JP2011162473A - 刺激応答性化合物、アクチュエータおよび刺激応答性化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、前記第1のユニットBに結合した第1のユニットCと、前記第2のユニットBに結合した第2のユニットCと有し、前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは、酸化還元反応によって結合するものであり、前記第1のユニットCおよび第2のユニットCは、液晶性を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
このような小型のアクチュエータは、小型であるとともに、低電圧で駆動することが求められている。このような低電圧化を実現するために種々の試みが行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のアクチュエータでは、駆動電圧を十分に低くすることができておらず、所望の変形をさせるのに高い電圧が必要であった。
本発明の刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
前記第1のユニットBに結合した第1のユニットCと、
前記第2のユニットBに結合した第2のユニットCと、
を有し、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは、酸化還元反応によって結合するものであり、
前記第1のユニットCおよび第2のユニットCは、液晶性を有することを特徴とする。
これにより、低い電圧で変形することが可能な刺激応答性化合物を提供することができる。
前記複数の環構造うちの1つ環構造にハロゲン原子が1つ以上結合していることが好ましい。
これにより、ユニットCの配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、刺激応答性化合物は、より速くかつより円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で駆動するものとなる。
これにより、より分子鎖の長い刺激応答性化合物を形成することができる。
本発明の刺激応答性化合物では、前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCの前記重合性官能基によって重合していることが好ましい。
これにより、分子の変形(変位)の度合いを大きくすることができ、より、強い力で駆動させることが可能となる。
これにより、低い電圧で変形することが可能なアクチュエータを提供することができる。
本発明の刺激応答性化合物の製造方法は、回転軸として機能する結合を有するユニットAの第1の結合部位に第1のユニットBが配置され、前記ユニットAの第2の結合部位に第2のユニットBが配置された化合物を合成する工程と、
前記第1のユニットBおよび前記第2のユニットBに結合する液晶性を有するユニットCを合成する工程と、
前記第1のユニットBおよび前記第2のユニットBに前記ユニットCを結合させる工程と、
を含み、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは酸化還元反応により結合することを特徴とする。
これにより、低い電圧で変形することが可能な刺激応答性化合物を提供することができる。
《刺激応答性化合物》
まず、本発明の刺激応答性化合物の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1、図2は、本発明の刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。図1、図2中、○は官能基を意味し、線は結合を意味する。
刺激応答性化合物は、刺激によって、分子の形状を変形(変位)させる機能を有する化合物のことを指し、具体的には、アクチュエータやマイクロポンプ等の駆動部を構成する化合物である。
ユニットAとしては、例えば、2つの芳香環が結合した基を用いることができるが、中でも、下記式(1)から(3)なる群から選択される1種の基であるのが好ましい。このような基をユニットAとして用いることにより、刺激応答性化合物は、より円滑な変形(変位)が可能となり、より低電圧で駆動するものとなる。
また、ユニットBは、ユニットB同士で酸化還元反応によって結合を形成する基である(図1(b)参照)。言い換えると、外部から電子の受け取る(還元される)ことによって結合を形成する基である。また、外部に電子を放出する(酸化される)ことで結合を解除する基である。
ユニットCとしては、特に、複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合した基を用いるのが好ましい。これにより、ユニットCの配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、刺激応答性化合物は、より速くかつやり円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で駆動するものとなる。
ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)の具体例としては、以下のようなものが挙げることができる。
すなわち、電圧を印加する前(酸化還元反応が進行する前)は、図2(a)に示すように、長い分子が伸びた状態で存在している。そこへ電圧を印加すると、図2(b)に示すように、ユニットAを軸に回転し、隣接するユニットB同士が酸化還元反応により結合し、さらに、液晶性のユニットCが配向することにより、長い分子が折りたたまれた状態となる。このため、変位の度合いを大きなものとすることができる。
次に、上述した刺激応答性化合物を用いたアクチュエータについて詳細に説明する。
図3は、本発明の刺激応答性化合物を用いたアクチュエータの一例を模式的に示す断面図、図4は、電圧印加により変形したアクチュエータの一例を示す断面図である。
図3に示すように、アクチュエータ100は、本発明の刺激応答性化合物で構成された刺激応答性化合物層10と、当該刺激応答性化合物層10の両面に設けられた電極11とを有している。すなわち、アクチュエータ100は、刺激応答性化合物10を電極11で教示した構造となっている。
電極11は、刺激応答性化合物層10に電圧を印加する機能を有している。
また、電極11は、刺激応答性化合物層10の変形に追従するために、屈曲性を備えている。
