図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
始動口62は、遊技球の入球が当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63が拡開された場合、始動口62への開口幅が拡がることとなり入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。本実施例における特別図柄192は、当りの図柄態様である「0」〜「9」のいずれかの数字、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数の図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する特定遊技状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、特定遊技状態では6秒間である。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
変動演出パターンには、通常の外れの図柄組合せを表示するときの通常外れ演出パターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときのリーチ外れ演出パターンと、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときのリーチ大当り演出パターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。時短においては、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短において特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。時短中は、さらに普通図柄の変動時間を通常状態より短縮するとともに、拡開機構63の拡開時間を通常状態よりも長くする、いわゆる開放延長を実行する。このように、時短中は一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、時短中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。本実施例においては、確変が開始されるときに同時に時短も開始される。ただし、時短の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基板39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、乱数生成手段111、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、第1順序値生成手段126、暗号化手段128を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、復号手段133、演出表示制御手段134、役物制御手段136、第2順序値生成手段137、順序値比較手段138を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
乱数生成手段111は、後述する当否抽選、図柄決定抽選、変動パターン決定抽選等の抽選に用いる乱数を生成する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。例えば、所定の初期値からカウントするカウント値を始動口62への入球等のタイミングで抽出することにより擬似的な乱数を生成する。
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として乱数生成手段111から取得する。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当りまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
図5は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。暗号化手段128は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに暗号化して復号手段133へ送信する。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値としての乱数を乱数生成手段111から取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための普通図柄抽選として抽選値の乱数を乱数生成手段111から取得する。図柄決定手段114は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の形で普通図柄表示装置59に変動表示させるために、取得した抽選値に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、抽選値と普通図柄の対応関係が定められた図柄判定テーブルを保持し、その図柄判定テーブルを参照して抽選値に対応する普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータを、暗号化手段128および復号手段133を介して図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図6は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図6(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図6(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図6(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および「−」の記号で表される特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、「−」の記号が外れに対応する。
図6(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。特別図柄「3」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。特別図柄「1」「5」「9」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。
図6(b)に示す通り、特別図柄「−」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
