JP2011157048A - ステアリング装置のタイロッド構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラック軸16に連結される内側シャフト4と、ナックルアーム17に連結される外側シャフト5とを備えている。外側シャフト5は、シャフト本体6と、内側シャフト4と連結されている中間シャフト7と、シャフト本体6と中間シャフト7とを連結している連結部8とを有している。連結部8は、シャフト本体6の一部と中間シャフト7の一部とを共に挿通し、かつ、シャフト本体6と中間シャフト7とに軸方向の圧縮衝撃荷重が作用すると剪断されるピン部材9を有している。
【選択図】 図2
Description
このタイロッド構造は、ステアリングホイールの操作に応じて左右動するラック軸(転舵軸)80に、内側のボールジョイント81を介して連結される内側シャフト84と、ナックルアーム83に、外側のボールジョイント82を介して連結される外側シャフト85とを備えている。
内側シャフト84には雄ねじ84aが形成され、外側シャフト85には雌ねじ85aが形成されており、内側シャフト84を軸線回りに回転させることで、これらねじ84a,85aの螺合長さを変更することができる。これにより、内外のボールジョイント81,82間の距離を調整することができ、トーイン・トーアウト調整が可能となる。
この衝撃荷重によりラックピニオンの噛み合い部が損傷すると、ステアリングホイールを操作しても、車輪の操舵が不可能になるおそれがある。この場合、例えば、事故後に車両を道路脇等へ移動させることも困難となる。
しかし、従来の構造では、衝撃荷重の発生の態様により、タイロッド部86の座屈方向(折れ曲がり方向)は様々となることが予想され、また、タイロッド部86がある方向へと大きく座屈することにより、周囲にある他の部品に傷を付けてしまうおそれがある。例えば、座屈したタイロッド部86がブレーキホースに当たって、ブレーキホースを損傷させてしまうことがあり、この場合、ブレーキも利かなくなってしまう。
そして、軸方向の圧縮衝撃荷重が作用すると、シャフト本体と中間シャフトとが軸方向に相対移動することにより、シャフト本体の一部と中間シャフトの一部とを共に挿通していたピン部材が剪断されるので、内側シャフト及び外側シャフトが折れ曲がる(座屈する)ことがなく、従来のように折れ曲がることで周囲にある他の部品に影響を与えるのを防ぐことができる。
なお、操舵の際に生じる軸方向の通常荷重が作用する場合には、ピン部材は剪断されず、シャフト本体と中間シャフトとの軸方向の相対移動は規制され、シャフト本体と中間シャフトとの間で通常荷重を伝達することができる。
この構成により、シャフト本体と中間シャフトとをピン部材によって連結している連結部が得られ、軸方向の圧縮衝撃荷重が作用すると、シャフト本体と中間シャフトとが軸方向に相対移動することで、ピン部材は剪断される構成が得られる。
この構成により、シャフト本体と中間シャフトとをピン部材によって連結している連結部が得られ、軸方向の圧縮衝撃荷重が作用すると、シャフト本体と中間シャフトとが軸方向に相対移動することで、ピン部材は剪断される構成が得られる。
この場合、圧縮衝撃荷重によってピン部材が剪断されてからも、嵌合部のテーパー面でシャフト端部が締まり嵌めとなる。このため、ピン部材が剪断された後に残っている衝撃荷重を弱めることが可能となる。
この場合、ピン部材が完全に剪断されてもシャフト端部と嵌合部とが軸方向に分離しない状態を保つことができる。このため、ステアリングホイールの操作により転舵軸を左右動させれば、その動力を車輪側へ伝えることが可能となる。
図1は、本発明のタイロッド構造を備えているステアリング装置を模式的に示した説明図である。このステアリング装置は、ステアリングホイール10が取り付けられているステアリングシャフト11、ピニオン軸15およびラック軸16(転舵軸)を有しているラックアンドピニオン機構13、ステアリングシャフト11とピニオン軸15とを繋いでいる中間軸12、及び、ラック軸16とナックルアーム(図示せず)との間に設けられている左右のタイロッド部14を備えている。
なお、本発明では、左右方向の位置に関して、ナックルアーム側を左右方向の外側、ラック軸16側を左右方向の内側と呼んで説明する。
図2は、図1の右側にあるタイロッド部14の説明図である。タイロッド部14は、内側に配置される内側シャフト4、及び、外側に配置される外側シャフト5を備えている。内側シャフト4及び外側シャフト5は鋼製である。
