JP2011162535A - スルフィド構造を有する優れたゴム特性を与える含硫黄有機珪素生成物 - Google Patents

スルフィド構造を有する優れたゴム特性を与える含硫黄有機珪素生成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ジエン系ゴムとシリカを含むゴム配合物において配合物の粘度および加硫物の損失正接を低減し、更に動的弾性率の低減は少ないゴム特性を与える含硫黄有機珪素生成物を提供する。
【解決手段】不活性ガス雰囲気下・極性溶媒中にて、無水硫化アルカリと、ハロゲノアルキルアルコキシ(アルキル)シランとおよびハロゲノトリアジントリオンを反応させることにより得られる含硫黄珪素生成物。
【効果】ジエン系ゴムとシリカを含むゴム配合物に優れた特性を与える。
【選択図】なし

Description

本発明は新規なスルフィド構造を有する優れたゴム特性を与える含硫黄有機珪素生成物に関する。
含硫黄有機珪素化合物は、古くから知られている産業上有用な化合物であり、(特許文献1参照)省燃費タイヤとしてシリカ配合に用いられている。
シリカ配合ゴムは、シリカ表面のシラノール基の相互作用により、コンパウンドの高粘度化、損失正接・動的弾性率の増大が著しい。そこで有機珪素化合物、いわゆるシランカップリング剤を配合することによりシラノール基との反応により、シラノール基の相互作用を少なくし、更に含硫黄有機珪素化合物であるため、ジエン系ゴムとも反応し、シリカ配合ゴムの損失正接および動的弾性率を低減する。
従来の含硫黄有機珪素化合物は、ゴムおよびシリカと反応し、損失正接を低減するため、タイヤのトレッド配合として用いた場合、転がり抵抗が低減し、省燃費タイヤとなる。しかし損失正接の低減とともに動的弾性率も低減させるため、ゴム硬度も低くなり、タイヤとした場合には走行安定性が悪くなる。またシリカ配合ゴム組成物の粘度低下が充分でなく、混練り時の焼け現象を回避するために2度練、3度練が行われ、作業性が悪かった。
特開昭48−29726
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、ジエン系ゴムとシリカを含むゴム配合物において配合物の粘度および加硫物の損失正接を低減し、更に動的弾性率の低減は少ないゴム特性を与える含硫黄有機珪素生成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(I)で示される無水硫化アルカリ、下記一般式(II)で示されるハロゲノアルコキシ(アルキル)シランおよび下記一般式(III)で示されるハロゲノトリアジントリオンの反応により、得られる生成物がジエン系ゴムとシリカを含むゴム配合物に優れた特性を与えることを見出し本発明に至った。
Figure 2011162535
(式中、Meは、ナトリウムあるいはカリウムを示し、mは1〜12の整数である。)
Figure 2011162535
(式中、R1は炭素数1〜16の一価の炭化水素基、R2 は炭素数1〜10の二価の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは2〜3、mは1〜3の整数である)
Figure 2011162535
(式中にて、示されるYはハロゲン原子又はアルカリ金属であり、Yで示される少なくとも一つはハロゲン原子である。)
また、本発明は該含硫黄有機珪素生成物と不飽和結合を有するゴム成分を含有したゴム配合物であり、不飽和結合を有するゴム成分が天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムから選択されるジエン系ゴムであることが好ましい。更に該ゴム配合物には不飽和結合を有するゴム成分100重量部に対して、充填剤を5〜120重量部、加硫剤を0.1〜10重量部含有することができ、充填剤100重量部に対して、本発明の含硫黄珪素生成物を0.2〜50重量部を配合することが好ましい。
また、本発明は該ゴム配合物を加硫してなる加硫物であり、加硫物はタイヤ等に用いることができる。
本発明によれば、不飽和結合を有する合成ゴムまたは天然ゴムなどにシリカ、クレー、タルクなどの充填剤や表面改質カーボンブラックなどの充填剤と配合され、タイヤのトレッドに有用である同ゴム配合物の粘度および損失正接を低減し、また従来の含硫黄有機珪素化合物では為し得ない、動的弾性率の低減が少ないゴム特性を与え、省燃費と走行安定性を兼ね備えた優れた特性を付与できる。また、本発明の加硫物は良好な圧縮歪性を有する点でも好ましい。
含硫黄有機珪素生成物
以下、本発明の含硫黄有機珪素生成物について詳細に説明する。本発明の含硫黄有機珪素生成物は、不活性ガス雰囲気下において、極性溶媒中で一般式(I)に示される無水硫化アルカリと一般式(II)に示されるアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲン、一般式(III)に示されるハロゲノトリアジントリオンを反応させて得られる。
