JP2011161743A - 透明導電性シート及びタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、ニュートンリングの発生を抑制しつつ、耐久性にも優れたタッチパネルとそれに適した透明導電性シートを提供することである。
【解決手段】ガラス転移温度90℃以上の透明樹脂シートの一方の面に透明導電性の薄膜を形成してなる透明導電性シートであって、該透明樹脂シートは、98質量%以上が単一の樹脂材料からなり、厚み0.3〜3mmであり、一方または両方の面にレンズ形状を有し、体積平均粒子径0.05〜10μmの光拡散性微粒子を0.001〜0.5質量%含むことを特徴とする透明導電性シートを用いることで課題を解決することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ガラス転移温度90℃以上の透明樹脂シートの一方の面に透明導電性の薄膜を形成してなる透明導電性シートであって、該透明樹脂シートは、98質量%以上が単一の樹脂材料からなり、厚み0.3〜3mmであり、一方または両方の面にレンズ形状を有し、体積平均粒子径0.05〜10μmの光拡散性微粒子を0.001〜0.5質量%含むことを特徴とする透明導電性シートを用いることで課題を解決することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、透明性導電性シート及び、透明導電性シートを用いたタッチパネルに関するものである。
近年、液晶を用いて情報を表示する表示装置と情報入力用のタッチパネル(タッチスクリーン、透明メンブレンスイッチとも称される)などの入力装置とを搭載した情報機器が広く使用されている。タッチパネルとしては、抵抗膜方式のものが多く、この抵抗膜方式タッチパネルは、透明導電層が形成された二枚の透明電極基板(可動電極基板と固定電極基板)をおよそ10〜100μmの間隔で相対させることにより構成されている。
その際に、外力のない状態で可動電極基板と固定電極基板との間の絶縁性を保持するために、通常固定電極基板の電極面上にドットスペーサを設ける。これにより、可動電極基板の外側から、指またはペンで押圧すると、押圧部においてのみ可動電極基板と固定電極基板の電極面同士が接触して、導通し検出回路が位置を検地し、所定の入力がなされる。この押圧時に、押圧部周辺にニュートンリングと呼ばれる干渉縞が発生することがある。
また、押圧していない状態においても、可動電極基板の撓みによって、可動電極基板と固定電極基板の間隔が狭くなった場合にも、ニュートンリングが発生するケースがあり、視認性が低下するという問題がある。
このような抵抗膜方式の透明タッチパネルを構成する2枚の透明電極基板間に発生するニュートンリングを軽減する方法として、平均一次粒子径が1〜4μmのフィラーを所定量含むコーティング層と透明導電層を、プラスチックフィルムの上に形成する方法が開示されている(特許文献1参照。)。
また、平均粒子径が異なる2種以上のマット化剤とバインダーとからなる樹脂を使用した接着膜をニュートンリング防止層として積層する方法も開示されている。(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの方法ではニュートンリングの発生は抑制できるものの、基板となる樹脂と異なる樹脂をコーティング、または積層した構造となるため、ディスプレイからの熱による樹脂層の膨張、収縮の繰り返しや、指やペンによる打点の繰り返しによってコーティング部や積層部に剥れや反りが生じるといった耐久性に関する新たな問題が生じている。
本発明の目的は、ニュートンリングの発生を抑制しつつ、耐久性にも優れたタッチパネルとそれに適した透明導電性シートを提供することである。
鋭意検討を重ねた結果、発明者は、ガラス転移温度90℃以上の透明樹脂シートの一方の面に透明導電性の薄膜を形成してなる透明導電性シートであって、該透明樹脂シートは、98質量%以上が単一の樹脂材料からなり、厚み0.3〜3mmであり、一方または両方の面にレンズ形状を有し、体積平均粒子径0.05〜10μmの拡散性微粒子を0.001〜0.5質量%含むことを特徴とする透明導電性シーをタッチパネルに使用することにより、上記課題および従来技術の問題点を解消できることを見出し、本発明を完成させた。
ガラス転移温度90℃以上の透明樹脂シートの一方の面に透明導電性の薄膜を形成してなる透明導電性シートであって、該透明樹脂シートは、98質量%以上が単一の樹脂材料からなり、厚み0.3〜3mmであり、一方または両方の面にレンズ形状を有し、体積平均粒子径0.05〜10μmの光拡散性微粒子を0.001〜0.5%含むことを特徴とする透明導電性シートをタッチパネルに使用することにより、ニュートンリングの発生を抑制することができると共に、ディスプレイからの熱による樹脂層の膨張、収縮の繰り返しや、指やペンによる打点の繰り返しによってコーティング部や積層部に剥れや反りが生じるといった従来の問題も解消できる。
以下に図面等を参照して説明を行うが、本願発明は図面の実施形態にのみ限定されるものではない。