内側シャフト4は、インナーボールジョイント2を介してラック軸16の端部に連結されている。外側シャフト5は、アウターボールジョイント3を介してナックルアーム17に連結されている。本実施形態では、外側シャフト5は、外側と内側とに二分割されており、外側のシャフト本体6と内側の中間シャフト7とを有している。
このために、内側シャフト4の外側端部に雄ねじ25が形成されており、外側シャフト5(本実施形態では中間シャフト7)の内側端部は筒形状であり、その内周に雌ねじ35が形成されている。これらねじ25,35を螺合させることで、内側シャフト4と外側シャフト5とが連結された状態となる。そして、外側シャフト5に対して内側シャフト4を左右方向の軸線C回りに回転させることにより、ねじ25,35の螺合長さを変更することができる。これにより、インナーボールジョイント2に対するアウターボールジョイント3の左右方向の位置を調整することができ、車輪のトーイン・トーアウト調整が可能となる。
ラック軸16の左右方向の移動力が、インナーボールジョイント2を介してタイロッド部14に伝えられ、さらに、タイロッド部14の左右方向の移動力がアウターボールジョイント3を介してナックルアーム17へと伝えられる。
連結部8の具体的な構成は後にも説明するが、連結部8は、シャフト本体6と中間シャフト7とを径方向に貫通しているピン部材9を有しており、このピン部材9によって、シャフト本体6と中間シャフト7とを相対回転不能とすることができる。このため、シャフト本体6と中間シャフト7との間では回転トルクが伝達可能となる。この結果、前記のとおり、内側シャフト4を軸線C回りに回転させて、トーイン・トーアウト調整が可能となる。
内側シャフト4は、球面状の外表面を有するボール部23と、このボール部23から延びているロッド部24とを有しており、ボール部23とロッド部24とが一体的に形成されている。
内側シャフト4(ロッド部24)の外側の端部に前記雄ねじ25が形成されており、内側の端部にインナーボールジョイント2が設けられている。インナーボールジョイント2は、ラック軸16の端部に連結されるソケット21を有している。このソケット21に樹脂シートを介して、前記ボール部23が収容されている。
外側シャフト5は、前記のとおり二分割されており、外側のシャフト本体6は、外側の端部にアウターボールジョイント3が設けられている。アウターボールジョイント3は、シャフト本体6の外側の端部に固定されているソケット31と、このソケット31に樹脂シートを介して揺動可能に支持されているボールスタッド33とを有している。そして、ボールスタッド33にナックルアーム17が取り付けられる。
また、このシャフト本体6の内側の端部には筒部26が設けられている。本実施形態では、筒部26はシャフト本体6と一体成形されている。
なお、通常時とは、車両の通常の走行状態であり、操舵の際に生じる軸方向の通常荷重が作用する場合である。これに対して、通常時以外である異常時とは、例えば、車両の走行中、衝突事故が発生し車輪に衝撃荷重が作用した場合である。この場合、車輪からナックルアーム17を介してタイロッド部14に、瞬間的に軸方向の圧縮衝撃荷重が作用する。この衝撃荷重は通常荷重よりも極めて大きい。
筒部26には、周壁を貫通している孔27a,27bが形成されており、軸部20にも、径方向に貫通している孔28が形成されている。これら孔27a,27b,28は、直線状に配置されており、これら孔27a,27b,28に、鋼製であり直線状のピン部材9が挿通された状態となる。
しかし、図2において、車輪(ナックルアーム17)側からタイロッド部14に、軸方向の圧縮衝撃荷重が作用すると、図3の状態から図4の状態に示しているように、中間シャフト7に対してシャフト本体6が左右方向内側に移動することで、ピン部材9は剪断される。すなわち、シャフト本体6と中間シャフト7とに軸方向の圧縮衝撃荷重が作用すると、ピン部材9は剪断されるよう、ピン部材9の材質、直径、本数等のピン部材9の特性が設定されている。
これに対して、この連結部8では、操舵の際に生じる軸方向の通常荷重が作用する場合には、ピン部材9は剪断破壊されず、シャフト本体7と中間シャフト6との軸方向の相対移動を規制し、当該通常荷重を伝達することができる。
そして、この連結部8の構成によれば、発生した軸方向の衝撃荷重を吸収するために、中間シャフト7に対してシャフト本体6が軸方向に移動する構造であるため、内側シャフト4及び外側シャフト5が、折れ曲がる(座屈する)ことがなく、従来のように折れ曲がることで周囲にある他の部品に影響を与えることを防ぐことができる。
