JP2011161034A - 調理鍋 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の通常の調理鍋において、保温効果を持たせようとして、蓋を重くしたり重い蓋に取り替えて使用したとしても、過剰に重ければ持ち運びや扱いが不便になり、必要以下に軽ければ保温効果が得られない点を解消する。
【解決手段】本発明の調理鍋1は、開口径が14〜30cmの本体2と、この本体2の開口を開閉する蓋3とを備え、蓋3を、2100gを超えない範囲で本体2の開口径(cm)に50〜70gを乗じた重さとする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の調理鍋1は、開口径が14〜30cmの本体2と、この本体2の開口を開閉する蓋3とを備え、蓋3を、2100gを超えない範囲で本体2の開口径(cm)に50〜70gを乗じた重さとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、全体として必要最低限の重量としながらも保温性に富んだ調理鍋に関するものである。
従来、本体と、本体開口を開閉するための蓋とをセットにした調理鍋がある。いわゆる圧力鍋等の特別な機能を有しない調理鍋は、例えば蓋に特段の配慮がない構成とされている。なお、圧力鍋や保温鍋は、内圧で蓋が開かないように、例えば以下の特許文献1に記載されるように蓋が本体と係合したり、蓋が非常に重い構成とされている。
通常の調理鍋は、上記のとおり本体に対して蓋が載置される構成であるために、加熱時の内圧により容易に蓋が開いてしまい、内圧が抜けるために、内圧の維持効果がなく、よって保温効果に関しては期待できないと共に、そのように内圧が抜けるということは蒸気や液体が抜けやいことであるから、調理におけるいわゆる吹きこぼれが生じやすいという問題があった。
一方、圧力鍋や保温鍋は、例えば蓋が非常に重いために全体としても重量が重かったり、また、該蓋と本体との係合構造が複雑であったりして、持ち運びや調理器具として扱う上では重かったり、蓋の開閉に手間取るといった問題があった。
したがって、通常の調理鍋において少なくとも保温効果を持たせようとすると、蓋を重くするか、重い蓋に取り替えて使用するなどすることとなるが、単純にそのようにしたところで、不必要に重ければその分だけ全体重量が増すので、持ち運びや扱いが不便になり、元々の蓋よりは重いが保温効果を得るために要する重量より軽ければ保温効果が得られないといった問題があった。
すなわち、解決しようとする問題は、従来の通常の調理鍋において保温効果を持たせようとして、蓋を重くしたり重い蓋に取り替えて使用したとしても、過剰に重ければ持ち運びや扱いが不便になり、必要以下に軽ければ保温効果が得られない点である。
上記問題を解決するために、本発明は、開口径が14〜30cmの本体と、この本体の開口を開閉する蓋とを備えた調理鍋において、蓋を、2100gを超えない範囲で本体の開口径(cm)に50〜70gを乗じた重さとしたことを主要な特徴とする。
本発明は、本体の開口径を、流通が多くかつ家庭での使用頻度の高い14〜30cmに限定することで、後述する研究が容易となり、結果的に保温効果を維持しつつできるだけ全体重量を軽くすることができる最適な蓋の重量を本体の開口径に基づいて得ることができた。
すなわち、例えば開口径が14cmの本体に対する蓋の重量は、14cmに50gを乗じた700gを下限の重量とし、また、14cmに70gを乗じた980gを上限の重量とする。一方、例えば開口径が30cmの本体に対する蓋の重量は、30cmに50gを乗じた1500gを下限の重量とし、また、30cmに70gを乗じた2100gを上限の重量とする。
このように規定することで、本体の材質等を変更した場合であっても、常に、保温効果を維持することが可能な最適な重量の蓋とすることができ、よって、保温効果が発揮可能な調理鍋としての全体重量を軽量化できる。