図6(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられ、特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを、変動パターン抽選値として乱数生成手段111から取得する乱数に基づいて選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン選択テーブルを保持する。変動パターン決定手段115は、決定した変動パターンを示すデータを暗号化手段128および復号手段133を介して図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
図7は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは図7(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図7(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図7(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図7(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。
図7(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
図7(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
図3に戻り、保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保留球として保持する。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを暗号化手段128による暗号化処理と復号手段133による復号処理を介して演出表示制御手段134へ送る。変動開始コマンドを送るとき、暗号化手段128は判定ないし決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに暗号化して復号手段133へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、暗号化手段128は、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに暗号化して復号手段133へ送信してもよい。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、確変および時短の状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
第1順序値生成手段126は、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115等により命令が生成されるたびに、その命令に対応する処理の順序を示す第1の順序値を生成する。第1の順序値は、暗号化手段128が各種命令とともに暗号化するために用いられ、暗号化された第1の順序値は復号手段133に復号されて、サブ基板104がもつ順序値と比較される。第1順序値生成手段126は、初期的には遊技機ごとに一意に割り当てられた固有値を第1の順序値の初期値とし、所定の順序値生成規則にしたがって初期値を変化させることで第1の順序値を生成する。その後は、各種命令が生成されるたびに、前回生成した第1の順序値を順序値生成規則にしたがって変化させることで第1の順序値を生成する。単純な手法としては、各種命令が生成されるたびに前回の命令に対する順序値に1ずつ加算して新たな第1の順序値としてもよい。第1の順序値の初期値の変形例としては、電源投入時にランダムな値を生成して初期値としてもよい。その場合、第1順序値生成手段126は、暗号化手段128による処理を介して、暗号化された初期値を復号手段133へ送信する。
暗号化手段128は、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115等により決定された内容や各種制御コマンドを含む命令と第1の順序値を暗号化して復号手段133へ送信する。また、暗号化手段128は、第1の暗号鍵をさらに暗号化して復号手段133へ送信する。
復号手段133は、暗号化手段128によって暗号化された命令および第1の順序値を受信して復号する。復号手段133は、暗号化手段128によって暗号化された第1の暗号鍵を受信して復号する。
第2順序値生成手段137は、復号手段133が命令を受信するたびにその命令にしたがった処理の順序を示す第2の順序値を生成する。第2順序値生成手段137は、初期的には第1順序値生成手段126と同じ固有値を第2の順序値の初期値とし、第1順序値生成手段126と同じ順序値生成規則にしたがって初期値を変化させることで第2の順序値を生成する。その後は、復号手段133が命令を受信するたびに、前回生成した第2の順序値を順序値生成規則にしたがって変化させることで第2の順序値を生成する。したがって、第1の順序値と第2の順序値は、つねに一致することが前提となる。変形例としては、第1の順序値の初期値として電源投入時に生成されたランダムな値を復号手段133を介して受け取って第2の順序値の初期値としてもよい。
順序値比較手段138は、第1順序値生成手段126が生成した第1の順序値と第2順序値生成手段137が生成した第2の順序値の比較により第1の順序値を認証する。第1の順序値と第2の順序値が一致するか否かを判定することで、暗号化手段128を介して送信された第1の順序値が正しい値であることを認証する。正しい値であることが認証された場合、送信された命令も正規のデータであって、メイン基板102もまた正規の基板であることが認証される。比較の結果、順序値が一致しなかった場合は、送信された命令を破棄してもよいし、一致しなかった旨を示す通知を外部の遊技機管理装置へ出力してもよい。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に前兆として予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、復号手段133により復号された命令に含まれる当否抽選の結果や特別図柄の変動パターン等のデータに応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、特別図柄192と同じ数字が選ばれるのが好ましい。例えば、特別図柄192が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して前兆設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、復号された命令に含まれる装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったことを新たな図柄変動の開始条件とする。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