本発明の第一の態様である、透明導電性シートは、ガラス転移温度90℃以上の透明樹脂シートの一方の面に透明導電性の薄膜を形成してなる透明導電性シートであって、該透明樹脂シートは、98質量%以上が単一の樹脂材料からなり、厚み0.3〜3mmであり、一方または両方の面にレンズ形状を有し、体積平均粒子径0.05〜10μmの拡散性微粒子を0.001〜0.5質量%含むことを特徴とする透明導電性シートである。
該透明樹脂シートとしては、主成分の樹脂のガラス転移温度が90℃以上のものであり、好ましくはガラス転移温度が110℃以上の樹脂であり、より好ましくは130℃以上の樹脂である。ガラス転移温度の上限としては、180℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましい。
このような樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ノルボルネン系樹脂等が好ましく、ポリカーボネート樹脂が透明性、耐熱性、成型性の面でより好ましい。
本発明に好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために、酸化防止剤を配合してもよい。酸化防止剤は加熱成形時における酸化や劣化に透明樹脂シートの着色を抑制することができる。
酸化防止剤としては従来公知のものを用いることができる。例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]やオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−1−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトやトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンなどのリン系酸化防止剤;芳香環を有するものとして、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など、芳香環を有さないものとして、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などの硫黄系酸化防止剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物などのラクトン系酸化防止剤;還元型牛脂を原料としたアルキルアミンの酸化生成物などのヒドロキシルアミン系酸化防止剤;3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどのビタミンE系酸化防止剤などを使用できる。
酸化防止剤の使用量は適宜調整すればよいが、通常、該透明樹脂シートに対して0.005質量%以上、0.3質量%以下程度添加すればよい。
本発明に好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂には、上記の酸化防止剤以外に目的及び効果を損なわない範囲で他の成分、例えば、脂肪酸エステル化合物等の離型剤、トリアゾール系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤、オレフィン系硫酸エステルまたはその金属塩や、高級アルコールのリン酸エステル類、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、脂肪酸多価アルコールエステル、アルキルアミンもポリオキシエチレン付加物などの帯電防止剤、ブルーイング剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェニレンエーテル等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤等の添加剤を必要に応じてその発現量配合してもよい。
該透明樹脂シートの厚みとしては、0.3〜3mmであり、好ましくは0.5〜2mmであり、より好ましくは0.7〜1.6mmである。透明樹脂シートの厚みが上記範囲を超えると、透明性が落ちると共に、タッチパネル自体の薄型化が困難であるという問題が生じる恐れがあり、一方、上記範囲未満であると、下部電極板として用いた場合に剛性が不足するという恐れがある。
該透明樹脂シートは、一方の面、又は両方の面に、賦形された複数のレンズ形状からなるレンズ群を有しているものである。このようなレンズ群は、該透明樹脂シートの一方の面に透明導電性の薄膜を形成してタッチパネルの下部電極板として用いた場合に、上部電極板と下部電極板のそれぞれの反射光が干渉した結果、同心円状の干渉縞が見えるという、いわゆるニュートンリングの発生を抑制する効果がある。
レンズ群としては、直線畝状に形成された凸状のレンズ群でも良く、半球形状やピラミッド形状の凸状レンズ群でも良い。上記レンズ群は均一なピッチ、高さを有する単一なレンズからなるものでも良く、ランダムな形状からなるものでも良い。
前記、直線畝状に形成されたレンズ群の例としては、その長さ方向に対する垂直断面形状における凸状部外周線が、三角形のもの(いわゆるプリズム形状)、円や楕円、双曲線等二次曲線の一部の形状を持つもの、楕円と双曲線を組み合わせた形状を持つもの等が挙げられる。
