以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1〜図29を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64,65a,630,640,650a等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図5参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠(ガラス扉枠)14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81で表示される変動表示(変動演出)の演出パターンを変更したり、リーチ演出時の演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する押しボタン式の打ち止めスイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび打ち止めスイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。
下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、第1普通入賞口63、第2普通入賞口630、第1入球口(第1始動口)64、第2入球口(第2始動口)640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。普通入賞口63、第2普通入賞口630、第1入球口64、第2入球口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図5参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、発光手段である複数の発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、後述する主制御装置110(図5参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、第1または第2普通入賞口63,630への入球(普通入賞)に伴って行われる普通変動中であるか否かを、点灯状態により示すことによって普通図柄の変動表示を行ったり、その変動終了後の停止図柄として、その普通入賞に対して行われる抽選の結果に応じた図柄を点灯状態により示したり、第1普通入賞口63および第2普通入賞口630に入球(普通入賞)された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を、点灯状態により示すものである。また、第1入球口64や第2入球口640への入球(始動入賞)に伴って行われる特別変動中であるか否かを点灯状態により示すことによって特別図柄の変動表示を行ったり、変動終了後の停止図柄として、その始動入賞に対して行われる抽選の結果に応じた図柄を点灯状態により示す。7セグメント表示器37bは、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入球口64および第2入球口640への入球に対して行われる抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行う。本パチンコ機10では、大当たりとして、「2R大当たり」の1種類が用意されている。ここで、「2R大当たり」とは、最大ラウンド数が2ラウンドの大当たりのことである。LED37aには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示される。
尚、本パチンコ機10では、大当たり種別を1種類だけ用意したが、大当たり種別を複数用意しても良い。例えば、最大ラウンド数が2ラウンドよりも多い(例えば15ラウンド)大当たり種別や、「高確率状態」(即ち、大当たり確率がアップした状態)を大当たり終了後に付与する大当たり種別、「低確率状態」のうち時短状態を大当たり終了後に付与する大当たり種別等を用意しても良い。
ここでいう「高確率状態」とは、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄(普通図柄)の当たり確率がアップして、第1入球口64に付随する電動役物64aあるいは第2入球口640に付随する電動役物640aが開放(第1入球口64あるいは第2入球口640が開放)されやすくなることで、第1入球口64あるいは第2入球口640へ球が入球し易い遊技の状態を含む。
一方で、「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄(普通図柄)の当たり確率のみがアップして、第1入球口64および第2入球口640に付随する電動役物64a,640aが開放されやすくなることで、第1入球口64および第2入球口640へ球が入球し易い遊技の状態のことをいう。
なお、第2図柄の当たり確率を変更する代わりに、パチンコ機10の遊技状態に応じて、第1入球口64および第2入球口640に付随する電動役物64a,640aが開放する時間や、第2図柄における1回の当たりで電動役物64a,640aが開放する回数を変更するものとしても良い。例えば、低確率状態の時短状態や高確率状態は、第1入球口64および第2入球口640に付随する電動役物64a,640aの開放時間が、その他の遊技状態と比して長くなる状態であってもよい。また、低確率状態の時短状態や高確率状態は、第2図柄における1回の当たりで電動役物の開放する回数が、その他の遊技状態と比して多くなる状態であってもよい。
遊技領域の上方には、第1普通入賞口63と第2普通入賞口630とが左右に並んで配設されている。まず、第1普通入賞口63は、第1普通入賞スイッチ(図示せず)を備えており、第1普通入賞スイッチによって第1普通入賞口63を通過する球が検出されることにより、第2図柄(普通図柄)の変動表示が一定時間(例えば20秒間)行われると共に、5個から15個の球が賞球として払い出される。第2普通入賞口630は、第1普通入賞口63と同様に構成されている。即ち、第2普通入賞スイッチ(図示せず)を備え、該スイッチによって第2普通入賞口63を通過する球が検出されることにより、第2図柄の変動表示が一定時間(例えば20秒間)行われると共に、5個から15個の球が賞球として払い出される。
また、第1普通入賞口63と第2普通入賞口630下方(図2紙面下側)の遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1普通入賞口63および第2普通入賞口630への入球(普通入賞)をトリガとして第2図柄(普通図柄)の変動表示を行う第2図柄表示領域Db(図4参照)と、第1入球口64および第2入球口640への入球(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37における変動表示と同期させながら、第3図柄(特別図柄)の変動表示を行う第3図柄変動表示領域Dm(図4参照)とを備えた、液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81が設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114(図5参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。なお、第3図柄表示装置81の具体的な表示内容については、図4を参照して後述する。
また、第3図柄表示装置81の一領域(第2図柄表示領域Db)には、後述する表示制御装置114(図5参照)によって表示内容が制御されることにより、1の普通図柄(第2図柄)が表示される。普通図柄は、当たり図柄である「☆(ほし)」と、ハズレ図柄である「−(横線)」の2つの図柄によって構成され、これらの図柄が交互に表示されて、第3図柄表示装置81の表示画面上にて普通図柄が可変表示されるようになっている。パチンコ機10は、第2図柄表示領域Dsにおける変動表示が当たり図柄(本実施形態においては「☆」の図柄)で停止(確定表示)した場合に、第1入球口64に付随する電動役物64aあるいは第2入球口640に付随する電動役物640aのいずれかが所定時間(1.2s)だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。また、当たり図柄が停止した変動表示が第1普通入賞口63への入球に基づいて行われた場合は、第1入球口64に付随する電動役物64aが作動状態となり、当たり図柄が停止した変動表示が第2普通入賞口630の入球に基づいて行われた場合は、第2入球口640に付随する電動役物640aが作動状態となる。
第1普通入賞口63への入球に基づいて行われる普通図柄の変動表示と、第2普通入賞口630への入球に基づいて行われる普通図柄の変動表示とは、いずれも通常時は、同じ変動パターンで、同じ時間(本実施形態では20秒間)行われる。このため、遊技者は、普通図柄の変動表示が、第1普通入賞口63または第2普通入賞口630のうち、何れに対する普通入賞に起因して行われているかということを、第2図柄表示領域Dbの表示から判別することができない。しかも、第2図柄表示領域Dbに当たり図柄が表示されて、第1および第2電動役物64a,640のうち、一方が開放される時間は、1.2sと短い時間である。このため、通常の遊技では、第1または第2電動役物64a,640が開放したことを確認してから、開放した電動役物が付随しているいずれかの入球口64,640へ向けて打球を開始しても、開放期間中に球は入球口まで届かない。
一方で、詳細は後述するが、所定の条件下で設定されるATモード(「AT」は、AssistTimeの略)時には、第2図柄表示領域Dbに普通当たりの停止図柄を表示させる変動表示の途中で、遊技動作示唆が行われる。本実施形態でいう遊技動作示唆とは、遊技者が、遊技動作示唆の示唆通りに遊技を進行することによって、遊技者に所定の利益を与える演出のことである。
本実施形態では、変動表示中の第2図柄表示領域Dbが、第3図柄表示装置81の画面内で、第1入球口64側(図2紙面左側)あるいは第2入球口640側(図2紙面右側)に移動して、一方の入賞口に近づいていく演出が、遊技動作示唆として行われる。この演出によって、第1および第2入球口64,640のうち、第2図柄表示領域Dbが近づいた方が開放されることを、遊技者に対して示唆する。遊技者は、この示唆に従って、入球口が開放するより早くから打球を行うことにより、ほぼ確実に、第1または第2入球口64,640へ入賞させることができる。よって、第2図柄表示領域Dbの変動表示が行われた場合に、遊技者に対して、遊技動作示唆が行われることへの期待感を持たせて、遊技の興趣を高めることができる。
第1図柄表示装置37にて停止図柄(普通当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に、球が第1普通入賞口63へ入球した場合、または、球が第2普通入賞口630へ入球した場合に、第1普通入賞口63の入球回数と第2普通入賞口630の入球回数とが、合計で最大8回まで保留され、その保留回数は第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81の表示画面(保留表示領域Ds)にも示される。第1図柄表示装置および第3図柄表示装置81には、第1普通入賞口63および第2普通入賞口630の保留回数の合計数が表示され、各普通入賞口63,630の個別の保留回数は表示されない。これは、第2図柄表示領域Dbに表示される変動表示が、各普通入賞口63,630のうち、いずれの入賞に基づいて行われたものであるかを、遊技者に把握させないようにするためである。尚、図4(a)の保留表示領域Dsには、6個の保留図柄(本実施形態ではヘルメットの図柄)により、保留回数が6回あること(保留球が6個あること)を示している。
なお、第2図柄(普通図柄)の変動表示は、本実施形態のように、第1図柄表示装置37又は第3図柄表示装置81の一部(第2図柄表示領域Db)を使用して行うもののほか、複数のランプを備えた第2図柄表示装置を設け、その複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものとしてもよい。同様に、第1および第2普通入賞口63,630aの最大保留球数分だけランプを設け、保留回数の合計数と同じ数のランプを点灯させることにより、第1および第2普通入賞口63,630の保留回数を示しても良い。
可変表示装置ユニット80の左方(図2紙面左側)には、第1入球口(始動入賞口)64が配設されている。第1入球口64に付随する電動役物64aは、通常時、閉状態となるよう構成され、第1入球口64上方の複数の釘と共に、第1入球口64の上方を閉鎖する。このため、第1入球口64は通常時、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態(閉鎖状態)になっている。一方、第1普通入賞口63への入球に基づいて行われた変動表示によって、第2図柄表示領域Dbにて当たり図柄の停止表示が行われ際に、電動役物64aは、所定時間(1.2s)開状態となる。この場合、第1入球口64は、電動役物64aと釘との間から遊技球が入球可能な開状態(開放状態)となる。
この第1入球口64へ球が入球(普通入賞)すると、遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入球口64スイッチのオンに起因して、主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、また、第1図柄表示装置37や第3図柄表示装置81において特別図柄の変動表示が開始(始動)される。そして、所定の変動時間経過後に、特別図柄の変動表示が停止され、抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37のLED37aで示されると共に、その抽選結果に応じた第3図柄(特別図柄)が第3図柄表示装置81の有効ラインL1上に停止表示される。また、第1入球口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
また、可変表示装置ユニット80の右方(図2紙面右側)には、第1入球口64と同様に構成された、第2入球口(始動入賞口)640が配設されている。第2入球口640に付随する電動役物640aは、通常時、閉状態となるよう構成され、第2入球口640上方の複数の釘と共に、第2入球口640の上方を閉鎖する。このため、第2入球口640は通常時、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態(閉鎖状態)になっている。一方、第2普通入賞口630への入球(普通入賞)に基づいて行われた変動表示によって、第2図柄表示領域Dbにて当たり図柄の停止表示が行われた際に、電動役物640aは、所定時間(1.2s)開状態となる。この場合、第2入球口640は、電動役物640aと釘との間から遊技球が入球可能な開状態(開放状態)となる。
この第2入球口640へ球が入球すると、遊技盤13の裏面側に設けられる第2入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入球口スイッチのオンに起因して、主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、また、第1図柄表示装置37や第3図柄表示装置81における変動表示が開始(始動)される。そして、所定の変動時間経過後に、変動表示が停止され、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37のLED37aで示されると共に、その抽選結果に応じた第3図柄が第3図柄表示装置81の有効ラインL1上に停止表示される。また、第1入球口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
ここで、前述したように、遊技者は、普通図柄の変動表示が第1普通入賞口63または第2普通入賞口630のうち、何れへの入賞に基づいて行われているかということを、第2図柄表示領域Dbの表示から判別することができない。しかも、第2図柄表示領域Dbに当たり図柄の停止表示がされて、第1および第2電動役物64a,640のうち、一方が開放される時間は、1.2sと短い時間である。このため、通常の遊技では、第1または第2電動役物64a,640が開放したことを確認してから、開放した電動役物が付随しているいずれかの入球口64,640へ向けて打球を開始しても、球が入球口64,640へ届くまでに、第1または第2電動役物64a,640aの開放期間は終了してしまう。即ち、第1または第2電動役物64a,640aが開放したことを確認してから、いずれかの入球口64,640へ向けて打球を開始しても、その打球によって各入球口64,640への入賞は生じない。
また、第1入球口64と第2入球口640との間に挟んで配置された、遊技領域中央のセンターフレーム86に打球することで、球を該センターフレーム86によって左右に振り分けさせ、第1入球口64および第2入球口640の両方を狙うこともできるが、この場合は、打球が左右に分散するので、第1および第2入球口64,640それぞれにおいて始動入賞が成立する確率は、一方の入球口64,640に決め打ちする場合のおよそ2分の1程度となる。
このため、第2図柄表示領域Dbに当たり図柄が停止表示がされるとしたらいずれの入球口64,640が開状態となるかを遊技者自身が予想して、開状態となると予想した入球口(入球口64,640)に対して打球を決め打ちすることもでき、センターフレーム86に対して打球を行い、ランダムに左右へ振り分けられる球によって第1および第2入球口64,640を満遍なく狙うこともできる遊技を、遊技者の好みに併せて提供することができる。
第1入球口64の下方には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の第1大開放口(第1特定入賞口)65aが設けられている。第1可変入賞装置65は、具体的には、第1大開放口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための第1大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第1大開放口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態(閉鎖状態)になっている。第1入球口64への入賞に基づいて「大当たり」が発生した際には、第1大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が第1大開放口65aに入賞しやすい開状態(開放状態)を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
また、第2入球口640の下方(図2紙面下側)には、第1可変入賞装置65と同様に構成された第2可変入賞装置650が配設されている。第2可変入賞装置650は、第2大開放口650aを有し、第2入球口640への入賞に基づいて「大当たり」が発生した際、第2大開放口650aの開閉動作(開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返す動作)を、第1可変入賞装置65と同様にして行う。
パチンコ機10においては、主制御装置110での抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている大開放口65a,650aのうち、大当たりの契機となった始動入賞があった始動口(第1入球口64または第2入球口640)と対応するものが、所定時間に開放・閉鎖を繰り返す。
第1大開放口65aおよび第2大開放口650aの開閉動作は、いずれの開放口も最高で2回(2ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。例えば、第1図柄表示装置37において大当たりに対応したLED37aが点灯した場合に、第1大開放口65aが所定時間開放され、その第1大開放口65aの開放中に、球が第1大開放口65a内へ入賞することを契機として第2大開放口650aが所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、遊技盤13に配設する特定入賞口を、第1大開放口65aの1つだけにして、第1図柄表示装置37において大当たりに対応したLED37aが点灯した場合に、この第1大開放口65aが一定時間毎に開放と閉鎖とを所定回数繰り返す遊技状態を、特別遊技状態として形成するようにしても良い。
更に、遊技盤13には、アウト口66が設けられている。いずれの入賞口63,64,65a,630,640,650aにも入球しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図5参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図5参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に図4を参照して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出の表示内容について説明する。図4(a)は、第3図柄表示装置81の変動演出画面を説明するための図であり、通常時における実際の表示画面を例示した図である。また、図4(b)は、第3図柄表示装置81の変動演出画面を説明するための図であり、遊技動作示唆実行時における実際の表示画面を示した模式図である。図4(a)、(b)には、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とが、あわせて模式的に示してある。
第3図柄は、「0」から「9」の数字に対応する10種類のキャラクタ図柄からなる10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された1種類の副図柄(本実施の形態では、貝の絵図柄)とにより構成されている。これらの主図柄及び副図柄は、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されることによって図柄列を構成している。
本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110(図5参照)による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動演出が第3図柄表示装置81にて行われ、その変動演出が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。
第3図柄表示装置81の表示画面は、大きく3つの領域に分割されている。1つは、第3図柄変動表示領域Dmであり、1つは、第2図柄表示領域Dbであり、もう1つは、保留表示領域Dsである。
第3図柄変動表示領域Dmは、第3図柄が可変表示される変動演出が表示される領域である。第3図柄変動表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1〜Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1〜Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、第3図柄変動表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。従って、第3図柄変動表示領域Dmには、3列×3段の計9個の第3図柄が表示される。
ここで、各図柄列Z1〜Z3の中段部が有効ラインL1として設定されており、毎回の遊技(変動演出)に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば、大当たりとなって、大当たり演出が行われる。
第2図柄表示領域Dbは、普通図柄(第2図柄)を表示する領域であり、普通図柄の変動表示が行われる領域である。前述の通り、本パチンコ機10の普通図柄は、当たり図柄「☆(ほし)」及びハズレ図柄「−(横線)」の2つの図柄によって構成されている。これらの図柄が交互に表示されて第2図柄表示領域Dbにて変動表示が行われる。
毎回の普通図柄の変動表示に際して、変動表示が開始されてから所定時間(20s)が経過すると、普通図柄は、当たり図柄「☆」又はハズレ図柄「−」のうち、いずれかの図柄が停止表示される。その普通図柄の停止表示時に当たり図柄「☆」が表示されれば、当たりとなって、第1又は第2始動口64,640の一方が、所定時間(1.2s)開状態となる。
一方、普通図柄の停止表示時にハズレ図柄「−」が表示されれば、ハズレであり、第1又は第2始動口64,640は閉状態が維持される。パチンコ機10では、普通図柄変動表示におけるハズレとして、通常ハズレと、特殊ハズレとの2種類のハズレが用意されているが、いずれのハズレであっても、停止表示時にはハズレ図柄「−」が表示される。
特殊ハズレの停止図柄であるハズレ図柄「−」が第2図柄表示領域Dbに表示された場合、パチンコ機10は、所定確率でATモードへ突入する。ここで、ATとは、所定条件の成立に基づいて遊技者に遊技の進行を示唆する遊技動作示唆を第3図柄表示装置81等に表示等させる期間のことである。また、ATモードとは、パチンコ機10にATが設定されているときの遊技状態のことである。
ATモードでは、当たり図柄「☆」が停止表示される普通図柄の変動表示の表示態様が、通常時(即ち、非ATモード時)と異なる。
ここで、図4(b)を参照して、ATモード時において、第2図柄表示領域Dbに当たり図柄「☆」が停止表示される場合に行われる遊技動作示唆の詳細について説明する。
図4(b)に示すように、パチンコ機10の遊技動作示唆は、普通図柄(第2図柄)の変動中に、第3図柄表示装置81の表示画面上で第2図柄表示領域Dbを移動させ、第1入球口64または第2入球口640のうち、普通図柄が停止表示された際に開放されるものに近づけていくことによって行う。即ち、第3図柄表示装置81の表示画面上で第2図柄表示領域Dbが第1入球口64に近づく演出が行われた場合は、普通図柄の停止表示後に、第1入球口64の開放が示唆され、第2入球口640に近づく演出が行われた場合は、普通図柄の停止表示後に、第2入球口640の開放が示唆される。
前述した通り、1回の当たり図柄「☆」の停止表示に対して、第1および第2入球口64,640の一方が開状態となる時間は、1.2sと短い時間であるため、通常の遊技では、第1または第2入球口64,640が開放したことを確認してから、開放した入球口64,640へ向けて打球を開始しても、その入球口へ入賞させることはできない。
これに対し、遊技動作示唆が行われると、当たり図柄「☆」が停止表示される前に、開放する入球口が示唆されるので、遊技者は、余裕をもってその入球口へ向けて打球を行うことができる。よって、パチンコ機10は、遊技動作示唆によって、当たり図柄「☆」が停止表示された結果、第1および第2入球口64,640の一方が開放された場合に、開放された入球口に入賞する確率を高めることができる。
ATモードは、ATモードが設定されてから、普通図柄の変動演出が所定回数(本実施形態では15回)行われた場合に終了する。また、ATモード時に大当たりが発生した場合は、所定確率でATモードの延長(継続、再設定)が設定され、そこから改めて、普通図柄の変動演出が所定回数行われるまで、ATモードを延長する。これにより、大当たりによってATモードが延長された結果、頻繁に遊技動作示唆が行われることを遊技者に期待させることができる。一方、ATモードの延長が設定されない場合は、普通図柄の変動演出が所定回数行われる前であっても終了する。
図4(a)に戻って説明を続ける。保留表示領域Dsは、第1普通入賞口63および第2普通入賞口630に入球(普通入賞)された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域である。第2図柄表示領域Db(第1図柄表示装置37)にて変動表示が行われている間に、第1普通入賞口63および第2入賞口630の一方へ球が入球(普通入賞)した場合、その入球回数は、他方の普通入賞口の入球回数と併せて、最大8回まで保留され、その保留球数は保留表示領域Dsにて示される。保留表示領域Dsには、第1普通入賞口63および第2普通入賞口630の保留回数の合計数が表示され、各普通入賞口63,630の個別の保留回数は表示されない。これは、第2図柄表示領域Dbに表示される変動表示が、各普通入賞口63,630のうち、いずれの入賞に基づいて行われたものであるかを、遊技者に把握させないようにするためである。
保留表示領域Dsには、保留球数1球につき1つの保留図柄(ヘルメットの図柄)が表示され、その保留図柄の表示数に応じて、保留球数が表示される。即ち、保留表示領域Dsに1つの保留図柄が表示されている場合は、保留球数が1球であることを示し、8つの保留図柄が表示されている場合は、保留球数が8球であることを示す。また、保留表示領域Dsに保留図柄が表示されていない場合は、保留球数が0球である、即ち、保留球が存在しないことを示す。遊技者は、保留表示領域Dsに表示された保留球数から、その時点で保留されている保留球の合計数を把握することができる。尚、図4(a)の保留表示領域Dsには、6個の保留図柄により、保留球数が6であることを示している。
保留球にかかる普通図柄の変動表示は、第1普通入賞口63および第2普通入賞口630に入賞した時期の早いものから順に消費される。並んで配置されている第1普通入賞口63および第2普通入賞口630の何れへ球が入賞するかは、打球の勢いや、遊技盤13に設けた釘によって、不規則なものなので、第1普通入賞口63および第2普通入賞口630へ球が入賞する順番も不規則になる。よって、第2図柄表示領域Dbに表示される変動表示が、各普通入賞口63,630のうち、いずれの入賞に基づいて行われたものであるかを、遊技者にとって把握困難なものにすることができる。
このように、第1普通入賞口63または第2普通入賞口64への入賞を契機として第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbでは普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行され、その普通図柄の変動演出の結果によって、普通当たり抽選の結果が遊技者に通知される。ATモード時に、普通当たりとなる変動演出の途中で行われる遊技動作示唆によって、遊技者は、大当たりの契機となる始動入賞を高確率で行うことができる期待感を持つことができ、遊技に対する興趣を高めることができるのである。
次に、図5を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図5は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201は、8ビットマイコンで構成され、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、乱数を生成する乱数発生回路206と、パチンコ機10の製造番号を記憶する第1ID用ROM207と、そのほか、割込回路やタイマ回路などの各種回路が内蔵されている。
主制御装置110が、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドが送信される。本実施形態では、各種のコマンドは、2バイトで構成されており、8ビットのパラレルデータとして、主制御装置110とサブ制御装置の入出力ポート205,215,225を介して、1バイト目、2バイト目の順に、主制御装置110からサブ制御装置への一方向にのみ送信される。
本実施形態では、主制御装置110がサブ制御装置に対して動作を指示する場合、そのための各種コマンドは、一旦、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶される。そして、設定された各種コマンドは、その後、メイン処理(図21参照)の外部出力処理(S801)が実行された場合に、主制御装置110からサブ制御装置へ送信される。
主制御装置110では、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける表示結果の抽選(普通当たり抽選)、大当たり抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
ROM202は、これらの処理を制御するために用いられる固定値データとして、普通当たり抽選に用いられる普通当たり乱数テーブル202a1、普通当たり抽選の際に特殊ハズレの判定に用いられる特殊ハズレ乱数テーブル202a2、大当たり抽選に用いられる大当たり乱数テーブル202a3等が少なくとも格納されている。
また、RAM203には、パチンコ機10の主要な処理(普通当たり抽選、大当たり抽選、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定等)を制御するための各種乱数カウンタ203aが設けられている。
ここで、図6及び図7を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられる各種乱数カウンタ203aと、ROM202内に格納された各種テーブル202aについて説明する。まず、図6は、各種カウンタの概要を示す図である。
普通当たり抽選、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbの表示設定には、第1当たり乱数カウンタC1が用いられ、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定には第1初期値乱数カウンタCINI1が用いられる。また、大当たり抽選、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、大当たりの抽選に使用する第2当たり乱数カウンタC2と、第2当たり乱数カウンタC2の初期値設定に使用する第2初期値乱数カウンタCINI2とが用いられる。また、これら各カウンタは、更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図12参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔、又は、メイン処理(図21参照)において4ミリ秒間隔で更新される。更に、一部のカウンタは、そのメイン処理の中で不定期に更新される。各カウンタの更新値は、RAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファ203bに適宜格納される。
カウンタ用バッファ203bは、更新された各カウンタの値を格納するための領域であり、MPU201は、カウンタ毎に、そのカウンタの更新タイミングで、カウンタ用バッファ203bに格納された値を用いて、そのカウンタの更新を行う。
RAM203には、8つの保留エリア203c1〜203c8と、1つの実行エリア203c9と、からなる保留球格納エリア203cが設けられている。保留エリア203c1〜203c8は、第1普通入賞口63或いは第2普通入賞口630への入球タイミングに合わせて、カウンタ用バッファから読み出された第1当たり乱数カウンタC1の値と、普通入賞メモリ203eの値とを一時的に格納(保留)するためのエリアである。
ここで、普通入賞メモリ203eは、遊技球が第1普通入賞口63又は第2普通入賞口630のいずれに入賞したかを示すためのメモリである。普通入賞メモリ203eには、第1普通入賞口63又は第2普通入賞口630のうち、入賞のあったものに対応する値(対応する情報、即ち「普通入賞情報」と称す)が記憶される。第1普通入賞口63へ入球した場合は、第1普通入賞口63と対応する第1普通入賞情報が格納され、第2普通入賞口630へ入球した場合は、第2普通入賞口630と対応する第2普通入賞情報として、第1普通入賞情報とは異なる所定の情報が格納される。また、いずれの普通入賞口63,630に対しても入球がない場合は、普通入賞メモリ203eには0が格納される。
普通入賞メモリ203eに格納される値(情報)は入球タイミングで更新され、更新後に、第1普通入賞情報または第2普通入賞情報が格納されていれば、その格納された情報が、各保留エリア保留エリア203c1〜203c8のうち1の保留エリアが有する、普通入賞メモリ格納エリア203c1A〜203c8Aに格納される。これにより、各保留エリア203c1〜203c8には、各エリアの保留球が、第1または第2普通入賞口63,630のいずれに対する普通入賞によって保留されたものかを示す普通入賞情報が格納される。
第1当たり乱数カウンタC1の値と、普通入賞メモリ203eの値とは、実行エリア203c9にも格納される。実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値は、変動の開始タイミングで、普通当たり抽選や普通図柄の変動演出の変動パターンの決定、普通図柄の停止種別の決定、を行うために使用される。また、詳細は後述するが、実行エリア203c9に格納された普通入賞メモリ203eの値は、普通図柄変動パターンコマンドを設定するために参照される。即ち、第1普通入賞口63の普通入賞に対応する普通図柄変動パターンコマンドと、第2普通入賞口630の普通入賞に対応する普通図柄変動パターンコマンドとのいずれかが、普通入賞した普通入賞口63,630に応じて設定される。前述したように、普通当たりに開放される始動口(第1および第2入球口64,640)は、その普通当たりの契機となった普通入賞のあった普通入賞口63,630と対応しているので、普通入賞した普通入賞口63,630に応じた変動パターンコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信することにより、普通当たり発生時に開放する始動口(第1および第2入球口64,640)を、音声ランプ制御装置113へ知らせることができる。
MPU201は、第1または第2普通入賞口63,630への入球を検出すると、そのときのカウンタ用バッファ203aの第1当たり乱数カウンタC1の値と、普通入賞メモリ203eの値とを、8つの保留エリア203c1〜203c8のうち、1つのエリアに格納する。
このとき、各カウンタ等の値(乱数カウンタC1の値と、普通入賞メモリ203eの値)は、保留第1エリア203c1〜保留第8エリア203c8のうち、保留のない保留エリアであって、番号の最も小さなエリアに格納される。即ち、保留第1エリア203c1〜保留第8エリア203c8に保留が全くなく、全てが空きエリアとなっている場合は、保留第1エリア203c1に各カウンタ等の値を格納する。保留エリア203c1〜203c8での保留が1つのみで、保留第1エリア203c1だけに各カウンタ等の値が格納されている場合は、保留第2エリア203c2に各カウンタ等の値を格納する。・・・保留エリア203c1〜203c8での保留が7つで、保留第1エリア203c1〜保留第7エリア203c7のみに各カウンタ等の値が格納されている場合は、保留第8エリア203c8に各カウンタ等の値を格納する。
これにより、第1および第2普通入賞口63,630への入賞(普通入賞)の順に、その入賞のタイミングでカウンタ用バッファから取得した各カウンタの値を、保留第1エリア203c1から保留第8エリア203c8の各エリアに格納することができる。尚、8つの保留エリア203c1〜203c8全てに各カウンタの値が格納されている状態で普通入賞が検出された場合は、そのときの各カウンタの値は保留されずに破棄される。即ち、本実施形態では、第1および第2普通入賞口63,630への入賞回数の最大数である8回分まで、各カウンタ等の値が保留可能に構成されている。
また、MPU201は、普通図柄の変動演出の開始タイミングになると、保留第1エリア203c1に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値と普通入賞メモリ203eの値とを実行エリア203c9に移し、その実行エリア203c9に格納された各カウンタ等の値に基づいて、普通当たり抽選や、普通図柄の変動演出の変動パターンおよび停止図柄の種別の決定が行われる。
また、保留第1エリア203c1の各カウンタ等の値が実行エリア203c9に移された後、保留第2エリア203c2〜保留第8エリア203c8の各エリアを、各エリアよりも番号の1つ小さなエリアへ値をシフトさせる。即ち、保留第2エリア203c2に格納された各カウンタの値が空いた保留第1エリア203c1にシフトされ、保留第3エリア203c3に格納された各カウンタの値が空いた保留第2エリア203c2にシフトされ、・・・保留第8エリア203c8に格納された各カウンタの値が空いた保留第7エリア203c7にシフトされる。これにより、保留球格納エリア203cに保留された各カウンタ等の値に基づいて普通図柄の変動演出が開始されると、1つ分だけ保留が減り、保留エリア203c1〜203c8の1エリアが開放される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、上述した通り、普通当たりの抽選に使用するためのカウンタであり、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新される。第1当たり乱数カウンタC1の更新は、所定の範囲(例えば、0〜599)内で順に1ずつ加算し、最大値(例えば、0〜599の値を取り得るカウンタの場合は599)に達した後0に戻すことによって行われる。また、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合(ある初期値から定期的に更新が行われた結果、次の更新でその初期値に戻る場合)、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値を新たな初期値として、当該第1当たり乱数カウンタC1に設定し、その初期値から更新を行う。
第1初期値乱数カウンタCINI1は、上述した通り、第1当たり乱数カウンタC1の初期値に使用されるもので、その第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜599の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜599の範囲のループカウンタで構成される。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図12参照)の実行毎に1回更新されるだけでなく、メイン処理(図20参照)の残余時間内でも繰り返し更新される。
カウンタ用バッファ203bに格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値は、球が第1または第2普通入賞口63,630に入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリア203cに格納される。そして、変動開始時に、その保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が普通当たりとなる乱数の値(普通当たり乱数値。当たり値ともいう。)か否かを判定して、普通当たり抽選を行う。
普通当たりとなる乱数の値(普通当たり乱数値)は、主制御装置110のROM202に格納される普通当たり乱数テーブル202a1によって設定されており、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、普通当たり乱数テーブル202a1によって設定された普通当たり乱数値と一致する場合に、MPU201は普通当たりと判定する。
ここで、図7(a)を参照して普通当たり乱数テーブル202a1の詳細について説明する。図7(a)は、普通当たり乱数テーブル202a1を模式的に示した模式図である。普通当たり乱数テーブル202a1は、普通当たりと判定される第1当たり乱数カウンタC1の値(普通当たり乱数値)を示したものである。
本実施形態において、第1当たり乱数カウンタC1は、0〜599の範囲(600カウント)の2バイトのループカウンタとして構成されている。これに対し、普通当たり乱数テーブル202a1には「7,107,207,307,407,507」という合計で6個の乱数値が、普通当たり乱数値として格納されている。
MPU201は、普通当たりの判定を行う場合に、普通当たり乱数値を普通当たり乱数テーブル203a1から読み出す。そして、MPU201は、普通当たりの判定に用いる第1当たり乱数カウンタC1(保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1)の値が、普通当たり乱数テーブル203a1から読み出した普通当たり乱数値の一つと一致するか否かを判定し、一致する場合に普通当たりと判定する。つまり、第1当たり乱数カウンタC1の値が「7,107,207,307,407,507」のいずれか一つと一致する場合に普通当たりとなる。このように、第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲である600カウントに、6個の当たり普通当たり乱数値があるので、普通当たり確率は、1/100となる。
普通当たり抽選において、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、普通当たり乱数テーブル202a1によって設定されている普通当たり乱数値と不一致であった場合、MPU201はハズレ(普通ハズレ)と判定する。ここで、特殊ハズレ乱数テーブル202a2には、特殊ハズレとなる第1当たり乱数カウンタC1の値が格納されている。MPU201は、普通当たり抽選の抽選結果がハズレであると判定した場合に、更に、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて特殊ハズレ判定を行う。
この特殊ハズレ判定では、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特殊ハズレ乱数テーブル202a2によって設定された特殊ハズレ乱数値と一致する場合に、特殊ハズレと判定される。一方、不一致の場合は、通常ハズレと判定される。
ここで、図7(b)を参照して特殊ハズレ乱数テーブル202a2の詳細について説明する。図7(b)は、特殊ハズレ乱数テーブル202a2を模式的に示した模式図である。特殊ハズレ乱数テーブル202a2は、特殊ハズレと判定される第1当たり乱数カウンタC1の値(特殊ハズレ乱数値)を示したものである。
前述したように、第1当たり乱数カウンタC1は、0〜599の範囲(600カウント)の2バイトのループカウンタとして構成されている。これに対し、特殊ハズレ乱数テーブル202a2には「77,177,277,377,477,577」という合計6個の乱数値が、特殊ハズレ乱数値として格納されている。
MPU201は、特殊ハズレの判定を行う場合に、特殊ハズレ乱数値を特殊ハズレ乱数テーブル203a2から読み出す。そして、MPU201は、特殊ハズレの判定に用いる第1当たり乱数カウンタC1(保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1)の値が、特殊ハズレ乱数テーブル203a2から読み出した特殊ハズレ乱数値の一つと一致するか否かを判定し、一致する場合に特殊ハズレ当たりと判定する。つまり、第1当たり乱数カウンタC1の値が「77,177,277,377,477,577」のいずれか一つと一致する場合に特殊ハズレとなる。第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲である600カウントに、6個の特殊ハズレ乱数値があるので、特殊ハズレ確率は、1/100となる。
図6に戻って各種カウンタの説明を続ける。第2当たり乱数カウンタC2は、上述した通り、大当たりの抽選に使用するためのカウンタであり、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新される。第2当たり乱数カウンタC2の更新は、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算し、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻すことによって行われる。また、第2当たり乱数カウンタC2が1周した場合(ある初期値から定期的に更新が行われた結果、次の更新でその初期値に戻る場合)、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値を新たな初期値として、当該第2当たり乱数カウンタC2に設定し、その初期値から更新を行う。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、上述した通り、第2当たり乱数カウンタC2の初期値に使用されるもので、その第2当たり乱数カウンタC2と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。例えば、第2当たり乱数カウンタC2が0〜99の値を取り得るループカウンタである場合には、第2初期値乱数カウンタCINI2もまた、0〜99の範囲のループカウンタで構成される。この第2初期値乱数カウンタCINI2は、タイマ割込処理(図12参照)の実行毎に1回更新されるだけでなく、メイン処理(図21参照)の残余時間内でも繰り返し更新される。
