JP2011157599A - めっき装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高価なめっき液を大量に使用することなく、めっき層の形成に重要なめっき液の温度変化を抑制することができ、平滑かつ均一なめっき層を形成できるめっき装置を提供する。
【解決手段】 垂直軸で水平回転可能なめっき槽と、該めっき槽内周部に配設された陰極と、前記めっき槽内中央部に陽極とを具備するめっき装置において、前記めっき槽はめっき液を保持して、該めっき液を保温、冷却または加温する温度調整溶液を保持する外槽内に配置され、前記めっき槽の外周部は前記温度調整溶液に接しているめっき装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばBGA(Ball Grid Array)に代表されるエリアアレイ端子型パッケージの端子等に用いられる、電子部品用複合ボールのはんだめっき層の形成に好適なめっき装置に関するものである。
半導体パッケージの高密度化に伴い、BGA(Ball Grid Array)に代表されるエリアアレイ端子型パッケージの端子等に用いられる、はんだめっき層を形成した電子部品用複合ボールの直径はさらに小さくなり、直径500μm以下のボールの要求が高まっている。
このような小さい直径のボールにめっきを施すためには、めっき処理中のボール同士の付着を防止するために、ボールの分散性を向上させる必要がある。
特許文献1に開示されるめっき方法においては、陰極を槽内内周部に、陽極を槽内中央部に配置した水平方向に回転可能な密閉されためっき槽を高速回転させ、正転、逆転を周期的に繰り返すことで、ボールの分散性を向上させ、ボール同士の付着を防止している。
特許文献1に開示される方法では、高速回転の遠心力によって、めっき槽内に装入されためっき液を回転円周部に配置されたポーラスリングからめっき液を排出しながらめっきを行なうため、めっき槽内へめっき液の補給を常に行なう必要があった。
一方、めっき液の補給を省略する目的で、特許文献2には、めっき液が貯留されている槽に被めっき処理品が装入されるバスケットを埋没するように配置しためっき装置が開示されている。
また、平滑かつ均一なめっき層を形成するには、めっき液の温度が適正でなければならない。(例えば非特許文献1)
特開平11−92994号公報 特開平11−350199号公報
めっき技術ガイド、藤ヶ谷雄章、日本鍍金材料共同組合
上述した特許文献2に開示されるめっき装置は、めっき液の補給を省略できる点では装置構成が簡略され有利であるものの、少量のめっき処理をする場合であっても、めっき槽を満たすための高価なめっき液を大量に必要とするため、経済的には不利である。
これらの問題は、特に電子部品用複合ボール等の微小球体へのめっきを行なう上で大きな問題となる。
本発明の目的は、垂直軸で水平回転可能なめっき槽を用いためっき装置において、高価なめっき液を大量に使用することなく、めっき層の形成に重要なめっき液の温度変化を抑制することができ、平滑かつ均一なめっき層を形成できるめっき装置を提供することである。
本発明者は、垂直軸で水平回転可能なめっき槽を用いたときの、めっき処理中のめっき液温度を制御することを検討した。そして、めっき槽の外周部に温度調整溶液を保持する外槽を配置する構成を採用することで、高価なめっき液を大量に使用することなく、温度制御性を大きく改善できることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、垂直軸で水平回転可能なめっき槽と、該めっき槽内周部に配設された陰極と、前記めっき槽内中央部に陽極とを具備するめっき装置において、前記めっき槽はめっき液を保持して、該めっき液を保温、冷却または加温する温度調整溶液を保持する外槽内に配置され、前記めっき槽の外周部は前記温度調整溶液に接しているめっき装置である。
本発明のめっき槽の内周部は、円盤状の底部に接続し前記底部を拡張するように続く第1傾斜部と、該第1傾斜部に接続する円筒部と、該円筒部に接続し前記円筒部を縮小するように続く第2傾斜部とを具備することが好ましい。
また、陰極を前記円筒部に配設することがより好ましい。
また、前記外槽には、前記温度調整溶液を保温、冷却または加温する温度調節装置を具備することが好ましい。
本発明によれば、垂直軸で水平回転可能なめっき槽を用いためっき装置において、めっき層の形成に重要なめっき液の温度を制御することができるとともに、高価なめっき液を大量に使用することなく、平滑かつ均一なめっき層を形成できるため、有効な技術である。
本発明めっき装置の一例を示す模式図である。 本発明の他の例を示す模式図である。