無水硫化アルカリ
本発明で用いられる無水硫化アルカリは下記一般式(I)に示される。
Figure 2011162535
(式中、Meは、ナトリウムあるいはカリウムを示し、mは1〜12の整数である。)
上記に示される硫化アルカリは、吸湿性が高いため、無水化するための処理がなされた硫化アルカリが好ましい。硫化アルカリの無水化には、加温減圧処理、不活性ガス雰囲気下における非水溶媒と水との共沸による留去あるいは高周波加熱などが挙げられるが、実質的に無水化されれば、本含硫黄有機珪素生成物の製造に使用することができる。
アルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲン
本発明で用いられるアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲンは下記一般式(II)に示される。
Figure 2011162535
(上記式中、R1は炭素数1〜16の一価の炭化水素基、R2 は炭素数1〜10の二価の炭化水素基、Xはハロゲン原子、n は2〜3、mは1〜3の整数である。)
本発明で用いられるアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲンを具体的に例示すると、1−クロロメチルトリメトキシシラン、1−クロロメチルトリエトキシシラン、1−クロロメチルジメチルメトキシシラン、1−クロロメチルメチルジエトキシシラン、1−クロロメチルジメチルメトキシシラン、1−クロロメチルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、1−ブロモメチルトリメトキシシラン、1−ブロモメチルトリエトキシシラン、1−ブロモメチルメチルジメトキシシラン、1−ブロモメチルメチルジエトキシシラン、1−ブロモメチルジメチルメトキシシラン、1−ブロモメチルジメチルエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジエトキシシラン、3−ブロモプロピルジメチルエトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルトリオクトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジオクトキシシシラン、3−クロロプロピルトリヘキサオキシシラン、3−クロロプロピルメチルジヘキサオキシシシラン、3−クロロプロピルドトリデカオキシシラン、3−クロロプロピルメチルデカオキシシラン、3−クロロプロピルトリオクタデカオキシシラン、3−クロロプロピルメチルジオクタデカオキシシラン、3−クロロプロピルエトキシジエチレングリコキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエチレングリコキシシランである。中でも特に、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどが、コストが低い点で工業的に好ましい。
ハロゲノトリアジントリオン
本発明で用いられるハロゲノトリアジントリオンは下記一般式(III)に示される。
Figure 2011162535
(式中にて、示されるYはハロゲン原子又はアルカリ金属であり、Yで示される少なくとも一つはハロゲン原子である。)
本発明で用いられるハロゲノトリアジントリオンを具体的に例示すると、ハロゲノトリアジントリオンとは、トリクロロイソシアヌル酸(1,3,5−トリクロロ-1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(1,3−ジクロロ-1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンナトリウム塩)、ジクロロイソシアヌル酸カリウム(1,3−ジクロロ-1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンカリウム塩)である。中でも特に、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(1,3−ジクロロ-1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンナトリウム塩)が好ましい。
一般式(II)に示されるアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲン及び一般式(III)に示されるハロゲノトリアジントリオンは、両者の合計使用量が無水硫化アルカリのアルカリ金属元素(Me)単位(mol換算)と一般式(II)に示されるアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲン及び一般式(III)に示されるハロゲノトリアジントリオンのハロゲン原子(Hal)単位(mol換算)から計算されるMe/Halが0.8〜4となるように使用することが好ましく、1〜3となるように使用することが好ましい。