この場合、ピン部材9が剪断されてからも、筒部26のテーパー面44と軸部20とが締まり嵌めとなるため、ピン部材9が剪断された後に衝撃荷重が残っていても、軸部20がテーパー面44を摺動しながらテーパー面44に締め付けられることで、残っている衝撃荷重を徐々に弱めることが可能となる。
図2の実施形態では、連結部8の筒部26が、シャフト本体6と一体として設けられ、かつ、この筒部26が、中間シャフト7の軸部20と径方向に重なる場合として説明したが、これ以外であってもよく、筒部(嵌合部)は、シャフト本体6と中間シャフト7とのうちの一方に設けられ、シャフト本体6と中間シャフト7とのうちの他方の軸部と径方向に重なっていればよい。つまり、軸部がシャフト本体6に形成され、筒部が中間シャフト7と一体として設けられていてもよい。そして、この場合であっても、筒部と軸部とを共にピン部材が径方向に挿通した構成とすればよい。
また、図2では、1本のピン部材9を用いているが、複数本であってもよい。
図6は、第二の実施形態に係るタイロッド部の説明図である。このタイロッド部114は、前記第一の実施形態と同様に、内側に配置される内側シャフト104、及び、外側に配置される外側シャフト105を備えている。
内側シャフト104は、インナーボールジョイント102を介して、ラック軸16の端部に連結されている。外側シャフト105は、アウターボールジョイント103を介して、ナックルアーム17に連結されている。本実施形態では、内側シャフト104が、内側と外側とに二分割されており、内側のシャフト本体106と外側の中間シャフト107とを有している。なお、この第二の実施形態の説明において、特に説明していない事項については、前記第一の実施形態と同様である。
このために、内側シャフト104(本実施形態では中間シャフト107)の外側端部に雄ねじ125が形成されており、外側シャフト105の内側端部に雌ねじ135が形成されている。これらねじ125,135を螺合させることで、内側シャフト104と外側シャフト105とが連結された状態となる。そして、外側シャフト105に対して内側シャフト104を軸線C回りに回転させることにより、トーイン・トーアウト調整が可能となる。
連結部108の具体的な構成は後にも説明するが、この連結部8によって、シャフト本体106と中間シャフト107とを相対回転不能とすることができる。このため、シャフト本体106と中間シャフト107との間では回転トルクが伝達可能となり、軸線C回りに両者は一体回転可能である。この結果、前記のとおり、内側シャフト104を軸線C回りに回転させて、トーイン・トーアウト調整が可能となる。
外側シャフト105の外側端部に、アウターボールジョイント103が設けられている。また、この外側シャフト105は、その内側端部に筒部118を有しており、この筒部118の内周に、前記雌ねじ135が形成されている。
内側シャフト104は、前記のとおり二分割されており、内側にあるシャフト本体106の内側端部にインナーボールジョイント102が設けられている。
シャフト本体106は、球面状の外表面を有するボール部123と、このボール部123から延びているロッド部124とを有しており、ボール部123とロッド部124とが一体的に形成されている。そして、シャフト本体106(ロッド部124)の外側の端部に、第一の軸部120が形成されている。
筒部材126は、シャフト本体106の第一の軸部120と中間シャフト107の第二の軸部220との双方に外嵌しており、当該第一の軸部120及び当該第二の軸部220の双方とそれぞれ径方向に重なっている。
この連結部108によって、シャフト本体106と中間シャフト107とを連結することができ、また、相対回転不能とすることができる。
これに対して、この連結部108では、操舵の際に生じる軸方向の通常荷重が作用する場合には、ピン部材は剪断破壊されず、シャフト本体107と中間シャフト106との軸方向の相対移動を規制し、当該通常荷重を伝達することができる。
そして、この連結部108の構成によれば、発生した軸方向の圧縮衝撃荷重を吸収するために、中間シャフト107がシャフト本体106に対して軸方向に移動する構造であるため、内側シャフト104及び外側シャフト105が、折れ曲がる(座屈する)ことがなく、従来のように折れ曲がることで周囲にある他の部品に影響を与えることを防ぐことができる。
