JP2011161402A - 水素分離膜モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長時間にわたり、安定した水素透過能力を保持する水素分離膜モジュールを提供する。
【解決手段】 水素分離膜と少なくとも2枚の多孔性の補強板とベースプレートとを順に積層する水素分離膜モジュールであって、水素分離膜と接合する第一の補強板が、その表面に接着層を有し、第一の補強板に接合する第二の補強板が、第一の補強板の接着層より薄い接着層を有するか、または有さない。
【選択図】 図2
【解決手段】 水素分離膜と少なくとも2枚の多孔性の補強板とベースプレートとを順に積層する水素分離膜モジュールであって、水素分離膜と接合する第一の補強板が、その表面に接着層を有し、第一の補強板に接合する第二の補強板が、第一の補強板の接着層より薄い接着層を有するか、または有さない。
【選択図】 図2
Description
本発明は、水素分離膜モジュールおよびその製造方法に関する。
半導体製造工場における高純度ガス精製などに水素を選択的に透過する水素分離膜が使用されている。この水素分離膜は、例えば、近年開発が進められている燃料電池車への水素供給のための水素ステーション等に使用される。この水素分離膜に使用される材料や製造方法などは、各方面で研究されており、現状もっとも実用化に近い水素分離膜はPd合金系の水素分離膜である。
Pd合金系の水素分離膜の製造方法としては、Pd合金を溶解、圧延して得られるものや、めっき、蒸着により得られるもの等、多種多様な方法が検討されてきている。特許公報第3377734号(特許文献1)には、Pd合金系水素分離膜として、水素透過性能の高い心材を、耐酸化性が高く水素透過性を妨げない保護層でサンドイッチした構造のものを開示しており、その保護層としてPdもしくはPd−Agが使用されている。このような水素分離膜は非常に薄い(20μm以下)ため、補強部材が必要であり、補強部材と水素分離膜を拡散接合などで接合する必要がある。特許公開第2007−190455公報(特許文献2)には、その接着層としてAg等の金属層を使用し、補強部材と水素分離膜とを接合することが記載されている。
上記のような水素分離膜の水素透過性能に関する耐久性は、運転時間の増加に伴い低下し、約10000時間経過後には初期性能の80%程度まで落ちてしまうという問題点を有していた。これは、補強板と水素分離膜との接着層である金属層が、表面拡散により、水素分離膜の透過面(裏面)に集まり、金属濃化層を形成するためであると考えられている。特に、水素分離膜として最も実用化に近いPd−Ag合金を使用する場合、その水素透過性能は水素分離膜中に含むAgの濃度と共に向上し、約23wt%を透過性能のピークとして有する。しかしながら、さらに濃化層からAgが水素分離膜中へバルク拡散することにより、水素分離膜のAg濃度が高くなるとともに水素透過性能が減少し、水素分離膜中のAg濃度が50wt%を超えるとほとんど水素を透過しなくなってしまうという問題を有していた。
上記問題点に鑑み、本発明は、長時間にわたり、安定した水素透過能力を保持する水素分離膜を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、水素分離膜と少なくとも2枚の多孔性の補強板とベースプレートとを順に積層する水素分離膜モジュールであって、前記水素分離膜と接合する第一の補強板が、その表面に接着層を有し、前記第一の補強板に接合する第二の補強板が、前記第一の補強板の接着層より薄い接着層を有するか、または有さないことを特徴とする。
また、本発明の水素分離膜モジュールは、前記接着層を、Ag、Au、Pt、Ni、およびCuからなる群より選択される金属層とすることができる。
また、本発明の水素分離膜モジュールは、前記第一の補強板の接着層の厚さが0.5μm〜2.0μmであり、前記第二の補強板の接着層の厚さが0〜1.0μmとすることができる。
また、本発明の水素分離膜モジュールは、前記第二の補強板の開口を15〜30%とすることができる。
また、本発明の水素分離膜モジュールは、前記水素分離モジュールがさらに第三の補強板を有し、前記第三の補強板が、前記第一の補強板の接着層より薄く、かつ、前記第二の補強板の接着層より厚い接着層を有することができる。
また、本発明の水素分離膜モジュールは、前記水素分離膜と前記第一の補強板との間に、接着層とバリア層とをさらに有することができる。