前記直線畝状に形成された凸状レンズ群の単位レンズのその長さ方向に対する垂直断面形状、及び半球形状やピラミッド形状の凸状レンズ群の単位レンズの底辺長さ(以下ピッチ)は、0.5〜120μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、1.5〜20μmがさらに好ましい。一方、前記直線畝状に形成された凸状レンズ群、及び半球形状やピラミッド形状の凸状レンズ群の単位レンズの底辺からの高さは、0.5〜80μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、1.5〜20μmがさらに好ましい。
上記レンズ形状のピッチ、または高さが上記範囲であれば、透明樹脂シートの光線透過率が適切で、タッチパネルに適用した場合に、ニュートンリングの消去効果で鮮明な画像が得られる。
該透明樹脂シートは、前述したように一方の面、又は両方の面に、賦形されたレンズ群を有しているものであるが、一方の面にのみ賦形されたレンズ群を有する場合は、他方の面は鏡面でも良いが、エンボス面、マット面が光散乱効果、傷つき防止効果から好ましい。
本発明の透明導電性シートは該透明樹脂シートの一方の面に透明導電性層を形成してなるが、該透明樹脂シートが一方の面のみに賦形されたレンズ群を有する場合は、賦形されたレンズ群を有する面上に透明導電性層が形成されることになる。
該透明樹脂シートは、平均粒子径0.05〜10μmの光拡散性微粒子を0.001〜0.5質量%含むことを特徴とする。光拡散性微粒子は、本発明の透明導電性シートをタッチパネルに適用した際、ディスプレイからの可視光を多方向に散乱させることにより、ギラツキを抑制する効果がある。ここでの平均粒子径とは、レーザー回折散乱式粒度分布計、またはコールターカウンターで測定される体積平均粒子径のことである。
光拡散性微粒子の材質としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、これらの共重合体などの合成樹脂;ガラス;スメクタイト、カオリナイトなどの粘土化合物;シリカ、アルミナなどの無機酸化物;などが挙げられる。これらの材質のうち、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シリカが特に好適である。光拡散剤は、これら例示の材質の単一材料、単一材料の混合物、混合材料、混合材料の混合物のどれを用いてもかまわない。
光拡散性微粒子の平均粒子径は、0.05〜10μmであり、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがさらに好ましい。光拡散性微粒子の平均粒子径が上記範囲を外れた場合、十分な光拡散性を発揮できないおそれがある。
光拡散性微粒子の量は、該透明樹脂シートに対して0.001〜0.5質量%添加すればよい。好ましくは0.01〜0.3質量%であり、より好ましくは0.05〜0.2質量%である。光拡散性粒子が上記範囲未満であると、光拡散性微粒子によるぎらつき防止効果が十分にできなくなる。一方、上記範囲を超えると、光拡散層の透明度が低下して透過する光が減少してしまう恐れがある。
該透明樹脂シートに添加される光拡散性微粒子は、該透明樹脂シート全体に均一に存在しても良く、一方、または両方の表面付近に集中して存在しても良く、逆に表面付近には存在せず、シートの厚み方向の中心部に集中して存在しても良い。
該透明樹脂シートに光学性能として異方光拡散性能をより高める必要がある場合には、透明樹脂シートの成形時に異方光拡散性を発現できる低架橋密度有機微粒子が好ましく用いられる。低架橋密度有機微粒子の原料として用いる単量体としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;スチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレンなどのスチレン類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのマレイミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリルなどのアクリロニトリル類;N−ビニルピロリドン;の1種、或いはこれらのうち2種以上を混合して用いることができる。
架橋有機微粒子の原料として用いる架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビスヒドロキシエチルビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;ジビニロキシエトキシ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどのラジカル重合性架橋剤;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどの多官能エポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの多官能イソシアネート化合物;N−メチロールメラミン、N−メチロールベンゾグアナミンなどの多官能メチロール化合物;の1種、或いはこれらのうち2種以上を混合して用いることができる。