また、一般式(II)に示されるアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲン及び一般式(III)に示されるハロゲノトリアジントリオンは、アルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲンのハロゲン原子(Hal)単位(mol換算)と一般式(III)に示されるハロゲノトリアジントリオンのハロゲン原子(Hal)単位(mol換算)との比が2:8〜8:2であることが好ましく、7:3〜3:7であることがより好ましい。
本発明の含硫黄有機珪素生成物の合成は不活性ガス雰囲気下で行われ、使用される不活性ガスとしては窒素ガス、アルゴンガスなどを例示することができる。
本発明の含硫黄有機珪素生成物の合成は極性溶媒中で行われるが、使用される極性溶媒としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる1種又は2種以上を例示することができ、ジメチルホルムアミド及び/又はアルコール類が好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノールを例示することができ、エタノールが好ましい。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンを例示することができる。
一般式(I)で示される無水硫化アルカリ、一般式(II)で示されるハロゲノアルコキシ(アルキル)シランおよび一般式(III)で示されるハロゲノトリアジントリオンの反応温度は10〜120℃であることが好ましく、20〜100℃であることがより好ましい。使用する溶媒によっては上記の温度範囲で溶媒が環流する温度が好ましい。
一般式(I)で示される無水硫化アルカリ、一般式(II)で示されるハロゲノアルコキシ(アルキル)シランおよび一般式(III)で示されるハロゲノトリアジントリオンの反応時間は30分から6時間が好ましい。
本発明の実施態様としては、ガスクロマトグラフにてアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲンの反応を確認する、使用したハロゲノトリアジントリオンの形態を確認しながら反応させることが挙げられる。反応に使用されたアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲンの量は、反応初期のアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲン/溶媒のエリア比と比較することにより確認することができる。具体的には反応に使用されたアルコキシ(アルキル)シリルアルキルハロゲンの量が95%以上で、かつ使用したハロゲノトリアジントリオンの初期形態である粒状ないしは粉状形態が崩れて微細なスラリー状になった後に、更に30分から1時間反応させることが好ましい。
本発明の含硫黄有機珪素生成物については、未反応の硫化アルカリやハロゲノトリアジントリオン等の固形物を除去するために濾過、反応に用いた極性溶媒の留去等の処理を行ってもよい。
ゴム配合組成物
本発明の含硫黄有機珪素生成物と不飽和結合を有するゴム成分を含有したゴム配合組成物について説明する。
本発明で用いる不飽和結合を有するゴム成分としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、各種スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、各種アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴムや各種エチレンプロピレン共重合体ゴムなどを単独または、任意にブレンドして使用することができる。
ゴム配合組成物に用いられる加硫剤は、硫黄、パーオキサイド、チウラム類、オキシム類等の加硫剤を例示することができるが、これらに限定されるものではない。上記加硫剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部含有することが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。
ゴム配合組成物には充填剤としてクレー、タルクや表面改質カーボンブラックなども用いられ、ゴム配合に多用されるカーボンブラックや炭酸カルシウムなどの充填剤との併用も可能である。上記充填剤の配合量はジエン系ゴム100重量部に対して、5〜120重量部含有することが好ましく、20〜100重量部であることがより好ましい。