第2当たり乱数カウンタC2の値は、本実施形態ではタイマ割込処理(図12参照)毎に更新され、球が第1始動口64又は第2始動口640へ入球(始動入賞)したタイミングで取得される。そして、変動開始時に、その取得した第2当たり乱数カウンタC2の値が大当たりとなる乱数の値(大当たり乱数値。当たり値ともいう)か否かを判定して、大当たり抽選を行う。大当たりとなる乱数の値(大当たり乱数値)は、主制御装置のROM202に格納される大当たり乱数テーブル202a3によって設定されており、始動入賞のタイミングで取得した第2当たり乱数カウンタC2の値が、大当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たり乱数値と一致する場合に大当たりと判定する。
ここで、図7(c)を参照して大当たり乱数テーブル202a3の詳細について説明する。図7(c)は、大当たり乱数テーブル202a3を模式的に示した模式図である。大当たり乱数テーブル202a3は、大当たりと判定される第2当たり乱数カウンタC2の値(大当たり乱数値)を示したものである。
本実施形態において、第2当たり乱数カウンタC2は、0〜99の範囲(100カウント)の1バイトのループカウンタとして構成されている。これに対し、大当たり乱数テーブル202a3には「0〜89」という合計90個の乱数値が、大当たり乱数値として格納されている。
MPU201は、大当たりの判定を行う場合に、大当たり乱数値を大当たり乱数テーブル202a3から読み出す。そして、MPU201は、大当たりの判定に用いる第2当たり乱数カウンタC2(始動入賞のタイミングで取得した第2当たり乱数カウンタC2の値)の値が、大当たり乱数テーブル202a3から読み出した普通当たり乱数値の一つと一致するか否かを判定し、一致する場合に普通当たりと判定する。つまり、第1当たり乱数カウンタC1の値が「0〜89」のいずれか一つと一致する場合に大当たりとなる。100カウントの第2当たり乱数カウンタC2に、90個の大当たり乱数値があるので、大当たり確率は、90/100となる。
以上の通り、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける表示結果の抽選(普通当たり抽選)、大当たり抽選、といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
図5に戻り、主制御装置110の説明を続ける。RAM203は、図6に図示した各種カウンタを格納するカウンタ用バッファ203b及び保留球格納エリア203cのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図21参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図19参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図18参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、保留球数カウンタ203dを有している。保留球数カウンタ203dは、第1普通入賞口64又は第2普通入賞口640のいずれかへの入球(普通入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる変動表示(第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbで行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大8回まで計数するカウンタである。この保留球数カウンタ203dは、初期値(電源投入後に実行されるRAM初期設定(S714)にて設定される値)がゼロに設定されており、第1または第2普通入賞口64,640のいずれかへ球が入球されて変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値8まで1加算される(図15のS406参照)。一方、保留球数カウンタ203dは、第1または第2普通入賞口64,640への入球(普通入賞)に基づく変動表示が実行される毎に、1減算される(図13のS205参照)。
第1または第2普通入賞口64,640への入球(普通入賞)があった場合、保留球数カウンタ203dが8未満であれば、そのときの第1当たり乱数カウンタC1の値をカウンタ用バッファから取得するとともに、普通入賞メモリ203eの値を取得して、保留球格納エリア203cに格納する。一方、保留球カウンタ203dが8であれば、すでに8つの保留球が保留されていることを意味するので、その始動入賞は無視される。
この保留球数カウンタ203dの値(即ち、保留球数)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図15のS408参照)。保留球数コマンドは、第1普通入賞口64および第2普通入賞口640へ入球されて保留球数カウンタ203dが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、第3図柄表示装置81の保留表示領域Dsにて、その保留球数分の保留図柄(本実施形態ではヘルメットの図柄)を表示させる。ここで、音声ランプ制御装置113は、保留球数カウンタ203dが1加算される毎に主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された、普通図柄の変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の保留球数カウンタ223eによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
主制御装置110のRAM203は、更に、第1加工条件メモリ203fと第2加工条件メモリ203gとを有している。本パチンコ機10において、主制御装置110のMPU201は、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する各種コマンドのうち一部を、所定の加工条件に基づいて(所定の加工方法で)加工し、加工したコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。詳細は後述するが、加工されたコマンドを受信した音声ランプ制御装置113のMPU221は、そのコマンドを、所定の復号条件(復号方法)によって復号する。音声ランプ制御装置113のMPU221は、加工前のコマンド(元のコマンド)と同じコマンドに復号できた場合に、そのコマンドに応じた遊技の制御が正しく実行される。
このため、本実施形態では、主制御装置110のMPU201がコマンドを加工する方法と、音声ランプ制御装置113のMPU221が、そのコマンドを復号する方法とを対応させる必要がある。
そこで、以下、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの説明および第2加工条件メモリ203gの構成を詳細に説明すると共に、本パチンコ機10において、主制御装置110のMPU201によるコマンドの加工方法と、音声ランプ制御装置113のMPU221によるコマンド復号方法とを、どのようにして対応させるかについて簡単に説明する。
まず、第1加工条件メモリ203fについて説明する。第1加工条件メモリ203fは特殊ハズレ時の停止種別コマンド(特殊ハズレ停止種別コマンド)を、第1加工条件に基づいて加工する場合に参照する値である。ここで、特殊ハズレ停止種別コマンドとは、普通図柄の変動表示において停止表示される図柄(停止図柄)が特殊ハズレ時の図柄(即ち、ハズレ図柄「−」)であることを示すコマンドであって、普通当たり抽選の判定結果が特殊ハズレであった場合に、MPU201によってROM202から読み出されるコマンドである。
第1加工条件メモリ203fは、2ビットで構成されたメモリであり、「0」〜「3」という、4種類の整数値が格納される。MPU201は、ROM202から読み出した特殊ハズレ停止種別コマンドを、第1加工条件メモリ203fに記憶されている値に応じて、4種類の異なるコマンドに加工することができる。
電源入時に実行される立ち上げ処理(図19参照)においてMPU201は、第1条件設定スイッチ210の設定値に応じて、該スイッチの設定値と同じ値、又は、乱数発生回路206から取得した乱数値に応じた値のいずれかを、第1加工条件メモリ203fに格納する。
詳細は図11を参照して後述するが、第1条件設定スイッチ210は、遊技場等において、該スイッチ210のダイヤル(図示せず)を操作して、第1加工条件メモリ203fの値を設定するために使用するスイッチであり、主制御装置110の入出力ポート205と接続されている。該スイッチ210は、ダイヤルの操作位置に応じて、「0」〜「4」の5つの設定値が用意されている。
本パチンコ機10の第1条件設定スイッチ210のダイヤルの操作位置のうち、「0」〜「3」の4つの設定値に応じた操作位置は、電源入時における第1加工条件メモリ203fの値を、遊技場等にて直接設定するために使用される操作位置である。MPU201は、立ち上げ処理(図19参照)において、第1条件設定スイッチ210の設定を取得し、その取得した設定値が「0」〜「3」のいずれかであれば、第1条件設定スイッチ210の設定値と同じ値を、第1加工条件メモリ203fに格納する。これにより、MPU201は、特殊ハズレ停止種別コマンドを加工する際に、第1条件設定スイッチ210の設定値(ダイヤルの操作位置)に応じた所望の加工方法を使用することができる。
詳細は後述するが、音声ランプ制御装置113の入出力ポート225には、第2条件設定スイッチ226が接続されている。第2条件設定スイッチ226は、第1条件設定スイッチ210と同様に構成されており、全設定値「0」〜「4」に対応するダイヤル操作位置のうち、設定値「0」〜「3」に対応する操作位置は、電源立ち上げ時の音声ランプ制御装置113に対して、特殊ハズレ停止種別コマンドの復元方法を直接設定するための操作位置となっている。遊技場において、第1条件設定スイッチ210の設定値が「0」〜「3」のいずれかに設定するのであれば、それと同一の設定値を第2条件設定スイッチ226にも設定する。このようにすることで、第1条件設定スイッチ210の設定値に応じて主制御装置110に設定される特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法と、第2条件設定スイッチ226の設定値に応じて音声ランプ制御装置113に設定される特殊ハズレ停止種別コマンドの復元方法とが対応する。即ち、第1条件設定スイッチ210の設定値と第2条件設定スイッチ226の設定値を、「0」〜「3」の範囲で同一の値となるように操作することにより、特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法と復元方法とを対応させつつ、直接設定することができる。
また、第1条件設定スイッチ210に用意されている、「0」〜「4」の設定値に応じたダイヤルの操作位置のうち、「4」に応じた操作位置は、第1加工条件メモリ203fの値を自動的に設定するために使用される操作位置である。MPU201は、立ち上げ処理(図19参照)の際にMPU201によって取得した第1条件設定スイッチ210の設定値が「4」であれば、その立ち上げ処理において、MPU201は、後述する乱数発生回路206から乱数を取得し、その乱数に応じた値を第1加工条件メモリ203fに格納する(S804参照)。そして、MPU201は、第1加工条件メモリ203fに格納された値に基づいて特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法を設定する共に、第1加工条件メモリ203fに格納された値を、後述する条件コマンドによって音声ランプ制御装置113へ通知する。これは、主制御装置110のMPU201内で発生した乱数値を、音声ランプ制御装置113のMPU221が直接取得することはできないためである。
かかる場合、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から送信された条件コマンドに基づいて、主制御装置110にて設定された特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法に応じた、該コマンドの復号方法を設定する。よって、電源入時において、主制御装置110における特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法と、音声ランプ制御装置113における特殊ハズレ停止種別コマンドの復号方法とを、主制御装置110で取得された乱数値に基づいて、自動的に対応させることができる。なお、詳細は後述するが、本パチンコ機10では、このときの第2条件設定スイッチ226の設定値は、予め「4」(即ち、第1条件設定スイッチ210の設定値と同じ値)に設定されている必要がある。即ち、第1条件設定スイッチ210の設定値と第2条件設定スイッチ226の設定値を、いずれも「4」となるように操作することにより、特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法と復元方法とを対応させつつ、乱数値に基づいて自動的に設定することができる。
また、第1加工条件メモリ203fの値は、第1条件設定スイッチ210の設定値に拘わらず、立ち上げ処理によって設定された値から、電源立ち上げ後に変更されることがある。このとき、MPU201は、電源立ち上げ時に第1条件設定スイッチ210の設定値が「4」であるときと同様に、乱数発生回路206から乱数を取得し、その乱数に応じた値を第1加工条件メモリ203fに格納する。そして、MPU201は、第1加工条件メモリ203fに格納された値に基づいて、新たな特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法を設定する共に、第1加工条件メモリ203fに格納された値を、条件コマンドによって音声ランプ制御装置113へ通知する。
これにより、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信された条件コマンドに基づいて、特殊ハズレ停止種別コマンドの復号方法を、主制御装置110の新たなコマンド加工方法と対応するものに再設定する。よって、電源入後に、主制御装置110における特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法と、音声ランプ制御装置113における特殊ハズレ停止種別コマンドの復号方法とが変更される場合、その各方法を、主制御装置110で取得された乱数値に基づいて自動的に対応させることができる。
MPU201は、読み出した特殊ハズレ停止種別コマンドを、第1加工条件メモリ203fに記憶されている値に応じて、4種類の異なるコマンドに加工することができる。そして、主制御装置110のMPU201は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、RAM202のコマンド送信用バッファメモリ(図示せず)に設定し、音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113のMPU221によって、該コマンドの受信が確認された場合、音声ランプ制御装置113のMPU221は、AT抽選を行う。
ここで、図8(a)を参照して、特殊ハズレ停止種別コマンドが、第1加工条件メモリ203fの値に応じてどのように加工されるかについて説明する。図8(a)は、第1加工条件メモリ203fの値と、その第1加工条件メモリ203fの値に応じた第1加工条件で加工した後の特殊ハズレ停止種別コマンドとの対照表である。
図8(a)に示すように、主制御装置110のROM202には、未加工(加工前)の特殊ハズレ停止種別コマンドとして、「F111h」という2バイトで構成されたコマンドが記憶されている。MPU201は、この特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」を、第1加工条件に従って第1加工条件メモリ203fの値に応じたコマンドに加工する。ここで、本パチンコ機10では、コマンドの下位バイト(「F111h」であれば「11h」)を、第1加工条件メモリ203fの値と同じビット数だけ、左へローテートすることを第1加工条件としている。
よって、MPU201が第1加工条件に従って加工した後の特殊ハズレ停止種別コマンドは、第1加工条件メモリ203fの値が「0」の場合、未加工のコマンド「F111h」の下位バイト「11h」を左へ0ビット分ローテートした「F111h」となり、第1加工条件メモリ203fの値が「1」の場合、未加工のコマンド「F111h」の下位バイト「11h」を左へ1ビット分ローテートした「F122h」となる。同様にして、第1加工条件メモリ203fの値が「2」の場合、左へ2ビット分ローテートした「F144h」となり、第1加工条件メモリ203fの値が「3」の場合、左へ3ビット分ローテートした「F188h」となる。よって、主制御装置110は、4種類の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンド(即ち、「F111h」「F122h」「F144h」「F188h」)の中から、第1加工条件メモリ203fの値に応じたいずれか1種類のコマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
ここで、詳細は後述するが、本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113は、4種類の加工後のコマンド特殊ハズレ時の停止種別コマンド「F111h」「F122h」「F144h」「F188h」のうち、いずれか一種類を受信し、音声ランプ制御装置113に設定された復号方法によって、受信したコマンドを元のコマンド「F111h」に復号できた場合に、所定確率でATモードを設定するAT抽選を行う。ATモード時における普通図柄の当たり(普通当たり)発生の際、音声ランプ制御装置113は、第2図柄表示領域Dbを移動させる遊技動作示唆を行い、第1入球口63および第2入球口630のうち、いずれの入球口が普通図柄の停止表示後に解放されるかを示唆する。遊技者は、遊技動作示唆に従って打球を行うことにより、遊技動作示唆が行われない場合よりも確実に第1入球口63または第2入球口630へ入球(始動入賞)することができ、それにより大当たりとなれば、更に、大当たりによる遊技価値を享受することができる。
ここで、本パチンコ機10の主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間の配線等に、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドの1種類を出力可能な「ぶら下げ基板」等を取り付ける不正行為が行われるおそれがある。かかる不正行為によれば、「ぶら下げ基板」等が出力する不正な加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドが、音声ランプ制御装置113がAT抽選の実行契機としている加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドと同じである場合は、音声ランプ制御装置113に対して「ぶら下げ基板」等が繰り返し出力する不正な加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドによって、音声ランプ制御装置113は、繰り返しATモード抽選を行い、その結果、頻繁にATモードを設定してしまう。それにより正常な遊技(本パチンコ機10に設定された期待値通りに行われる遊技)と比べて高い頻度で遊技動作示唆が行われてしまう。
これに対し、本実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110のMPU201が、特殊ハズレ停止種別コマンドを、4種類の加工後のコマンド(即ち、「F111h」「F122h」「F144h」「F188h」)のいずれかに加工することができるので、「ぶら下げ基板」等から出力される不正な加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとは別のコマンドを通知して、音声ランプ制御装置113にAT抽選の実行を指示することができる。
なお、上記説明において、第1加工条件は、第1加工条件メモリ203fの値が「0」の場合、コマンドの下位バイトを0ビット左にローテート、即ち、元のコマンドに対するローテート処理(加工)を行わないものとして説明したが、第1加工条件メモリ203fの値が「0」の場合は、下位バイトを、例えば5ビット分だけ左へローテートするものとしてもよい。このようにした場合、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドは、必ず、元の特殊ハズレ停止種別コマンドとは異なるコマンドに加工されて音声ランプ制御装置113へ送信するので、「ぶら下げ基板」等による不正行為をより効果的に抑制することができる。即ち、不正行為者が、中古のパチンコ機10のROM202を解析して、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを特定し、そのコマンドを出力可能な「ぶら下げ基板」等を製造したとしても、実際には、主制御装置110から未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドが送信されることはないので、そのような「ぶら下げ基板」等によって未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドが送信されても、AT抽選は行われないためである。
また、第1加工条件は、第1加工条件メモリ203fに記憶されている値と同じビット数だけ、コマンドの下位バイトを左にローテートするものとして説明したが、第1加工条件メモリ203fに記憶されている値と対応するビットを、反転するものとしてもよい。例えば、コマンドの下位バイトのうち、第0ビットから第4ビットを、第1加工条件メモリ203fの値「0」〜「3」と予め対応付けし、第1加工条件メモリ203fの値と対応するビットを反転するように構成してもよい。
図5に戻って、第2加工条件メモリ203gについて説明する。第2加工条件メモリ203gは、第1加工条件メモリ203fと同様に、2ビットで構成され、「0」〜「3」の整数値が格納されるメモリである。詳細は後述するが、第2加工条件メモリ203gの値は、主制御装置110が有する第1ID用ROM207に固定的に格納されたパチンコ機10の製造番号に基づいて、各パチンコ機10において個別に設定される。第2加工条件メモリ203gは、ROM202に格納されている条件コマンドを、第2加工条件によって加工するために使用されるメモリである。
ここで、ROM202に格納されている条件コマンドについて説明する。条件コマンドは、前述したように、主制御装置110の電源入時において、第1条件設定スイッチ210の設定値が予め「4」となっており、MPU201が、後述する乱数発生回路206から取得した乱数値に基づいて特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法の初期設定をする場合や、電源入後において、主制御装置110のMPU201が新たに乱数発生回路206から乱数値を取得し、その値に基づいて、特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法を再設定する場合に、音声ランプ制御装置113へ送信されるコマンドであって、かかる場合に、主制御装置110で設定された特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法に対応する、該コマンドの復号方法を、音声ランプ制御装置113に設定(変更)させるためのコマンドである。
ここで、図8(b)を参照して、第1加工条件メモリ203fの各値と各条件コマンドとの対応関係について説明する。図8(b)は、第1加工条件メモリ203fの各値と各条件コマンドとの対応関係とを示す対照表である。図8(b)に示すように、本パチンコ機10において、主制御装置110のMPU201がROM202から取得する条件コマンドは、第1加工条件メモリ203fの値が「0」の場合「F211」であり、第1加工条件メモリ203fの値が「1」の場合「F222」であり、第1加工条件メモリ203fの値が「2」の場合「F244」であり、第1加工条件メモリ203fの値が3の場合「F288」である。これらの条件コマンドは、第1加工条件メモリ202fの各値とそれぞれ対応し、図8(a)を参照して前述したように、第1加工条件メモリ203fの各値は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとそれぞれ対応している。即ち、条件コマンドによって、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを1つに特定できる。
このため、主制御装置110が、いずれかの条件コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信した場合、その条件コマンドを傍受するように構成された「ぶら下げ基板」等によって、次のような不正行為が行われるおそれがあった。即ち、「ぶら下げ基板」等は、傍受した条件コマンドから、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを特定し、その特定したコマンドを不正に音声ランプ制御装置113へ出力する。かかる不正行為では、「ぶら下げ基板」等は、音声ランプ制御装置113がAT抽選の実行契機としている加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを出力するので、音声ランプ制御装置113によって不正な遊技動作示唆が行われてしまう。
これに対し、主制御装置110のMPU201は、特殊ハズレ停止種別コマンドを、第1加工条件メモリ203fの値に応じた第1加工条件に従って加工するだけでなく、更に、図8(b)に示した、各加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドと対応する各条件コマンドを、第2加工条件メモリ203gの値に応じた第2加工条件に従って加工したうえで、その加工後の条件コマンドを送信する。これは、条件コマンドと加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとの対応付けを複雑にして、「ぶら下げ基板」等が条件コマンドを傍受した場合に、その条件コマンドから、主制御装置110が送信している加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドの種類が特定されるのを困難にするためである。
ここで、図8(c)を参照して、各条件コマンドが、第2加工条件メモリ203gの値に応じてどのように加工されるかについて説明する。図8(c)は、第2加工条件メモリ203gの値と、第2加工条件に従い第2加工条件メモリ203gの値に応じて加工された加工後の条件コマンドとの対照表である。
図8(b)にて前述したように、主制御装置110のROM202には、第1加工条件メモリ203fの各値とそれぞれ対応する未加工(加工前)の条件コマンド4種類が記憶されている。MPU201は、この条件コマンドを、第2加工条件に従って第2加工条件メモリ203gの値に応じたコマンドに加工する。ここで、本パチンコ機10では、コマンドの下位バイト(「F211h」であれば「11h」)を、第2加工条件メモリ203gの値と同じビット数だけ、右へローテートすることを第2加工条件としている。
よって、第2加工条件メモリ203gの値が「0」の場合、第1加工条件メモリ203fの各値と対応する未加工の各条件コマンドは、第2条件に従って、下位バイトを右へ0ビット分ローテートして加工される。即ち、加工後のコマンドと第1加工条件メモリ203fの値との対応関係は、図8(b)にて説明した未加工のコマンドと同様となる。
第2加工条件メモリ203gの値が「1」の場合、第1加工条件メモリ203fの各値と対応する未加工の各条件コマンドは、第2条件に従って、下位バイトを右へ1ビット分ローテートして加工される。即ち、第1加工条件メモリ203fの値「0」と対応する未加工の条件コマンド「F211h」は「F288h」に加工され、第1加工条件メモリ203fの値「1」と対応する未加工の条件コマンド「F222h」は「F211h」に加工され、第1加工条件メモリ203fの値「2」と対応する未加工の条件コマンド「F244h」は「F222h」に加工され、第1加工条件メモリ203fの値「3」と対応する未加工の条件コマンド「F288h」は「F244h」に加工される。
同様に、第2加工条件メモリ203gの値が「2」の場合、第1加工条件メモリ203fの各値と対応する未加工の各条件コマンドは、第2条件に従って、下位バイトを右へ2ビット分ローテートして加工される。
また、第2加工条件メモリ203gの値が「3」の場合、第1加工条件メモリ203fの各値と対応する未加工の各条件コマンドは、第2条件に従って、下位バイトを右へ3ビット分ローテートして加工される。
このように、主制御装置110のMPU201は、第1加工条件メモリ203fの値に対応する条件コマンドの下位バイトだけを、第2加工条件メモリ203gの値と同じビット分、右にローテートして加工する。加工後の条件コマンドを、第2加工条件メモリ203gの値に応じた4種類のコマンドのいずれかにして、音声ランプ制御装置113へ送信する。このとき、加工後の条件コマンドと第1加工条件メモリ203fの値との対応付けが4通りになるため、加工後の条件コマンドと加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとの対応付けも4通りとなる。よって、加工後の条件コマンドと特殊ハズレ停止種別コマンドとの対応付けを複雑化できるので、「ぶら下げ基板」等が、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信された加工後の条件コマンドを傍受したとしても、「ぶら下げ基板」等が、傍受した加工後の条件コマンドによって加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを特定することを阻害することができる。
なお、上記説明において、第2加工条件は、第2加工条件メモリ203gの値が「0」の場合、コマンドの下位バイトを0ビット右にローテート、即ち、元のコマンドに対するローテート処理(加工)を行わないものとして説明したが、第2加工条件メモリ203gの値が「0」の場合は、下位バイトを例えば5ビット分だけ右へローテートするものとしてもよい。この場合、主制御装置110から送信される加工後の条件コマンドは、必ず、元の条件コマンドとは異なるコマンドに加工されて音声ランプ制御装置113へ送信するので、「ぶら下げ基板」等による不正行為をより効果的に抑制することができる。
また、第2加工条件は、第2加工条件メモリ203gに記憶されている値と同じビット数だけ、コマンドの下位バイトを右にローテートするものとして説明したが、第2加工条件メモリ203gに記憶されている値と対応するビットを、反転するものとしてもよい。例えば、コマンドの下位バイトのうち、第0ビットから第4ビットを、第2加工条件メモリ203gの値「0」〜「3」と予め対応付けし、第2加工条件メモリ203gの値と対応するビットを反転するようにしてもよい。
図5に戻って、主制御装置110についての説明を続ける。MPU201は、乱数発生回路206を有している。乱数発生回路206は、1から255(FFh)までの乱数値を生成する回路であり、MPU201に内蔵されている。この乱数発生回路206は、1から255までの乱数値を、1周期中(最大値である255回数分)に乱数値が全く重複せず、且つ、不規則な順序となるように生成するハード回路である。乱数発生回路206により生成される乱数値は、立ち上げ処理(図19)においてRAM203が初期化され、且つ、後述する第1条件設定スイッチ210の設定値が「4」である場合に、MPU201により取得される。
この乱数発生回路206から取得した乱数値は、前述したように第1加工条件メモリ203fの値を設定するために使用される。乱数発生回路206の出力乱数値は1〜255は、2ビットで構成された第1加工条件メモリ203fに格納可能な「0」〜「3」を超えている。そのため、本実施の形態では、乱数発生回路206から取得した乱数値を、第1加工条件メモリ203fに格納可能な値の数である4で除算し、その余りを第1加工条件メモリ203fに設定する。
第1ID用ROM207は、パチンコ機10の製造番号を記憶する、書換不能な不揮発性のメモリである。第1ID用ROM207に記憶されたパチンコ機10の製造番号は、電源入時に実行される立ち上げ処理(図19)において、後述する第1条件設定スイッチ210の設定値が「4」である場合に、MPU201により取得される。
この第1ID用ROM207から取得したパチンコ機10の製造番号は、前述したように第2加工条件メモリ203gの値を設定するために使用される。この第1ID用ROM207は、3バイトで構成されるメモリであり、上位1バイトにパチンコ機10の機種を特定するための情報が格納され、その機種の製造順に付される通し番号が、下位2バイトに格納される。MPU201は、この下位2バイトの値を使用して第2加工条件メモリ203gの値を設定する。即ち、機種毎に異なる値ではなく、台(パチンコ機10)毎に異なる値を使用して第2加工条件メモリ203gの値を設定する。より具体的には、MPU201は、この下位2バイトの値を第2加工条件メモリ203gに格納可能な値の数である4で除算し、その余りを第2加工条件メモリ203gに設定する。
このように、台毎に異なる値を使用して加工することにより、パチンコ機10と同一の機種であっても、加工後の条件コマンドと加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとの対応付けを台毎に異ならせることができる。
即ち、1台のパチンコ機10の中古台を用いた解析により、その中古台において、主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ送信する加工後の条件コマンドと、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとの対応関係が解析されてしまうと、加工後の条件コマンド傍受した場合に、解析に用いた中古台においてそのコマンドに対応する加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発されてしまう。この「ぶら下げ基板」等が遊技場に設置された複数のパチンコ機10に取り付けられた場合、パチンコ機10の製造番号に応じて設定された第1加工条件メモリ203fと第1復号条件メモリ223gの各値が、解析に用いられた台と同一の台においては、「ぶら下げ基板」等による被害を受けることがあるものの、他の台では、その「ぶら下げ基板」等による被害を受けない。他の台に取り付けられた「ぶら下げ基板」等が、加工後の条件コマンドを傍受して、解析に用いた中古台において、その加工後の条件コマンドと対応する加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを出力したとしても、そのコマンドは、他の台における音声ランプ制御装置113がAT抽選の契機としているコマンドとは別のコマンドであるので、AT抽選が行われないためである。
第1普通変動回数カウンタ203hは、直前の大当たりの発生から普通入賞が成立した回数(普通図柄の変動表示が行われた回数)を記憶するカウンタである。第1普通変動回数カウンタ203hは、大当たりが発生した場合に0で初期化され(図16参照)、第1または第2普通入賞口63,630への入球があった場合に実行される普通図柄変動開始処理(図14)の実行毎に1加算される。これにより、第1普通変動回数カウンタ203hには、直前の大当たりが発生してからの普通入賞が成立した回数が記憶される。
第1普通変動回数カウンタ203hの値は、大当たりの当選間隔が、普通入賞の回数によって規定される所定の間隔よりも短いか判定し、それにより、「ぶら下げ基板」等によって不正に遊技動作示唆が行われている可能性が高いかを判定するために使用される。
前述したように、本パチンコ機10における大当たりは、普通入賞に基づく普通当たり抽選の結果として普通当たりが発生し、その際に開放される始動口(第1または第2入球口64,640)で始動入賞が成立し、大当たり抽選の結果が大当たりであった場合に発生する。ここで、普通当たり発生確率は1/100(100回の普通入賞に対して1回発生)である。また、通常時(非ATモード時)は、普通当たり時に開放される始動口(第1または第2入球口64,640)が2つの始動口64,640のいずれであるかを遊技者は把握できず、いずれかに向けて決め打ちするか、センターフレーム86に向けて打球を行い球を分散させざるを得ないため、始動入賞が成立する確率は、およそ1/2であり、始動入賞が成立した場合の大当たり発生確率は1/90(100回の始動入賞に対して90回発生)である。このため、普通入賞がおよそ220回行われた場合に、大当たりが1回発生するとの期待値が得られる。即ち、通常時における大当たりの当選間隔の期待値は、普通入賞の約220回である。
一方、パチンコ機10の遊技状態がATモードである場合に普通当たりが発生すると、前述した遊技動作示唆に従って打球を行うことによりほぼ確実に始動入賞を成立させることができるので、始動入賞が成立する確率は、ほぼ1となり、普通入賞がおよそ110回行われた場合に、大当たりが1回発生するとの期待値が得られる。即ち、ATモード時における大当たりの当選間隔の期待値は、普通入賞の約110回である。
前述した「ぶら下げ基板」等による不正行為は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを音声ランプ制御装置113へ繰り返し出力することにより、ATモードを頻繁に設定させ、遊技動作示唆によって始動入賞が成立する確率を高めるものである。このため、「ぶら下げ基板」等によって不正行為が行われている場合は、大当たりの当選間隔の期待値が、普通入賞の約110回に近づく。
そこで、主制御装置110のMPU201は、第1普通変動回数カウンタ203hに記憶される、前回の大当たりから普通入賞が成立した回数を、ATモード時における大当たりの当選間隔の期待値と通常時における大当たりの当選間隔の期待値との間で設定した、大当たり当選間隔判定しきい値(例えば、170回)と、大当たり発生時に比較する。比較の結果、大当たり当選間隔判定しきい値よりも、第1普通変動回数カウンタ203hの値が少ないと判定された場合は、パチンコ機10の大当たり当選間隔が通常時よりも短いので、「ぶら下げ基板」等による不正行為が行われている可能性がある。即ち、本パチンコ機10の主制御装置110から送信されると共に、音声ランプ制御装置113においてAT抽選の契機としている加工後の特殊ハズレ停止図柄コマンドが、「ぶら下げ基板」等から出力するものと一致している可能性がある。
これに対し、主制御装置110のMPU201は、特殊ハズレ停止図柄コマンドの加工方法を、乱数発生回路206から取得した乱数値に基づいて再設定(変更)すると共に、音声ランプ制御装置113に条件コマンド(加工後の条件コマンド)を送信して、音声ランプ制御装置113に、AT抽選の契機とする加工後の特殊ハズレ停止図柄コマンドを再設定(変更)させる。
これにより、本パチンコ機10の主制御装置110から送信されると共に、音声ランプ制御装置113においてAT抽選の契機としている加工後の特殊ハズレ停止図柄コマンドを、「ぶら下げ基板」等から出力するものとは別の物に再設定できるので、「ぶら下げ基板」等による不正行為を中断させることができる。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、各入球口64,640に付随する電動役物64a,640aを駆動するためのソレノイドや、各大開放口65a,650aの開閉板の下辺を軸として各々を前方側に開閉駆動するための各大開放口ソレノイドを駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、スイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ208や、第1加工条件メモリ203fの値を設定するために使用する第1条件設定スイッチ210、電源装置115に設けられたRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。第1条件設定スイッチ210の詳細については図11を参照して後述する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図18参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドにより示される変動時間に基づいて、その変動時間で実行すべき変動演出の変動態様の設定、等といった制御を実行するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
ROM222には、受信が確認されたコマンドの種別をMPU221に判別させ、判別したコマンドの種別に対応した処理をMPU221に実行させるためのプログラムが格納されている。詳細は後述するが、MPU221は、各加工条件に従って加工されたコマンドが受信されていると判別した場合、そのコマンドを、各加工条件と対応する復号方法で復号して、復号したコマンドに応じた処理を実行する。
また、ROM222は、固定値データとして、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを受信したとMPU221が判別した場合に実行するAT抽選に用いるAT発生乱数テーブル222a1や、大当たり発生時に行うAT継続抽選に用いるAT継続乱数テーブル222a2等が少なくとも格納されている。
また、RAM223には、各種乱数カウンタ223aが設けられており、これには、AT抽選を制御するためのAT発生乱数カウンタ(図示せず)と、AT継続抽選を制御するためAT継続乱数カウンタ(図示せず)とが、少なくとも格納されている。
なお、本パチンコ機10が、ATの発生や継続を設定するためのカウンタやテーブルを、主制御装置110でなく、音声ランプ制御装置113に設け、音声ランプ制御装置113でATの発生や継続を設定する制御を行うようにしたのは、次の2つの理由による。即ち、第1に、本パチンコ機10の主制御装置110に変更を加えることなく、音声ランプ制御装置113を、ATの発生や継続を制御するためのパラメータ(カウンタの更新範囲や、AT発生乱数の値)等が違うものに変更するだけで、ATモードに関する遊技性に変化を持たせることができるので、本パチンコ機10の主制御装置110を使い回ししても、遊技性の異なる遊技機を提供できるためである。また、第2に、ATモードに関する制御は、音声ランプ制御装置113に集中するので、主制御装置110でATモードに関する制御を行わせる場合と比べて、主制御装置110の制御負担を低減できるためである。
ここで、図10を参照して、音声ランプ制御装置113のRAM223内に設けられる各種乱数カウンタ223aと、ROM222内に格納された各種テーブル222aについて説明する。図10は、各種テーブルの概要を示す図である。
まず、各種乱数カウンタ223aに含まれるAT発生乱数カウンタについて詳しく説明する。AT発生乱数カウンタは、上述した通り、AT抽選に使用するためのカウンタであり、定期的に(本実施形態ではメイン処理において1ms経過毎に1回)更新される。AT発生乱数カウンタの更新は、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算し、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻すことによって行われる。
AT継続乱数カウンタは、上述した通り、AT継続抽選に使用するためのカウンタであり、定期的に(本実施形態ではメイン処理において1ms経過毎に1回)更新される。AT継続乱数カウンタの更新は、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算し、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻すことによって行われる。
ここで、カウンタ用バッファ223bは、更新された各乱数カウンタの値を格納するための領域であり、MPU221は、カウンタ毎に、そのカウンタの更新タイミングで(メイン処理において1ms経過毎に)、カウンタ用バッファ223bに格納された値を用いて、そのカウンタの更新を行う。
ここで、図10(a)を参照してAT発生乱数テーブル222a1の詳細について説明する。図10(a)は、AT発生乱数テーブル222a1を模式的に示した模式図である。AT発生乱数テーブル222a1は、AT発生と判定されるAT発生乱数カウンタの値(AT発生乱数値)を示したものである。
前述したように、AT発生乱数カウンタは、0〜99の範囲(100カウント)の1バイトのループカウンタとして構成されている。これに対し、AT発生乱数テーブル222a1には「0〜33」という合計で34個の乱数値が、AT発生乱数値として格納されている。
MPU221は、AT抽選を行う場合に、AT発生乱数値をAT発生乱数テーブル222a1から読み出す。そして、MPU221は、AT抽選に用いるカウンタ用バッファ223bに記憶されているAT発生乱数カウンタの値が、AT発生乱数テーブル222a1から読み出したAT発生乱数値の一つと一致するか否かを判定し、一致する場合にAT発生と判定する。つまり、AT発生乱数カウンタの値が「0〜33」のいずれか一つと一致する場合にAT発生となる。即ち、このようにして行った抽選がAT抽選に該当する。このAT抽選では、AT発生乱数カウンタの更新範囲である100カウントに、34個のAT発生乱数値があるので、AT発生確率は、34/100となる。
次に、図10(b)を参照してAT継続乱数テーブル222a2の詳細について説明する。図10(b)は、AT継続乱数テーブル222a2を模式的に示した模式図である。AT継続乱数テーブル222a2は、AT継続が判定されるAT継続乱数カウンタの値(AT継続乱数値)を示したものである。
前述したように、AT継続乱数カウンタは、0〜99(100カウント)の範囲の1バイトのループカウンタとして構成されている。これに対し、AT継続乱数テーブル222a2には「0〜66」という合計で67個の乱数値が、AT継続乱数値として格納されている。
MPU221は、AT継続判定を行う場合に、AT継続乱数値をAT継続乱数テーブル222a2から読み出す。そして、MPU221は、AT継続判定に用いるカウンタ用バッファ223bに記憶されているAT継続乱数カウンタの値が、AT継続乱数テーブル222a2から読み出したAT継続乱数値(即ち、「0〜66」)の一つと一致するか否かを判定し、一致する場合にATモードを継続させると判定する。即ち、このようにして行った抽選がAT継続判定に該当する。このAT継続判定では、AT継続乱数カウンタの更新範囲である100カウントに、67個のAT継続乱数値があるので、AT継続確率は、67/100となる。一方、MPU221は、AT継続乱数カウンタの値が、AT継続乱数テーブル222a2から読み出したAT継続乱数値と不一致であると判定した場合は、ATモードを終了すると判定する。
RAM223は、ATフラグ223cを有している。ATフラグ223cは、遊技動作示唆が可能な遊技状態であることを示すために使用されるフラグである。ATフラグ223cは、AT抽選によって、MPU221がAT発生を判定した場合にオンされ、AT時普通変動回数カウンタ223dの値が15以上となっている場合、および、大当たり発生時に行われるAT継続抽選によって、MPU221がATモードの終了を判定した場合にオフされる。
ATフラグ223cは、MPU221が普通当たり時の停止種別コマンドを受信したと判定した場合に参照され、オン状態であれば、MPU221は、前述した遊技動作示唆を実行する。一方、MPU221が普通当たり時の停止種別コマンドを受信したと判定した場合にオフ状態であれば、遊技動作示唆は行われない。よって、ATフラグ223cの状態によって、パチンコ機10の遊技状態が、普通当たり時に遊技動作示唆が可能な遊技状態、即ち、ATモードであるか示される。
RAM223は、AT時普通変動回数カウンタ223dを有している。AT時普通変動回数カウンタ223dは、1回の普通図柄の変動表示(普通入賞)を1単位として、ATモードで遊技が行われる期間を管理するためのカウンタである。AT時普通変動回数カウンタ223dは、ATフラグ223cがオンされている状態で、普通図柄の変動表示が行われる度に1加算される。また、MPU221は、加算後のAT時普通変動回数カウンタ223dの値を参照して、その参照値が、所定値(例えば15)より大きいか判別して、大きくなっていた場合、または、ATフラグ223cがオンされている状態で大当たりが発生し、AT継続判定によって、MPU221にATモードの終了が判定された場合は、ATフラグ223cをオフすることにより、ATモードを終了させる。このとき、AT時普通変動回数カウンタ223dの値は0クリアされる。一方、ATフラグ223cがオンされている状態で大当たりが発生した場合は、ATフラグ223cがオフされることなく、AT時普通変動回数カウンタ223dは0クリアされる。即ち、AT継続判定によって、MPU221にATモードの継続が判定された場合は、そこから更に15回の普通図柄の変動表示が行われる間、ATモードが継続する。