上述したように、本発明の重要な特徴は、めっき液を保温、冷却または加温する温度調整溶液を保持する外槽内にめっき槽を配置し、めっき槽の外周部は前記温度調整溶液に接する構成を採用したことにある。
本発明のめっき装置は、めっき槽の外周部が温度調整溶液に接することで、めっき液を間接的に保温、冷却または加温することができる。これにより、温度変化しやすい少量のめっき液によるめっき処理であっても、めっき液の温度変化を緩和することが可能となり、平滑かつ均一なめっき層の形成が実現できる。
以下、本発明のめっき装置について詳しく説明する。図1は、本発明のめっき装置の一例を示す模式図である。
本発明のめっき装置は、垂直軸1に支持された水平回転可能なめっき槽2と、該めっき槽内周部に配設された陰極2cと、めっき槽2内の中央部に陽極3とを具備するめっき装置において、めっき槽2内にはめっき液6を保持する。そして、めっき槽2は、めっき液6を冷却または加温する温度調整溶液5を保持する外槽4内に配置され、めっき槽2の外周部は温度調整溶液5に接しており、めっき液6の温度変化を緩和することができる構成を採用する。これにより、本発明のめっき装置は、形成するめっき組成に応じた適正温度のめっき液を用いてめっきすることができる。
垂直軸1は、外槽底部4aを貫通し、めっき槽底部2aを支持している。垂直軸1と外槽底部4aの貫通部分には、外槽4に保持された温度調整溶液5が漏れないように、シーリーングをする。また、垂直軸1は、正回転と逆回転することができるようになっている。めっき槽2には、めっき液に不活性な材料、例えばプラスチックなどを使用できる。
陽極3は、陽極として機能し得る材料により構成することができ、めっき槽2の回転動作の妨げとならない形状とすることが好ましい。陽極3に陽極スラッジがめっき液6に流失しないようにアノードバックを取り付けても良い。
外槽4は、めっき液に不活性なプラスチックやガラスまたは樹脂コーティングされた金属を用いることができる。外槽底部4aと外槽側面4bは異素材の構成でも良く、外槽底部4aと外槽側面4bは、メンテナンス性を良くするために取り外せる構成にしても良い。また、外槽4の形状は、めっき槽2の回転時に温度調整溶液5の液流抵抗を減らすために円筒形が好ましい。
温度調整溶液5は、形成するめっきに応じて、最適なめっき液温度を維持するためのものである。温度調整溶液5には、水を用いることが好ましい。これは、温度調整溶液5の安全でかつ温度管理などの取扱いが容易で、調達し易く経済的なためである。また、温度調整溶液5の使用温度としては、5℃〜90℃の範囲が適用できる。
本発明のめっき装置では、めっき槽2は、円盤状の底部2aと、該底部に接続し前記底部を拡張するように続く第1傾斜部2bと、該第1傾斜部に接続する円筒部2cと、該円筒部に接続し前記円筒部を縮小するように続く第2傾斜部2dとを具備することが好ましい。そして、第1傾斜部と第2傾斜部の間の円筒部2cに陰極を配置することで、遠心力によりめっき槽内側面に張り付いた被めっき物が陰極に集まり易くなり、効率的にめっきを行なうことができる。また、本発明のめっき装置は、特許文献1や2のようにめっき槽側面や底面に隙間を設ける必要がないため、高価なめっき液を大量に消費することなく、微小な被めっき物を損失せずにめっきを行なうことができる。
めっき槽2の円筒部2cの一部に配置する陰極には、例えばチタン、真ちゅう、ステンレス、銅などを使用できる。
図2に本発明のめっき装置の、別の形態の模式図を示す。
本発明のめっき装置は、温度調整溶液5を冷却または加温する、電気ヒーターや循環型チラーといった温度調節装置8を外槽4に付けることが好ましい。また、このとき、外槽4またはめっき槽2内に温度センサー9を配置することで、電気ヒーターや循環型チラーといった温度調節装置8と連動して、最適なめっき液温度を維持することができる。これにより、めっき液6が適正な温度を維持した状態でめっきを行なうことができる。
また、図示していないが、外槽底部4aには温度調整溶液5を排出するための配管を設けて、温度調整溶液5を循環させる循環機構を設けることもできる。
また、本発明のめっき装置における、めっき槽2に保持されるめっき液6は、図2に示すように、送入パイプ10により送入し、排出パイプ11により排出する機構を付けてもよい。例えば、めっき槽2に送入するめっき液を予め適正な温度と成分に調整し、送入ポンプで送入パイプ10より送入され、排出ポンプで排出パイプ11より排出する構成とすることができる。これにより、めっき電解量が多く、陽極3に不溶性陽極を用いた際にめっき液中の成分濃度が下降することを防ぎ、一定の成分濃度を維持できるため、平滑性や外観および合金組成が安定しためっき皮膜を得られる。