本発明は、次の形態により実施可能である。図1〜図6に示すように本発明の調理鍋1は、開口径が14〜30cmで、例えば開口径と底面径とがほぼ同じ径とされた本体2と、この本体2の開口を開閉する蓋3とを備えている。
本例においては、開口径と底面径がほぼ同じ径の本体2を採用したが、この理由は、後述するように本発明は本体2の開口径との関係で蓋3の重量を規定する場合、本体2のおよその内容量と加熱時にかかる内圧を開口径で換算しているので、開口径と底面径とが大きく異なると、本体2の内容量や内圧が重量が規定できないこととなってしまう。したがって、本例では、こうした規定できない例外的で特殊な本体の形状は対象とせず、開口径と底面径がほぼ同じ径の本体2を対象としている。
また、本体2及び蓋3は、以下の重量の条件を満たすならば材質や材質の厚みや内容量は問わないが、本例では、特に本体2を鋼板琺瑯製とし、蓋を鋳物琺瑯製としている。上記本体2を鋼板琺瑯、蓋3を鋳物琺瑯、とする理由は、金属材料に琺瑯加工を施すことによる特性、すなわち加熱しやすく冷めにくく、また、疵や焦げ跡を付きにくい、という長所を得るためである。
また、本体2を鋼板琺瑯、蓋3を鋳物琺瑯、とする理由は、琺瑯加工の蒸気特徴を狙っただけではなく、下記の重量の条件を満たすことにもある。例えば一般的に、鋼板琺瑯は鋼板を加工しているので、厚みも薄くかつ軽くすることができる。一方、鋳物琺瑯は、鋳造によるものであるため、ある程度の厚みが必要で、その厚み分だけ重くなる。
琺瑯加工の特徴を必要としながらも、調理鍋1として、本体2と蓋3とを、鋼板琺瑯製とすると、全体重量は軽くすることは可能であるが、該本体2と蓋3とを鋳物琺瑯製とした場合に較べて、保温効果は低下する。一方、調理鍋1として、本体2と蓋3とを、鋳物琺瑯製とすると、保温効果は鋼板琺瑯製の場合に較べて向上するが、該本体2と蓋3とを鋼板琺瑯製とした場合に較べて全体重量がかなり大きくなる。
つまり、本発明の調理鍋1は、望ましくは、本例のように、本体2を鋼板琺瑯製、蓋3を鋳物琺瑯製とすることで、本発明の調理鍋1は、本体2の(開口径から換算した)重量に基づいて、蓋3を、保温効果が期待できる必要最低限の重さにでき、よって、全体重量をできるだけ軽くすることができる。
また、本例においては、図2(b)に、蓋3の構成のより望ましい構成を示している。すなわち、後述のとおり、蓋3には加熱時の内圧がかかることとなるが、加熱料理、特に煮込み料理においていわゆる「むらなく」調理するには蒸気が蓋3の内面に接触したのち、これが均一的に再度内容物の表層に滴下することが望ましい。
本例においては、蓋3の内面を断面円弧状とすると共に該内面に中心から放射状に複数の突起3aを設けている。こうすることで、本体2における内周縁部で内容物の上面に蒸気が集中して垂れることがなく、むらなく調理することができるようになる。
そして、本発明の調理鍋1では本体2の開口径を14〜30cmとしており、この理由は、流通が多くかつ家庭での使用頻度が高いからである。また、本発明の調理鍋1は、開口径が14〜30cmの本体2に関して、蓋3を、2100gを超えない範囲で本体2の開口径(cm)に50〜70gを乗じた重さとしている。
まず、蓋3の重量の上限である2100gは、本発明者が知見した、上記14〜30cmの開口径の本体2において、蓋3を2100gより重くしても保温効果に大きな変化がないという点によるものである。
ここで、14〜30cmの開口径の本体2に対して、一律で蓋3の重量を2100gとすると、本願におけるもう一方の目的である全体重量の軽量化が図れないことになる。そこで、本体2の開口径と蓋3の重量との関係をさらに研究し、保温効果を維持した最軽量の蓋3とするには、開口直径(cm)に50〜70gを乗じた重さとすればよいことを知見した。
例えば、本体2の開口径が20cmで重量が1000gの場合、蓋3の重量が一律で2100gであると、保温効果が得られるものの調理鍋1の全体重量が3100gとなってしまう。よって、この場合、本体2の開口径である20cmに、50gを乗じて下限で1000g、70gを乗じて上限で1400gの蓋3とすることで、全体重量は下限で2000g、上限で2400gとなり、保温効果を維持して全体重量を700〜1000g軽量化することができる。