RAM223は、保留球数カウンタ223eを有している。保留球数カウンタ223eは、主制御装置110の保留球数カウンタ203dと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Db)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大8回まで計数するカウンタである。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている保留球数カウンタ203dの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、保留球数カウンタ223eにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、音声ランプ制御装置113は、第1普通入賞口63或いは第2普通入賞口630への入球によって普通図柄の変動演出の保留球数が追加され、主制御装置110において保留球数カウンタ203dの値が加算された場合に主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドに含まれる、主制御装置110の保留球数カウンタ203dの加算後の値(即ち、主制御装置110に保留された変動演出の保留球数)を保留球数カウンタ223eに格納する(図24のS1214参照)。
また、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110において保留球数カウンタ203dの値が減算される場合に主制御装置110から送信される普通図柄変動パターンコマンドを受信し、その受信に伴って第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける普通図柄の変動表示の態様を設定すると、保留球数カウンタ223eの値を1減算する。このように、主制御装置110より送信されるコマンドに従って、保留球数カウンタ223eの値を更新するので、主制御装置110の保留球数カウンタ203dと同期させながら、その値を更新することができる。
保留球数カウンタ223eの値は、第3図柄変動表示領域81の保留表示領域Dsに保留図柄(本実施形態においてはヘルメットの図柄)を表示させるために用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数カウンタ223eに示される値と同じ数だけ、保留図柄を表示させるよう、表示制御装置114へ表示用保留球数コマンドを送信する。これにより、保留表示領域Dsには音声ランプ制御装置113が管理する保留球数分の保留図柄が表示され、遊技者は容易に保留球数を把握することができる。また、上述したように、保留球数カウンタ223eは、主制御装置110の保留球数カウンタ203dと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄変動表示領域81の保留表示領域Dsに表示される保留図柄の数も、主制御装置110の保留球数カウンタ203dの値に同期させながら、変化させることができる。よって、保留表示領域Dsに表示される保留図柄によって、保留球の数を正確に表示させることができる。
また、RAM223は、普通入賞口判別フラグ223fを備えている。普通入賞口判別フラグ223fは、ATモード時に普通当たりに当選して、遊技動作示唆が実行される場合に、その遊技動作示唆によって、第1入球口64と第2入球口640とのうち、開放される入球口と連動するように、遊技動作示唆を実行させるためのフラグである。
普通入賞口判別フラグ223fは、第1普通入賞口63への入賞に基づく普通図柄の変動パターンを受信した場合に、MPU221によってオンされ、第2普通入賞口63への入賞に基づく普通図柄の変動パターンを受信した場合に、MPU221によってオフされる。普通入賞口判別フラグ223fは、AT時に、普通当たりの停止種別コマンドを受信した場合に参照され、そのときに普通入賞口判別フラグ223fがオンされていた場合、即ち、該普通当たりが、第1普通入賞口63への入賞に基づいたものである場合に、MPU221は、第1入球口64が開放されることを示唆する遊技動作示唆コマンドを生成する。一方そのとき、普通入賞口判別フラグ223fがオフされていた場合、即ち、該普通当たりが、第2普通入賞口630への入賞に基づいたものである場合は、MPU221は、第2入球口640が開放されることを示唆する遊技動作示唆コマンドを生成する。
前述したように、本パチンコ機10では、第1普通入賞口63への入賞に基づいて普通当たりに当選した場合は、第1入球口64が開放され、第2普通入賞口630への入賞に基づいて普通当たりに当選した場合は、第2入球口640が開放される。よって、MPU221は、普通入賞口判別フラグ223fを参照することにより、第1入球口64と第2入球口640とのうち、開放される入球口と連動させて遊技動作示唆を行わせることができる。
RAM223は、更に、第1復号条件メモリ223gと第2復号条件メモリ223hとを有している。音声ランプ制御装置113のMPU221は、主制御装置110のMPU201によって加工されたコマンドを受信した場合、そのコマンドを、所定の復号条件に従って(所定の復号方法で)復号したうえで、そのコマンドに基づいて処理を実行する。第1復号条件メモリ223gおよび第2復号条件メモリ223hには、MPU221によってが加工後のコマンドを復号する場合に、復号後のコマンドを、元のコマンド(加工前のコマンド)に戻すためのパラメータが記憶される。
第1復号条件メモリ223gは、主制御装置110から送信された加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、元のコマンド(加工前の特殊ハズレ停止種別コマンド、即ち「F111h」)に復号するために使用するパラメータが格納されたメモリである。
第1復号条件メモリ223gは、2ビットで構成され、「0」〜「3」という、4種類の整数値が格納される。主制御装置110から送信された加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを受信したとMPU221が判別した場合、MPU221は、第2復号条件メモリ223gに記憶されている値に応じて、受信したコマンドを復号する。
電源入時に実行される立ち上げ処理(図22参照)において、MPU221は、第2条件設定スイッチ226の設定値に応じて、第1復号条件メモリ223gに値を格納する。
詳細は図11を参照して後述するが、第2条件設定スイッチ226は、遊技場等において、該スイッチ226のダイヤル(図示せず)を操作して、第1復号条件メモリ223gの値を設定するために使用するスイッチであり、音声ランプ制御装置113の入出力ポート225と接続されている。該スイッチ226は、ダイヤルの操作位置に応じて、「0」〜「4」の5つの設定値が用意されている。
本パチンコ機10の第2条件設定スイッチ226のダイヤルの操作位置のうち、「0」〜「3」の4つの設定値に応じた操作位置は、電源入時における第1復号条件メモリ223gの値を、直接設定するために使用される操作位置である。MPU221は、立ち上げ処理(図22参照)において、第2条件設定スイッチ226の設定を取得し、その取得した設定値が「0」〜「3」のいずれかであれば、第2条件設定スイッチ226の設定値と同じ値を、第1復号条件メモリ223gに格納する。これにより、MPU221は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを復号する際に、第2条件設定スイッチ226の設定値(ダイヤルの操作位置)に応じた所望の復号方法を使用することができる。
本パチンコ機10の第2条件設定スイッチ226のダイヤルの操作位置のうち、設定値「4」に応じた操作位置は、電源入時における第1復号条件メモリ223gの値を、電源入時に主制御装置110から送信される加工後の条件コマンドに基づいて設定するために使用される操作位置である。
前述したように、電源入時に、主制御装置110に接続された第1条件設定スイッチ210の設定値が、予め「4」に設定されていると、主制御装置110のMPU201は、乱数発生回路で生成された乱数値に基づいて、第1加工条件メモリ203fに値を格納すると共に、格納した値に基づき、加工後の条件コマンドを送信する。その加工後の条件コマンドを音声ランプ制御装置113が受信した場合、音声ランプ制御装置113のMPU221は、その加工後の条件コマンドに基づいて、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fに格納された値と同じ値を、第1復号条件メモリ223gに格納する。
また、第1復号条件メモリ223gには、第2条件設定スイッチ226の設定値に拘わらず、電源入時に設定された値から、その後、変更されることがある。これは、前述したように、主制御装置110のMPU201が、大当たりの発生間隔が、判定し、大当たり当選間隔判定しきい値が示す間隔よりも短いと判定した場合に、乱数発生回路で生成された乱数値を新たに取得して、第1加工条件メモリ203fの値を更新し、特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法を再設定(変更)する場合である。かかる場合、主制御装置110のMPU201は、更新後の第1加工条件メモリ203fの値に基づいて、加工後の条件コマンドを送信する。その加工後の条件コマンドを音声ランプ制御装置113が受信した場合、電源入時と同様に、音声ランプ制御装置113のMPU221は、その加工後の条件コマンドに基づいて、第1復号条件メモリ223gに、第1加工条件メモリ203fにおける更新後の値と同じ値を設定する。
本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113では、加工後のコマンドの下位バイト(「F122h」であれば「22h」)を、第1復号条件メモリ223gの値と同じビット数だけ、右へローテートすることを第1復号条件としている。一方、前述したように、主制御装置110における第1加工条件は、第1加工条件メモリ203fの値と同じビット数だけ、左へローテートすることである。即ち、本パチンコ機10では、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fと、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gとに、同一の値が格納されている場合に、音声ランプ制御装置113のMPU221は、主制御装置110のMPU201が加工した特殊ハズレ停止種別コマンドを、元のコマンドに復号できるようにしている。そして、音声ランプ制御装置113のMPU221は、復号後のコマンドが、元の特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」とならない限り、AT抽選を行わない。
かかる場合、「ぶら下げ基板」等によって、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとは異なる加工を施した、不正な加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドが、音声ランプ制御装置113へ出力されたとしても、そのコマンドを音声ランプ制御装置113のMPU221が復号した場合に、元の特殊ハズレ停止種別コマンドとならない。よって、「ぶら下げ基板」等によって、遊技動作示唆が不正に行われることを抑制できる。
第2復号条件メモリ223hは、主制御装置110から送信された加工後の条件コマンドを、元のコマンド(加工前の条件コマンド)に復号するために使用するパラメータが格納されたメモリである。前述したように、加工後の条件コマンドは、電源入時に第1条件設定スイッチ210の設定値が4のとき、又は、電源入後に、主制御装置110における特殊ハズレ停止図柄コマンドの加工方法が変更される場合に送信されるコマンドである。
第2復号条件メモリ223hは、第1復号条件メモリ223gと同様に2ビットで構成され、「0」〜「3」の整数値が格納される。第2復号条件メモリ223hには、音声ランプ制御装置113が有する第2ID用ROM224に固定的に格納されたパチンコ機10の製造番号に基づいて各パチンコ機10において個別に設定される。
ここで、音声ランプ制御装置113の第2ID用ROM224が格納する値は、主制御装置110の第1ID用ROM207が格納する値と同一である。また、音声ランプ制御装置113のMPU221による第2復号条件メモリ223hの値の設定は、主制御装置110のMPU201が第2加工条件メモリ203gに値を設定するのと同様にして行われる。即ち、音声ランプ制御装置113のMPU221は、第2ID用ROM224の製造番号に含まれた製造順に付される通し番号を、第2復号条件メモリ223hに格納可能な値の数である4で除算し、その余りを第2加工条件メモリ203gに設定する。よって、音声ランプ制御装置113の第2復号条件メモリ223hには、主制御装置110の第2加工条件メモリ203gと同じ値が格納される。
本パチンコ機10では、加工後のコマンドの下位バイト(「F122h」であれば「22h」)を、第2復号条件メモリ223hの値と同じビット数だけ、左へローテートすることを第2復号条件としている。一方、前述したように、本パチンコ機10の第2加工条件は、第2加工条件メモリ203gの値と同じビット数だけ、右へローテートすることである。前述したように、音声ランプ制御装置113の第2復号条件メモリ223hの値は、主制御装置110の第2加工条件メモリ203gの値と同じであるため、音声ランプ制御装置113のMPU221は、主制御装置110のMPU201が加工した条件コマンドを、元のコマンドに復号できる。
このほかにも、RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)や、変動表示を開始すべきか否かを示す変動開始フラグ(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理(図24参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。また、普通図柄変動開始フラグは、主制御装置110から出力された普通図柄の停止種別コマンド(「普通図柄停止種別コマンド」と称す)を受信した場合にオンされ(図24のS1205参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図29のS1702参照)。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、第2条件設定スイッチ226、音声出力装置227、ランプ表示装置228などがそれぞれ接続されている。
ここで図11を参照して、第1条件設定スイッチ210と、第2条件設定スイッチ226とについて詳細に説明する。図11は、パチンコ機10の電源装置115へ供給される駆動電圧(+24V)の経路を示した図である。図11に示すように、パチンコ機10の駆動電圧(+24V)は、第1条件設定スイッチ210と第2条件設定スイッチ226とを介して、電源装置115へ供給される。電源装置115は、駆動電圧(+24V)を、+12V、+9V、+5Vの各電圧に変換して、パチンコ機10の各部へ供給する。なお、駆動電圧(+24V)は、パチンコ機10が設置される島装置(図示せず)から供給される。
第1条件設定スイッチ210は、駆動電圧(+24V)の配線を、ダイヤルの設定値に応じて、端子A〜端子Eの5つの電源用端子のうち、いずれか一つに接続させるロータリースイッチである。具体的には、駆動電圧(+24V)の配線を、第1条件設定スイッチ210の設定値(ダイヤル位置)が「0」のときは端子Aと接続させ、「1」のときは端子Bと接続させ、「2」のときは端子Cと接続させ、「3」のときは端子Dと接続させ、「4」のときは端子Eと接続させる。第1条件設定スイッチ210は主制御装置110にも接続され、その設定値は主制御装置110に読み取り可能に構成されている。
同様に、第2条件設定スイッチ226も、電源装置115への駆動電圧(+24V)の配線を、端子A´〜端子E´の5つの電源用端子のうち、いずれか一つに接続させるロータリースイッチである。具体的には、電源装置115への駆動電圧(+24V)の配線を、第2条件設定スイッチ226の設定値(ダイヤル位置)が「0」のときは端子A´と接続させ、「1」のときは端子B´と接続させ、「2」のときは端子C´と接続させ、「3」のときは端子D´と接続させ、「4」のときは端子E´と接続させる。第2条件設定スイッチ226は音声ランプ制御装置113に接続され、その設定値は音声ランプ制御装置113に読み取り可能に構成されている。
第1条件設定スイッチ210の各端子A〜Eと第2条件設定スイッチ226の各端子A´〜E´とが同一の設定値にされている場合に限り、島装置からの駆動電圧(+24V)が電源装置115へ供給され、パチンコ機10が動作可能となる。
ここで、第1条件設定スイッチ210の設定値と第2条件設定スイッチ226の設定値とが一致する場合は、前述したように、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ203gの値とが一致する。これにより、主制御装置110から送信された加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、音声ランプ制御装置113のMPU221によって、正しく元のコマンド「F111h」に復号して、AT抽選を実行できる。
一方、第1条件設定スイッチ210の設置値と第2条件設定スイッチ226の設置値とが不一致の場合は、駆動電圧(+24V)が電源装置115へ供給されないので、パチンコ機10は動作できない。このように、主制御装置110による特殊ハズレ停止種別コマンドの加工条件と、音声ランプ制御装置113による特殊ハズレ停止種別コマンドの複合条件とが異なる場合には、駆動電圧(+24V)が電源装置115へ供給されず、遊技は行われない。従って、第1条件設定スイッチ210の設置値に応じた主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と、第2条件設定スイッチ226の設置値に応じた音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ203gの値とが不一致となって、音声ランプ制御装置113のMPU221によってAT抽選が行われなくなってしまうことを防止できる。
また、第1条件設定スイッチ210の設置値と第2条件設定スイッチ226の設置値とが一致して、駆動電圧(+24V)が電源装置115へ供給された場合は、主制御装置110はパイロットランプ229を点灯させている。よって、遊技場などで両スイッチ210,226を設定する際、パイロットランプ229の点灯を確認することにより、容易に両スイッチの設定値が一致したことを確認できる。
なお、第1条件設定スイッチ220を、主制御装置110に設けるか、或いは、主制御装置110を封印収納する基板ボックス100内に設けるようにしても良い。かかる構成によれば、第1条件設定スイッチ220から主制御装置110への入力に不正を働く不正行為を防止できる。
表示制御装置114は、第3図柄表示装置(LCD)81の画面表示を制御する装置であり、第2図柄(普通図柄)の変動表示(変動演出)、第3図柄の変動表示、大当たりを通知する画面、大当たり態様において、第1または第2大開放口65a、650aが開閉動作するときに表示させる画面、大当たりの終了を通知する画面、といった種々の画面表示を、音声ランプ制御装置113(主制御装置110)から送信されるコマンドに従って制御するものである。
表示制御装置114は、MPU231と、ROM(プログラムROM)232と、ワークRAM233と、ビデオRAM234と、キャラクタROM235と、画像コントローラ236と、入力ポート237と、出力ポート238と、バスライン239,240とを有している。入力ポート237の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート237の出力側には、MPU231、ROM232、ワークRAM233、画像コントローラ236が接続されている。画像コントローラ236には、ビデオRAM234、キャラクタROM235が接続されると共に、バスライン240を介して出力ポート238が接続されている。出力ポート238の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
表示制御装置114のMPU231は、音声ランプ制御装置113から出力された表示用普通図柄変動パターンコマンドやその他の各種コマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御する。
ROM232は、MPU231により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリである。
ワークRAM233は、MPU231による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。キャラクタROM235は、第3図柄表示装置81に表示される図柄(背景図柄や第3図柄)などの演出用のデータ(キャラクタ情報)を圧縮された型式で記憶したメモリである。ビデオRAM234は、第3図柄表示装置81に表示させる画像を生成するためにキャラクタROM235から読み出された複数のキャラクタ情報を解凍した型式で記憶する領域(図示せず)と、その解凍した複数のキャラクタ情報の少なくとも一部を用いて生成した1フレーム分の表示データを、その表示がなされるまで一時的に記憶するフレームバッファ領域(図示せず)とを有するメモリである。
画像コントローラ236は、MPU231、ビデオRAM234、出力ポート238のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きを介在すると共に、ビデオRAM234のフレームバッファ領域に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置81に表示させるものである。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図5参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図18参照)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次に、図12から図21のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがある。説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図12は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず、普通入賞スイッチや、始動入賞スイッチなどの各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では599)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203のカウンタ用バッファ202bに格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では99)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203のカウンタ用バッファ202bに格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1及び第2当たり乱数カウンタC2の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1及び第2当たり乱数カウンタC2をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、599,99)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1,C2の更新値を、RAM203のカウンタ用バッファ202bに格納する。
次に、第1図柄表示装置37による表示を行うための処理や、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbによる第2図柄(普通図柄)の変動パターンなどを設定する普通図柄変動処理を実行し(S104)、更に、第1普通入賞口63或いは第2普通入賞口630への入賞に伴う普通図柄始動入賞処理を実行する(S105)。なお、普通図柄変動処理(S104)の詳細については図13,14を参照して後述し、また、普通図柄始動入賞処理(S105)の詳細については図15を参照して後述する。
普通図柄始動入賞処理を実行した後は、特別図柄変動処理(S106)を実行する。この特別図柄変動処理(S106)では、第1図柄表示装置37による表示を行うための処理や、第3図柄表示装置81の第3図柄変動表示領域Dmによる第3図柄(特別図柄)の変動パターンの設定を行う。そして、第1始動口64或いは第2始動口640への始動入賞に伴う特別図柄始動入賞処理を実行する(S107)。この処理は、第1始動口64或いは第2始動口640への始動入賞の有無を判定して、いずれかの始動口にて始動入賞があった場合に、特別図柄変動フラグ(図示せず)をオンするものである。なお、特別図柄変動処理(S106)の詳細については図16,17を参照して後述する。
次に、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図13,14を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S104)について説明する。図13は、この普通図柄変動処理(S104)を示したフローチャートである。この普通図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図12参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37や第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにて行う普通図柄(第2図柄)の変動表示を制御する。
この普通変動処理では、まず、特別図柄(第3図柄)の大当たり中か否かを判別する(S201)。判別の結果、大当たり中であれば(S201:Yes)、変動表示は行えないので、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37における普通図柄(第2図柄)の表示態様が変動中であるか否かを判別し(S202)、第1図柄表示装置37における普通図柄の表示態様が変動中でなければ(S202:No)、次いで、第1図柄表示装置37における普通図柄の変動表示が停止後、所定時間経過したか否かを判別する(S203)。その結果、変動停止後、所定時間経過していなければ(S203:No)、そのまま本処理を終了する。これにより、1図柄表示装置37には、普通図柄の変動演出における停止図柄が所定時間だけ表示され、同様に、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbには、後述するS207の処理で設定された停止図柄が表示される。これにより、遊技者に対して、それら停止図柄を視認させることができる。
一方、S203の処理の結果、普通図柄の変動停止後、所定時間経過していれば(S203:Yes)、保留球数カウンタ203dの値(主制御装置110において保留されている変動表示の保留球数N)が0よりも大きいか否かを判別し(S204)、保留球数カウンタ203dの値(保留球数N)が1以上であれば(S204:Yes)、保留球数カウンタ203dの値(保留球数N)を1減算し(S205)、保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフト処理する(S206)。このデータシフト処理は、保留球格納エリア203cが有する8つの保留エリア203c1〜203c8に格納されているデータを実行エリア203c9側へ順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア203c1→実行エリア203c9、保留第2エリア203c2→保留第1エリア203c1、保留第3エリア203c3→保留第2エリア203c2、・・・保留第8エリア203c8→保留第7エリア203c7、といった具合に各エリア内のデータをシフトする。データシフト処理の後は、第1図柄表示装置37における普通図柄変動開始処理を実行し(S207)、そのまま本処理を終了する。なお、普通図柄変動開始処理(S207)については、図14を参照して後述する。
S204の処理において、保留球数カウンタ203dの値(保留球数N)が0であると判別された場合は(S204:No)、変動表示を実行する保留球が無いということなので、本処理を終了する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が普通図柄の変動中であると判別されると(S202:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S208)。第1図柄表示装置37の変動時間は、本実施形態では停止図柄の種別等に拘わらず一定(20秒間)であり、この変動時間が経過していなければ(S208:No)、第1図柄の変動中であるので、第1図柄表示装置37の表示を更新して(S209)、本処理を終了する。
一方、第1図柄表示装置37の変動時間が経過していれば(S208:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様を設定する(S210)。第1図柄の停止図柄の設定は、図14を参照して後述する普通図柄変動開始処理(S207)によって予め行われる。即ち、普通図柄変動開始処理(S207)では、S206の処理により、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて、普通当たりか否かが決定される。そして、第1図柄表示装置37の停止表示として、普通当たりの場合は、普通当たりに対応する停止図柄が設定され、特殊ハズレの場合は、特殊ハズレに対応する停止図柄が設定され、通常ハズレの場合は通常ハズレに対応する停止図柄が設定される。
S210の処理で停止図柄に対応した第1図柄表示装置37の表示態様が設定されると、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける普通図柄(第2図柄)の変動演出の停止図柄を、第1図柄表示装置37におけるLED37aの点灯と同調して確定させるために普通図柄確定コマンドを設定して(S211)、本処理を終了する。音声ランプ制御装置113は、この普通図柄確定コマンドを受信すると、表示制御装置114に対してそのまま普通図柄確定コマンドを送信する。第3図柄表示装置81は、変動時間が経過すると第2図柄表示領域Dbにおける普通図柄の変動が停止し、普通図柄確定コマンドを受信することで停止図柄が確定される。
次に、図14を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動開始処理(S207)について説明する。図14は、普通図柄変動開始処理(S207)を示したフローチャートである。この普通図柄変動開始処理(S207)は、タイマ割込処理(図12参照)の普通図柄変動処理(図13参照)の中で実行され、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された各種カウンタの値に基づき、普通当たり抽選および特殊ハズレ判定を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおいて普通図柄(第2図柄)の変動表示(変動演出)を開始させるために、普通図柄の停止種別と変動パターンとを設定する。
普通図柄変動開始処理では、まず、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて普通当たりか否かを判別する普通当たり抽選を行う(S301)。普通当たりか否かは、第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて判別される。上述した通り、普通当たり乱数テーブル202a1に格納された「7,107,207,307,407,507」が普通当たり乱数値である。S301の処理では、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値が、この普通当たり乱数値の1つと一致する場合に、普通当たりであると判別する。
そして、S301の処理の結果、普通当たりであると判別された場合(S301:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄(LED37aの点灯状態)および第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける停止種別(停止図柄)を設定する(S302)。これにより、第1図柄表示装置37の停止図柄(LED37aの点灯状態)が、普通当たりを示すものとなる。
また、S302の処理によって設定された停止種別によれば、第2図柄表示領域Dbにおける停止図柄は「☆」となる。そこで、第2図柄表示領域Dbにおける停止図柄を「☆」とする、普通当たり時の停止種別コマンド(普通当たり停止種別コマンド「F133h」)を設定する(S303)。これにより、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける停止図柄が設定される。
次に、普通入賞メモリ203eの値に応じて、普通図柄変動パターンを設定するとともに、普通図柄変動パターンコマンドを設定する(S304)。本実施形態における普通図柄の変動表示は、停止種別に拘わらず一定時間(20秒間)行われる。普通図柄変動パターンコマンドは、停止種別に拘わらず2種類用意されており、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された普通入賞メモリ203eの値に応じて、2種類のコマンドの中から1つが設定される。即ち、実行エリア203c9に格納された保留球が第1普通入賞口63に入賞したものであれば、前述したように、普通入賞メモリ203eには第1普通入賞情報が格納されている。よって、この場合は、第1普通入賞口63の入賞に対応する普通図柄変動パターンコマンドが設定される。一方、実行エリア203c9に格納された保留球が第2普通入賞口630に入賞したものであれば、前述したように、普通入賞メモリ203eには第2普通入賞情報が格納されており、普通図柄変動パターンコマンドは、第2普通入賞口630の入賞に対応するものが設定される。これにより、パチンコ機10の遊技状態がATモードであるときに、音声ランプ制御装置113が、この普通図柄変動パターンコマンドと、普通当たり時の停止種別コマンドとを受信することによって、音声ランプ制御装置113のMPU221は、遊技動作示唆を、保留球が入賞した普通入賞口と対応させて行うことができる。
次に、第1普通図柄変動回数カウンタ203hの値Mに1加算して更新し(S304)、タイマ割込処理(図12参照)に戻る。第1普通図柄変動回数カウンタ203hは、大当たり発生の際に、後述する特別図柄変動処理(図16参照)によって0クリアされる。よって、第1普通図柄変動回数カウンタ203hの値には、前回の大当たりから行われた、普通図柄の変動演出の回数が記憶される。
S301の処理によって、普通当たりでない(即ち、ハズレ)と判別された場合(S301:No)、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて特殊ハズレか否かを判別する特殊ハズレ判定を行う(S306)。特殊ハズレか否かは、第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて判別される。上述した通り、特殊ハズレ乱数テーブル202a2に格納された「77,177,277,377,477,577」が特殊ハズレ乱数値である。S306の処理では、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値が、この特殊ハズレ乱数値の1つと一致する場合に、特殊ハズレであると判定する。
S306の処理によって、特殊ハズレであると判定された場合(S306:Yes)、特殊ハズレ時の停止種別を設定し(S307)、第1図柄表示装置37の停止図柄(LED37aの点灯状態)を設定する。次に、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbに表示させる停止図柄を、「−」とし、音声ランプ制御装置113のMPU221にAT抽選を実行させるため、ROM202の所定領域から、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンド(即ち、「F111h」)を取得する(S308)。これにより、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける停止図柄に特殊ハズレ時の停止図柄が設定される。尚、特殊ハズレの停止図柄「−」と、通常はズレの停止図柄「−」は、同一の図柄である。
次に、取得した未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを、第1加工条件メモリ203fの値に基づいて加工する(S309)。第1加工条件メモリ203fの値は、後述する、立ち上げ処理の加工条件初期設定処理(図20参照)や、特別図柄変動処理(S106)の加工条件再設定処理(図17参照)において、1〜3のいずれかに設定される。
前述したように、主制御装置110のMPU201が、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを加工する場合は、該コマンドの下位1バイト(即ち、「11h」)のビットを、第1加工条件メモリ203fの値分だけ左へローテートすることにより加工する(図8(a)参照)。これにより、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」は、第1加工条件メモリ203fの値に応じて、4種類の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」「F122h」「F144h」「F188h」のいずれかに加工される。そして、S309処理によって加工したコマンド(即ち、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンド)を設定すると共に、普通図柄変動パターンコマンドを設定して(S310,S304)、第1普通図柄変動回数カウンタ203hの値Mに1加算して更新し(S305)、タイマ割込処理に戻る。
一方、S306の処理によって、特殊ハズレではないと判定された場合(S306:No)は、通常ハズレである。この場合、通常ハズレ時の停止種別を設定すると共に、通常ハズレ時の停止種別コマンド(通常ハズレ停止種別コマンド「F155h」)を設定し(S312)、普通図柄変動パターンコマンドを設定して(S309,S304)、第1普通図柄変動回数カウンタ203hの値Mに1加算して更新し(S305)、タイマ割込処理に戻る。
S303,S310,S312の各処理で設定された停止種別コマンド、および、S304の処理で設定された普通図柄変動パターンコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用リングバッファに記憶され、メイン処理(図21)のS901の処理で、これらのコマンドが音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、普通図柄の停止種別コマンドおよび普通図柄確定コマンドを受信すると、各コマンドに対応した表示用コマンド(表示用普通図柄停止種別コマンド、表示用普通図柄変動パターンコマンド)を生成し、そのコマンドを表示制御装置114に対して送信する。これにより、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおいて、普通図柄の変動表示が開始される。
次に、図15のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄始動入賞処理(S105)を説明する。図15は、この普通図柄始動入賞処理(S105)を示したフローチャートである。この普通図柄始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図12参照)の中で実行され、第1普通入賞口63あるいは第2普通入賞口630への入賞(普通入賞)の有無を判断し、普通入賞があった場合は、乱数カウンタ等(第1当たり乱数カウンタC1および普通入賞メモリ203e)が示す値の保留処理を実行する。
普通図柄始動入賞処理が実行されると、まず、球が第1普通入賞口63に入賞(普通入賞)したか否かを判別する(S401)。球が第1普通入賞口63に入賞したと判別されると(S401:Yes)、普通入賞メモリ203eに第1普通入賞情報を格納する(S402)。そして、保留球数カウンタ203dの値(主制御装置110において保留されている普通図柄の変動演出の保留球数N)が上限値(本実施形態では8)未満であるか否かを判別する(S403)。
ここで、S401の処理によって、第1普通入賞口63への入賞がない(S401:No)と判別された場合は、球が第2普通入賞口630に入賞(普通入賞)したか判別する(S404)。第2普通入賞口630への普通入賞が判別された場合は(S404:Yes)、普通入賞メモリ203eに第2普通入賞情報を格納してから(S405)、保留球数カウンタ203dの値が上限値8未満であるか否かを判別する(S403)。
第1普通入賞口63及び第2普通入賞口630のいずれにも入賞がない(S401:No、且つ、S402:No)、或いは、第1普通入賞口63又は第2普通入賞口630への入賞があっても、保留級数N<8でなければ(S403:No)、タイマ割込処理へ戻る。一方、第1普通入賞口63または第2普通入賞口630への入賞があり(S401:Yes、又は、S402:Yes)、且つ、保留球数N<8であれば(S403:Yes)、保留球数カウンタ203dの値(保留球数N)を1加算し(S406)、更に、前記ステップS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1の値、および、S402またはS405によって設定した普通入賞メモリ203eの値を、RAM203の保留球格納エリア203cの空き保留エリアのうち、最初のエリアに格納する(S407)。
次いで、S406の処理によって更新された保留球数カウンタ203dの値Nを含めた保留球数コマンドを作成して設定する(S408)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図21)のS901の処理で音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113では、保留球数コマンドに含められた保留球数Nに基づいて、音声ランプ制御装置113の保留球数カウンタ223eの値を更新し、その保留球数カウンタ223aの値により示される数分の保留図柄(ヘルメットの図柄)を、第3図柄表示装置81の保留球表示領域Dsに表示させるよう、表示制御装置114へ表示用保留球数コマンドを送信する。そして、始動入賞処理を終了し、タイマ割込処理に戻る。
次に、図16,17を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S106)について説明する。図16は、この特別図柄変動処理(S106)を示したフローチャートである。この特別図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図12参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37や第3図柄表示装置81の第3図柄表示領域Dmにて行う特別図柄(第3図柄)の変動表示を制御する。
この変動処理では、まず、大当たり中か否かを判別する(S501)。判別の結果、大当たり中であれば(S501:Yes)、特別図柄の変動表示は行えないので、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S501:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が特別図柄の変動中であるか否かを判別し(S502)、第1図柄表示装置37の表示態様が特別図柄の変動中でなければ(S502:No)、次いで、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示が停止後、所定時間経過したか否かを判別する(S503)。その結果、特別図柄の変動停止後、所定時間経過していなければ(S503:No)、そのまま本処理を終了する。これにより、特別図柄の変動演出における停止図柄を、所定時間、第1図柄表示装置37や、第3図柄表示装置81の特別図柄表示領域Dmに表示できるので、遊技者に対して、その停止図柄を視認させることができる。
一方、S503の処理の結果、特別図柄の変動停止後、所定時間経過していれば(503:Yes)、特別図柄変動フラグがオンされているかを判別する(S504)。特別図柄変動フラグは、前記の特別図柄始動入賞処理(S107)において、第1入球口64または第2入球口640のいずれかへの始動入賞が検出された場合にオンされる。よって、特別図柄変動フラグがオンされていると判別された場合は(S504:Yes)、始動入賞が検出されているということである。かかる場合、大当たり乱数テーブル202a3から大当たり乱数値を読み出すと共に、カウンタ用バッファ203bの第2当たり乱数カウンタC2の値を読み出し、両値が一致するか否かを判定することにより、特別図柄抽選(大当たり抽選)を行う(S505)。
次に、S505の処理による特別図柄抽選の抽選結果に応じた特別図柄変動パターンコマンドを設定すると共に(S506)、特別図柄停止種別コマンドを設定する(S507)。S506及びS507の処理によって設定された、特別図柄変動パターンコマンドおよび特別図柄停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図21)のS901の処理で音声ランプ制御装置113に送信される。これらのコマンドを、音声ランプ制御装置113が受信した場合、音声ランプ制御装置113は、これらのコマンドに基づいて表示用コマンド(表示用特別図柄変動パターンコマンド、表示用特別図柄停止種別コマンド)を表示制御装置114に送信する。これにより、第3図柄表示装置81において、特別図柄(第3図柄)の変動表示が行われる。
次に、S505の処理にて実行された特別図柄抽選(大当たり抽選)の抽選結果が大当たりであるか判別し(S508)、大当たりでないと判別されれば(S508:No)、本処理を終了し、タイマ割込処理に戻る。
一方、S508の処理によって、抽選結果は大当たりであると判別された場合は、普通変動回数カウンタ203hの値(普通変動回数M)を取得し(S509)、その値が、大当たり当選間隔判定しきい値(本実施形態では170)よりも小さな値か否かを判定する(S510)。普通変動回数カウンタ203hには、前回の大当たり発生時に実行された、後述するS512の処理によって一度0クリアされ、それから、普通図柄の変動表示が行われる度に普通図柄変動開始処理(S207)の度に1ずつ加算された値が、予め格納されている。大当たり当選間隔判定しきい値は、ATモード時における大当たりの当選間隔の期待値と通常時(非ATモード時)における大当たりの当選間隔の期待値との間で設定した普通図柄変動表示の回数である。
S510の処理において、普通変動回数カウンタ203hの値が、大当たり当選間隔判定しきい値よりも小さな値と判別された場合は(S510:Yes)、パチンコ機10の大当たり当選間隔が通常時よりも短いので、本パチンコ機10に「ぶら下げ基板」等が取り付けられており、その「ぶら下げ基板」等が加工後の停止種別コマンドを出力することによって、音声ランプ制御装置113にAT抽選を繰り返し行わせ、頻繁に不正なATモードが設定された結果として行われる遊技動作示唆によって、大当たり発生確率が不正に高められている可能性がある。このとき、即ち、このとき、本パチンコ機10の主制御装置110から送信されると共に、音声ランプ制御装置113においてAT抽選の契機としている加工後の特殊ハズレ停止図柄コマンドが、「ぶら下げ基板」等から出力するものと一致している可能性がある。
そこで、かかる場合には、後述する加工条件再設定処理を実行し(S511)、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値を、再設定し、主制御装置110から送信される、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを変更するための処理、および、その変更に伴って、音声ランプ制御装置113のMPU221におけるコマンドの復号方法を変更することを指令する、加工後の条件コマンドを送信するための処理を行う。これにより、本パチンコ機10の主制御装置110から送信されると共に、音声ランプ制御装置113においてAT抽選の契機としている加工後の特殊ハズレ停止図柄コマンドを再設定(変更)して、「ぶら下げ基板」等から出力するものとは別の物にすることができるので、「ぶら下げ基板」等による不正行為を中断させることができる。加工条件再設定処理(S511)の実行後は、普通変動回数カウンタ203hの値Mを0クリアして(S512)、本処理を終了し、タイマ割込処理に戻る。