本発明の含硫黄有機珪素生成物の配合量は、シリカ、クレー、タルクや表面改質カーボンブラックなどの充填剤100重量部に対し0.2〜30重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。
本発明の含硫黄有機珪素混合物を使用するゴム配合組成物には、ゴム配合に一般に使用される各種、加工助剤、酸化防止剤、軟化剤、可塑剤、加硫促進剤は、必要に応じては配合することができる。
また、本発明のゴム配合組成物には、他のシランカップリング剤との併用使用も可能であり、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルエトキシシラン、ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド、ビス−トリエトキシシリルプロピルジスルフィドなどを挙げることができる。
本発明のゴム配合組成物の製造には、80〜200℃で混練することが好ましく、100〜180℃で混練することがより好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。本発明のゴム配合組成物の混練は、通常ゴム工業にて使用されるロール、加圧ニーダー、インターミキサー、バンバリーミキサーなどの各種混合機械を用いることができる。
本発明のゴム配合組成物を加硫してなる加硫物は、上述の加硫用ゴム組成物を押出成形機、カレンダーロール、またはプレスにより意図する形状に成形し、好ましくは130〜230℃で、1分〜3時間加熱して得ることができる。また、加硫の際には金型を用いても良い。
以下、含硫黄有機珪素化合物の実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
比較合成例1
200mlの三口フラスコに硫黄連鎖が2.7になるように調整した無水多硫化ソーダ21.2g(0.160モル)、脱水したエタノール107gおよびクロロプロピルトリエトキシシラン(CPTESと略す)34.9g(0.145モル)を添加して窒素雰囲気下で混合した。70℃のオイルバスに浸漬し、15分後、オイルバスの温度を90℃にし昇温し攪拌を続けた。3時間後にはCPTESは97.5%消費されていた。エタノールを留去し、ろ過後、黄橙色の透明な液体の含硫黄有機珪素生成物を35.6g得た。
比較合成例2
200mlの三口フラスコに硫黄連鎖が2.7になるように調整した無水多硫化ソーダ21.1g(0.159モル)、脱水したエタノール107gおよび塩化シアヌル8.8g(0.048モル)を窒素雰囲気下で混合した。10分間攪拌後、70℃のオイルバスに浸漬し、15分後、クロロプロピルトリエトキシシラン(CPTESと略す)26.5g(0.11モル)を添加し、オイルバスの温度を90℃にし昇温し攪拌を続けた。3時間後にはCPTESは97%消費されていた。エタノールを留去、ろ過後、黄橙色の透明な液体の含硫黄有機珪素生成物を26.9g得た。
実施合成例1
200mlの三口フラスコに硫黄連鎖が2.7になるように調整した無水多硫化ソーダ24.7g(0.187モル)、脱水したエタノール105gおよびトリクロロイソシアヌル酸11.1g(0.048モル)を窒素雰囲気下で混合した。40分間攪拌後、70℃のオイルバスに浸漬し、50分後、CPTES26.5g(0.11モル)を添加し、オイルバスの温度を90℃にし昇温し攪拌を続けた。4時間後にはCPTESは99.9%消費されていた。エタノールを留去、ろ過後、赤褐色の液体の含硫黄有機珪素生成物を29.4g得た。
実施合成例2
200mlの三口フラスコに硫黄連鎖が2.7になるように調整した無水多硫化ソーダ24.7g(0.187モル)、脱水したエタノール105g、およびジクロロイソシアヌル酸ナトリウム16.1g(0.073モル)を窒素雰囲気下で混合した。40分間攪拌後、90℃のオイルバスに浸漬し、90分後、オイルバス温度を85℃としCPTES26.5g(0.11モル)を添加し、3時間後にはCPTESは99.9%消費されていた。エタノールを留去、ろ過後、濃黒赤褐色の液体の含硫黄有機珪素混合物を28.3g得た。
配合剤及び配合量は表1で示される配合により行った。尚、単位はエトキシ当量(単位はmol)を除き重量部とする。
以下に実施例、比較例で用いた配合剤を示す。
※1 JSR株式会社製 「S−SBR SL552」
※2 JSR株式会社製 「BR−01」
※3 東ソー・シリカ株式会社製 「VN−3」
※4 日本サンオイル株式会社製 「サンセン415」
※5 大内新興化学株式会社製 「ノクラックPA」
※6 大内新興化学株式会社製「ノクセラーD」
※7 大内新興化学株式会社製「ノクセラーCZ」
Figure 2011162535
(A練方法)
