JP2011157256A - 黒鉛製るつぼの表面改質方法及び黒鉛製るつぼ - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム蒸着やシリコン精製用黒鉛製るつぼの長寿命化を図るための表面改質方法、及び黒鉛製るつぼを安価に提供することである。
【解決手段】炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも金属融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成し、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化し、更に真空中又は窒素源を含む雰囲気中で1300℃以上の高温度で反応焼結処理して炭化シリコン被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも金属融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成し、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化し、更に真空中又は窒素源を含む雰囲気中で1300℃以上の高温度で反応焼結処理して炭化シリコン被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、黒鉛基材との濡れ性のよいアルミニウムやシリコン等の融液の浸透を阻止する黒鉛製るつぼの表面改質方法及び黒鉛製るつぼに関する。
アルミニウム薄膜の蒸着や太陽電池用多結晶シリコンの精製等に黒鉛製るつぼが使用されている。最近では、多結晶シリコン太陽電池の量産化、低価格化に伴って直径70〜80cmの大型黒鉛製るつぼが使用され、大型化に伴って数回のシリコン溶解で破損することが大きな課題となっている。特に、黒鉛製るつぼの底部コーナー部分がアルミニウムやシリコン融液の浸透によって浸食され、崩落することが黒鉛製るつぼの破損原因と考えられている。
特許文献1では、アルミニウム蒸着用黒鉛製るつぼについて、るつぼの消耗と損壊の抑止、耐久寿命を伸ばす技術が開示されている。アルミニウム蒸着用黒鉛製るつぼの場合、アルミニウム融液の乱流により、特に湾曲部分で黒鉛基材表面および黒鉛基材に存在する気孔内部で黒鉛基材と反応して炭化アルミニウムが形成され、気孔内部で膨張し、黒鉛製るつぼの崩壊を招く原因と考えられている。湾曲部分の融液の乱流を抑制する方法として、黒鉛るつぼの内面湾曲部分の曲率半径(R)と黒鉛るつぼの短内径(D)の比率を0.17乃至0.3とする技術がが開示されている。しかし、アルミニウム融液は黒鉛基材との濡れ性に優れ、アルミニウム融液が気孔内に浸透するため、気孔内部における炭化アルミニウムの生成を阻止する効果は期待できない。
一方、シリコン溶解用黒鉛製るつぼに関しては、アルミニウム融液と同様に、シリコン融液も黒鉛製るつぼとの濡れ性が非常によく、またシリコン自体が反応性に富むため、シリコン融液と黒鉛基材とが反応して表面に厚さ10〜50μmの炭化シリコン被膜層を形成する。また、黒鉛基材内部の気孔内に浸透して炭化シリコンを生成し、表面から厚さ05〜2mmの炭化シリコン含有層を形成することが知られている(特許文献2参照)。形成された炭化シリコン含有層は黒鉛基材と熱膨張係数が異なるため、シリコン融解を繰り返す毎に前記炭化シリコン含有層が剥離してるつぼの内面が浸食され、黒鉛製るつぼの崩壊の原因となっていた。
特許文献2では、シリコン溶解用の黒鉛製るつぼの少なくともシリコン融液と接するるつぼの内面に炭化シリコン被膜をコーティング、もしくはるつぼの内面を高密度化処理する技術が開示されている。この技術は、黒鉛製るつぼの表面に予め炭化シリコン被膜を被覆しておくか、高密度黒鉛層を形成して、前記炭化シリコン含有層の成長を抑止する方法である。しかし、特に大型黒鉛製るつぼの場合、前記るつぼ内面の加工処理が高価であることと、必ずしも十分な効果が得られないことから、低コストが要求される太陽電池用多結晶シリコンの精製には殆ど使用されていない。
本発明が解決しようとする課題は、アルミニウムの蒸着やシリコンの精製に用いる大型黒鉛製るつぼの長寿命化を図るための黒鉛製るつぼの表面改質方法を安価に提供することである。また、耐久性に優れたアルミニウムやシリコン融解用黒鉛製るつぼを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、下記項目(1)から(10)の黒鉛製るつぼの表面改質方法及び黒鉛製るつぼを提供する。
(1)炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも溶融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成する第1の工程と、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程と、1300℃以上の高温度で反応焼結処理して炭化シリコン被膜を形成する第3の工程とからなることを特徴とする黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(2)前記炭素源が炭素粉末、黒鉛粉末、カーボンブラック、焼成して炭素化する熱硬化性樹脂、多糖類から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