一方、S509の処理において、普通変動回数Mが250よりも大きな値と判別された場合は(S509:No)、上述した「ぶら下げ基板」等による不正行為が行われている可能性は低いので、加工条件再設定処理(S511)をスキップし、普通変動回数カウンタ203hの値Mを0クリアして(S512)、本処理を終了し、タイマ割込処理に戻る。
S502の処理において、第1図柄表示装置37の特別図柄の表示態様が変動中であると判別されると(S502:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S513)。この変動時間が経過していなければ(S513:No)、第1図柄表示装置37の表示を更新して(S514)、本処理を終了する。
一方、第1図柄表示装置37の変動時間が経過していれば(S513:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した特別図柄の表示態様を設定する(S515)。第1図柄の停止図柄の設定は、前記のS507の処理によって予め行われる。
S515の処理で停止図柄に対応した第1図柄表示装置37の表示態様が設定されると、その表示態様に応じて、第3図柄表示装置81の変動演出の停止図柄を第1図柄表示装置37におけるLED37aの点灯と同調して確定させるために確定コマンドを設定する(S516)。音声ランプ制御装置113は、この確定コマンドを受信すると、表示制御装置114に対してそのまま確定コマンドを送信する。第3図柄表示装置81は、変動時間が経過すると変動が停止し、確定コマンドを受信することで、第3図柄表示装置81における停止図柄が確定される。
次に、特別図柄変動フラグをオフすることによって特別図柄の変動演出の終了を設定し(S517)、本処理を終了する。
次に、図17を参照して、上記したタイマ割込処理の特別図柄変動処理(S106)の中で主制御装置110内のMPU201により実行される、加工条件再設定処理(S511)について説明する。図17は、この加工条件再設定処理(S511)を示したフローチャートである。この加工条件再設定処理(S511)は、前述したように、大当たり発生時に、一定条件下で第1加工条件メモリ203fの値を設定(再設定、変更)するための処理である。また、詳細は後述するが、この加工条件再設定処理(S511)は、電源入時に実行される立ち上げ処理(図19)において、第1条件設定スイッチ210の設定値が予め4である場合にも呼び出される。そして、該処理(S511)によって、電源入時における第1加工条件メモリ203fの値を設定(再設定、変更)する。
まず、乱数発生回路206から乱数値を取得する(S551)。乱数発生回路206では、前述したように0〜255の範囲のハード乱数を生成する。取得した乱数値は第1加工条件メモリ203fに格納可能な値の数である4で除算し、余りを、第1加工条件メモリ203fに格納する(S552)。これにより、特殊ハズレ停止種別コマンドを加工する際に、該コマンドの下位バイトを左へローテートするビット数が乱数値に応じてランダムに設定(再設定、変更)される。従って、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、4種類の中からランダムに設定することができる。このため、大当たり発生時に行われたS522の処理によって、第1加工条件メモリ203fの値が再設定されることにより、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、それまでとは違うものにして音声ランプ制御装置113へ送信することができる。
次に、第1ID用ROM207に格納された各パチンコ機10に固有の製造番号を、第2工条件メモリ203gに格納可能な値の数である4で除算し、余りを、第2加工条件メモリ203gに格納する(S554)。次いで、S552の処理で設定した第1加工条件メモリ203fの値と対応する未加工の条件コマンドを、ROM202から読み出し、その条件コマンドの下位バイトのビットを、第2加工条件メモリ203gに格納された値された値分だけ右にローテートして加工し(第2加工条件に従って加工し)(S555)、加工後の条件コマンドを設定する(S556)。そして、本処理を終了し、特別図柄変動処理に戻る。
S556の処理で設定された加工後の条件コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図21)のS901の処理で音声ランプ制御装置113に送信される。このコマンドを受信した音声ランプ制御装置113は、第2ID用ROM224に記憶されたパチンコ機10の製造番号に基づいて、受信した加工後の条件コマンドを、元の条件コマンドに復号する。そして、復号後の条件コマンドによって示される第1加工条件メモリ203fの値(即ち、S552の処理で設定した値)を、第2復号条件メモリ223hに格納する。これにより、第1加工条件メモリ203fの値と第2復号条件メモリ223hとが一致するので、S552の処理で設定した主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値に応じて加工した特殊ハズレ停止種別コマンドを、音声ランプ制御装置113のMPU201によって元のコマンドに復号させることができる。
図18は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S601)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図19を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図19は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S701)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S702)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S703)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図5参照)がオンされているか否かを判別し(S704)、オンされていれば(S704:Yes)、処理をS711へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S704:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S705)、記憶されていなければ(S705:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS711へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S705:Yes)、RAM判定値を算出し(S706)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S707:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS711へ移行する。なお、図21のS908の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S711の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S711)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S712,S713)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S712,S713)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S712,S713)を実行する。RAMの初期化処理(S712,S713)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S712)、その後、RAM203の初期値を設定する(S713)。RAM203の初期化処理の実行後は、加工条件初期設定処理(S709)へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S704:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S705:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S707:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアし(S708)、次に、加工条件初期設定処理(S709)に移行する。
加工条件初期設定処理(S709)では、電源立ち上げ後に初めて、第1加工条件メモリ203fの値を設定する。詳細は、図20を参照して後述する。S709の処理の後は、割込みを許可し(S710)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図20を参照して、上記した立ち上げ処理の中で主制御装置110内のMPU201により実行される加工条件初期設定処理(S709)について説明する。図20は、この加工条件初期設定処理(S709)を示したフローチャートである。この加工条件初期設定処理(S709)では、電源立ち上げ後に初めて、第1加工条件メモリ203fの値を設定する。
まず、MPU201へ入力されている第1条件設定スイッチ210の出力信号に基づいて、第1条件設定スイッチ210の設定値を、「0,1,2,3,4」の中から判別し(S801)、第1条件設定スイッチ210の設定値が「4」であるか判定する(S802)。本パチンコ機10では、第1条件設定スイッチ210の設定値が予め4となっている場合は、後述するように、第1条件設定スイッチ210の設定値が0〜3のいずれかである場合のように、その設定値と同じ値を、第1加工条件メモリ203fの値とするのではなく、設定値が0〜3のいずれかから自動的に設定されるようにしている。そこで、S802の処理によって、第1条件設定スイッチ210の設定値が「4」であると判定された場合は(S802:Yes)、加工条件再設定処理(S511)に移行する。
この加工条件再設定処理(S511)では、図17を参照して前述したように、電源入時における第1加工条件メモリ203fの値が、乱数発生回路206で生成された乱数値に基づいて設定される。また、第1ID用ROM207に記憶された値に基づいて第2加工条件メモリ203gの値が設定され、該加工条件再設定処理(S511)にて設定した第1加工条件メモリ203fの値を、音声ランプ制御装置113へ通知するための条件コマンドが、第2加工条件メモリ203gの値に応じた第2加工条件によって加工され、加工後の条件コマンドが設定される。この加工後の条件コマンドが、メイン処理(図21)のS901の処理で音声ランプ制御装置113に送信されることにより、電源入時における音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223の値を、第1加工条件メモリ203fの値と同一の値に設定させることができる。S511の処理の後は、本処理を終了し、立ち上げ処理に戻る。
S802の処理に戻って説明を続ける。第1条件設定スイッチ210の設定値が0〜3のいずれかに予め設定されている場合は(S802:No)、第1条件設定スイッチ210の設定値と同じ値を、第1加工条件メモリ203fの値に格納する(S803)。そして、本処理を終了し、立ち上げ処理に戻る。主制御装置110のMPU201は、第1加工条件メモリ203fの値に応じて、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを、4種類の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドから1つに加工して、音声ランプ制御装置113へ送信する。よって、第1条件設定スイッチ210を、0〜3の範囲で操作することにより、所望の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信させることができる。
S511又はS802の処理の後、普通図柄変動開始処理(図14参照)において、特殊ハズレが抽選された場合、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを、下位バイトのビットに対して、該S511又はS802の処理によって第1加工条件メモリ203fに格納された値の分だけ左にローテートして加工することができ、その加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信することができる。
次に、図21を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図21は、このメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS901〜S904の各処理が実行され、その残余時間でS905のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、タイマ割込処理(図12参照)の中でRAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S901)。
具体的には、タイマ割込処理(図12参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、普通図柄始動入賞処理(図15参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドや、加工後の条件コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。その他、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド、確定コマンドや、各大開放口65a,650aを開閉動作させている場合に第3図柄表示装置81に各種画面を表示させるのに必要な告知コマンドA、告知コマンドB、突確コマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドA、エンディングコマンドB等を、音声ランプ制御装置113に送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次いで、大当たり状態である場合において、第1可変入賞装置65の第1大開放口65aおよび第2可変入賞装置650の第2大開放口65aのそれぞれを、開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S902)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に、その大当たりにおいて開放可能な、第1大開放口65aまたは第2大開放口650aの一方を開放し、その大開放口の最大開放時間が経過したか、又は球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると、開状態となっていた第1大開放口65aまたは第2大開放口650aの一方を閉鎖する。この第1大開放口65aまたは第2大開放口650aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S903)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S903:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S904)、既に所定時間が経過していれば(S904:Yes)、処理をS901へ移行し、上述したS901以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S904:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1及び第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行する(S905)。
具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では599、99)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203のカウンタ用バッファにそれぞれ格納する(S905)。
ここで、S801〜S904の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC2の初期値)をランダムに更新することができる。
また、S903の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S903:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図18のNMI割込処理が実行されたということなので、S906以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S906)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S907)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S908)、RAM203のアクセスを禁止して(S909)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S906の処理は、S901〜S905で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS905の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS901の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS901の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S701)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S901の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
次に、図22から図29を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図22を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図22は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1119の電源断処理(図23参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1002)。図23を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図23のS1116参照)、S1119の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1119の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1002:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1119の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1003)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1006の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1003:Yes)、S1004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1003:No)、S1008へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1003:Yes)、S1004へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1119の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1003:No)、S1008へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1002:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1119の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1004の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1004)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0F1h」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0F1h」であるか否かを確認し、「0F1h」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0F1h」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1005:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1006)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1005:No)、RAM223の異常を報知して(S1007)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1008の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1008)。電源断フラグはS1119の電源断処理の実行前にオンされる(図23のS1118参照)。つまり、電源断フラグは、S1119の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS1008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1119の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1008:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1009)、RAM223の初期値を設定する(S1010)。
次に、MPU221に対して第2条件設定スイッチ226から出力されている出力信号に基づいて、「0,1,2,3,4」のいずれかが設定された、第2条件設定スイッチ226の設定値を取得する(S1011)。そして、設定値に応じた値を、第1復号条件メモリ223gに格納する(S1012)。ここで、第1復号条件メモリ223gは2ビットのメモリであるため「0〜3」の値は格納できるが、「4」は格納できない。そこで、第2条件設定スイッチ226の設定値が「4」の場合は、第1復号条件メモリ223gに「0」を格納するようにする。このようにしたところで、第2条件設定スイッチ226の設定値が「4」の場合における第1復号条件メモリ223gの値は、後述する復号条件設定処理(図28参照)によって、電源立ち上げ時に主制御装置110が送信した加工後の条件コマンドに基づく値に設定されるからである。
次に、割込み許可を設定して(S1013)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1004からS1006の処理を経由してS1008の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1008:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1009をスキップして、処理をS1010へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1010)、第2条件設定スイッチ226の設定値を取得し(S1011)、設定値に応じた値を第1復号条件メモリ223gに格納する(S1012)。その後、割込み許可を設定して(S1013)、メイン処理へ移行する。
なお、S1009のクリア処理をスキップするのは、S1004からS1006の処理を経由してS1008の処理へ至った場合には、S1004の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図23を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図23は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、前回S1101の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1101)、1m秒以上経過していなければ(S1101:No)、S1102〜S1112の処理を行わずにS1113の処理へ移行する。S1101の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1102〜S1112が表示や音声の設定(即ち、演出の設定)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1113の普通図柄変動表示処理や、S1114の特別図柄変動表示処理、S1115のコマンド判定処理は、短い周期で実行する方が好ましいからである。S1115の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1113、S1114の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1101の処理で1m秒以上経過していれば(S1101:Yes)、まず、S1103〜S1115の処理によって予め設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1102)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1109の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1103)、その後電源投入報知処理を実行する(S1104)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1105の処理へ移行する。
S1105の処理では客待ち演出が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1106)。客待ち演出では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、保留球数カウンタ223eの値に応じて第3図柄表示装置81の保留表示領域Dsに、保留図柄を表示させるための保留球数コマンドを設定する。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1107)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。例えば、変動表示開始時に予告キャラが出現した場合に枠ボタン22を押すことで今回の変動による大当たりの期待値を表示したり、リーチ演出中に枠ボタン22を押すことで大当たりへの期待感を持てる演出に変更したり、複数のリーチ演出のうち1のリーチ演出を選択するための決定ボタンとしても良い。なお、枠ボタン22が配設されていない場合には、S1107の処理は省略される。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、次いで、ランプ編集処理を実行し(S1109)、その後音編集・出力処理を実行する(S1110)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置227の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置227から音が出力される。
S1110の処理後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1111)、その後、カウンタ更新処理が行われて(S1112)、S1113の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理(S1111)では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理(S1111)で設定された時間に基づいてS1109のランプ編集処理が実行される。なお、S1110の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。また、カウンタ更新処理(S1112)では、RAM223に設けられた各種カウンタの更新が行われる。AT発生乱数カウンタや、AT継続乱数カウンタも、この処理によって更新される。
S1113の処理では、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおいて普通図柄(第2図柄)の変動演出を表示させるために、主制御装置110より受信した普通図柄変動パターンコマンド及び普通図柄停止種別コマンドに基づいて、表示用普通図柄変動パターンコマンドや表示用普通図柄停止種別コマンドを生成し、生成したコマンドを表示制御装置114に送信するために設定する処理である普通図柄変動表示処理を実行する(S1113)。この変動表示処理の詳細については、図29を参照して後述する。そして、普通図柄変動表示処理の後、第3図柄表示装置81の第3図柄表示領域Dmにおいて特別図柄(第3図柄)の変動演出を表示させるために、主制御装置110より受信した特別通図柄変動パターンコマンド及び特別図柄停止種別コマンドに基づいて、表示用特別図柄変動パターンコマンドや表示用特別図柄停止種別コマンドを生成し、生成したコマンドを表示制御装置114に送信するために設定する処理である特別図柄変動表示処理を実行する(S1114)。次に、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1115)。このコマンド判定処理の詳細については、図24を参照して後述する。
S1115の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1116)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1116の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1116:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1118)、電源断処理を実行する(S1119)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1019)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置227およびランプ表示装置228からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1116の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1116:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1117)、RAM223が破壊されていなければ(S1117:No)、S1101の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1117:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置227やランプ表示装置228によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図24を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1115)について説明する。図24は、このコマンド判定処理(S1115)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1115)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図23参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
コマンド判定処理では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より普通図柄変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する(S1201)。そして、普通図柄変動パターンコマンドを受信したと判別された場合(S1201:Yes)、普通図柄変動パターンコマンドから普通図柄変動パターン種別を抽出する(S1202)。詳細は図29を参照して後述するが、普通図柄変動表示処理(S1113)では、ここで抽出された普通図柄変動パターン種別に基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。それにより、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにて普通図柄の変動演出が行われる。
次に、S1202によって抽出した普通図柄変動パターン種別に応じて、普通入賞口判別フラグ223fを設定する(S1203)。前述したように、第1普通入賞口63への入賞と対応する普通図柄変動パターン種別を抽出した場合は、普通入賞口判別フラグ223fには1が設定され、第2普通入賞口630への入賞と対応する普通図柄変動パターン種別を抽出した場合は、普通入賞口判別フラグ223fには0が設定される。これにより、後述するS1303の処理において遊技動作示唆コマンドを設定する際に、そのコマンドが、第1始動口64または第2始動口640のうち、いずれの開放を示唆する遊技動作示唆を行わせるかを、入賞のあった普通入賞口(第1又は第2普通入賞口63,630)、および、実際に開放する始動口(第1又は第2入球口64,640)に対応させることができる。その後、コマンド判定処理を終了し、メイン処理に戻る。
普通図柄変動パターンコマンドを受信していないと判別された場合(S1201:No)、次いで、主制御装置110より、普通図柄停止種別コマンドを受信したか否かを判別する(S1204)。前述したように普通図柄停止種別コマンドの上位バイトはいずれも「F1h」であるので、かかるコマンドを受信することにより、普通図柄停止種別コマンドを受信したと判別される(S1204:Yes)。かかる場合、普通図柄変動開始フラグをオンし(S1205)、更に、普通図柄停止種別設定処理(S1206)と、AT時普通変動回数設定処理(S1207)とを実行して、コマンド判定処理を終了し、メイン処理へ戻る。
ここで、普通図柄停止種別設定処理(S1206)は、普通図柄停止種別コマンドで示される普通図柄の停止種別を抽出して、RAM223に記憶すると共に、その停止種別が特殊ハズレの停止種別であった場合に、AT抽選を行う処理である。また、AT時普通変動回数設定処理(S1207)は、ATモードの期間を管理して、所定期間が経過した場合にATモードを終了させるための処理である。普通図柄停止種別設定処理(S1206)の詳細は、図25を参照して後述し、AT時普通変動回数設定処理(S1207)の詳細は、図26を参照して後述する。
S1204の処理によって、普通図柄停止種別コマンドを受信していないと判別された場合は(S1204)、主制御装置110より特別図柄変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する(S1208)。そして、特別図柄変動パターンコマンドを受信したと判別された場合(S1208:Yes)、特別図柄変動パターンコマンドから特別図柄変動パターン種別を抽出して(S1209)、メイン処理に戻る。
ここで抽出された特別図柄変動パターン種別は、RAM223に記憶され、それに基づき、詳細な特別図柄変動パターンが決定される。決定された詳細な特別図柄の変動パターンが、表示用特別図柄変動パターンコマンドによって表示制御装置114に対して通知され、その通知された詳細な変動パターンに従って、第3図柄表示装置81にて特別図柄の変動演出が行われる。
一方、特別図柄変動パターンコマンドを受信していないと判別された場合(S1208:No)、次いで、主制御装置110より特別図柄停止種別コマンドを受信したか否かを判別する(S1210)。そして、特別図柄停止種別コマンドを受信したと判別された場合(S1210:Yes)、停止種別コマンドで示される停止種別を抽出して、その停止種別をRAM223に記憶した後(S1211)、AT継続判定処理(S1212)を実行する。このAT継続判定処理(S1212)では、パチンコ機10の遊技状態がATモードであって、大当たりが発生した場合に、その後、ATモードを継続するかを判定する処理である。このAT継続判定処理(S1212)の詳細は、図27を参照して後述する。そして、コマンド判定処理を終了し、メイン処理へ戻る。
一方、特別図柄停止種別コマンドを受信していないと判別された場合(S1210:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判別する(S1213)。そして、保留球数コマンドを受信したと判別された場合(S1213:Yes)、保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の保留球数カウンタ203dの値(即ち、主制御装置110に保留された普通図柄の変動演出の保留球数)を抽出し、これを音声ランプ制御装置113の保留球数カウンタ223eに格納する(S1214)。そして、コマンド判定処理を終了し、メイン処理へ戻る。
ここで、保留球数コマンドは、球が第1普通入賞口63または第2普通入賞口630に入賞(普通入賞)したときに主制御装置110から送信されるものであるので、普通入賞がある毎に、S1214の処理によって、音声ランプ制御装置113の保留球数カウンタ223eの値を主制御装置110の保留球数カウンタ203dの値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の保留球数カウンタ223eの値が主制御装置110の保留球数カウンタ203dの値とずれても、始動入賞検出時に、音声ランプ制御装置113の保留球数カウンタ223eの値を修正し、主制御装置110の保留球数カウンタ203dの値に合わせることができる。
S1213の処理の結果、保留球数コマンドを受信していないと判別された場合(S1213:No)、次いで、主制御装置110より条件コマンドを受信したか否かを判別する(S1215)。前述したように、主制御装置110は、第1加工条件メモリ203fの値に応じた条件コマンド(「F211h」「F222h」「F244h」「F288h」)を加工する際に、条件コマンドの下位バイトに対して加工を行い、上位バイトに対しては加工しない。このため、加工後の各条件コマンドの上位バイトは、いずれも「F2h」となっている。S1215の処理では、上位バイトが「F2h」と一致するか確認することにより、加工後の条件コマンドを受信したか否か判別している。
そして、条件コマンドを受信したと判別された場合(S1215:Yes)、復号条件設定処理を実行し、第1復号条件メモリ223gの値を設定する(S1216)。メイン処理へ戻る。なお、復号条件設定処理(S1216)の詳細については図28参照して後述する。
S1215の処理の結果、条件コマンドを受信していないと判別された場合(S1215:No)は、その他のコマンドを受信したか否かを判別し、その受信したコマンドに応じた処理を実行して(S1217)、メイン処理に移行する。例えば、その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行う。
主制御装置110より受信した、普通図柄または特別図柄の確定コマンドは、このS1217の処理によって、表示用確定コマンドとして設定され、表示制御装置114に送信される。表示制御装置114では、この表示用確定コマンドを受信することにより、第3図柄表示装置81にて実行した普通図柄、または特別図柄の変動演出を確定表示させる。
また、音声ランプ制御装置113で対応していないコマンドを受信していた場合は、エラー画面の表示や、通常では実行されない特殊態様での変動演出の実行を第3図柄表示装置81にさせるべく、エラー画面の表示または特殊態様による変動演出の実行を指示するコマンドを、表示制御装置114に対して送信する。
次いで、図25を参照して、コマンド判定処理(S1115)の中で、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される普通図柄停止種別設定処理(S1206)について説明する。図25は、この普通図柄停止種別設定処理(S1206)を示したフローチャートである。普通図柄停止種別コマンドで示される普通図柄の停止種別を抽出して、RAM223に記憶すると共に、その停止種別が特殊ハズレの停止種別であった場合に、AT抽選を行う処理である。
この普通図柄停止種別設定処理(S1206)では、まず、RAM223のコマンド記憶領域にある普通図柄停止種別コマンドが、普通当たり時の停止種別コマンドであるか判別する(S1301)。普通当たり時の停止種別コマンドであると判別された場合(S1301:Yes)、普通当たり時の停止種別を設定する(S1302)。これにより、後述する普通図柄変動表示処理(図29参照)において、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbへ、普通当たり時の停止図柄である「☆」を表示させるための表示用普通図柄停止種別コマンドが、表示制御装置114に送信される。
次に、ATフラグ223cがオンされているか判別し(S1303)、オンされている場合は(S1303:Yes)、前記のS1203の処理によって予め設定されている普通入賞口判別フラグ223fの値に応じて、遊技動作示唆コマンドを設定する(S1304)。この遊技動作示唆コマンドは、普通入賞口判別フラグ223fの値に応じて設定されることにより、普通入賞のあった普通入賞口(第1または第2普通入賞口63,630)と対応して開放される始動口(第1または第2入球口64,640)を、特定できるものとなっている。この遊技動作示唆コマンドが、表示制御装置114へ送信されることにより、第3図柄表示装置81の表示画面上で、実際に開放する始動口64,640の近くに第2図柄表示領域Dbが移動する遊技動作示唆を表示させることができる。そして、本処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
S1301の処理によって、普通当たり時の停止種別コマンドでないと判別された場合は(S1301:No)、通常ハズレ時の停止種別コマンドであるか判別する(S1305)。通常ハズレ時の停止種別コマンドであれば(S1305:Yes)、通常ハズレ時の停止種別を設定し(S1306)、本処理を終了してコマンド判定処理に戻る。このS1306の処理により、後述する普通図柄変動表示処理(図29参照)では、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbへ、通常ハズレ時の停止図柄である「−」を表示させるための表示用普通図柄停止種別コマンドが、表示制御装置114に送信される。
S1305の処理によって、通常ハズレ時の停止種別コマンドでないと判別された場合は(S1305:No)、判別にかかる普通図柄停止種別コマンドの下位バイトのビットを、第1復号条件メモリ223gの値分だけ右にローテートして(第1復号条件で復号して)(S1307)、復号したコマンドが、元の特殊ハズレ時の停止種別コマンド、即ち、「F111h」となったか否かを判別する(S1308)。復号後のコマンドが「F111h」にならなければ(S1308:No)、普通図柄エラーを設定し(S1309)、コマンド判定処理に戻る。
よって、未加工特殊ハズレ停止種別コマンド及び加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドのうち、主制御装置110が送信するコマンドとは別のコマンドを、「ぶら下げ基板」等が音声ランプ制御装置113へ出力しても、そのコマンドは、S1307の処理によって復号された場合に「F111h」とはならない。このため、後述するAT抽選(S1311,S1312)は行われない。よって、「ぶら下げ基板」等による不正行為を抑制することができる。
しかも、かかる場合は、S1309の処理によって復号後のコマンドは「F111h」とならずに、普通図柄エラーが外部に報知等される。これにより、遊技場の係員に「ぶら下げ基板」等の有無を確認するよう促すことができるので、パチンコ機10に取り付けられた「ぶら下げ基板」等を、早期に発見させ、撤去させることができる。
一方、S1308の処理によって、復号後のコマンドが「F111h」であると判別された場合(S1308:Yes)、特殊ハズレ時の停止種別を設定し(S1310)、AT抽選を行う(S1311,S1312)。
このAT抽選ではまず、0〜99の範囲で更新されるAT発生乱数カウンタから、値を取得すると共に(S1311)、AT発生乱数テーブル222a1に格納されたAT発生乱数値(本実施形態では、0〜33)を読出し、AT発生乱数カウンタから取得した値と、AT発生乱数値とが一致するかを判定する(S1312)。AT発生乱数カウンタから取得した値と、AT発生乱数値とが一致すると判定された場合(S1312:Yes)、ATフラグ223cをオンして(S1313)、パチンコ機10の遊技状態をATモードにして、本処理を終了しコマンド判定処理に戻る。
一方、AT発生乱数カウンタから取得した値と、AT発生乱数値とが一致しないと判定された場合は(S1312:No)、S1313の処理をスキップして、本処理を終了しコマンド判定処理に戻る。よって、よって、かかる場合、ATモードは新たに設定されない。
次に、図26を参照し、コマンド判定処理(S1115)の中で、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるAT時普通図柄変動回数設定処理(S1207)について説明する。図26は、このAT時普通図柄変動回数設定処理(S1207)を示したフローチャートである。AT時普通図柄変動回数設定処理(S1207)は、ATモードの期間を管理して、所定期間が経過した場合にATモードを終了させる。
このAT時普通図柄変動回数設定処理(S1207)では、まず、ATフラグ223cがオンされているか否かを判別する(S1351)。ATフラグ223cがオンされていない(即ち、オフである)と判別された場合(S1351:No)は、本パチンコ機10の遊技状態は前述したようにATモードではないので、本処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
一方、S1351の処理によって、ATフラグ223cがオンされていると判別された場合(S1351:Yes)、本パチンコ機10の遊技状態は、前述したようにATモードである。かかる場合は、AT時普通変動回数カウンタ223dの値S(AT時普通変動回数)に1を加算し(S1352)、加算後のAT時普通変動回数Sが、一度のATモードで遊技(普通図柄の変動表示)を行うことができる最長の期間を規定する、普通図柄の変動表示の最大実行回数(本実施形態では15回)よりも大きいか判別する(S1353)。加算後の値Sが、一度のATモードでの普通図柄の変動表示の最大実行回数を超えていた場合は、ATフラグ223cをオフし(S1354)、AT時普通変動回数カウンタ223dの値を0クリアしてから(S1355)遊技を終了し、コマンド判定処理に戻る。加算後の値Sが、一度のATモードでの普通図柄の変動表示の最大実行回数以内であった場合は(S1353)、本処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。この場合、AT時普通変動回数Sが15を超えるまで、普通図柄停止種別コマンドを受信する度に、S1351からS1353の処理が繰り返し行われる。よって、1度のATモードでは、最大で15回の普通図柄の変動表示を行うことができる。
次に、図27を参照して、コマンド判定処理(S1115)の中で、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるAT継続判定処理(S1212)について説明する。図27は、このAT継続判定処理(S1212)を示したフローチャートである。AT継続判定処理(S1212)は、大当たり発生時に、AT継続判定を行い、そのAT継続判定によってATモードを継続させると判定された場合は、ATモードを継続させ(ATモードをもう一度初めから開始させる)、一方、そのAT継続判定によってATモードを継続させないと判定された場合は、ATモードを直ちに終了させる。
