部31によって集光された電磁波を光源35からの電磁波によって置換することが可能となる。
特に本実施の形態においては、光源35からの例えば波長400nm〜1000nmの電磁波に置換される。このため、一般的なCMOS型やCCD型の撮像素子によって受光することが可能になる。
したがって、赤外線による撮像を行う場合であっても、従来のように複雑な構造を有する専用の撮像素子を製造する必要がなく、コストダウンを図ることができる。
5.第4の実施の形態
図7は、第4の実施の形態による撮像デバイス500を示す概略構成図である。本実施の形態においては、スペクトル置換部に蛍光材料を用い、これを発光させることで、電磁波の置換を行う。
本実施の形態による撮像デバイス500は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光し、結像させる集光部41と、集光部41によって集光された例えば赤外線等の電磁波を、異なる波長の電磁波に置換するスペクトル置換部42を備える。
また、集光部41とスペクトル置換部42の間に配置され、例えば赤外線は透過し、波長400nm〜1000nmの電磁波を反射する波長選択膜44を備える。
またさらに、集光部41が結像させる電磁波の波長とは異なる波長の電磁波をスペクトル置換部42に照射する光源45と、スペクトル置換部42において発光した光を受光する撮像素子43を備える。
集光部41は、撮像対象からの例えば波長1.1μm〜30μmの赤外線等の電磁波を集光し、結像させるものであれば特に限定しない。一枚レンズであってもよく、また2枚以上の複数のレンズを含んで構成しても構わない。
集光部41を透過した赤外線は、さらに波長選択膜44を透過し、スペクトル置換部42に入射する。本実施の形態において、波長選択膜44は集光部41の撮像素子43側のレンズ面に形成してあるが、透明薄板上に形成し、集光部41とスペクトル置換部42の間に配置してもよい。
本実施の形態において、スペクトル置換部42には、電磁波の照射によって励起されると、基底状態に戻る際に発光する蛍光材料や燐光材料を用いる。
すなわち、集光部41によって集光された赤外線をスペクトル置換部42に入射させることで、その赤外線の強度に応じた励起分布をスペクトル置換部42上に形成するものである。
一方、光源45は、集光部41が結像させる電磁波の波長とは異なる波長の電磁波をスペクトル置換部42に照射する。この光源45には例えば波長400nm〜1000nmの可視光領域の電磁波を発する光源を用いることができる。これは、例えばLEDであってもよい。
光源45から発せられた可視光領域の電磁波は、波長選択膜44によって反射され、スペクトル置換部42に照射される。この可視光領域の電磁波によって、スペクトル置換部42の蛍光材料や燐光材料は、励起直前のエネルギ状態にまで高められる。
なお、拡散板46を透して光源45からの電磁波を照射すると、スペクトル置換部42に対して均一に電磁波が照射されるので好ましい。また、IRカットフィルタ等を配置して、光源45の電磁波から赤外線を除去するのも好ましい。
この励起直前のエネルギ状態とされた蛍光材料や燐光材料に、集光部41によって集光された赤外線が入射すると、この赤外線のエネルギによって蛍光材料や燐光材料が励起される。すなわち、赤外線の強度分布に応じた励起分布が形成され、基底状態へと戻る際には、この励起分布に応じた発光が生じる。撮像素子43は、この発光による輝度分布の変化を検出することで、画像を形成することができる。
発光材料としては、赤外線と可視光の照射によって、例えば波長400nm〜1000nmの領域の蛍光や燐光等の発光を生じるものであればよい。こうした材料としては、例えばローダミン6Gを用いることができる。
また、スペクトル置換部42は、こうした発光材料を溶媒に溶かし、SiOやSi石英等によって形成された容器内に充填することで構成してもよい。また、この容器の集光部41側をSiによって形成し、撮像素子43側をSiOによって形成してもよい。また、透明薄板上に塗布したり、撮像素子43上に塗布することで、発光膜を形成してもよい。
なお、発光材料を溶かした溶液には、重クロロホルム等を配合、添加してあってもよい。
このように、本実施の形態においては、可視光領域の電磁波をスペクトル置換部42に照射することで、発光材料を励起直前のエネルギ状態とする。そしてさらに集光部41によって集光された撮像対象からの赤外線を照射することで、発光材料の励起分布に変換する。
これにより、励起分布に応じた輝度分布を有する蛍光や燐光等の発光が生じ、集光部41によって集光される赤外線を可視光領域の光に置換することができる。
したがって、撮像素子43においては、例えば波長400nm〜1000nmの領域の電磁波が受光されるので、一般的なCCD型やCMOS型等の撮像素子を用いることが可能となる。
このため、本実施の形態においても、従来のように複雑な中空構造を有する撮像素子を用いることなく、赤外線による撮像が可能となるので、製造コストを大幅に低減することができる。
6.第2の変形例
図8は、第2の変形例による撮像デバイス600を示す概略構成図である。本変形例では、第4の実施の形態(図7)において発光材料により発せられた光を撮像素子上に集光させる。