図4は、図3の暗号化手段128および復号手段133の詳細を示す。暗号化手段128は、第1鍵生成手段200、第1暗号化処理手段202、第2鍵記憶手段204、第2暗号化処理手段206、命令送信手段208を含む。暗号化手段128は、その内部構成を一体的に含むワンチップ回路で形成され、メイン基板102に搭載される。
第1鍵生成手段200は、一時的な対称鍵である第1の暗号鍵を所定の鍵生成アルゴリズムを用いて生成する。第1鍵生成手段200は、ぱちんこ遊技機10の電源投入後の所定タイミングで乱数生成手段111から取得する値を用いて第1の暗号鍵を生成する。本実施例では、ぱちんこ遊技機10の電源を投入するたびに第1鍵生成手段200が第1の暗号鍵を生成するとともに、当否抽選がなされるたびに第1の暗号鍵を生成し直す。ただし、変形例としては電源投入するたびにその直後に1回生成するだけであってもよいし、電源投入直後ではなく当否抽選のたびに生成する構成であってもよい。第1の暗号鍵を生成するために乱数生成手段111から取得する値は、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115等における抽選で用いる乱数であってもよいし、第1の暗号鍵を生成するタイミングで取得するカウント値であってもよい。以上により、第1の暗号鍵は、所定のタイミングでランダムな値をもとにした不定値として生成される。
乱数生成手段111から取得されるランダムな値をもとに第1の暗号鍵が生成されるので、第1の暗号鍵の不用意な固定化を回避でき、鍵の安全性や秘匿性を高く維持することができる。またそうした構成を実現するために、ぱちんこ遊技機10に必須の構成ないし処理である当否抽選や停止図柄の抽選、変動パターンの抽選等に用いる乱数またはそのためのカウント値を活用することで実装を容易にしている。さらに、第1の暗号鍵を一時的な鍵として不定値にしたことにより、仮に同じ命令を送信する場合でも違う暗号鍵で暗号化されれば送信されるデータも異なるようになり、不正な解析も困難となる。万が一、不正な解析によって第1の暗号鍵が解読されたとしても、少なくとも電源投入のたびに暗号鍵が変更され、次の電源投入後は同じ鍵は使われない。また、当否抽選のたびに暗号鍵が変更されるので、次の当否抽選でも同じ鍵は使われない。新たに第1の暗号鍵が生成し直されれば不正な解読結果は無意味となる。このようにして第1の暗号鍵の秘匿性が保たれることで、送信する命令内容の解析を困難にすることができる。また、命令内容の解析が困難となることにより、そうした解析の結果を悪用して偽造基板を作製することも困難となり、不正行為を効果的に防止することができる。
第1暗号化処理手段202は、乱数生成手段111から第1の暗号鍵を取得し、メイン基板102からサブ基板104へ送信すべき命令を、第1の暗号鍵を用いた対称鍵暗号方式にて暗号化する。具体的には、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115等により決定された内容や各種制御コマンドを含む命令や第1の順序値を暗号化する。
第2鍵記憶手段204には、第1の暗号鍵と異なる第2の暗号鍵があらかじめ格納される。第2の暗号鍵は非対称鍵暗号方式で用いられる非対称鍵であり、復号手段133にあらかじめ格納された第3の暗号鍵と鍵ペアをなす。例えば、公開鍵暗号方式における公開鍵に相当する鍵を用いてもよい。
第2暗号化処理手段206は、第2の暗号鍵を用いた非対称鍵暗号方式にて第1の暗号鍵と第1の順序値を暗号化する。本実施例においては、第1暗号化処理手段202と第2鍵記憶手段204の双方が第1の順序値をそれぞれ暗号化しているが、変形例としては、第1暗号化処理手段202および第2暗号化処理手段206のうち一方のみが、第1の順序値の初期値を暗号化する。
命令送信手段208は、暗号化された命令および第1の順序値と、暗号化された第1の暗号鍵および第1の順序値とを復号手段133へ送信する。変形例として、命令送信手段208は、暗号化された第1の順序値の初期値をさらに復号手段133へ送信する。
第2鍵記憶手段204から第2暗号化処理手段206へと第2の暗号鍵が送られる経路はパッケージ内に収められて外部からのアクセスが困難となるため、第2の暗号鍵および非対称鍵暗号化アルゴリズムの秘匿性を維持することができ、よって第1の暗号鍵と命令内容の秘匿性も効果的に維持することができる。
復号手段133は、命令受信手段210、第3鍵記憶手段212、第1復号処理手段214、第2復号処理手段216を含む。復号手段133は、その内部構成を一体的に含むワンチップ回路にて形成され、サブ基板104に搭載される。
命令受信手段210は、暗号化された命令および第1の順序値と、暗号化された第1の暗号鍵および第1の順序値とを暗号化手段128から受信する。変形例として、命令受信手段210は、暗号化された第1の順序値の初期値をさらに暗号化手段128から受信する。
第3鍵記憶手段212には、第2の暗号鍵と非対称の鍵ペアとなる第3の暗号鍵があらかじめ格納される。第3の暗号鍵は、非対称鍵暗号方式による復号に用いられる非対称鍵である。例えば、公開鍵暗号方式における秘密鍵に相当する鍵を用いてもよい。第1復号処理手段214は、暗号化された第1の暗号鍵と第1の順序値を第3の暗号鍵を用いて復号する。
第2復号処理手段216は、復号された第1の暗号鍵を第1復号処理手段214から受け取り、暗号化された命令を第1の暗号鍵を用いて復号する。ただし、第2復号処理手段216は、復号された第1の順序値が第2の順序値との比較により認証されたことを条件として命令を復号する。第2復号処理手段216は、暗号化された第1の順序値を第1の暗号鍵を用いて復号し、第1復号処理手段214により復号された第1の順序値との間で順序値比較手段138に比較させてもよい。あるいは、暗号化された第1の順序値を第1の暗号鍵を用いて復号し、第2順序値生成手段137により生成される第2の順序値との間で順序値比較手段138に比較させてもよい。
第3鍵記憶手段212から第1復号処理手段214へと第3の暗号鍵が送られる経路はパッケージ内に収められて外部からのアクセスが困難となるため、第3の暗号鍵および非対称鍵復号アルゴリズムの秘匿性を維持することができ、よって第1の暗号鍵と命令内容の秘匿性も効果的に維持することができる。