AT継続判定処理(S1212)では、まず、前記のS1211の処理(図24)によって抽出した特別図柄の停止種別が、大当たり時の停止種別であるかを判別し(S1401)、大当たり時の停止種別でなければ、本処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
一方、抽出した特別図柄の停止種別が、大当たり時の停止種別であると判別された場合は(S1401:Yes)、予めATフラグ223cがオンされているかを判別し(S1402)、ATフラグ223cの状態から、本パチンコ機10の遊技状態が、ATモードであるか否かを判定する。ATフラグ223cがオフ(即ち、遊技状態は非ATモード)の場合(S1402:No)、後述するS1405の処理に移行する。
また、S1402の処理によって、予めATフラグ223cがオンされていると判別された場合は(S1402:Yes)、AT継続判定を行う(S1403,S1404)。AT継続判定では、まず、カウンタ用バッファ223bに格納されているAT継続乱数カウンタの値を取得する(S1403)。前述したように、AT継続乱数カウンタの値は、メイン処理のカウンタ更新処理(図23参照)によって、0〜99の間で更新されるランダムな値である。次いで、AT継続乱数テーブル222a2から、AT継続乱数値を読出し、取得したAT継続乱数カウンタの値と一致するか比較する(S1404)。AT継続乱数カウンタの値が、AT継続乱数値と一致した場合(S1404:Yes)、前記したAT時普通変動回数Sを0クリアして(S1405)、本処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。この場合、ATフラグをオフすることなく、AT時普通変動回数Sを0に戻すので、また、最大で15回の普通図柄の変動演出が行われる間、ATモードを継続できる。
一方、S1404の処理によって、AT継続乱数カウンタの値がAT継続乱数値と不一致と判定された場合は、ATフラグ223cをオフすると共に(S1406)AT時普通変動回数Sを0クリアして(S1405)、本処理を終了しコマンド判定処理に戻る。この場合、ATフラグ223cがオフされることにより、ATモードが終了する。
次に、図28を参照し、コマンド判定処理(S1115)の中で、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される復号条件設定処理(S1216)について説明する。図28は、この復号条件設定処理(S1216)を示したフローチャートである。
復号条件設定処理(S1216)は、電源入時に第2条件設定スイッチ226の設定値が4である場合、または、電源入後に、一定条件下で大当たりが発生した場合、の各場合に、主制御装置110が送信した加工後の条件コマンドを、音声ランプ制御装置113が受信した場合に実行される。この復号条件設定処理(S1216)では、主制御装置110から送信された加工後の条件コマンドを復号して、復号後のコマンドによって示される主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と同じ値を、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gに格納する。これにより、音声ランプ制御装置113のMPU221が、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを復号する復号方法を、主制御装置110のMPU201が、乱数発生回路206の乱数値に基づいて設定した特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法に対応させることができるのである。
まず、第2ID用ROM224に格納された各パチンコ機10に固有の製造番号を、第2復号条件メモリ223hに格納可能な値の数である4で除算し、余りを、第2復号条件メモリ223hに格納する(S1601)。次いで、RAM223のコマンド記憶領域に格納されている加工後の条件コマンドを、第2復号条件メモリ223hに格納された値された値分だけ右にローテートして復号する(S1602)。即ち、第2復号条件に従って復号する。
ここで、前述したように、主制御装置110の第1ID用ROM207に格納される値と、第2ID用ROM224に格納される値とは、いずれも、パチンコ機10に固有の製造番号でり同一であるうえ、その値を4で割った余りが、第1加工条件メモリ203fおよび第2復号条件メモリ223hにそれぞれ格納される(S554,S1601)。よって、第2加工条件メモリ203gおよび第2復号条件メモリ223hに格納される値は一致する。そのうえ、主制御装置110のMPU201が実行する加工条件再設定処理(図17参照)のS555の処理では、元の条件コマンドの下位バイトを、第2加工条件メモリ203gの値と同じビット数だけ、右へローテートする。これに対し、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する、上記のS1602の処理では、加工後の条件コマンドの下位バイトを、第2復号条件メモリ223hの値と同じビット数だけ、左へローテートする。よって、S1602の結果、元の条件コマンドに復号することができる。
次に、S1603とS1604の各処理を実行して、第1加工条件メモリ203fの値を、復号した条件コマンドに基づいて設定する。
まず、復号後の条件コマンド(即ち、元の条件コマンド)が示す値を取得する(S1603)。前述したように、ここで取得される値は、元の条件コマンドが対応する、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と同じである(図8(b)参照)。即ち、復号後の条件コマンドが、「F211h」であれば0が取得され、「F222h」であれば1が取得され、「F244h」であれば2が取得され、「F288h」であれば3が取得される。そして、取得した値を、第1復号条件メモリ223gに格納し(S1604)、その後、本処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
ここで、主制御装置110のMPU201が実行する普通図柄変動開始処理(図14参照)のS309の処理では、元の特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」の下位バイトを、乱数生成回路206の値に基づく第1加工条件メモリ203fの値と同じビット数だけ、左へローテートする。これに対し、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する、普通図柄停止種別設定処理(図25)のS1307の処理では、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドの下位バイトを、第1復号条件メモリ223gの値と同じビット数だけ、右へローテートする。そして、上記説明したように、第1復号条件メモリ223gに格納される値は、S1601〜S1604の各処理によって主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と同一となっている。よって、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するS1307の処理では、元の特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」に復号することができる。
次に、図29を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される普通図柄変動表示処理(S1113)について説明する。図29は、この普通図柄変動表示処理(S1113)を示したフローチャートである。この普通図柄変動表示処理(S1113)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図23参照)の中で実行され、上述したように、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおいて普通図柄変動演出を表示させるために、主制御装置110より受信した普通図柄変動パターンコマンド及び普通図柄停止種別コマンドに基づいて表示用普通図柄変動パターンコマンド及び表示用停止種別コマンドを生成し、この生成した表示用普通図柄変動パターンコマンド及び表示用普通図柄停止種別コマンドを表示制御装置114に送信するために設定する処理である。
普通図柄変動表示処理では、まず、RAM223に設けられた普通図柄変動開始フラグがオンか否かを判別する(S1701)。そして、普通図柄変動開始フラグがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1701:No)、主制御装置110より普通図柄変動パターンコマンド及び普通図柄停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この普通図柄変動表示処理を終了して、メイン処理に戻る。一方、普通図柄変動開始フラグがオンであると判別された場合(S1701:Yes)、普通図柄変動開始フラグをオフし(S1702)、次いで、コマンド判定処理(図24参照)のS1202の処理によって普通図柄変動パターンコマンドより抽出した普通図柄変動パターン種別と、S1206の処理において普通図柄停止種別コマンドより抽出された普通図柄の停止種別とを、RAM223より取得する(S1703,S1704)。
そして、S1703の処理により取得した普通図柄の変動パターン種別を表示制御装置114へ通知するための、表示用普通図柄変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1705)。また、S1704の処理により取得した普通図柄の停止種別を表示制御装置114へ通知するための、表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1706)。
表示制御装置114では、この表示用普通図柄変動パターンコマンドを受信することによって、普通図柄変動パターンで第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbに第2図柄(普通図柄)の変動表示が行われるように、その普通図柄の変動演出の表示制御を開始する。また、表示制御装置114では、表示用停止種別コマンドを受信することによって、その停止種別に合った停止図柄(即ち「☆」或いは「−」のいずれか)を選定し、表示用普通図柄変動パターンコマンドによって開始された普通図柄の変動演出を確定表示させるときに、その選定した停止図柄を表示する。
次いで、上記のコマンドの設定に伴い、保留球が消費される(即ち、保留球に対応する普通図柄の変動表示の設定が行われた)のに合わせて、保留球数カウンタ223dの値を1減らし(S707)、普通図柄表示処理を終了してメイン処理へ戻る。
以上説明したように、本第1実施形態のパチンコ機10によれば、主制御装置110のMPU201による普通抽選(S301,S306)の結果、特殊ハズレの判定がなされた場合(S306:Yes)、その判定結果に対応するコマンドである、特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」をROM202から読出し、そのコマンドの下位バイトを、第1加工条件メモリ203fの値と同じビット数だけ左へローテートして加工する(S309)。これにより、4種類の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドのうちいずれかにする。そして、その加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する(S310,S901)。
これに対し、その加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを受信した音声ランプ制御装置113は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドの下位バイトを、第1復号条件メモリ223gの値と同じビット数だけ、右へローテートして復元する(S1307)。このとき、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの値とは、同一の値に予め設定されている。
即ち、電源立ち上げ時に、第1条件設定スイッチ210および第2条件設定スイッチ226の設定値が、共に「0」〜「3」のいずれかで予め同一の値となっている場合は、それぞれのスイッチの値が、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fと、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gとのそれぞれに設定され、同一の値に設定される。
また、電源立ち上げ時に、第1条件設定スイッチ210および第2条件設定スイッチ226の設定値が、共に「4」で予め同一の値となっている場合は、主制御装置110のMPU201が、乱数発生回路206から取得した乱数値に基づいて、第1加工条件メモリ203fの値を設定し、その値を音声ランプ制御装置113へ通知するための条件コマンドを送信する(S551〜S556,S901)。音声ランプ制御装置113が、その条件コマンドを受信すると、音声ランプ制御装置113のMPU221は、その条件コマンドに応じた値、即ち、第1加工条件メモリ203fに格納されている値を、第1復号条件メモリ223gに格納する。これにより、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fと、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gとのそれぞれに、主制御装置110のMPU201が、電源立ち上げ時に乱数発生回路206から取得した乱数値に基づく同一の値が設定される。
さらに、電源立ち上げ後、一定条件下で大当たりが発生した場合、第1条件設定スイッチ210および第2条件設定スイッチ226の設定値が、共に「4」で予め同一の値となっている場合と同様にして、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fと、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gとのそれぞれに、大当たり発生時に、主制御装置110のMPU201が、乱数発生回路206から取得した乱数値に基づく同一の値が設定される。
よって、音声ランプ制御装置113のMPU221は、上記S1307の処理を実行することで、主制御装置110から送信された加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、元の特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」に復号することができる。
一方、「ぶら下げ基板」等が加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドや未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを音声ランプ制御装置113に出力したとしても、そのコマンドが主制御装置110が送信する加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとは別のコマンドである限り、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するS1307の処理によって、元の特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」に復号されることはない。よって、そのような「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドに基づいて、音声ランプ制御装置113のMPU221が、AT抽選(S1311,S1312)を実行することはない。
よって、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間に取り付けられた「ぶら下げ基板」等が、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドや、いずれかの種類の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信した場合に、それによる不正なAT抽選を抑制することができる。
また、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値は、主制御装置110と接続された第1条件設定スイッチ210を0〜3の設定値範囲で操作することによって直接設定でき、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの値は、音声ランプ制御装置113と接続された第2条件設定スイッチ226を「0」〜「3」の設定値範囲で操作することによって直接設定できるため、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間に取り付けられた「ぶら下げ基板」等に、特殊ハズレ停止種別コマンドの加工方法および復号方法を把握されること無く、主制御装置110が送信する加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドによって、音声ランプ制御装置113のMPU221にAT抽選を行わせることができる。
また、第1条件設定スイッチ210の設定値と、第2条件設定スイッチ226の設定値とが一致する場合に、第1条件設定スイッチ210の各端子A〜Eと各端子A´〜E´とのいずれかが接続され、島装置からの駆動電圧(+24V)が電源装置115へ供給され、パチンコ機10が動作可能となる。
一方、第1条件設定スイッチ210の設置値と第2条件設定スイッチ226の設置値とが不一致の場合は、駆動電圧(+24V)が電源装置115へ供給されないので、パチンコ機10は動作できない。よって、第1条件設定スイッチ210の設置値に応じた主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と、第2条件設定スイッチ226の設置値に応じた音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ203gの値とが不一致となって、音声ランプ制御装置113のMPU221によってAT抽選が行われなくなってしまうことを防止できる。
また、第1条件設定スイッチ210の設置値と第2条件設定スイッチ226の設置値とが一致して、駆動電圧(+24V)が電源装置115へ供給された場合に、主制御装置110はパイロットランプ229を点灯させる。よって、遊技場などで両スイッチ210,226を設定する際、パイロットランプ229の点灯を確認することにより、容易に両スイッチの設定値が一致したことを簡単に確認できる。
また、第1条件設定スイッチ210と、第2条件設定スイッチ226との設定値が一致して、導通した場合に、第2条件設定スイッチ226と、音声ランプ制御装置113との間に接続したパイロットランプ229が点灯する。よって、この点灯によって、第1条件設定スイッチ210と、第2条件設定スイッチ226とが正常に設定されていること、即ち同一の設定値となっていることを簡単に確認することができる。
次いで、図30〜図32を参照して、第2実施形態におけるパチンコ機10について説明する。上述の第1実施形態におけるパチンコ機10では、主制御装置110において、主制御装置110のMPU201は、普通当たり抽選の抽選結果が特殊ハズレの場合に読み出される特殊ハズレ停止種別コマンドだけを、下位バイトのビットを第1加工条件メモリ203fの値と同じビット数だけ左へローテートして加工し、音声ランプ制御装置113へ送信するよう構成した。また、音声ランプ制御装置113においては、第1加工条件メモリ203fと同じ値が格納される第1復号条件メモリ223gを有し、MPU221が受信したコマンドを判別して、普通図柄の停止種別コマンド(普通図柄停止種別コマンド)のうち、普通当たり停止種別コマンドおよび通常ハズレ停止種別コマンドのいずれでもないと判別した場合にだけ、そのコマンドの下位バイトのビットを、第1復号条件メモリ223gの値と同じビット数だけ右へローテートして復号し、復号したコマンドが、AT抽選を行う契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドであるか判別し、特殊ハズレ停止種別コマンドであると判別した場合にAT抽選を行うよう構成した。
これに対し、第2実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110において、特殊ハズレ停止種別コマンドを含む、すべての普通図柄停止種別コマンドに対して、特殊ハズレ停止種別コマンドと同様に加工した上で、音声ランプ制御装置113へ送信するように構成し、音声ランプ制御装置113において、加工済みの普通図柄停止種別コマンドを受信した場合に、そのコマンドの下位バイトのビットを、第1復号条件メモリ223gの値と同じビット数だけ右へローテートして復号することにより、加工済みの普通図柄停止種別コマンドを元の普通図柄停止種別コマンドに各々戻してから、各コマンドに応じた処理を行うようにしている。以下、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明を省略する。
まず、図30を参照して、主制御装置110のROM202に格納される普通図柄停止種別コマンドの加工方法について説明する。
図30(a)は、主制御装置110のROM202に格納される普通図柄停止種別コマンドの一覧を示した図である。図30(a)に示すように、主制御装置110のROM202には、第1実施形態と同様に、特殊ハズレ停止種別コマンド、普通当たり停止種別コマンド、通常ハズレ停止種別コマンドという、全部で3種類の普通図柄停止種別コマンドが記憶されている。また、ROM202に格納された特殊ハズレ停止種別コマンドに「F111h」が割り当てられている点も第1実施形態と共通するが、第2実施形態の本パチンコ機10では、普通当たり停止種別コマンドとして「F122h」、通常ハズレ停止種別コマンドとして「F144h」が割り当てられており、これらのコマンドの割り当てが第1実施形態と相違する。なお、詳細は後述するが、ROM202には「F188h」に該当するコマンドは格納されていない。
次に、図30(b)を参照して第1加工条件メモリ203fの各値と加工後の普通図柄停止種別コマンドとの対応関係について説明する。図30(b)は、第1加工条件メモリ203fの値と、第1加工条件メモリ203fの値に応じて第1加工条件で加工した後の普通図柄停止種別コマンドとの対照表である。
図30(b)に示すように、第2実施形態のパチンコ機10では、3種類の普通図柄停止種別コマンドについて、各コマンドの下位バイトのビットを、「0」〜「3」の4種類の整数値が格納される第1加工条件メモリ203fの値の分だけ左にローテートして加工する。
ここで、3種類の普通図柄停止種別コマンドは、下位バイトのビットを1ビットずつ左へローテートしたとすると、・・・→「F111h」→「F122h」→「F144h」→「F188h」→「F111h」→・・・という順番で4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)を遷移する。
よって、上記の加工方法によって、3種類の普通図柄停止種別コマンドのそれぞれを、4種類のコマンドのいずれかに加工することができる。また、ROM202に格納された3種類の普通図柄停止種別コマンドは、互いのコマンドの下位バイトの値が異なるので、各コマンドの下位バイトのビットに対し、同じビット数だけ左へローテートして加工した場合は、加工後の各コマンドも下位バイトの値が互いに異なるものとなる。
具体的には、第1加工条件メモリ203fの値が「0」のときには、各普通図柄停止種別コマンドは、それぞれの下位バイトのビットを、左へ0ビット分ローテートされて加工される。即ち、加工後の各コマンドは、図30(a)にて説明したROM202に格納された未加工のコマンドとそれぞれ同一のコマンドとなる。
第1加工条件メモリ203fの値が「1」のときには、各普通図柄停止種別コマンドは、それぞれの下位バイトのビットを、左へ1ビット分ローテートされて加工される。これにより、特殊ハズレ停止種別コマンドは「F122h」に加工され、普通当たり停止種別コマンドは「F144h」に加工され、通常ハズレ停止種別コマンドは「F188h」に加工される。
同様に、各普通図柄停止種別コマンドは、第1加工条件メモリ203fの値が「2」のときに、それぞれの下位バイトのビットが左へ2ビット分ローテートされて加工され、第1加工条件メモリ203fの値が「3」のときに、それぞれの下位バイトのビットが左へ3ビット分ローテートされて加工される。
これにより、主制御装置110から送信される各加工後の普通図柄停止種別コマンドは、値が同一のコマンドであっても、そのコマンドを加工するために使用した第1加工条件メモリ203fの値が異なっていれば、互いに意味の異なる(音声ランプ制御装置113に指示する停止種別の異なる)コマンドとなる。図30(b)に示すように、例えば、「F188」というコマンドは、第1加工条件メモリ203fの値が「3」であるときは、加工後の普通当たり停止種別コマンドとして主制御装置110から送信されるが、該メモリ203fの値が「1」であるときは、加工後の通常ハズレ停止種別コマンドとして送信され、また、該メモリ203fの値が「2」であるときは、加工後の普通当たり停止種別コマンドとして送信される。
本第2実施形態の音声ランプ制御装置113のMPU221は、このように加工されたコマンドを受信した場合、第1実施形態と同様にして、受信したコマンドを加工前のコマンドに復号する。即ち、受信したコマンドに対して、下位バイトのビットを、第1復号条件メモリ223gの値と同じビット数だけ右へローテートすることにより復号する。
これにより、音声ランプ制御装置113が、加工後の普通図柄停止種別コマンドを受信した場合は、そのコマンドを加工前の普通図柄停止種別コマンドに戻すことができるので、受信したコマンドに対応する普通図柄の停止種別を判別できる。そして、音声ランプ制御装置113は、復号されたコマンドから判別される停止種別に応じて各種処理を実行する。
ところで、本パチンコ機10の中古台が不正行為者によって入手されてしまうと、不正行為者の手で、中古台の主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間にコマンド解析装置が取り付けられ、主制御装置110が実際に出力したコマンドと、そのコマンドを入力したときの音声ランプ制御装置113の動作とが調べられてしまう可能性がある。これにより、音声ランプ制御装置113にAT抽選を行わせるために、本パチンコ機10では、主制御装置110が上記4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)のうちいずれかを出力するようにしていることが、不正行為者に知られてしまう可能性がある。そして、このような不正行為者によって、主制御装置110が加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとして送信可能な上記4種類のコマンドのうち、少なくとも1種類を繰り返し出力する「ぶら下げ基板」等が開発されてしまうことが考えられる。
しかしながら、この「ぶら下げ基板」等が、遊技場に設置された本パチンコ機10に取り付けられ、「ぶら下げ基板」等から、上記4種類のコマンドのうち少なくとも1種類が音声ランプ制御装置113へ出力されたとしても、本パチンコ機10の主制御装置110が送信する特殊ハズレ停止種別コマンドが、「ぶら下げ基板」等の送信するコマンドとは値の異なるコマンドである限り、本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113は、AT抽選を実行しない。音声ランプ制御装置113のMPU201が、「ぶら下げ基板」等によって出力されたコマンドを復号しても、加工前の(即ち、ROM202に記憶されている)特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」と同一のコマンドにはならないためである。
しかも、この場合、「ぶら下げ基板」等によって出力されたコマンドは、上記4種類のコマンドのうちのいずれかであるので、「ぶら下げ基板」等によって出力されるコマンドが、主制御装置110が送信する加工後の普通当たり停止種別コマンド、或いは、加工後の通常ハズレ停止種別コマンドと、同一のコマンドとなる場合がある。かかる場合、本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113は、「ぶら下げ基板」等から繰り返し出力される不正なコマンドを受信する度に、その不正なコマンドに基づいて普通当たり時あるいは通常ハズレ時における普通図柄の停止種別を繰り返し設定する。これにより、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける普通図柄の変動表示が不正常なものになる。従って、本パチンコ機10では、第2図柄領域Dbにおける不正常な表示動作によって、「ぶら下げ基板」等による不正行為が周囲に露見する可能性を高めることができる。
また、下位バイトのビットを、0〜3ビットの各ビット分だけ左にローテートすることによって、「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」という上記4種類のコマンドに加工されるコマンドには、ROM202に格納される上述の3種類の普通図柄停止種別コマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」)の他に、「F188h」というコマンドがある。この「F188h」というコマンドは、前述したようにROM202に格納されていないコマンドである。
「F188h」は、上記3種類の普通図柄停止種別コマンドのいずれとも下位バイトの値が異なっているので、「F188h」および各普通図柄停止種別コマンドに対し、下位バイトのビットを、同一のビット数だけ左へローテートした後も、各コマンドの下位バイトの値は相違する。このため、「F188h」の下位バイトのビットを、第1加工条件メモリ203fの値と同じビット数だけ左へローテートしたコマンドは、上記4種類のコマンドの中で、主制御装置110のMPU221によって生成されず、音声ランプ制御装置113へ送信されない、不使用のコマンド(以下、「不使用コマンド」と称す)となる。
具体的には、図30(b)に示すように、第1加工条件メモリ203fの値が「0」のとき「F188h」が不使用コマンドとなり、「1」のとき「F111h」が不使用コマンドとなり、「2」のとき「F122h」が不使用コマンドとなり、「3」のとき「F144h」が不使用コマンドとなる。
一方、本パチンコ機10に取り付けられた上記の「ぶら下げ基板」等によって出力されるコマンドが、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとも、加工後の普通当たり停止種別コマンドや加工後の通常ハズレ停止種別コマンドとも異なる場合に、「ぶら下げ基板」等が送信するコマンドは、上記の4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)の中で主制御装置110によって生成も送信もされない不使用コマンドと一致する場合がある。
本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113は、上記4種類のコマンドのうちいずれかを受信した場合、そのコマンドの下位バイトのビットを前述したようにローテートすることによって、主制御装置110のROM202に格納されていたときと同じ値のコマンド(即ち、未加工のコマンド)に復号する。復号後のコマンドが「F188h」となった場合、音声ランプ制御装置113のMPU221は、不正行為に対する報知処理を実行する。前述したように「F188h」を加工したコマンドは、主制御装置110によって生成も送信もされない不使用コマンドであるので、音声ランプ制御装置113のMPU221によって「F188h」に復号されたコマンドは、本パチンコ機10に取り付けられた上記の「ぶら下げ基板」等から不正に出力されたものである可能性が高いためである。
このように、音声ランプ制御装置113は、「ぶら下げ基板」等から、加工後の普通図柄停止種別コマンドとなり得る4種類のコマンドのうち、主制御装置110が生成も送信もしない不使用コマンドと同一のコマンドが出力された場合に報知を行うので、「ぶら下げ基板」等による不正行為を早期に発見できる。
特に、不正なAT抽選を確実に行わせるため、加工後の普通図柄停止種別コマンドとなり得るコマンドを全種類(即ち、「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」の全てを)出力する「ぶら下げ基板」が、本パチンコ機10に取り付けられた場合、本パチンコ機10の不使用コマンドには、加工後の普通図柄停止種別コマンドとなり得る4種類のコマンドのうちのいずれかが設定されるため、音声ランプ制御装置113の報知によって、この「ぶら下げ基板」による不正行為を、確実に発見することができる。
また、仮に、主制御装置110から送信されるコマンドの種類や、主制御装置110から送信される各コマンドの出力状況に基づいて、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドが、上記4種類のコマンドのうち何れであるかを特定できる場合には、不正行為者は、音声ランプ制御装置113に不正なAT抽選を確実に行わせるため、次のような「ぶら下げ基板」等を設計するおそれがある。即ち、パチンコ機10に取り付けられた状態で、主制御装置110から送信されるコマンドを傍受し、主制御装置110におけるコマンドの種類や出力状況を値を解析する機能と共に、その解析結果から特定された加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを出力する機能を有する「ぶら下げ基板」等が設計されるおそれがある。
しかし、第2実施形態の本パチンコ機10においては、主制御装置110から送信されるコマンドが、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間で傍受されても、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとなり得る4種類のコマンド(即ち、「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)のうち、どのコマンドが特殊ハズレ停止種別コマンドであるかを容易に特定させない。
なぜならば、これら4種類のコマンドは、それぞれ、第1加工条件メモリ203fに「0」〜「3」のうちいずれか1の値が記憶されている場合に、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとして使用される一方、それとは別の値が該メモリ203fに記憶されている場合は、加工後の普通当たり停止種別コマンドや加工後の通常ハズレ停止種別コマンドとして使用されるものであるため、「ぶら下げ基板」等が、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間でこれら4種類のコマンドを傍受したとしても、各コマンドがいずれのコマンドとして送信されたものか判別がつかないためである。
なお、本第2実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110によって送信されるコマンドの出力状況から、コマンド上記4種類のコマンドの中で主制御装置110から送信されない不使用コマンドが特定されてしまうと、その不使用コマンドに基づいて、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドが特定されてしまうおそれがある。上記4種類のコマンドの中で不使用コマンドの下位バイトのビットを、3ビット分だけ右にローテート(或いは1ビット分だけ左にローテート)したコマンドが、主制御装置110によって送信される、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとなるからである。
これに対し、本第2実施形態のパチンコ機10では、第1実施形態のパチンコ機10と同様に、主制御装置110のMPU201によって実行される特別図柄変動処理(図16参照)の中の大当たり当選間隔の判定処理に基づいて、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fと音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの各値を遊技中に変更するので、上記4種類のコマンドに含まれる不使用コマンドも遊技中に変更される。よって、遊技中には、上記4種類のコマンドが全種類送信されるので、主制御装置110から出力されるコマンドが、上記の「ぶら下げ基板」等によって傍受されたとしても、その「ぶら下げ基板」等による不使用コマンドの特定を困難にすることができる。よって、不使用コマンドに基づいて、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを特定されることも困難にすることができる。
このように、本第2実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、主制御装置110から送信されるコマンドの種類や、主制御装置110から送信される各コマンドの出力状況から特定され難くしたので、主制御装置110から送信されるコマンドを傍受するタイプの「ぶら下げ基板」等による不正行為を抑制することができる。
次に、図31のフローチャートを参照して、第2実施形態において主制御装置110内のMPU201によって実行される、普通図柄変動開始処理(S207)を説明する。前述したように、この普通図柄変動開始処理(S207)は、タイマ割込処理(図12参照)の普通図柄変動処理(S104)の中で行われる一処理である。尚、このMPU201によって実行されるその他の処理、即ち、この普通図柄変動開始処理(S207)以外のタイマ割込処理における処理、NMI割込処理(図18参照)、立ち上げ処理(図19参照)およびメイン処理(図21参照)の各処理は、第1実施形態の各処理と同一であるので、ここでは図示および説明を省略する。
図31は、第2実施形態において主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動開始処理(S207)を示したフローチャートである。この普通図柄変動開始処理(S207)は、第1実施形態と同様に、新たな普通図柄(第2図柄)の変動表示(変動演出)を開始させるために実行される処理であって、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された各種カウンタの値に基づき、普通当たり抽選および特殊ハズレ判定を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおいて普通図柄の変動表示を開始させるために、普通図柄の停止種別と変動パターンとを設定する。
この普通図柄変動開始処理(S207)のうち、S301、S302、S304〜S308及びS311の各処理は、それぞれ第1実施形態においてそれらの各処理と同一のステップ番号の各処理と同一の処理が実行される。
この普通図柄変動開始処理(S207)では、S301の処理による普通当たり抽選によって、普通当たりであると判別され(S301:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄(LED37aの点灯状態)および第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける停止種別(停止図柄)が設定されると(S302)、次に、S302の処理によって設定された停止種別に応じて、第2図柄表示領域Dbに普通当たりを示す停止図柄「☆」を表示するため、普通当たり停止種別コマンド「F122h」をROM202の所定領域から取得し(S2301)、S2303の処理に移行する。
また、S301の処理によって、普通当たりでない(即ち、ハズレ)と判別され(S301:No)、S306の特殊ハズレ判定によって特殊ハズレであると判定され(S306:Yes)、特殊ハズレ時の停止種別が設定されると(S307)、次に、第2図柄表示領域Dbに表示させる停止図柄を「−」とし、音声ランプ制御装置113のMPU221にAT抽選を実行させるため、特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」をROM202の所定領域から取得して(S308)、S2303の処理に移行する。
更に、S306の特殊ハズレ判定によって特殊ハズレではないと判定され(S306:No)、通常ハズレ時の停止種別が設定されると(S311)、次に、AT抽選を伴わず、ただ、第2図柄表示領域Dbに表示させる停止図柄を「−」とするため、通常ハズレ停止種別コマンド「F144h」をROM202の所定領域から取得して(S2302)、S2303の処理に移行する。
S2303の処理では、S308の処理によって取得した特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」、S2301の処理によって取得した普通当たり停止種別コマンド「F122h」、又は、S2302の処理によって取得した通常ハズレ停止種別コマンド「F144h」に対して、下位バイトのビットを、第1加工条件メモリ203fの値に基づいて加工する(S2303)。即ち、下位1バイト(即ち、「11h」、「22h」又は「44h」)のビットを、第1加工条件メモリ203fの値分だけ左へローテートすることにより加工する(図30(b)参照)。
ここで、3種類の普通図柄停止種別コマンドのそれぞれについて、下位バイトのビットを1ビットずつ左へローテートしたとすると、前述したように、・・・→「F111h」→「F122h」→「F144h」→「F188h」→「F111h」→・・・という順番で4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)を遷移する。故に、S2302の処理によって普通図柄停止種別コマンドを加工した場合、加工後のコマンドは、上記4種類のコマンドのいずれかとなる。
よって、普通図柄停止種別コマンドの一つである、特殊ハズレ停止種別コマンドをS2302の処理によって加工した場合にも、加工後のコマンドは、上記4種類のコマンドのいずれかとなる。
このため、「ぶら下げ基板」等が本パチンコ機10に取り付けられ、「ぶら下げ基板」等から、上記4種類のコマンドのうち少なくとも1種類が音声ランプ制御装置113へ出力されたとしても、そのコマンドが、主制御装置110のMPU201がS2303の処理を実行することによって、特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」から加工されたコマンドと一致するとは限らない。
そして、詳細は後述するが、上記「ぶら下げ基板」等から出力されたコマンドが、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドと同一の値のコマンドでない限り、本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113は、AT抽選を実行しない。このため、上記の「ぶら下げ基板」等によって遊技場等が受ける被害を抑制できる。
また、S2302の処理によって、一の第1加工条件メモリ203fの値に応じて、特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」、停止種別コマンド「F122h」、および、通常ハズレ停止種別コマンド「F144h」をそれぞれ加工した場合、上記4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)のうち、
1種類が加工後の特殊ハズレ停止種別コマンド、2種類が加工後の普通当たり停止種別コマンドおよび加工後の通常ハズレ停止種別コマンドとして生成され、残りの1種類は、S2303の処理では生成されない不使用コマンドとなる。
このため、上記「ぶら下げ基板」等から出力されたコマンドが、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドと同一のコマンドでない場合は、上記「ぶら下げ基板」等によって出力されるコマンドは、主制御装置110が加工後の普通当たり停止種別コマンドまたは加工後の通常ハズレ停止種別コマンドとして送信するコマンドと同一であるか、或いは、上記4種類のコマンドの中で主制御装置110によって送信されない、不使用コマンドと同一のコマンドとなる。
「ぶら下げ基板」等によって出力されるコマンドが、主制御装置110が送信する加工後の普通当たり停止種別コマンドまたは加工後の通常ハズレ停止種別コマンドと同一のコマンドである場合は、本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113は、「ぶら下げ基板」等から繰り返し出力される不正なコマンドを受信する度に、その不正なコマンドに基づいて普通当たり時あるいは通常ハズレ時における普通図柄の停止種別を繰り返し設定する。これにより、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける普通図柄の変動表示が不正常なものになる。従って、本パチンコ機10では、第2図柄領域Dbにおける不正常な表示動作によって、「ぶら下げ基板」等による不正行為が周囲に露見する可能性を高めることができる。
また、「ぶら下げ基板」等によって繰り返し出力されるコマンドが、上記4種類のコマンドの中で主制御装置110によって送信されない、不使用コマンドと同一のコマンドである場合、詳細は後述するが、そのコマンドを受信した音声ランプ制御装置113は、不使用コマンドを受信したと判別して、不正行為に対する報知を実行する。これにより、「ぶら下げ基板」等により不正行為が行われていることを遊技場の係員等に報せ、「ぶら下げ基板」等による不正行為を早期に発見させることができる。
S2304の処理の実行後は、普通図柄変動パターンコマンドを設定して(S304)、第1普通図柄変動回数カウンタ203hの値Mに1加算して更新し(S305)、タイマ割込処理に戻る。
S2304の各処理で設定された加工後の普通図柄停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用リングバッファに記憶され、メイン処理(図21参照)のS901の処理で音声ランプ制御装置113に送信される。詳細は図32を参照して後述するが、音声ランプ制御装置113は、加工後の普通図柄停止種別コマンドを受信すると、そのコマンドを第1復号条件メモリ223fの値に基づいて復号する。そして、復号したコマンドに対応する表示用普通図柄停止種別コマンドを生成し、そのコマンドを表示制御装置114に対して送信する。これにより、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおいて、次に行われる普通図柄の変動表示の停止図柄を、主制御装置110のMPU201が、S301又はS306の処理によって抽選した種別と対応する図柄にすることができる。
次に、図32のフローチャートを参照して、第2実施形態において音声ランプ制御装置113内のMPU221によって実行される、普通図柄停止種別設定処理(S1206)について説明する。前述したように、この普通図柄停止種別設定処理(S1206)は、メイン処理(図23参照)のコマンド判定処理(S1115)の中で行われる一処理である。尚、このMPU221によって実行されるその他の処理、即ち、この普通図柄停止種別設定処理(S1206)以外のメイン処理における処理、立ち上げ処理(図22参照)の各処理は、第1実施形態の各処理と同一であるので、ここでは図示および説明を省略する。
図32は、第2実施形態において音声ランプ制御装置113内のMPU221によって実行される普通図柄停止種別設定処理(S1206)を示したフローチャートである。
この普通図柄停止種別設定処理(S1206)は、メイン処理(図23参照)のコマンド判定処理(S1115)の中で行われるS1204の処理において、普通図柄停止種別コマンドを受信したと判別された場合に実行される処理であり、加工されている普通図柄停止種別コマンドを復号し、復号したコマンドで示される普通図柄の停止種別を抽出して、RAM223に記憶すると共に、その停止種別が特殊ハズレの停止種別であった場合にAT抽選を行う処理である。なお、コマンド判定処理(S1115)の中で行われるS1204では、受信したコマンドの上位バイトの値が「F1h」であると確認された場合に、普通図柄停止種別コマンドを受信したと判別される。
この普通図柄停止種別設定処理(S1206)のうち、S1302〜S1304、1306及びS308〜S1313の各処理は、それぞれ第1実施形態においてそれらの各処理と同一のステップ番号の各処理と同一の処理が実行される。
