JP2011160267A - ポップ音防止回路およびポップ音防止方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スピーカSPを通常駆動する際、オフセットキャリブレーションフェーズ、ダミー駆動フェーズ、通常駆動フェーズの一連の順番でスピーカSPを駆動する。まず、オフセットキャリブレーション処理を行うことで、スピーカSPが接続されたときにスピーカSPに入力されるDC電圧の変位量を最小にしておく。次に、アンプとスピーカSPとをすぐに接続するのではなく、スピーカSPをダミー駆動状態で駆動してから、通常の状態で駆動する。
【選択図】図1
Description
このような、ポップ音が出力されるのを防止するためのポップ音防止回路として、例えば特許文献1の音声出力装置および音声出力方法がある。このポップ音防止回路においては、パワーオン時に、まず、基準電圧を抵抗およびキャパシタの時定数により決定される50ms程度の時間で緩やかに立ち上げる。次に、スピーカの両端子間をショートした状態で、一方のドライバの出力をグランドレベルから40ms程度かけて動作点まで緩やかに立ち上げる。最後に、他方のドライバの出力を緩やかに立ち上げる。また、パワーダウン時には、スピーカに接続される一方の端子をグランドに接続し、他方の端子をハイインピーダンスにする。
また、上述したポップ音防止回路は、基準電圧やドライバを立ち上げるために時間を要するため、パワーオンおよびパワーダウン時に時間を多く要した。
さらに、上述したポップ音防止回路では、パワーダウン時にスピーカの接続端子をグランドに接続するため、スピーカの接続端子が電源等にショートすると、接続の抵抗値にもよるが過電流が流れることによる発熱の可能性もあった。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、パワーオンに時間を要さずに、オーディオアンプの出力オフセットに起因するポップ音を防止することのできるポップ音防止回路およびポップ音防止方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第1のポップ音防止回路は、自回路に接続される負荷からポップ音が出力されるのを防止するポップ音防止回路であって、入力信号と基準電圧との差電圧を増幅する差動入力用アンプと、前記差動入力用アンプの出力オフセットを補正する出力オフセット補正手段と、前記出力オフセット補正手段によって前記出力オフセットが補正された前記差動入力用アンプから出力される電圧を増幅する出力用アンプと、前記差動入力用アンプと前記出力用アンプとの間の電気的接続状態を切り替えるための第1のスイッチング手段と、前記出力用アンプと前記負荷との間の電気的接続状態を切り替えるための第2のスイッチング手段と、を2組備え、さらに、2組の前記第1および第2のスイッチング手段の電気的接続状態をオン状態とオフ状態とのいずれかにそれぞれ設定することにより、最初に前記出力オフセット補正手段によって前記差動入力用アンプの出力オフセットを補正する出力オフセット補正フェーズが実行され、次に前記出力用アンプによって前記差動入力用アンプから出力される電圧を入力として、前記負荷を所定の通常駆動力よりも弱い駆動力であるダミー駆動力でダミー駆動するダミー駆動フェーズが実行され、次に前記出力用アンプによって前記差動入力用アンプから出力される電圧を入力として、前記負荷を前記通常駆動力で通常駆動する通常駆動フェーズが実行されるように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
上記のポップ音防止回路によれば、パワーダウン時には、負荷の両端子間をハイインピーダンス状態にしてパワーダウンさせる。このため、負荷の両端子間に差電圧が発生しない。よって、負荷からポップ音が出力されるのを防止することが可能となる。
上記のポップ音防止回路によれば、ダミー駆動フェーズの最初と、通常駆動フェーズの終了時とに、負荷の両端子間に1μ秒程度の電圧が瞬間的に発生する。この電圧は、瞬間的なものであるため可聴音とはならないが、この電圧を抵抗素子によってより小さく抑えることが可能となる。
上記のポップ音防止方法によれば、上記第1のポップ音防止回路と同様の作用を得ることが可能となる。