本発明の調理鍋1は、上記の構成で十分に保温効果を維持しつつ全体重量の軽量化が図れるのであるが、さらに、本体2と蓋3の嵌合構造を図3〜図6のようにすることで、次のように圧力効果や保温効果がより確実となる。
図3(a)〜(l)には、本体2の開口周縁部に、径方向外側へ突出させると共にこの突出させた部位に段部を形成し、蓋3をこの段部が形成された本体2の開口周縁部に対して内嵌する構成を示している。
また、図4(a)には、蓋3を前記段部が形成された本体2の開口周縁部に対して内外嵌する構成を示している。図4(b)には、本体2本体2の開口周縁部に、径方向外側へ突出させると共に開口中心へ向かって下り勾配とされた傾斜部を形成し、蓋3をこの傾斜部が形成された本体2の開口周縁部に対して内外嵌する構成を示している。
さらに、図5(a)〜(c)には、本体2の開口周縁部に対して、蓋3を内嵌する構成を示している。図6(a)〜(c)には、本体2の開口周縁部に対して、蓋3を内外嵌する構成を示している。
本体2と蓋3との嵌合構造を図3〜図6に示す上記ようにすることで、加熱時の内圧による蒸気漏れが抑制され、より一層保温効果が高くなると共に、特に図3及び図4に示した構成であれば、加熱時の内容物の吹きこぼれを防止することもできる。
次に、本発明をなし得るまでに行った種々の実験のうち、本発明の効果を最も簡単に説明できる実験を示す。以下の各実験において、実施例は、開口径が20cmで900gの鋼板琺瑯製の本体2に対して、本体2と同様の鋼板琺瑯製の蓋3を調整して1000gの重量とした本発明の調理鍋1である。比較例は、同本体2に対して、セットとして備え付けられた336gの蓋を採用した従来の調理鍋である。
(実験1)
実験1では、実施例と比較例の本体2(満水容量2.5リットル)に1.75リットルの水(加熱前10℃)を入れ、室温20℃の環境下で、実施例と比較例の両者で蓋をしたうえで、同じ出力のガスコンロで加熱し、100℃になるまでの時間と、100℃になった時点で加熱を停止して、実験開始から100℃より低い温度になるまでの時間と、実験開始から(加熱開始、加熱停止を経た)30分後の温度を、各々測定した。
実験1では、実施例と比較例の本体2(満水容量2.5リットル)に1.75リットルの水(加熱前10℃)を入れ、室温20℃の環境下で、実施例と比較例の両者で蓋をしたうえで、同じ出力のガスコンロで加熱し、100℃になるまでの時間と、100℃になった時点で加熱を停止して、実験開始から100℃より低い温度になるまでの時間と、実験開始から(加熱開始、加熱停止を経た)30分後の温度を、各々測定した。
実験1の結果、100℃になるまでの時間は、実施例と比較例の両者で差はなくほぼ7分45秒であった。一方、100℃より低い温度になるまでの時間は、実施例が実験開始から13分後であったのに対し、比較例が12分後であった。さらに、実験開始から30分(加熱停止は両者とも7分45秒後)の温度を測定した結果、実施例は86.5℃で比較例は85.5℃であった。
この結果、温度や時間の差としては僅差であるとしても、蓋3を適切な重量に設定することで、保温効果があることが判明した。しかも実施例では、過剰に重くしているわけではなく、保温効果が発揮可能な最低限の増加重量である点に特別な意味がある。
(実験2)
実験2では、実験1と同様の条件で、ガスコンロで加熱し、100℃に到達してから3分経過後に、加熱を停止してから100℃より低い温度になるまでの時間と、加熱を停止してから30分後の温度を、各々測定した。
実験2では、実験1と同様の条件で、ガスコンロで加熱し、100℃に到達してから3分経過後に、加熱を停止してから100℃より低い温度になるまでの時間と、加熱を停止してから30分後の温度を、各々測定した。
実験2の結果、100℃より低い温度になるまでの時間は、実施例が加熱停止後から4分45秒であったのに対し、比較例が加熱停止後から3分30秒であった。また、加熱停止後から30分後の温度は、実施例が81.2℃であったのに対し、比較例が78℃であった。