一方、この普通図柄停止種別設定処理(S1206)では、まず、S3301の処理を実行し、音声ランプ制御装置113の受信したコマンドが、加工後の普通図柄停止種別コマンドとして主制御装置110が送信し得る4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)の何れかであるか判定する(S3301)。いずれのコマンドでも無いと判定された場合(S3301:No)、受信したコマンドは、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間で混入したノイズの影響を受ける等した不正常なものである可能性が高い。そこで、この場合は、普通図柄の停止種別を設定することなく、普通図柄エラーを設定し(S1309)、その旨を遊技場の係員などに報せる。S1309の処理の後は、普通図柄停止種別設定処理を終了し、コマンド判定処理(S1115)に戻る。
S3301の処理によって、音声ランプ制御装置113の受信したコマンドが、主制御装置110によって送信され得る4種類の加工後の普通図柄停止種別コマンドの何れかであると判定された場合(S3301:Yes)、S3302の処理を実行する。このS3302の処理は、第1実施形態におけるS1307と同一の内容の処理である。即ち、受信したコマンドを元の(加工前の)コマンドに復号する処理である。
これは、前述したように、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信される普通図柄停止種別コマンドは、普通図柄変動開始処理(S207)中の一処理であるS2303によって加工されているので、受信したコマンドに基づいて普通図柄の停止種別を判別する前に、元の(加工前の)普通図柄停止種別コマンドに戻しておく(復号しておく)必要があるためである。
ここで、第1復号条件メモリ223gには、前述したように、第1加工条件メモリ203fの値と同一の値が記憶されており、主制御装置110におけるS2303の処理では、普通図柄停止種別コマンドの下位バイトのビットを、第1加工条件メモリ203fの値と同一のビット数だけ左へローテートしたコマンドに加工したのに対し、当該S3302の処理では、受信した加工後の普通図柄停止種別コマンドに対し、そのコマンドの下位バイトのビットを、第1復号条件メモリ223gの値と同一のビット数だけ右へローテートする。よって、主制御装置110から送信される加工後の普通図柄停止種別コマンドは、S3302の処理によって、元の普通図柄停止種別コマンドに戻すことができる。
なお、本パチンコ機10に取り付けられた「ぶら下げ基板」等によって、上記4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)と同一のコマンドが出力された場合にも、S3302の処理によって復号される。このため、「ぶら下げ基板」等によって、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドと同一のコマンドが出力された場合は、S3302の処理によって未加工の普通図柄停止種別コマンド「F111h」に復号されてしまうものの、それ以外のコマンドが「ぶら下げ基板」等から出力されても、それらのコマンドがS3302の処理によって「F111h」に復号されることはない。
そして、続くS3303の処理によって、S3302の処理で復号したコマンドの種類を判別する。
S3303の処理において、復号後のコマンドは特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」であると判別された場合、S1310の処理によって特殊ハズレ時の停止種別を設定する。続いてAT抽選(S1311,S1312)を行い、この抽選に当選した場合は(S1312:Yes)、ATフラグ223cをオンし(S1313)、本処理を終了してコマンド判定処理(図24参照)に戻る。ATフラグ223cのオン設定により、パチンコ機10の遊技状態をATモードに移行させる。また、AT抽選(S1311,S1312)に当選しなかった場合は(S1312:No)、そのまま本処理を終了してコマンド判定処理に戻る。
また、S3303の処理において、復号後のコマンドは普通当たり停止種別コマンド「F1122h」であると判別されると(S3303:F122h)、S1302の処理によって普通当たり時の停止種別を設定し、ATフラグが223cがオンされているか否かを判別する(S1303)。以前行われた普通図柄停止種別設定処理(S1206)によって、AT抽選(S1311,S1312)に当選し、予め、ATフラグ223cがオンされている場合は(S1303)、遊技動作示唆コマンドを設定して(S1304)、本処理を終了してコマンド判定処理(図24参照)に戻る。一方、ATフラグ223cがオンされていなければ(即ち、オフ状態であれば)、そのまま本処理を終了してコマンド判定処理に戻る。
S1304の処理によって設定された遊技動作示唆コマンドは、表示制御装置114に送信され、次の第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにて行われる普通図柄の変動表示において、普通当たりの表示結果が現出するより前に前述した遊技動作示唆を行わせることができる。
S3303の処理に戻って説明を続ける。S3303の処理において、S3302の処理により復号されたコマンドは通常ハズレ停止種別コマンド「F144h」であると判別されると(S3303:F144h)、S1306の処理によって通常ハズレの停止種別を設定し、本処理を終了してコマンド判定処理(図24参照)に戻る。
S3303の処理において、S3302の処理により復号したコマンドが「F188h」であると判別された場合(S3303:F188h)、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110がS2304の処理を実行することでは生成できない不使用コマンドを受信したということである。かかる場合は、前述したように、音声ランプ制御装置113が、「ぶら下げ基板」等から出力された不正なコマンドを受信している可能性が高い。そこで、S3304の処理を実行して、「ぶら下げ基板」等によって不正行為が行われている可能性が高いことを報知する。これにより、遊技場の係員等に「ぶら下げ基板」等による不正行為を早期に発見させることができる。
なお、このS3304の処理に基づく報知は、不正行為を報せるものであるため、上述したS1309の処理によって行われる報知よりも目立つ態様で行われることが望ましい。例えば、S1309の処理に基づく報知よりも、点灯させるランプの数を多くしたり、スピーカから大音量の警告音を出力させる。S3304の処理の実行後は、本処理を終了し、コマンド判定処理(図24参照)に戻る。
以上説明したように、第2実施形態のパチンコ機10によれば、主制御装置110のMPU201は、停止種別の抽選の結果に応じて取得した、特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」を含む3種類の普通図柄停止種別コマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」)を、S2303の処理を実行することにより、「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」という4種類のコマンドのうち、第1加工条件メモリ203fの値に応じた、いずれか3種類のコマンドに加工する。
ここで、本パチンコ機10のようにAT抽選の実行契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドを複数種類のうちのいずれかに加工して送信するものに対して、不正行為者らが、主制御装置110が送信可能な4種類の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドのうち、少なくとも1種類を繰り返し出力する「ぶら下げ基板」等を開発することが想定された。
しかし、本パチンコ機10に対し、この「ぶら下げ基板」等が取り付けられ、「ぶら下げ基板」等から、上記4種類のコマンドのうち少なくとも1種類が音声ランプ制御装置113へ出力されたとしても、そのコマンドが、主制御装置110のMPU201によって実行されたS2303の処理によって特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」から加工されたコマンドと一致するとは限らない。
そして、音声ランプ制御装置113は、上記「ぶら下げ基板」等から出力されたコマンドを受信しても、そのコマンドが、S3301からS3303の各処理によって、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドと同一の値のコマンドであると判別しない限り、AT抽選(S1311,S1312)を実行しない。このため、上記の「ぶら下げ基板」等によって遊技場等が受ける被害を抑制できる。
また、S2302の処理によって、一の第1加工条件メモリ203fの値に応じて、特殊ハズレ停止種別コマンド「F111h」、停止種別コマンド「F122h」、および、通常ハズレ停止種別コマンド「F144h」をそれぞれ加工した場合、上記4種類のコマンド(「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)のうち、
1種類が加工後の特殊ハズレコマンド、2種類が、加工後の普通当たり停止種別コマンドおよび加工後の通常ハズレ停止種別コマンドとして生成され、残りの1種類は、S2303の処理では生成されない不使用コマンドとなる。
このため、上記「ぶら下げ基板」等から出力されたコマンドが、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドと同一の値のコマンドでない場合は、「ぶら下げ基板」等が出力するコマンドは、加工後の普通当たり停止種別コマンドまたは加工後の通常ハズレ停止種別コマンドと同一であるか、或いは、上記4種類のコマンドの中で主制御装置110によって送信されない、不使用コマンドと同一のコマンドとなる。
そこで、音声ランプ制御装置113のMPU221は、「ぶら下げ基板」等によって出力されるコマンドが、主制御装置110が送信する加工後の普通当たり停止種別コマンドまたは加工後の通常ハズレ停止種別コマンドと同一のコマンドであると判別した場合(S3303:F122h,F144h)、「ぶら下げ基板」等によって出力されたコマンドに基づいて、普通当たり時あるいは通常ハズレ時における普通図柄の停止種別を設定する(S1302又はS1306)。かかる処理は、「ぶら下げ基板」等がコマンドを出力する度に繰り返し行われるので、第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおける普通図柄の変動表示が不正常なものになる。従って、本パチンコ機10では、第2図柄領域Dbにおける不正常な表示動作によって、「ぶら下げ基板」等による不正行為が周囲に露見する可能性を高めることができる。
また、音声ランプ制御装置113のMPU221は、「ぶら下げ基板」等によって出力されるコマンドが、上記4種類のコマンドの中で主制御装置110によって送信されない、不使用コマンドと同一のコマンドである判別した場合(S3303:F188h)、S3204の処理を実行し、「ぶら下げ基板」等によって不正行為が行われている可能性が高い旨を外部へ報知する。これにより、遊技場の係員等に「ぶら下げ基板」等による不正行為を早期に発見させることができる。
仮に、主制御装置110から送信されるコマンドの種類や、主制御装置110から送信される各コマンドの出力状況に基づいて、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドが、上記4種類のコマンドのうち何れであるかを特定できる場合には、不正行為者らが、音声ランプ制御装置113に不正なAT抽選を確実に行わせるため、次のような「ぶら下げ基板」等を設計するおそれがある。即ち、パチンコ機10に取り付けられた状態で、主制御装置110から送信されるコマンドを傍受し、主制御装置110におけるコマンドの種類や出力状況を値を解析する機能と共に、その解析結果から特定された加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを出力する機能を有する「ぶら下げ基板」等が設計されるおそれがある。
しかし、第2実施形態の本パチンコ機10においては、主制御装置110から送信されるコマンドが、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間で傍受されても、どのコマンドが特殊ハズレ停止種別コマンドであるかを容易に特定させない。
なぜならば、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとなり得る4種類のコマンド(即ち、「F111h」、「F122h」、「F144h」、「F188h」)は、それぞれ、第1加工条件メモリ203fに「0」〜「3」のうちいずれか1の値が記憶されている場合にだけ、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとして使用される一方、それとは別の値が該メモリ203fに記憶されている場合は、加工後の普通当たり停止種別コマンドや加工後の通常ハズレ停止種別コマンドとして使用されるものであるため、「ぶら下げ基板」等が、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間でこれら4種類のコマンドを傍受したとしても、各コマンドがいずれのコマンドとして送信されたものか判別がつかないためである。
なお、本第2実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110によって送信されるコマンドの出力状況から、コマンド上記4種類のコマンドの中で主制御装置110から送信されない不使用コマンドが特定されてしまうと、その不使用コマンドに基づいて、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドが特定されてしまうおそれがある。上記4種類のコマンドの中で不使用コマンドの下位バイトのビットを、3ビット分だけ右にローテート(或いは1ビット分だけ左にローテート)したコマンドが、主制御装置110によって送信される、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドとなるからである。
これに対し、本第2実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110のMPU201によって実行される特別図柄変動処理(図16参照)における大当たり当選間隔の判定処理に基づいて、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fと音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの各値を遊技中に変更するので、上記4種類のコマンドの中の不使用コマンドも遊技中に変更され、遊技中には、上記4種類のコマンドが全種類送信されることになる。このため、主制御装置110から出力されるコマンドが、上記の「ぶら下げ基板」等によって傍受されたとしても、その「ぶら下げ基板」等による不使用コマンドの特定を困難にすることができる。よって、不使用コマンドに基づいて、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを特定されることも困難にすることができる。
このように、本第2実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110から送信される加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、主制御装置110から送信されるコマンドの種類や、主制御装置110から送信される各コマンドの出力状況から特定され難くしたので、主制御装置110から送信されるコマンドを傍受するタイプの「ぶら下げ基板」等による不正行為を抑制することができる。
その他、本第2実施形態におけるパチンコ機10は、第1実施形態におけるパチンコ機10と同一の構成部分に基づいて、第1実施形態におけるパチンコ機10と同一の作用効果を奏することができる。
次いで、図33〜図41を参照して、第3実施形態におけるパチンコ機10について説明する。上述の第1実施形態におけるパチンコ機10では、主制御装置110において、普通当たり抽選の抽選結果が特殊ハズレであった場合に、主制御装置110に、AT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドを加工させ、音声ランプ制御装置113へ送信させる場合について説明した。これに対し、第3実施形態におけるパチンコ機10では、普通当たり抽選の結果が特殊ハズレのときに限らず、その他の結果であった場合にも主制御装置110から出力される普通図柄停止種別コマンド全般について加工を行ったうえで、音声ランプ制御装置113へ送信する。なお、特殊ハズレ停止種別コマンドは、普通図柄停止種別コマンドの一種である。
また、第1実施形態におけるパチンコ機10では、AT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドの加工条件(加工方法)は、第1および第2条件設定スイッチ210,226の状態に応じて、原則、一の加工条件に固定されていた。一方、第3実施形態におけるパチンコ機10では、普通図柄停止種別コマンドを加工する加工条件は、主制御装置110によって普通図柄停止種別コマンドを送信される度に、不規則に変更される。
この第3実施形態におけるパチンコ機10では、主制御装置110のRAM303の一部構成と、音声ランプ制御装置113のRAMの一部構成とが、第1実施形態におけるパチンコ機10と、構成上において相違する。また、第3実施形態におけるパチンコ機10では、主制御装置110の加工条件テーブルメモリ304と、音声ランプ制御装置113の復号条件テーブルメモリ324とを新たに設けた。一方、第1実施形態のパチンコ機10が有していた、主制御装置110の乱数発生回路206と第1ID用ROM207、音声ランプ制御装置113の第2ID用ROM224、および、第1および第2条件設定スイッチ210,226は、第3実施形態におけるパチンコ機10に設けていない。
また、主制御装置110のMPU201によって実行される立ち上げ処理と、普通図柄変動開始処理(S207)と、加工条件再設定処理(S511)と、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるコマンド判定処理(S1014)と、そのコマンド判定処理の一処理である普通図柄停止種別設定処理(S1206)との各々に含まれる一部処理が、第1実施形態におけるパチンコ機10と相違する。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される各種処理、及び、表示制御装置114のMPU231によって実行されるその他の処理については、第1実施形態におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明を省略する。
まず、図33を参照して、第3実施形態のパチンコ機10の電気的構成について説明する。図33は、第3実施形態のパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
第3実施形態の主制御装置110のMPU201には、加工条件テーブルメモリ304が設けられると共に、RAM203に、主側テーブル選択メモリ303aと、コマンド設定用メモリ303bとが設けられている。
まず、加工条件テーブルメモリ304の構成について説明する。加工条件テーブルメモリ304は、書き換え不能な不揮発性のメモリであり、普通当たり抽選の抽選結果を普通図柄の停止種別として音声ランプ制御装置113に通知する普通図柄停止種別コマンドを加工するために、主制御装置110のMPU201によって参照されるメモリである。この加工条件テーブルメモリ304には、第1加工条件テーブル304aと、第2加工条件テーブル304bという、2つのテーブルが設けられている。ここで、図34を参照して、第1および第2加工条件テーブル304a,304bの内容について説明する。図34(a)は、機種Aのパチンコ機10が有する加工条件テーブルメモリ304の内容を示す模式図であり、図34(b)は、機種Bのパチンコ機10が有する加工条件テーブルメモリ304の内容を示す模式図である。
図34(a)に示すように、第1および第2加工条件テーブル304a,304bでは、それぞれが異なる加工条件を示す「0」〜「7」の範囲の8種類の整数値が、「0」〜「3」の範囲にある2つの整数値A,Bにそれぞれ対応付けられている。第1加工条件テーブル304aと第2加工条件テーブル304bとでは、加工条件を示す値と、整数値A,Bとの対応付けが互いに異なっている。例えば、第1加工条件テーブル304aにおいて、整数値A,B=「1,2」と対応して記憶されている加工条件を示す値は「6」である。一方、第2加工条件テーブル304bにおいて、整数値A,B=「1,2」と対応して記憶されている加工条件を示す値は「7」である。このように、テーブルが異なると、整数値A,Bと加工条件を示す値との対応関係が異なっている。
ここで、整数値Bは、カウンタ用バッファ203aの第2当たり乱数カウンタC2を構成するビット領域のうち、最下位のビット領域である第0ビットとその第0ビットより1ビット上位のビット領域である第1ビットとの2ビットが示す数値(「0」〜「3」)であり、整数値Aは、第2当たり乱数カウンタC2の第0ビットより2ビット上位のビット領域である第2ビットと、その第2ビットより1ビット上位のビット領域である第3ビットとの2ビットが示す数値(「0」〜「3」)である。
主制御装置110のMPU201は、普通当たり抽選が行われる度に、カウンタ用バッファ203aの第2当たり乱数カウンタC2から、その第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットの値(即ち、整数値A,B)を取得し、第1および第2加工条件テーブル304a,304bのうち、予め選択された1のテーブルから、第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットの値と対応して記憶された値を読み出す。この読み出した値が、普通図柄停止種別コマンドの加工条件を示す値である。
このとき、主制御装置110のMPU201によって取得される整数値A,Bは、タイマ割込処理によって2ms毎に1ずつ加算(更新)される第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットから、普通当たり抽選が行われるタイミング(普通入賞の発生タイミング)という不定期なタイミングで取得される値なので、値が取得されるタイミングや順番と相関のないランダム(不規則)な値となる。このような整数値A,Bと対応して第1および第2加工条件テーブル304a,304bの一方から読み出される加工条件を示す値は、普通図柄停止種別コマンドの生成毎にランダムな値となる。このランダムに選ばれた値に応じて、普通図柄停止種別コマンドの加工がMPU201によって行われる。このため、普通当たり抽選が行われる場合に生成される普通図柄停止種別コマンドは、その抽選の度に選ばれるランダムな加工条件に基づいて加工される。よって、同じ停止種別に対応する普通図柄停止種別コマンドであっても、主制御装置110によって生成される度に、コマンドのデータ構成を不規則に異ならせることができる。
ところで、パチンコ機等の遊技機には、遊技場等から払い下げられた中古台の流通市場が存在し、その流通市場を通じて、遊技機の中古台を誰でも容易に入手できる。本パチンコ機10の中古台が不正行為者によって入手されてしまうと、不正行為者の手で、中古台の主制御装置110と音声ランプ制御装置113との間にコマンド解析装置が取り付けられてしまう。このコマンド解析装置は、主制御装置110から送信されるコマンドを傍受して、傍受したコマンドのデータ構成の解析を行うものである。このようなコマンド解析装置が本パチンコ機10に取り付けられると、主制御装置110から出力されたコマンドのデータ構成とそのときの遊技状態との対応関係が、次の方法で調べられてしまう可能性がある。即ち、不正行為者は、ある遊技状態を発生させる契機となるコマンドを特定したい場合に、その遊技状態をパチンコ機10で何度も再現することにより、主制御装置110から送信されるコマンドのうち、再現毎に共通するコマンドや再現毎でデータ構成に規則性のあるコマンドを絞り込み、そのコマンドの中から、再現した遊技状態と対応する所望のコマンドを特定する。ここで、本パチンコ機10では、主制御装置110から特殊ハズレ停止種別コマンドを送信することにより、音声ランプ制御装置113によってAT抽選を実行させる。よって、上記の方法が、本パチンコ機10に適用されると、音声ランプ制御装置113にAT抽選を行わせるきっかけとなる特殊ハズレ停止種別コマンドのデータ構成が調べられてしまうおそれがある。そして、調べられてしまった特殊ハズレ停止種別コマンドを繰り返し出力する「ぶら下げ基板」等が開発されてしまうおそれがある。
これに対し、本パチンコ機10では、普通当たり抽選が行われた場合は、主制御装置110によって整数値A,Bというランダムな値が取得され、その整数値A,Bと第1または第2加工条件テーブル304a,304bにて対応付けされた加工条件に基づいて、普通図柄停止種別コマンドを加工する。これにより、同じ停止種別に対応する普通図柄停止種別コマンドであっても、各コマンドのデータ構成を、主制御装置110から送信する度に不規則に異ならせることができる。よって、不正行為者によって、本パチンコ機10に上記のコマンド解析装置が取り付けられたうえで普通当たり抽選が繰り返し再現されても、本パチンコ機10では、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドのデータ構成がいつも不規則に異なるため、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドがどのようなコマンドであるかを、不正行為者から隠すことができる。これにより、普通図柄停止種別コマンドの一種であり、AT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドについても不正行為者から隠すことができる。このため、本パチンコ機10では、特殊ハズレ停止種別コマンドが不正行為者によって特定されてしまうことを抑制できる。
しかも、前述したように、第1加工条件テーブル304aと第2加工条件テーブル304bとでは、加工条件を示す値と、整数値A,Bとの対応付けが互いに異なっている。これにより、同一の整数値A,Bに応じて普通図柄停止種別コマンドに行われる加工を、第1加工条件テーブル304aを参照した場合と、第2加工条件テーブル304bを参照した場合とで異ならせることができる。そこで、詳細は後述するが、本パチンコ機10では、所定の条件が成立した場合に、主制御装置110が普通図柄停止種別コマンドを加工する際に参照するテーブルを切り換えることで、各整数値A,Bに応じて行われる加工の加工条件を変更するようにしている。
また、図34(a),(b)に示すように、機種Aと機種Bという、機種の異なるパチンコ機10に対しては、第1および第2加工条件テーブル304a,304bにおける加工条件を示す8種類の整数値と、整数値A,Bとの対応付けが異なる加工条件テーブルメモリ304をMPU201に取り付けるようにしている。例えば、機種Aでは、第1加工条件テーブル304aにおいて、整数値A,B=「1,2」と対応して記憶されている加工条件を示す値は「6」である。一方、機種Bでは、第1加工条件テーブル304aにおいて、整数値A,B=「1,2」と対応して記憶されている加工条件を示す値は「1」である。このように、機種が異なると、整数値A,Bと加工条件を示す値との対応関係が異なるので、整数値A,Bに応じて普通図柄停止種別コマンドに行われる加工を、各機種で異ならせることができる。
例えば、機種Aの主制御装置110から出力されることでAT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドが、上述した方法で、不正行為者によって特定されてしまい、その機種Aの特殊ハズレ停止種別コマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発されたとしても、その「ぶら下げ基板」では、機種Bに対して不正なAT抽選を行わせることが出来ない。機種Bにおいて加工される特殊ハズレ停止種別コマンドは、機種Aに適合した「ぶら下げ基板」から出力される機種Aの特殊ハズレ停止種別コマンドと、コマンド含まれるデータが相違するので、「ぶら下げ基板」から出力される機種Aの特殊ハズレ停止種別コマンドでは、機種Bの音声ランプ制御装置110にAT抽選を行わせることができないためである。このように、一の機種に適合した「ぶら下げ基板」等が、他の機種に取り付けられたとしても、他の機種において、その「ぶら下げ基板」等による不正行為を防止することができる。
図33に戻って説明を続ける。主制御装置110のRAM203に設けられた主側テーブル選択メモリ303aは、第1および第2加工条件テーブル304a,304bのうち、普通図柄停止種別コマンドの生成時にMPU201によって参照されるテーブルとして、選択されているテーブルを記憶するためのメモリである。この主側テーブル選択メモリ303aは、「0」および「1」という2種類の値のうち、いずれかが格納されるメモリである。主側テーブル選択メモリ303aに「0」が格納される場合は、第1加工条件テーブル304aが選択されていることを示し、「1」が格納される場合は第2加工条件テーブル304bが選択されていることを示す。主制御装置110のMPU201は、普通当たり抽選が行われた場合に、この主側テーブル選択メモリ303aの値を参照し、第1および第2加工条件テーブル304a,304bのうち、参照した値と対応するテーブルから、普通図柄停止種別コマンドの加工条件を示す値を取得する。
また、詳細は図39を参照して後述するが、主側テーブル選択メモリ303aは、電源入時の立ち上げ処理の中で0クリアされる。このため、主側テーブル選択メモリ303aには初期値として「0」が格納される。
また、詳細は後述するが、主側テーブル選択メモリ303aの値は、加工条件再設定処理(S511)が行われた場合に、「0」から「1」または「1」から「0」に変更される。加工条件再設定処理(S511)は、第1実施形態と同様に、大当たりに当選した場合に、前回(1回前)の大当たりから今回の大当たりまでの間に行われた普通図柄変動表示の回数が大当たり当選間隔判定しきい値よりも少ないと判定される場合に実行される。上記第1及び第2実施形態と同様に、大当たり当選間隔判定しきい値は、ATモード時における大当たりの当選間隔(普通図柄変動表示の回数)の期待値と通常時における大当たりの当選間隔の期待値との間で設定した値である。大当たり当選間隔判定しきい値は、通常時における大当たりの当選間隔の期待値よりも大当たりの頻度が高いときの普通図柄変動表示の回数なので、加工条件再設定処理(S511)は、通常の遊技に比べて大当たりの発生確率が高めの状態で遊技が行われた場合に実行されることになる。なお、本パチンコ機10では、ATモードがずっと継続した時に、大当たりの当選頻度が最大となるので、大当たり当選間隔判定しきい値を、ATモード時における大当たりの当選間隔(普通図柄変動表示の回数)の期待値よりも大きな値に設定している。
ここで、本パチンコ機10の主側テーブル選択メモリ303aの値と対応する第1または第2加工条件テーブル304a,304bにおいて、一組の整数値A,Bと対応する加工条件で加工された特殊ハズレ停止種別コマンドと同じコマンドが、本パチンコ機10に不正に取り付けられた「ぶら下げ基板」等から繰り返し出力されている場合を想定する。かかる場合は、「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドにより、音声ランプ制御装置113によってAT抽選が不正に行われ、そのAT抽選に基づいて行われる遊技動作示唆によって、パチンコ機10の大当たり発生確率が不正に高められてしまう。そして、大当たりの発生確率が高められることで、普通図柄変動表示の回数に対する大当たりの当選間隔が不当に短くなってしまう。
このような場合には、加工条件再設定処理(S511)が実行され、主側テーブル選択メモリ303aの値が反転される。これにより、第1および第2加工条件テーブル304a,304bのうち、加工条件を示す値がMPU201によって取得されるテーブルが切り替わる。前述したように、第1加工条件テーブル304aと第2加工条件テーブル304bとでは、整数値A,Bと加工条件を示す値との対応関係が異なる。このため、加工条件再設定処理(S511)の実行後は、整数値A,Bと加工条件を示す値との対応関係が変更される。よって、主制御装置110によって加工される特殊ハズレ停止種別コマンドは、整数値A,Bの各組合せに対するデータ構成が、加工条件再設定処理(S511)の実行前とは異なるものとなる。一方、本パチンコ機10への取り付けが想定されている「ぶら下げ基板」等から音声ランプ制御装置113へ送信されるコマンドのデータ構成は、加工条件再設定処理(S511)の実行前における、本パチンコ機10の特殊ハズレ停止種別コマンドと同じままである。よって、本パチンコ機10では、遊技の途中で、主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドを、「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドとは不一致のコマンドに変更できる。詳細は後述するが、本パチンコ機10は、これにより、「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドによって不正なAT抽選が行われる状態を中断させるようにしている。
主制御装置110のRAM203に設けられたコマンド設定用メモリ303bは、普通当たり抽選が行われた場合に、その普通当たり抽選の抽選結果に対応する普通図柄停止種別コマンドを生成し、加工するために使用される作業領域である。ここで、図35を参照して、コマンド設定用メモリ303bについて説明する。図35(a)は、コマンド設定用メモリ303bの各ビット領域に格納される情報を説明するための図であり、図35(b)は、コマンド設定用メモリ303bにおいて加工される普通図柄停止種別コマンドを説明するための図である。
図35(a)に示すように、コマンド設定用メモリ303bは、2バイトで構成されるメモリである。このコマンド設定用メモリ303bの上位1バイト(上位バイト)のうち、第4ビットから第7ビットまでの上位の4ビットには、普通図柄停止種別コマンドであることを示す所定の値が格納され、第0ビットから第4ビットまでの下位の4ビットには、カウンタ用バッファ203aの第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットが格納される。これにより、コマンド設定用メモリ303bの上位バイトの第3ビットと第2ビットからなる2ビットの値と、上位バイトの第1ビットと第0ビットからなる2ビットの値とが、それぞれ、第1または第2加工条件テーブル304a,304bを参照する際に用いられる整数値A,Bとなる。
また、コマンド設定用メモリ303bの下位1バイト(下位バイト)には、普通当たり抽選の結果として普通図柄の停止種別を示す8ビットの情報が格納される。この8ビットの情報は、コマンド設定用メモリ303bの上位バイトに記憶される整数値A,Bと対応して第1または第2加工条件テーブル304a,304bに記憶される加工条件を示す値に基づき、MPU201によって加工される。
次に、図35(b)を参照して、本実施形態における普通図柄停止種別コマンドの生成方法について説明する。図35(b)に示すように、本実施形態では、コマンド設定用メモリ303bの下位バイトに格納された普通図柄の停止種別を示す8ビットのいずれか1ビットが、第1または第2加工条件テーブル304a,304bから読み出した値に応じて、MPU201によって反転される。このように、本実施形態では、普通図柄停止種別コマンドの加工を、この反転処理によって行う。
具体的には、第1または第2加工条件テーブル304a,304bから取得された加工条件を示す値が「0」の場合は、コマンド設定用メモリ303bの下位バイトのうち第0ビットが反転され、加工条件を示す値が「1」の場合は、コマンド設定用メモリ303bの下位バイトのうち第1ビットが反転され、・・・加工条件を示す値が「7」の場合は、コマンド設定用メモリ303bの下位バイトのうち第7ビットが反転される。
普通図柄停止種別コマンドであることを示す所定の値と、加工条件と対応する第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットの値と、その4ビットの値に応じて加工された普通図柄の停止種別を示す情報とを含むコマンドがコマンド設定用メモリ303bに格納されると、そのコマンドがMPU201によってコマンド送信用リングバッファに設定される。そして、設定されたコマンドが、抽選結果コマンドとして、音声ランプ制御装置113へ送信される。
主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ普通図柄の停止種別を通知するための1の抽選結果コマンドに、整数値A,Bという加工条件と対応する情報と、その加工条件に基づいて加工された普通図柄の停止種別を示す情報とが含まれるので、これらの情報を別々のコマンドで送信する場合に比べてコマンドの数を抑制できる。また、音声ランプ制御装置113において、加工された普通図柄の停止種別を示す情報と、その情報の加工に用いた加工条件とを確実に把握させることができる。
図33に戻って説明を続ける。第3実施形態の音声ランプ制御装置113のMPU221には、第1実施形態のMPU221のRAM223に設けられた第1および第2復号条件メモリ223g,223hと、MPU221に設けられた第2ID用ROM224とに代えて、復号条件テーブルメモリ324と、RAM223の音声側テーブル選択メモリ323a(図36参照)とが設けられている。
復号条件テーブルメモリ324は、書き換え不能な不揮発性のメモリであり、普通当たり抽選が行われ、主制御装置110によって送信された加工後の普通図柄停止種別コマンドを音声ランプ制御装置113が受信した場合に、そのコマンドに含まれる加工された普通図柄の停止種別を示す情報を、元の情報に復号するためにMPU221によって参照されるメモリである。
復号条件テーブルメモリ324は、第1復号条件テーブル324aと第2復号条件テーブル324bという、2種類のテーブルを有している。第1復号条件テーブル324aは、主制御装置110の加工条件テーブルメモリ304が有する第1加工条件テーブル304aに対応して設けられており、第2復号条件テーブル324bは、主制御装置110の第2加工条件テーブル304bに対応して設けられている。第1および第2復号条件テーブル324a,324bは、普通図柄停止種別コマンドの復号条件を示す「0」〜「7」の値を、その普通図柄停止種別コマンドの上位バイトに含まれる2種類の整数値A,Bと対応付けして記憶されたテーブルである。具体的には、整数値A,Bの各組合せに対する、加工条件を示す(音声ランプ制御装置113の第1または第2復号条件テーブル324a,324bにおいては復号条件を示す)「0」〜「7」の値が、第1復号条件テーブル324aおよび第2復号条件テーブル324bと、主制御装置110の第1加工条件テーブル304aおよび第2加工条件テーブル304bとで、それぞれ同じになっている。
詳細は後述するが、音声ランプ制御装置113のMPU221は、この第1および第2復号条件テーブル324a,324bのうち、主制御装置110によって参照された第1または第2加工条件テーブル304a,304bと対応する一方のテーブルを参照する。このため、音声ランプ制御装置113のMPU221は、普通図柄停止種別コマンドを受信した場合に、そのコマンドの上位バイトに含まれる整数値A,Bと対応する第1または第2復号条件テーブル324a,324bの値を参照することにより、その普通図柄停止種別コマンドの下位バイトのビットのうち、主制御装置110のMPU201によって反転(加工)されたビットを示す値を取得できる。音声ランプ制御装置113のMPU2221は、この値が示すビットを反転する。これにより、普通図柄停止種別コマンドに含まれる普通図柄の停止種別を示す情報を復号する。
また、上述のように、音声ランプ制御装置113の第1および第2復号条件テーブル324a,324bは、主制御装置110の第1および第2加工条件テーブル304a,304bと対応して設けられているので、機種Aや機種Bをはじめとする各機種で、復号条件を示す値と整数値A,Bとの対応付けが異なるように構成される。
ここで、一の機種において、いずれかの整数値A,Bと対応する加工条件に基づいて加工された特殊ハズレ停止種別コマンドと同一のコマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発され、その「ぶら下げ基板」等が他の機種に取り付けられた場合を想定する。一の機種と、他の機種とでは、第1および第2加工条件テーブル304a,304bにおける整数値A,Bと加工条件を示す値との対応関係が相違するので、「ぶら下げ基板」等から他の機種の音声ランプ制御装置113へ出力されるコマンドは、他の機種の主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドとは、そのコマンドに含まれる整数値A,B(上位バイトの下位4ビット)と、その整数値A,Bに応じて加工された停止種別を示す情報との対応関係が一致しない。そして、一の機種と、他の機種とでは、第1および第2復号条件テーブル324a,324bにおける整数値A,Bと復号条件を示す値との対応関係が相違するので、「ぶら下げ基板」から送信される、一の機種の特殊ハズレ停止種別コマンドが、他の機種における音声ランプ制御装置113によって受信されても、他の機種の音声ランプ制御装置113では、一の機種の特殊ハズレ停止種別コマンドに含まれる普通図柄の停止種別を示す情報を、特殊ハズレの停止種別を示す情報へと正しく復号しない。よって、「ぶら下げ基板」から送信される一の機種の特殊ハズレ停止種別コマンドに基づいて、他の機種にAT抽選を実行させない。従って、上記の想定による「ぶら下げ基板」等が他の機種に取り付けられたとしても、「ぶら下げ基板」等による不正行為を防止できる。
また、主制御装置110に取り付けられる加工条件テーブルメモリ304と、それに対応して音声ランプ制御装置113に取り付けられる復号条件テーブルメモリ324とを、整数値A,Bの各組合せと加工条件(復号条件)を示す値との対応付けを各機種で異なるものにして取り付けるだけで、上記の不正行為を防止する効果を享受できる。よって、主制御装置110の加工条件テーブルメモリ304と、音声ランプ制御装置113の復号条件テーブルメモリ324以外の遊技の制御に関するプログラムや装置等は、機種間でそのまま使い回しすることができる。従って、新たな機種の設計負担を抑制できる。
また、前述したように、第1加工条件テーブル304aと第1復号条件テーブル324a、第2加工条件テーブル304bと第2復号条件テーブル324bは、それぞれ、整数値A,Bの各組合せに対して、同一の値が対応付けられている。つまり、第1加工条件テーブル304aおよび第1復号条件テーブル324a、第2加工条件テーブル304bおよび第2復号条件テーブル324bは、それぞれ、同一内容のテーブルなので、本パチンコ機10のように、新たな機種を設計する場合に、テーブル304a,304b,324a,324bの内容の変更を容易に行うことができる。よって、テーブル304a,304b,324a,324bの設計負担を抑制できる。
次に、図36を参照して、音声ランプ制御装置113のRAM223の構成を説明する。図36は、第3実施形態における音声ランプ制御装置113内のRAM223の構成を説明する図である。
音声側テーブル選択メモリ323aは、音声ランプ制御装置113が有する第1および第2復号条件テーブル324a,324bのうち、普通図柄停止種別コマンドを復号する際に音声ランプ制御装置113のMPU221によって参照されるテーブルとして選択されているテーブルを記憶するためのメモリである。
この音声側テーブル選択メモリ323aは、MPU221によって、「0」および「1」という2種類の値のうち、いずれかが格納されるメモリである。音声側テーブル選択メモリ323aに「0」が格納される場合は、第1復号条件テーブル324aが選択されていることを示し、「1」が格納される場合は第2復号条件テーブル324bが選択されていることを示す。音声ランプ制御装置113のMPU221は、普通図柄停止種別コマンドを受信した場合に、この音声側テーブル選択メモリ323aの値を参照し、第1よび第2復号条件テーブル324a,324bのうち、参照した値と対応するテーブルから、普通図柄停止種別コマンドの復号条件を示す値を取得する。
また、従側テーブル選択メモリ323aは、電源入時の立ち上げ処理の中で実行されるRAM初期値設定処理(S1010,図22参照)により0クリアされる。このため、従側テーブル選択メモリ323aには初期値として「0」が格納される。前述したように、主制御装置110に設けられた主側テーブル選択メモリ303aも、電源入時の初期値として「0」が格納される。よって、遊技場の開店時等の主制御装置110と音声ランプ制御装置113との電源が同時に入されるときに、主側テーブル選択メモリ303aの値と従側テーブル選択メモリ323aの値とを確実に一致させることができる。
詳細は後述するが、電源入後(立ち上げ処理の実行後)、従側テーブル選択メモリ323aの値を示すビットは、音声ランプ制御装置が選択テーブル変更コマンドを受信した場合に、MPU221によって反転される。詳細は後述するが、この選択テーブル変更コマンドは、主制御装置110において、主側テーブル選択メモリ303aの値を示すビットが、加工条件再設定処理(S511)によって反転されたタイミングで、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信されるコマンドである。よって、主側テーブル選択メモリ303aを示すビットが反転された場合に、従側テーブル選択メモリ323aの値を示すビットも反転されるので、電源入後、主側テーブル選択メモリ303aと従側テーブル選択メモリ323aとの値が変更されても、両メモリ303a,323aの値は一致する。この両メモリ303a,323aの値が一致することにより、普通図柄停止種別コマンドを加工するために主制御装置110のMPU201が参照する第1または第2加工条件テーブル304a,304bと、その普通図柄停止種別コマンドを受信した場合に、音声ランプ制御装置113のMPU221が、そのコマンドを復号するために参照する第1または第2復号条件テーブル324a,324bとを、互いに対応するテーブルにすることができる。
また、このときに主制御装置110から送信される選択条件変更コマンドは、従側テーブル選択メモリ323aのビットを反転させることを音声ランプ制御装置113に対して指示するものであり、主側テーブル選択メモリ303aの値を、直接的に音声ランプ制御装置113に通知するものではないので、このコマンドが解析装置等によって不正に傍受されたとしても、主側選択テーブルメモリ304aと従側テーブル選択メモリ323aとの各メモリにおける変更後の値は特定できない。
図33に戻り、説明を続ける。第1実施形態では、第1条件設定スイッチ210および第2条件設定スイッチ226を中継して、駆動電圧(+24V)が電源装置115に供給される場合を説明したが、第3実施形態では、駆動電圧(+24V)が電源装置115に対して直接供給されている。このように構成したのは、第3実施形態では、主制御装置110によって普通図柄停止種別コマンドを生成する毎に、第2当たり乱数カウンタ203C2から乱数(整数値A,B)を取得し、その乱数に応じた加工条件で、普通図柄停止種別コマンドを加工しているので、第1実施形態のように、第1および第2条件設定スイッチ210,226を操作して、加工条件を初期設定する必要が無いためである。
次に、図37〜図39を参照して、第3実施形態のパチンコ機10において、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。
最初に、図37を参照して、主制御装置110のMP201により実行される、タイマ割込処理(図12参照)に含まれる普通図柄変動開始処理(S207)について説明する。図37は、この普通図柄変動開始処理(S207)を示したフローチャートである。この普通図柄変動開始処理(S207)は、第1実施形態と同様に、新たな普通図柄(第2図柄)の変動表示(変動演出)を開始させるために実行される処理であって、保留球格納エリア203cの実行エリア203c9に格納された各種カウンタの値に基づき、普通当たり抽選および特殊ハズレ判定を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の第2図柄表示領域Dbにおいて普通図柄の変動表示を開始させるために、普通図柄の停止種別と変動パターンとを設定する。
この普通図柄変動開始処理(S207)のうち、S301、S302、S304〜S307及びS311の各処理は、それぞれ第1実施形態においてそれらの各処理と同一のステップ番号の各処理と同一の処理が実行されるので、それらの処理については詳細な説明を省略する。
この普通図柄変動開始処理(S207)では、S301の処理によって普通当たり抽選の結果が普通当たりであると判別され(S301:Yes)、普通当たり時の停止種別(停止図柄)が設定されると(S302)、次に、S302の処理によって設定された普通当たりの停止種別を示す情報(普通当たり停止種別情報)として1バイトの値「22h」を、ROM202の所定領域から取得し(S4301)、S4304の処理に移行する。