本変形例による撮像デバイス600は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光し、結像させる集光部51と、集光部51によって集光された例えば赤外線等の電磁波を、異なる波長の電磁波に置換するスペクトル置換部52を備える。
また、集光部51とスペクトル置換部52の間に配置され、例えば赤外線は透過し、波長400nm〜1000nmの電磁波を反射する波長選択膜54を備える。
またさらに、集光部51が結像させる電磁波の波長とは異なる波長の電磁波をスペクトル置換部52に照射する光源55と、スペクトル置換部52において発光した光を受光する撮像素子53を備える。
集光部51は、撮像対象からの例えば波長1.1μm〜30μmの赤外線等の電磁波を集光し、結像させるものであれば特に限定しない。一枚レンズであってもよく、また2枚以上の複数のレンズを含んで構成しても構わない。
集光部51を透過した赤外線は、さらに波長選択膜54を透過し、スペクトル置換部52に入射する。本変形例においても、波長選択膜54は集光部51の撮像素子53側のレンズ面に形成してあるが、透明薄板上に形成し、集光部51とスペクトル置換部52の間に配置してもよい。
また本変形例においても同様に、スペクトル置換部52には、電磁波の照射によって励起されると、基底状態に戻る際に発光する蛍光材料や燐光材料を用いる。
したがって、集光部51によって集光された赤外線をスペクトル置換部52に入射させることで、その赤外線の強度に応じた励起分布をスペクトル置換部52上に形成する。
また、光源55は、集光部51が結像させる電磁波の波長とは異なる波長の電磁波をスペクトル置換部52に照射する。この光源55には、例えば波長400nm〜1000nmの可視光領域の電磁波を発する光源を用いることができる。これは、例えばLEDであってもよい。
光源55から発せられた例えば可視光領域の電磁波は、波長選択膜54によって反射され、スペクトル置換部52に照射される。この電磁波によって、スペクトル置換部52の蛍光材料や燐光材料は、励起直前のエネルギ状態にまで高められる。
なお、拡散板56を透して光源55からの電磁波を照射すると、スペクトル置換部52に対して均一に電磁波が照射されるので好ましい。また、IRカットフィルタ等を配置して、光源55の電磁波から赤外線を除去するのも好ましい。
この励起直前のエネルギ状態とされた蛍光材料や燐光材料に、集光部51によって集光された赤外線が入射すると、この赤外線のエネルギによって蛍光材料や燐光材料が励起される。これにより、赤外線の強度分布に応じた励起分布が形成され、基底状態へと戻る際には、この励起分布に応じた発光が生じる。撮像素子53は、この発光による輝度分布の変化を検出することで、画像を形成することができる。
発光材料としては、赤外線と可視光の照射によって、例えば波長400nm〜1000nmの領域の蛍光や燐光等の発光を生じるものであればよい。したがって、こうした材料としては、上述のローダミン6G等を用いてよい。
また、スペクトル置換部52は、こうした発光材料を溶媒に溶かし、SiOやSi石英等によって形成された容器内に充填することで構成してもよい。また、この容器の集光部51側をSiによって形成し、撮像素子53側をSiOによって形成してもよい。また、透明薄板上に塗布したりすることで、発光膜を形成してもよい。
なお、発光材料を溶かした溶液には、重クロロホルム等を配合、添加してあってもよい。
また、本変形例においては、この発光材料により発光した可視光領域の光を撮像素子53上に集光する例えばレンズ群等の第2の集光部57を備える。この第2の集光部57によりスペクトル変換部52からの光を撮像素子53上に結像させることで、より鮮明な画像データを取得することができるので好ましい。
このように、本変形例においても、可視光領域の電磁波をスペクトル置換部52に照射することで、発光材料を励起直前のエネルギ状態とする。そしてさらに集光部51によって集光された撮像対象からの赤外線を照射することで、発光材料の励起分布に変換する。
これにより、励起分布に応じた輝度分布を有する蛍光や燐光等の発光が生じ、集光部51によって集光される赤外線を可視光領域の光に置換することができる。
したがって、撮像素子53においては、例えば波長400nm〜1000nmの領域の電磁波が受光されるので、一般的なCCD型やCMOS型等の撮像素子を用いることが可能となる。
このため、本変形例においても、従来のように複雑な中空構造を有する撮像素子を用いることなく、赤外線による撮像が可能となるので、製造コストを大幅に低減することができる。
なお、本変形例では第2の集光部57を配置するため、第4の実施の形態と比較して、スペクトル置換部52と撮像素子との間に距離があり、分離される。このため、図8に示すように、集光部51とスペクトル置換部52と、波長選択膜54と、光源55とにより、ユニットとしてスペクトル置換デバイス610を構成してもよい。すなわち、赤外線等による像を波長400nm〜1000nmの電磁波による像に置換するデバイスとして構成することができる。
この場合には、例えばスペクトル置換デバイス610を光軸方向に移動させる移動機構を設けることで、発光材料からの光に対するフォーカス調整等を容易に行うことができるので好ましい。
7.第3の変形例