(3)前記炭素源−シリコン粉末混合層が、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして1.5以下の炭素源を含む第1の炭素源−シリコン粉末混合層と、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして0.5以上の炭素源を含む第2の炭素源−シリコン粉末混合層とからなることを特徴とする上記(1)及び(2)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(4)前記第1の炭素源−シリコン粉末混合層の厚さが1〜100μm、前記第2の炭素源−シリコン粉末混合層の厚さが1〜100μmであることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(5)炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程において、焼成温度が200℃以上、好ましくは200℃〜1000℃であることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(6)前記炭素−シリコン混合被膜を反応焼結処理して炭化シリコン被膜を形成する第3の工程において、焼成温度が1300℃以上、好ましくはシリコンの融点以上、1600℃以下であることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(7)炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも溶融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成する第1の工程と、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程と、窒素ガス、窒素化合物ガスの少なくとも一つを含む雰囲気ガス中で1300℃以上の温度に加熱して炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜、又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する第4の工程とからなることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(8)前記炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する第4の工程において、前記窒素ガス、窒素化合物ガスの少なくとも一つを含む雰囲気ガスの圧力が10Torr〜150Torrであることを特徴とする上記(1)から(7)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(9)前記炭化シリコン被膜、前記炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜の厚さが1〜200μmであることを特徴とする上記(1)から(8)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(10)上記(1)から(9)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法によって表面改質された、前記炭化シリコンと炭素の積層被膜、炭化シリコンと窒化シリコンの傾斜被膜、炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜の少なくとも一つの被膜を有することを特徴とする黒鉛製るつぼ。
(1)炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも溶融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成する第1の工程と、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程と、1300℃以上の高温度で反応焼結処理して炭化シリコン被膜を形成する第3の工程とからなることを特徴とする黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(2)前記炭素源が炭素粉末、黒鉛粉末、カーボンブラック、焼成して炭素化する熱硬化性樹脂、多糖類から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(3)前記炭素源−シリコン粉末混合層が、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして1.5以下の炭素源を含む第1の炭素源−シリコン粉末混合層と、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして0.5以上の炭素源を含む第2の炭素源−シリコン粉末混合層とからなることを特徴とする上記(1)及び(2)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(4)前記第1の炭素源−シリコン粉末混合層の厚さが1〜100μm、前記第2の炭素源−シリコン粉末混合層の厚さが1〜100μmであることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