また、本発明の別の態様によれば、水素分離膜を有する接合体の製造方法を提供し、前記方法は、水素分離膜と少なくとも2つの補強板とを接合する工程であって、水素分離膜に接着層を有する補強板が接着し、前記接着層を有する補強板とそれよりも薄い接着層を有するか、または接着層を有さない補強板とが交互に接着する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の水素分離膜を有する接合体の製造方法は、接着する2つの補強板間におけるそれぞれの接着層の厚さの和を、0.5μm以上とすることができる。
また、本発明のさらに別の態様によれば、水素分離膜モジュールの製造方法を提供し、前記方法は、前記方法により製造される接合体とベースプレートとを一体化することをさらに含むことを特徴とする。
本発明の水素分離膜モジュールによれば、補強板の接着層から水素分離膜の水素透過側への金属の表面拡散を抑えることができ、水素分離膜の水素透過側に金属濃化層の形成を防ぐことができる。これにより、長時間にわたり安定した水素透過能力を保持する水素分離膜モジュールを提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る水素分離膜モジュールの一実施の形態について説明する。図1は、本発明の水素分離膜モジュールの積層構造を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の水素分離膜モジュールは、水素分離膜1と少なくとも2つの多孔性の補強板2と、ベースプレート3とから構成されている。図1中では、3つの補強板2、2’、2”を有する水素分離膜モジュールを示す。
水素分離膜1は、水素を含む混合ガス(例えば、CH4、H2O、H2、CO2等を含む改質ガス)から水素のみを選択的に透過させることができる性質を有する箔である。水素分離膜1は、PdまたはPd合金の他、5族元素(V、Nb、Ta)またはその合金で構成されていることが好ましい。Pd合金としては、PdとAgからなる合金、Y及び希土類元素からなる群から選ばれる1種以上の金属とPdとからなる合金が好ましい。特に好ましいPd合金はPd−Ag合金、Pd−希土類元素合金である。5族元素の合金としては、2種以上の5族元素の合金、5族元素とNi、Co、Pd、Cu等の8〜11族元素の合金、5族元素とTi、Mo、Ag、Au、Cuの合金の単層あるいは積層が好ましい。水素分離膜1の厚さは0.5〜20μmとすることが好ましい。水素分離膜1は、複数枚の補強板2との拡散接合により接合体4を形成する。拡散接合とは、材料同士を融点以下まで熱し加圧することにより、材料同士の接合面に存在する原子の拡散を利用して、固体のまま接合させる方法をいう。特に、水素分離膜の熱変性を防ぐために低温接合とすることが好ましい。
補強板2は、金属多孔質板で構成されており、長方形状の水素透過孔が複数穿孔されている。多孔質の補強板は、普通鋼、ステンレス鋼等のFe合金や、純Ni、Ni合金、純Ti、Ti合金、Cr合金などの材質で構成されていることが好ましい。特に好ましい材質はステンレス鋼である。また、形状は、平面形状の他、波型形状や円筒形状などにすることができる。多数の孔は、上記材質で金網や不織布を形成することで形成してもよいし、機械加工、レーザー加工、打ち抜き、エッチング加工などによって多数の孔を穿設してもよい。水素透過孔の長径は、1000μm〜2000μmが好ましく、短径は、100μm〜500μmが好ましい。また、水素透過孔同士の間隔は、10〜100μmが好ましい。
本発明の水素分離膜モジュールは、多孔質補強板2を少なくとも2枚備えており、さらに複数の多孔質補強板を接合してもよい。この補強板2は、例えば、ステンレス鋼板(SUS430)をエッチングによりメッシュ加工した後、メッキ処理し、所定の形状に裁断したものを用いることができる。なお、それぞれ厚さおよび開孔パターンの異なる金属製の多孔板を積層することによっても補強板2を構成することができる。水素分離膜1と複数の補強板2とは同時に接合させてもよいし、水素分離膜1との接合の前に、複数の補強板同士で接合させ、その後、水素分離膜と接合した補強板とを一体に接合させてもよい。このように、補強板2と接合した水素分離膜1は、その機械的強度を向上させる。
ベースプレート3は、平板状の金属板の上面および/または下面に、長手方向に複数の平行な溝を加工したものである。これらの溝は、長手方向の両端部で幅方向の溝によって相互に連通される(図示省略)。この各溝によって精製ガス回収路を形成している。