1.7Lのバンバリーミキサーにて、A練り配合のスチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムを室温で3分間素練後、シリカの1/4および他の配合剤を添加し5分間混練後、残りのシリカ1/4を添加し、3分間混練後、残りのシリカを添加し、3分間混練、クリーンナップ後、更に3分間混練後、12インチロールに落とし冷却した。
(含硫黄有機珪素合物および含硫黄有機珪素混合物の添加)
上記のA練り配合物を100℃の7インチロールで4分間混練後、表1で示される含硫黄有機珪素化合物および含硫黄有機珪素生成物を添加し、6分間混練し翌日のB練配合に供した。なお、有機珪素化合物の添加部数は、比較合成例1のエトキシ当量を基準に調整した。
(B練方法)
上記で得られた配合物を40℃の7インチロールにてB練り配合により6分間混練後、以下の試験に供した。
実施例、比較例におけるゴムの性能評価は下記の項目について行い、結果は表2に示す。
(ムーニスコーチ試験)
島津製作所製SMV−201を用い、JIS K6300−1に従い100℃で測定した。
(引張り試験)
前記で作製したB練りコンパウンドをシート化したものを160℃で20分間プレス加硫して得られた加硫シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ORIENTEC社製「TENSILON RTA−500」を用いて、JIS K6251に準拠して引張り試験を行った。
(硬度試験)
前記で作製したB練りコンパウンドをシート化したものを160℃で20分間プレス加硫し得られた加硫シートを用い、JIS K6253に準拠して測定した。
(粘弾性特性試験)
前記で作製したB練りコンパウンドをシート化したものを160℃で20分間プレス加硫し得られた加硫シートから幅4×長さ40×厚み2mmの試験片を打ち抜き、セイコーインスツル株式会社製DMS6100にて、初期荷重1000mN、引張歪10μm、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は−20℃〜80℃とし、2℃/分の速度で昇温した。
(圧縮永久歪み試験)
前記で作製したB練りコンパウンドを、試験片作製用金型を用いて170℃で20分間プレス加硫して円柱状加硫ゴム試験片(厚さ約12.5mm×直径約29mm)を得た。得られたゴム試験片を用いてJIS K6262に準拠して圧縮永久歪みを測定した。
Figure 2011162535
(ゴム特性と得られる特性の関係)
:ムーニー粘度が低いと加工性が良くなり、バンバリーミキサーなどでの混練時発熱が少なくなり、練りのエネルギーが少なくて済み、2度練、3度練の必要が無くなる。
:60℃の損失正接が小さいと低転がり性を示し低燃費なタイヤ配合になる。
:30℃の動的弾性率が大きいと走行時のタイヤのヘタリが少なく,良好な走行安定性が得られる。
:圧縮永久歪が小さいと優れたゴム弾性を示し、耐久性に優れたゴムになる。
一般式(I)で示される無水硫化アルカリ、一般式(II)で示されるハロゲノアルキルアルコキシシランを一般式(III)で示されるハロゲノトリアジントリオン存在下に混合し反応させることにより得られる含硫黄珪素生成物(実施合成例1〜2)を用いた実施例1〜3は、一般式(I)で示される無水硫化アルカリと一般式(II)で示されるハロゲノアルキルアルコキシシラン反応させて得られる含硫黄珪素化合物(比較合成例1)を用いた比較例1〜2、一般式(I)で示される無水硫化アルカリ、一般式(II)で示されるハロゲノアルキルアルコキシシランを塩化シアヌル存在下に混合し反応させることにより得られる含硫黄珪素生成物(比較合成例2)を用いた比較例3と比較して、その配合物は非常にムーニー粘度が低く加工性が非常に優れており、その加硫物は60℃の損失正接は小さくなる一方、30℃の動的弾性率は大きく、良好なタイヤトレッド特性を与え、優れた圧縮永久歪性を有していることが分かる。
本発明により、得られるポリスルフィド構造を有する含硫黄有機珪素混合物は、不飽和結合を持つ合成ゴムまたは天然ゴムと、同ゴムに配合されたシリカ、クレー、タルクなどの白色充填剤や表面改質カーボンブラックなどの充填剤を結合させる物質として用いられる。
既存のポリスルフィド構造を有する含硫黄有機珪素化合物では損失正接の低下と共に動的弾性率も低下するが、本発明で得られる含硫黄有機珪素混合物は、著しい動的弾性率の低下無しに損失正接が低下するゴム組成物を与え、また加工性に優れ、良好な圧縮永久歪性および損失正接を持つゴム組成物を与える。

Claims (14)

  1. 不活性ガス雰囲気下・極性溶媒中にて、下記一般式(I)で示される無水硫化アルカリと、下記一般式(II)で示されるハロゲノアルキルアルコキシ(アルキル)シランとおよび下記一般式(III)で示されるハロゲノトリアジントリオンを反応させることにより得られる含硫黄珪素生成物。
    Figure 2011162535