(5)炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程において、焼成温度が200℃以上、好ましくは200℃〜1000℃であることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(6)前記炭素−シリコン混合被膜を反応焼結処理して炭化シリコン被膜を形成する第3の工程において、焼成温度が1300℃以上、好ましくはシリコンの融点以上、1600℃以下であることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(7)炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも溶融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成する第1の工程と、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程と、窒素ガス、窒素化合物ガスの少なくとも一つを含む雰囲気ガス中で1300℃以上の温度に加熱して炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜、又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する第4の工程とからなることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(8)前記炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する第4の工程において、前記窒素ガス、窒素化合物ガスの少なくとも一つを含む雰囲気ガスの圧力が10Torr〜150Torrであることを特徴とする上記(1)から(7)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(9)前記炭化シリコン被膜、前記炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜の厚さが1〜200μmであることを特徴とする上記(1)から(8)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
(10)上記(1)から(9)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法によって表面改質された、前記炭化シリコンと炭素の積層被膜、炭化シリコンと窒化シリコンの傾斜被膜、炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜の少なくとも一つの被膜を有することを特徴とする黒鉛製るつぼ。
本発明によって、前記黒鉛製るつぼの表面を安価に改質して、長寿命の黒鉛製るつぼを製造する技術を提供することができる。また、シリコン融液やアルミニウムなどの金属融液の浸透による黒鉛基材表面の損壊を防止し、長寿命のシリコン及び金属溶解用黒鉛製るつぼを提供することができる。
本発明に係る黒鉛製るつぼの表面改質方法は、炭素粉末や焼成で炭素化する樹脂等の炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも金属溶融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成する第1の工程と、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程と、1300℃以上の高温度で反応焼結処理して炭化シリコン被膜を形成する第3の工程とからなることを特徴とする。以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1から3に本発明に係る黒鉛製るつぼの表面改質方法の概略行程図を示す。
前記炭素源−シリコン粉末層を形成する第1の工程では、炭素源とシリコン粉末とを溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液をスプレー法、刷毛塗り法等によって前記黒鉛製るつぼの表面に塗布する。炭素源−シリコン粉末分散液は、炭素源とシリコン粉末を溶剤に溶解、分散させ、必要に応じてバインダー樹脂、分散剤などを加えて調製する。前記炭素源としては、炭素粉末、黒鉛粉末、カーボンブラック、焼成して炭素化する熱硬化性樹脂、蔗糖など多糖類等を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いることができる。前記シリコン粉末、炭素粉末、黒鉛粉末の粒径は0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmである。
前記焼成して炭素化する熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、蔗糖などの多糖類、多価アルコールなど、これまで知られている焼成して炭素化する有機材料の中から任意に選択することができる。入手の容易さ、取り扱いやすさの点でフェノール樹脂、アルキド樹脂、蔗糖などが好ましい。これらの樹脂は単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