水素分離膜モジュールは、接合体4とベースプレート3とを張り合わせることで、作製することができる。平面形状の水素分離膜モジュールは、例えば、通気用の溝又は孔の開いた平面形状のベース部材に水素分離膜を重ね合わせて、ろう付け、拡散接合、レーザー溶接等により外周部を接合することで作製することができる。また、円筒形状の水素分離膜モジュールは、例えば、通気用孔が開いた管状のベースパイプの外周に水素分離膜1を巻き付け、その外周部にシール溶接を施すことで作製することができる。
水素分離モジュールの大きさとしては、使用される設置場所により適宜設計することができるが、例えば、幅20〜60mm、長さ100〜1000mmが好ましく、幅40mm、長さ400mmがより好ましい。また、水素分離膜モジュールへ供給される混合ガスの温度は、例えば300〜700℃であり、その圧力は例えば、0.1〜2MPaである。なお、透過側の圧力は、例えば−0.05MPa〜0MPaである。
このような構成を有する水素分離モジュールによれば、供給される混合ガスは、水素分離膜1へと導入され、水素分離膜1は混合ガスから選択的に水素のみを透過する。混合ガスより分離した水素は、補強板2の水素透過孔およびベースプレート3の精製ガス回収路を通過し、高純度水素ガスとして排出される。
図2には、本発明の一実施の形態の測方断面図を模式的に示す。図2に示すように、三層に重ねられた補強板2には、拡散接合のためにその表面に金属の接着層5を有する。また、補強板2は、バリア層6および接着層5’を介して水素分離膜1と接合している。水素を含む混合ガスは水素改質側7から水素分離膜1へ侵入し、水素透過側8に水素のみを透過する。図2に示す接着層5は、主に補強板同士の接着のため、予め補強板にメッキした金属層を示し、接着層5’は、水素分離膜との接着のため、バリア層の上にさらに設けた金属層を示す。
水素分離膜1と多孔質補強板2とを積層させて使用する場合、繰り返し熱サイクルに対する耐久性を考慮すると、水素分離膜と多孔質補強板の表面および補強板同士は、接合されていることが望ましい。接合は拡散接合などにより行うことができるが、金属多孔体の材質によっては不純物が水素透過性金属箔中に拡散して水素透過性能を劣化させる場合がある。例えば、直接接合では接合金属多孔体の材質がステンレス鋼である場合、炭素やクロムなどの元素が水素透過性の金属箔中に拡散し、水素透過性能を低下させる。そのため水素透過性金属箔と金属多孔体との接合は適当な材質の金属層を介して行うのが望ましい。また、補強板2同士の接着にも接着層を介して接合することが好ましい。
本発明の接着層には、Ag、Au、Pt、Ni及びCuからなる群から選ばれるいずれかの金属層とすることが好ましく、特にAgまたはNiが好ましい。Agを接着層に用いた場合、低温での拡散速度が大きいため、低温(550℃〜650℃)での拡散接合が可能であり、水素分離膜の熱変質を防ぐことができる。また、Niを接着層として用いると、通常の処理温度〜800℃までの温度で接合処理が可能であり、Agに比べて表面拡散速度が小さいため、濃化層の形成をさらに抑えることができる。
補強板の表面への接着層5の施工は、これらの金属を真空蒸着、スパッタリング法、CVD法などの乾式コーティング法あるいは電気メッキ、無電解メッキなどの湿式コーティング法によりコーティングすることができる。水素分離膜1と補強板2との接合は、多孔質の補強板2の表面に、水素分離膜を合わせて過熱、加圧して接合させるのが一般的である。しかしながら、水素分離膜と補強板との接合時や水素分離モジュールの作動中においては、接着層である金属が表面拡散により水素分離膜1の水素透過側8に濃化層を形成してしまい、さらには濃化層中の金属が水素分離膜中へバルク拡散することにより、水素透過性能の低下を引き起こす。
そこで、本発明の補強板2は、水素分離膜と接着する第一の補強板2に接着層5を形成させるが、第一の補強板2に接着する第二の補強板2’には、第一の補強板2が有する接着層5よりも薄い膜厚の接着層を形成させる。好ましくは、第二の補強板2’は、接着層を形成させない。これにより、表面拡散が水素分離膜方向だけでなく、第二の補強板2’の方へも分散させることができ、金属の濃化層の形成を抑えることができる。また、第二の補強板2’に接着する第三の補強板2”は第二の補強板2’との接着のために接着層を必要とするが、第一の補強板2の接着層よりも薄く、かつ第二の補強板2’の接着層よりも厚い接着層を形成させることが好ましい。