(実験3)
実験3では、実験2において、100℃に到達してから5分経過後に、加熱を停止してから100℃より低い温度になるまでの時間と、加熱を停止してから30分後の温度を、各々測定した。
実験3では、実験2において、100℃に到達してから5分経過後に、加熱を停止してから100℃より低い温度になるまでの時間と、加熱を停止してから30分後の温度を、各々測定した。
実験3の結果、100℃より低い温度になるまでの時間は、実施例が加熱停止後から5分であったのに対し、比較例が加熱停止後から3分30秒であった。また、加熱停止後から30分後の温度は、実施例が81.2℃であったのに対し、比較例が77℃であった。
以上の実験2,3によれば、調理においては、内容物の水分が沸騰したからと言って即座に加熱を停止することはほとんどなく、概ね、しばらくはそのまま加熱を続けるのが普通であるから、加熱停止後から最高温度より低い温度になるまでの時間が長く、また30分経過後に高い温度を維持できた実施例は、比較例に較べて保温効果が優れていることが判明した。
すなわち、本発明は、何ら規定されていない従来の調理鍋に較べて、本体2との関係から、蓋3を、保温効果を発揮する最低限の重量としているので、保温効果を確実に維持できると共に、本体2と蓋3との合計重量を必要最低限に止めることができ、したがって、保温効果を特徴とする調理鍋としては持ち運びや扱いが簡便となる。
1 調理鍋
2 本体
3 蓋
3a 突起
2 本体
3 蓋
3a 突起
Claims (5)
- 開口径が14〜30cmの本体と、この本体の開口を開閉する蓋とを備えた調理鍋において、前記蓋を、2100gを超えない範囲で本体の開口径(cm)に50〜70gを乗じた重さとしたことを特徴とする調理鍋。
- 本体の開口周縁部に対して、蓋を内嵌又は内外嵌するように形成したことを特徴とする請求項1記載の調理鍋。
- 本体の開口周縁部に、径方向外側へ突出させると共にこの突出させた部位に段部又は開口中心へ向かって下り勾配とされた傾斜部を形成し、蓋を、前記段部又は前記傾斜部に対して内嵌又は内外嵌するように形成したことを特徴とする請求項1記載の調理鍋。
- 蓋の内面を断面円弧状とすると共に該内面に中心から放射状に複数の突起を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調理鍋。
- 本体を鋼板琺瑯製とすると共に、蓋を鋳物琺瑯製とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調理鍋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010027750A JP2011161034A (ja) | 2010-02-10 | 2010-02-10 | 調理鍋 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017046760A (ja) * | 2015-08-31 | 2017-03-09 | 愛知ドビー株式会社 | 調理鍋 |
USD923387S1 (en) * | 2019-06-19 | 2021-06-29 | Lodge Manufacturing Company | Dutch oven |
JP2022113847A (ja) * | 2018-05-31 | 2022-08-04 | 株式会社ハーマン | 調理容器、及び調理容器を備えた加熱調理器 |
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2010
- 2010-02-10 JP JP2010027750A patent/JP2011161034A/ja active Pending
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