第4の実施の形態や第2の変形例では、例えば可視光領域の電磁波を発光材料に照射することで、発光材料を励起直前のエネルギ状態とした。そして、この励起直前の発光材料に対して赤外線を集光することで、励起分布を形成し、発光させるものである。
発光材料に赤外線を集光する際において、発光材料は励起直前のエネルギ状態にさえなっていればよい。したがって、可視光領域の電磁波の照射以外の手段により、励起直前のエネルギ状態としてもよい。ここでは、電圧印加によって、発光材料を励起直前のエネルギ状態とする例について説明する。
図9は第3の変形例による撮像デバイス700を示す概略構成図である。
本変形例による撮像デバイス700は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光し、結像させる集光部61と、集光部61によって集光された例えば赤外線等の電磁波を、異なる波長の電磁波に置換するスペクトル置換部62を備える。
また、集光部61とスペクトル置換部62の間に配置され、例えば赤外線は透過し、波長400nm〜1000nmの電磁波を反射する波長選択膜64を備える。
またさらに、スペクトル置換部62において発光した光を受光する撮像素子63を備える。
集光部61は、撮像対象からの例えば波長1.1μm〜30μmの赤外線等の電磁波を集光し、結像させるものであれば特に限定しない。一枚レンズであってもよく、また2枚以上の複数のレンズを含んで構成しても構わない。
集光部61を透過した赤外線は、波長選択膜64を透過し、スペクトル置換部62に入射する。本変形例において、波長選択膜64は集光部61の撮像素子63側のレンズ面に形成してあるが、対物側に形成してもよいし、例えば透明薄板上に形成し、集光部61とスペクトル置換部62の間に配置してもよい。
また、スペクトル置換部62には、電磁波の照射によって励起されると、基底状態に戻る際に波長400nm〜1000nmの電磁波を発光する蛍光材料や燐光材料を用いる。
したがって、集光部61によって集光された赤外線をスペクトル置換部62に入射させることで、その赤外線の強度に応じた励起分布をスペクトル置換部62上に形成する。
そして、この励起によって発光された光を撮像素子63が受光することで、画像データを取得する。
図10に、本変形例におけるスペクトル置換部62の概略構成図を示す。スペクトル置換部62は、蛍光材料や燐光材料等によって構成される発光素子62aと、発光素子62aの上面及び下面に設けられる上部電極62b及び下部電極62cと、この電極対62b,62cを介して発光素子62aに電圧を印加する電圧源62dを有する。
発光素子62aは、例えば発光材料を溶媒に溶かし、SiOやSi石英等によって形成された容器内に充填することで構成してもよいし、薄膜状に形成していてもよい。
また、上部電極62bには、赤外線を透過する導電性材料を用い、下部電極62cには、可視光領域の電磁波を透過する導電性材料を用いるのが好ましい。
本変形例では、電圧源62dにより発光素子62aに電圧を印加する。これにより、発光素子62aの発光材料を励起直前のエネルギ状態にまで上げる。
そしてこの時に、図9に示した集光部61により集光された赤外線が矢印A1の方向から発光素子62aに入射すると、赤外線エネルギによって発光素子62aの発光材料が励起される。したがって、赤外線の強度分布に応じた励起分布が形成され、この励起分布に応じた輝度分布の発光を撮像素子62により受光する。
このように、本変形例では、発光材料を励起直前の状態にするためのエネルギを、電圧印加によって直接供給する。この場合には、例えば第4の実施の形態(図7)のようなLED等の光源や、波長選択膜を必要としないため、コストを低減することができ、また小型化を図ることができる。
また、本変形例においても、赤外線等の電磁波をスペクトル置換部62によって可視光領域の電磁波に置換することができる。このため、撮像素子63には一般的なCCD型やCMOS型等の撮像素子を用いることが可能となる。
このため、従来のように複雑な中空構造を有する撮像素子を用いることなく、赤外線による撮像が可能となるので、製造コストを大幅に低減することができる。
8.第4の変形例
第3の変形例では、赤外線エネルギを発光素子の発光エネルギとして直接利用している。しかし、赤外線エネルギを電圧エネルギへと変換・置換することができれば、発光素子をオン・オフする電気回路によってスペクトル置換部を構成することもできる。
ここでは、赤外線エネルギを電圧エネルギへと置換することで、赤外線を可視光領域の電磁波に置換する例を説明する。
図11は、第4の変形例による撮像デバイス800を示す概略構成図である。
本変形例においても同様に、撮像デバイス800は、赤外線等の電磁波を集光する集光部71と、集光部71によって集光された例えば赤外線等の電磁波を、異なる波長の電磁波に置換するスペクトル置換部72を備える。
またさらに、本変形例による撮像デバイス800は、例えば赤外線は透過し、波長400nm〜1000nmの電磁波を反射する波長選択膜74と、スペクトル置換部72において発光した光を受光する撮像素子73を備える。
集光部71は、撮像対象からの例えば波長1.1μm〜30μmの赤外線等の電磁波を集光し、結像させるものであれば特に限定しない。一枚レンズであってもよく、また2枚以上の複数のレンズを含んで構成しても構わない。