前記溶剤は、熱硬化性樹脂、バインダー樹脂を溶解し、且つ炭素源−シリコン分散液に流動性を与えるもので、例えば水及びメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸エチル等のエステル類、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等の有機溶剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に、これらの溶剤は、単独又は2種類以上を混合して用いてもよい。溶剤の使用量は、シリコン粉末分散液をるつぼ基材表面に塗布する方法に応じて調整することができる。
前記炭素源−シリコン粉末混合層の炭素源とシリコン粉末の混合割合は特に限定されるものではないが、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして0.01〜10であることが好適である。また、図2に示すように、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして1.5以下、例えば原子比が0.1の炭素源を含む第1の炭素源−シリコン粉末混合層と、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして0.5以上、例えば原子比が10の炭素源を含む第2の炭素源−シリコン粉末混合層とを積層することができる。
前記炭素源−シリコン粉末混合層の厚さは、黒鉛製るつぼ表面に存在する気孔のサイズ程度以上であることが望ましく、好ましくは1〜200μmである。前記第3の工程で形成される炭化シリコン被膜、或いは窒化シリコン被膜の厚さが200μm以上になると、基材と被膜との熱膨張係数の差によって応力が発生し、被膜が剥離する危険性がある。
真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程では、黒鉛るつぼ基材表面に塗布した第1の炭素源−シリコン粉末混合層及び第2の炭素源−シリコン粉末混合層を室温にて乾燥させた後、更に80℃程度に加熱して十分に乾燥させ、溶剤などの揮発性成分を除去する。乾燥により得られた焼成前のるつぼをアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、毎分5℃程度の昇温速度で600℃まで昇温して前記熱硬化性樹脂を熱分解し、更に、600℃から1000℃まで昇温して樹脂成分を炭素化し、第1の炭素−シリコン混合被膜及び第2の炭素−シリコン粉末被膜を形成する。焼成温度はシリコンの融点未満、好ましくは1200℃以下である。
前記第3の工程においては、第2の工程で得られた炭素とシリコン粉末の混合被膜を有する前記るつぼを真空中又はアルゴン等の不活性ガス中で1300℃以上に加熱すると、シリコンに対する炭素の原子比(C/Si)が小さい第1の炭素−シリコン混合被膜では、シリコン粉末は黒鉛基材および炭素の原子比の大きい第2の炭素−シリコン粉末被膜の炭素と化学反応し、炭化シリコン被膜が形成される。反応焼結処理温度は1300℃以上、好ましくはシリコンの融点以上、1600℃以下である。
一方、炭素の比率が大きい第2の炭素−シリコン粉末被膜は、炭素粉末と炭素粉末の隙間がフェノール樹脂の炭素化による炭素によって充填された緻密な炭素被膜が形成されるこのようにして形成される積層被膜の炭化シリコン被膜と炭素被膜の割合は、望まれる比率に応じて第1及び第2の炭素源−シリコン粉末混合層の炭素源とシリコン粉末の混合比率及び厚さを適宜選択することによって決めることができる。
前記第3の工程において、窒素ガス、窒素化合物ガス、例えばアンモニアガスの少なくとも一つを含む雰囲気中で1300℃以上の温度で反応焼結処理すれば、窒素ガス及びアンモニアガスは前記シリコン粉末と化学反応するため、炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜、又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜が形成される。また、前記炭素源−シリコン粉末混合層の炭素とシリコン粉末の混合比率を変えることによって、炭化シリコンと窒化シリコンの混合比率の異なる被膜を任意に形成することができる。
本発明の製造方法によれば、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして、例えば0.1以下の炭素源を含む第1の炭素源−シリコン粉末混合層を採用して焼成し、シリコンの融点である1414℃以上で反応焼結処理すると、炭素源が著しく少ない前記第1の炭素−シリコン混合被膜中のシリコン粉末は融融し、黒鉛基材の表面はシリコン融液で覆われる。従って、黒鉛基材表面に存在する気孔はシリコン融液で満たされると同時に黒鉛基材と化学反応して基材との界面に炭化シリコン被膜が形成される。また、余分のシリコンはアンモニアガスと化学反応して窒化シリコンが生成される。従って、基材との界面には炭化シリコン被膜が形成され、その上に炭化シリコンと窒化シリコンの傾斜被膜が形成される。
一方、シリコンに対する炭素の原子比(C/Si)が大きい第2の炭素−シリコン混合被膜では、該混合被膜内の炭素と化学反応して炭素を主成分とする炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜が形成される。該混合被膜の炭素、炭化シリコン及び窒化シリコンの混合比率は、望まれる混合比率に応じて前記炭素源−シリコン粉末混合層およびの炭素とシリコン粉末の混合比率を適宜選択して決定すればよい。