この場合、各ピン部材が剪断されてからも、筒部材126のテーパー面144と軸部120,220とが締まり嵌めとなるため、各ピン部材が剪断された後に衝撃荷重が残っていても、軸部120,220がテーパー面144を摺動しながらテーパー面144に締め付けられることで、残っている衝撃荷重を徐々に弱めることが可能となる。
また、ピン部材が剪断され、軸部120,220と筒部材126との軸方向の重なり長さが長くなると、当該軸部120,220と筒部材126とが、軸方向に離れるのを阻止する抜け止め部150,151(図9参照)が、軸部120,220と筒部材126とに形成されている。なお、図9は、説明のために、軸部120,220と筒部材126とを分解した状態として示している。
この抜け止め部150,151によれば、ピン部材が完全に剪断されても軸部120,220と筒部材126とが軸方向に分離しない状態を保つことができる。このため、ステアリングホイールの操作によりラック軸16を左右動させれば、その動力を車輪側へ伝えることが可能となる。
本実施形態では、筒部材126を、シャフト本体106のシャフト端部(軸部120)及び中間シャフト107のシャフト端部(軸部220)と、径方向外側で重なっている嵌合部として説明したが、径方向内側で重なっている嵌合部としてもよい。
さらに、本実施形態では、内側シャフト104を二分割とした場合を説明したが、外側シャフト105をシャフト本体と中間シャフトとの二分割とし、これらシャフト本体と中間シャフトとを筒部材及びピン部材によって連結する構成であってもよい。この場合、この中間シャフトと内側シャフト104とが、雄ねじと雌ねじとによって、トーイン・トーアウト調整可能となるようにして、連結される構成となる。
また、図7では、ピン部材109aとピン部材109bとを別とした場合を説明しているが、図2の実施形態のように、これらが一本からなるピン部材であってもよい。
Claims (5)
- ステアリングホイールの操作に応じて左右動する転舵軸に内側のボールジョイントを介して連結される内側シャフトと、ナックルアームに外側のボールジョイントを介して連結される外側シャフトと、を備え、内外の前記ボールジョイント間の距離を調整可能として前記内側シャフトと前記外側シャフトとが連結されているステアリング装置のタイロッド構造であって、
前記内側シャフトと前記外側シャフトとのうちの一方は、
前記ボールジョイントが端部に設けられているシャフト本体と、
前記内側シャフトと前記外側シャフトとのうちの他方と連結されている中間シャフトと、
前記シャフト本体の一部と前記中間シャフトの一部とを共に挿通しかつ当該シャフト本体と当該中間シャフトとに軸方向の圧縮衝撃荷重が作用すると剪断されるピン部材によって、当該シャフト本体と当該中間シャフトとを連結している連結部と、を有していることを特徴とするステアリング装置のタイロッド構造。 - 前記連結部は、前記シャフト本体と前記中間シャフトとのうちの一方に設けられていると共に前記シャフト本体と前記中間シャフトとのうちの他方のシャフト端部と径方向に重なっている嵌合部と、前記他方のシャフト端部と前記嵌合部とを共に径方向に挿通している前記ピン部材と、を有している請求項1に記載のステアリング装置のタイロッド構造。
- 前記連結部は、前記シャフト本体のシャフト端部と前記中間シャフトのシャフト端部との双方にそれぞれ径方向に重なっている嵌合部と、双方の前記シャフト端部それぞれと前記嵌合部との径方向に重なっている部分を径方向に挿通している前記ピン部材と、を有している請求項1に記載のステアリング装置のタイロッド構造。
- 前記嵌合部は、軸方向の圧縮衝撃荷重によって前記ピン部材が剪断され当該嵌合部に対する前記シャフト端部の重なり長さが軸方向に長くなると、当該シャフト端部との間で締まり嵌め状態となるテーパー面を有している請求項2又は3に記載のステアリング装置のタイロッド構造。
- 軸方向の圧縮衝撃荷重によって前記ピン部材が剪断され軸方向の重なり長さが長くなった前記嵌合部と前記シャフト端部とが、軸方向に離れるのを阻止する抜け止め部が、当該嵌合部と当該シャフト端部とのうちの一方又は双方に形成されている請求項2〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置のタイロッド構造。
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