集光部71を透過した赤外線は、波長選択膜74を透過し、スペクトル置換部72に入射する。
波長選択膜74の配置は特に限定するものではなく、集光部71の対物側レンズ面に形成してもよいし、例えば透明薄板上に形成し、集光部71とスペクトル置換部72の間に配置してもよい。
また、本変形例におけるスペクトル置換部72は、赤外線等の電磁波が照射されると、波長400nm〜1000nmの電磁波を発光する。
そして、この発光された光を撮像素子73が受光することで、画像データを取得する。
図12Aに本変形例のスペクトル置換部72の概略構成を示す。
図12Aに示すように、スペクトル置換部72は、赤外線等の電磁波を受光する受光抵抗層72bと、受光抵抗層の下層に配置される電気配線層72aと、電気配線層72aの下層に配置される発光層72cを備える。
受光抵抗層72bは、例えば赤外線を吸収して温度が上昇することにより、電気抵抗値が変化する材料から成る抵抗で構成されている。この受光抵抗層72bは、アレイ状に配置され、それぞれが一画素分の赤外線を吸収する。この受光抵抗層72bに用いる材料としては、例えばVOやアモルファスシリコン等を用いることができる。
また、電気配線層72aには、例えば受光抵抗層72bの抵抗の変化によって発光素子73をオン・オフする回路構成が形成される。例えば、矢印A2の赤外線の照射により、受光抵抗層72bの抵抗値が低下すると、電気配線層72aは発光層72cに電流を供給することで、発光層72cを発光させる。そして、この発光した光を撮像素子73が受光することにより、画像データを取得する。
この発光層72cには、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を発光する有機ELや、無機EL、LED等を配置して用いることができる。
図12Bは、本変形例におけるスペクトル置換部72の1画素分の発光モデルを示す模式図である。この図12Bにおいて、スペクトル置換部72は、上述の受光抵抗層72bに相当する抵抗素子72dと、電気配線層72aに相当する抵抗72e、増幅器72f及び電源72hを備える。またさらに、スペクトル置換部72は発光素子72gを備える。
増幅器72fには例えばトランジスタ等を用いることができ、例えばゲート電極は抵抗素子72dを介して電圧源72hに接続される。また、例えばソース・ドレイン電極の一方が電圧源72hに接続され、もう一方は発光素子72gに接続される。
なお、増幅器72fのゲート電極にはサブスレッショルド電圧直前の電圧が電圧源72hにより印加された状態とする。
ここで、抵抗素子72dに赤外線が入射すると温度上昇により抵抗値が変化し、抵抗素子72dでの電圧低下の値が変化する。これにより増幅器72fのゲート電圧がサブスレッショルド電圧を超えると、ソース・ドレイン間が導通して発光素子72gに電流が流れる。これにより発光素子72gを発光させることができ、入射した赤外線等の電磁波を例えば波長400nm〜1000nmの電磁波に置換することができる。
また、入射する赤外線の強度に応じてゲート電圧が変化するので、発光素子72gには、赤外線の強度に応じて変化する電流が流れ込む。これにより、入射する赤外線の強度に対応して発光素子72gの発光輝度を制御することができる。
なお、入射する赤外線の強度に応じて抵抗が変化する受光抵抗72dの代わりに、赤外線の強度に応じて電荷や電圧を発生する起電素子によって構成してもよい。この場合には、図13Aに示すように、スペクトル置換部75を、赤外線等の電磁波を受光する受光起電層75bと、受光起電層75bの下層に配置される電気配線層75aと、電気配線層75aの下層に配置される発光層75cとによって構成する。
また、撮像素子76は、発光層75cによって発せられた光を受光する。
受光起電層75bは、矢印A4に示す例えば赤外線を吸収して温度が上昇することにより、電荷や電圧を生じる材料によって構成されている。この受光起電層75bもアレイ状に配置され、それぞれが一画素分の赤外線を吸収する。この受光起電層75bに用いる材料としては、例えばPZT、TGS、PVDF等の焦電材料を用いることができる。
また、電気配線層75aには、受光起電層75bに生じた電荷、電圧による信号を増幅し、発光素子75cの発光輝度を制御する回路構成が形成される。この発光層75cには、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を発光する有機ELや、無機EL、LED等を配置して用いることができる。
図13Bは、このスペクトル置換部75の一画素分の発光モデルを示す模式図である。ここでは、受光起電層に相当する起電素子75dと、電気配線層75aに相当する抵抗75e、増幅器75f及び電圧源75hと、発光層75cに相当する発光素子75gによって表記している。
起電素子75dに赤外線等の電磁波A5が入射し、温度が上昇すると、温度上昇に伴って例えば自発分極の値が変化し、表面電荷を生じる。この表面電荷によって生じる信号を増幅器75fによって増幅し、この信号に応じた例えば電流を発光素子75gに流すことで、発光素子75gの発光輝度を制御することができる。
9.第5の変形例
入射する電磁波エネルギを電圧エネルギに変換する方法としては、他にアンテナを用いることもできる。ここでは、アンテナにより電磁波を受信し、電圧エネルギへと変換することで撮像を行う方法について説明する。