また、本発明によれば、パワーダウン時には、負荷の両端子間をハイインピーダンスにしてパワーダウンさせる。このため、負荷の両端子間に差電圧が発生することがなく、スピーカからポップ音が出力されるのを防止することができる。
(ポップ音防止回路10の構成)
まず、図1を参照して、本発明に係るポップ音防止回路10の構成を説明する。図1は、本発明に係るポップ音防止回路10の構成を示す回路図である。
図1に示すポップ音防止回路10は、制御部11、シングル−ディファレンシャル回路12、入力用抵抗R1a,R1b、基準電圧生成用アンプA1、差動入力用アンプA2a,A2b、ダミー出力用アンプA3a,A3b、通常出力用アンプA4a,A4b、スイッチング素子SW1a,SW1b〜SW7a,SW7b、調整用電圧出力回路13a,13b、比較結果出力用アンプA5a,A5b、ダミー駆動用帰還抵抗R2a,R2b、通常駆動用帰還抵抗R3a,R3bおよび出力用抵抗R4を備えて構成される。
シングル−ディファレンシャル回路12は、オーディオ信号を入力信号として入力し、この入力信号を、シングル信号からディファレンシャル信号に変換する回路である。そして、このシングル−ディファレンシャル回路12から、2つの入力信号FDP,FDNが出力される。
基準電圧生成用アンプA1は、コモンモード電圧Vcmsを所定のゲインで増幅し、基準電圧Vcms_bを生成するためのアンプである。
差動入力用アンプA2a,A2bは、コモンモード電圧Vcmsを所定のゲインで増幅して生成された基準電圧Vcms_bを基準電圧とし、入力信号FDP,FDNのコモンモードのオフセット電圧や差動入力用アンプA2a,A2b自体の入力換算オフセット電圧等のオフセットを除去することで出力オフセットが除去された信号を出力するアンプである。
比較結果出力用アンプA5a,A5bは、差動入力用アンプA2a,A2bから出力される比較結果CMPを増幅して、比較出力が電源またはグランドまでスイングできるようにするための回路である。
通常駆動用帰還抵抗R3a,R3bは、通常出力用アンプA4a,A4bから出力された信号を差動入力用アンプA2a,A2bの反転入力端子側に帰還させるための帰還回路の途中に接続される帰還抵抗である。
本実施形態に係るポップ音防止回路10は、差動入力用アンプA2a,A2bの差動入力ステージと、ダミー出力用アンプA3a,A3bおよび通常出力用アンプA4a,A4bの出力ステージとからなる2ステージで構成されている。なお、ポップ音防止回路10を構成するステージ数は2ステージに限定されず、負荷の容量や用途等に合わせて任意のステージ数で構成すれば良い。
続いて、図2を参照して、制御部11の構成を説明する。図2は、制御部11の構成を示すブロック図である。
図2に示す制御部11は、クロック信号生成部11a、制御信号生成部11bおよびOR回路11cを備えて構成される。
クロック信号生成部11aは、所定の周波数のクロック信号φ0を生成し、制御信号生成部11bに出力するための回路である。
制御信号生成部11bは、パワーオン信号PWRをLレベルからHレベルで入力すると、クロック信号φ0に合わせて、スイッチング素子SW1a,SW1b〜SW7a,SW7bの電気的接続状態を切り替えるための制御信号φ1,φ3,φ4を生成する。
OR回路11cは、制御信号φ1と制御信号φ3とを入力し、そのOR値を制御信号φ2として出力するための回路である。
続いて、本発明に係るポップ音防止回路10の各フェーズにおける動作を説明する。
まず、図3〜図5を参照して、本発明に係るポップ音防止回路10のオフセットキャリブレーションフェーズにおける動作を説明する。図3は本発明に係るポップ音防止回路10のオフセットキャリブレーションフェーズにおける等価回路図であり、図4は差動入力用アンプA2a,A2bの内部のキャリブレーション回路30の構成を示す回路図であり、図5は差動入力用アンプA2a,A2bに出力される調整用電圧Vcal2と、差動入力用アンプA2a,A2bから出力される比較結果CMPとの関係を示すグラフである。
Vout=Vcms_b−Voff1−(1/G1)Voff2 ……式(1)
のように表すことができる。