異方拡散性を出す為の架橋有機微粒子の架橋密度は架橋密度が0.001%以上、0.12%以下であることが好ましい。このような低架橋密度の有機微粒子は、原料段階では球状または略球状であるが、透明樹脂シート成形時に受ける熱、せん断力などにより、光学シートの所定の位置(層など)で楕円体形状あるいは棒状を呈するようになり、この形状に変化することにより異方拡散性を発現する。なお、架橋密度とは、式(1)で求められる数値のことである。
Fn(c):ラジカル重合体系架橋微粒子製造に用いる架橋剤の官能基数
ただし、Fn(c)≧2
Mw(c):ラジカル重合体系架橋微粒子製造に用いる架橋剤の分子量
W(c):ラジカル重合体系架橋微粒子製造に用いる架橋剤の質量配合割合(%)
W(m):ラジカル重合体系架橋微粒子製造に用いる単量体の質量配合割合(%)
ただし、W(m)+ W(c)=100 。
ただし、Fn(c)≧2
Mw(c):ラジカル重合体系架橋微粒子製造に用いる架橋剤の分子量
W(c):ラジカル重合体系架橋微粒子製造に用いる架橋剤の質量配合割合(%)
W(m):ラジカル重合体系架橋微粒子製造に用いる単量体の質量配合割合(%)
ただし、W(m)+ W(c)=100 。
本発明の透明導電性シートのベースとなる透明樹脂シートは、上述した表面レンズ形状に正対した母型を用いて製造することが出来る。
具体的には、透明熱可塑性樹脂に光拡散性微粒子を配合させ、公知の押出し成形や射出成形により得ることが出来る。光学性能やその他の物性を調整する為に積層体とする場合、例えば、光拡散層を入光側あるいはレンズ側といった特定の層にのみ設置する場合や、光学シートの耐光性向上のための紫外線吸収剤配合層や、静電気による光学シートへの粉塵付着を防止するための帯電防止層を容易に設置する場合には、押出し成形による方法が生産性の点から特に好ましい。また、特にピッチが狭いレンズ形状を賦型する際は、国際出願 PCT/JP2009/066525に記載の方法を用いるのが特に好ましい。
また、前述したように該透明樹脂シートを積層体とする場合には、ベースとなる鏡面の透明樹脂シートに粘着剤層を介して、例えば、表面にレンズ形状を有する樹脂フィルムや光拡散層等を有する樹脂フィルム等を貼りあわせて積層体とするような従来の方法は、粘着層の耐久性の面から避けるべきであり、本発明における該透明樹脂シートは、実質的に粘着剤層を無くすこと(粘着剤層がない)が可能となる。
本発明の透明導電性シートは、前記透明樹脂シートの賦形されたレンズ群を有する一方の面上に透明導電層が設けられる。ここで透明導電層としては、例えば酸化錫を2〜20重量%含むITO層やアンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫層を挙げることができる。
透明導電層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法あるいは塗工法、印刷法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。また、他の例としては、カーボンナノチューブをバインダーを含んだ塗布液に加え、塗布することによって透明導電層を形成してもよい。
透明導電層の厚さは、透明性と導電性の点から5〜50nmが好ましく、更に好ましくは10〜30nmである。透明導電層の厚さが5nm未満では抵抗値の経時安定性に劣る傾向があり,また50nmを超えると透明導電性積層体の光線透過率が低下するため好ましくない。
本発明の第二の態様は、上記の第一の態様である透明導電性シートを下部電極板として使用したことを特徴とするタッチパネルである。
このとき、下部電極板と対にして設置する上部電極板としては、例えば100〜200μm厚のPETフィルムにアクリル系樹脂のコーティング層を設置し、その上にITO等の導電性膜を形成させたシート等が挙げられる。
次に本発明の実施例について説明するが、本発明は本例に限定されることはない。
(製造例1:透明導電性シート1)
ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度145℃)(「ユーピロンE2000FN」:三菱エンジニアリングプラスチック社製)100部と、リン系酸化防止剤(「イルガフォス168」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.01部、オキサゾール系蛍光増白剤(「ユビテックスOB」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.003部、光拡散性微粒子として平均粒子径2.5μmのPMMA系微粒子(エポスターMA1002:日本触媒製)0.1部とを、ベントとギアポンプ付きで、3本のロールを有するシート押出成型機に供給し、一方の面にエンボス加工(算術平均粗さRa=1μm)、他方の面にレンズピッチが30μm、レンズ高さが15μmの略楕円畝状のシリンドリカルレンズ群が略平行に賦形された厚み0.8mmの透明樹脂シートを製造した。この透明樹脂シートのシリンドリカルレンズ群が賦形された方の面上に厚み約20nmのITO膜をスパッタリング法により形成して透明導電性シート1を得た。
ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度145℃)(「ユーピロンE2000FN」:三菱エンジニアリングプラスチック社製)100部と、リン系酸化防止剤(「イルガフォス168」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.01部、オキサゾール系蛍光増白剤(「ユビテックスOB」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.003部、光拡散性微粒子として平均粒子径2.5μmのPMMA系微粒子(エポスターMA1002:日本触媒製)0.1部とを、ベントとギアポンプ付きで、3本のロールを有するシート押出成型機に供給し、一方の面にエンボス加工(算術平均粗さRa=1μm)、他方の面にレンズピッチが30μm、レンズ高さが15μmの略楕円畝状のシリンドリカルレンズ群が略平行に賦形された厚み0.8mmの透明樹脂シートを製造した。この透明樹脂シートのシリンドリカルレンズ群が賦形された方の面上に厚み約20nmのITO膜をスパッタリング法により形成して透明導電性シート1を得た。
(製造例2:透明導電性シート2)
透明樹脂シートのレンズ面が、直径40μmの半球レンズ形状がランダムに多数賦型されたものである以外は、製造例1と同様に透明導電性シート2を得た。
透明樹脂シートのレンズ面が、直径40μmの半球レンズ形状がランダムに多数賦型されたものである以外は、製造例1と同様に透明導電性シート2を得た。
(製造例3:透明導電性シート3)
厚み188μmのポリカーボネートフィルムの上面に粒径2μmのSiO2を分散させたアクリル系樹脂をロールコーターで厚み5μmになるように塗布して凹凸形状を付与し、その上に厚み20nmのITO膜膜をスパッタリングにて形成し、さらにもう一方の面に、厚み500μmのポリカーボネートシートをアクリル酸エステルからなる20μmの粘着剤層を介して接合し透明導電性シート3を得た。
厚み188μmのポリカーボネートフィルムの上面に粒径2μmのSiO2を分散させたアクリル系樹脂をロールコーターで厚み5μmになるように塗布して凹凸形状を付与し、その上に厚み20nmのITO膜膜をスパッタリングにて形成し、さらにもう一方の面に、厚み500μmのポリカーボネートシートをアクリル酸エステルからなる20μmの粘着剤層を介して接合し透明導電性シート3を得た。
(製造例4:透明導電性シート4)
アクリル酸エステルからなる20μmの粘着剤層に平均粒径1μmのSiO2を、該粘着剤層に対して1%分散添加したものである以外は製造例3と同様として透明導電性シート4を得た。
アクリル酸エステルからなる20μmの粘着剤層に平均粒径1μmのSiO2を、該粘着剤層に対して1%分散添加したものである以外は製造例3と同様として透明導電性シート4を得た。
(製造例5:透明導電性シート5)
光拡散性微粒子を使用せず、一方の面にエンボス加工(算術平均粗さRa=1μm)を賦型し、他方の面はレンズ群ではなく鏡面とし、この鏡面の方の面にITO膜を形成した以外は、製造例1と同様にして透明導電性シート5を得た。
光拡散性微粒子を使用せず、一方の面にエンボス加工(算術平均粗さRa=1μm)を賦型し、他方の面はレンズ群ではなく鏡面とし、この鏡面の方の面にITO膜を形成した以外は、製造例1と同様にして透明導電性シート5を得た。
(上部電極板の作製)
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にアクリル系樹脂を厚み約5μmとなるように塗布し、その上に厚み約20μmのITO膜をスパッタリング法にて形成し、他方の面にはアクリル系樹脂を厚み約5μmとなるようにコーティングし、上部電極板を得た。
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にアクリル系樹脂を厚み約5μmとなるように塗布し、その上に厚み約20μmのITO膜をスパッタリング法にて形成し、他方の面にはアクリル系樹脂を厚み約5μmとなるようにコーティングし、上部電極板を得た。
(タッチパネルの作製)
下部電極板として上記の透明導電性シート1〜5と、上記の上部電極板とを、お互いのITO膜同士が対向するように、厚さ50μmの両面テープで周辺部を接着してタッチパネルを作製した。
下部電極板として上記の透明導電性シート1〜5と、上記の上部電極板とを、お互いのITO膜同士が対向するように、厚さ50μmの両面テープで周辺部を接着してタッチパネルを作製した。
(ニュートンリング防止評価)
上部電極板を下部電極版の方向に向かって指で軽く押し付けた時のニュートンリングの発生具合を評価した。
○:ニュートンリングが全く発生しない
△:一部ニュートンリングが発生
×:ニュートンリングが鮮明に発生。
上部電極板を下部電極版の方向に向かって指で軽く押し付けた時のニュートンリングの発生具合を評価した。
○:ニュートンリングが全く発生しない
△:一部ニュートンリングが発生
×:ニュートンリングが鮮明に発生。
(耐久性試験)
タッチパネルを−20℃で1時間で放置、その後50℃で1時間放置の寒熱繰り返し試験を500サイクル繰り返した後、打点耐久試験装置(打点先端部:ゴム材〈ショア硬度60〉)を使用して、荷重300gで10万回打点を行った後、タッチパネルの外観を目視で確認した。
○:外観に変化なし
△:一部に下部電極版の積層部分のはがれ、濁り発生
×:下部電極版の積層部分のはがれ、濁り発生が顕著。