図14は、第5の変形例に係る撮像デバイス900を示す概略構成図である。
本変形例による撮像デバイス900は、撮像対象からの電磁波を集光する集光部81と、集光部81によって集光された電磁波を異なる波長の電磁波に置換するスペクトル置換部82を備える。またさらに、本変形例による撮像デバイス900は、スペクトル置換部82によって置換された電磁波を集光する第2の集光部84と、第2の集光部84によって集光された電磁波を受光する撮像素子83を備える。
集光部81は、撮像対象からの例えばミリ波をスペクトル置換部82上に集光する。ミリ波を集光する集光部81としては、例えば誘電体レンズ等を用いることができる。
スペクトル置換部82は、集光部81によって集光された電磁波を受信する受信部82aと、受信部82によって受信された電磁波信号を検波する検波部82bを備える。またさらに、スペクトル置換部82は、検波部82bによって検出された電磁波信号を増幅する増幅部82cと、増幅された電波信号に応じて例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を発する発光層82dを備える。
受信部82aは、例えばミリ波を受信する広帯域アンテナがアレイ状に配列されることによって構成される。このアンテナとしては、例えば二次元アレイ状に配置する場合には、テーパードスロットアンテナ等を用いることができる。
検波部82bは、受信部82aのアンテナによってそれぞれ受信された例えばミリ波等の電磁波を検出する。この検波部82bには、例えばショットキーダイオード等を用いることができ、ショットキーダイオードの整流作用により、入射したミリ波の強度に応じた電圧信号に変換することができる。
また、増幅部82cは、検波部82bによって変換された電圧信号を増幅し、発光層82dに電圧を印加または電流を注入する。発光層82dは、例えば受信部82aのアンテナに対応してアレイ状に配置されるLEDや蛍光材料、燐光材料等の発光素子を用いることができる。また、こうしたLEDや蛍光材料、燐光材料には、波長400nm〜1000nmの電磁波を発するものを用いる。
これにより、発光層82dでは、増幅部82cによって増幅された電圧信号の強度に応じた輝度の分布を有する発光が行われる。
そして、発光層82dから発せられた例えば波長400nm〜1000nmの電磁波は、第2の集光部84によって集光され、撮像素子83上に結像する。
このように、本変形例では、例えばミリ波等の電磁波をアレイ状に並べたアンテナによって受信し、電圧等の電気信号へと変換する。そして、この電気信号によって例えばLED等の発光層82dを発光させることで、集光部81に入射した電磁波を波長400nm〜1000nmの電磁波に置換することができる。
このため、本変形例においても、撮像素子83には、一般的なCCD型やCMOS型等の撮像素子を用いることができる。したがって、ミリ波等の電磁波による撮像であっても、低コストに行うことができる。特に、ミリ波による撮像は、例えばコンクリート壁等の遮蔽物を透して内部を撮影することができるため、救助活動や非破壊検査等への応用が期待できる。
以上のように、第4及び第5の変形例においては、受光抵抗が受光した赤外線エネルギを電圧エネルギに置換することで発光素子を発光させ、可視光領域の電磁波を得る。この発光原理を上述の第4の実施の形態や第2〜第3の変形例と対応させると、図15のように図示できる。
図15Aは、第4の実施の形態において蛍光材料や燐光材料等の発光材料の発光に必要とするエネルギを表し、図15Bは、第2の変形例及び第3の変形例において発光材料が発光に必要とするエネルギを表す。また、図15Cは、本変形例において有機EL等の発光素子の発光に必要とするエネルギを表す。
また、線L1は、基底状態におけるエネルギ準位を示し、線L2は、励起直前のエネルギ準位を示す。また、線L3は、励起状態のエネルギ準位を示す。
第4の実施の形態では、矢印A4に示すように、LED等からの可視光エネルギによって発光材料を励起直前のエネルギ状態とした。そして、矢印A5に示す撮像対象からの赤外線エネルギによって発光材料を励起させる。これにより、矢印A10に示す励起状態と基底状態の差分のエネルギが可視光エネルギとなり発光する。
一方、図15Bに示す第2の変形例及び第3の変形例においては、発光材料に電圧を印加することで、矢印A6に示す電圧エネルギを与え、励起直前のエネルギ状態とした。なお、撮像対象からの赤外線エネルギによって最終的に発光材料を励起させ、発光させる点においては、第4の実施の形態と共通している。
これに対して第4の変形例(図13)では、まずトランジスタ等の増幅器がオンとなる直前の電圧を印加しておく。この電圧エネルギ状態は、図15Cの矢印A8に示すように、第4の実施の形態や第2及び第3の変形例における発光材料の励起直前のエネルギ状態に対応する。
そしてさらに第4の変形例では、撮像対象からの赤外線エネルギによって抵抗値を変化させることで、増幅器に印加される電圧を変化させる。これにより増幅器をオンとし、発光素子に電流を流すことで発光素子を発光させる。すなわち、撮像対象からの赤外線エネルギが置換されたこの電圧エネルギは、矢印A9に示すように、第2〜第3の変形例において、励起直前の発光材料を励起させるエネルギに対応する。