さらに、水素分離膜モジュールが第四の補強板を有するときは、第四の補強板には、第一及び第三の補強板よりも薄い接着層を形成させるか、好ましくは接着層を形成させない。すなわち、本発明の水素分離膜モジュールを構成する補強板は、第一、第三と奇数番目の補強板に接着層を形成させることで、補強板同士の接合を可能としており、一方、第二、第四と偶数番目の補強板には、余分な接着層に使用する金属量を減らすため、薄い接着層を形成させるか、好ましくは接着層を形成させない。このように、偶数番目の補強板の接着層を、奇数番目の補強板の接着層より薄くすることで、金属の表面拡散を偶数番目の補強板へ分散させることができる。なお、第一の補強板2の接着層5は最も厚くすることが好ましい。接着層5の厚さは、補強板同士が強度を満足できる接合を可能とする厚さであればよく、接合される補強板同士の間に少なくとも0.5μm以上の厚さを有していればよい。すなわち、接合される補強板同士の片側に接着層が0.5μm以上あれば、他方の補強板は接着層を有していなくてもよい。水素分離膜に接着する第一の接着層の厚さとしては、0.5μm〜2.0μmとすることが好ましい。また、第二番目以降の補強板の接着層の厚さは、接合する接着層同士で上記の関係を有していれば良く、0〜1.0μmとすることが好ましく、特に0〜0.5μmとすることが好ましい。さらには、偶数番目の補強板は接着層を有さず、第三番目以降の奇数番目の補強板の接着層を0.5μmとすることが最も好ましい。
また、本発明の水素分離膜モジュールを構成する補強板は、直接水素分離膜と接合しない第二番目以降の補強板の開口率を小さくし、補強板の表面積を大きくすることが好ましく、特に第二の補強板の表面積を大きくすることがより好ましい。補強板の表面積を大きくする手段として、補強板の開口率を15〜30%とすることが好ましく、20〜25%とすることがより好ましい。このように、二番目以降の補強板の表面積を大きくすることで、表面拡散する面積が大きくなり、相対的に水素分離膜の水素透過側への表面拡散をすくなくすることができる。
また、本発明の水素分離膜モジュールは、水素分離膜1と補強板2との間にバリア層6を含むこともできる。バリア層としては、Al、Si、Zr、Ti、Mg、Ca、YおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素と、O、N、BおよびCからなる群から選ばれる少なくとも1つの非金属元素との化合物から構成されている。このような化合物として、例えば、Al2O3、SiO2、ZrO2、TiO2、MgO、CaO2、Y2O3、TiN、TiC、TiB2、Si3N4、SiC、AlN、AlSiOx、TiAlN、MgO・Al2O3、2MgO・SiO2などが挙げられる。
これらの化合物は、補強板2と水素分離膜1との間における元素の拡散を防止する性能を有している。特に好ましい化合物は、SiまたはAlの金属元素とNまたはOの非金属元素との化合物であり、例えば、Si3N4、Al2O3である。バリア層6は1層にしてもよいし、異なる化合物からなる2層以上にしてもよい。
バリア層6は、真空蒸着、スパッタ法、CVD法などにより補強板2の表面上に形成することができる。補強板2には多数の孔があることから、上記の形成法によって、多孔質補強板2と同様に厚さ方向に貫通する多数の孔をバリア層6にも形成することができる。バリア層6の厚さは1〜5μmが好ましい。このようなバリア層を備えるときは、水素分離膜との接着性のため、水素分離膜とバリア層との間に接着層5’をさらに備える構成が好ましい。接着層5’は、真空蒸着、スパッタ法、CVD法などによりバリア層の表面上に形成することができる。水素分離膜とバリア層との間に設ける接着層5’の厚さは0.05〜1μmとすることが好ましい。
上記構成によれば、水素分離膜モジュールを構成する補強板の接着層の厚さを変更することや、補強板の表面積を大きくすることで補強板同士の方向間にも、金属の表面拡散を分散させることができ、水素分離膜の水素透過側における濃化層の形成を抑えることができる。
また、本発明の水素分離膜モジュールは、図3に示すように、全ての補強板を接着層無しで一体化させ、水素分離膜との間にのみ接着層を介して接合させる形態とすることもできる。図3に示す水素分離膜モジュールは、補強板2同士の接合に接着層を介さず、補強板2と水素分離膜との間にのみ接着層5’およびバリア層6を有している。