以下、本発明のめっき装置の適用例を説明する。
例えば、Niめっき層を形成する際には、めっき液温度を60℃付近で使用することが好ましいが、外気との温度差でめっき液温度が下降する場合がある。Niめっきのめっき液温度が下降すると、めっき液中の成分の溶解度が減少するため塩が析出する。この塩がめっき層に取り込まれると、表面のザラつきなどの不良を引き起こす。また、めっき液の成分濃度が安定しないため、正確な膜厚制御が困難になる。本発明のめっき装置は、めっき液の温度変化を緩和することができるので、このようなめっきをする際に、有効である。
本発明の有効性を確認するために、図2に示す本発明のめっき装置を用いて微小金属球7にNiめっき層を形成した。めっき液温度を60℃付近で使用するために、めっき槽2に60℃のNiめっき液を入れ、外槽4に温度調整溶液5として60℃の水をめっき槽上部2eの水平面より低く、第2傾斜部2dが浸漬するように入れ、図2に示すように温度調節装置として電気ヒーター8と温度センサー9を配置し、めっき液の温度を維持するようにした。
微小金属球7をめっき槽2に送入後、陽極3を設置し、垂直軸1を正回転と逆回転を交互に繰返し、被めっき物が遠心力により陰極2cに接触した時に通電し、めっきを行なった。このとき、めっき槽2を支持する垂直軸1を加速回転→定速回転→減速回転→休止の回転パターンで動作し、定速回転時にのみ通電してめっきを行なうことで平滑性や外観が良好なめっき層を形成することができ、本発明の有効性が確認できた。
本発明のめっき装置の別の適用例を以下に説明する。
はんだめっき層を形成する際には、めっき液温度を20℃付近で使用することが好ましいが、電解に伴う発熱により液温度が上昇してしまうことがある。Snめっき液の液温が上昇すると、めっき液中の2価のSnが酸化し、4価のSnになる反応が速くなるなど、めっき液の安定性を損なうため、正確な膜厚制御や合金組成の制御が困難になる。本発明のめっき装置は、めっき液の温度変化を緩和することができるので、はんだめっきをする際にも有効である。
本発明の有効性を確認するために、図2に示す本発明のめっき装置を用いて微小金属球7にはんだめっき層を形成した。めっき液温度20℃付近で使用するために、めっき槽2に20℃のはんだめっき液を入れ、外槽4に温度調整溶液5として20℃の水をめっき槽上部2eの水平面より低く、第2傾斜部2dが浸漬するように入れ、図2に示すように温度調節装置として循環型冷却チラー8と温度センサー9を配置し、めっき液の温度を維持するようにした。
そして、上述したNiめっき層の形成と同様な回転動作で、垂直軸1を回転しながらめっきを行なった。このとき、はんだめっき層を厚くするために、図2に示すように送入パイプ10と排出パイプ11を使用して、はんだめっき液中の成分濃度を一定に保つようにした。これにより、平滑性や外観および合金組成が良好で安定しためっき皮膜を得ることができ、本発明の有効性が確認できた。
1.垂直軸
2.めっき槽
2a.めっき槽底部
2b.第1傾斜部
2c.陰極
2d.第2傾斜部
2e.めっき槽上部
3.陽極
4.外槽
4a.外槽底部
4b.外槽側面
5.温度調整溶液
6.めっき液
7.微小金属球
8.温度調節装置
9.温度センサー
10.送入パイプ
11.排出パイプ

Claims (4)

  1. 垂直軸で水平回転可能なめっき槽と、該めっき槽内周部に配設された陰極と、前記めっき槽内中央部に陽極とを具備するめっき装置において、前記めっき槽はめっき液を保持して、該めっき液を保温、冷却または加温する温度調整溶液を保持する外槽内に配置され、前記めっき槽の外周部は前記温度調整溶液に接していることを特徴とするめっき装置。
  2. 前記めっき槽の内周部は、円盤状の底部に接続し前記底部を拡張するように続く第1傾斜部と、該第1傾斜部に接続する円筒部と、該円筒部に接続し前記円筒部を縮小するように続く第2傾斜部とを具備することを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
  3. 前記円筒部に陰極を配設することを特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
  4. 前記外槽には、前記温度調整溶液を保温、冷却または加温する温度調節装置を具備することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のめっき装置。
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