高温における窒素ガス及びアンモニアガスとシリコンの化学反応では、窒化シリコン生成エネルギーは窒素ガスよりもアンモニアガスとの反応エネルギーがはるかに小さいため、主としてアンモニアガスとの反応により形成されると考えられる。従って、アンモニアガスに対する窒素ガスの流量の割合が多過ぎると、窒化シリコンの生成速度が遅くなる。
一方、高温減圧中では、生成された窒化シリコンの熱分解反応が進行する可能性がある。従って、適度の窒素ガスの混合により、高温での減圧雰囲気中における窒化シリコンの熱分解を抑制することが望ましい。本願発明者らの経験によれば、アンモニアガスに対する窒素ガスの流量比は0.3以上1.3以下とすることが好ましい。また、ガス圧は10Torr〜150Torrであることが望ましい(特許文献3を参照)。
本発明によれば、黒鉛製るつぼの基材表面に存在する気孔はシリコン融液で満たされると同時に黒鉛基材と化学反応した炭化シリコン被膜で覆われ、更に、その表面はシリコン融液と反応し難い緻密な炭素被膜で被覆されるため、シリコン精製時のシリコン融液が黒鉛製るつぼ基材内部の気孔に浸透することはない。従って、シリコン精製用黒鉛製るつぼの寿命を著しく延ばすことができる。
また、黒鉛製るつぼ表面に炭化シリコン被膜と窒化シリコン被膜、或いは窒化シリコンを主成分とする炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜の積層被膜を有する黒鉛製るつぼは、アルミニウム融液の浸透を阻止することができ、アルミニウム蒸着用黒鉛製るつぼの寿命を著しく延ばすことができる。
以下に本発明について図を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)図1に本発明に係る黒鉛製るつぼの表面改質方法の概略工程図を示す。第1の工程では、炭素源としてフェノール樹脂を使用し、フェノール樹脂の炭素化による炭素とシリコンとの原子比が1:10になる割合にフェノール樹脂と平均粒子径が3μmのシリコン粉末とを混合し、エタノール溶剤に溶解、分散させて炭素源−シリコン粉末分散液を調製した。該分散液には分散剤としてジエタノールアミン及び界面活性剤を少量添加し、塗布に好適な流動性が得られるように調製した。内径6cm、深さ6cmの黒鉛製るつぼの内壁面に前記炭素源−シリコン粉末分散液を刷毛塗りにより厚さ約20μm塗布した。大気中で前記エタノール溶剤を揮発させ、更に80℃に加熱して十分に乾燥した第1の炭素源−シリコン粉末混合層12を形成した。
第2の工程では、前記黒鉛製るつぼを窒素ガス中に保持し、600℃まで毎分5℃の速度で昇温して前記フェノール樹脂を熱分解し、更に、600℃から1000℃まで30分間で昇温して炭素化し、炭素−シリコン混合被膜14を形成した。この時点で、フェノール樹脂の炭素化による炭素はシリコン粉末の結着剤の役割をし、シリコン粉末層の剥離、崩落は起こらなかった。フェノール樹脂の炭素化焼成温度はシリコンの融点未満、好ましくは1200℃以下である。
更に、第3の工程では、アンモニアガスを導入して、圧力90Torrの窒素とアンモニアガスの混合ガス雰囲気中で1550℃まで加熱し、120分間保持して反応焼結処理を行った。シリコンの融点以上に加熱することによって、シリコン粉末は融解して黒鉛製るつぼ基材の表面を覆い、基材表面に存在する数マイクロメータ径の気孔に浸透し、基材表面にはシリコンと化学反応した炭化シリコン被膜16が形成される。一方、最表面のシリコンはアンモニアガスと反応して窒化シリコンを主体とする窒化シリコンと炭化シリコンの混合被膜18が形成された。
前記表面改質した黒鉛製るつぼでアルミニウム金属を溶解し、800℃で15時間保持してもアルミニウム融液はるつぼ基材内部に浸透することはなく、改質表面は変化しないことが実証された。本実施例によれば、前記シリコン粉末とアンモニアの化学反応は体積膨張反応であるため、前記黒鉛製るつぼの表面には炭化シリコンを含む緻密な窒化シリコン被膜8が形成される。このように表面改質された黒鉛製るつぼ表面はアルミニウム融液に浸食されないことが明らかになった。
(実施例2)実施例1と同様に炭素源としてフェノール樹脂を使用し、フェノール樹脂の炭素化による炭素とシリコンとの原子比が1:10になる割合にフェノール樹脂と平均粒子径3μmのシリコン粉末とを混合し、エタノール溶剤に溶解、分散させて炭素源−シリコン粉末分散液を調製した。分散液には分散剤としてジエタノールアミン及び界面活性剤を少量添加し、塗布に好適な流動性が得られるように調製した。内径6cm、深さ6cmの黒鉛製るつぼの内壁面に前記炭素源−シリコン粉末分散液を刷毛塗りにより厚さ約20μm塗布して第1の炭素源−シリコン粉末混合層22を形成した(図2参照)。大気中で前記エタノール溶剤を揮発させた。
次に、前記炭素源として、平均粒子径3μmの炭素粉末と、該炭素粉末に対するフェノール樹脂の炭素化による炭素との原子比が10:3になる割合で炭素粉末とフェノール樹脂を混合し、エタノール溶剤に溶解、分散させて炭素粉末分散液を調製した。該分散液には少量の分散剤、界面活性剤を添加し、塗布に好適な流動性が得られるように調製した。炭素粉末分散液を、前記黒鉛製るつぼの内壁面に刷毛塗りにより厚さ約20μm塗布した。大気中で前記エタノール溶剤を揮発させ、更に80℃に加熱して十分に乾燥して第2の炭素粉末混合層23を形成した。