なお、第5の変形例(図14)では、ミリ波等の電磁波を検波部82bによって電圧信号等に変換して増幅し、発光層82dを発光させる。発光層82dにあらかじめバイアスを付加して励起直前状態のエネルギ状態としておき、検波部82bによって変換された電圧エネルギによって発光させてもよい。また、十分な感度が得られる場合には、バイアスを付加せず、増幅部82cでの増幅のみによって基底状態から励起状態までのエネルギを確保してもよい。
10.第5の実施の形態
図16は、第5の実施の形態による撮像デバイス1000を示す概略構成図である。
本実施の形態においては、スペクトル置換部によって、外部光源からの電磁波の光路を変更する例について以下に説明する。
本実施の形態による撮像デバイス1000は、レンズを含んで構成され、撮像対象からの電磁波を集光する集光部91を備える。
また、集光部91によって集光された電磁波の光路上に配置され、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を反射するスペクトル置換部92を備える。
また、集光部91とスペクトル置換部92の間に配置され、例えば赤外線を透過し、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を反射する波長選択膜94を備える。
また、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を、波長選択膜94を介して、スペクトル置換部92に照射する光源95を備える。
そしてさらに、スペクトル置換部92によって反射された、光源95からの電磁波を受光する撮像素子93を備える。
集光部91は、撮像対象からの例えば赤外線を集光し、結像させるものであれば特に限定しない。したがって、1枚レンズであってもよいし、2枚以上のレンズを含んで構成しても構わない。
集光部91を透過した例えば赤外線は、波長選択膜94を透過してスペクトル置換部92に入射する。
図16においては、波長選択膜94を集光部91のスペクトル置換部92側のレンズ面に形成する例としてあるが、透明薄板等に成膜し、集光部91とスペクトル置換部92の間に配置しても構わない。
スペクトル置換部92に入射した赤外線は、その強度に応じてスペクトル置換部92の温度を上昇させる。これにより、スペクトル置換部92には、入射する赤外線の強度分布に応じた温度分布が形成される。
なお、スペクトル置換部92は、例えばその法線方向が、集光部91の光軸方向と一致せず、例えば図16に示すように少し傾いて配置される。
一方、光源95からは、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波を波長選択膜94に照射する。波長選択膜94に照射された電磁波は、波長選択膜94によって反射され、スペクトル置換部92に入射する。
光源95には、例えばLED等を用いてもよい。また、拡散板96を配置することで、スペクトル置換部92に対して均一に光源95からの電磁波が照射されるようにしてもよい。
また、IRカットフィルタ等を配置して、光源95の電磁波から赤外線をカットするようにしてもよい。
図17A、Bは、図16におけるスペクトル置換部92の領域T2における断面を拡大した拡大断面図である。
図17Aに示すように、本実施の形態においてスペクトル置換部92は、例えば所定の線膨張係数を有する反射膜97と、反射膜97上に形成され、反射膜97とは異なる線膨張係数を有する薄膜98とによって構成される。
また、この反射膜97と薄膜98が重なった多層膜が、例えばアレイ状に配列された構成となっている。
スペクトル置換部92上において、赤外線の入射による温度の上昇が小さい箇所においては、反射膜97と薄膜98は変形しない。このとき、スペクトル置換部92に入射した光源95からの電磁波は、図16、図17Aに示す例えば矢印A13の方向に反射され、撮像素子93に受光されない。
これに対して、赤外線の入射による温度の上昇が所定の値を超える箇所においては、反射膜97と薄膜98の線膨張係数の違いによってバイメタル効果が生じる。このため、反射膜97と薄膜98による多層膜は、図17Bに示すように変形を生じる。この時、光源95からの電磁波は、例えば図16、図17Bに示す矢印A14の方向に反射方向が変わり、撮像素子93によって受光される。
すなわち、本実施の形態においては、スペクトル置換部92の温度変化によって、光源95からの電磁波の光路を制御する。温度変化が小さい箇所では、反射された光が撮像素子に受光されず、所定の温度変化以上の箇所では、膜の変形により光路が変わり、撮像素子93によって受光される。
したがって、撮像素子93では、例えば光の受光があるかないかによって2階調の画像を取得することができる。
また、スペクトル置換部92と撮像素子93の間にレンズを配置し、撮像素子93によって受光される電磁波を集光するようにしてもよい。
反射膜97としては、例えば反射率の高いAgやAl、これらの合金等による薄膜を用いることができる。また、薄膜98には、反射膜97と線膨張係数が異なり、温度の上昇によって変形を生じさせるものであれば特に限定しない。したがって、金属材料でもよいし、PCやPETといった樹脂材料でもよい。
このように、本実施の形態においては、集光部91によって集光された赤外線の強度分布を、スペクトル置換部92上において温度分布へと変換する。