このような電極11を構成する材料としては特に限定されないが、カーボンナノチューブを用いるのが好ましい。これにより、刺激応答性化合物層10の変形により確実に追従することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
刺激応答性化合物を用いて、図3に示すようなアクチュエータを作成した。
アクチュエータは、刺激応答性化合物を溶媒に溶解させ、それをシャーレ上に塗布・乾燥し、乾燥物(刺激応答性化合物層)を3cm×2cmの大きさに切り取り、走査電子顕微鏡の試料作成用スパッタマシンを用いて、刺激応答性化合物層の両面に金をスパッタして接合し、アクチュエータを得た。条件は、片面当たり10mAで30分とした。
なお、刺激応答性化合物は以下のようにして合成したものを用いた。
ブロモチオフェンを原料として亜鉛、ニッケルの触媒を用いた2量化、臭素化を行い、DMFによるアルデヒド基の導入(ホルミル化)を行った。
次に、アルデヒド基の保護を行い、ブチルリチウムと水により臭素を水素に変換した。その後ベンゼンジチオールのメタ位を臭素化した。
次に、脱保護を行い、酸触媒存在下、ベンゼンジチオールと反応させ2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)で処理し、4フッ化ホウ素を加え、ユニットAとユニットBが結合した化合物(下記式(6))を得た。
まず、ヒドロキシ安息香酸とアルキレンハライドとを反応させた。
その後、ジヒドロキシビフェニルと、上記ヒドロキシ安息香酸と、ヒドロキノンとのエステル化を行い、ユニットCとなる化合物を得た。
[刺激応答性化合物の製造]
ユニットAとユニットBが結合した化合物と、ユニットCとなる化合物とを、塩基存在下でのエーテル化することにより刺激応答性化合物を得た。
刺激応答性化合物を用いて、図3に示すようなアクチュエータを作成した。
アクチュエータは、刺激応答性化合物を溶媒に溶解させ、それをシャーレ上に塗布・乾燥し、乾燥物(刺激応答性化合物層)を3cm×2cmの大きさに切り取り、走査電子顕微鏡の試料作成用スパッタマシンを用いて、刺激応答性化合物層の両面に金をスパッタして接合し、アクチュエータを得た。条件は、片面当たり10mAで30分とした。
なお、刺激応答性化合物は以下のようにして合成したものを用いた。
上記実施例1と同様にしてユニットAとユニットBが結合した化合物(上記式(6))を得た。
[ユニットCの合成]
以下のようにして、ユニットCとなる化合物(下記式(7))を得た。
ユニットAとユニットBが結合した化合物と、ユニットCとなる化合物とを、パラジウムを触媒としたカップリング反応で結合させることにより刺激応答性化合物を得た。
(比較例)
単層カーボンナノチューブ(カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレーテッド社製「HiPco」、含有Fe量14重量%)(以下、SWNTともいう)25mg、5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製、低分子量直鎖アルコールと水(10%)混合溶媒)25ml、および試薬特級メタノール25mlを、ビーカーに秤量して混合した後、超音波洗浄器中で、超音波照射を10時間以上行い、SWNTとナフィオンの混合分散液を調製した。この分散液をガラス製のシャーレにキャストし、ドラフト中で一昼夜以上放置して溶媒を除去した。溶媒を除去した後、150℃で4時間、熱処理を行った。形成されたSWNTとナフィオンの複合体フィルムをシャーレから剥がした後、3cm×2cmの大きさに切り取り、走査電子顕微鏡の試料作成用スパッタマシンを用いて、複合体フィルムの両面に金をスパッタして接合し、アクチュエータを得た。条件は、片面当たり10mAで30分とした。
評価は、実施例および比較例のアクチュエータを1mm×15mmの短冊状に切り取った試験片の端3mmの部分を電極付きホルダーでつかんで、空気中で電圧5Vを加え、レーザー変位計を用いて、固定端から10mmの位置の変位を観測した。
その結果、本発明の刺激応答性化合物を用いたアクチュエータでは、大きく変位したが、比較例のアクチュエータは、変位の度合いが小さかった。
Claims (8)
- 回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
前記第1のユニットBに結合した第1のユニットCと、
前記第2のユニットBに結合した第2のユニットCと、
を有し、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは、酸化還元反応によって結合するものであり、
前記第1のユニットCおよび第2のユニットCは、液晶性を有することを特徴とする刺激応答性化合物。 - 前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCは、複数の環構造を有し、
前記複数の環構造うちの1つ環構造にハロゲン原子が1つ以上結合している請求項1ないし3のいずれかに記載の刺激応答性化合物。 - 前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCは、重合性官能基を有している請求項1ないし4のいずれかに記載の刺激応答性化合物。
- 前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCの前記重合性官能基によって重合している請求項5に記載の刺激応答性化合物。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の刺激応答性化合物を用いて製造されたことを特徴とするアクチュエータ。
- 回転軸として機能する結合を有するユニットAの第1の結合部位に第1のユニットBが配置され、前記ユニットAの第2の結合部位に第2のユニットBが配置された化合物を合成する工程と、
前記第1のユニットBおよび前記第2のユニットBに結合する液晶性を有するユニットCを合成する工程と、
前記第1のユニットBおよび前記第2のユニットBに前記ユニットCを結合させる工程と、
を含み、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは酸化還元反応により結合することを特徴とする刺激応答性化合物の製造方法。
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