図8は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10の入賞処理においてセットされた賞球数にて各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図9は、図8におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行するとともにメイン基板102からサブ基板104へ各種命令が暗号化されて送られる(S34)。判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、命令を受け取った演出表示制御手段134が変動演出パターンにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図10は、図9におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出し(S50)、第1鍵生成手段200が第1の暗号鍵を生成し(S52)、当否抽選手段112は当否抽選値に基づいて当否を判定する(S54)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S56)、変動パターン決定手段115が特別図柄の変動パターンを選択する(S58)。このように当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115等により命令が生成されると、第1順序値生成手段126が前回の命令に対応する第1の順序値を読み出して新たな第1の順序値を生成し(S60)、第1暗号化処理手段202が当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115等が決定した命令を第1の順序値とともに第1の暗号鍵を用いて暗号化し(S62)、第2暗号化処理手段206が第1の暗号鍵と第1の順序値を第2の暗号鍵を用いて暗号化し(S64)、これら暗号化データを命令送信手段208が命令受信手段210へ送信する(S66)。
命令送信手段208から送信された暗号化データを命令受信手段210が受信し(S68)、暗号化された第1の暗号鍵と第1の順序値を第1復号処理手段214が第3の暗号鍵を用いて復号し(S70)、順序値比較手段138による比較処理の結果、第1の順序値と第2の順序値が一致すれば(S72のY)、暗号化された命令を第2復号処理手段216が第1の暗号鍵を用いて復号し(S74)、その命令にしたがって演出決定手段132は装飾図柄の停止図柄組合せや装飾図柄の変動演出パターンを選択する(S76)。第1の順序値と第2の順序値が一致しないときはS74とS76をスキップする(S72のN)。なお、S72において第1復号処理手段214が復号した第1の順序値と第2復号処理手段216が復号した第1の順序値とをS74の後で順序値比較手段138がさらに比較して両者が一致したことを条件として演出決定手段132が装飾図柄の停止図柄組合せや装飾図柄の変動演出パターンを選択することとしてもよい(S76)。あるいは、第2復号処理手段216が復号した第1の順序値と第2順序値とをS74の後で順序値比較手段138がさらに比較して両者が一致したことを条件として演出決定手段132が装飾図柄の停止図柄組合せや装飾図柄の変動演出パターンを選択することとしてもよい(S76)。また、変形例として、順序値が不一致であった場合に、順序値比較手段138がぱちんこ遊技機10の外部にある遊技機管理装置へ不一致があった旨の通知を出力してもよいし、不一致があった旨を示す報知ランプを点灯させてもよい。不一致であった場合に、外部へ報知する代わりにS74とS76をスキップせずに通常どおり命令の復号と変動演出パターンの選択を実行してもよい。なお、本図では当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115等が決定した命令を暗号化する例を説明した。これと同様に、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、保留制御手段116、開閉制御手段124が決定した命令もS52、S60〜S74の処理により暗号化または復号する。
図11は、図8におけるS16の特別遊技を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66がまだ開放済でない場合(S300のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S302)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S304)。大入賞口66が開放済であればS302およびS304をスキップする(S300のY)。大入賞口66が開放されてから、所定の開放時間が経過した場合(S306のY)、または、開放時間が経過していないものの(S306のN)、大入賞口66への入球数が9球以上に達した場合(S308のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S310)。開放時間が経過しておらず(S306のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S308のN)、S310以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S310における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合(S312のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S314)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させ(S316)、特定遊技、すなわち確変および時短の実行を開始する(S318)。単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S312のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S319)。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上記の実施例においては、遊技機としてぱちんこ遊技機を例にして説明した。変形例においては、回胴式遊技機として本発明を実現してもよい。回胴式遊技機の場合、遊技者が遊技媒体である遊技メダルを投入して始動レバーを操作すると回胴リールが回転し、停止スイッチの操作に応じて停止した図柄が所定の役を形成したときに遊技者に有利な状態へ移行する。この場合の遊技抽選手段は、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役、リプレイ等の役を遊技抽選で決定する。