一方、S301の処理によって、普通当たりでない(即ち、ハズレ)と判別され(S301:No)、S306の特殊ハズレ判定によって特殊ハズレであると判定され(S306:Yes)、特殊ハズレ時の停止種別が設定されると(S307)、次に、S307の処理によって設定された特殊ハズレの停止種別を示す情報(特殊ハズレ停止種別情報)として1バイトの値「11h」を、ROM202の所定領域から取得し(S4302)、S4304の処理に移行する。
また、S306の特殊ハズレ判定によって特殊ハズレではないと判定され(S306:No)、通常ハズレ時の停止種別が設定されると(S311)、次に、S311の処理によって設定された通常ハズレの停止種別を示す情報(通常ハズレ停止種別情報)として1バイトの値「44h」を、ROM202の所定領域から取得し(S4303)、S4304の処理に移行する。
S4304の処理では、S4301,S4302またはS4303の処理によって取得した普通図柄の停止種別を示す情報(普通図柄の停止種別情報)を、2バイトで構成されるコマンド設定用メモリ303bの下位バイトに格納する。
次に、S4305の処理に移行し、コマンド設定用メモリ303bの上位バイトに値を格納する。具体的には、コマンド設定用メモリ303bの上位バイトのうち第0〜第3ビットからなる4ビットに、タイマ割込処理(図12参照)のS103の処理によって更新された第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットの値を格納する。また、普通図柄停止種別コマンドを示すための情報(コマンドの種別を示す情報)をROM202の所定領域から読み出して、コマンド設定用メモリ303bの上位バイトのうち第4〜第7ビットからなる4ビットに格納する(S4305)。
次に、第1および第2加工条件テーブル304a,304bのうち、主側選択テーブルメモリ303aに予め格納されている値と対応するテーブルにおいて、S4305の処理によって取得した第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットの値(整数値A,B)と対応する値を取得する(S4306)。これにより、主制御装置110のMPU201は、普通図柄停止種別コマンドの加工条件を示す「0」〜「7」の何れかの値を取得する。
次に、取得された加工条件を示す値に基づいて、コマンド設定用メモリ303bの下位バイトに記憶されている普通図柄の停止種別情報を加工する(S4307)。即ち、普通図柄の停止種別情報が記憶されているコマンド設定用メモリ303bの下位バイト(下位8ビット)のうち、加工条件を示す値と対応するビットの値を反転させる。
コマンド設定用メモリ303bに記憶される普通図柄の停止種別情報を加工した後は、S4304〜S4307の処理によってコマンド設定用メモリ303bに格納されたコマンドを、普通図柄停止種別コマンドとしてコマンド送信用リングバッファ(図示せず)に設定する(S4308)。このコマンド送信用リングバッファに設定されたコマンドは、前述したように、メイン処理(図21)のS901の処理で、音声ランプ制御装置113に送信される。
S4308の処理の実行後は、普通図柄変動パターンコマンドを設定して(S304)、第1普通図柄変動回数カウンタ203hの値Mに1加算して更新し(S305)、タイマ割込処理に戻る。
このように、第3実施形態の普通図柄変動開始処理(S207)では、普通図柄停止種別コマンドを示すための情報と、第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットから、S4305という不定期に行われる処理に基づいて取得したランダムな整数値A,Bと、取得した整数値A,Bと対応する加工条件に基づいて加工された普通図柄の停止種別情報と、を含むコマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する普通図柄停止種別コマンドとして生成する。S4305の処理で取得される整数値A,Bに応じてコマンドのデータ構成が異なるので、同じ停止種別に対応するコマンドであっても、普通図柄変動開始処理(S207)毎に生成されるコマンドのデータ構成を、不規則に異ならせることができる。
よって、本パチンコ機10に主制御装置110から送信されるコマンドを解析するコマンド解析装置が取り付けられたうえで普通当たり抽選が繰り返し再現されても、本パチンコ機10では、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドのデータ構成がいつも不規則に異なるため、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドがどのようなコマンドであるかを、不正行為者から隠すことができる。これにより、普通図柄停止種別コマンドの一種である特殊ハズレ停止種別コマンドについても不正行為者から隠すことができる。このため、本パチンコ機10では、特殊ハズレ停止種別コマンドが不正行為者によって特定されてしまうことを抑制できる。
次に、図38を参照して、主制御装置110のMP201により実行される、タイマ割込処理(図12参照)の特別図柄変動処理(S105)に含まれる加工条件再設定処理(S511)について説明する。図38は、この加工条件再設定処理(S511)を示したフローチャートである。
第3実施形態の加工条件再設定処理(S511)では、大当たり発生時に、一定条件下で主側テーブル選択メモリ303aの値を設定(再設定、変更)するための処理である。ここでいう一定条件下とは、第1実施形態と同様に、特別図柄変動処理(S106、図16参照)の中で大当たりに当選したと判断された場合であって(S508:Yes)、前回(1回前)の大当たりから今回の大当たりまでの間に行われた普通図柄変動表示の回数が大当たり当選間隔判定しきい値よりも少ないと判定される場合である(S509,S510)。大当たり当選間隔判定しきい値は、ATモード時における大当たりの当選間隔(普通図柄変動表示の回数)の期待値と通常時における大当たりの当選間隔の期待値との間で設定した値である。大当たり当選間隔判定しきい値は、通常時における大当たりの当選間隔の期待値よりも大当たりの頻度が高いときの普通図柄変動表示の回数なので、加工条件再設定処理(S511)は、通常の遊技に比べて大当たりの発生確率が高めの状態で遊技が行われた場合に実行されることになる。よって、加工条件再設定処理(S511)は、通常の遊技に比べて大当たりの発生確率が高めの状態で遊技が行われた場合に実行されることになる。
かかる場合は、本パチンコ機10に「ぶら下げ基板」等が取り付けられており、その「ぶら下げ基板」等から、主制御装置110によって送信される特殊ハズレ停止種別コマンドと同じコマンドが繰り返し出力されているおそれがある。「ぶら下げ基板」等から、主制御装置110によって送信される特殊ハズレ停止種別コマンドと同じコマンドが繰り返し出力されていると、音声ランプ制御装置113によってAT抽選が不正に行われ、そのAT抽選に基づいて行われる遊技動作示唆によって、パチンコ機10の大当たり発生確率が不正に高められてしまう。これにより、普通図柄変動表示の回数に対する大当たりの当選間隔が不当に短くなってしまうためである。
このような場合に実行される加工条件再設定処理(S511)では、まず、主側テーブル選択メモリ303aの値を反転させる(S4501)。これにより、第1および第2加工条件テーブル304a,304bのうち、主側テーブル選択メモリ303aの値によって示されるテーブルが切り替わる。よって、この加工条件再設定処理(S511)の実行後は、普通図柄変動開始処理(S207)によって生成される各種の停止種別と対応する普通図柄停止種別コマンドが、各整数値A,Bに対して、加工条件再設定処理(S511)の実行前とは異なる加工条件で加工される。
よって、加工条件再設定処理(S511)の実行の前後で、それぞれの停止種別を示す普通図柄停止種別コマンドにおいて、そのコマンドに含まれる整数値A,Bと、加工された普通図柄の停止種別を示す情報との対応関係が変更される。当然、AT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドにおいても、加工条件再設定処理(S511)の実行の前後で、コマンドに含まれる整数値A,Bと、加工された普通図柄の停止種別を示す情報との対応関係が変更されたものとなる。よって、特殊ハズレ停止種別コマンドのデータ構成が、加工条件再設定処理(S511)の実行の前後で変更される。従って、加工条件再設定処理(S511)の後に、「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドを、主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドと不一致のコマンドにさせることができる。
次に、主制御装置110のMPU201は、選択テーブル変更コマンドを、コマンド送信用リングバッファに設定する(S4502)。詳細は後述するが、この選択テーブル変更コマンドが音声ランプ制御装置113によって受信されると、音声側テーブル選択メモリ323aの値が反転される。そのため、音声ランプ制御装置113の第1および第2復号条件テーブル324a,324bのうち、音声側テーブル選択メモリ323aの値よって示されるテーブルが切り替わる。よって、普通図柄停止種別コマンドの加工時に主制御装置110において参照される第1または第2加工条件テーブル304a,304bと、普通図柄停止種別コマンドの受信時に音声ランプ制御装置113において参照される第1または第2復号条件テーブル324a,324bとを同時期に切り換えて、切り換えた後も各制御装置110,113によって参照されるテーブルの対応関係を維持できる。即ち、主制御装置110、音声ランプ制御装置113のそれぞれで参照されるテーブルをそれぞれ切り換えた後も、普通図柄停止種別コマンドに含まれる整数値A,Bに応じて各制御装置110,113によって取得される加工条件又は復号条件を示す値は一致する。従って、普通図柄停止種別コマンドに含まれる普通図柄の停止種別情報を、音声ランプ制御装置113のMPU201によって元の停止種別情報に復号させることができる。
一方、本パチンコ機10に、「ぶら下げ基板」が取り付けられ、この「ぶら下げ基板」によって、大当たりの発生確率が不当に高められた結果として、主制御手段が、加工条件再設定処理(S511)が行われると、前述したように、加工条件再設定処理(S511)によって、普通図柄停止種別コマンドの加工時に主制御装置110において参照される第1または第2加工条件テーブル304a,304bと、普通図柄停止種別コマンドの受信時に音声ランプ制御装置113において参照される第1または第2復号条件テーブル324a,324bとが、互いの対応関係が維持されながら切り換わる。これにより、主制御装置110から送信されると共に、音声ランプ制御装置113においてAT抽選の契機としている特殊ハズレ停止図柄コマンドのデータ構成が変更される。一方、「ぶら下げ基板」が出力するコマンドのデータ構成は、加工条件再設定処理(S511)が行われる前において、本パチンコ機10の主制御装置110から送信し得た特殊ハズレ停止種別コマンドと同じである。加工条件再設定処理(S511)が行われた後に、本パチンコ機10の主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドは、加工条件再設定処理(S511)が行われる前とは、コマンドに含まれる整数値A,Bと、加工された普通図柄の停止種別を示す情報との対応関係が変更されている。よって、加工条件再設定処理(S511)の実行後に、主制御装置110から送信されると共に、音声ランプ制御装置113においてAT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドを、「ぶら下げ基板」が出力するコマンドとは不一致させることができる。よって、「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドによって不正なAT抽選が行われる状態を中断できる。
S4502の処理の実行後は、本処理を終了し、タイマ割込処理に戻る。
次に、図39を参照して、第3実施形態の主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図39は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は、第1実施形態と同様に、電源投入時のリセットにより起動される処理であり、電源投入時におけるパチンコ機10の初期設定を行うための処理である。
この立ち上げ処理のうち、S701〜S708、S710〜S713の各処理は、それぞれ第1実施形態においてそれらの各処理と同一のステップ番号の各処理と同一の処理が実行されるので、それらの処理については詳細な説明を省略する。
この立ち上げ処理において、RAM消去スイッチがオフ状態であると判別され(S704:No)、RAM203に記憶された電源断の発生情報に基づいて前回の電源遮断時の処理が正常に終了していると判別され(S705:Yes)、更に、RAM203にバックアップされたデータが正常に保持されていると判別された場合に(S706,S707:Yes)、RAM203に記憶された電源断の発生情報をクリアすると共に(S708)、主側テーブル選択メモリ303aを0クリアする。これにより、主側テーブル選択メモリ303aの値がバックアップされていても、電源投入時は、主側テーブル選択メモリ303aに初期値「0」が設定される。S4701の処理の終了後は、割込を許可して(S710)、メイン処理を起動する。
また、本実施形態の立ち上げ処理では、RAM消去スイッチがオン状態であると判別された場合(S704:Yes)、RAM203に記憶された電源断の発生情報に基づいて前回の電源遮断時の処理が不正常に終了されたと判別された場合(S705:No)、又は、RAM203にバックアップされたデータが正常に保持されていないと判別された場合(S706,S707:No)の各場合で、S712、S713の処理が実行され、主側テーブル選択メモリ303aに初期値として「0」が設定される。よって、電源が投入されると、主側テーブル選択メモリ303aには初期値「0」が必ず設定される。一方、音声ランプ制御装置113でも、電源投入時は、音声側テーブル選択メモリ323aに初期値として「0」が設定される。従って、主側テーブル選択メモリ303aの初期値と音声側テーブル選択メモリ323aの初期値とを電源投入時に一致させることができる。
次に、図40、図41を参照して、第3実施形態のパチンコ機10において、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。
まず、図40を参照して、第3実施形態の音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1115)について説明する。図40は、このコマンド判定処理(S1115)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1115)は、第1実施形態と同様に、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図23参照)の中で実行され、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
このコマンド判定処理(S1115)のうち、S1201〜S1214、S1217の各処理は、それぞれ第1実施形態においてそれらの各処理と同一のステップ番号の各処理と同一の処理が実行されるので、同一の処理については説明を省略する。
このコマンド判定処理(S1115)では、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、読み出したコマンドが、普通図柄変動パターンコマンド、普通図柄停止種別コマンド、特別図柄変動パターンコマンド、特別図柄停止種別コマンド、および、保留球数コマンドのうち、いずれのコマンドでもないと判別された場合に(S1201:No,S1204:No,S1208:No,S1210:No,S1213:No)、S5201の処理に移行する。
S5201の処理では、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から読み出したコマンドが、選択テーブル変更コマンドと一致するかを判別する(S5201)。選択テーブル変更コマンドと一致すると判別された場合は(S5201:Yes)、音声側テーブル選択メモリ323aの値を反転して(S5202)本処理を終了し、メイン処理(図23参照)に戻る。前述したように、選択テーブル変更コマンドは、主制御装置110によって加工条件再設定処理(S511)により主側テーブル選択メモリ303aの値が反転されることに伴って出力される。前述したように、主側テーブル選択メモリ303aの初期値と、音声側テーブル選択メモリ323aの初期値とは共に「0」なので、主側テーブル選択メモリ303aおよび音声側テーブル選択メモリ323aの値が互いに反転されても、両メモリ303a,323aの値を一致させることができる。よって、音声ランプ制御装置113では、普通図柄停止種別コマンドの受信時に、そのコマンドを生成するために主制御装置110において参照された第1または第2加工条件テーブル304a,304bと同様に構成された、第1および第2復号条件テーブル324a,324bの一方を、MPU221に参照させることができる。そして、参照した第1または第2復号条件テーブル324a,324bから、受信した普通図柄停止種別コマンドに含まれる整数値A,Bに応じて、そのコマンドの復号条件を示す値を取得できる。受信した普通図柄停止種別コマンドに含まれる普通図柄の停止種別情報のうち、復号条件を示す値に対応するビットを反転することにより、普通図柄の停止種別情報を元の状態(加工前の状態)に復号することができる。
一方、S5201の処理によって、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から読み出したコマンドが、選択テーブル変更コマンドと一致しないと判別された場合は(S5201:No)、その他のコマンドに一致するかを判別し、一致すると判別されたコマンドに応じた処理を実行する(S1217)。そして、本処理を終了し、メイン処理(図23参照)に戻る。
次に、図41を参照して、第3実施形態の音声ランプ制御装置113内のMPU221によりコマンド判定処理(S1115)の中で実行される、普通図柄停止種別設定処理(S1206)について説明する。図41は、この普通図柄停止種別設定処理(S1206)を示したフローチャートである。この普通図柄停止種別設定処理(S1206)では、第1実施形態と同様に、普通図柄停止種別コマンドで示される普通図柄の停止種別を抽出して、RAM223に記憶すると共に、その停止種別が特殊ハズレの停止種別であった場合に、AT抽選を行う。
この普通図柄停止種別設定処理(S1206)のうち、S1302〜S1304、S1306,S1309〜S1313の各処理は、それぞれ第1実施形態においてそれらの各処理と同一のステップ番号の各処理と同一の処理が実行されるので、それらの処理については詳細な説明を省略する。
この普通図柄停止種別設定処理(S1206)では、まず、RAM223のコマンド記憶領域にある2バイトの普通図柄停止種別コマンドにおいて、上位バイトの第0ビット及び第1ビットの整数値Bと、第2ビット及び第3ビットの整数値Aとを取得する(S5301)。第1および第2復号条件テーブル324a,324bのうち、音声側テーブル選択メモリ323aの値が示すテーブルにおいて、取得された整数値A,Bと対応付けられて記憶されている、復号条件を示す値を読み出す(S5302)。前述したように、このとき第1または第2復号条件テーブル324a,324bから読み出された値は、RAM223のコマンド記憶領域にある普通図柄停止種別コマンドが主制御装置110において加工される際に参照された第1または第2加工条件テーブル304a,304bの値と同一である。このため、S5302の処理によって、復号条件を示す値を読み出すことにより、音声ランプ制御装置113のMPU221は、RAM223のコマンド記憶領域にある普通図柄停止種別コマンドに含まれる普通図柄の停止種別情報の中で、主制御装置110から生成される段階で、元の状態(加工前の状態)から反転されたビットを把握できる。
次に、RAM223のコマンド記憶領域にある普通図柄停止種別コマンドの下位バイトに含まれる普通図柄の停止種別情報のうち、第1または第2復号条件テーブル324a,324bから読み出された値と対応するビットを反転させ、これにより、普通図柄の停止種別情報を、元の状態に復号する(S5303)。
次に、S5304の処理に移行し、S5303の処理によって復号された普通図柄の停止種別情報の種別を判別する(S5304)。S5303の処理によって復号された普通図柄の停止種別情報の値が「11h」であり、特殊ハズレ停止種別情報であると判別された場合は(S5304:「11h」)、S1310〜S1313の各処理を実行し、特殊ハズレ時の停止図柄である「−」を表示させるために特殊ハズレ時の停止種別を設定すると共に、AT抽選や、そのAT抽選の結果に応じたATモードの設定を行い、本処理を終了し、コマンド判別処理に戻る。
また、S5303の処理によって復号された普通図柄の停止種別情報の値が「22h」であり、普通当たり停止種別情報であると判別された場合は(S5304:「22h」)、S1302〜S1304の各処理を実行し、普通当たり時の停止図柄である「☆」を表示させるために普通当たり時の停止種別を設定すると共に、ATモードの設定状態に応じて遊技動作示唆コマンドを設定し、本処理を終了し、コマンド判別処理に戻る。
S5303の処理によって復号された普通図柄の停止種別情報の値が「44h」であり、通常ハズレ停止種別情報であると判別された場合は(S5304:「44h」)、S1306の処理を実行し、通常ハズレ時の停止図柄である「−」を表示させるために通常ハズレ時の停止種別を設定し、本処理を終了し、メイン処理に戻る。
一方、S5303の処理によって復号された普通図柄の停止種別情報が「11h」、「22h」、「44h」のうち、いずれの値でもないと判別された場合は、普通図柄エラーを設定し、コマンド判別処理に戻る。
一の機種においてAT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドが解析された場合に、同一のコマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が、他の機種に取り付けられてしまったとしても、本パチンコ機10と、「ぶら下げ基板」等が適合した機種とでは、第1および第2加工条件テーブル304a,304bにおける整数値A,Bと加工条件を示す値との対応関係が相違する。このため、「ぶら下げ基板」等から出力される一の機種における不正な特殊ハズレ停止種別コマンドは、他の機種の主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドとでは、コマンドに含まれる整数値A,B(上位バイトの下位4ビット)と、その整数値A,Bに応じて加工された停止種別を示す情報との対応関係が異なるものとなる。
また、各機種の音声ランプ制御装置113では、第1および第2復号条件テーブル324a,324bにおける整数値A,Bと復号条件を示す値との対応関係は、各機種の第1および第2加工条件テーブル304a,304bにおける整数値A,Bと加工条件を示す値との対応関係に合わせて予め設定されている。このため、他の機種の音声ランプ制御装置113は、他の機種の主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドについては、そのコマンドから特殊ハズレの停止種別を示す情報を正しく復号できるが、「ぶら下げ基板」から送信される、不正な特殊ハズレ停止種別コマンドからは、特殊ハズレの停止種別を示す情報を復号できない。よって、「ぶら下げ基板」から送信される一の機種の特殊ハズレ停止種別コマンドに基づいて、他の機種にAT抽選を実行させない。従って、一の機種に適合した「ぶら下げ基板」等が他の機種に取り付けられたとしても、「ぶら下げ基板」等による不正行為を防止できる。
以上説明したように、第3実施形態のパチンコ機10によれば、主制御装置110と音声ランプ制御装置113とに、加工条件又は復号条件を示す複数の値と第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットからなる整数値A,Bとを対応付けした同一のテーブルを記憶する加工条件テーブルメモリ304、復号条件テーブルメモリ324をそれぞれ設けた。主制御装置110のMPU201は、普通当たり抽選が行われる度に、第2当たり乱数カウンタC2から下位4ビットの値(即ち、整数値A,B)を取得し、第1および第2加工条件テーブル304a,304bのうち予め選択された1のテーブルから、整数値A,Bの値と対応して記憶された値を読み出す。この読み出した値が、普通図柄停止種別コマンドの加工条件を示す値である。
このとき、主制御装置110のMPU201によって取得される整数値A,Bは、タイマ割込処理によって2ms毎に1ずつ加算(更新)される第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットから、普通当たり抽選が行われるタイミング(普通入賞の発生タイミング)という不定期なタイミングで取得される値なので、その値が取得されるタイミングや順番と相関のないランダム(不規則)な値となる。このような整数値A,Bと対応して第1および第2加工条件テーブル304a,304bの一方から読み出される加工条件を示す値は、普通図柄停止種別コマンドの生成毎にランダムな値となる。このランダムに選ばれた値に応じて、普通図柄停止種別コマンドの加工がMPU201によって行われる。このため、各普通入賞の発生タイミングで生成される普通図柄停止種別コマンドは、各タイミングで選ばれたランダムな加工条件に基づいて加工される。よって、同じ停止種別に対応するコマンドであっても、ランダムな整数値A,Bに応じてコマンドのデータ構成が異なるので、普通図柄停止種別コマンドのデータ構成を、普通当たり抽選ごとで不規則に異ならせることができる。
よって、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドがどのようなコマンドであるかを、上記のコマンド解析装置を用いて解析を行う不正行為者から隠すことができる。普通図柄停止種別コマンドの一種であり、AT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドについても、不正行為者から隠すことができる。このため、本パチンコ機10では、特殊ハズレ停止種別コマンドのデータ構成が不正行為者によって特定されることを妨げて、本パチンコ機10に適合した「ぶら下げ基板」等の開発を抑制することができる。よって、「ぶら下げ基板」等による不正行為を抑制できる。
また、主制御装置110の第1および第2加工条件テーブル304a,304bは、それぞれ、整数値A,Bとの対応付けされた加工条件を示す値が、パチンコ機10の機種毎に異なるよう構成されている。また、各機種の音声ランプ制御装置113の第1および第2復号条件テーブル324a,324bには、各整数値A,Bに対して第1および第2加工条件テーブル304a,304bに記憶される値と同じ値が、復号条件を示す値として記憶されている。よって、同じ停止種別に対応する普通図柄停止種別コマンドであっても、そのコマンドを構成するデータのうち、整数値A,Bと、その整数値A,Bに応じて加工されたデータ(普通図柄の停止種別情報)との組合せが、機種毎に異なる。
よって、一の機種において主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドのデータ構成が、不正行為者によって解析され、そのコマンドと同一のコマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発されてしまったとしても、他の機種の音声ランプ制御装置113では、その「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドに基づいてAT抽選は行われない。「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドは、本パチンコ機10の主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドとは、相違するコマンドなので、音声ランプ制御装置113が「ぶら下げ基板」から送信される、一の機種の不正な特殊ハズレ停止種別コマンドを復号しても、そのコマンドからは、特殊ハズレの停止種別を示す情報が復号できないためである。よって、「ぶら下げ基板」から送信される一の機種の特殊ハズレ停止種別コマンドに基づいて、他の機種にAT抽選を実行させない。従って、上記の想定による「ぶら下げ基板」等が他の機種に取り付けられたとしても、「ぶら下げ基板」等による不正行為を防止できる。
また、この不正行為を防止する効果を享受するためには、主制御装置110に取り付けられる加工条件テーブルメモリ304と、それに対応して音声ランプ制御装置113に取り付けられる復号条件テーブルメモリ324とを、整数値A,Bの各組合せと加工条件(復号条件)を示す値との対応付け各機種で異なるものにして取り付けるだけでよい。一方、主制御装置110の加工条件テーブルメモリ304と、音声ランプ制御装置113の復号条件テーブルメモリ324以外の遊技の制御に関するプログラムや装置等は、機種間でそのまま使い回しすることができる。従って、新たな機種の設計負担を抑制できる。
また、大当たり抽選に使用される乱数カウンタC2を、主制御装置110において普通図柄停止種別コマンドの変換方法を決定するために使用しているので、変換方法の決定に用いる乱数を乱数生成装置等のハードウェアによって生成する場合に比べて、パチンコ機10の構成を少なくして、パチンコ機10の製造コストを抑制できる。また、変換方法の決定に用いるためだけに使用される乱数を、ソフトウェアで生成する場合に比べて、MPU201の演算処理にかかる負担や、MPU201のレジスタやRAM203の記憶エリアの容量増大を、抑制できるという効果がある。
その他、本第3実施形態におけるパチンコ機10は、第1実施形態におけるパチンコ機10と同一の構成部分に基づいて、第1実施形態におけるパチンコ機10と同一の作用効果を奏することができる。
なお、上記第1および第2実施形態では、主制御装置110のMPU221が、コマンドを加工する際に使用した第1加工条件は、2バイトからなるコマンドの、下位バイトを左にローテートするものとして説明したが、必ずしもこれに限られる物ではなく、2バイトからなるコマンド全体、或いは、下位バイトに限られず、他の一部の領域を、第1加工条件メモリの値に応じて、ローテートするようにしても良い。また、ローテートではなく、他の演算によって、加工を行ってもよい。例えば、第1加工条件メモリの値に応じて変更される所定値を、コマンドの所定ビットに対して加減算するようにしたり、コマンドを構成するビットのうち、第1加工条件メモリの値に応じたビットを反転するように構成したりしてもよい。なお、これらのいずれの場合も、第1加工条件の変更に応じて、音声ランプ制御装置113にて使用する第2加工条件を適宜変更することができる。この場合、上記実施形態と特殊ハズレ時停止種別コマンドの加工方法が異なっていても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、主制御装置110のMPU221が、コマンドを加工する際に使用した第2加工条件についても、第1加工条件と同様に、上記例示した方法に変更できる。
また、上記第1および第2実施形態において、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値および音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの値は、電源入時において第1条件設定スイッチ210及び第2条件設定スイッチ226の値が共に4である場合や、電源入後に第1加工条件メモリ203fおよび第1復号条件メモリ223gの各値を変更する場合に、まず、主制御装置110は、主制御装置110の乱数生成回路206から取得した乱数値に基づいて第1加工条件メモリ203fの値を設定し、その値に応じた条件コマンドを音声ランプ制御装置113へ通知する。一方、音声ランプ制御装置113では、受信した条件コマンドに基づいて第1復号条件メモリ223gの値を、第1加工条件メモリ203fに設定した値と同じ値に設定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、種々の手段によって、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値と、音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの値とを、同一の値に設定するようにしてもよい。
例えば、主制御装置110の乱数生成回路206に代えて、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との各々に、同一の時刻が合わせられたリアルタイムクロックを設け、電源入時において第1条件設定スイッチ210及び第2条件設定スイッチ226の値が共に4である場合や、電源入後に第1加工条件メモリ203fおよび第1復号条件メモリ223gの各値を変更する場合に、主制御装置110は、主制御装置110のリアルタイムクロックの時刻(例えば、秒や、分)に基づいて、第1加工条件メモリ203fの値を設定し、音声ランプ制御装置113は、音声ランプ制御装置113のリアルタイムクロックの時刻に基づいて第1復号条件メモリ223gの値を設定するようにしてもよい。これによれば、主制御装置110が、条件コマンドを出力することなく、第1加工条件メモリ203fおよび第1復号条件メモリ223gの各値を同じ値に設定することができるので、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ出力するコマンドに基づいて、「ぶら下げ基板」等に、主制御装置110から出力する加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを特定されることを防止することができる。
また、上記第1および第2実施形態では、遊技中に主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値および音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの値を変更するタイミングは、前回の大当たりからの普通変動回数(第1普通変動回数カウンタ203h)が大当たり当選間隔判定しきい値(例えば、170回)より少なかった場合における、大当たり発生時として説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その他のタイミングで第1加工条件メモリ203fの値および第1復号条件メモリ223gの値を変更しても良い。
例えば、前回の始動入賞からの普通図柄の変動演出の回数を第1普通変動回数カウンタ203hでカウントし、始動入賞時に、通常時(非ATモード時)における始動入賞の成立間隔の期待値と、ATモード時における始動入賞の成立間隔の期待値との間で設定した始動成立間隔しきい値と比較し、第1普通変動回数カウンタ203hに記憶された普通変動回数が、始動成立間隔しきい値よりも少ない場合に、「ぶら下げ基板」等による不正行為が行われている可能性があるものとして、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値および音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの値を変更する。これにより、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、遊技中に主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値および音声ランプ制御装置113の第1復号条件メモリ223gの値を変更するタイミングが異なる変形例として、主制御装置110にリアルタイムクロックを設け、一定時間が経過する毎に、乱数発生回路206の値に基づいて第1加工条件メモリ203fの値を設定し、第1加工条件メモリ203fの値に基づいて、音声ランプ制御装置113へ条件コマンドを送信し、音声ランプ制御装置113に、第1復号条件メモリ223gの値として、第1加工条件メモリ203fと同じ値を設定させるようにしてもよい。
また、第3実施形態における主側テーブル選択メモリ303aおよび音声側テーブル選択メモリ323aの各メモリの値を変更するタイミングについても、上述の第1および第2実施形態における第1加工条件メモリ203fおよび第1復号条件メモリ223gの値を変更するタイミングについての変形例と同様の構成を適用することができる。
上記第3実施形態では、主制御装置110が有する主側テーブル選択メモリ303aの値が、加工条件再設定処理(S511)によって変更された場合に、変更後の値と、音声ランプ制御装置113の音声側テーブル選択メモリ323aの値を一致させるために、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ選択テーブル変更コマンドを送信させ、これにより、音声側テーブル選択メモリ323aの値を示すビットを反転させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、変更後の主側テーブル選択メモリ303aの値を示すデータを、選択テーブル変更コマンドとして音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113では、そのデータが示す値を、音声側テーブル選択メモリ323aに格納するようにしても良い。選択テーブル変更コマンドによって、主側テーブル選択メモリ303aの値を直接的に音声ランプ制御装置113に通知できるので、主側テーブル選択メモリ303aと音声側テーブル選択メモリ323aとの値を確実に一致させることができる。
また、上記第3実施形態では、主制御装置110の加工条件テーブルメモリ304、音声ランプ制御装置113の復号条件テーブルメモリ324に、それぞれ、第1及び第2加工条件テーブル304a,304b、第1及び第2復号条件テーブル324a,324bという、加工条件(復号条件)を示す値と、第2当たりカウンタC2より取得される整数値A,Bとの対応付が異なる2種類のテーブルを設ける場合について説明したが、3種類以上のテーブルを設け、加工条件再設定処理(S511)が行われた場合に、いずれかが選択されるようにしても良い。主制御装置110及び音声ランプ制御装置113に設けられた、普通図柄停止種別コマンドを加工するためのテーブルの数が増えるほど、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドのパターンが増加する。これにより、本パチンコ機10において、普通図柄停止種別コマンドが不正行為者に特定されてしまうことを妨げることができる。このため、本パチンコ機10に適合した特殊ハズレ停止種別コマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発されてしまうことを、より好適に予防できる。
また、主制御装置110の加工条件テーブルメモリ304、音声ランプ制御装置113の復号条件テーブルメモリ324に、それぞれ、加工条件(復号条件)を示す値と、第2当たりカウンタC2より取得される整数値A,Bとが対応付けされたテーブルを、一つだけ設けるようにしても良い。各テーブルメモリ304,324のそれぞれに2種類のテーブルを設けた上記第3実施形態と比べて、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドのパターンが減少するため、不正行為者によって普通図柄停止種別コマンドが特定されてしまうおそれが増えてしまう。しかし、各テーブルメモリ304,324にテーブルを一つだけ設けることにより、各テーブルメモリ304,324を小容量に構成できるので、パチンコ機の製造コストを抑制できる。また、主制御装置110と音声ランプ制御装置113のそれぞれで、所定の契機にテーブルの切換えを行うための処理が省略されるので、主制御装置110と音声ランプ制御装置113における処理負担を低減できる。
また、主制御装置110の加工条件テーブルメモリ304と、音声ランプ制御装置113の復号条件テーブルメモリ324とのそれぞれに、加工条件(復号条件)を示す値と、第2当たりカウンタC2より取得される整数値A,Bとの対応付がされたテーブルを1つだけ設けるようにし、加工条件再設定処理(S511)が行われ、主側テーブル選択メモリ303aおよび音声側テーブル選択メモリ324aの値が変更された場合に、主制御装置110と音声ランプ制御装置113との双方で、整数値A,Bに応じて加工条件テーブルメモリ304、復号条件テーブルメモリ324から取得された値に基づき、普通図柄停止種別コマンドを加工または復号するための方法(ルール)を変更するようにしても良い。例えば、変更後のルールは、普通図柄停止種別コマンドの下位バイトのうち、上位バイトからn番目(nは、主側テーブル選択メモリ303aまたは音声側テーブル選択メモリ324aの値)のビットを反転するようにしても良く、第1実施形態や第2実施形態で説明したビットローテーションを適用しても良い。このようにすれば、加工条件テーブルメモリ304と、復号条件テーブルメモリ324メモリとに、記憶容量の少ないメモリを採用できるのでパチンコ機10の製造コストを抑制できる。
また、上記第1実施形態では、AT抽選の契機となる特殊ハズレ停止種別コマンドだけを第1加工条件に従って加工し、他のコマンドについては、第1加工条件に従って加工しない場合について説明したが、特殊ハズレ停止種別コマンド以外の他のコマンドについても、第1加工条件に従って加工するようにしてもよい。例えば、全てのコマンドに対してS309と同様の処理を実行して、第1加工条件に従って加工したものを音声ランプ制御装置113等のサブ制御装置へ送信するようにしてもよい。このとき、音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理(図24参照)では、例えば、受信したコマンドを判定する前に(即ち、S1201の処理の前のステップで)、S1307の処理と同様の処理を実行して復号し、復号したコマンドに応じた処理を実行するよう構成する。他のサブ制御装置についても同様である。
上記第2実施形態および第3実施形態では、普通図柄停止種別コマンドだけを加工条件に従って加工し、他のコマンドについてはこの加工を行わない場合について説明したが、普通図柄停止種別コマンド以外の他のコマンドについても、上記の第1実施形態の変形例と同様に、加工条件に従って加工してもよい。
特に、第3実施形態では、主制御装置110によって生成される全てのコマンドを、生成する度にランダムに選んだ条件で加工することにより、主制御装置110から送信される各コマンドと、その各コマンドによる音声ランプ制御装置113等への指示の内容との対応を複雑化できる。このため、本パチンコ機10に、主制御装置110から送信されるコマンドのデータ構成を解析するコマンド解析装置が取り付けられ、不正行為者が、主制御装置110から送信される特殊ハズレ停止種別コマンドを特定しようとしても、本パチンコ機では、特殊ハズレ停止種別コマンドだけでなく、それ以外の各コマンドにおいても、不規則に選ばれた加工条件で加工されている。このため、本パチンコ機10において、各コマンドと各遊技状態との対応関係を不正行為者から隠すことができるので、不正行為者による特殊ハズレ停止種別コマンドとそれ以外のコマンドとの区別を妨げることができる。このため、本パチンコ機10に適合した特殊ハズレ停止種別コマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発されてしまうことを、より好適に予防できる。
また、上記第3実施形態において、主制御装置110によって生成されるコマンドの下位バイトのみを加工するのではなく、上位バイト(但し、整数値A,Bが格納される下位4ビットは除く)だけ、或いは、下位バイトと上位バイトとの両方(但し、整数値A,Bが格納される上位バイトの下位4ビットは除く)を加工するようにしても良い。コマンド判定処理(S1115)にて、S1201の処理が行われる前に、復号条件テーブルメモリ324に記憶された復号条件を参照して、コマンドを復号した上で、S1201以下の各処理で、各コマンドの種別を判別するように構成すればよい。これにより、主制御装置110において、普通図柄停止種別コマンドの上位バイト、即ち、本パチンコ機10では、コマンドにおいてそのコマンドの種別を示す領域が、整数値A,Bに応じて不規則に加工される。よって、不正行為者が上述の解析装置によって主制御装置110から送信されるコマンドを解析しようとしても、コマンドの種別を示す領域が、整数値A,Bに応じて不規則に加工されているので、不正行為者による普通図柄停止種別コマンドと遊技機における遊技状態との対応関係の把握を一層困難なものにすることができる。従って、不正行為者による特殊ハズレ停止種別コマンドの特定を更に妨げることができる。
なお、上記第3実施形態では、ここでいう主制御装置110が普通図柄停止種別コマンドを生成する場合に、RAM203上で、普通図柄停止種別コマンドの種別情報や、整数値A,B、加工後の普通図柄の停止種別を示す情報を組み合わせる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではく、予め、普通図柄停止種別コマンドの種別情報や、整数値A,B、加工後の普通図柄の停止種別を示す情報が組み合わされた普通図柄停止種別コマンドをROM202等に予め記憶しておき、普通当たり抽選が行われた場合に、コマンドの種別や、整数値A,B等に応じて、ROM202等から普通図柄停止種別コマンドを読み出し、これを音声ランプ制御装置113へ送信するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、主制御装置110のMPU201が、第2加工条件メモリ203gの値を決定するために参照する第1ID用ROM207、および、音声ランプ制御装置113のMPU221が、第2復号条件メモリ223hの値を決定するために参照する第2ID用ROM224には、上記実施形態のパチンコ機10の、台毎に固有の製造番号が格納されていると説明したが、必ずしもこれに限られるものでなく、主制御装置110と音声ランプ制御装置113とが参照できる同一の又は対応関係のある値であって、台毎に異なる値であれば、どのような値が、各ID用ROM207,224に格納されていてもよい。例えば、パチンコ機10の製造の日付を、各ID用ROM207,224に格納したり、工場出荷時に台毎にランダムな1の値を、各ID用ROM207,224の各メモリに格納させるようにしても良い。
また、上記第1および第2実施形態では、主制御装置110のMPU221が、第1加工条件メモリ203fの値に応じて、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを加工し、それにより、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、4種類あるなかから1つを選んで、それを音声ランプ制御装置113へ送信する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、主制御装置110のROM202に、4種類の加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、第1加工条件メモリ203fの各値に対応付けて予め記憶させ、主制御装置110のMPU221に、それらのコマンドのいずれかを、第1加工条件メモリ203fの値に応じて選択させ、それを送信させるように構成してもよい。かかる場合、主制御装置110のMPU201は、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを加工することなく、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記第1および第2実施形態において、音声ランプ制御装置113のMPU221は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、S1307の処理によって一度復号し、元に戻したコマンドに基づいてAT抽選を行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、音声ランプ制御装置113のMPU221は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、復号することなく、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドに基づいて、AT抽選を実行するようにしてもよい。この場合、音声ランプ制御装置113を次のように構成する。即ち、主制御装置110の第1加工条件メモリ203fの値に応じて送信可能な加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、音声ランプ制御装置113のROM222に、第1復号条件メモリ223gの各値に対応付けして記憶させ、それらの加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドから第1復号条件メモリ223gに格納した値と対応する1つを、AT抽選を行うコマンドとして、音声ランプ制御装置113のMPU221に選択させるよう構成する。かかる場合、音声ランプ制御装置113のMPU221は、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、元のコマンドに復号することなく、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