そしてさらに、所定の値以上の温度が上昇した箇所においては、バイメタル効果による薄膜の変形によって、光源95からの電磁波を反射する方向が変化し、撮像素子93上へ光源95からの電磁波を導く。これにより、スペクトル置換部92上における温度分布は、撮像素子93上における輝度分布へと変換する。
したがって、集光部91によって集光された撮像対象からの赤外線は、光源95からの電磁波によって置換される。このため、撮像素子93では、波長400nm〜1000nmの電磁波を受光すればよいので、例えばCCD型撮像素子や、CMOS型撮像素子といった一般的な撮像素子を用いることが可能となる。
このため、従来のように複雑な構造を有する赤外線専用の撮像素子を製造する必要がなくなり、コストを低減することができる。
11.第6の実施の形態
次に、これまでに説明した撮像デバイスを電子機器に適用する例について、図18を用いて以下に示す。
図18は、本実施の形態による撮像装置1100の構成を示す概略構成図である。本実施の形態による撮像装置1100は、撮像対象からの電磁波を集光する集光部1101と、集光部1101によって集光された電磁波を受光する撮像デバイス1102を備える。
また、撮像デバイス1102の動作を制御する制御部1103と、撮像デバイス1102からの出力信号を処理する信号処理回路1104を備える。
集光部1101は、撮像対象からの電磁波、例えば赤外線等を集光し、結像させるものであれば、特に限定しない。1枚レンズであってよいし、2枚以上のレンズを含んで構成してもよい。
集光部1101によって集光された赤外線は、撮像デバイス1102によって受光され、撮像対象の画像が取得される。この撮像デバイス1102には、第1〜第5の実施の形態及び第1〜第5の変形例(図1、3、4、5、7、8、9、11、14、16)において示した撮像デバイス100〜1000を用いることができる。
したがって、本実施の形態による撮像装置1100では、集光部1101によって集光された赤外線は、撮像デバイス1102のスペクトル置換部によって、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波に変換、または置換される。
そして、この変換、または置換された電磁波は、例えばCCD型やCMOS型の撮像素子によって受光され、画像データを形成する。
また、撮像デバイス1102が、例えば波長400nm〜1000nmの電磁波をスペクトル置換部に照射する光源を有している場合、制御部1103はこの光源の駆動も行うようにしてもよい。
また、信号処理回路1104は、撮像デバイス1102の撮像素子からの出力信号に対して例えば相関二重サンプリング等の信号処理を行い、例えばメモリ等の記録媒体に記録したり、液晶ディスプレイ等のモニタへと出力する。
このように、本実施の形態による撮像装置1100では、撮像対象からの赤外線等の電磁波を例えば波長400nm〜1000nmの電磁波に変換、又は置換する。このため、CCD型やCMOS型のような一般的な撮像素子によって例えば赤外線画像を取得できる。
したがって、従来の赤外線撮像装置のように、赤外線専用の複雑な構成をした撮像素子を用いる必要がなく、製造コストを大幅に低減することが可能となる。
またこれにより、より安価な値段で赤外線撮像装置を提供できるので、民生用への普及を促進することができる。
以上、本発明による撮像デバイス及び撮像装置の実施の形態について説明した。本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、なお考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。
1,11,21,31,41,51,61,71,81,91,1101・・・集光部、2・・・スペクトル変換部、3,13,23,33,43,53,63,73,76,83,93・・・撮像素子、12,22,32,42,52,62,72,75,92・・・スペクトル置換部、14,34,44,54,64,74,94・・・波長選択膜、15,25,35,45,55,95・・・光源、16,26,46,56,96・・・拡散板、37,38,97,98・・・薄膜、57,84・・・第2の集光部、92,100,200,300,400,500,700,800,900,1000,1102・・・撮像デバイス、62a・・・発光素子、62b,62c・・・電極、62d,72h,75h・・・電圧源、72a,75a・・・電気配線層、72b・・・受光抵抗層、72c,75c,82d・・・発光層、72d・・・抵抗素子、72e、75e・・・抵抗、72f,75f・・・増幅器、72g,75g・・・発光素子、75b・・・受光起電層、75d・・・起電素子、82a・・・受信部、82b・・・検波部、82c・・・増幅部、600・・・スペクトル置換デバイス、1103・・・制御部、1104・・・信号処理回路、1100・・・撮像装置

Claims (20)

  1. 撮像対象から入射する第1の波長の電磁波を、前記第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に変換するスペクトル変換手段と、
    前記第1の波長よりも前記第2の波長に対する感度が高く、前記スペクトル変換手段によって波長の変換された前記第2の波長の電磁波を受光する撮像素子と、