この形態における補強板は、接着層を介さずに800℃〜900℃で一体化させる。次に、一体化した補強板の水素分離膜との接着面にのみ、バリア層6および接着層5’を施工する。接着層はAgに限定されないが、接着層にAgを用いた場合、水素分離膜1と補強板との接合は、低温接合することができるため望ましい。
上記の構成によれば、表面拡散する金属を最小限に抑えることができるので、水素分離膜の水素透過側への金属濃化層の形成を防ぎ、水素透過性能の低下を防ぐことができる。また、接着層にAgを用いた場合、低温接合により補強板と水素分離膜とを接合することができるため、接合温度による水素透過性能の影響も抑えることが可能となる。
本発明者らは、Pb−希土類元素からなる厚さ20μm以下の水素分離膜とステンレス鋼製の多孔板3枚の積層板からなる補強板との接合による接合体と、補強板上に接合したベースプレートとを備える水素分離膜モジュールを作製した。水素分離膜モジュールの面積は100cm2とした。補強板としては、水素分離膜から近いものから補強板A、補強板B、および補強板Cとして、それぞれ異なる厚さのAgめっき層を備えさせたものを用いた。これらの補強板と水素分離膜とから接合体を作製し、さらにベースプレートと接合させ水素分離膜モジュールを作製した。温度550℃、圧力0.8MPaの条件下で各水素分離膜モジュールを作動させたときの、定常時間(Agが水素分離膜および補強板へ表面拡散しきった時間)と定常時間後の水素分離膜および補強板が有するAgの厚さを示す。
(実施例1)
補強板AのAg接着層の厚さを2.0μm、補強板BにはAg接着層を施工せず、補強板CのAg接着層の厚さを1.0μmとし、補強板の接着層の厚みを補強板A>補強板C>補強板Bとなるように作製したときの定常時間およびその後のAgの厚さを表1に示す。表1に示すように、定常時間は、10000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ0.72μmのAg接着層を有していた。このように、補強板Bの接着層に使用するAg量を減らすことで、表面拡散するAg量を減らし、Ag濃化層の厚さを薄くすることができる。
補強板AのAg接着層の厚さを2.0μm、補強板BにはAg接着層を施工せず、補強板CのAg接着層の厚さを1.0μmとし、補強板の接着層の厚みを補強板A>補強板C>補強板Bとなるように作製したときの定常時間およびその後のAgの厚さを表1に示す。表1に示すように、定常時間は、10000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ0.72μmのAg接着層を有していた。このように、補強板Bの接着層に使用するAg量を減らすことで、表面拡散するAg量を減らし、Ag濃化層の厚さを薄くすることができる。
(実施例2)
補強板AのAg接着層の厚さを1.0μm、補強板BにはAg接着層を施工せず、補強板CのAg接着層の厚さを0.5μmとし、補強板の接着層の厚みを補強板A>補強板C>補強板Bとなるように作製したときの定常時間およびその後のAgの厚さを表2に示す。表2に示すように、定常時間は、10000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ0.36μmのAg接着層を有していた。このように、接着層に使用するAg量をさらに減らすことで、表面拡散するAg量を減らし、Ag濃化層の厚さをさらに薄くすることができる。
補強板AのAg接着層の厚さを1.0μm、補強板BにはAg接着層を施工せず、補強板CのAg接着層の厚さを0.5μmとし、補強板の接着層の厚みを補強板A>補強板C>補強板Bとなるように作製したときの定常時間およびその後のAgの厚さを表2に示す。表2に示すように、定常時間は、10000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ0.36μmのAg接着層を有していた。このように、接着層に使用するAg量をさらに減らすことで、表面拡散するAg量を減らし、Ag濃化層の厚さをさらに薄くすることができる。
(実施例3)
補強板AのAg接着層の厚さを1.0μm、補強板BにはAg接着層を施工せず、補強板CのAg接着層の厚さを0.5μmとし、補強板の接着層の厚みを補強板A>補強板C>補強板Bとなるように作製し、さらに補強板の開口率を半分にすることで、総表面積を補強板B>補強板C>補強板Aとしたときの定常時間およびその後のAgの厚さを表3に示す。表3に示すように、定常時間は、10000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ0.3μmのAg接着層を有していた。接着層に使用するAg量を減らすとともに、補強板Bの表面積を増やすことで、全体に表面拡散するAgの量を相対的に減らすことができる。また、定常後のAgの厚さが0.3μm以下となることは、バルク拡散による水素分離膜への影響もわずかなものとなり水素透過性の低下を防ぐことができる。