タッチパネルを−20℃で1時間で放置、その後50℃で1時間放置の寒熱繰り返し試験を500サイクル繰り返した後、打点耐久試験装置(打点先端部:ゴム材〈ショア硬度60〉)を使用して、荷重300gで10万回打点を行った後、タッチパネルの外観を目視で確認した。
○:外観に変化なし
△:一部に下部電極版の積層部分のはがれ、濁り発生
×:下部電極版の積層部分のはがれ、濁り発生が顕著。
(耐久性評価:表1)
本発明の実施形態である実施例1、2では、下部電極板として、光拡散性微粒子を含んだレンズ付ポリカーボネートシートにITO膜を製膜したものを用いており、レンズ及び光拡散剤の効果でニュートンリングの発生を防止できていることに加え、単一なポリカーボネート製のシート+ITO膜というシンプルな構造であるため耐久性にも優れていることがわかる。
一方、比較例1、2では、下部電極板として、アクリル樹脂をバインダーとしてSiO2微粒子をポリカーボネートフィルムに塗布し、さらに別のポリカーボネートシートをアクリル系粘着剤で接合した積層板にITO膜を製膜しているため、塗布層や接合部の耐久性に問題があり、耐久試験によって、積層部の剥離という問題が生じていることがわかる。
また比較例3では、光拡散性微粒子及び、レンズ群のないポリカーボネートシートを用いたため、ニュートンリングの発生が抑制できていないことがわかる。
1:上部絶縁基板
2:ITO膜
3:両面テープ
4:ITO膜(レンズ面上に製膜)
5:下部絶縁基板(レンズ付ポリカーボネートシート)
6:光拡散剤
7:上部電極板
8:下部電極版
10:上部絶縁基板
11:ITO膜
12:両面テープ
13:ITO膜(SiO2粒子塗布面上に製膜)
14:下部絶縁基板
15:粘着剤層
16:光拡散剤
17:支持板
18:上部電極板
19:下部電極版
2:ITO膜
3:両面テープ
4:ITO膜(レンズ面上に製膜)
5:下部絶縁基板(レンズ付ポリカーボネートシート)
6:光拡散剤
7:上部電極板
8:下部電極版
10:上部絶縁基板
11:ITO膜
12:両面テープ
13:ITO膜(SiO2粒子塗布面上に製膜)
14:下部絶縁基板
15:粘着剤層
16:光拡散剤
17:支持板
18:上部電極板
19:下部電極版
本発明を用いれば、ニュートンリングの発生を抑制しつつ、耐久性にも優れたタッチパネルとそれに適した透明導電性シートを得ることができる。
Claims (3)
- ガラス転移温度90℃以上の透明樹脂シートの一方の面に透明導電性の薄膜を形成してなる透明導電性シートであって、該透明樹脂シートは、98質量%以上が単一の樹脂材料からなり、厚み0.3〜3mmであり、一方または両方の面にレンズ形状を有し、体積平均粒子径0.05〜10μmの光拡散性微粒子を0.001〜0.5質量%含むことを特徴とする透明導電性シート。
- 前記透明樹脂シートは、単一の樹脂材料としてポリカーボネートを用いることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性シート。
- 請求項1又は2に記載の透明導電性シートを下部電極板として使用することを特徴とするタッチパネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010026051A JP2011161743A (ja) | 2010-02-09 | 2010-02-09 | 透明導電性シート及びタッチパネル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010026051A JP2011161743A (ja) | 2010-02-09 | 2010-02-09 | 透明導電性シート及びタッチパネル |
Publications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2011161743A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014024815A1 (ja) * | 2012-08-10 | 2014-02-13 | シャープ株式会社 | 光拡散タッチパネルおよびその製造方法、表示装置 |
CN105926891A (zh) * | 2016-05-18 | 2016-09-07 | 胡振强 | 艺术建筑地砖 |
-
2010
- 2010-02-09 JP JP2010026051A patent/JP2011161743A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014024815A1 (ja) * | 2012-08-10 | 2014-02-13 | シャープ株式会社 | 光拡散タッチパネルおよびその製造方法、表示装置 |
JP5908089B2 (ja) * | 2012-08-10 | 2016-04-26 | シャープ株式会社 | 光拡散タッチパネルおよびその製造方法、表示装置 |
CN105926891A (zh) * | 2016-05-18 | 2016-09-07 | 胡振强 | 艺术建筑地砖 |
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