また、入力端子PBULKには、調整用電圧出力回路13a,13bから出力される調整用電圧Vcal1=(Vdd−Vcal_min)/2+Vcal_minが入力される。また、入力端子NBULKには、調整用電圧出力回路13a,13bから出力される調整用電圧Vcal2=Vcal_min〜Vddが入力される。
続いて、図6を参照して、本発明に係るポップ音防止回路10のダミー駆動フェーズにおける動作を説明する。図6は、本発明に係るポップ音防止回路10のダミー駆動フェーズにおける等価回路図である。
オフセットキャリブレーションフェーズが終了すると、図6に示すように、スイッチング素子SW3a,SW3b,SW4a,SW4bの電気的接続状態がオン状態になり、スイッチング素子SW1a,SW1b,SW2a,SW2b,SW5a,SW5b〜SW7a,SW7の電気的接続状態がオフ状態になることで、ダミー駆動回路が形成される。そして、ダミー駆動回路によって、スピーカSPをダミー出力用アンプA3a,A3bで駆動するダミー駆動フェーズが実行される。
このため、スピーカ接続端子VCNの電圧は、スピーカ接続端子VCPの電圧と同じVcms_b電位となる。そして、スピーカ接続端子VCNとスピーカ接続端子VCPは同電位の状態のまま、スピーカ接続端子VCP側のドライバと同じスピードで動作点まで安定して立ち上がる。
そして、スピーカSPが安定動作点に立ち上がるまでダミー駆動フェーズを継続し、スピーカSPが安定動作点まで立ち上がったら、ダミー駆動フェーズが終了する。
続いて、図7を参照して、本発明に係るポップ音防止回路10の通常駆動フェーズにおける動作を説明する。図7は、本発明に係るポップ音防止回路10の通常駆動フェーズにおける等価回路図である。
ドライバがダミー駆動状態で安定して動作すると、図7に示すように、スイッチング素子SW3a,SW3b,SW5a,SW5b〜SW7a,SW7bの電気的接続状態がオン状態になり、スイッチング素子SW1a,SW1b,SW2a,SW2b,SW4a,SW4bの電気的接続状態がオフ状態になることで、通常駆動回路が形成される。そして、通常駆動回路によって、スピーカSPを通常駆動状態で駆動する通常駆動フェーズが実行される。
このように、スピーカSPは、オフセットキャリブレーションフェーズ、ダミー駆動フェーズ、ダミー駆動フェーズの順番でパワーオンされる。なお、スピーカSPをパワーダウンさせる時には、スピーカ接続端子VCP,VCNの端子間に差電圧が発生することがないように、スピーカSPのスピーカ接続端子VCP,VCNをハイインピーダンスにして、スピーカSPをパワーダウンさせる。スピーカ接続端子VCP,VCNの端子間に差電圧が発生することがないため、ポップ音が出力されるのを防止することができる。
次に、図8を参照して、本発明に係るポップ音防止回路10の一連の動作の流れを説明する。図8は、本発明に係るポップ音防止回路10の各フェーズにおける電圧波形を示すタイムチャートである。
図8に示すように、制御部11は、外部からパワーオン信号PWRがLレベルからHレベルで入力すると、パワーオン処理を開始し、まず基準電圧Vcms_bを0Vから立ち上げる。
なお、ポップ音防止回路10とスピーカSPの出力端子VCP,VCNとが切断される際(図8中に矢印Bで示すタイミング)にも電圧が発生するが、この電圧も1μ秒程度の瞬間的に発生する1mV程度の電圧であるため、可聴音となることはない。
上述したように、スピーカSPを駆動させる際に、オフセットキャリブレーションフェーズ、ダミー駆動フェーズ、通常駆動フェーズの一連の順番でスピーカSPを駆動させる。まず、スピーカSPとアンプとが接続される前に、オフセットキャリブレーション処理を行うことで、スピーカSPを接続した際にスピーカSPに入力されるDC電圧の変位量を最小にしておく。これにより、アンプの出力オフセットによりスピーカSPからポップ音が出力されるのを防止することができる。
また、パワーダウン時には、スピーカSPの両端子間をハイインピーダンスにしてパワーダウンさせる。このため、スピーカSPの両端子間には差電圧が発生しない。よって、スピーカSPに入力されるDC電圧の変位量がほとんどないため、スピーカSPからポップ音が出力されるのを防止することができる。
11 制御部
12 シングル−ディファレンシャル回路
13a,13b 調整用電圧出力回路
R1a,R1b 入力用抵抗
R2a,R2b ダミー駆動用帰還抵抗
R3a,R3b 通常駆動用帰還抵抗