    を備えた
    撮像デバイス。
  2. 前記スペクトル変換手段は、波長1.1μm〜30μmの電磁波を、波長400nm〜1000nmの電磁波に変換する請求項1に記載の撮像デバイス。
  3. 前記スペクトル変換手段は、非線形光学結晶によって構成され、入射する電磁波の波長を1/8〜1/64に変換する請求項2に記載の撮像デバイス。
  4. 前記非線形光学結晶は、KTP、CLBO、LBO、BBO、DAST、LiNbO、MgO:LiNbO、AgGaS、LiTaOのいずれかによって構成される請求項3に記載の撮像デバイス。
  5. 撮像対象から入射する第1の波長の電磁波を、前記第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に置換するスペクトル置換手段と、
    前記第1の波長よりも前記第2の波長に対する感度が高く、前記スペクトル置換手段によって置換された前記第2の波長の電磁波を受光する撮像素子と、
    を備えた
    撮像デバイス。
  6. 前記スペクトル置換手段は、互いに線膨張係数の異なる薄膜を重ねた多層膜をアレイ状に配列することで構成される請求項5に記載の撮像デバイス。
  7. さらに、前記スペクトル置換手段に波長400nm〜1000nmの電磁波を照射する光源を備えた請求項5に記載の撮像デバイス。
  8. 前記スペクトル置換手段は、温度の変化によって波長400nm〜1000nmの電磁波に対する透過率が制御される温度依存性透過膜である請求項7に記載の撮像デバイス。
  9. 前記温度依存性透過膜は、二酸化バナジウム系サーモクロミック材料及び酸化チタン系光触媒薄膜の多層構造、または銀粒子薄膜によって構成される請求項8に記載の撮像デバイス。
  10. 前記スペクトル置換手段は、波長400nm〜1000nmの電磁波に対する反射膜と、前記反射膜と線膨張係数の異なる薄膜の多層膜をアレイ状に配置することで構成される請求項7に記載の撮像デバイス。
  11. さらに、入射した前記第1の波長の電磁波とは異なる波長の電磁波を前記スペクトル置換手段に照射する光源を備え、前記スペクトル置換手段は、蛍光を生じる蛍光材料または燐光を生じる燐光材料によって構成される請求項5に記載の撮像デバイス。
  12. 前記蛍光材料は、ローダミン6Gである請求項11に記載の撮像デバイス。
  13. 前記スペクトル置換手段は、蛍光を生じる蛍光材料または燐光を生じる燐光材料と、前記蛍光材料または前記燐光材料に電圧を印加する電圧源により構成される請求項5に記載の撮像デバイス。
  14. 前記スペクトル置換手段は、発光素子と、温度の上昇により抵抗値が変化する抵抗素子と、前記抵抗値の変化により前記発光素子の発光輝度を制御する増幅器を備える請求項5に記載の撮像デバイス。
  15. 前記スペクトル置換手段は、発光素子と、温度の上昇により電荷または電圧を生じる起電素子と、前記電荷または電圧の変化により前記発光素子の発光輝度を制御する増幅器を備える請求項5に記載の撮像デバイス。
  16. 前記スペクトル置換手段は、入射した電磁波を受信する受信部と、前記受信部によって受信された電磁波を検出する検波部と、前記検波部によって検出した信号を増幅する増幅部と、前記増幅部により増幅された信号により、前記入射した電磁波とは異なる波長の電磁波を発する発光素子を備える請求項5に記載の撮像デバイス。
  17. 前記受信部は、アレイ状に配置されたアンテナによって構成される請求項16に記載の撮像デバイス。
  18. 撮像対象からの第1の波長の電磁波を集光する集光部と、
    前記集光部によって集光された前記第1の波長の電磁波を、前記第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に変換するスペクトル変換手段と、前記第1の波長よりも前記第2の波長に対する感度が高く、前記スペクトル変換手段によって波長の変換された前記第2の波長の電磁波を受光する撮像素子と、を備えた撮像デバイスと、
    前記撮像素子より出力された電荷を制御する制御部と、
    前記撮像素子からの出力信号を処理する処理信号回路と、
    を備えた
    撮像装置。
  19. 撮像対象からの第1の波長の電磁波を集光する集光部と、
    前記集光部によって集光された前記第1の波長の電磁波を、前記第1の波長と異なる第2の波長の電磁波に置換するスペクトル変換手段と、前記第1の波長よりも前記第2の波長に対する感度が高く、前記スペクトル変換手段によって置換された前記第2の波長の電磁波を受光する撮像素子と、を備えた撮像デバイスと、
    前記撮像素子より出力された電荷を制御する制御部と、
    前記撮像素子からの出力信号を処理する処理信号回路と、
    を備えた
    撮像装置。
  20. 撮像対象からの電磁波を集光する集光部と、
    前記集光された電磁波を、異なる波長の電磁波に変換するスペクトル置換手段と、
    前記スペクトル置換手段に前記集光された電磁波とは異なる波長の電磁波を照射する光源と、
    を含む
    スペクトル置換デバイス。
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