    (式中、Meは、ナトリウムあるいはカリウムを示し、mは1〜12の整数である。)
    Figure 2011162535
    (式中、R1は炭素数1〜16の一価の炭化水素基、R2 は炭素数1〜10の二価の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは2〜3、mは1〜3の整数である)
    Figure 2011162535
    (式中にて、示されるYはハロゲン原子又はアルカリ金属であり、Yで示される少なくとも一つはハロゲン原子である。)
  2. 一般式(I)で示される無水硫化アルカリは加温減圧処理、不活性ガス雰囲気下における非水溶媒と水との共沸による留去あるいは高周波加熱から選択される無水化処理がなされた無水硫化ナトリウム、無水硫化カリウムである請求項1記載の含硫黄珪素生成物。
  3. 一般式(II)で示されるハロゲノアルキルアルコキシ(アルキル)シランは、1−クロロメチルトリメトキシシラン、1−クロロメチルトリエトキシシラン、1−クロロメチルジメチルメトキシシラン、1−クロロメチルメチルジエトキシシラン、1−クロロメチルジメチルメトキシシラン、1−クロロメチルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、1−ブロモメチルトリメトキシシラン、1−ブロモメチルトリエトキシシラン、1−ブロモメチルメチルジメトキシシラン、1−ブロモメチルメチルジエトキシシラン、1−ブロモメチルジメチルメトキシシラン、1−ブロモメチルジメチルエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジエトキシシラン、3−ブロモプロピルジメチルエトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルトリオクトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジオクトキシシシラン、3−クロロプロピルトリヘキサオキシシラン、3−クロロプロピルメチルジヘキサオキシシシラン、3−クロロプロピルドトリデカオキシシラン、3−クロロプロピルメチルデカオキシシラン、3−クロロプロピルトリオクタデカオキシシラン、3−クロロプロピルメチルジオクタデカオキシシラン、3−クロロプロピルエトキシジエチレングリコキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエチレングリコキシシランである請求項1又は2に記載の含硫黄珪素生成物。
  4. 一般式(III)で示されるハロゲノトリアジントリオンは、トリクロロイソシアヌル酸(1,3,5−トリクロロ-1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン))、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(1,3−ジクロロ-1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンナトリウム塩)である請求項1〜3いずれかに記載の含硫黄珪素生成物。
  5. 極性溶媒がアルコール類、エーテル類、ケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4いずれかに記載の含硫黄珪素生成物。
  6. アルコール類がメタノール、エタノール、プロパノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項5記載の含硫黄珪素生成物。
  7. エーテル類がテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項5記載の含硫黄珪素生成物。
  8. ケトン類がアセトンおよび/又はメチルエチルケトンである請求項5記載の含硫黄珪素生成物。
  9. 請求項1〜8記載の含硫黄珪素生成物と不飽和結合を有するゴム成分を含有したゴム配合組成物。
  10. 不飽和結合を有するゴム成分が天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムから選択されるジエン系ゴムである請求項9記載のゴム配合組成物。
  11. 不飽和結合を有するゴム成分100重量部に対して、充填剤を5〜120重量部、加硫剤を0.1〜10重量部含有することを特徴とする請求項9又は10記載のゴム配合組成物。
  12. 充填剤100重量部に対して、請求項1〜8記載の含硫黄珪素生成物を0.2〜50重量部を特徴とする請求項11記載のゴム配合組成物。
  13. 請求項9〜12記載のゴム配合組成物を加硫してなる加硫物。
  14. 請求項13記載の加硫物からなるタイヤ。
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