R4 出力用抵抗
A1 基準電圧生成用アンプ
A2a,A2b 差動入力用アンプ
A3a,A3b ダミー出力用アンプ
A4a,A4b 通常出力用アンプ
SW1a,SW1b〜SW7a,SW7b スイッチング素子
A5a,A5b 比較結果出力用アンプ
Claims (5)
- 自回路に接続される負荷からポップ音が出力されるのを防止するポップ音防止回路であって、
入力信号と基準電圧との差電圧を増幅する差動入力用アンプと、
前記差動入力用アンプの出力オフセットを補正する出力オフセット補正手段と、
前記出力オフセット補正手段によって前記出力オフセットが補正された前記差動入力用アンプから出力される電圧を増幅する出力用アンプと、
前記差動入力用アンプと前記出力用アンプとの間の電気的接続状態を切り替えるための第1のスイッチング手段と、
前記出力用アンプと前記負荷との間の電気的接続状態を切り替えるための第2のスイッチング手段と、
を2組備え、
さらに、2組の前記第1および第2のスイッチング手段の電気的接続状態をオン状態とオフ状態とのいずれかにそれぞれ設定することにより、最初に前記出力オフセット補正手段によって前記差動入力用アンプの出力オフセットを補正する出力オフセット補正フェーズが実行され、
次に前記出力用アンプによって前記差動入力用アンプから出力される電圧を入力として、前記負荷を所定の通常駆動力よりも弱い駆動力であるダミー駆動力でダミー駆動するダミー駆動フェーズが実行され、
次に前記出力用アンプによって前記差動入力用アンプから出力される電圧を入力として、前記負荷を前記通常駆動力で通常駆動する通常駆動フェーズが実行されるように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするポップ音防止回路。 - 前記制御手段は、
前記出力オフセット補正フェーズにおいて、2組の前記第1のスイッチング手段の電気的接続状態をオフ状態にそれぞれ設定するとともに、2組の前記第2のスイッチング手段の電気的接続状態をオフ状態にそれぞれ設定することにより、前記負荷の両端子の差電圧が零に保たれ、
前記ダミー駆動フェーズにおいて、2組の前記第1のスイッチング手段の電気的接続状態をオン状態にそれぞれ設定するとともに、2組の前記第2のスイッチング手段のうち一方のスイッチング手段の電気的接続状態をオン状態に設定することにより、前記出力用アンプによって前記ダミー駆動力で出力された電圧が前記負荷の一方の端子のみに出力され、
前記通常駆動フェーズにおいて、2組の前記第2のスイッチング手段のうち他方のスイッチング手段の電気的接続状態をオン状態に設定することにより、前記出力用アンプによって前記通常駆動力で出力された電圧が前記負荷の両端子に出力されるように制御することを特徴とする請求項1記載のポップ音防止回路。 - 前記制御手段は、
2組の前記第2のスイッチング手段の電気的接続状態をオフ状態にそれぞれ設定することにより、前記通常駆動フェーズが終了するように制御することを特徴とする請求項2記載のポップ音防止回路。 - 前記ダミー駆動フェーズにおいて、前記負荷をダミー駆動する前記出力用アンプと前記負荷との間に接続される抵抗素子を備えることを特徴とする請求項2または3記載のポップ音防止回路。
- 負荷からポップ音が出力されるのを防止するポップ音防止方法であって、
出力オフセット補正フェーズにおいて、前記負荷の両端子の電圧を零の状態で差動入力用アンプの出力オフセットを補正する出力オフセット補正処理と、
ダミー駆動フェーズにおいて、前記出力オフセットが補正された前記差動入力用アンプから出力される電圧を、出力用アンプによって所定の通常駆動力よりも弱い駆動力であるダミー駆動力で出力し、当該出力した電圧を前記負荷の一方の端子のみに出力して前記負荷を駆動するダミー駆動処理と、
前記通常駆動フェーズにおいて、前記出力オフセットが補正された前記差動入力用アンプから出力される電圧を、前記出力用アンプによって前記通常駆動力で出力し、当該出力した電圧を前記負荷の両端子に出力して前記負荷を駆動する通常駆動処理と、
前記負荷の両端子をハイインピーダンスにして前記負荷の駆動を停止する駆動停止処理と、
を有することを特徴とするポップ音防止方法。
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