実施例1と同様に、前記黒鉛製るつぼを窒素ガス中に保持し、600℃まで毎分5℃の速度で昇温して前記フェノール樹脂を熱分解し、600℃から1000℃まで30分間で昇温して炭素化し、炭素−シリコン混合被膜24、炭素粉末被膜25を形成した。更に、真空中で1550℃まで加熱し、120分間保持して反応焼結処理を行った。
実施例1と同様に前記第1層のシリコンは溶解して、るつぼ基材表面の炭素及び第2層の炭素と化学反応して炭化シリコン被膜26に変換された。また、前記第2層の最表面はフェノール樹脂の炭素化による緻密な炭素被膜27で被覆された。該表面改質された黒鉛製るつぼでシリコン金属を溶解し、1500℃で10時間保持した。シリコン融液に触れた最表面は表面から深さ1μm程度はシリコン融液に侵されて炭化シリコンが生成されるが、それ以上るつぼ基材内部に浸透することはなかった。シリコン融液の浸透を阻止する効果がることが明らかになった。
本実施例では、第2の炭素源−シリコン粉末混合層として炭素粉末とフェノール樹脂のみを混合し、シリコン粉末は混合しなかった。これは最表面にフェノール樹脂の炭素化による緻密な炭素被膜を形成することによって、シリコン融液による浸食を抑制するためである。最表面の緻密な炭素皮膜はシリコン融液と化学反応して炭化シリコンを生成するが、体積増加反応であるため、表面に形成された炭化シリコン薄膜はシリコン融液の更なる浸透を阻止する効果がある。
(実施例3)図3に本実施例の概略工程図を示す。実施例2と同様に炭素源としてフェノール樹脂を使用し、フェノール樹脂の炭素化による炭素とシリコンとの原子比が1:10になる割合にフェノール樹脂と平均粒子径3μmのシリコン粉末とを混合し、エタノール溶剤に溶解、分散させて炭素源−シリコン粉末分散液を調製した。内径6cm、深さ6cmの黒鉛製るつぼの内壁面に前記炭素源−シリコン粉末分散液を刷毛塗りにより厚さ約40μm塗布した。大気中で前記エタノール溶剤を揮発させ、更に80℃に加熱して十分に乾燥した第1の炭素源−シリコン粉末混合層32を形成した。
次に、前記炭素源として、平均粒子径3μmの炭素粉末と、該炭素粉末に対するフェノール樹脂の炭素化による炭素と、シリコン粉末の原子比が10:3:1になる割合で炭素粉末とフェノール樹脂とシリコン粉末を混合し、エタノール溶剤に溶解、分散させて炭素源−シリコン粉末分散液を調製した。該分散液には少量の分散剤、界面活性剤を添加し、塗布に好適な流動性が得られるように調製した。炭素粉末分散液を前記黒鉛製るつぼの内壁面に刷毛塗りにより厚さ約10μm塗布し、大気中で前記エタノール溶剤を揮発させて炭素源−シリコン粉末混合層33を形成した。
実施例1と同様に、前記黒鉛製るつぼを窒素ガス中に保持し、600℃まで毎分5℃の速度で昇温して前記フェノール樹脂を熱分解し、600℃から1000℃まで30分間で昇温して炭素化し、炭素−シリコン混合被膜34、35を形成した。更に、圧力90Torrの窒素ガスとアンモニアガスの混合ガス中で1550℃まで加熱し、120分間保持して反応焼結処理を行った。
本実施例では、実施例2と同様な作用により、最表面には緻密な炭素被膜37が形成され、中間層として炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜38が形成され、黒鉛基材表面に炭化シリコン被膜36が形成された。当該被膜によってシリコン融液及びアルミニウム融液の浸透を完全に阻止できることが明らかになった。
以上、本発明の実施例について説明したが、云うまでもなく本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。上記実施例では、炭素源とシリコン粉末の混合割合の異なる2層の炭素源−シリコン粉末混合層を積層した実施例について説明したが、必要に応じて3層以上とすることもできる。例えば、実施例2及び3において、第3層としてフェノール樹脂の炭素化による緻密な炭素被膜を積層することによって、シリコン融液に対する耐食性を向上することができる。また、前記第1の工程乃至第3の工程を繰り返して積層被膜を形成することができる。これらの表面改質方法も本願発明の概念に含まれる。
11,21,31 黒鉛基材
12,22,32 第1の炭素源−シリコン粉末混合層
14,24,34 第1の炭素−シリコン混合被膜
16,26,36 炭化シリコン被膜
18,38 炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜
23 炭素粉末混合層
25 炭素粉末被膜
27,37 炭素被膜
33 第2の炭素源−シリコン粉末混合層
35 第2の炭素−シリコン混合被膜
12,22,32 第1の炭素源−シリコン粉末混合層
14,24,34 第1の炭素−シリコン混合被膜
16,26,36 炭化シリコン被膜
18,38 炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜
23 炭素粉末混合層
25 炭素粉末被膜
27,37 炭素被膜
33 第2の炭素源−シリコン粉末混合層
35 第2の炭素−シリコン混合被膜
Claims (10)