補強板AのAg接着層の厚さを1.0μm、補強板BにはAg接着層を施工せず、補強板CのAg接着層の厚さを0.5μmとし、補強板の接着層の厚みを補強板A>補強板C>補強板Bとなるように作製し、さらに補強板の開口率を半分にすることで、総表面積を補強板B>補強板C>補強板Aとしたときの定常時間およびその後のAgの厚さを表3に示す。表3に示すように、定常時間は、10000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ0.3μmのAg接着層を有していた。接着層に使用するAg量を減らすとともに、補強板Bの表面積を増やすことで、全体に表面拡散するAgの量を相対的に減らすことができる。また、定常後のAgの厚さが0.3μm以下となることは、バルク拡散による水素分離膜への影響もわずかなものとなり水素透過性の低下を防ぐことができる。
(比較例)
補強板AのAg接着層の厚さを2.0μm、補強板BのAg接着層の厚さを1.0μm、補強板CのAg接着層の厚さを1.0μmとしたときの定常時間およびその後のAgの厚さを表1に示す。表1に示すように、定常時間は、5000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ1.0μmのAg接着層を有していた。
補強板AのAg接着層の厚さを2.0μm、補強板BのAg接着層の厚さを1.0μm、補強板CのAg接着層の厚さを1.0μmとしたときの定常時間およびその後のAgの厚さを表1に示す。表1に示すように、定常時間は、5000時間となり、その時点の水素分離膜、補強板A、B、Cは、それぞれ1.0μmのAg接着層を有していた。
1 水素分離膜
2 補強板
3 ベース
4 接合体
5 接着層
6 バリア層
7 水素改質側
8 水素透過側
9 金属濃化層
2 補強板
3 ベース
4 接合体
5 接着層
6 バリア層
7 水素改質側
8 水素透過側
9 金属濃化層
Claims (9)
- 水素分離膜と少なくとも2枚の多孔性の補強板とベースプレートとを順に積層する水素分離膜モジュールであって、
前記水素分離膜と接合する第一の補強板が、その表面に接着層を有し、
前記第一の補強板に接合する第二の補強板が、前記第一の補強板の接着層より薄い接着層を有するか、または有さない水素分離膜モジュール。 - 前記接着層が、Ag、Au、Pt、Ni、およびCuからなる群より選択される金属層である請求項1に記載の水素分離膜モジュール。
- 前記第一の補強板の接着層の厚さが0.5μm〜2.0μmであり、前記第二の補強板の接着層の厚さが0〜1.0μmである請求項1または2に記載の水素分離膜モジュール。
- 前記第二の補強板が15〜30%の開口率を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素分離膜モジュール。
- 前記水素分離モジュールがさらに第三の補強板を有し、前記第三の補強板が、前記第一の補強板の接着層より薄く、かつ、前記第二の補強板の接着層より厚い接着層を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素分離膜モジュール。
- 前記水素分離膜と前記第一の補強板との間に、接着層とバリア層とをさらに有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の水素分離膜モジュール。
- 水素分離膜を有する接合体の製造方法であって、
水素分離膜と少なくとも2つの補強板とを接合する工程であって、水素分離膜に接着層を有する補強板が接着し、前記接着層を有する補強板とそれよりも薄い接着層を有するか、または接着層を有さない補強板とが交互に接着する工程を含む方法。 - 接着する2つの補強板間におけるそれぞれの接着層の厚さの和が、0.5μm以上である請求項7に記載の方法。
- 請求項7または8に記載の方法により製造される接合体とベースプレートとを一体化することをさらに含む水素分離膜モジュールの製造方法。
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