更に、主制御装置110のROM202に、4種類の特殊ハズレ停止種別コマンドを、第1加工条件メモリ203fの各値に対応付けて予め記憶させ、主制御装置110のMPU221に、それらのコマンドのいずれかを、第1加工条件メモリ203fの値に応じて選択させ、それを送信させるように構成し、且つ、音声ランプ制御装置113のROM222に、主制御装置110が送信可能な4種類の特殊ハズレ停止種別コマンドを、第1復号条件メモリ223gの各値に対応付けして記憶させ、それら4種類の特殊ハズレ停止種別コマンドから第1復号条件メモリ223gに格納した値と対応する1つを、AT抽選を行うコマンドとして、音声ランプ制御装置113のMPU221に選択させるよう構成する。かかる場合、主制御装置110のMPU201によって、未加工の特殊ハズレ停止種別コマンドを加工することも、音声ランプ制御装置113のMPU221によって、加工後の特殊ハズレ停止種別コマンドを、元のコマンドに復号するもことなく、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記第3実施形態では、パチンコ機10における普通図柄停止種別コマンドの加工条件および復号条件をそれぞれ規定する、加工条件テーブルメモリ304および復号条件テーブルメモリ324は、カウンタ用バッファ203aの第2当たり乱数カウンタC2の下位4ビットの値(整数値A,B)と、加工条件または復号条件との対応付けが、機種毎に異なるものとして説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各台のパチンコ機10で、加工条件テーブルメモリ304および復号条件テーブルメモリ324における、整数値A,Bと、加工条件または復号条件との対応付けが異なるものとしてもよい。かかる場合は、各種の停止種別を示す普通図柄停止種別コマンドを構成するデータのうち、整数値A,Bと、その整数値A,Bに応じて加工されたデータ(普通図柄の停止種別情報)との組合せが、台毎に異なることになる。言い換えれば、各種の停止種別に対応する普通図柄停止種別コマンドのデータ構成が、台毎に異なる。このため、普通図柄停止種別コマンドの1つである特殊ハズレ停止種別コマンドのデータ構成も、パチンコ機10の台毎に異なる。
特殊ハズレ停止種別コマンドのデータ構成は、台毎に異なることにより、不正行為者によって、一の台から出力される特殊ハズレ停止種別コマンドが解析され、その解析されたコマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発されてしまったとしても、「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドと、本パチンコ機10の特殊ハズレ停止種別コマンドとが一致してしまうことを抑制できる。よって、本パチンコ機10の音声ランプ制御装置113でAT抽選は、「ぶら下げ基板」等から出力されるコマンドに基づいては行われない。従って、「ぶら下げ基板」等による不正をより確実に抑制(防止)できる。
また、上記第3実施形態では、RAM203に設けられたコマンド設定用メモリ303bを用いて普通図柄停止種別コマンドを生成(加工)する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、MPU201のレジスタ領域において2バイト分の作業領域を確保し、その2バイトの領域で普通図柄停止種別コマンドを生成(加工)するようにしてもよい。
また、上記第3実施形態では、主制御装置110のMPU201によって、整数値A,Bを第2当たりカウンタC2から取得し、その整数値A,Bに応じて加工条件テーブルメモリ304に記憶される加工条件に基づいて普通図柄停止種別コマンドの加工を行う場合について説明した。このとき、整数値A,Bは、必ずしも第2当たりカウンタC2から取得した値に限られるものではなく、第2当たりカウンタC2以外で主制御装置110が有するカウンタから取得した値としてもよい。例えば、第1当たりカウンタC1や、第1又は第2初期値乱数カウンタCINI1,CINI2、保留球数カウンタ203d等の何れから、整数値A,Bを取得してもよい。不定期に発生する不正入賞のタイミングで、これらのカウンタから取得した整数値A,Bは、その取得のタイミングや順番とは相関のない、ランダムな値となるためである。かかる場合も、主制御装置110によって普通図柄停止種別コマンドを生成するときのコマンドの加工条件が、整数値A,Bに応じてランダムに選択されるので、主制御装置110から送信される普通図柄停止種別コマンドのデータ構成を、送信の度に不規則に異ならせて、普通図柄停止種別コマンドと、普通当たり抽選との対応関係を不正行為者から隠すことができる。
また、整数値Aを取得するカウンタと整数値Bを取得するカウンタとを、主制御装置110が有する別々のカウンタにしても良い。
また、本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
このようなスロットマシンには、操作レバーを操作した場合に変動する複数の図柄列(例えばリール)と、その図柄列と同じ数のストップボタンであって、それぞれがいずれかの図柄列に対応するストップボタンを有し、図柄列の変動中に、各ストップボタンを操作することにより、操作したストップボタンと対応する図柄列が、各々停止されて表示が確定されるものがある。このスロットマシンの主制御装置において行われた抽選により、第1小役に当選すると、ストップボタンの押し順(図柄列の停止順)によって、遊技者に払い出されるメダルの数が異なる。具体的には、第1小役の抽選結果によって特定された押し順でストップボタンが押されるとメダルが多く(例えば10枚)払い出されるが、抽選によって特定された押し順とは異なる押し順でストップボタンが押されると、少量(例えば2枚)のメダルが払い出される。また、主制御装置は、第1小役の変動表示が開始される際に、その第1小役の内容を、演出を制御するサブ制御装置に通知する。
このスロットマシンは、主制御装置において特殊ハズレが抽選され、特殊ハズレコマンドが制御するサブ制御装置に通知されることにより、サブ制御装置ではAT抽選を行う。AT抽選では、所定確率(例えば1/2の確率で)でATモードを設定する。このATモード期間中に、主制御装置において行われた抽選により第1小役が当選し、第1小役の内容がサブ制御装置に通知された場合、サブ制御装置は、液晶表示装置などの表示装置に、第1小役の抽選結果によって特定された押し順を示唆する遊技動作示唆が行われる。
このようなスロットマシンにおいても、上記実施形態と同様の構成を備えることにより、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップスイッチの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて、上述した実施形態に含まれる、各種発明の概念を示す。
遊技の主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段からのコマンドに基づいて遊技を制御する従制御手段と、その従制御手段からの指示に基づいて演出を行う演出実行手段と、を備え、前記主制御手段は、遊技者に所定の遊技価値を付与するための抽選を行う主側抽選手段と、その主側抽選手段による抽選結果に応じて抽選結果コマンドを少なくとも生成するコマンド生成手段と、そのコマンド生成手段によって生成された抽選結果コマンドを従制御手段へ送信するコマンド送信手段と、を有し、前記従制御手段は、前記コマンド送信手段から送信された抽選結果コマンドに基づいて前記主側抽選手段による抽選結果を判別する判別手段と、その判別手段によって、前記抽選結果が第1抽選結果であると判別された場合に、遊技者にとって有利になる遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を実行し得る示唆期間を設定するかを抽選する従側抽選手段と、その従側抽選手段によって示唆期間を設定するとの抽選結果が得られた場合に、前記示唆期間を設定し、その示唆期間にて遊技者に対して遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を所定条件の成立に基づいて前記演出実行手段に行わせる示唆実行手段と、を有しており、前記主制御手段のコマンド生成手段は、前記抽選結果コマンドのうち少なくとも前記第1抽選結果と対応する第1抽選結果コマンドを、前記主側抽選手段の抽選結果が前記第1抽選結果となった場合に、所定の変換方法によって変換して第1抽選変換コマンドを生成する変換手段と、その変換手段によって使用される変換方法を決定する変換方法決定手段とを有し、前記従制御手段の判別手段は、前記第1抽選変換コマンドを受信した場合に、その第1抽選変換コマンドを前記第1抽選結果コマンドに復元するために使用される復元方法を決定する復元方法決定手段と、前記第1抽選変換コマンドが前記従制御手段によって受信された場合に、その第1抽選変換コマンドを、前記復元方法決定手段により決定された復元方法によって第1抽選結果コマンドに復元する復元手段とを有し、前記主制御手段のコマンド送信手段から送信された抽選結果コマンドを、前記復元手段によって復元したコマンドが前記第1抽選結果コマンドとなった場合に、前記抽選結果が第1抽選結果であると判別するものであることを特徴とする遊技機A。
遊技機Aによれば、次の効果を奏する。即ち、主制御手段の主側抽選手段によって、遊技者に所定の遊技価値を付与するための抽選が行われ、その抽選結果に応じた抽選結果コマンドが、コマンド生成手段によって生成される。コマンド生成手段によって生成された抽選結果コマンドは、主制御手段のコマンド送信手段によって従制御手段へ送信される。従制御手段が抽選結果コマンドを受信すると、その受信した抽選結果コマンドに基づいて、判別手段により、主側抽選手段の抽選結果が判別される。判別手段によって、主側抽選手段の抽選結果が第1抽選結果であると判別された場合、従制御手段の従側抽選手段により、遊技動作示唆演出を実行し得る示唆期間を設定するかが抽選される。従側抽選手段によって、示唆期間を設定するとの抽選結果が得られると、従制御手段の示唆実行手段によって、示唆期間が設定される。示唆実行手段は、示唆期間において、遊技動作示唆演出を所定条件の成立に基づいて演出実行手段に実行させる。
ここで、主制御手段と従制御手段との間にいわゆる「ぶら下げ基板」を取り付け、「ぶら下げ基板」が従制御手段へ、第1抽選結果と対応する第1抽選結果コマンドを出力することにより、従制御手段の従側抽選手段に示唆期間の設定抽選を不正に行わせて、遊技者に有利となる遊技の進行が示唆される示唆期間を、従制御手段の示唆実行手段に不正に設定させる不正行為がある。
これに対し、主側抽選手段による抽選結果が第1抽選結果である場合、主制御手段のコマンド生成手段が有する変換手段は、第1抽選結果と対応する第1抽選結果コマンドを、変換方法決定手段によって決定された変換方法によって変換し、第1抽選変換コマンドを生成する。生成された第1抽選変換コマンドは、主制御手段のコマンド送信手段によって従制御手段へ送信される。
従制御手段の判別手段では、第1抽選変換コマンドを、第1抽選結果コマンドに復元するための復元方法が、復元方法決定手段によって決定される。第1抽選変換コマンドが従制御手段によって受信された場合、従制御手段の判別手段が有する復元手段は、その第1抽選変換コマンドを、復元方法決定手段により決定された復元方法よって第1抽選結果コマンドに復元する。
判別手段は、主制御手段のコマンド送信手段から送信された抽選結果コマンドを、復元手段によって復元したコマンドに基づいて、主側抽選手段による抽選結果を判別する。即ち、復元手段によって復元したコマンドが第1抽選結果コマンドとなった場合に、抽選結果が第1抽選結果であると判別し、従側抽選手段によって、示唆期間の抽選が行われる。
このように、主制御手段から従制御手段へ送信され、従制御手段の従側抽選手段が示唆期間の抽選を行う契機となるコマンドは、第1抽選結果コマンドを変換した第1抽選変換コマンドであるので、「ぶら下げ基板」等が従制御手段へ、不正な第1抽選結果コマンドを出力したとしても、従制御手段の従側抽選手段では、示唆期間の抽選が行われない。即ち、「ぶら下げ基板」等から出力された第1抽選結果コマンドは、従制御手段の復元手段によって復元され、第1抽選結果コマンドにはならないからである。従って、従制御手段の従側抽選手段に示唆期間の抽選を不正に行わせる不正行為を抑制できるという効果がある。
遊技機Aにおいて、前記主制御手段の変換方法決定手段は、設定を変更可能な第1操作手段を有し、その第1操作手段の設定に応じて前記変換方法を決定するものであり、前記従制御手段の復元方法決定手段は、設定を変更可能な第2操作手段を有し、その第2操作手段の設定に応じて前記復元方法を決定するものであることを特徴とする遊技機B1。
遊技機Bによれば、遊技機Aの奏する効果に加え、次の効果を奏する。ここで、仮に、主制御手段が、主制御手段の変換方法決定手段によって決定されている変換方法を示す情報を、従制御手段に送信するように構成され、従制御手段が、従制御手段の復元方法決定手段によって決定される復元方法を、主制御手段から受信した変換方法を示す情報に基づいて決定するように構成された場合、主制御手段と従制御手段との間に取り付けられた「ぶら下げ基板」は、主制御手段から従制御手段へ送信される変換方法を示す情報を傍受できる。「ぶら下げ基板」は、その傍受した変換方法に応じて不正に第1抽選変換コマンドを生成し、これを従制御手段へ出力する。この不正行為によって、従制御手段は、不正な第1抽選変換コマンドを受信することになるので、その受信の都度、従制御手段の従側抽選手段は示唆期間の抽選が不正に繰り返される。その結果、不正に遊技動作示唆演出が頻繁に行われてしまう。
これに対し、第1操作手段の設定を変更することにより、主制御手段の変換方法決定手段に所望の変換方法を決定させることができ、第2操作手段の設定を変更することにより、従制御手段の復元方法決定手段に所望の復元方法を決定させることができる。よって、主制御手段の変換方法決定手段によって決定された変換方法を示す情報を、主制御手段から従制御手段へ送信することなく、第2操作手段を第1操作手段の設定に合わせて設定することで、主制御手段の変換方法決定手段が決定した変換方法に対応する復元方法を、従制御手段の復元方法決定手段が決定できる。
このため、変換方法を示す情報の「ぶら下げ基板」等による傍受を防止できるので、主制御手段の変換方法決定手段によって決定された変換方法に応じて変換された不正な第1抽選変換コマンドが、「ぶら下げ基板」等から従制御手段へ出力される不正行為を抑止できるという効果がある。
遊技機B1において、前記主制御手段および前記従制御手段に対して電源電圧を供給するための電源手段を有し、前記第1操作手段の設定に応じた前記変換方法と前記第2操作手段の設定に応じた前記復元方法とが対応するように前記第1操作手段および前記第2操作手段が設定されている場合は、前記電源手段からの電源電圧が前記主制御手段および前記従制御手段の両方に供給される一方で、前記第1操作手段の設定に応じた前記変換方法と前記第2操作手段の設定に応じた前記復元方法とが不対応となるように、前記第1操作手段および前記第2操作手段が設定されている場合は、前記電源手段からの電源電圧が前記主制御手段および前記従制御手段の少なくとも一方に対して供給されないことを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第1操作手段の設定に応じた変換方法と、第2操作手段の設定に応じた復元方法とが対応するように、第1操作手段および第2操作手段が設定されている場合は、電源手段からの電源電圧が主制御手段および従制御手段の両方に供給される。一方、第1操作手段の設定に応じた変換方法と、第2操作手段の設定に応じた復元方法とが不対応となるように、第1操作手段および第2操作手段が設定されている場合は、電源手段からの電源電圧は、主制御手段および従制御手段の少なくとも一方に対して供給されない。よって、主制御手段から変換方法に応じて生成された第1抽選変換コマンドを、従制御手段の判別手段が、復元手段によって復元した結果、第1抽選結果コマンドとならない場合にには遊技が行われない。このため、変換方法と復元方法との不対応によって、遊技動作示唆演出が全く行われなくなってしまったり、遊技場などが意図しないコマンドにより、遊技動作示唆演出が行われてしまったりする場合となることを防止できる。従って、従制御手段の誤動作を抑止できるという効果がある。
遊技機B2において、前記電源手段からの電源電圧が前記主制御手段および前記従制御手段の両方に供給されている場合に点灯する点灯手段を有していることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、点灯手段は、電源手段からの電源電圧が主制御手段および従制御手段の両方に供給されている場合、即ち、第1操作手段の設定に応じた変換方法と、第2操作手段の設定に応じた復元方法とが、正しく対応したものとなっている場合に点灯する。このため、点灯手段の点灯状態を確認することにより、第1操作手段及び第2操作手段の設定を容易に行うことができるという効果がある。
遊技機A,B1〜B3において、前記主制御手段のコマンド生成手段に設けられた変換手段は、少なくとも、前記第1抽選結果コマンドを変換して第1の第1抽選変換コマンドを生成する第1変換方法と、前記第1抽選結果コマンドを変換して、前記第1の第1抽選変換コマンドとは異なる第2の第1抽選変換コマンドを生成する第2変換方法とを使用可能に構成され、その第2変換方法は、前記第1抽選結果コマンドとは異なる他のコマンドのうちいずれかのコマンドを変換した場合には、前記第1の第1抽選変換コマンドと同一のコマンドを生成することを特徴とする遊技機C1。
遊技機Cによれば、遊技機A,B1〜B3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。さて、「ぶら下げ基板」等が遊技機Aの技術に対応した場合を想定する。「ぶら下げ基板」等は、従制御手段の従側抽選手段に示唆期間の設定抽選を不正に行わせるために、第1抽選結果と対応する第1抽選結果コマンドを変換した、第1抽選変換コマンドを従制御手段へ出力する。すると、第1抽選変換コマンドは、従制御手段によって第1抽選結果コマンドに復元され、従側抽選手段によって示唆期間の設定抽選が不正に行われてしまう。
しかし遊技機Cによれば、主制御手段の変換手段は、第1変換方法と第2変換方法とを使用可能に構成されており、変換方法決定手段によって第1変換方法の使用が決定された場合は、変換手段は、第1抽選結果コマンドを変換して第1の第1抽選変換コマンドを生成し、変換方法決定手段によって第2変換方法の使用が決定された場合は、変換手段は、第1抽選結果コマンドを変換して、第1の第1抽選変換コマンドとは異なる第2の第1抽選変換コマンドを生成する。
よって、「ぶら下げ基板」等が、遊技機Aの技術に対応して、第1の第1抽選変換コマンドを従制御手段へ送信して、示唆期間の設定抽選を不正に行わせようとしても、変換方法決定手段によって第2変換方法の使用が決定された場合には、従制御手段は、第1の第1抽選変換コマンドを受信し、そのコマンドを復元手段によって復元しても、第1抽選結果コマンドにはならないので、示唆期間の設定抽選を行うことはない。従って、遊技機Aの技術に対応した「ぶら下げ基板」等の不正をも抑制できるという効果がある。
しかも、第2変換方法は、第1抽選結果コマンドとは異なる他のコマンドのうちいずれかのコマンドを変換した場合には、第1の第1抽選変換コマンドと同一のコマンドを生成する。よって、「ぶら下げ基板」等が第1の第1抽選変換コマンドを従制御手段へ不正に出力し続けると、第1抽選結果コマンドとは異なる他のコマンドによる動作が従制御手段で繰り返される。第2変換方法が使用されている場合に、従制御手段が第1の第1抽選変換コマンドを復元すると、そのコマンドは第1抽選結果コマンドとは異なる他のコマンドに復元されるからである。かかる繰り返し動作は、遊技機では本来生じ得ない異常動作となる。従って、「ぶら下げ基板」等による不正行為を露見し易くできるという効果がある。
遊技機A,B1〜B3,C1において、前記主制御手段のコマンド生成手段に設けられた変換手段は、少なくとも、前記第1抽選結果コマンドを変換して第1の第1抽選変換コマンドを生成する第1変換方法と、前記第1抽選結果コマンドを変換して、前記第1の第1抽選変換コマンドとは異なる第3の第1抽選変換コマンドを生成する第3変換方法とを使用可能に構成され、その第3変換方法は、前記第1抽選結果コマンドまたは第1抽選結果コマンドとは異なる他のいずれのコマンドを変換した場合にも、前記第1の第1抽選変換コマンドと同一のコマンドを不生成に構成され、前記従制御手段の判別手段は、前記復元方法決定手段によって、前記第3変換方法で変換された第3の第1抽選変換コマンドを第1抽選結果コマンドに復元可能な復元方法が決定された場合に、前記従制御手段によって受信されたコマンドを前記決定された復元方法で復元したコマンドが、前記第1の第1抽選変換コマンドと同一のコマンドであるかを判別可能に構成され、前記従制御手段は、前記決定された復元方法で復元したコマンドが前記第1の第1抽選変換コマンドと同一のコマンドであると、前記判別手段によって判別された場合に報知を行う報知手段を有していることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機A,B1〜B3,C1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。遊技機C1の場合と同様に、「ぶら下げ基板」等が遊技機Aの技術に対応した場合を想定すると、「ぶら下げ基板」等から不正に出力される第1抽選変換コマンドによって、従側抽選手段によって示唆期間の設定抽選が不正に行われてしまう。
しかし、遊技機C2によれば、主制御手段の変換手段は、第1変換方法と第3変換方法とを使用可能に構成されており、変換方法決定手段によって第1変換方法の使用が決定された場合は、変換手段は、第1抽選結果コマンドを変換して第1の第1抽選変換コマンドを生成し、変換方法決定手段によって第3変換方法の使用が決定された場合は、変換手段は、第1抽選結果コマンドを変換して、第1の第1抽選変換コマンドとは異なる第3の第1抽選変換コマンドを生成する。
よって、「ぶら下げ基板」等が、遊技機Aの技術に対応して、第1の第1抽選変換コマンドを従制御手段へ送信して、示唆期間の設定抽選を不正に行わせようとしても、変換方法決定手段によって第3変換方法の使用が決定された場合には、従制御手段は、第1の第1抽選変換コマンドを受信し、そのコマンドを復元手段によって復元しても、第1抽選結果コマンドにはならないので、示唆期間の設定抽選を行うことはない。従って、遊技機Aの技術に対応した「ぶら下げ基板」等の不正をも抑制できるという効果がある。
しかも、第3変換方法は、第1抽選結果コマンドまたは第1抽選結果コマンドとは異なる他のいずれのコマンドを変換した場合にも、第1の第1抽選変換コマンドと同一のコマンドが生成されないように構成されている。従制御手段は、復元方法決定手段によって、第3変換方法で変換された第3の第1抽選変換コマンドを第1抽選結果コマンドに復元可能な復元方法が決定された場合に、受信されたコマンドを復元したコマンドが、第1の第1抽選変換コマンドと同一のコマンドであるかを判別手段によって判別し、その結果、同一のコマンドであると判別された場合には、報知手段によって報知を行う。よって、かかる場合に「ぶら下げ基板」等が第1の第1抽選変換コマンドを従制御手段へ不正に出力すると、報知手段によって報知が行われるので、「ぶら下げ基板」等による不正行為を早期に発見できるという効果がある。
遊技機A,B1〜B3,C1,C2において、前記主制御手段のコマンド生成手段に設けられた変換手段は、少なくとも、前記第1抽選結果コマンドを変換して第1の第1抽選変換コマンドを生成する第1変換方法と、前記第1抽選結果コマンドを変換して、前記第1の第1抽選変換コマンドとは異なる第2の第1抽選変換コマンドを生成する第2変換方法とを使用可能に構成され、前記主制御手段のコマンド生成手段に設けられた変換方法決定手段は、所定条件が成立した場合に、前記変換方法を変更する変換変更手段を有し、前記従制御手段の判別手段に設けられた復元方法決定手段は、前記変換再決定手段によって変換方法が変更された場合に、前記変更手段が変更後の変換方法によって前記第1抽選結果コマンドから変換した第1抽選変換コマンドを、前記復元手段によって元の第1抽選結果コマンドに復号可能な復元方法に変更する復元変更手段を有していることを特徴とする遊技機D。
遊技機Dによれば、遊技機A,B1〜B3,C1,C2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。遊技機C1の場合と同様に、「ぶら下げ基板」等が遊技機1の技術に対応した場合を想定すると、「ぶら下げ基板」等から不正に出力される第1抽選変換コマンドによって、従側抽選手段による示唆期間の設定抽選が不正に行われてしまう。
これに対し、かかる場合であっても、所定条件が成立することによって、主制御手段の変換方法決定手段が有する変換変更手段は、変換手段によって使用される変換方法を変更する。また、従制御手段の復元方法決定手段は、主制御手段の変換変更手段によって変換方法が変更された場合に、従制御手段の復元方法決定手段に設けられた復元変更手段は、変更後の変換方法によって主制御手段の変換手段が第1抽選結果コマンドから変換する第1抽選変換コマンドを、復元手段によって元の第1抽選結果コマンドに復号可能な復元方法に変更する。これにより、主制御手段から送信され、従制御手段の従側抽選手段に示唆期間の設定抽選を行わせる第1抽選変換コマンドを、「ぶら下げ基板」等から不正に出力される第1抽選変換コマンドとは別のコマンドに変更することができるので、「ぶら下げ基板」等による不正行為を中断させることができる。
なお、主制御手段の変換変更手段が変換方法を変更する契機となる、所定条件は、一定時間が経過したことや、遊技動作示唆が通常よりも高い頻度で行われた場合、あるいは、遊技動作示唆に基づいて獲得できる利益が、通常よりも高い頻度で遊技者に付与された場合に成立するものが例示できる。
遊技の主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段からのコマンドに基づいて遊技を制御する従制御手段と、その従制御手段からの指示に基づいて演出を行う演出実行手段と、を備え、前記主制御手段は、遊技者に所定の遊技価値を付与するための抽選を行う主側抽選手段と、その主側抽選手段による抽選結果に応じて抽選結果コマンドを生成するコマンド生成手段と、そのコマンド生成手段によって生成された抽選結果コマンドを従制御手段へ送信するコマンド送信手段と、を有し、前記従制御手段は、前記コマンド送信手段から送信された抽選結果コマンドに基づいて前記主側抽選手段による抽選結果を判別する判別手段と、その判別手段によって、前記抽選結果が第1抽選結果であると判別された場合に、遊技者にとって有利になる遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を実行し得る示唆期間を設定するかを抽選する従側抽選手段と、その従側抽選手段によって示唆期間を設定するとの抽選結果が得られた場合に、前記示唆期間を設定し、その示唆期間にて遊技者に対して遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を所定条件の成立に基づいて前記演出実行手段に行わせる示唆実行手段と、を有しており、前記主制御手段のコマンド生成手段は、少なくとも前記主側抽選手段の抽選結果が前記第1抽選結果となった場合は複数のコマンド生成方法から1のコマンド生成方法を使用して、前記第1抽選結果を知らせる抽選結果コマンドを生成するものであり、前記従制御手段の判別手段は、前記抽選結果コマンドを受信した場合に、その抽選結果コマンドを生成するために前記主制御手段のコマンド生成手段で使用したコマンド生成方法に対応する復元方法を使用して、前記受信した抽選結果コマンドを復元する復元手段を有し、その復元手段によって復元されたコマンドが第1抽選結果を知らせるものとなった場合に、前記抽選結果が第1抽選結果であると判別することを特徴とする遊技機E。
遊技機Eによれば、次の効果を奏する。即ち、主側抽選手段による抽選結果が第1抽選結果である場合、主制御手段のコマンド生成手段は、複数のコマンド生成方法から1のコマンド生成方法を使用して第1抽選結果を知らせる抽選結果コマンドを生成する。生成された抽選結果コマンドは、主制御手段のコマンド送信手段によって従制御手段へ送信される。
従制御手段の判別手段が有する復元手段は、抽選結果コマンドを受信すると、主制御手段のコマンド生成手段が使用したコマンド生成方法に対応する復元方法を使用して、従制御手段が受信した抽選結果コマンドを復元する。判別手段は、復元手段によって復元されたコマンドが第1抽選結果を知らせるものとなった場合に、主側抽選手段の抽選結果が第1抽選結果であると判別し、従側抽選手段によって、示唆期間の抽選が行われる。
このように、主制御手段から従制御手段へ送信され、従制御手段の従側抽選手段が示唆期間の抽選を行う契機となる第1抽選結果を知らせる抽選結果コマンドは、複数のコマンド生成方法から1のコマンド生成方法を使用して生成されたものである。そのため、「ぶら下げ基板」等が従制御手段へ、不正な抽選結果コマンドを出力したとしても、そのコマンドの生成方法が、主制御手段のコマンド生成手段が使用したコマンド生成方法と一致しない限り、従制御手段の従側抽選手段では、示唆期間の抽選が行われない。即ち、「ぶら下げ基板」等から出力された抽選結果コマンドは、従制御手段の復元手段によって復元されても、第1抽選結果を知らせるコマンドにはならないからである。従って、従制御手段の従側抽選手段に示唆期間の抽選を不正に行わせる不正行為を抑制できるという効果がある。
遊技の主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段からのコマンドに基づいて遊技を制御する従制御手段と、その従制御手段からの指示に基づいて演出を行う演出実行手段と、を備え、前記主制御手段は、遊技者に所定の遊技価値を付与するための抽選を行う主側抽選手段と、その主側抽選手段による抽選結果に応じて抽選結果コマンドを生成するコマンド生成手段と、そのコマンド生成手段によって生成された抽選結果コマンドを従制御手段へ送信するコマンド送信手段と、を有し、前記従制御手段は、前記コマンド送信手段から送信された抽選結果コマンドに基づいて前記主側抽選手段による抽選結果を判別する判別手段と、その判別手段によって、前記抽選結果が第1抽選結果であると判別された場合に、遊技者にとって有利になる遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を実行し得る示唆期間を設定するかを抽選する従側抽選手段と、その従側抽選手段によって示唆期間を設定するとの抽選結果が得られた場合に、前記示唆期間を設定し、その示唆期間にて遊技者に対して遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を所定条件の成立に基づいて前記演出実行手段に行わせる示唆実行手段と、を有しており、前記主制御手段のコマンド生成手段は、少なくとも前記主側抽選手段の抽選結果が前記第1抽選結果となった場合は複数のコマンド生成方法から1のコマンド生成方法を使用して、前記第1抽選結果を知らせる抽選結果コマンドを生成可能なものであり、前記従制御手段の判別手段は、前記抽選結果コマンドを受信した場合に、その抽選結果コマンドを生成するために前記主制御手段のコマンド生成手段で使用したコマンド生成方法に対応する判定方法を使用して、前記受信した抽選結果コマンドを判定する判定手段を有し、その判定手段による判定結果が前記第1抽選結果となった場合に、前記抽選結果が第1抽選結果であると判別するものであることを特徴とする遊技機F。
遊技機Fによれば、次の効果を奏する。即ち、主側抽選手段による抽選結果が第1抽選結果である場合、主制御手段のコマンド生成手段は、複数のコマンド生成方法から1のコマンド生成方法を使用して第1抽選結果を知らせる抽選結果コマンドを生成する。生成された抽選結果コマンドは、主制御手段のコマンド送信手段によって従制御手段へ送信される。
従制御手段の判別手段が有する判定手段は、抽選結果コマンドを受信すると、主制御手段のコマンド生成手段が使用したコマンド生成方法に対応する判定方法を使用して、従制御手段が受信した抽選結果コマンドを判定する。その判定手段による判定結果が第1抽選結果となった場合に、判別手段は、主制御手段の抽選結果が第1抽選結果であると判別し、従側抽選手段によって、示唆期間の抽選が行われる。
このように、主制御手段から従制御手段へ送信され、従制御手段の従側抽選手段が示唆期間の抽選を行う契機となる第1抽選結果を知らせる抽選結果コマンドは、複数のコマンド生成方法から1のコマンド生成方法を使用して生成されたものである。そのため、「ぶら下げ基板」等が従制御手段へ、不正な抽選結果コマンドを出力したとしても、そのコマンドの生成方法が、主制御手段のコマンド生成手段が使用したコマンド生成方法と一致しない限り、従制御手段の従側抽選手段では、示唆期間の抽選が行われない。即ち、「ぶら下げ基板」等から出力された抽選結果コマンドは、従制御手段の判定手段によって、主制御手段のコマンド生成手段で使用したコマンド生成方法に対応する判定方法を使用しても、第1抽選結果を知らせるコマンドにはならないからである。従って、従制御手段の従側抽選手段に示唆期間の抽選を不正に行わせる不正行為を抑制できるという効果がある。
遊技の主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段からのコマンドに基づいて遊技を制御する従制御手段と、その従制御手段からの指示に基づいて演出を行う演出実行手段と、を備えた遊技機において、前記主制御手段は、所定の契機に遊技者に所定の遊技価値を付与するための抽選を行う主側抽選手段と、遊技の制御に応じたコマンドを生成するものであって、前記主側抽選手段による抽選が行われた場合は、その抽選の結果に基づいて抽選結果コマンドを生成するコマンド生成手段と、そのコマンド生成手段によって生成されたコマンドを従制御手段へ送信するコマンド送信手段と、前記コマンド生成手段によって生成されるコマンドの基となるデータを所定の変換方法により変換データに変換する主側変換手段と、を有し、前記主制御手段のコマンド生成手段は、前記主側抽選手段による抽選が行われた場合にその抽選の結果に基づく抽選結果コマンドの基となるデータを前記主側変換手段によって変換した変換データと、その変換に用いた変換方法と対応する所定情報とを含むコマンドを、前記コマンド送信手段によって送信される抽選結果コマンドとして生成するものであり、前記従制御手段は、前記コマンド送信手段から送信された抽選結果コマンドに基づいて前記主側抽選手段による抽選結果が特定抽選結果であるかを判別する判別手段と、その判別手段によって、前記主側抽選手段による抽選結果が前記特定抽選結果であると判別された場合に、遊技者にとって有利になる遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を前記演出実行手段によって実行させるための制御を行う示唆実行手段と、を有しており、前記主制御手段は、前記主側変換手段により前記データを変換する場合に、その変換に用いる変換方法を不規則に決定する変換方法決定手段を有していることを特徴とする遊技機G1。
遊技機G1によれば、次の効果を奏する。即ち、主制御手段の主側抽選手段によって、遊技者に所定の遊技価値を付与するための抽選が行わると、その抽選結果に基づく抽選結果コマンドが、遊技の制御に応じたコマンドを生成するコマンド生成手段によって生成される。コマンド生成手段によって生成された抽選結果コマンドは、主制御手段のコマンド送信手段によって従制御手段へ送信される。従制御手段によって抽選結果コマンドが受信されると、その受信された抽選結果コマンドに基づいて、従制御手段の判別手段により、主側抽選手段による抽選結果が判別される。判別手段によって、主側抽選手段の抽選結果が特定抽選結果であると判別された場合は、示唆実行手段によって、遊技者にとって有利になる遊技の進行を示唆する遊技動作示唆演出を実行するための制御が行われる。
ところで、遊技機には、遊技場等から払い下げられた中古台の流通市場が存在し、その流通市場を通じて、遊技機の中古台を誰でも容易に入手できる。このため、本遊技機の中古台が不正行為者によって入手されてしまうおそれがある。かかる場合、不正行為者は、入手した中古台に対して、主制御手段と従制御手段との間にコマンド解析装置を取り付け、主制御手段から送信されるコマンドのデータ構成を解析することが想定される。主制御手段の主側抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果である場合に主制御手段から送信される抽選結果コマンドのデータ構成を解析して、その抽選結果コマンドを出力するいわゆる「ぶら下げ基板」等を開発するためである。このとき、不正行為者は、主側抽選手段によって抽選が行われる遊技状態を繰り返し再現し、主制御手段から送信されるコマンドのうち、再現毎に共通するコマンドや再現毎でデータ構成に規則性のあるコマンドを絞り込み、そのコマンドの中から、主制御手段の主側抽選手段による特定抽選結果に基づいて主制御手段から送信される抽選結果コマンドを特定しようとする。
これに対し、本遊技機G1によれば、主制御手段の主側抽選手段によって抽選が行われると、その抽選結果に基づいてコマンド生成手段によって生成される抽選結果コマンドの基となるデータを変換データに変換するための変換方法が変換方法決定手段によって不規則に決定される。そして、その抽選結果コマンドの基となるデータは、変換方法決定手段によって決定された変換方法が用いられ、主側変換手段によって、変換データに変換される。そして、その変換データと、変換に用いた変換方法に応じた所定情報とを含む抽選結果コマンドが、主制御手段のコマンド生成手段によって生成される。この抽選結果コマンドが、コマンド送信手段によって従制御手段に送信される。この抽選結果コマンドが従制御手段に受信されると、その抽選結果コマンドに基づいて、主側抽選手段による抽選結果が判別手段によって判別される。
このように、主側抽選手段によって抽選が行われた場合に、コマンド生成手段によって生成される抽選結果コマンドには、その抽選の抽選結果に基づくコマンドの基となるデータを主側変換手段によって変換した変換データと、その変換方法を示す所定情報とが含まれたものとなっている。この主側変換手段における変換方法は、変換する度に、変換方法決定手段によって不規則に決定されるものである。このため、同じ抽選結果に基づく抽選結果コマンドであっても、コマンド生成手段によって生成される度に、その抽選結果コマンドに含まれる変換データと所定情報との組合せ、即ち、抽選結果コマンドのデータ構成を不規則に異ならせることができる。
よって、不正行為者によって主側抽選手段によって抽選が行われる遊技状態を繰り返し再現された場合に、主制御手段から従制御手段に送信される抽選結果コマンドのデータ構成は、主側抽選手段による抽選結果に拘わらず、再現毎で不規則に異なるので、主制御手段から送信される抽選結果コマンドを、不正行為者から隠すことができる。これにより、主側抽選手段の抽選結果が特定抽選結果であっても、その特定抽選結果に基づく抽選結果コマンドを、不正行為者から隠すことができる。よって、上記のコマンド解析装置によって、特定抽選結果と対応する抽選結果コマンドのデータ構成が不正行為者に特定されてしまうことを妨げることができる。従って、不正な「ぶら下げ基板」等の開発を予防できるという効果がある。
遊技機G1において、前記主制御手段のコマンド生成手段は、前記抽選結果コマンドに含む前記変換データにおける各種の変換方法に対して、遊技機毎に内容の異なる情報が前記所定情報として対応付けられているものであることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、主制御手段のコマンド生成手段によって生成される抽選結果コマンドには、変換データと、その変換データにおける変換方法に対応する所定情報とが含まれる。この所定情報の内容は、変換データにおける各種の変換方法との関係で、遊技機毎に異なっているので、抽選結果コマンドのデータ構成を、遊技機毎に異ならせることができる。
このため、仮に、一の遊技機において主側抽選手段による特定抽選結果に基づいて主制御手段から送信される抽選結果コマンドとデータ構成の同じコマンドが、他の遊技機の主制御手段から送信されたとしても、そのコマンドは、その他の遊技機において、特定抽選結果に基づいて主制御手段から送信される抽選結果コマンドとは、データ構成が異なるため、他の遊技機の従制御手段では、そのコマンドに基づく抽選結果は特定抽選結果ではないものと判別手段によって判別される。よって、遊技動作示唆演出を実行するための制御は行われない。
従って、一の遊技機において特定抽選結果に基づき主制御手段から送信される抽選結果コマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発され、その他の遊技機に取り付けられてしまったとしても、その他の遊技機の従制御手段は、その「ぶら下げ基板」から出力されるコマンドに基づいて、示唆実行手段によって遊技動作示唆演出を実行するための制御を行わない。従って、一の遊技機に適合した「ぶら下げ基板」等による不正行為を、他の遊技機では防止できるという効果がある。
遊技機G2において、前記主制御手段は、前記変換方法決定手段によって決定可能な各種の変換方法と前記所定情報とを予め対応付けて記憶された主側記憶手段を有し、前記主制御手段のコマンド生成手段は、前記変換方法決定手段により決定された変換方法で前記主側変換手段が前記データを前記変換データに変換する場合に、その変換データと共に前記主側記憶手段において前記変換方法と対応する前記所定情報を含んで前記抽選結果コマンドを生成するものであり、前記従制御手段は、前記抽選結果コマンドに含まれる前記所定情報とその所定情報に応じて前記抽選結果コマンドに基づく前記抽選結果を判別するための情報とを予め対応付けて記憶された従側記憶手段を有し、前記従制御手段の判別手段は、前記従制御手段によって前記抽選結果コマンドが受信された場合に、前記抽選結果コマンドに含まれる所定情報と対応して前記従側記憶手段に記憶される判別情報に基づいて、前記抽選結果コマンドから前記抽選結果を判別するものであることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、主制御手段のコマンド生成手段によって、主側変換手段によって変換された変換データと共に、主側記憶手段において、その変換方法と対応する所定情報が含まれて抽選結果コマンドが生成される。ここで、主側記憶手段は、変換方法決定手段によって決定可能な各種の変換方法と所定情報とを予め対応付けて記憶されている。そのため、主側記憶手段を、各種の変換方法と所定情報との対応付けが異なるものに交換するだけで、コマンド生成手段によって生成される抽選結果コマンドに含まれる変換データと所定情報との組合せ、即ち、抽選結果コマンドのデータ構成を、主側抽選手段による各抽選結果に対して変更できる。
一方、従制御手段では、抽選結果コマンドが受信された場合に、その抽選結果コマンドに基づく抽選結果が、その抽選結果コマンドに含まれる所定情報と対応して従側記憶手段に記憶される判別情報に基づいて、判別手段によって判別される。従側記憶手段には、抽選結果コマンドに含まれる各種の所定情報と、その所定情報に応じた判別情報とが予め対応付けて記憶されている。そのため、従側記憶手段を、主側記憶手段の交換に併せて、各種の判別手段と判別情報との対応付けが異なるものに交換するだけで、主側記憶手段が交換された主制御手段から送信された抽選結果コマンドに基づいて、主側抽選手段による抽選結果を、判別手段によって正しく判別させることができる。
よって、遊技機における抽選結果コマンドのデータ構成を変更し、データ構成が変更された抽選結果コマンドに基づいて、従制御手段に正しく抽選結果を判別させるためには、主側記憶手段における各種の変換方法と所定情報との対応付けと、従側記憶手段における所定情報と判別情報との対応付けを変更するだけでよい。この場合、主制御手段および従制御手段における遊技の制御に関する装置やプログラムなどの構成は、遊技機間でそのまま使い回しすることができる。従って、抽選結果コマンドのデータ構成を遊技機毎に異ならせても、遊技機の設計負担の増大を抑制できるという効果がある。
遊技機G3において、前記主側記憶手段と前記従側記憶手段とは、同一内容のテーブルであって、そのテーブルおいて同一の前記所定情報に対応して記憶された同一の情報が、その所定情報に対応する前記変換方法および前記判別情報であることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、主側記憶手段および従側記憶手段は、同一内容のテーブルなので、所定情報に対する変換方法および判別情報との対応付けを遊技機毎に異ならせても、主側記憶手段および従側記憶手段のテーブルの設計負担を抑制できるという効果がある。
遊技機G1において、前記主制御手段のコマンド生成手段は、前記抽選結果コマンドに含む前記変換データにおける各種の変換方法に対して、遊技機の機種毎に内容の異なる情報が前記所定情報として対応付けられているものであることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、主制御手段のコマンド生成手段によって生成される抽選結果コマンドには、変換データと、その変換データにおける変換方法に対応する所定情報とが含まれる。この所定情報の内容は、変換データにおける各種の変換方法との関係で、遊技機の機種毎に異なっているので、抽選結果コマンドのデータ構成を、遊技機の機種毎に異ならせることができる。
このため、仮に、一の機種において主側抽選手段による特定抽選結果に基づいて主制御手段から送信される抽選結果コマンドとデータ構成の同じコマンドが、他の遊技機の主制御手段から送信されたとしても、そのコマンドは、その他の機種の遊技機において、特定抽選結果に基づいて主制御手段から送信される抽選結果コマンドとは、データ構成が異なるため、他の遊技機の従制御手段では、そのコマンドに基づく抽選結果は特定抽選結果ではないものと判別手段によって判別される。よって、遊技動作示唆演出を実行するための制御は行われない。
従って、一の機種において特定抽選結果に基づき主制御手段から送信される抽選結果コマンドを出力する「ぶら下げ基板」等が開発され、その他の遊技機に取り付けられてしまったとしても、一の機種とは異なる機種の従制御手段は、その「ぶら下げ基板」から出力されるコマンドに基づいて、示唆実行手段によって遊技動作示唆演出を実行するための制御を行わない。従って、一の機種に適合した「ぶら下げ基板」等による不正行為を、他の機種の遊技機では防止できるという効果がある。
遊技機G1〜G5のいずれかにおいて、前記主制御手段は、遊技の制御に使用される値を記憶する乱数カウンタを有し、前記主制御手段の変換方法決定手段は、前記主側変換手段によって前記データが所定回数変換される度に、前記乱数カウンタから取得する値に基づいて前記変換方法決定手段によって決定される変換方法を切り換えるものであることを特徴とする遊技機G6。
遊技機G6によれば、遊技機G1〜G5のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、主制御手段の変換方法決定手段によって決定される変換方法は、主側変換手段によって前記データが所定回数変換される度に、乱数カウンタから取得される値に基づいて決定されている。この乱数カウンタは、遊技の制御に用いられるものなので、変換方法決定手段によって変換方法を決定するための乱数を、乱数生成装置等のハードウェアから取得する場合に比べて、主制御手段の構成を少なくして遊技機の製造コストを抑制できるという効果がある。また、変換方法決定手段によって変換方法を決定するために専用の乱数をソフトウェアで生成する場合に比べて、主制御手段の演算処理にかかる負担や、記憶エリアの容量増大を、抑制できるという効果がある。
遊技機A,B1〜B3,C,D,E,F,G1〜G6のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機H1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A,B1〜B3,C,D,E,F,G1〜G5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機H2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(大開放口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A,B1〜B3,C,D,E,F,G1〜G5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機H3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。