- 炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも溶融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成する第1の工程と、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程と、1300℃以上の高温度で反応焼結処理して炭化シリコン被膜を形成する第3の工程とからなることを特徴とする黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 前記炭素源が炭素粉末、黒鉛粉末、カーボンブラック、焼成して炭素化する熱硬化性樹脂、多糖類から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 前記炭素源−シリコン粉末混合層が、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして1.5以下の炭素源を含む第1の炭素源−シリコン粉末混合層と、シリコンに対する炭素の割合が原子比(C/Si)にして0.5以上の炭素源を含む第2の炭素源−シリコン粉末混合層とからなることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 前記第1の炭素源−シリコン粉末混合層の厚さが1〜100μm、前記第2の炭素源−シリコン粉末混合層の厚さが1〜100μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程において、焼成温度が200℃以上、好ましくは200℃〜1000℃であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 前記炭素−シリコン混合被膜を反応焼結処理して炭化シリコン被膜を形成する第3の工程において、焼成温度が1300℃以上、好ましくはシリコンの融点以上、1600℃以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 炭素源とシリコン粉末を溶剤に分散させた炭素源−シリコン粉末分散液を黒鉛製るつぼの少なくとも溶融液と接する表面に塗布して炭素源−シリコン粉末混合層を形成する第1の工程と、前記炭素源−シリコン粉末混合層を真空中又は不活性ガス雰囲気中で焼成して前記炭素源を炭素化して炭素−シリコン混合被膜を形成する第2の工程と、窒素ガス、窒素化合物ガスの少なくとも一つを含む雰囲気ガス中で1300℃以上の温度に加熱して炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜、又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する第3の工程とからなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 前記炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜を形成する第3の工程において、前記窒素及び窒素化合物ガスを含む雰囲気ガスの圧力が10Torr〜150Torrであることを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 前記炭化シリコン被膜、前記炭化シリコンと窒化シリコンの積層被膜又は炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜の厚さが1〜200μmであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法。
- 請求項1から9のいずれかに記載の黒鉛製るつぼの表面改質方法によって表面改質された、前記炭化シリコンと炭素の積層被膜、炭化シリコンと窒化シリコンの傾斜被膜、炭化シリコンと窒化シリコンの混合被膜の少なくとも一つの被膜を有することを特徴とする黒鉛製るつぼ。
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JP2010039363A JP2011157256A (ja) | 2010-02-03 | 2010-02-03 | 黒鉛製るつぼの表面改質方法及び黒鉛製るつぼ |
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JP2010039363A Pending JP2011157256A (ja) | 2010-02-03 | 2010-02-03 | 黒鉛製るつぼの表面改質方法及び黒鉛製るつぼ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102980397A (zh) * | 2011-09-05 | 2013-03-20 | 鞍钢集团工程技术有限公司 | 一种石墨坩埚 |
CN114573373A (zh) * | 2022-02-18 | 2022-06-03 | 湖南立新硅材料科技有限公司 | 一种石墨坩埚抗氧化防渗漏的方法 |
CN115448752A (zh) * | 2022-09-26 | 2022-12-09 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种提高钒氮合金用石墨坩埚使用寿命的方法 |
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2010
- 2010-02-03 JP JP2010039363A patent/JP2011157256A/ja active Pending
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